JP2021120657A - 熱式流量センサ、その製造方法、及びマスフローコントローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】センサチューブの管路抵抗の個体差を低減し、測定可能な流量範囲が十分確保できる熱式流量センサと、そのような熱式流量センサを組み込んだマスフローコントローラ(MFC)の提供。【解決手段】MFC等の流体流路を通過する流体の質量流量を測定するセンサ20であって、前記流体流路を通過する流体の一部を流すセンサチューブ22と、センサチューブ22の途中の上流側と下流側に設けられ、センサチューブ22を加熱する一対の発熱抵抗体23a,23bと、前記一対の発熱抵抗体23a,23bを通電して発熱させるとともに、該一対の発熱抵抗体23a,23bの抵抗値を検出するための電気回路と、を含むものであって、センサチューブ22は、その管路抵抗を調整するためにセンサチューブ22の一部を狭めた狭隘部分Nrを有する。【選択図】図2A
Description
本発明は、熱式流量センサ、その製造方法、及びマスフローコントローラに関する。
従来、半導体製造プロセスに用いられるプロセスガス等の質量流量制御装置として、マスフローコントローラ(MFC)が用いられており、特に精密な流量測定のために熱式MFCが多く用いられている。
この熱式MFCは、熱式流量センサで測定した流量に基づいて調整弁をフィードバック制御し、一次側から供給された流体(ガス等)を、指示された流量だけ二次側へ送出する装置である。
この熱式MFCは、熱式流量センサで測定した流量に基づいて調整弁をフィードバック制御し、一次側から供給された流体(ガス等)を、指示された流量だけ二次側へ送出する装置である。
熱式流量センサは、流量測定のためにMFCの流体流路を通過する流体の一部を流すセンサ流路を有し、その途中の上流側と下流側に設けた発熱抵抗体で通電加熱しつつ、両発熱抵抗体の抵抗値差として検出される温度差から、センサ流路を流れる流体の質量流量を測定する。
センサ流路は、他の大部分の流体を流すバイパス流路と並列に接続され、センサ流路とバイパス流路との流量の比率は既知で圧力によらずほぼ一定であるため、センサの検出流量から、MFCを流れる流体の質量流量が算出できる(たとえば特許文献1)。
センサ流路は、他の大部分の流体を流すバイパス流路と並列に接続され、センサ流路とバイパス流路との流量の比率は既知で圧力によらずほぼ一定であるため、センサの検出流量から、MFCを流れる流体の質量流量が算出できる(たとえば特許文献1)。
このような、熱式流量センサでは、センサ流路を構成するセンサチューブは、極めて小径であるため、製造時に内径を管理するのが困難で、内径の個体差が生じ、管路抵抗の個体差が生じやすい。
その結果、このような熱式流量センサを組み込んだMFCでは、センサ流路とバイパス流路との流量の比率の個体差が生じ、補正係数の調整等の手間が大きくなるという問題があった。
その結果、このような熱式流量センサを組み込んだMFCでは、センサ流路とバイパス流路との流量の比率の個体差が生じ、補正係数の調整等の手間が大きくなるという問題があった。
また、熱式流量センサでは、センサ流路を流れる流量が大きすぎると、両発熱抵抗体間の流体を介した熱伝達が十分に行われず、一方、センサ流路を通る流体の流量が小さすぎると、両発熱抵抗体の温度差が小さく、十分な出力信号が得られないため、使用可能な流量範囲が限られている。
上記のようセンサチューブの管路抵抗の個体差があると、MFC使用時にセンサ流路に流れる流体の流量が設計値からずれるため、流量センサの測定可能な流量範囲がさらに狭められる。また、そのような熱式流量センサをMFCに組み込むと、MFCの流量制御範囲も狭められるという問題もあった。
上記のようセンサチューブの管路抵抗の個体差があると、MFC使用時にセンサ流路に流れる流体の流量が設計値からずれるため、流量センサの測定可能な流量範囲がさらに狭められる。また、そのような熱式流量センサをMFCに組み込むと、MFCの流量制御範囲も狭められるという問題もあった。
本発明の目的は、上記問題を解決し、センサチューブの管路抵抗の個体差を低減し、測定可能な流量範囲が十分確保できる熱式流量センサと、そのような熱式流量センサを組み込み、流量制御範囲も十分確保できるマスフローコントローラ(MFC)を提供することにある。
本発明の熱式流量センサは、流体流路を通過する流体の質量流量を測定するセンサであって、前記流体流路を通過する流体の一部を流すセンサチューブと、前記センサチューブの途中の上流側と下流側に設けられ、該センサチューブを加熱する一対の発熱抵抗体と、前記一対の発熱抵抗体を通電して発熱させるとともに、該一対の発熱抵抗体の抵抗値を検出するための電気回路と、を含むものであって、
