JP2021116705A - 車両の制御装置 - Google Patents

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竜志郎 姫野
Ryushiro Himeno
竜志郎 姫野
直樹 大治
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直樹 大治
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Abstract

【課題】MT車において、運転者の操作ミスによらないエンジンストールについてのフリーズフレームデータを漏れなく記録する。【解決手段】内燃機関が出力するエンジントルクをクラッチ及び手動変速機を介して駆動輪に伝達し走行する車両を制御する制御装置であって、車速が所定以下の低速運転または停車時、運転者によるクラッチペダルの踏込量の大きさをセンサを介して検出し、少なくともその踏込量がクラッチペダルを踏み込みことのできる最大値よりも小さいがクラッチが切断されるような閾値以上であることを条件として、エンジンストールが発生した場合にフリーズフレームデータを記録する車両の制御装置を構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関が出力するエンジントルクをクラッチ及び手動変速機を介して駆動輪に伝達し走行する車両の制御に関する。
車両に搭載されている内燃機関がエンジンストールを起こした場合に、事後的な解析及び原因の究明に役立てられるよう、そのときの車両の使用状況を示す情報であるフリーズフレームデータをメモリに記録、保存することが通例となっている(例えば、下記特許文献を参照)。
特開2019−163737号公報
手動変速機が搭載されたMT(Manual Transmission)車では、運転者が任意にシフトレバーを操作して手動変速機の変速段位を変更することができ、また、運転者が任意にクラッチペダルを操作して内燃機関と手動変速機との間に介在するクラッチの締結/切断を切り換えることができる。
MT車においては、内燃機関や車両の駆動系等に欠陥または故障が生じていなくとも、運転者の操作ミスによってエンジンストールが発生することがあり得る。典型的には、低車速での運転時または停車時に、シフトポジションポジションがニュートラルでなく、クラッチが繋がっていると、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトの回転がロックされてエンジンストールに至る。
それ故、従来のMT車では、クラッチスイッチを介してクラッチペダルが完全に踏み込まれているか否かを二値判定し、クラッチスイッチ(クラッチLowerスイッチ)がON、即ちクラッチペダルが完全に踏まれている場合に限り、低速運転中または停車中にエンジンストールを起こしたときにフリーズフレームデータを記録することとし、クラッチスイッチがOFF、即ちクラッチペダルが完全に踏まれてはいない場合には、低速運転中または停車中にエンジンストールを起こしたとしても、運転者の操作ミスである蓋然性が高いとして、フリーズフレームデータを記録していなかった。
しかしながら、実際には、運転者が完全にクラッチペダルを踏み込みきっていなくとも、換言すればクラッチスイッチがOFFであったとしても、クラッチが切り離されていることがある。このときに発生したエンジンストールは、運転者の操作ミスによるものではなく、フリーズフレームデータを記録するべきであるが、現状ではフリーズフレームデータを記録する対象から除外されている。つまり、内燃機関や車両の駆動系等の欠陥または故障に起因するエンジンストールが看過され、あるいはフリーズフレームデータの不在によりその原因を究明することが困難となっている。
本発明は、以上の問題に初めて着目してなされたものであり、運転者の操作ミスによらないエンジンストールについてのフリーズフレームデータを漏れなく記録することを所期の目的としている。
本発明では、内燃機関が出力するエンジントルクをクラッチ及び手動変速機を介して駆動輪に伝達し走行する車両を制御する制御装置であって、車速が所定以下の低速運転時または停車時、運転者によるクラッチペダルの踏込量の大きさをセンサを介して検出し、少なくともその踏込量がクラッチペダルを踏み込みことのできる最大値よりも小さいがクラッチが切断されるような閾値以上であることを条件として、エンジンストールが発生した場合にフリーズフレームデータを記録する車両の制御装置を構成した。
本発明によれば、MT車において、運転者の操作ミスによらないエンジンストールについてのフリーズフレームデータを漏れなく記録することができる。
