JP2021116677A - 鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造及び鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法 - Google Patents

鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造及び鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法 Download PDF

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Abstract

【課題】床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の塩害を抑制して鉄筋コンクリート製構造物の長寿命化を図る。【解決手段】鉄筋コンクリート製構造物1の耐久性改善方法は、壁3のかぶり部分に、当該壁面3aに開口するとともに床に沿う方向へ延びる凹部3bを形成する凹部形成工程と、凹部形成工程で形成された凹部3bにゴム系弾性体12を設けるゴム系弾性体設置工程とを備えている。壁面に形成した凹部にゴム弾性体12を設けることによって、イオン化物の浸透を抑制することができる。【選択図】図6

Description

本発明は、例えば鉄筋コンクリート製壁高欄のような鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造及び鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法に関する。
一般的に、鉄筋コンクリート製構造物の劣化要因の一つとして、塩化物イオンの存在によって鉄筋腐食が顕在化する、いわゆる塩害が知られている。鉄筋コンクリート製構造物の塩害を抑制するための方法としては、例えば表面仕上げ作業時に表面改質材を振りまき、コテによる表面仕上げ作業を行いながら、当該表面改質材鉄筋コンクリート製構造物の表面に分散させることにより、鉄筋コンクリート製構造物に塩化物イオンの浸透抵抗性を付与する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2018−16510号公報
ところで、特許文献1の表層品質改善方法の場合、施工範囲はあくまでも鉄筋コンクリート製構造物の表面に限定されているので、壁表面からの塩化物イオンの浸透防止は可能であると考えられるが、鉄筋コンクリート製構造物が床及び壁を有する場合は、床に堆積した塩化物が床と壁との水平打継目から内部に浸透し、そのときの塩化物イオンが壁を構成しているコンクリート内部に広く浸透してしまうおそれがある。こうなると、鉄筋コンクリート製構造物に塩害が発生して鉄筋コンクリート製構造物の劣化を招く。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の塩害を抑制して鉄筋コンクリート製構造物の長寿命化を図ることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、壁面に形成した凹部にゴム系弾性体を設けることによってイオン化物の浸透を抑制するようにした。
第1の発明は、床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、壁のかぶり部分に、当該壁面に開口するとともに床に沿う方向へ延びる凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部形成工程で形成された前記凹部にゴム系弾性体を設けるゴム系弾性体設置工程とを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、壁のかぶり部分に凹部を形成し、この凹部にゴム系弾性体を設けることで、例えば床に堆積した塩化物が壁の上側へ向けて浸透するのが抑制される。また、凹部にゴム系弾性体を設けることで、凹部がゴム系弾性体によって塞がれる。これにより、凹部への塩化物の接触量が減少し、塩化物がより一層壁に浸透しにくくなる。尚、床に堆積する塩化物は、例えば凍結防止剤や海からの飛来塩分等である。
凹部形成工程は、コンクリート硬化後の壁に対して行うことができる。また、コンクリート打設前の型枠に凹部を形成するための凹部形成部材を設置しておき、この型枠内にコンクリートを打設し、硬化後、凹部形成部材を除去することによっても前記凹部を形成できる。