前記センサチューブは、その管路抵抗を調整するために当該センサチューブの一部を狭めた狭隘部分を有することを特徴とする。
前記センサチューブは、その管路抵抗を調整するために当該センサチューブの一部を狭めた狭隘部分を有することを特徴とする。
好ましくは、前記センサチューブは、直線状の中央部分と該中央部分の上流側及び下流側から直角方向に屈曲又は湾曲して伸びる直線状の接続部分と、からなる略コの字型を有し、前記狭隘部分は、前記上流側及び下流側の接続部分の少なくとも一方に設けられた、構成を採用できる。
好ましくは、前記狭隘部分は、前記センサチューブを部分的に押し潰すことにより形成された略長円形の断面を有し、該略長円形の断面の短径は、前記狭隘部分の流路方向で略一定である構成を採用できる。
本発明の熱式流量センサの製造方法は、流体流路を通過する流体の一部を流すセンサチューブと、前記センサチューブの途中の上流側と下流側に設けられ、該センサチューブを加熱する一対の発熱抵抗体と、前記一対の発熱抵抗体を通電して発熱させるとともに、該一対の発熱抵抗体の抵抗値を検出するための電気回路と、を含む熱式流量センサの製造方法であって、前記センサチューブの管路抵抗を調整するために当該センサチューブの一部を狭めた狭隘部分を形成する工程を含む、こと特徴とする。
好ましくは、前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブを部分的に押し潰して、前記センサチューブの断面を略長円形にする工程であり、前記略長円形の断面の短径は、前記狭隘部分の流路方向で略一定とし、前記狭隘部分の長さを調整することにより、前記センサチューブの管路抵抗を調整する、構成を採用できる。
さらに好ましくは、前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブを2つのローラで挟んで、該ローラを回転させ、該センサチューブの所定長さの範囲を押し潰すことにより形成する、構成を採用できる。
好ましくは、前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブに一定流量の流体を流したときのセンサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該圧力差が所定値になるように前記狭隘部分の長さを調整する工程である、構成を採用できる。
代替的には、前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブに一定の管路抵抗を有する配管を直列に接続して接続体を形成し、該接続体の両側に一定の圧力差を加えて流体を流したときの前記センサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該センサチューブの両端の圧力差が所定値になるように前記狭隘部分の長さを調整する工程である、構成を採用できる。
本発明のマスフローコントローラは、
流体が通過する流体流路と、
前記流体流路を通過する流体の質量流量を測定する熱式流量センサと、
前記流体流路を通過する流体の流量を調整する調整バルブと、
前記流量センサで測定された流体の質量流量が所定値になるように前記調整バルブの開度を制御する制御部と、
を有する、マスフローコントローラであって、
前記熱式流量センサとして、上記いずれかの熱式流量センサを用いたことを特徴とする。
流体が通過する流体流路と、
前記流体流路を通過する流体の質量流量を測定する熱式流量センサと、
前記流体流路を通過する流体の流量を調整する調整バルブと、
前記流量センサで測定された流体の質量流量が所定値になるように前記調整バルブの開度を制御する制御部と、
を有する、マスフローコントローラであって、
前記熱式流量センサとして、上記いずれかの熱式流量センサを用いたことを特徴とする。
本発明によれば、熱式流量センサのセンサチューブに狭隘部分を設けて、管路抵抗を調整するこにしたので、センサチューブの管路抵抗の個体差を低減することができる。その結果、測定可能な流量範囲が十分確保できる熱式流量センサと、そのような熱式流量センサを組み込み、流量制御範囲も十分確保できるマスフローコントローラ(MFC)を提供することができる。
なお、上記狭隘部分の形成により、各センサチューブの管路抵抗は、本来の設計値より大きい値に調整されるが、個体差が小さくなるので、発熱抵抗体の出力や間隔を最適に設計することにより、熱式流量センサの測定可能な流量範囲を十分確保することができる。
(MFCの全体構成)
以下、本発明の実施形態のMFCについて図面を参照して説明する。本実施形態は、熱式流量センサ(以下単に「流量センサ」ともいう)のセンサチューブの上流側及び下流側の接続部分にそれぞれ狭隘部分を設けた実施形態である。
