JP2021124089A - 排ガス浄化システム - Google Patents

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鉄平 大堀
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Abstract

【課題】選択還元触媒にNH3を供給する手段として、NOX吸蔵還元触媒を設ける場合でも、リッチスパイク開始時点での条件を適切に設定できる排ガス浄化システムの提供。【解決手段】内燃機関1の排ガスの排気路9に設けられたLNT31と、排気路9のLNT31より下流に設けられたSCR35と、LNT31に導入される排ガスに燃料を供給して空燃比を下げ、吸蔵NOxを還元するリッチスパイクを行う燃料噴射装置23と、燃料噴射装置23を制御するECU29と、排気路9のLNT31より下流で、SCR35より上流に設けられたNH3センサ43を備え、ECU29は、SCR35が吸着しているNH3量が、吸着目標である吸着目標NH3量に維持される空燃比をNH3センサ43の検出値から算出し、算出した空燃比でリッチスパイクを開始する排ガス浄化システム3。【選択図】図1

Description

本開示は、排ガス浄化システムに関する。
内燃機関では燃焼で発生したNOXをNH3で還元して浄化する場合がある。具体的には、NOxをNH3が選択的に還元する反応を促進する選択還元触媒(Selective Catalytic Reduction、SCR)を排気路に設けてNH3を供給し、排ガス中のNOxを還元する。
SCRにNH3を供給する手段として、排気路のSCRより上流にリーンNOxトラップ(Lean NOx Trap、LNT)と呼ばれるNOx吸蔵還元触媒を設ける場合がある。LNTは空燃比が所定範囲内で排ガス中のNOxを吸蔵し、吸蔵したNOxを空燃比が所定値範囲未満でNH3に還元する。そのため、内燃機関の通常運転時にNOxをLNTに吸蔵させ、排ガスに燃料を供給する等して吸蔵後に空燃比を下げることで、吸蔵したNOxをNH3に還元させSCRに供給できる。
空燃比を下げてNH3をLNTから排出させる制御はリッチスパイクと呼ばれる。リッチスパイクではSCRに過剰なNH3が供給されないように、LNTから排出されるNH3を検出し、検出値に基づき燃料の供給量やタイミングを調整する場合がある(特許文献1)。
特開2010−174814号公報
しかしながら特許文献1の調整は、リッチスパイク中の空燃比調整、又はリッチスパイクの開始タイミングの調整であり、リッチスパイクを開始する際の条件は調整しない。そのため、これらの調整ではリッチスパイク開始時点での条件が適切に設定されていない場合があった。
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、選択還元触媒にNH3を供給する手段として、NOx吸蔵還元触媒を設ける場合でも、リッチスパイク開始時点での条件を適切に設定できる排ガス浄化システムの提供を目的とする。
上記の目的を達成するための本開示の一態様は、内燃機関の排ガスの排気路に設けられ、前記排ガスの空燃比が所定の範囲では前記排ガス中のNOxを吸蔵し、前記所定の範囲未満では吸蔵NOxをNH3を含むガスに還元して排出するNOx吸蔵還元触媒を含むLNTと、前記排気路の前記LNTより下流に設けられ、前記LNTが排出したNH3が吸着されてNOxを分解する選択還元触媒を含むSCRと、前記LNTに導入される前記排ガスに燃料を供給して前記空燃比を下げ、前記吸蔵NOxを還元するリッチスパイクを行う供給部と、前記供給部を制御する制御部を備える排ガス浄化システムであって、前記排気路の前記LNTより下流で、かつ前記SCRより上流に設けられ、前記LNTから排出された前記排ガス中のNH3を検出するNH3センサを備え、前記制御部は、前記SCRが吸着しているSCR吸着NH3量が、吸着目標の吸着目標NH3量に維持される前記リッチスパイクの前記空燃比を前記NH3センサの検出値から求め、前記供給部を制御し、算出した前記空燃比で前記リッチスパイクを開始することを特徴とする。
本開示によれば、選択還元触媒にNH3を供給する手段として、NOx吸蔵還元触媒を設ける場合でも、リッチスパイク開始時点での条件を適切に設定できる排ガス浄化システムを提供できる。
本開示の実施形態に係る排ガス浄化システムを備える内燃機関の概略構成を示す図である。 LNTの温度とLNTが吸蔵可能なNOx量の関係を示す図である。 SCRの温度とSCRが吸着可能なNH3量の関係を示す図である。 リッチスパイク時にLNTから排出されるNH3排出量の経時変化を空燃比毎に示す図であって(a)は空燃比λ=λ1の場合、(B)は空燃比λ=λ2<λ1の場合である。 本開示の実施形態に係る排ガス浄化システムを用いた排ガス浄化方法の手順の例を示すフロー図である。
以下、図面に基づき本開示の実施形態を詳細に説明する。
まず図1を参照して本開示の第1の実施形態に係る排ガス浄化システム3を備える内燃機関1の概略構成を説明する。図1では内燃機関1としてディーゼルエンジンを例示する。
図1に示すように内燃機関1は気筒10、ピストン13、クランク15、コンロッド17、燃料噴射装置23、吸気弁18、排気弁21、吸気路7、排気路9、ECU(Electronic Control Unit)29、及び排ガス浄化システム3を備える。
