JP2021121915A - 生産プロセスのモニタリング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】動作中の生産プロセスの傾向を考慮して柔軟に良否を判定し、動作中の生産プロセスの良否を精度良く予測する生産プロセスのモニタリング方法を提供する。【解決手段】生産プロセスのモニタリング方法は、生産プロセスの工程毎の状態を示す状態データ及び製品又はサービスの品質を示す品質データに基づいて、生産プロセスのロットを複数のグループに区分し、且つグループ毎の製品又はサービスの良否を示す判定基準を生成する基準生成ステップと、モニター対象の生産プロセスであるモニタリングプロセスがグループの何れに属するかを判定する判定ステップと、を含む。判定ステップは、モニタリングプロセスの状態データを収集するステップと、該状態データから導出される主成分得点を各座標軸に設定した4次元座標上においてモニタリングプロセスから最も近い最近ロットが属する最近グループにモニタリングプロセスが属すると判定するステップと、を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、製品(物)を製造するプロセス又はサービスを提供するプロセス(以下、総称して「生産プロセス」と称す)のモニタリング方法に関する。
特許文献1には、製造プロセスに関する品質データ及び状態データに主成分分析及びクラスター分析を適用して製造プロセスのロットを複数のグループに区分し、グループ毎の良否を判定して予め判定基準を生成し、動作中の製造プロセスから導出される主成分得点が、判定基準を満たすか否かで動作中の製造プロセスの良否を判定する生産プロセスのモニタリング方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−167205号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法によれば、動作中の製造プロセスから導出される主成分得点が判定基準から外れる場合、動作中の製造プロセスは一律に否と判定されるため、動作中の製造プロセスの良否を柔軟に判定できないという問題があった。
そこで、動作中の生産プロセスの傾向を考慮して柔軟に良否を判定して、動作中の生産プロセスの良否を精度良く予測するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る生産プロセスのモニタリング方法は、製品又はサービスを生産する生産プロセスのモニタリング方法であって、前記生産プロセスの工程毎の状態を示す状態データ及び前記製品又はサービスの品質を示す品質データに基づいて、前記生産プロセスのロットを複数のグループに区分し、且つ前記グループ毎の前記製品又はサービスの良否を示す判定基準を生成する基準生成ステップと、モニター対象の生産プロセスであるモニタリングプロセスが、前記グループの何れに属するかを判定する判定ステップと、を含み、前記判定ステップは、前記モニタリングプロセスの状態データを収集するステップと、前記状態データから導出される複数の主成分得点を各座標軸に設定した多次元座標上において前記モニタリングプロセスから最も近い距離の最近ロットが属する最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定するステップと、を含む。
この構成によれば、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行い、モニタリングプロセスの状態データに応じた主成分得点が、判定基準で優と判定されたグループに属している場合には、モニタリングプロセスで生産される製品の品質データも良好であると予測でき、一方、状態データに応じた主成分得点が優と判定されたグループに属していない場合には、モニタリングプロセスで生産される製品の品質データは不良であると予測できる。
また、本発明に係る生産プロセスのモニタリング方法は、前記最近ロットが複数存在する場合には、前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスから各最近ロットが属する最近グループの重心までの距離が最も近い前記最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定することが好ましい。
この構成によれば、新規ロットと最近グループとの距離で最近グループが一意に決まらない場合であっても、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。
また、本発明に係る生産プロセスのモニタリング方法は、前記最近グループが複数存在する場合には、前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスから各最近グループの重心までの距離と前記モニタリングプロセスから前記最近ロットまでの距離との差が最短である前記最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定することが好ましい。
この構成によれば、新規ロットと最近グループの重心との距離で最近グループが一意に決まらない場合であっても、グループ内のロットのばらつきを考慮して、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。
