JP2021118828A - ブラシ用毛材およびブラシ - Google Patents

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【課題】消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能である新規なブラシ用毛材およびそれを使用したブラシを提供する。【解決手段】少なくとも表面領域にポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含む合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材1であって、前記表面領域にはポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含有するブラシ用毛材1。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリグリコール酸樹脂の塩基性物質吸収性能を利用し、消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能である新規なブラシ用毛材およびそれを使用したブラシに関するものである。
近年では、生活環境おける清潔性への関心が高まり、消臭性や抗菌性を付与した用品に対する需要が高く、様々な提案がなされている。中でもブラシ類は消費者の要求が高く、特に歯ブラシにおいては口腔内で使用されるものであり、湿潤状態で保管されるものでもあるから、細菌が繁殖して悪臭を発しやすい。また、ブラシに用いられる樹脂はその性質上臭いの原因物質を吸着しやすく、樹脂に吸着した臭いの原因物質は洗浄によって容易に除去出来ないという問題がある。
このため従来から使用後のブラシの悪臭を抑えるべくした技術が開示されている。例えば、ブラシ部を殺菌する殺菌剤を含有したエアゾール組成物を用いた歯ブラシ用洗浄材(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
また、ブラシの毛材自体に消臭・抗菌性能を付与するべく、毛材に炭粉末を含有させた歯ブラシ(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
消臭性能の改善を目的として、消臭成分としてポリグリコール酸樹脂を繊維表面に露出した繊維(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
特開平11−256191号公報 特開2001−197940号公報 特開2014−100220号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では歯磨き後に毎回洗浄剤を吹き付ける必要があるため、非常に手間の掛かるものであった。
特許文献2に記載の技術はブラシの毛材に微粉末を含有させたものであるため、活性表面積が小さくその効果は不十分であり、加えて、繰り返し使用した際には消臭成分が脱落してしまい、消臭性能が極端に低下してしまうことから耐久性にも問題があった。
特許文献3に記載の技術により得られる繊維の消臭性能は満足できるものであったが、消臭成分として用いているポリグリコール酸の劣化による脱落が速く、耐久性には改善の余地があった。
本発明が解決しようとする課題は、消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能である新規なブラシ用毛材およびそれを使用したブラシを得ることである。
上記目的を達成するために本発明によれば、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含む合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材であって、前記合成樹脂モノフィラメントの表面領域にはポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%含有するブラシ用毛材が提供される。
なお、本発明においては、前記芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのいずれかであること、
前記合成樹脂モノフィラメントは芯鞘複合構造を有し、鞘部は前記ポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含有し、芯部は芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]からなること、
前記合成樹脂モノフィラメントの一端または両端にテーパー部が形成されていること、がさらに好ましい条件として挙げられる。
また、本発明のブラシは上記いずれかのブラシ用毛材を少なくとも毛材の1部に使用したことを特徴とする。
本発明によれば、消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能である新規なブラシ用毛材およびそれを使用したブラシを得ることができる。
(a)〜(c)は本発明のブラシ用毛材を示す拡大模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のブラシ用毛材は、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含む合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材であって、前記合成樹脂モノフィラメントの表面領域にはポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%含有することを特徴とする。