この構成では図1に示すように円筒状の気筒10内に円柱状のピストン13が上下動可能に配置され、コンロッド17を介してピストン13とクランク15が連結される。ピストン13と、気筒10の上端部であるシリンダヘッドの間の空間は燃焼室20と呼ばれる。内燃機関1は気筒10に接続された吸気路7から燃焼室20に導入された空気を、ピストン13で燃料の発火点以上に圧縮加熱し、燃料噴射装置23から燃料を噴射して燃料を自己発火させピストン13を押し出すことで機械仕事を得る。燃焼後の排ガスは、気筒10に接続された排気路9に排出され、排気路9の終端に設けられた消音機37から外部に排出される。気筒10と吸気路7の接続部には吸気弁18が設けられ、燃焼室20に吸気の必要がある場合に開弁する。同様に気筒10と排気路9の接続部には排気弁21が設けられ、燃焼室20内のガスを排気する必要がある場合に開弁する。この構造ではターボチャージャ11も備えており、排気路9に設けたタービンを排気圧で回転させ、その動力を吸気路7に設けたコンプレッサに伝えることで、吸気を過給する。
ECU29は内燃機関1の駆動を制御するコンピュータであり、ここでは燃料噴射装置23と電気的に接続されて、燃料の噴射タイミングや噴射量等を制御して燃料供給量を制御する。
排ガス浄化システム3は排ガス中のNOxを浄化する装置である。図1に示すように排ガス浄化システム3は、LNT31、DPF(Diesel Particulate Filter)33、SCR35、燃料噴射装置23、NH3センサ43、NOxセンサ47、49、λセンサ41、LNTサーミスタ39、SCRサーミスタ45、及びECU29を備える。
LNT31は、排ガスの空燃比が所定の範囲では排ガス中のNOxを吸蔵し、所定の範囲未満では吸蔵NOxをNH3を含むガスに還元して排出するNOx吸蔵還元触媒を含む装置であり、排気路9に設けられる。
空燃比が所定の範囲とは、排ガス中の燃料比率が理論空燃比での燃料比率以下のリーンと呼ばれる範囲である。所定の範囲未満とは、排ガス中の燃料比率が理論空燃比での燃料比率を超えるリッチと呼ばれる範囲である。空燃比は空気質量を燃料質量で割った値である。
NOx吸蔵還元触媒は空燃比に応じて排ガス中のNOxを吸蔵・還元できる材料を適宜選択する。具体的な材料としては、カリウムのようなアルカリ金属の酸化物、あるいはバリウムのようなアルカリ土類金属の酸化物が挙げられる。これらの材料は、NOxと反応して硝酸塩となることで、NOxを吸蔵し、燃料中の水素と反応することで吸蔵したNOxをアンモニアに還元して排出して酸化物に戻るためである。例えば酸化バリウム(BaO)の場合、NOxを吸蔵すると硝酸バリウム(Ba(NO32)となる。
LNT31は酸素吸蔵材(Oxygen Storage Capacity、OSC)も含むのが好ましい。酸素吸蔵材とは、酸化雰囲気下で酸素を吸蔵し、還元雰囲気下で酸素を放出する材料である。OSCはNOx吸蔵触媒がNOxを吸蔵するリーン雰囲気下で酸素を吸蔵し、NOxを放出するリッチ雰囲気下で酸素を放出する。そのため、LNT31がOSCを含有することで、NOxの還元でアンモニアが生成した際に、放出した酸素がアンモニアをN2とH2Oに分解する。そのため、NOxの浄化性能を向上させられる。
OSCとしてはセリウムの酸化物が挙げられる。セリウムは雰囲気によって価数が変わる元素であり、その酸化物が酸化雰囲気下でCe24に、還元雰囲気下でCe23になるため、雰囲気の変化で酸素の吸蔵・放出作用を備えるためである。あるいはジルコニウムの酸化物やセリウムとジルコニウムの複合酸化物も挙げられる。
NOx吸蔵還元触媒とOSCは、適当な担体に担持させればよい。あるいは一方の材料を担体として他方を担持させてもよい。
DPF33は排ガス中の微粒子を物理的に捕集して除去するフィルタであり、図1では排気路9におけるLNT31の直下に設けられる。DPF33は微粒子を捕集しつつ、排ガスを通過させるコージェライト(2MgO・2Al23・5SiO)、SiC、チタン酸アルミニウムのようなセラミックスの多孔質材で形成される。
SCR35はNOxをNH3が選択的に還元する反応を促進する選択還元触媒を含む装置であり、排気路9のLNT31より下流に設けられる。図1では消音機37より上流側に設けられる。
SCR35はNOxを還元するNH3を吸着させる必要があるため、NH3の供給源が必要である。図1のSCR35は、NH3の供給源がLNT31のみであり、尿素SCRとは異なり、LNT31以外にNH3を供給する手段を持たない。このような構造を受動型SCR(passive SCR、pSCR)とも呼ぶ。
SCR35としてはNH3がNOxを選択的に還元する反応を促進する材料で、かつNH3が吸着できる材料・構造のものを適宜選択すればよい。具体的な選択還元触媒としてゼオライトのような多孔質の結晶性アルミノ珪酸もしくはゼオライトにCuやFe等の遷移金属イオンをイオン交換した材料、酸化バナジウムや酸化セリウムといった遷移金属酸化物の選択還元触媒が挙げられる。これらの触媒を担持する担体としてはコージェライト、SiC、チタン酸アルミニウムのようなNH3やNOxに不活性なセラミックスが挙げられる。