また、本発明に係る生産プロセスのモニタリング方法は、前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスと前記最近グループの重心との距離が前記最近グループの重心距離より長い場合には、前記モニタリングプロセスは、前記最近グループに属しないと再判定するステップをさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定の妥当性を検証したうえで、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。
本発明は、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行い、動作中の生産プロセスの良否を精度良く予測することができる。
本発明の一実施形態に係る生産プロセスのモニタリング方法を適用する生産ラインの構成を示す模式図。 動作済みのロットに関する状態データ及び品質データの主成分の情報量を示すデータセット。 生産プロセスにおけるロット毎の主成分得点及びグループを示すグラフ。 新規ロットに対する最近グループを特定する手順を示す模式図。 新規ロットからグループの重心までの距離を考慮して、新規ロットに対する最近グループを特定する手順を示す模式図。 グループ内のロットのばらつきを考慮して、新規ロットに対する最近グループを特定する手順を示す模式図。
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
本実施形態に係る解析方法は、生産プロセスに対して適用される。生産プロセスには、機械設備のみで構成されて全ての工程が自動化されたプロセス、作業者の手作業による作業工程を含むプロセス、並びに機械設備によって自動化された製造工程及び作業者の手作業による作業工程を含むプロセス等が含まれる。また、生産プロセスとは、物を生産するプロセスに限定されず、例えばパーツ洗浄や医薬品開発における治験結果の解析等のサービスが含まれる。
以下では、生産プロセスの一例であるフィルムシートの生産ラインに本解析方法を適用した場合を例に説明する。なお、本発明を適用する生産プロセスは、フィルムシートの生産ラインに限定して解釈されるものではなく、その他の製造ライン及びサービスを提供するプロセスも含まれることは言うまでもない。
図1は、本発明を適用する生産プロセスの一例であるフィルムシートの生産ラインを示す模式図である。フィルムシートの生産ラインでは、原料配合工程、造粒工程、成形工程、仕上げ工程を経て、原料からフィルムシートを生産する。
フィルムシートの生産ラインは、計量・混合機2と、押出機3と、ホッパー4と、成形機5と、乾燥機6と、巻取り機7と、で構成される生産装置1である。
計量・混合機2には、樹脂等の原料1〜Nが投入される。計量・混合機2内の原料は、均一に混合された後に押出機3に送られる。
押出機3は、混合された原料を粒状のペレットに成形する。
ホッパー4に投入されたペレットは、成形機5で長手方向及び幅方向に引き伸ばされて所望の厚みのフィルムシートに成形される。
シート状に引き伸ばされたフィルムシートは、乾燥機6内で昇温されて乾燥される。
乾燥したフィルムシートは、図示しない厚み測定手段で厚みを計測された後に、巻取り機7でロール状に巻き取られる。
上述した各機器には、種々の値を測定するセンサ10が設けられている。センサ10の測定対象は、原料の投入量、成形機5内の温度、成形速度、及びフィルムシートの厚み等である。センサ10は、測定値を制御装置20に送る。
各機器の動作は、制御装置20によって制御される。制御装置20は、例えばCPUやメモリ等を有する装置制御部21と、データの入出力を制御する入出力部22と、データを表示する表示部23と、データを記憶する記憶部24と、を備えている。なお、制御装置20の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。
制御装置20は、センサ10が測定した製品の生産条件を示す状態データ、製品の品質(製品の強度、厚み及び付着異物の量等の品質情報、又は歩留まり及び不良品発生率等の生産性能等を含む)を示す品質データに基づいて、後述する処理を行う。状態データは、生産プロセスの生産条件(生産装置1を構成する各種機器の運転条件等)を示すマニュファクチャデータと、原料1〜Nの条件(原料の物性、組成等)を示すマテリアルデータと、を含む。
装置制御部21は、各機器を制御する制御部21aと、センサ10の状態データについて後述する処理を行う解析部21bと、後述する解析を行い判定部21cとに機能分割される。
入出力部22は、例えば、キーボードやマウス、通信制御装置、印刷装置等がある。表示部23は、例えば、ディスプレイがある。記憶部24には、生産ラインの各処理で用いる加工条件や、解析部21bでデータ処理する際に用いるデータ等が記憶されている。
次に、本実施形態に係る生産プロセスのモニタリング方法の手順について説明する。
[基準生成ステップ]
まず、動作済みの生産プロセスについて、制御装置20は、センサが測定した状態データと品質データとを収集する(ステップS1)。測定されたロット毎の状態データ及び品質データは、制御装置20に記憶される。