図1は、本実施形態の熱式流量センサを含むMFCを概念的に示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態のMFCについて図面を参照して説明する。本実施形態は、熱式流量センサ(以下単に「流量センサ」ともいう)のセンサチューブの上流側及び下流側の接続部分にそれぞれ狭隘部分を設けた実施形態である。
図1は、本実施形態の熱式流量センサを含むMFCを概念的に示す縦断面図である。
MFC1は、ボディ10と、流量センサ20と、制御部30と、流量調整バルブ40とを主に備える。
ボディ10は、ステンレス等の鋼材により構成され、外形が直方体形状をなし、その両端面には継手が取り付けられている。ボディ10には、流入路11aと、センサ流入路13aと、バイパス流路12と、センサ流出路13bと、弁室14と、流出路11bとが形成されている。これらの各流路を総称して「流体流路」という。
バイパス流路12へは、流入路11aを通過した流体が流入する。センサ流入路13aは、バイパス流路12の上流から分岐し、流量センサ20へ流体を流す。センサ流出路13bは、流量センサ20を通過した流体を流出させ、バイパス流路12の下流で合流する。
バイパス流路12およびセンサ流入路13aは、所定の流量比(例えば、1:2〜1:1000)で流体が流れるように構成されている。バイパス流路12内には、複数枚のバイパスシートが設けられている。弁室14内には、流量調整バルブ40のバルブ本体が配置されている。
流量センサ20は、熱式流量センサであり、例えば図2Aに示すように、センサベース本体21と、細管からなるセンサチューブ(センサ流路)22と、該センサチューブ22の途中の上流側及び下流側に巻き付けられた発熱コイルからなる一対の発熱抵抗体23a,23bと、出力部であるブリッジ回路28を主に備える。この流量センサ20については、後で詳述する。
ブリッジ回路28は、図3に示すように、前記発熱抵抗体23a,23bと基準抵抗R1,R2とをこの順にダイヤモンド状に接続した回路であり、接続点P1〜P2間に入力電圧を加え、接続点P3〜P4間から出力電圧を得るようになっている。なお、ブリッジ回路28は、物理的には、制御部30のボードに設けられているが、機能的には流量センサ20の出力部と捉えられる。本明細書では、ブリッジ回路28全体又はその一部を成すリード線等を「一対の発熱抵抗体23a,23bを通電して発熱させるとともに、発熱抵抗体23a,23bの抵抗値を検出するための電気回路」という。
制御部30は、図1において、流量センサ20からの信号に基づいて流体の流量を算出し、バイパス流路12を流れる流体が所定の流量となるように流量調整バルブ40へ制御信号を出力するフィードバック制御を行う。制御部30は、増幅器,AD変換器、マイコン、DA変換器、外部との通信インターフェース等(いずれも図示省略)を含む。
流量調整バルブ40は、制御部30からの制御信号に基づいて流体の流路を開閉するバルブであり、バルブ本体と駆動アクチュエータとからなる。
(流量センサ)
本実施形態の流量センサ20の詳細を図2Aに示す。流量センサ20は、前記したように、センサベース本体21と、細管からなるセンサチューブ22と、該センサチューブ22の途中の上流側及び下流側に巻き付けられた発熱コイルからなる一対の発熱抵抗体23a,23bと、出力部であるブリッジ回路28を主に備える。
このセンサチューブ22は、通常ステンレス合金製で、直線状の中央部分22cとその上流側及び下流側から直角方向に屈曲又は湾曲して伸びる直線状の接続部分22a,22bと、からなる略コの字型を有し、中央部分22cに発熱抵抗体23a,23bが巻き付けられている。また、接続部分22a,22bのそれぞれの端部には、フランジ22dが溶接されている。このセンサチューブ22は、例えば外径0.35mm、内径0.25mmと極めて小径であるため、製造時に内径を管理するのが困難で、実際の内径が設計値からずれたり、内径の個体差が生じたりする場合がある。その場合、センサチューブ22の管路抵抗が設計値からずれ、これを組み込んだ流量センサに所定の圧力差を加えた場合の流量が設計値からずれて、その結果、流量センサの測定可能な流量範囲が狭められるという問題があった。
この対策として、本実施形態では、センサチューブ22の管路抵抗を調整するために当該センサチューブ22の上流側及び下流側の接続部分22a,22bのそれぞれに狭隘部分Nrを設けている。
前記狭隘部分Nrは、前記センサチューブ22を部分的に押し潰すことにより形成された略長円形の断面を有し、該略長円形の断面の短径(図2AのS)は、前記狭隘部分Nrの流路方向で略一定であり、狭隘部分Nrの長さlは、センサチューブ22の管路抵抗が所定値になるように調整されている。この図2Aの例の場合、管路抵抗が所定値になるように、左右の狭隘部分Nrの長さlの合計値が調整されている。