燃料噴射装置23は内燃機関1の気筒10内で燃焼する燃料を供給する供給部であるが、排ガス浄化システム3においては、リッチスパイク時にLNT31に燃料を供給する供給源でもある。
リッチスパイクとはLNT31に導入される排ガスに燃料を供給して空燃比を下げることで、吸蔵したNOxをNH3に還元させてLNT31から排出させる制御を意味する。
リッチスパイクを行うことで、LNT31が吸蔵したNOxを還元して浄化できる。また、放出したNH3量に対応した量のNOxをLNT31が吸蔵可能となるため、LNT31のNOx吸蔵可能量を回復させられる。また図1のようにSCR35が受動型SCRの場合は、SCR35が吸着しているNH3がNOxの還元に用いられて消費された場合に、リッチスパイクを行うことで、消費された分のNH3をSCR35に供給できる。
燃料噴射装置23はLNT31に導入される排ガスの空燃比を下げることができれば、構造は適宜選択できる。内燃機関1の気筒10内で燃焼する燃料を供給する装置の場合、公知のコモンレール式噴射ポンプを用いて、気筒10内での燃焼後の燃料噴射であるポスト噴射等で排ガス中に燃料を供給すればよい。燃料噴射装置23は気筒10に燃料を供給する噴射ポンプとは別に、排気路9のLNT31の上流に設けた排気管内噴射装置でもよい。
NH3センサ43はLNT31から排出された排ガス中のNH3を検出するセンサであり、排気路9のLNT31より下流で、かつSCR35より上流に設けられる。図1ではDPF33の下流に設けられる。
NH3センサ43は、リッチスパイクを開始する際の空燃比を算出するのに用いられる。より具体的にはSCR35が吸着しているNH3量が、吸着目標である吸着目標NH3量に維持されるリッチスパイクの空燃比を算出するのに用いられる。
SCR35が吸着しているNH3量とは、空燃比の算出時点でSCR35が現に吸着しているNH3量を意味し、以下の説明ではSCR吸着NH3量と称す。
吸着目標NH3量とは、SCR35がNOxを浄化するのに必要十分なNH3量である。吸着目標NH3量の下限はSCR35の下流にNOxが排出されない量である。吸着目標NH3量の上限は、SCR35の下流にNH3が排出されない量である。吸着目標NH3量は、この上下限の範囲内で、かつSCR35が吸着可能なNH3量を、温度等を加味して決定される。
このように、排ガス浄化システム3は、SCR吸着NH3量が、吸着目標NH3量に維持されるように、NH3センサ43の検出値に基づきリッチスパイクを開始する際の空燃比を算出する点が大きな特徴である。この点について、より具体的に説明する。
SCR35はLNT31からNH3が供給されるため、SCR吸着NH3量を算出するためには、算出前にLNT31が既に排出したNH3量を求める必要がある。
LNT31が排出したNH3量はLNT31のNOx吸蔵/排出の際の反応機構や空燃比、排ガス温度等をパラメータとして推算することもできるが、NH3センサ43で実測する方が、より高い精度で定量ができる。特に図1のようにSCR35が受動型の場合、尿素SCRのようにNH3が直接SCR35に供給されるのではなく、排ガス中のNOxをLNT31がリーン雰囲気下で吸蔵し、リッチ雰囲気下でNH3に還元する多段階の反応でNH3が供給される。そのため、実測ではなく計算でNH3量を求める場合、各段階での反応条件ごとに推算が必要であり、正確なNH3量を求めるのが困難である。
一方で、排ガス浄化システム3は、LNT31が排出したNH3量をNH3センサ43で実測するため、LNT31がNH3を生成する反応条件を考慮する必要がなく、かつ高精度にNH3量を検出できる。
また、NH3センサ43の設置位置をLNT31より下流で、SCR35より上流とすることで、SCR35の下流にNH3センサ43を設ける場合と異なり、SCR35でのNH3の消費を考慮せずに高精度な定量が可能である。
さらに、リッチスパイクを「開始する」際の好適な空燃比をNH3センサ43の検出値から算出することも排ガス浄化システム3の大きな特徴である。リッチスパイク時の空燃比が異なるとLNT31から排出されるNH3量が異なる。そこで、排ガス浄化システム3は、SCR35に必要十分なNH3が供給される空燃比をリッチスパイクの開始時点で既に設定する。これによりリッチスパイク中のNH3センサ43の検出値から空燃比を補正する場合と比べて、好適な空燃比でリッチスパイクが実施される期間が長くなる。
よって排ガス浄化システム3は、SCR35にNH3を供給する手段として、LNT31を設ける場合でも、リッチスパイク開始時点での条件を適切に設定できる。
NH3センサ43はLNT31が排出したNH3を検出できる構造であれば、公知のセンサを適宜選択できる。検出方式も接触燃焼式、電気化学式のいずれでもよい。また、NH3の排出量は、排ガス中のNH3濃度から求めてもよいし、直接定量してもよい。リッチスパイク時のNH3の総排出量は測定周期毎にNH3センサ43が検出したNH3量を積算することで求められる。
NOxセンサ47、49は、SCR35がNOxをNH3で還元して分解する際に消費されたNH3量である分解NH3量を求める際に用いられるセンサである。図1に示すように排気路9においてSCR35の上流にNOxセンサ47が、下流にNOxセンサ49が設けられる。
NOxセンサ47、49はNOxを検出するセンサであり、SCR35で分解されたNOx量を、NOxセンサ47、49の検出値の差分で求める。