次に、ステップS1で収集した状態データ及び品質データを標準化して中間関数に変換する(ステップS2)。
ステップS2で行う状態データの標準化処理は、公知のものであり、具体的には、解析部21bが、状態データの標準化処理を数式1に基づいて行う。
Figure 2021121915
次に、ステップS2で求めた中間変数に基づいて主成分負荷量及び主成分得点を求める(ステップS3)。
具体的には、まず、中間変数における相関係数行列を作成し、相関係数行列の固有値と固有ベクトルを導出する。相関係数行列は、中間変数がx1、x2、x3・・のときに、第1主成分PC1は、数式2で示すように表される。また、第N主成分PCnは、数式3で示すように表される。そして、係数a11、a12、a13・・を1行目の要素、係数an1、an2、an3・・をn行目の要素に用いることにより、相関係数行列が形成される。
Figure 2021121915
Figure 2021121915
次に、相関係数行列の固有ベクトルから主成分得点を求める。また、相関係数行列の固有値から各主成分の寄与率を求める。主成分の寄与率は、固有値を固有値の総和で割ることで得られる。ここで、固有値の大きい方から、第1主成分、第2主成分・・第N主成分を決定する。
具体的には、解析部21bが、各ロットの中間変数x1、x2、x3と相関係数行列の各係数とに基づいて、第1主成分PC1、第2主成分PC2・・の値、即ち、主成分得点を算出とする。図2は、動作済みのロット毎の主成分の情報量を示す表である。
次に、解析部21bは、図2に示す主成分得点にクラスター分析を適用して、各ロットを複数のグループに区分する(ステップS4)。
「クラスター分析」とは、解析対象データ(クラスター)を類似性に着目して複数のグループに分類する方法であり、階層的クラスタリングや分類最適化クラスタリング等が知られている。本実施形態におけるクラスター分析が着目する「類似性」とは、各ロットの主成分得点同士の距離をいう。
クラスター分析の手法としては、例えば、階層的クラスタリングの一つである凝集型階層的クラスタリング等が知られている。また、クラスター間の距離算出方法として、安定して解を得られるウォード法等を用いる。「ウォード法」とは、2つのクラスターを併合した際の偏差平方和の増加量が最小になるクラスターを選択するものである。例えば、クラスターA、Bを併合してクラスターCを生成する場合、クラスターA、B、C内の偏差平方和Sa、Sb、Scは、それぞれ数式4〜6のように表される。
Figure 2021121915
Figure 2021121915
Figure 2021121915
数式4〜6により、クラスターC内の偏差平方和Scは、以下のようになる。
Figure 2021121915
数式7のΔSabは、クラスターA、Bを併合してクラスターCを生成した際の偏差平方和の増分であることを意味する。したがって、各併合段階でΔSabが最小になるようにクラスターを選択して併合することにより、クラスタリングを進めていく。
本実施形態では、図3に示すように、動作済みのロットを第1〜第4の固有ベクトル(図3中のEV1〜EV4)の4次元空間で6つのグループ1〜6に区分した。図3では、横軸にEV1、縦軸にEV3を設定している。図3中の各点は、動作済みのロットにおけるEV1〜EV4の合成ベクトルに相当する。また、図3では、同一のグループを構成するロットを同一の符号でプロットしている。なお、固有ベクトルの数は、4つに限定されるものではなく、3つ以下でも5つ以上であっても構わない。また、グループの数は、6つに限定されるものではなく、5つ以下でも7つ以上であっても構わない。
次に、ルート毎に品質データの優劣を判定して、判定基準を生成する(ステップS5)。具体的には、制御装置20は、品質データ(シートの厚み寸法、外観検査不良率等)から得られる中間変数をロット毎に呼び出し、グループ間での品質データの優劣を判定する。
なお、品質データの優劣は、同一グループを構成する複数のロット(ロット群)内の平均値に基づいて行うのが好ましい。これにより、ルート内の複数のロットの品質データのばらつきが平準化され、グループ間の品質データの良否の傾向を大局的に把握することができる。
また、品質データの優劣は、グループ内における品質データの偏差の大小や最大値及び最小値の差(範囲)の大小に基づいて判定しても構わないし、平均値、偏差又はR値等を2つ以上組み合わせて判定しても構わない。平均値と偏差とを組み合わせて品質データの優劣を判定するものとして、例えば、グループ間の平均値が同一の場合には、グループ間の偏差が小さいものを優と判断することが考えられる。これにより、グループ内での品質データのばらつきを考慮したグループ間の品質データの優劣の傾向を大局的に把握することができる。
そして、制御装置20は、グループ1〜6毎の品質データを比較してグループ間の優劣を決定し、判定基準を生成する。
[判定ステップ]
次に、動作中の生産プロセス(モニタリングプロセス)の良否を判定する判定ステップについて具体的に説明する。
まず、モニタリングプロセスの状態データを収集する(ステップS6)。モニタリングプロセスの状態データは、各種センサ10で測定され、記憶部24に記憶される。