本実施形態の流量センサ20の詳細を図2Aに示す。流量センサ20は、前記したように、センサベース本体21と、細管からなるセンサチューブ22と、該センサチューブ22の途中の上流側及び下流側に巻き付けられた発熱コイルからなる一対の発熱抵抗体23a,23bと、出力部であるブリッジ回路28を主に備える。
このセンサチューブ22は、通常ステンレス合金製で、直線状の中央部分22cとその上流側及び下流側から直角方向に屈曲又は湾曲して伸びる直線状の接続部分22a,22bと、からなる略コの字型を有し、中央部分22cに発熱抵抗体23a,23bが巻き付けられている。また、接続部分22a,22bのそれぞれの端部には、フランジ22dが溶接されている。このセンサチューブ22は、例えば外径0.35mm、内径0.25mmと極めて小径であるため、製造時に内径を管理するのが困難で、実際の内径が設計値からずれたり、内径の個体差が生じたりする場合がある。その場合、センサチューブ22の管路抵抗が設計値からずれ、これを組み込んだ流量センサに所定の圧力差を加えた場合の流量が設計値からずれて、その結果、流量センサの測定可能な流量範囲が狭められるという問題があった。
この対策として、本実施形態では、センサチューブ22の管路抵抗を調整するために当該センサチューブ22の上流側及び下流側の接続部分22a,22bのそれぞれに狭隘部分Nrを設けている。
前記狭隘部分Nrは、前記センサチューブ22を部分的に押し潰すことにより形成された略長円形の断面を有し、該略長円形の断面の短径(図2AのS)は、前記狭隘部分Nrの流路方向で略一定であり、狭隘部分Nrの長さlは、センサチューブ22の管路抵抗が所定値になるように調整されている。この図2Aの例の場合、管路抵抗が所定値になるように、左右の狭隘部分Nrの長さlの合計値が調整されている。
但し、狭隘部分Nrの形成箇所は、前記センサチューブ22の上流側及び下流側の接続部分22a,22bの両方に限られず、図2Bのように上流側及び下流側の接続部分22a,22bの一方としてもよく、図2Cのように中央部分22cとしてもよく、その場合、図2Dのように発熱抵抗体23a,23bを接続部分22a,22bの一方に設けてもよい。図2Cの場合において、狭隘部分Nrを2つの発熱抵抗体23a,23bの上流側か下流側のいずれに設けてもよいが、2つの発熱抵抗体23a,23bの間に設けることは、流量と発熱抵抗体23a,23bの温度差との関係が変化してしまうので、好ましくない。
次に、このセンサチューブ22の狭隘部分Nrを形成する方法について説明する。この工程は、センサチューブ22をコの字型形状に形成した後、センサチューブ22を流量センサ20に組み込む前に実施する。この工程は、接続部分22a,22bにフランジ22dを溶接する前に行ってもよいが、溶接後に行う方が、その後センサチューブ22の管路抵抗変化が生じる可能性が小さいのでより好ましい。
(狭隘部分の形成方法1)
本形成方法では、前記狭隘部分Nrを形成する工程は、前記センサチューブ22を2つのローラ60a,60bで挟んで、該ローラ60a,60bを回転させ、該センサチューブ22の所定長さlの範囲を押し潰すことにより形成する。この狭隘部分Nrの形成は、前記センサチューブ22に一定流量の流体を流したときのセンサチューブ22の両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該圧力差が所定値になるように前記狭隘部分Nrの長さlを調整する。
具体的には、図4に示すように、上流側に例えば工具用のMFC51を配置し、その下流に配管52経由でセンサチューブ22を接続して、その下流を大気圧開放する。この状態で、検査流体、例えばN2ガスを所定流量Q流して、センサチューブ22の両側の圧力差ΔPを差圧計53でモニターする。
このとき、センサチューブ22の管路抵抗をRは、流量をQ、センサチューブ22両側の圧力差をΔPとすると、R=ΔP/Qで与えられる。
当初、狭隘部分Nrがない状態では、管路抵抗Rは小さく、所定流量Q流したときの圧力差ΔPも小さいが、2つのローラ60a,60bによってセンサチューブ22を挟んでその一部を押し潰して狭隘化し、かつローラ60a,60bを回転させて狭隘部分Nrを伸ばしていくことにより、管路抵抗Rが大きくなって、圧力差ΔPが増大する。したがって、所定流量Qのもと、圧力差ΔPが所定量になるように、センサチューブ22の押し潰し長さを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗Rが所定値になる。
(狭隘部分の形成方法1)
