JP2021121992A - 蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な活物質を有する蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供する。【解決手段】本開示は、蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用電極であって、電極活物質として、基本組成式ET2Bi2O9(但し、EはCa、Sr及びBaのうち1以上、TはNb及びTaのうち1以上である)で表される酸化物、Er2GaO6及びFeTiO3のうち1以上を有するものである。【選択図】図1

Description

本明細書では、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを開示する。
従来、リチウムイオン二次電池は、負極材料として黒鉛が用いられている。黒鉛の重量および体積あたりの比容量はそれぞれ372mAh/g、855mAh/cm3であり、充放電電位はLi基準電位で0.07〜0.23Vと低い(例えば、非特許文献1、2参照)。最近では、さらなるエネルギー密度の向上を目指して、合金系負極が注目されている。たとえばシリコンはLiと金属間化合物を形成し、最終的にLi4.4Siの合金組成までLiを吸蔵する。合金負極のほとんどはリチウム基準電位で1V以下の電位で充放電が進行する(例えば、非特許文献3、4参照)。また、チタン酸リチウムに代表される酸化物負極は、結晶構造を保持したままLiイオンが挿入脱離することで充放電を行うタイプの負極であり一般に体積変化が小さい(例えば、非特許文献5、6参照)。
Advanced Science 3, 1600051 (2016) Chemical reviews 114, 11444 (2014) Journal of Power Sources 81-82, 13 (1999) Particle & Particle Systems Characterization 31, 317 (2014) Material Matters 8, 111 (2014) Chemical reviews 113, 5364 (2013)
しかしながら、上述の黒鉛負極では、充放電電位が低く、リチウム析出の畏れがあった。また、シリコン負極では、充放電に伴う体積変化が100〜350%と非常に大きく、充放電サイクルとともに微粉化したり構造変化により亀裂や剥離が生じたりするため、サイクル寿命が短いことが問題であった。更に、複合酸化物負極では、充放電電位がリチウム基準電位で1.5〜2.0V付近であり、電池システムとしてはエネルギー密度の向上が求められていた。このように、蓄電デバイスの活物質として、新規な物質が求められていた。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、新規な活物質を有する蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、所定の元素の組み合わせを有する複合酸化物には充放電機能を有することを見いだし、本開示の蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを完成するに至った。
即ち、本開示の蓄電デバイス用電極は、
蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用電極であって、
電極活物質として、基本組成式ET2Bi29(但し、EはCa、Sr及びBaのうち1以上、TはNb及びTaのうち1以上である)で表される酸化物、Er2GaO6及びFeTiO3のうち1以上を有するものである。
本開示の蓄電デバイスは、
正極活物質を有する正極と、
上述の蓄電デバイス用電極である負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
本開示は、充放電機能を有する新規の活物質を備えた蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、基本組成式CaTa2Bi29やBaNb2Bi29、Er2GaO6、FeTiO3などの複合酸化物は、カチオンが価数変化することで、多くのリチウムイオンを吸蔵することができるためであると推察される。また、これらの複合酸化物は、その構造に依存して、充放電電位が適切な範囲にあるものと推察される。そして、本開示では、高容量で体積変化が小さくサイクル寿命に優れたリチウム電池を提供することができるものと推察される。
蓄電デバイス10の構造の一例を示す説明図。 実験例1、2のXRDスペクトル。 0.5V〜2.0Vの範囲での実験例1の充放電曲線。 0.5V〜1.2Vの範囲での実験例1の充放電曲線。 実験例1のXAFSスペクトル。 0.5V〜2.0Vの範囲での実験例2の充放電曲線。 0.5V〜1.2Vの範囲での実験例2の充放電曲線。 0.5V〜2.0Vの範囲での実験例3の充放電曲線。 0.5V〜2.0Vの範囲での実験例4の充放電曲線。
(蓄電デバイス用電極)
本開示の蓄電デバイス用電極は、電極活物質として、基本組成式ET2Bi29(但し、EはCa、Sr及びBaのうち1以上、TはNb及びTaのうち1以上である)で表される酸化物、Er2GaO6及びFeTiO3のうち1以上を有するものである。この電極活物質は、CaTa2Bi29、BaNb2Bi29、CaNb2Bi29及びBaTa2Bi29のうち1以上であるものとしてもよく、このうち、CaTa2Bi29やBaNb2Bi29などが、単位体積あたりの容量が高く、放電電位が低いため、エネルギー密度の観点から好ましい。