本発明に用いられる合成樹脂モノフィラメントは、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含む。合成樹脂モノフィラメントが、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含むとは、合成樹脂モノフィラメントが、樹脂組成物[a]からなり、樹脂組成物[a]が、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含むことをいう。ここで、樹脂組成物[a]は、これらのほかに、後述する、任意の合成樹脂[a3]や各種添加剤等を含有してもよい。ここで、[a1]成分として用いられるポリグリコール酸樹脂とは、αヒドロキシカルボン酸の一種であるグリコール酸を繰り返し単位構造とするポリエステル樹脂である。
芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明のブラシ用毛材に用いられる前記合成樹脂モノフィラメントの表面領域にはポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%含有する。ここでいう表面領域とは、繊維表面から厚さ5μmの範囲のことを示す。合成樹脂モノフィラメントの表面領域にポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%含有するとは、合成樹脂モノフィラメントの表面領域における成分を合計したものを樹脂組成物[asu](以降、樹脂組成物[asu]と略記することもある)としたとき、樹脂組成物[asu]が、ポリグリコール酸樹脂[a1]を樹脂組成物[asu]中に1〜40質量%含有していることをいい、表面領域におけるポリグリコール酸樹脂[a1]の含有形態については特に限定しない。すなわち、樹脂組成物[asu]中に均一または濃度に傾斜を有して溶解していてもよいし、相分離した形態で含まれていてもよい。なお、樹脂組成物[asu]は、樹脂組成物[a]と同様、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含み、これらのほかにさらに、後述する、任意の合成樹脂[a3]や各種添加剤等を含有してもよい。かかる表面領域が、存在することにより、ポリグリコール酸樹脂の塩基性物質吸収性能により、消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能となる。
本発明のブラシ用毛材に用いられる前記合成樹脂モノフィラメントの表面領域においては、上述のように、ポリグリコール酸樹脂[a1]は1〜40質量%含有されることが必要であり、3〜30質量%含有されることが好ましい。表面領域中のポリグリコール酸樹脂[a1]の含有量が上記範囲を下回る場合は、ポリグリコール酸樹脂[a1]の持つ塩基性物質吸収性能が十分に発揮されず、上記範囲を上回る場合は、長期間保管時にポリグリコール酸樹脂[a1]の分解生成物であるグリコール酸により繊維束が浸潤してしまい、ブラシ用毛材の品質を損なうため好ましくない。
さらに、前記ブラシ用毛材に用いられる前記合成樹脂モノフィラメントは芯鞘複合構造を有し、鞘部は前記ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含み、鞘部におけるポリグリコール酸樹脂[a1]の含有率は1〜40質量%であることが好ましい。合成樹脂モノフィラメントの鞘部は前記ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含み、鞘部におけるポリグリコール酸樹脂[a1]の含有率は1〜40質量%であるとは、合成樹脂モノフィラメントの鞘部を構成する樹脂組成物[ash]がポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含み、鞘部におけるポリグリコール酸樹脂[a1]の含有率が樹脂組成物[ash]に対し1〜40質量%であることをいう。鞘部にポリグリコール酸樹脂を1〜40質量%含有する樹脂を配することで前述した繊維表面へのポリグリコール酸の露出の効果を最大化することが可能となる。なお、鞘部を構成する樹脂組成物[ash]においても、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とのほかに、後述する任意の合成樹脂[a3]を含有してもよく、さらに、後述する各種添加剤等を含有してもよい。かかる場合におけるポリグリコール酸樹脂[a1]の前記含有比率は、前述の表面領域の場合と同様に、樹脂組成物[ash]に対するものとする。
かかる芯鞘構造を有する形態をとる場合において、芯部を構成する樹脂組成物[aco]は任意の合成樹脂[a3]及び芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]の混合物でもいずれかを単独の成分とするものであっても上記の効果は得られるが、芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]からなるものであることがより好ましい。芯部に芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]を配することで、鞘部に芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]が含まれることから、芯部と鞘部の接着性が高くなり芯鞘界面剥離を抑制でき、ひいてはブラシとした際に毛開き耐久性を満足しやすくなるため好ましい。
具体的な形態としては、例えば図1の(a)に示すブラシ用毛材のように芯鞘複合構造からなり、鞘部3を構成する樹脂組成物[ash]はポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]の混合物からなり、かつ芯部2を構成する樹脂組成物[aco]は芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]である例を挙げることができる。
それ以外の形態としては、ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]の混合物からなるポリグリコール酸樹脂含有部2が、例えば図1の(b)に示すブラシ用毛材のような形態でブラシ用毛材の表面に露出され、合成樹脂モノフィラメントの表面領域を平均化してみた場合に上述の条件を満たす例を挙げることができる。