本形成方法では、前記狭隘部分Nrを形成する工程は、前記センサチューブ22を2つのローラ60a,60bで挟んで、該ローラ60a,60bを回転させ、該センサチューブ22の所定長さlの範囲を押し潰すことにより形成する。この狭隘部分Nrの形成は、前記センサチューブ22に一定流量の流体を流したときのセンサチューブ22の両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該圧力差が所定値になるように前記狭隘部分Nrの長さlを調整する。
具体的には、図4に示すように、上流側に例えば工具用のMFC51を配置し、その下流に配管52経由でセンサチューブ22を接続して、その下流を大気圧開放する。この状態で、検査流体、例えばN2ガスを所定流量Q流して、センサチューブ22の両側の圧力差ΔPを差圧計53でモニターする。
このとき、センサチューブ22の管路抵抗をRは、流量をQ、センサチューブ22両側の圧力差をΔPとすると、R=ΔP/Qで与えられる。
当初、狭隘部分Nrがない状態では、管路抵抗Rは小さく、所定流量Q流したときの圧力差ΔPも小さいが、2つのローラ60a,60bによってセンサチューブ22を挟んでその一部を押し潰して狭隘化し、かつローラ60a,60bを回転させて狭隘部分Nrを伸ばしていくことにより、管路抵抗Rが大きくなって、圧力差ΔPが増大する。したがって、所定流量Qのもと、圧力差ΔPが所定量になるように、センサチューブ22の押し潰し長さを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗Rが所定値になる。
(狭隘部分の形成方法2)
本形成方法では、前記狭隘部分Nrを形成する工程は、前記センサチューブに一定の管路抵抗を有する配管を直列に接続して接続体を形成し、該接続体の両側に一定の圧力差を加えて流体を流したときの前記センサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該センサチューブの両端の圧力差が所定値になるように前記狭隘部分Nrの長さを調整する。
具体的には、図5に示すように、例えば、所定の管路抵抗R0を有する工具用の配管56を用意し、その下流にセンサチューブ22を接続して接続体(56,22)を形成し、そのさらに下流を大気圧開放する。この接続体(56,22)の上流側には、圧力レギュレータ54を配置して、接続体(56,22)の上流側の圧力(圧力計55でモニターする)を所定圧P0に調整する。したがって、接続体(56,22)の両側に加わる圧力差はP0になる。この状態で、検査流体、例えばN2ガスを所定流量流して、センサチューブ22の両側の圧力差ΔPを差圧計53でモニターする。
このとき、センサチューブ22の管路抵抗Rは、流量をQ、センサチューブ22両側の圧力差をΔPとすると、R=ΔP/Qで与えられる。
ここで、流量Qは、Q=P0/(R+R0)で与えられるので、これを前の式に代入して整理すると、管路抵抗Rは、R=R0/((P0/ΔP)−1)となる。
当初、狭隘部分Nrがない状態では、管路抵抗Rは小さく、接続体(56,22)に圧力差P0を加えたときの圧力差ΔPも小さいが、2つのローラ60a,60bによってセンサチューブ22を挟んでその一部を押し潰して狭隘化し、かつローラ60a,60bを回転させて狭隘部分Nrを伸ばしていくことにより、管路抵抗Rが大きくなって、圧力差ΔPが増大する。したがって、所定流量Qのもと、圧力差ΔPが所定値になるように、センサチューブ22の押し潰し長さlを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗Rが所定値になる。
なお、前記管路抵抗R0を有する工具用の配管56は、例えば、オリフィス56aを有する配管でもよく、目標管路抵抗を有する基準センサチューブでもよい。この工具用の配管56として基準センサチューブを用いる場合、ΔPがP0/2となるように狭隘部分Nrの長さlを調整することにより、対象のセンサチューブ22の管路抵抗Rは目標値になる。
本形成方法では、前記狭隘部分Nrを形成する工程は、前記センサチューブに一定の管路抵抗を有する配管を直列に接続して接続体を形成し、該接続体の両側に一定の圧力差を加えて流体を流したときの前記センサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該センサチューブの両端の圧力差が所定値になるように前記狭隘部分Nrの長さを調整する。
具体的には、図5に示すように、例えば、所定の管路抵抗R0を有する工具用の配管56を用意し、その下流にセンサチューブ22を接続して接続体(56,22)を形成し、そのさらに下流を大気圧開放する。この接続体(56,22)の上流側には、圧力レギュレータ54を配置して、接続体(56,22)の上流側の圧力(圧力計55でモニターする)を所定圧P0に調整する。したがって、接続体(56,22)の両側に加わる圧力差はP0になる。この状態で、検査流体、例えばN2ガスを所定流量流して、センサチューブ22の両側の圧力差ΔPを差圧計53でモニターする。