排ガス浄化システム3は、リッチスパイク開始時の空燃比の算出の際に、SCR吸着NH3量を求める。SCR吸着NH3量は、LNT31が排出してSCR35に供給したNH3量である供給NH3量から、分解NH3量を引いた値である。
そこで、NOxセンサ47、49を設けてSCR35で分解されたNOx量を実測することで、求めたNOx量から、そのNOx量に対応した分解NH3量を実測値に基づき求められる。
このように、LNT31が排出したNH3量をNH3センサ43で実測するだけでなく、SCR35が消費したNH3量をNOxセンサ47、49での実測値から求めることで、SCR35が吸着しているNH3量を推算する場合よりも正確に求められる。よってリッチスパイク開始時の空燃比の算出精度が益々向上する。
分解NH3量の取得はECU29が行ってもよいし、検出したNOx量の差分から分解NH3量を計算して取得する機能をNOxセンサ47、49自身に持たせてもよい。
NOxセンサ47、49は、NOxを検出できる構造であれば、公知のセンサを適宜選択できる。具体的には固体電解質を用いた構造が例示できる。また、NOx量を求める方法としては、NH3センサ43と同様に積算する方法を用いればよい。
なお公知のNOxセンサはNH3にも感度を持つ。そのため、本実施形態の排ガスのように、NOxとNH3の両方を含むガス中のNOxをNOxセンサ47で検出する場合、NH3によってNOxセンサ47のNOx検出値が実際の値から誤差を生じる場合がある。
一方で排ガス浄化システム3はNOxセンサ47の検出対象であるLNT31とSCR35の間の排ガスが、NH3センサ43の検出対象でもある。そのため、NH3センサ43のNH3検出値を基にNOxセンサ47の検出値の誤差を補正して実際の値を得ることができる。
具体的には図1に示すように、NOxセンサ47のNOx検出値が実際の値から誤差を生じる際のNH3センサ43のNH3検出値と誤差の関係を示す誤差関係情報29aをECU29が備えているのが好ましい。この構成ではNH3センサ43が検出したNH3検出値を基に誤差関係情報29aを参照してECU29がNOxセンサ47の検出値の誤差を補正して実際の値を得る。NH3センサ43の検出値を基にNOxセンサ47の検出値を補正することで、NOxセンサ47がNH3に反応して誤差を生じる場合でも正しいNOX値が得られる。
このように、排ガス浄化システム3のNH3センサ43は、NH3の検出だけでなく、NOxセンサ47の検出値の補正にも用いられる。
よって、NOxセンサ47のみを用いて分解NH3量を求める場合と比べて、分解NH3量の算出精度をより高くできる。よってリッチスパイク開始時の空燃比の算出精度が益々向上する。
λセンサ41はLNT31に導入される排ガス中の空燃比を実測するセンサであり、排気路9において、燃料噴射装置23よりも下流で、かつLNT31よりも上流に設けられる。
空燃比自体は燃料噴射装置23の燃料供給量等で調整するが、λセンサ41で排ガスの組成を実測することで、実際に意図した通りの空燃比が得られているのかを確認できる。特に排ガス浄化システム3はSCR35が吸着しているNH3量によってリッチスパイクの際の空燃比を変えるため、リッチスパイク時の空燃比を正確に調整するためにλセンサ41を設けるのが好ましい。
λセンサ41は空燃比を検出できる構成のものであれば、公知のO2センサを用いればよい。
LNTサーミスタ39はLNT31に導入される排ガスの温度を測定する温度センサであり、燃料噴射装置23よりも下流で、かつLNT31よりも上流に設けられる。リッチスパイクの際には、空燃比をリッチにするだけでなく、LNT31の温度が、所定の温度以上でないと、吸蔵NOxをNH3に還元する反応が進行しない。そのため、LNT31に導入される排ガスの温度をLNTサーミスタ39で実測することで、LNT31の温度が還元反応の進行に必要な温度条件を満たすか否かを正確に検出できる。これにより還元反応が進まない温度で空燃比をリッチにしてしまう無駄な処理が生じるのを防止できる。
LNTサーミスタ39は、排ガスの組成、温度で容易に劣化せずに排ガスの温度検出が可能な構造であれば、公知のものを利用できる。
LNTサーミスタ39はLNT31のNOx吸蔵可能量、つまりLNT31が吸蔵可能なNOx量を算出する場合にも用いられる。LNT31が吸蔵可能なNOx量には上限があるが、この上限は温度に依存する。その依存性はLNT31を構成する材料や触媒の量にもよるが、おおむね図2に示すように、吸蔵可能な下限温度Tminから所定の温度T1までは吸蔵可能なNOx量が温度と共に増加する。吸蔵可能なNOx量はT1で最大値A1となり、以降は温度の上昇と共に低下し、吸蔵可能な上限温度Tmax以上ではNOxを吸蔵しなくなる。よってLNTサーミスタ39でLNT31の温度を測定することで、LNT31が吸蔵可能なNOx量を把握することができる。これにより、LNT31が吸蔵しているNOx量と吸蔵可能なNOx量の上限から、現在の温度でLNT31が吸蔵できるNOx量の余裕がどの程度かを把握でき、余裕がなくなる前にリッチスパイクを開始できる。
SCRサーミスタ45はSCR35に導入される排ガス中の温度を測定する温度センサであり、LNT31よりも下流で、かつSCR35よりも上流に設けられる。図1ではDPF33の下流に設けられる。