また図1の(a)に示した毛材にテーパー部を形成した図1の(c)の例も挙げることができる。なお、前述の表面領域はテーパー部以外の箇所において定義されるものである。かかるテーパーは、毛材の一端にのみ設けられていてもよいし、両端に設けられていてもよい。また、図示は省略するが、図1の(b)に示した毛材の一端または両端にテーパー部が形成されていてもよい。
本発明のブラシ用毛材に用いられる合成樹脂は、ポリグリコール酸樹脂[a1]、芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]のほかに、本発明の目的を阻害しない範囲であれば任意の合成樹脂[a3]を含有せしめることができ、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610(以下、PA610と称す)、ポリアミド612(以下、PA612と称す)、ポリアミド46、ポリアミドMDX6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1010(以下、PA1010と称す)、またはこれら2種類以上の共重合体からなるポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンクロライド・テトラフルオロエチレン共重合体、フルオロビニルエーテルなどのフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。
また本発明の目的を阻害しない範囲であれば、芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]として、他のジカルボン酸成分およびジオール成分を共重合成分として含有せしめることができ、例えば、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびデカリンジカルボン酸などが挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族グリコール、o−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホンなどの芳香族グリコール、およびヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホンなどのジフェノール類などが挙げられ、これらの中から2種以上を選択して適宜使用することもできる。
さらにまた、本発明のブラシ用毛材には、発明の効果を阻害しない範囲であれば、その目的に応じて、各種の添加剤を含有せしめることも可能である。具体的な例としては各種無機粒子、各種金属粒子および架橋高分子粒子などの粒子類のほか、公知の抗酸化剤、耐光剤、耐侯剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強化繊維類などを適宜任意に含有せしめることも可能である。
なお、本発明のブラシ用毛材においては、合成樹脂モノフィラメントの一端または両端に、テーパー部を形成することもでき、こうすることでブラシ用毛材の毛先が細くなるために、特に歯ブラシに使用した際には、歯と歯の隙間や歯周ポケットに毛先が入り易く、清掃性の高いブラシが得られるため好ましい。合成樹脂モノフィラメントの一端または両端に、テーパー部を形成する方法としては、アルカリ溶液による化学的減量法を適用することができる。
ここで、本発明のブラシ用毛材の製造方法について説明する。
本発明のブラシ用毛材の製造方法については特に限定されないが、芯鞘複合構造を有する合成樹脂モノフィラメントを製造する際には、公知の複合型溶融紡糸機を適用することができる。かかる場合の具体的な例として、芯部がPBT(芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2])、鞘部がポリグリコール酸樹脂[a1]とPBT(芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2])との混合物からなる芯鞘型複合構造の場合は、PBTおよびポリグリコール酸樹脂とPBTのブレンド原料をそれぞれ複合型溶融紡糸機に供給して、溶融紡糸機内で溶融混練した後、複合口金から合成樹脂の溶融物を共押し出しする。
なお、本発明のブラシ用毛材に使用する合成樹脂モノフィラメントの断面形状は特に限定はされず、円形以外の扁平、正方形、半月状、三角形、5角以上の多角形、多葉状、ドックボーン状、および繭型などの形状であっても良い。
その後、押し出された合成樹脂の溶融物は、冷却浴中で冷却固化された後、延伸および熱セットされて、合成樹脂モノフィラメントとなり、必要な長さにカットされて、ブラシ用毛材となる。
また、ブラシ用毛材の毛先にテーパー部を形成させたい場合は、ブラシ用毛材をアルカリ溶液に浸漬して先端部を溶かせば容易にテーパーを形成することができる。
こうして得られたブラシ用毛材は、合成樹脂モノフィラメントにポリグリコール酸樹脂が含有されているため、ポリグリコール酸樹脂の塩基性物質吸収性能を利用し、優れた消臭機能を持った新規なブラシ用毛材を得ることができる。そして、本発明のブラシ用毛材は、特に消臭効果などの衛生関連商品である歯ブラシ、歯間ブラシなどのオーラルケア製品への利用をはじめ、ヘアブラシ、ボディブラシ、クリーニングブラシ、化粧ブラシなどにも利用できる。
以下、実施例を基に本発明のブラシ用毛材をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例における消臭効果、長期保管時のブラシ用毛材の状態評価は下記の方法に準じて行った。
[消臭効果]
ブラシ用毛材10gを3Lのプラスチック製容器に入れ、さらに28質量%のアンモニア水を0.13ml注入して栓をして気化させた後、温度23℃の条件化で5時間保管した。保管前後の容器内のアンモニア濃度をガスクロマトグラフィーで測定し、初期濃度を100とした場合の換算値で消臭効果を確認した。つまり換算値が小さいほど消臭効果が高いことを示す。