このとき、センサチューブ22の管路抵抗Rは、流量をQ、センサチューブ22両側の圧力差をΔPとすると、R=ΔP/Qで与えられる。
ここで、流量Qは、Q=P0/(R+R0)で与えられるので、これを前の式に代入して整理すると、管路抵抗Rは、R=R0/((P0/ΔP)−1)となる。
当初、狭隘部分Nrがない状態では、管路抵抗Rは小さく、接続体(56,22)に圧力差P0を加えたときの圧力差ΔPも小さいが、2つのローラ60a,60bによってセンサチューブ22を挟んでその一部を押し潰して狭隘化し、かつローラ60a,60bを回転させて狭隘部分Nrを伸ばしていくことにより、管路抵抗Rが大きくなって、圧力差ΔPが増大する。したがって、所定流量Qのもと、圧力差ΔPが所定値になるように、センサチューブ22の押し潰し長さlを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗Rが所定値になる。
なお、前記管路抵抗R0を有する工具用の配管56は、例えば、オリフィス56aを有する配管でもよく、目標管路抵抗を有する基準センサチューブでもよい。この工具用の配管56として基準センサチューブを用いる場合、ΔPがP0/2となるように狭隘部分Nrの長さlを調整することにより、対象のセンサチューブ22の管路抵抗Rは目標値になる。
(MFCの動作)
次に、このように構成された流量センサ20とこの流量センサ20を含む本実施形態のMFC1の動作について、図1及び図3を参照して説明する。
流量センサ20において、ブリッジ回路28の接続点P1〜P2間に電圧Vin(図3ではV0と略等しい)を加え、上流側と下流側の発熱抵抗体23a、23bに通電して発熱させるとともに、これらの発熱抵抗体23a、23bの抵抗値Ra,Rb(温度に比例する)を検出する。センサチューブ22内に流体が流れると、上流側の発熱抵抗体23aは、流れてくる流体で冷やされて温度の上昇が抑えられ、下流側の発熱抵抗体23bは、上流側の発熱抵抗体23aで加熱された流体が流れてくるので、温度の上昇が大きく、その結果、両発熱抵抗体23a、23bの間で温度差が生ずる。この温度差は、ある流量の範囲では流体の質量流量に比例すると見なせる。ブリッジ回路28は、この温度差の指標となる発熱抵抗体23a、23bの抵抗値差Ra−Rbを、接続点P3〜P4間の出力電圧Voutに変換して出力している。
(基準抵抗R1とR2が等しい場合、Vout=Vin×(Rb−Ra)/(Ra+Rb)となり、VoutはRb−Raにほぼ比例する。)
次に、このように構成された流量センサ20とこの流量センサ20を含む本実施形態のMFC1の動作について、図1及び図3を参照して説明する。
流量センサ20において、ブリッジ回路28の接続点P1〜P2間に電圧Vin(図3ではV0と略等しい)を加え、上流側と下流側の発熱抵抗体23a、23bに通電して発熱させるとともに、これらの発熱抵抗体23a、23bの抵抗値Ra,Rb(温度に比例する)を検出する。センサチューブ22内に流体が流れると、上流側の発熱抵抗体23aは、流れてくる流体で冷やされて温度の上昇が抑えられ、下流側の発熱抵抗体23bは、上流側の発熱抵抗体23aで加熱された流体が流れてくるので、温度の上昇が大きく、その結果、両発熱抵抗体23a、23bの間で温度差が生ずる。この温度差は、ある流量の範囲では流体の質量流量に比例すると見なせる。ブリッジ回路28は、この温度差の指標となる発熱抵抗体23a、23bの抵抗値差Ra−Rbを、接続点P3〜P4間の出力電圧Voutに変換して出力している。
(基準抵抗R1とR2が等しい場合、Vout=Vin×(Rb−Ra)/(Ra+Rb)となり、VoutはRb−Raにほぼ比例する。)
流量センサ20のブリッジ回路28からの出力信号は、制御部30の増幅器(図示省略)に入力され、AD変換器(図示省略)でデジタル化される。マイコン(図示省略)は、デジタル化された信号を処理して流量値を算出する。マイコン(図示省略)は、この流量値と外部のコントローラ(図示省略)から入力された流量設定値とを比較し、制御信号を出力する。この制御信号は、算出された流量値と流量設定値との単なる差分信号でもよいが、差分とその積分と微分に基づくPID制御信号であることが好ましい。
この制御信号は、DA変換器(図示省略)でアナログ電圧に変換され、さらに増幅器(図示省略)で増幅されて、流量調整バルブ40を駆動する。
このような、フィードバック制御を行うことにより、MFCを流れる流体の質量流量が所定値になるように調整する。