この蓄電デバイス用電極は、Liイオンを吸蔵放出する蓄電デバイスに用いることが好ましい。このとき、この電極は、Liイオンの充放電電位がLi基準電位で0Vを超え1.5V未満の範囲内である電極活物質を有することが、エネルギー密度の観点から好ましい。また、電極活物質は、平均粒径が0.1μm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。この範囲では、キャリアイオンとしてのLiイオンの挿入脱離が行いやすく、好ましい。この平均粒径は、3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。キャリアイオンのアクセスする面積が増えるためである。ここで、電極活物質の平均粒径は、電極活物質の粉体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して求めたメジアン径D50とする。
この蓄電デバイス用電極は、アルカリ金属イオンをキャリアとする蓄電デバイスに用いられるものとしてもよい。この電極は、対極の活物質の電位に基づいて正極又は負極のいずれかとなるが、負極であるものとしてもよい。この蓄電デバイス用電極は、電極活物質と、導電材と、結着材とを含むものとしてもよい。電極活物質の含有量は、多いほど好ましいが、蓄電デバイス用電極は、電極活物質を60質量%以上85質量%以下の範囲で含むことが好ましい。この蓄電デバイス用電極は、電極活物質を必要に応じて導電材や結着材と溶媒に混合しペースト状にした電極合材を集電体上に塗布するか、結着材と混合した電極合材を集電体に圧着したものとしてもよい。導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体は、電極活物質の電位などに応じて適宜選択すればよいが、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、銅、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。活物質複合体の形成量は、蓄電デバイスに求められる所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
(蓄電デバイス)
本開示の蓄電デバイスは、正極活物質を有する正極と、上記電極活物質を有する蓄電デバイス用電極である負極と、正極及び負極の間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものとしてもよい。この蓄電デバイスは、アルカリ金属イオンをキャリアイオンとするものとしてもよい。このキャリアイオンは、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンなどが挙げられ、リチウムがより好ましい。説明の便宜のため、以下、リチウムをキャリアとする蓄電デバイスを主として説明する。この蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ハイブリッドキャパシタ、空気電池などのうちいずれかであるものとしてもよい。
正極において、正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(a+b+c=1)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をV25などとする遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。あるいは、正極活物質は、キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどに用いられている炭素質材料としてもよい。炭素質材料としては、例えば、活性炭類、コークス類、ガラス状炭素類、黒鉛類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維類、カーボンナノチューブ類、ポリアセン類などが挙げられる。このうち、高比表面積を示す活性炭類が好ましい。炭素質材料としての活性炭は、比表面積が1000m2/g以上であることが好ましく、1500m2/g以上であることがより好ましい。比表面積が1000m2/g以上では、放電容量をより高めることができる。この活性炭の比表面積は、作製の容易性から3000m2/g以下であることが好ましく、2000m2/g以下であることがより好ましい。正極に用いられる導電材や結着材、溶媒、集電体などは、上述した蓄電デバイス用電極で例示したものを適宜利用することができる。
イオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水系電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマーをイオン伝導媒体として用いることもできる。イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、フッ化ビニリデンなどのポリマーと支持塩とで構成されるポリマーゲルを用いることができる。更に、イオン伝導性ポリマーと非水系電解液とを組み合わせて用いることもできる。また、イオン伝導媒体としては、イオン伝導性ポリマーのほか、無機固体電解質あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
蓄電デバイスは、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
この蓄電デバイスの形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、蓄電デバイス10の構造の一例を示す説明図である。この蓄電デバイス10は、正極12と、負極15と、イオン伝導媒体18とを有する。正極12は、正極活物質層13と、集電体14とを有する。負極15は、負極活物質層16と、集電体17とを有する。負極活物質層16は、上述した複合酸化物19を負極活物質として有する。