排ガス浄化システム3は、リッチスパイク開始時の空燃比を算出する際に吸着目標NH3量を求めるが、吸着目標NH3量はSCR35の温度によって変動する。
この変動について図3を参照して説明する。図3はSCR35の温度とSCR35が吸着可能なNH3量の関係を示す図である。SCR35が吸着可能なNH3量は、吸着可能な下限温度Tminから吸着可能な上限温度Tmaxまで温度と共に低下する。そのため、吸着目標NH3量はSCR35が吸着可能なNH3量を超えない範囲で、かつNH3とNOxをSCR35の下流に排出しない範囲で定められる。ただし、下限温度Tmin近傍で吸着目標NH3量をSCR35が吸着可能な最大値にすると、内燃機関1の駆動による温度上昇で直ぐにSCR35の吸着NH3量が、吸着可能な最大値を超える恐れがある。そのため実用上は図3の破線で示すように、下限温度Tminから所定温度だけ高い温度TαでSCR35が吸着可能な最大値Amaxを、吸着目標NH3量の最大値とする。この条件で、図3のハッチングで示す領域R内で、かつNH3とNOxをSCR35の下流に排出しない範囲で吸着目標NH3量を予めECU29等が定める。
このように、SCR35に導入される排ガスの温度をSCRサーミスタ45で実測することで、温度の影響を加味した正確な吸着目標NH3量を算出でき、リッチスパイク開始時に好適な空燃比を、より正確に算出できる。
SCRサーミスタ45は、排ガスの組成、温度で容易に劣化せずに排ガスの温度検出が可能な構造であれば、公知のものを利用できる。
ECU29は排ガス浄化システム3を構成する装置やセンサを制御する装置であり、NH3センサ43、NOxセンサ47、49、λセンサ41、LNTサーミスタ39、SCRサーミスタ45に電気的に接続され、これらの検出値を示す信号が入力される。
ECU29は燃料噴射装置23にも接続され、燃料噴射装置23の動作状況を示す信号が入力され、かつ燃料噴射装置23の動作の指令となる信号を燃料噴射装置23に出力する。
排ガス浄化システム3のECU29は、特にリッチスパイク開始時の空燃比を算出し、算出した空燃比に基づき燃料噴射装置23を制御する。
具体的にはECU29は、SCR35が吸着するNH3量が所定の範囲に維持されるリッチスパイク時の空燃比をNH3センサ43の検出値から算出し、算出した空燃比でリッチスパイクを開始するように燃料噴射装置23の燃料供給量やタイミングを制御する。この点について、より詳細に説明する。
リッチスパイクを行う際にECU29は、NH3センサ43の検出値からSCR吸着NH3量と吸着目標NH3量を求め、SCR吸着NH3量が吸着目標NH3量に維持される空燃比を設定する。
具体的にはECU29は、SCR吸着NH3量と吸着目標NH3量の差分である差分NH3量を求め、差分NH3量をSCR35に供給するように空燃比を調整する。差分NH3量はSCR35にとって不足しているNH3量だからである。なおSCR吸着NH3量は供給NH3量と分解NH3量から求めるが、供給NH3量は前回までのリッチスパイクでSCR35に供給されたNH3量を算出する。よって前回のリッチスパイクでSCR35に供給されたNH3量のみから算出してもよいし、内燃機関1の始動後前回のリッチスパイクまでの複数回のリッチスパイクでSCR35に供給されたNH3量を積算してもよい。分解NH3量も同様に、前回のリッチスパイク終了後に消費されたNH3量のみから求めてもよいし、内燃機関1の始動後前回のリッチスパイクまでの複数回のリッチスパイク終了後に消費されたNH3量を積算してもよい。ただしSCR吸着NH3量と供給NH3量を求める基準となるリッチスパイクの回数は同じである必要がある。
より具体的には、ECU29は差分NH3量が大きくなるほど空燃比を小さくする。逆に差分NH3量が小さくなるほど空燃比を大きくする。理由は以下の通りである。
差分NH3量が大きくなるほど、吸着目標NH3量に対してSCR吸着NH3量が少なくなるため、1回のリッチスパイクでSCR35に供給すべきNH3量が多くなっていく。一方で、差分NH3量が小さくなるほど、吸着目標NH3量にSCR吸着NH3量が近づくため、1回のリッチスパイクでSCR35に供給すべきNH3量が少なくなっていく。
よって、空燃比を固定してリッチスパイクを行うと、差分NH3量が大きくなるほどリッチスパイクでSCR吸着NH3量が吸着目標NH3量に達するのに要する時間が長くなる。そのため内燃機関1のNOx排出量によっては、SCR35が吸着するNH3量が不足してSCR35の下流にNOxが排出される可能性がある。
逆に差分NH3量が小さくなるほどリッチスパイクでSCR35に供給されるNH3量が過剰となる。そのためSCR35の吸着可能量の上限を超えたNH3がSCR35に流れ込み、SCR35の下流に流出する、アンモニアスリップと呼ばれる現象が生じる可能性もある。
一方でリッチスパイクの際にLNT31が排出するNH3の量と排出速度は、空燃比によって異なる。例えば図4(a)に示すように、ある空燃比λ1でリッチスパイク処理を行う場合、開始時刻t1から所定の期間経過後の時刻t2まではNH3は排出されない。この時点では吸蔵したNOxがNH3に還元されても、OSCが放出した酸素でN2とH2Oに分解されるためである。一方でOSCが酸素を放出し尽くした放出時刻t2以降はNH3を分解する酸素が枯渇するため、NH3がLNT31から排出され始め、排出量は時刻t3まで時間と共に上昇する。時刻t3を過ぎるとNH3排出量は減少に転じ、時刻t4で排出量が0になる。つまり時刻t4は排出終了時刻である。1回のリッチスパイクでのNH3の排出量の総量は図4(a)のハッチング部分の面積S1から求められる。この面積は、時刻t2からt4までのNH3排出量の経時変化を示す曲線を時間で積分した値である。