この制御信号は、DA変換器(図示省略)でアナログ電圧に変換され、さらに増幅器(図示省略)で増幅されて、流量調整バルブ40を駆動する。
このような、フィードバック制御を行うことにより、MFCを流れる流体の質量流量が所定値になるように調整する。
本発明によれば、流量センサのセンサチューブに狭隘部分を設けて、管路抵抗を調整するこにしたので、センサチューブの管路抵抗の個体差を低減することができる。その結果、測定可能な流量範囲が十分確保できる熱式流量センサと、そのような熱式流量センサを組み込み、流量制御範囲も十分確保できるマスフローコントローラ(MFC)を提供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
例えば、上記各実施形態では、狭隘部分Nrの略長円形の断面の短径S(図2A等参照)を流路方向で略一定とし、狭隘部分Nrの長さlを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗を調整したが、この方法に限られず、長さlを一定にして短径Sを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗を調整してもよい。
また、上記各実施形態では、狭隘部分Nrを形成するためにセンサチューブ22を押し潰す工具として、2つのローラ60a,60bを用いたが、これに限られず、任意の公知の工具を用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の熱式流量センサをMFCに適用した例について説明したが、本発明の熱式流量センサを、質量流量の測定のみ行って制御を行わないマスフローメータ(MFM)に適用しても良い。
例えば、上記各実施形態では、狭隘部分Nrの略長円形の断面の短径S(図2A等参照)を流路方向で略一定とし、狭隘部分Nrの長さlを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗を調整したが、この方法に限られず、長さlを一定にして短径Sを調整することにより、センサチューブ22の管路抵抗を調整してもよい。
また、上記各実施形態では、狭隘部分Nrを形成するためにセンサチューブ22を押し潰す工具として、2つのローラ60a,60bを用いたが、これに限られず、任意の公知の工具を用いてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の熱式流量センサをMFCに適用した例について説明したが、本発明の熱式流量センサを、質量流量の測定のみ行って制御を行わないマスフローメータ(MFM)に適用しても良い。
1 :マスフローコントローラ(MFC)
10 :ボディ
11a :流入路
11b :流出路
12 :バイパス流路
13a :センサ流入路
13b :センサ流出路
14 :弁室
20 :流量センサ
21 :センサベース本体
22 :センサチューブ(センサ流路)
22a,22b:接続部分
22c :中央部分
22d :フランジ
23a,23b:発熱抵抗体(発熱コイル)
28 :ブリッジ回路
30 :制御部
40 :流量調整バルブ
51 :工具用のMFC
52 :配管
53 :差圧計
54 :圧力レギュレータ
55 :圧力計
56 :工具用の配管
56a :オリフィス
60a,60b:ローラ
Nr :狭隘部分
P1〜P4:接続点
10 :ボディ
11a :流入路
11b :流出路
12 :バイパス流路
13a :センサ流入路
13b :センサ流出路
14 :弁室
20 :流量センサ
21 :センサベース本体
22 :センサチューブ(センサ流路)
22a,22b:接続部分
22c :中央部分
22d :フランジ
23a,23b:発熱抵抗体(発熱コイル)
28 :ブリッジ回路
30 :制御部
40 :流量調整バルブ
51 :工具用のMFC
52 :配管
53 :差圧計
54 :圧力レギュレータ
55 :圧力計
56 :工具用の配管
56a :オリフィス
60a,60b:ローラ
Nr :狭隘部分
P1〜P4:接続点
Claims (9)
- 流体流路を通過する流体の質量流量を測定するセンサであって、前記流体流路を通過する流体の一部を流すセンサチューブと、前記センサチューブの途中の上流側と下流側に設けられ、該センサチューブを加熱する一対の発熱抵抗体と、前記一対の発熱抵抗体を通電して発熱させるとともに、該一対の発熱抵抗体の抵抗値を検出するための電気回路と、を含む熱式流量センサであって、
前記センサチューブは、その管路抵抗を調整するために当該センサチューブの一部を狭めた狭隘部分を有することを特徴とする、熱式流量センサ。 - 前記センサチューブは、直線状の中央部分と該中央部分の上流側及び下流側から直角方向に屈曲又は湾曲して伸びる直線状の接続部分とからなり、前記狭隘部分は、前記上流側及び下流側の接続部分の少なくとも一方に設けられた、請求項1に記載の熱式流量センサ。