次に、判定部21cは、ステップS6で測定したモニタリングプロセスの状態データが、ステップS4で区分したグループの何れに属するかを判定する(ステップS7)。
具体的には、解析部21bが記憶部24に記憶されたモニタリングプロセスの状態データを呼び出し、ステップS2、3と同様に、その主成分負荷量及び主成分得点を導出する。そして、判定部21cが、解析部21bが導出した主成分得点がステップS4で区分された何れのグループ内に属するかを判定する。
これにより、モニタリングプロセスの状態データに応じた主成分得点が、ステップS5で優と判定されたグループに属している場合には、モニタリングプロセスで生産される製品の品質データも良好であると予測できる。
一方、状態データに応じた主成分得点がステップS5で優と判定されたグループに属していない場合には、モニタリングプロセスで生産される製品の品質データは不良であると予測できる。
次に、モニタリングプロセスの状態データに応じた主成分得点が、ステップS4で区分された何れのグループに属するかを判定する手順について、具体的に説明する。
まず、第1〜第4の固有ベクトル(EV1〜EV4)までの4次元空間における動作済み任意ロットの主成分得点をEV1、EV2、EV3、EV4とし、モニタリングプロセス(以下、「新規ロット」とも称す)の状態データに応じた主成分得点をX1、X2、X3、X4とするとき、最も近い合成ベクトルである動作済みのロットを特定する。なお、EV1〜4の4次元空間における新規ロットの合成ベクトル(X1、X2、X3、X4)と動作済みロットの合成ベクトル(EV1、EV2、EV3、EV4)との距離Dは、数式8により算出される。
Figure 2021121915
そして、距離Dが最も短いロット(最近ロット)が属するグループ(最近グループ)を新規ロットが属するグループとして判定する。
なお、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定の妥当性を検証するために、新規ロットから最近グループの重心までの距離と最近グループの重心距離(すなわち、最近グループの重心とその最近グループに属する各ロットとの距離の最大値)とを比較して、新規ロットが最近グループに属するか否かを再判定するのが好ましい。
具体的には、新規ロット及び動作済みのロットの主成分得点の合成ベクトルをプロットした図4の場合、新規ロットから最近グループの重心までの距離d*が最近グループの重心距離(図4中の丸で囲った範囲)以下である場合には、新規ロットが最近グループに属すると判定する。
一方、距離d*が最近グループの重心距離の最大値より大きい場合には、新規ロットが最近グループに属しないと再判定するのが好ましい。
また、新規ロットが最近グループに属するか否かの再判定は、T2統計量を用いて、新規ロットの合成ベクトル(X1、X2、X3、X4)が、最近グループに属する各ロットの合成ベクトル(EV1、EV2、EV3、EV4)のばらつき範囲内であるか否かを比較して行っても構わない。
具体的には、まず、数式9により、第1〜第4の固有ベクトル(EV1〜EV4)について、最近グループに属する各ロットの平均値(最近グループの中心)を原点に移動させる補正をした補正後の各ロットの原点からの距離Ωjを演算する。同様に、新規ロットについても、最近グループに属する各ロットの平均値だけ原点方向に移動させる補正をした補正後の新規ロットの原点からの距離Ω*についても、数式9により演算する。
Figure 2021121915
次に、数式10に示すように、新規ロットの原点からの距離Ω*と、最近グループに属する各ロットの原点からの距離Ωjの最大値とを比較する。
Figure 2021121915
そして、新規ロットの原点からの距離Ω*が、最近グループに属する各ロットの原点からの距離Ωjの最大値以下の場合には、新規ロットの合成ベクトルが最近グループに属する各ロットの合成ベクトルのばらつき範囲内にあるとして、新規ロットが最近グループに属すると判定する。また、新規ロットの原点からの距離Ω*が、最近グループに属する各ロットの原点からの距離Ωjの最大値より大きい場合には、新規ロットの合成ベクトルが最近グループに属する各ロットの合成ベクトルのばらつき範囲を逸脱しているとして、新規ロットが最近グループに属しないと再判定するのが好ましい。
このようにして、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。
また、新規ロットに対して異なるグループに属する最近ロットが複数存在する場合、すなわち、EV1〜4の4次元空間において新規ロットから距離Dだけ離れて且つ異なるグループに属する最近ロットが複数存在する場合には、新規ロットの状態データから各最近ロットが属する最近グループの重心までの距離が最も近い最近グループに新規ロットが属すると判定するように構成しても構わない。
例えば、新規ロット及び動作済みのロットの主成分得点の合成ベクトルをプロットした図5に示すように、破線で示すように新規ロットからの距離が同一である最近ロットが3つ存在する場合には、新規ロットから最近ロットが属する最近グループの各重心G1〜3までの距離d’を比較し、重心から新規ロットまでの距離d’が最も短い最近グループに新規ロットが属すると判定する。