リッチスパイクにおける排出終了時刻t4は空燃比が小さいほど早くなり、総排出量を示す面積Sは空燃比が小さいほど大きくなる。例えば図4(b)に示すように空燃比λ1よりも小さい空燃比λ2でリッチスパイクを行った場合、排出終了時刻t4´はt4よりも早くなり、面積S2は面積S1より大きくなる。理由は、空燃比が小さくなるほどLNT31が吸蔵したNOxのうち、N2ではなくNH3に還元される割合が高くなるためである。
そのため、差分NH3量が大きくなるほど、リッチスパイク時の空燃比を小さくすることで、短時間で多量のNH3をSCR35に供給でき、SCR35が吸着するNH3量が不足するのを防止できる。差分NH3量が小さくなるほど、リッチスパイク時の空燃比を大きくすることで、LNT31に供給するNH3を減らすことができ、NH3が過剰にSCR35に供給されるのを防止できる。
一方で、空燃比を変えても、LNT31が吸蔵したNOxのうち、NH3として排出されるものと、N2として排出されるものとの割合が変わるだけであり、LNT31が還元したNOx量自体は空燃比で大きく変化しない。よって、図4(b)の空燃比λ2でリッチスパイクを行った場合でも、図4(a)の空燃比λ1でリッチスパイクを行った場合と比べてLNT31が吸蔵したNOxの還元量が激減する訳ではなく、リッチスパイクで吸蔵能力を回復させた程度は大差ない。
このように、LNT31の吸蔵能力の回復の程度を大きく変えずにNH3の放出量を調整できるという点も排ガス浄化システム3の有利な点である。
ECU29が、どの程度の差分NH3量で空燃比を変更するかは、SCR吸着NH3量を吸着目標NH3量に早く近づけられる範囲で適宜設定すればよい。例えば、前回のリッチスパイク時よりも差分NH3量が大きくなった場合は空燃比を小さくし、大きくなった場合は空燃比を小さくしてもよい。
ECU29は、差分NH3量が所定の閾値を超えた場合や下回った場合のみ、空燃比を変更してもよい。例えば従来のリッチスパイクでの空燃比である標準空燃比λ0でリッチスパイクを行った場合、差分NH3量が下限閾値A以上、上限閾値B以下の範囲であれば、SCR35に供給されるNH3量が極端な過不足にならないとする。この場合、差分NH3量が下限閾値Aを下回った場合に、標準空燃比λ0よりも大きい空燃比でリッチスパイクを開始すればよい。あるいは、差分NH3量が上限閾値を上回った場合に、標準空燃比λ0よりも小さい空燃比でリッチスパイクを開始すればよい。
以下の説明では下限閾値Aと上限閾値Bに基づき空燃比を変更する場合を例に説明する。
なお、ECU29は空燃比を上げる場合も下げる場合も、図4の面積Sに相当するNH3量が差分NH3量となるように空燃比を設定するのが好ましい。これにより、供給されるNH3量=差分NH3量となり、SCR35に必要十分なNH3を供給できる最適の空燃比を設定できる。ただし、LNT31からSCR35に供給されるNH3量が極端な過不足にならなければ、必ずしも図4の面積Sに相当するNH3量が差分NH3量となるように常に空燃比を変更する必要はない。つまり「SCR吸着NH3量が吸着目標NH3量に維持される空燃比」でリッチスパイクを行うということは、「SCR35に供給されるNH3量が極端な過不足にならない空燃比」でリッチスパイクを行うという意味である。SCR吸着NH3量=吸着目標NH3量とする空燃比で必ずリッチスパイクを行うという意味ではない。
ECU29はNH3センサ43の検出値をもとにリッチスパイクの終了判定を行ってもよい。図4(a)に示すように、リッチスパイク時には時刻t4でNH3の排出が終了するので、例えばNH3センサ43の排出量が0になった時刻t4でリッチスパイクを終了してもよい。ただし、時刻t4をリッチスパイク終了時刻とすると、検出信号のノイズや伝送速度の問題、あるいは燃料噴射装置23の応答速度の問題で、実際にリッチスパイクを終了するのが時刻t4以降になり、時刻t4以降に燃料が無駄に供給される可能性がある。
そこで、図4(a)に示すように、NH3排出量が上昇から減少に転じ、かつ予め定められた値C1まで低下した時刻tEにリッチスパイクを中止するのが好ましい。
このように、ECU29は、LNT31中のNOxが還元され尽くす直前にリッチスパイクを中止する。そのためLNT31中のNOxが排出され尽くした後でもリッチスパイクを続ける恐れが無く、燃料の無駄な消費を抑制できる。また、通常のLNT31は下流にもλセンサ41を設置し、リッチスパイク時に水性ガスシフト反応で生成される水素を検知するラムダクロッシングと呼ばれる現象を利用してリッチスパイクを検出する場合がある。一方で排ガス浄化システム3はNH3センサ43でNH3を実測してリッチスパイクの終了判定を行う。よってλセンサ41より安価なNH3センサ43でリッチスパイク終了を正確に検出できるため、λクロッシング検出用のλセンサ41が不要になり、λセンサ41より精度とコスト面で有利である。