以上詳述したように、本実施形態では、充放電機能を有する新規の活物質を備えた蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイスを提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、基本組成式CaTa2Bi29やBaNb2Bi29、Er2GaO6、FeTiO3などで示される複合酸化物は、含まれる遷移金属のイオンが価数変化することで、多くのリチウムイオンを吸蔵することができるためであると推察される。また、これらの複合酸化物は、その構造に依存して、充放電電位が適切な範囲にあるものと推察される。そして、本開示では、高容量で体積変化が小さくサイクル寿命に優れたリチウム電池を提供することができるものと推察される。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本開示の蓄電デバイスを具体的に作製した例を実験例として説明する。実験例1〜4、6、7が本開示の実施例であり、実験例5が比較例である。
[複合酸化物の作製(実験例1)]
複合酸化物の試料は、固相反応法により合成した。CaTa2Bi29の組成で総量が10gとなるように、原料として炭酸カルシウム、酸化タンタル及び酸化ビスマスを秤量し、メノウ乳鉢で混合した。得られた混合粉末を管状炉で、1000℃、10時間、大気中の条件で焼成した。その焼成粉末をメノウ乳鉢で粗粉末がなくなるまで粉砕した。この粉砕は、平均粒径10μm以下になるまで行った。得られた試料の結晶相は、X線回折法(XRD)で同定した。得られたものを実験例1の粉末とした。粉末をSEMで観察し、粒径を測定し平均して得られた平均粒径は、3μmであった。
[実験例2〜4]
BaNb2Bi29の組成で総量が10gとなるように、原料として炭酸バリウム、酸化ニオブ及び酸化ビスマスを秤量した以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例2の粉末とした。この粉末の平均粒径は、3μmであった。Er3GaO6の組成で総量が10gとなるように、原料として酸化エルビウム及び酸化ガリウムを秤量した以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例3の粉末とした。この粉末の平均粒径は、3μmであった。FeTiO3の組成で総量が10gとなるように、原料として酸化鉄及び酸化チタンを秤量した以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例4の粉末とした。この粉末の平均粒径は、3μmであった。
[実験例5]
Li4Ti512の組成で総量が10gとなるように、原料として炭酸リチウム及び酸化チタンを秤量した以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例5の粉末とした。この粉末の平均粒径は、3μmであった。
[試験セルの作製]
負極活物質として上記試料粉末と、導電材としてカーボンブラック(東海カーボン製トーカブラック5500)と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF;呉羽化学工業製KFポリマー#1120)とを使用し、活物質と導電材と結着材とが質量比で、80:10:10となるように秤量した。活物質と導電材とを、乳鉢で10分間混合したのち、所定量の結着材粉末を加え、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を少量ずつ加えながら混練しペースト状の負極合材を得た。負極合材をドクターブレードで膜厚が150〜200μmとなるように銅箔上に塗布し、大気中で140℃、20分乾燥したのち、さらに真空乾燥機にて120℃、15時間乾燥した。これを直径16.2mmの円盤状に打ち抜いて、プレス機を用いて表面を5kNで圧着し得られたものを負極とした。アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で、上記の負極と直径26mmの多孔性のポリエチレン製セパレータとをトムセル(日本トムセル製)内に配置し、電解液を200μdL加えた。電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で3:4:3の比率で混合した混合溶媒に、支持塩としてのリチウム(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を濃度1mol/kg溶解させたものを用いた。上記トムセルにローラーで粘着させた直径18mmのLi金属電極を対極として載せ、ステンレス製のケースを被せてかしめることにより評価セルを作製した。
(充放電測定)
充放電測定は、評価セルを低温恒温恒湿器(エスペック製PL−3KTH)内にセットし、電池充放電装置(アスカ電子製)を用いて行った。温度を25℃、電流密度を0.04mA/cm2、電圧範囲を0.5V〜2.0Vとし、定電流充電、放電を5サイクル繰り返し測定を行った。また、電圧範囲を0.5V〜1.2Vとした場合の充放電測定も行った。
(X線回折測定:XRD)
実験例1〜5の粉末のX線回折測定を行った。この測定では、粉末X線解析装置(リガク社製RINT−TTR)を用い、測定条件を管電圧50kV、管電流300mA、拡散スリット1/2deg、散乱スリット1/2deg、受光スリット0.15mmとした。図2は、実験例1、2のXRDスペクトルである。XRDによる分析の結果、実験例1〜5の粉末は、目的の組成の回折ピークが検出されたため、目的の組成の化合物が得られていることがわかった。
(X線吸収微細構造測定:XAFS)
実験例1の充放電時のX線吸収微細構造測定を行った。この測定は、放射光施設のSPring−8のBL33XUにて行った。
(結果と考察)
図3は、0.5V〜2.0Vの範囲での実験例1の充放電曲線である。図4は、0.5V〜1.2Vの範囲での実験例1の充放電曲線である。図5は、実験例1のXAFSスペクトルである。図6は、0.5V〜2.0Vの範囲での実験例2の充放電曲線である。図7は、0.5V〜1.2Vの範囲での実験例2の充放電曲線である。図8は、0.5V〜2.0Vの範囲での実験例3の充放電曲線である。図9は、0.5V〜2.0Vの範囲での実験例4の充放電曲線である。また、表1に各試料の組成、密度、各評価セルの電流容量及び平均電位をまとめた。平均電位は、2サイクル目の放電電位を平均して求めた。