本発明の一実施形態における車両用内燃機関及び制御装置の概略構成を示す図。 同実施形態における車両の駆動系の概略構成を示す図。 同実施形態の制御装置がプログラムに従い実行する処理の手順例を示すフロー図。 同実施形態の制御装置による制御の内容を説明するタイミング図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関100の概要を示す。本実施形態における内燃機関100は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(例えば、三気筒。図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を気筒1毎に設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、吸気絞り弁である電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、排気通路4と吸気通路3とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における触媒41の下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
本実施形態では、車両として、手動変速機300を搭載したMT車を想定している。周知の通り、MT車にあっては、図2に示すように、車両の駆動源となる内燃機関100の出力軸であるクランクシャフトと、車両の駆動輪との間に、運転者が変速比(減速比)を手動で変更することのできる手動変速機300が介在している。運転者は、シフトレバー301を操作することで、手動変速機300の変速段位を任意に変更することができる。また、シフトレバー301をニュートラルポジションに位置付けることで、手動変速機300におけるギヤの噛合が解除され、手動変速機300の入力軸と出力軸とが切り離される。ひいては、内燃機関100のクランクシャフトと車両の駆動輪との間の接続が切り離され、クランクシャフトと駆動輪との間でトルクが伝達されなくなる。
そして、内燃機関100のクランクシャフトと手動変速機300の入力軸との間に、運転者の操作により断接切換が可能なクラッチ200を配設している。運転者がクラッチペダル201を踏むとこのクラッチ200が切断され、内燃機関100のクランクシャフトと変速機300との間でトルクが伝達されなくなる。運転者がクラッチペダル201を踏むのを止めると、再びクラッチ200が接続されて、クランクシャフトと変速機300との間でトルクが伝達されるようになる。
本実施形態の車両の制御装置たるECU(Electronic Contorol Unit)0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。ECU0は、複数基のECUまたはコントローラが、CAN(Controller Area Network)等の電気通信回線を介して相互に通信可能に接続されてなるものであることがある。
ECU0の入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、内燃機関100のクランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関100に対して要求されるエンジン負荷率またはエンジントルク)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関100の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、シフトレバー301の位置を検出するスイッチから出力されるシフトポジション信号f、クラッチペダル201の踏込量を検出するセンサから出力されるクラッチストローク信号g、排気通路4を流れるガスの空燃比を検出する空燃比センサ(O2センサまたはリニアA/Fセンサ)から出力される空燃比信号h等が入力される。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関100の運転を制御する。ECU0は、内燃機関100の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数及びアクセル開度を知得するとともに気筒1に吸入される空気量を推算する。そして、それらエンジン回転数、アクセル開度及び吸気量等に基づき、吸気量に見合った要求燃料噴射量、燃料噴射タイミング、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率(または、EGRガス量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、lを出力インタフェースを介して印加する。
本実施形態の車両には、運転者によりクラッチペダル201が踏み込まれているか否かを二値判定するクラッチスイッチに代えて、運転者によるクラッチペダル201の踏込量の大きさをミリ単位で検出できるクラッチストロークセンサを実装している。図3に示すように、本実施形態のECU0は、車速が所定以下(例えば、車速が1km/hないし2km/hの間で設定した値よりも低い)の低速運転時または停車時において(ステップS1)、クララッチストロークセンサの出力信号gを参照して検出される現在のクラッチペダル201の踏込量が判定閾値以上に大きく(ステップS2)、なおかつその他の所定の条件を満たしている(ステップS3)ならば、エンジンストールが起こった場合にその旨を示すダイアグノーシスコードとともに車両の現在の使用状況に関するフリーズフレームデータを不揮発性メモリに記憶して保持する(ステップS4)こととする。