ECU29はNH3センサ43、NOxセンサ47、49、λセンサ41、LNTサーミスタ39、SCRサーミスタ45、燃料噴射装置23と通信可能で、リッチスパイク時の空燃比を算出できる構造であれば、公知のコンピュータを用いればよい。また図1のECU29は、内燃機関1の駆動制御と、排ガス浄化システム3のリッチスパイクの両方の制御を行う構成であるが、リッチスパイクのみを行う構成とし、内燃機関1の駆動制御を別のコンピュータに実施させてもよい。
以上が本実施形態に係る排ガス浄化システム3を備える内燃機関1の概略構成の説明である。
次に、本実施形態に係る排ガス浄化システム3を用いたリッチスパイクの手順の例について図5を参照して説明する。
まず前提として、リッチスパイク開始条件を満たすとする。リッチスパイク開始条件とは、例えばLNT31のNOx吸蔵量が所定の値を超える可能性があること、リッチスパイクでLNT31がNH3を放出可能な状態にあること、及び内燃機関1の運転条件が許可範囲にあることである。NOx吸蔵量が所定の値を超える可能性がある場合とは、前回のリッチスパイクから所定の時間が経過した場合が挙げられ、これらはECU29が図示しないカウンタ等から取得できる。また、LNT31の上下流にNOxセンサを設けてNOxを検出し、検出値の差分と排ガス流量から計算したLNT31のNOx吸蔵量が閾値を超えた場合もNOx吸蔵量が所定の値を超える可能性がある場合の例として挙げられる。LNT31の上流にNOxセンサがない場合、内燃機関1の運転状態回転数、トルク等と、排ガス中のNOx濃度の特性マップからNOx濃度の推定値を算出してもよい。この場合、算出した推定値とLNT31の下流のNOxセンサの検出値の差分から算出したNOx吸蔵量が閾値を超えた場合にNOx吸蔵量が所定の値を超える可能性があると判断する。
また、リッチスパイクでLNT31がNH3を放出可能な状態にある場合とは、LNT31が所定の温度以上である場合であり、ECU29がLNTサーミスタ39から温度を取得することで求められる。内燃機関1の運転条件が許可範囲にある状態とは、リッチスパイクで空燃比を通常運転時より下げても内燃機関1の運転に悪影響を与えない状態であり、内燃機関1の回転数や負荷等をECU29が取得して求める。
リッチスパイク開始条件を満たす場合、まずECU29はNH3センサ43の検出値からSCR吸着NH3量を算出する(図5のS1)。具体的には、NH3センサ43の検出値から供給NH3量を算出し、NOxセンサ47、49の検出値から分解NH3量を取得する。さらに、供給NH3量から分解NH3量を引いた値をSCR吸着NH3量とする。なお、供給NH3量及び分解NH3量は、前回のリッチスパイクの値のみを算出してもよいし、内燃機関1の始動後前回のリッチスパイクまでの複数回のリッチスパイクの値を積算してもよい。
次にECU29は、吸着目標NH3量を算出する(図5のS2)。具体的には、図3に示すSCRが吸着可能なNH3量の上限以下で、かつSCR35がNOxを浄化するのに必要十分なNH3量を、SCRサーミスタ45の検出値から算出する。より具体的には、図3の領域R内のNH3量で、かつSCR35がNOxを浄化するのに必要十分なNH3量を吸着目標NH3量とする。
なおS1とS2を実施する順番は図5の逆でもよいし、同時でもよい。
次にECU29は、差分NH3量を算出する(図5のS3)。具体的には、吸着目標NH3量からSCR吸着NH3量を引いた値を差分NH3量とする。
次にECU29は差分NH3量と下限閾値A及び上限閾値Bの大小関係を求める(図5のS4)。具体的には差分NH3量が下限閾値A未満の場合はS5−1に進む。差分NH3量が下限閾値A以上、上限閾値B以下の場合はS5−2に進む。差分NH3量が上限閾値Bを超える場合はS5−3に進む。
差分NH3量が下限閾値A未満の場合、ECU29は空燃比λを標準空燃比λ0よりも大きくする(図5のS5−1)。これによりリッチスパイクでLNT31から排出されるNH3量が標準空燃比λ0でリッチスパイクを行う場合よりも少なくなる。
差分NH3量が下限閾値A以上、上限閾値B以下の場合、ECU29は空燃比λを標準空燃比λ0とする(図5のS5−2)。
差分NH3量が上限閾値Bを超える場合、ECU29は空燃比λを標準空燃比λ0よりも小さくする(図5のS5−3)。これによりリッチスパイクでLNT31から排出されるNH3量が標準空燃比λ0でリッチスパイクを行う場合よりも多くなる。
なお、仮に差分NH3量が0の場合又は負の場合はリッチスパイクを行わない。これらの場合はSCR吸着NH3量が吸着目標NH3量以上であり、SCR35に十分なNH3が既に吸着されているためである。なおリッチスパイクを行わないとLNT31が吸蔵したNOxが排出されないため、LNT31が吸蔵可能なNOx量が上限を超えると排ガス中のNOxがLNT31で吸蔵されずにSCR35に流入する。ただし、この場合はSCR35に十分なNH3が既に吸着されており、SCR35でNOxを還元すればよいので、SCR35の下流にNOxが排出される恐れはない。
次にECU29はS5−1〜S5−3で決定した空燃比に基づきリッチスパイクを開始する(図5のS6)。具体的には、LNT31に導入される排ガスの空燃比がS5−1〜S5−3で決定した空燃比となるように燃料噴射装置23の燃料供給量を調整する。