なお測定結果はn=3の平均値で示した。
[長期保管時のブラシ用毛材の状態評価]
ブラシ用毛材を温度20℃、湿度65%RHの環境下に半年間静置し、その際のブラシ用毛材の状態を次の基準で評価した。
○:糸を束ねている巻紙を取り除いた際に糸同士がバラバラに分かれ、歯ブラシに植毛する際に不具合は発生しなかった。
×:糸を束ねている巻紙を取り除いても糸同士が固まっており、歯ブラシ植毛時に毛材の供給不良が発生した。
[実施例1]
鞘成分としてPBTペレット(東レ社製 トレコン1200S)に対して、ポリグリコール酸樹脂ペレット(クレハ社製 Kuredux100R60)を10質量%ブレンドした混合物、芯成分としてPBTペレットを複合溶融紡糸機に供給し、溶融紡糸機内で溶融混練した後、芯鞘複合口金から合成樹脂の溶融物を共押し出しした。冷却浴中で冷却固化した後、延伸および熱セットを行い、図1の(a)に示す芯鞘複合構造の直径が約0.20mm、鞘部厚さが0.02mmの、合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
得られたブラシ用毛材の消臭効果、長期保管時のブラシ用毛材の状態を表1に示す。
[実施例2]
ポリグリコール酸樹脂の配合割合を20%に変更した以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
[実施例3]
PBTペレットの代わりにPETペレット(東レ社製 T301T)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
[実施例4]
糸断面を図1の(b)に示す形状としたこと以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。その際のポリグリコール酸樹脂を含有する樹脂が全表面に対し50%の表面に存在していた。
[実施例5]
実施例1で得られた合成樹脂モノフィラメントのカットブリッスルの両端を、アルカリ溶液に浸漬してテーパー部を形成し、水で洗浄したのち乾燥させて図1の(c)に示すような先端形状のブラシ用毛材を得た。
[比較例1]
ポリグリコール酸樹脂を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
[比較例2]
鞘成分のポリグリコール酸樹脂の配合割合を0.5%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
[比較例3]
鞘成分のポリグリコール酸樹脂の配合割合を60%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で合成樹脂モノフィラメントのブラシ用毛材を得た。
上記実施例および比較例で得られたブラシ用毛材の各評価結果を表1に示す。
Figure 2021118828
表1に示す結果から明らかなように、本発明のブラシ用毛材(実施例1〜5)は、塩基性物質吸収性能を持ったポリグリコール酸樹脂を含有しているため、ポリグリコール酸樹脂の塩基性物質吸収性能によって消臭効果を発揮し、特異的な機能を兼ね備えたものであることが分かる。
これに対して、本発明の条件を満たさないブラシ用毛材(比較例1〜3)は、本発明の効果を十分に発揮することができず、例えば、ポリグリコール酸樹脂を配合しなかったブラシ用毛材(比較例1)、およびポリグリコール酸樹脂を0.5質量%配合したブラシ用毛材(比較例2)は満足できる消臭効果を発揮せず、ポリグリコール酸樹脂を60質量%配合したブラシ用毛材(比較例3)は長期保管時にカットブリッスルが浸潤して固まってしまい、歯ブラシへの植毛性も悪かった。
本発明のブラシ用毛材は、ポリグリコール酸樹脂の塩基性物質吸収性能を利用した消臭機能を持ち、合成樹脂モノフィラメントにポリグリコール酸樹脂が含有されているため消臭成分が容易に脱落せず、優れた消臭機能を長期間保持可能である新規なブラシ用毛材を得ることができる。そして、本発明のブラシ用毛材は、特に消臭効果などの衛生関連商品である歯ブラシ、歯間ブラシなどのオーラルケア製品への利用をはじめ、ヘアブラシ、ボディブラシ、クリーニングブラシ、化粧ブラシなどにも利用できる。
1 ブラシ用毛材
2 ポリグリコール酸樹脂含有部
3 ポリグリコール酸樹脂非含有部

Claims (5)

  1. ポリグリコール酸樹脂[a1]と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含む合成樹脂モノフィラメントからなるブラシ用毛材であって、前記合成樹脂モノフィラメントの表面領域にはポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%含有するブラシ用毛材。
  2. 前記芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]が、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのいずれかである、請求項1に記載のブラシ用毛材。
  3. 前記合成樹脂モノフィラメントは芯鞘複合構造を有し、鞘部は前記ポリグリコール酸樹脂[a1]を1〜40質量%と芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]とを含有し、芯部は芳香族環を有するポリエステル樹脂[a2]からなる、請求項1または2に記載のブラシ用毛材。
  4. 前記合成樹脂モノフィラメントの一端または両端にテーパー部が形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシ用毛材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラシ用毛材を少なくとも毛材の1部に使用したことを特徴とするブラシ。
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