図4に示すように、ステップS2にいう判定閾値T2は、いわゆる半クラッチ状態で滑り摩擦しながら係合していたクラッチ200が切り離されるようなクラッチペダル201の踏込量に対応する、クラッチストロークセンサの出力電圧gの値である。この判定閾値T2は、クラッチ200を構成する部品の公差や組み付け公差等といった個体差を考慮に入れて、何れの個体においてもクラッチ200(の内燃機関100側のフライホイール(のクラッチカバー)と駆動系側のクラッチディスクと)が確実に離間するようなクラッチペダル201の踏込量に相当する値に設定する。この判定閾値T2は、運転者が物理的にクラッチペダル201を踏み込みことのできる踏込量の最大値T3よりは小さい。
因みに、図4中に表している値T1は、完全に締結していたクラッチ200が切れ始め、クラッチ200が滑り始めるようなクラッチペダル201の踏込量に対応する、クラッチストロークセンサの出力電圧gの値である。クラッチペダル201の踏込量が値T1から値T2までの範囲内にあるとき、クラッチ200が半クラッチ状態であるということになる。
ステップS3にいう所定の条件には、例えば、車両に実装してある衝突被害軽減ブレーキ(衝突回避支援ブレーキ、プリクラッシュセーフティシステム)機能が作動していないことが含まれる。衝突被害軽減ブレーキは、接近した先行車や歩行者その他の衝突の危険のある障害物の存在を感知したときに、運転者の意思によらず、即ち運転者がブレーキペダルを操作しなくとも、自動で緊急制動を行うものである。
ステップS4にいうフリーズフレームデータには、以下に挙げる情報のうちの一部または全部が含まれる:
・計算上のエンジン負荷
・内燃機関100の冷却水温
・エンジン回転数
・スロットルバルブ32の開度
・車速
・燃料圧力
・サージタンク33内吸気温
・サージタンク33内吸気圧
・吸入空気量
・空燃比センサ出力
・空燃比フィードバック制御の状況
・燃料噴射量の補正量
・点火タイミング
・シフトレバー301の位置
・クラッチペダル201の踏込量
上記の情報は、ECU0が恒常的に監視している、即ち所定周期で反復的に取得しているものである。
ECU0は、ある一定以上のエンジン回転数(例えば、内燃機関100の自律回転を維持できる最低限のアイドル回転数)から一定以上(たとえば、100rpmないし200rpm以上)エンジン回転数が低下したことを感知したときに、エンジンストールが起こったと判断する。そして、エンジンストールが発生した暁には、車両のコックピットに設置されているエンジンチェックランプを点灯させるとともに、その前後の一定期間(例えば、数百ミリ秒)中に反復的に取得した上記の情報の時系列を、フリーズフレームデータとして不揮発性メモリに記憶して保持する。
翻って、ステップS2またはS3の条件が満たされていないならば、エンジンストールが起こったとしても、その旨を示すダイアグノーシスコード及び車両の現在の使用状況に関するフリーズフレームデータを不揮発性メモリに記憶して保持しない(ステップS5)。
本実施形態では、内燃機関100が出力するエンジントルクをクラッチ200及び手動変速機300を介して駆動輪に伝達し走行する車両を制御する制御装置0であって、車速が所定以下の低速運転時または停車時、運転者によるクラッチペダル201の踏込量の大きさをセンサを介して検出し、少なくともその踏込量がクラッチペダル201を踏み込みことのできる最大値T3よりも小さいがクラッチ200が切断されるような閾値T2以上であることを条件として、エンジンストールが発生した場合にフリーズフレームデータを記録する車両の制御装置0を構成した。
本実施形態によれば、MT車において、運転者の操作ミスによらないエンジンストールについてのフリーズフレームデータを漏れなく記録して保存し、事後の解析及びエンジンストールの原因の究明、内燃機関100または車両の駆動系の欠陥または故障箇所の発見に役立てることが可能となる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成や具体的な処理の手順は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、手動変速機が搭載されたMT車の制御に適用できる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
3…吸気通路
32…吸気絞り弁(電子スロットルバルブ)
100…内燃機関
200…クラッチ
201…クラッチペダル
300…手動変速機
301…シフトレバー
b…クランク角信号
c…アクセル開度信号
g…クラッチストローク信号

Claims (1)

  1. 内燃機関が出力するエンジントルクをクラッチ及び手動変速機を介して駆動輪に伝達し走行する車両を制御する制御装置であって、
    車速が所定以下の低速運転時または停車時、運転者によるクラッチペダルの踏込量の大きさをセンサを介して検出し、少なくともその踏込量がクラッチペダルを踏み込みことのできる最大値よりも小さいがクラッチが切断されるような閾値以上であることを条件として、エンジンストールが発生した場合にフリーズフレームデータを記録する車両の制御装置。
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