- 前記狭隘部分は、前記センサチューブを部分的に押し潰すことにより形成された略長円形の断面を有し、該略長円形の断面の短径は、前記狭隘部分の流路方向で略一定である、請求項1又は2に記載の熱式流量センサ。
- 流体流路を通過する流体の一部を流すセンサチューブと、前記センサチューブの途中の上流側と下流側に設けられ、該センサチューブを加熱する一対の発熱抵抗体と、前記一対の発熱抵抗体を通電して発熱させるとともに、該一対の発熱抵抗体の抵抗値を検出するための電気回路と、を含む熱式流量センサの製造方法であって、前記センサチューブの管路抵抗を調整するために当該センサチューブの一部を狭めた狭隘部分を形成する工程を含む、ことを特徴とする製造方法。
- 前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブを部分的に押し潰して、前記センサチューブの断面を略長円形にする工程であり、前記略長円形の断面の短径は、前記狭隘部分の流路方向で略一定とし、前記狭隘部分の長さを調整することにより、前記センサチューブの管路抵抗を調整する、請求項4に記載の製造方法。
- 前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブを2つのローラで挟んで、該ローラを回転させ、該センサチューブの所定長さの範囲を押し潰すことにより形成する、請求項5に記載の製造方法。
- 前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブに一定流量の流体を流したときのセンサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該圧力差が所定値になるように前記狭隘部分の長さを調整する工程である、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記狭隘部分を形成する工程は、前記センサチューブに一定の管路抵抗を有する配管を直列に接続して接続体を形成し、該接続体の両側に一定の圧力差を加えて流体を流したときの前記センサチューブの両端の圧力差をモニターしながら実施し、当該センサチューブの両端の圧力差が所定値になるように前記狭隘部分の長さを調整する工程である、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 流体が通過する流体流路と、
前記流体流路を通過する流体の質量流量を測定する熱式流量センサと、
前記流体流路を通過する流体の流量を調整する調整バルブと、
前記流量センサで測定された流体の質量流量が所定値になるように前記調整バルブの開度を制御する制御部と、
を有する、マスフローコントローラであって、
前記流量センサとして、請求項1〜5のいずれかに記載の熱式流量センサを用いたことを特徴とするマスフローコントローラ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020014317A JP2021120657A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 熱式流量センサ、その製造方法、及びマスフローコントローラ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020014317A JP2021120657A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 熱式流量センサ、その製造方法、及びマスフローコントローラ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021120657A true JP2021120657A (ja) | 2021-08-19 |
Family
ID=77269897
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020014317A Pending JP2021120657A (ja) | 2020-01-31 | 2020-01-31 | 熱式流量センサ、その製造方法、及びマスフローコントローラ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021120657A (ja) |
-
2020
- 2020-01-31 JP JP2020014317A patent/JP2021120657A/ja active Pending
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