リッチスパイクが開始されるとECU29はNH3センサ43を用いてLNT31から排出されるNH3を検出する(図5のS7)。
さらにECU29は、S8のNH3検出値がリッチスパイク終了条件を満たすか否かを判断し、終了する場合はS9に進み、終了しない場合はS7に戻る(図5のS8)。具体的には図4(a)に示すNH3排出量が上昇から減少に転じ、かつ予め定められた値C1まで低下したか否かを判断する。
S8でリッチスパイクが終了したと判断した場合、ECU29はリッチスパイクを終了する(図5のS9)。具体的には燃料噴射装置23の燃料供給量をリッチスパイク前に戻す。
以上が本実施形態に係る排ガス浄化システム3を用いたリッチスパイクの手順の例の説明である。
このように本実施形態ではSCR35が吸着するNH3量が所定の範囲に維持されるリッチスパイク時の空燃比をNH3センサ43の検出値から算出し、算出した空燃比でリッチスパイクを開始する。
よってNH3の実測値に基づいてSCR35のNH3吸着量が必要十分となるようにリッチスパイク開始時の空燃比を設定するので、SCR35にNH3を供給する手段として、LNT31を設ける場合でも、リッチスパイク開始時点での条件を適切に設定できる。
以上、実施形態に基づき本開示を説明したが本開示は実施形態に限定されない。当業者であれば本開示の技術思想の範囲内において各種変形例及び改良例に想到するのは当然のことであり、これらも当然に本開示に含まれる。
1 :内燃機関
3 :排ガス浄化システム
7 :吸気路
9 :排気路
10 :気筒
11 :ターボチャージャ
13 :ピストン
15 :クランク
17 :コンロッド
18 :吸気弁
20 :燃焼室
21 :排気弁
23 :燃料噴射装置
29 :ECU
29a :誤差関係情報
31 :LNT
33 :DPF
35 :SCR
37 :消音機
39 :LNTサーミスタ
41 :λセンサ
43 :NH3センサ
45 :SCRサーミスタ
47、49:NOxセンサ

Claims (6)

  1. 内燃機関の排ガスの排気路に設けられ、前記排ガスの空燃比が所定の範囲では前記排ガス中のNOxを吸蔵し、前記所定の範囲未満では吸蔵NOxをNH3を含むガスに還元して排出するNOx吸蔵還元触媒を含むLNTと、前記排気路の前記LNTより下流に設けられ、前記LNTが排出したNH3が吸着されてNOxを分解する選択還元触媒を含むSCRと、前記LNTに導入される前記排ガスに燃料を供給して前記空燃比を下げ、前記吸蔵NOxを還元するリッチスパイクを行う供給部と、前記供給部を制御する制御部を備える排ガス浄化システムであって、
    前記排気路の前記LNTより下流で、かつ前記SCRより上流に設けられ、前記LNTから排出された前記排ガス中のNH3を検出するNH3センサを備え、
    前記制御部は、
    前記SCRが吸着しているSCR吸着NH3量が、吸着目標の吸着目標NH3量に維持される前記リッチスパイクの前記空燃比を前記NH3センサの検出値から求め、前記供給部を制御し、算出した前記空燃比で前記リッチスパイクを開始することを特徴とする排ガス浄化システム。
  2. 前記排気路の前記SCRより上流及び下流に設けられ、前記SCRで分解されたNOx量を検出値の差分で求めるNOxセンサを備え、
    前記制御部は、
    前回までの前記リッチスパイクで前記SCRに供給されたNH3量である供給NH3量を前記NH3センサの検出値から取得し、
    前回までの前記リッチスパイク終了後に前記SCRに導入されたNOxを分解することで消費されたNH3量である分解NH3量を前記NOxセンサの検出値から取得し、
    前記供給NH3量から前記分解NH3量を引いた値を前記SCR吸着NH3量とし、
    前記吸着目標NH3量から前記SCR吸着NH3量を引いた値である差分NH3量を前記SCRに供給することで前記SCRが吸着しているNH3量を前記吸着目標NH3量に維持する請求項1に記載の排ガス浄化システム。
  3. 前記制御部は、前記排ガス中のNH3によって前記NOxセンサのNOx検出値が実際の値から誤差を生じる際の前記NH3センサの検出値と誤差の関係を示す誤差関係情報を備え、前記NH3センサのNH3検出値を基に前記誤差関係情報を参照して前記NOxセンサの検出値の誤差を補正する請求項2に記載の排ガス浄化システム。
  4. 前記制御部は、前記差分NH3量が予め定められた上限閾値よりも大きい場合、前記排ガスの空燃比が通常の前記リッチスパイク時の空燃比より小さくなるように前記供給部を制御して、前記LNTが排出するNH3の量を増やす請求項3に記載の排ガス浄化システム。
  5. 前記制御部は、前記差分NH3量が予め定められた下限閾値よりも小さい場合、前記排ガスの空燃比が通常の前記リッチスパイク時の空燃比より大きくなるように前記供給部を制御して、前記LNTが排出するNH3の量を減らす請求項3に記載の排ガス浄化システム。
  6. 前記制御部は、
    前記リッチスパイク開始後、前記NH3センサのNH3検出値が上昇してから減少に転じ、かつ予め定められた値まで低下した場合に前記リッチスパイクを中止する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の排ガス浄化システム。
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