図3、表1に示すように、実験例1では、初回の充放電では不可逆容量があったが、2サイクル目以降には、不可逆容量が小さく、充放電が安定した。実験例1では、充放電範囲が0.5V〜2.0Vにおいて2サイクル目の電流容量は90mAh/g、773mAh/cm3を示した。また、実験例1では、図4に示すように、充放電範囲を0.5V〜1.2Vとすると、更に充放電特性がよい傾向を示すことがわかった。この実験例1では、密度が大きいため、単位体積あたりの容量に変換すると、実験例5のLTOの628mAh/cm3に比して高い電流密度を示すことがわかった。また、実験例1の平均電位は、1.13Vであり、実験例5の1.5Vに比して低く、結果として実験例5のLTOに比してより高いエネルギー密度の蓄電デバイスを作製することができることがわかった。
図5に示すように、実験例1では、充電時にはBiイオンの価数が小さくなりLiイオンが挿入され、放電時には、Biイオンの価数が大きくなってLiイオンが放出されることがわかった。したがって、基本組成式がET2Bi29である複合酸化物は、Biイオンの価数が変わることによってLiイオンを挿入脱離することがわかった。
また、図6に示すように、実験例2においても、実験例1と同様に、初回の充放電では不可逆容量があったが、2サイクル目以降には、不可逆容量が小さく、充放電が安定した。実験例2では、充放電範囲が0.5V〜2.0Vにおいて2サイクル目の電流容量は118mAh/g、876mAh/cm3を示した。また、実験例2では、図7に示すように、充放電範囲を0.5V〜1.2Vとすると、更に充放電特性がよい傾向を示すことがわかった。実験例2においても、密度が大きいため、単位体積あたりの容量に変換すると、実験例5のLTOの628mAh/cm3に比して高い電流密度を示すことがわかった。また、実験例2の平均電位は、1.06Vであり、実験例5の1.5Vに比して低く、結果として実験例5のLTOに比してより高いエネルギー密度の蓄電デバイスを作製することができることがわかった。
また、図8、9に示すように、実験例3,4においても充放電可能であることがわかった。実験例3、4では、平均電位がそれぞれ0.95V、1.13Vであり、実験例5のLTOに比して低く、エネルギー密度的には良好であった。実験例3、4では、充放電容量の向上は課題としてあるが、充放電可能な新規材料であり、有望であると推察された。
Figure 2021121992
(組成式と充放電特性の計算による検討)
複合酸化物に対してLi挿入前後の第一原理計算を実施し、Li挿入電位を評価した。結晶構造中での原子(イオン)の安定性を評価する指標の一つとして、Bond Valence Sum(BVS)がある。詳しくは、非特許文献(Chemical Reviews 109, 6858 (2009))に記載されている。BVSは、結晶構造中の多面体中心原子のイオンの価数(形式電荷)を表し、結晶構造解析における安定位置評価などに用いられている。酸化物中のLiは、価数が+1のイオンとして存在するため、BVS=1となるサイトがLiの安定位置に対応することが期待される。そこで、BVSが1に近く、結晶構造中の他の原子との距離が十分離れているサイトにLiを挿入した。Li挿入反応である、式(1)を用い、内部エネルギー差から充(放)電電位(V)を以下の式(2)で見積もった。ただし、式(2)において、Fはファラデー定数である。また、Li挿入に伴う体積変化は、構造最適化後の結晶体積から直接計算した。詳しくは、非特許文献(Energy & Environmental Science 2, 589 (2009))に記載されている。なお、ネルンストの式からは、電位は自由エネルギー差ΔGから見積もられるが、固体系で室温付近の反応を考えているため、エントロピーの効果を無視している。計算で得られた活物質の特性予想値を表2にまとめた。表2に示すように、基本組成式ET2Bi29においては、EはCa、Sr及びBaのうち1以上、TはNb及びTaのうち1以上であるものとしてもよいことが示唆された。
Figure 2021121992
Figure 2021121992
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本開示は、二次電池などの蓄電デバイスの技術分野に利用可能である。
10 蓄電デバイス、12 正極、13 正極活物質層、14 集電体、15 負極、16 負極活物質層、17 集電体、18 イオン伝導媒体、19 複合酸化物。

Claims (6)

  1. 蓄電デバイスに用いられる蓄電デバイス用電極であって、
    電極活物質として、基本組成式ET2Bi29(但し、EはCa、Sr及びBaのうち1以上、TはNb及びTaのうち1以上である)で表される酸化物、Er2GaO6及びFeTiO3のうち1以上を有する、蓄電デバイス用電極。
  2. 前記電極活物質は、CaTa2Bi29、BaNb2Bi29、CaNb2Bi29及びBaTa2Bi29のうち1以上である、請求項1に記載の蓄電デバイス用電極。
  3. Liイオンの充放電電位がLi基準電位で0Vを超え1.5V未満の範囲内である前記電極活物質を有する、請求項1又は2に記載の蓄電デバイス用電極。
  4. 前記電極活物質は、平均粒径が0.1μm以上10μm以下の範囲である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
  5. 前記電極活物質と、導電材と、結着材とを含み、前記電極活物質を60質量%以上85質量%以下の範囲で含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
  6. 正極活物質を有する正極と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極である負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しキャリアイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
    を備えた蓄電デバイス。
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