これにより、新規ロットと最近グループとの距離で最近グループが一意に決まらない場合であっても、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。
さらに、新規ロットに対して最近グループが複数存在する場合、すなわち、EV1〜4の4次元空間において新規ロットから距離Dだけ離れて且つ異なるグループに属する最近ロットが複数存在し、さらに新規ロットから各最近ロットが属する最近グループの重心までの距離が等しい最近グループが複数存在する場合には、各最近グループ内のばらつきを考慮して、新規ロットから各最近グループの重心までの距離と新規ロットから最近ロットまでの距離との差(換言すれば、最近ロットからこの最近ロットが属する最近グループの重心までの距離)が最短である最近グループに新規ロットが属すると判定するように構成しても構わない。
例えば、新規ロット及び動作済みのロットの主成分得点の合成ベクトルをプロットした図6に示すように、新規ロットから重心までの距離d’が等しい最近グループが3つ存在する場合には、新規ロットと最近グループの各重心G4〜6との距離d’から新規ロットと最近ロットとの距離を減じた差(各最近ロットからこれら最近ロットが属する最近グループの各重心までの距離l)が最も短い最近グループに新規ロットが属すると判定する。
これにより、グループ内のロットのばらつきを考慮して、新規ロットが最近グループに属するか否かの判定を柔軟に且つ適切に行うことができる。なお、上述した手順でも新規ロットが属するグループが判定できない場合には、その新規ロットを外れロットと判断する。なお、「外れロット」とは、必ずしも製品の製品性能が劣後していることを意味するものではなく、生産設備の経年変化に応じて生産状態が変わる等の理由により、過去に生産されたことのない(未体験の)状態を意味するものである。
また、判定基準及びモニタリングプロセスの主成分得点を表示部23に表示することにより、ユーザが視覚的に生産される製品の製品性能の良否を認識することができる。また、上述したモニタリングプロセスの良否を判定する過程を外部に開示することなく、結果のみをユーザに通知するように構成しても構わない。
なお、本実施形態では、マニュファクチャデータとマテリアルデータとを同様に処理しているが、マニュファクチャデータのみで品質データの予測が可能である場合には、マテリアルデータを処理対象から適宜除外しても構わない。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
1 ・・・生産装置
2 ・・・混合機
3 ・・・押出機
4 ・・・ホッパー
5 ・・・成形機
6 ・・・乾燥機
7 ・・・巻取り機
10 ・・・センサ
20 ・・・制御装置
21 ・・・装置制御部
21a ・・・制御部
21b ・・・解析部
21c ・・・判定部
22 ・・・入出力部
23 ・・・表示部
24 ・・・記憶部

Claims (4)

  1. 製品又はサービスを生産する生産プロセスのモニタリング方法であって、
    前記生産プロセスの工程毎の状態を示す状態データ及び前記製品又はサービスの品質を示す品質データに基づいて、前記生産プロセスのロットを複数のグループに区分し、且つ前記グループ毎の前記製品又はサービスの良否を示す判定基準を生成する基準生成ステップと、
    モニター対象の生産プロセスであるモニタリングプロセスが、前記グループの何れに属するかを判定する判定ステップと、
    を含み、
    前記判定ステップは、
    前記モニタリングプロセスの状態データを収集するステップと、
    前記状態データから導出される複数の主成分得点を各座標軸に設定した多次元座標上において前記モニタリングプロセスから最も近い距離の最近ロットが属する最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定するステップと、
    を含むことを特徴とする生産プロセスのモニタリング方法。
  2. 前記最近ロットが複数存在する場合には、前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスから各最近ロットが属する最近グループの重心までの距離が最も近い前記最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定することを特徴とする請求項1記載の生産プロセスのモニタリング方法。
  3. 前記最近グループが複数存在する場合には、前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスから各最近グループの重心までの距離と前記モニタリングプロセスから前記最近ロットまでの距離との差が最短である前記最近グループに前記モニタリングプロセスが属すると判定することを特徴とする請求項2記載の生産プロセスのモニタリング方法。
  4. 前記多次元座標上において前記モニタリングプロセスと前記最近グループの重心との距離が前記最近グループの重心距離より長い場合には、前記モニタリングプロセスは、前記最近グループに属しないと再判定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の生産プロセスのモニタリング方法。
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