第2の発明は、前記ゴム系弾性体設置工程では、発泡構造のゴム系弾性体を使用することを特徴とする。
これにより、凹部にゴム系弾性体を設ける際に、ゴム系弾性体を容易に変形させて入れることができ、作業性が良好になる。
第3の発明は、前記ゴム系弾性体設置工程では、前記凹部に設置する時には不定形性を有しており、湿度または硬化剤によって定形構造に変化するゴム系弾性体を使用することを特徴とする。
これにより、不定形性を有している状態でゴム系弾性体を凹部に設置し、その後、定形構造に変化させることでゴム系弾性体が凹部から出ていくことはなく、凹部内でゴム系弾性体を確実に保持しておくことができる。
第4の発明は、前記ゴム系弾性体設置工程では、前記凹部形成工程で形成された前記凹部の内面にゴム系塗料を塗布することを特徴とする。
この構成によれば、凹部の内面にゴム系塗料が塗布されることにより、凹部の内面がゴム系塗料によってコーティングされた状態になるので、塩化物の浸透抑制効果がより一層高まる。
第5の発明は、前記ゴム系塗料の塗布後、自己粘着性を有する自己粘着ゴムにより、前記ゴム系塗料の塗膜と前記ゴム系弾性体を粘着させることを特徴とする。
この構成によれば、凹部の内面に塗布されているゴム系塗料の塗膜とゴム系弾性体とを自己粘着ゴムの粘着性によって一体化することができる。
第6の発明は、前記ゴム系塗料の塗布後、自己粘着性を有する自己粘着ゴム層と前記ゴム系弾性体があらかじめ粘着力によって積層された積層物を前記凹部に設けることを特徴とする。
第7の発明は、前記凹部形成工程では、橋梁のコンクリート製壁高欄の床版近傍に前記凹部を形成することを特徴とする。
すなわち、積雪や凍結の恐れがある地域では、橋梁の床版に凍結防止剤が堆積することがある。この凍結防止剤は塩化物であることから塩害の原因になりやすい。本発明では、塩害が起こりやすい橋梁の壁高欄の床版近傍に形成した凹部にゴム系塗料を塗布するようにしたので、床版から壁高欄への塩水浸入を遮断し、塩害を抑制できるという効果がより一層顕著なものになる。
第8の発明は、床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造において、壁のかぶり部分に、当該壁面に開口するとともに床に沿う方向へ延びるように形成された凹部にゴム系弾性体が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、壁のかぶり部分に凹部を形成し、この凹部にゴム系弾性体を設けることで、例えば床に塩化物が堆積した場合に、その塩化物が壁の上側へ向けて浸透しにくくなり、鉄筋コンクリート製構造物の塩害を抑制できる。これにより、鉄筋コンクリート製構造物の劣化を抑制して鉄筋コンクリート製構造物の長寿命化を図ることができる。
鉄筋コンクリート製構造物の縦断面図である。 壁面に対向する方向から見た鉄筋コンクリート製構造物の一部を示す図である。 凹部形成工程を説明する壁下部近傍の部分断面図である。 塗布工程を説明する図3相当図である。 自己粘着ゴム設置工程を説明する図3相当図である。 ゴム系弾性体設置工程を説明する図3相当図である。 実施形態の変形例に係る図6相当図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の供試体を説明する断面図である。 実施例1、比較例1及び比較例2の塩化物量測定結果を示すグラフである。 実施例2、3及び比較例3〜6の塩化物量測定結果を示すグラフである。 実施例2、3及び比較例4の供試体の試験後の状態を示す写真である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る鉄筋コンクリート製構造物1を示すものである。鉄筋コンクリート製構造物1は鉄筋コンクリート製の橋梁(道路橋)であり、床に相当する床版2と、壁に相当する壁高欄3とを備えている。床版2は、略水平に延びている。床版2の上面2aには、主に冬季に凍結防止剤が散布され、これにより上面2aには塩化物が堆積することがある。壁高欄3は、いわゆるRC壁高欄であり、床版2の上面2a近傍から上方へ略鉛直に延びている。符号3aは、壁高欄3の壁面を示している。
鉄筋コンクリート製構造物1には、鉛直方向に延びる鉄筋4と、水平方向に延びる鉄筋5とが埋め込まれている。鉄筋4は、壁高欄3内から床版2内に達するまで延びている。鉄筋5は、鉄筋4の下端部から床版2内を略水平に延びている。また、壁高欄3内に鉄筋6が埋め込まれ、床版2には鉄筋7が埋め込まれている。また、壁高欄3の下端部と、床版2の上面2aとの間には目地8が設けられている。
(鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造)
鉄筋コンクリート製構造物1は、耐久性改善構造Aを備えている。図6に示すように、耐久性改善構造Aは、壁高欄3のかぶり部分に、当該壁面3aに開口するとともに床版2に沿う方向へ延びるように形成された凹部3bの内面にゴム系塗料が塗布されることによって構成されている。ゴム系塗料は、塗布前は流動性を有しているが、塗布後、所定時間経過すると流動性を失って定形構造に変化する。このようなゴム系塗料は、雰囲気中の湿度、または当該塗料に含有される硬化剤によって定形構造に変化する。つまり、耐久性改善構造Aは、凹部3bの内面にゴム系塗料を塗布することによって凹部3bにゴム系弾性体が設けられた構造である。
上記かぶり部分とは、壁高欄3における鉄筋6を覆っているコンクリート部分であり、このかぶり部分の厚さ、即ちかぶり厚さは、壁高欄3における最も壁面3aに近い鉄筋6から当該壁面3aまでの壁厚方向の寸法で表すことができる。ゴム系塗料は、例えばプライマーや液状ゴム材料等を挙げることができる。
凹部3bは壁高欄3の床版2近傍に形成されている。具体的には、床版2の上面2aから0mm〜35mmの間隔をあけて凹部3bが配置されるようになっている。また、凹部3bの深さ寸法は、かぶり厚さ寸法よりも短く設定されており、凹部3bの底面が鉄筋6に達しないようになっている。つまり、この実施形態では、凹部3bの形成によって壁高欄3の鉄筋6が露出することはない。凹部3bの深さは、例えば5mm以上に設定することができ、10mm以上に設定することもできる。凹部3bの深さの上限は、上述したように壁高欄3のかぶり厚によって設定することができ、かぶり厚さ未満、例えば20mm以下または10mm以下に設定することができる。
凹部3bの幅(上下方向の寸法)は、例えば10mm以上または20mm以上に設定することができる。凹部3bの幅の上限値は、例えば20mm以下または40mm以下に設定することができる。
凹部3bは床版2の上面2aに沿う方向、即ち、道路の延長方向に略水平に延びるように形成することができる。凹部3bは、既設の壁高欄3の壁面3aを削ることによって形成することができる。この際に用いられる工具や装置は従来から周知のものである。凹部3bは、道路の延長方向に延びる形状であるため、溝と呼ぶこともできる。また、図示しないが、コンクリート打設前の型枠に凹部3bを形成するための凹部形成部材を設置しておき、この型枠内にコンクリートを打設し、硬化後、凹部形成部材を除去することによっても凹部3bを形成することもできる。
上記ゴム系塗料は、コンクリートに対する付着性を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。ゴム系塗料を凹部3bの内面に塗布することにより、図4に示す塗膜10が形成される。この塗膜10は、耐久性改善構造Aの一部であり、ゴム系弾性体となる。
図5に示すように、ゴム系塗料が塗布された後の凹部3bには、その底部側に自己粘着性を有する自己粘着ゴム11を入れることができる。自己粘着ゴム11は、粘弾性体を用いることができ、例えばブチルゴム等である。この実施形態では、ブチルゴム製の目地材である。自己粘着ゴム11を凹部3bに入れ込むことで、自己粘着ゴム11が塗膜10に粘着し、自己粘着ゴム11の脱落が抑制される。自己粘着ゴム11は、耐久性改善構造Aの一部である。
また、図6に示すように、凹部3bには、自己粘着ゴム11に積層されるように、ゴム系弾性体12を入れることができる。ゴム系弾性体12は、各種ゴムからなる弾性体を用いることができる。ゴム系弾性体12は自己粘着ゴム11に粘着するので、自己粘着ゴム11によって塗膜10に保持されることになる。つまり、自己粘着性を有する自己粘着ゴム11により、ゴム系塗料の塗膜10とゴム系弾性体12を粘着させることができる。ゴム系弾性体12は、耐久性改善構造Aの一部である。
この実施形態では、耐久性改善構造Aが塗膜10、自己粘着ゴム11及びゴム系弾性体12を備えている例について説明したが、これに限らず、自己粘着ゴム11及びゴム系弾性体12の両方を省略してもよく、この場合、凹部3bの内面に塗膜10が形成された構造が耐久性改善構造Aとなる。また、塗膜10と自己粘着ゴム11とで耐久性改善構造Aが構成されていてもよいし、塗膜10とゴム系弾性体12とで耐久性改善構造Aが構成されていてもよい。さらに、ゴム系弾性体12を凹部3bの内面に密着させて設けることもでき、この場合、塗膜10及び自己粘着ゴム11を省略することができる。ゴム系材料としては、凹部3bの内面に密着または接着するものが好ましい。
(鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法)
次に、鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法について説明する。まず、図3に示すように、壁高欄3のかぶり部分に、当該壁面3aに開口するとともに床版2に沿う方向へ延びる凹部3bを形成する。この工程が凹部形成工程である。凹部形成工程で形成する凹部3bの断面は矩形断面であってもよいし、V字形断面やU字状断面であってもよい。凹部3bは、周知の機械を用いて形成できる。
その後、図4に示すように、凹部形成工程で形成された凹部3bの内面にゴム系塗料を塗布する。この工程が塗布工程である。ゴム系塗料は、刷毛やローラー等を利用して塗布することができ、また、噴霧器によって塗料を噴霧することによって塗布することもできる。凹部3bの内面のうち、全面に塗料を塗布するのが好ましいが、一部に塗料が塗布されていなくてもよい。これにより、ゴム系弾性体からなる塗膜10が形成されるので、この工程は、凹部3bにゴム系弾性体を設けるゴム系弾性体設置工程に相当する。ゴム系弾性体設置工程では、凹部3bに設置する時には不定形性を有しており、湿度または硬化剤によって定形構造に変化する塗料を使用することができる。
次いで、図5に示すように、塗布工程後、自己粘着性を有する自己粘着ゴム11を凹部3bに入れ込む。これが自己粘着ゴム設置工程である。具体的には、自己粘着ゴム11としてのブチルゴム系の目地材を凹部3bに押し込むことで、自己粘着ゴム11を塗膜10に粘着させる。自己粘着ゴム11は、板状に成形されたものであってもよいし、棒状に成形されたものであってもよい。自己粘着ゴム11は、塗膜10の全体を覆うように粘着させてもよいし、塗膜10の一部のみ覆うように粘着させてもよい。
しかる後、図6に示すように、ゴム系弾性体12を凹部3bに入れ込む。この工程もゴム系弾性体設置工程と呼ぶことができる。ゴム系弾性体12を弾性変形させながら凹部3bに押し込むことができる。ゴム系弾性体12を自己粘着ゴム11に接着させることで凹部3bからの脱落を抑制できる。ゴム系弾性体12は、板状に成形されたものであってもよいし、棒状に成形されたものであってもよい。ゴム系弾性体12が自己粘着ゴム11の全体を覆うように当該ゴム系弾性体12を自己粘着ゴム11に粘着させてもよいし、自己粘着ゴム11の一部のみ覆うように当該ゴム系弾性体12を自己粘着ゴム11に粘着させてもよい。ゴム系弾性体12は、発泡構造のゴム系弾性体であってもよいし、非発泡構造のゴム系弾性体であってもよい。
自己粘着ゴム設置工程で凹部3bに自己粘着ゴム11を充填してもよく、この場合、自己粘着ゴム充填工程となる。凹部3bに自己粘着ゴム11を充填する場合、ゴム系弾性体12は自己粘着ゴム11の表面を覆うように設けることができる。また、自己粘着ゴム設置工程を省略してゴム系弾性体設置工程を行い、ゴム系弾性体設置工程において凹部3bにゴム系弾性体12を充填してもよい。この場合、ゴム系弾性体充填工程となる。
また、図7は、本発明の実施形態の変形例に係るゴム系弾性体設置工程を説明する図である。この変形例では、ゴム系塗料の塗布後、自己粘着性を有する自己粘着ゴム11からなる自己粘着ゴム層とゴム系弾性体12があらかじめ粘着力によって積層された積層物13を凹部3bに設ける例である。塗布工程までは上述した例と同一である。この変形例では、自己粘着ゴム11とゴム系弾性体12とを積層した積層物13をあらかじめ用意しておく。塗布工程が終わると、積層物13を凹部3bに入れ込む。尚、この変形例において、塗布工程を省略し、積層物13を凹部3bに入れ込むゴム系弾性体設置工程を行ってもよい。
(塩化物吸い上げ試験)
次に、壁高欄3による塩化物の吸い上げ試験について説明する。
(試験1)
試験1では、図8に示すように、実施例1の供試体、比較例1の供試体及び比較例2の供試体を準備した。これら供試体は、上述した床版2及び壁高欄3を想定したものである。供試体の各寸法は、床版2の厚みT1が100mm、床版2の長さLが400mm、壁高欄3の厚みT2が100mm、壁高欄3の高さHが400mmである。床版2及び壁高欄3を構成するコンクリートは、レディーミクストコンクリート工場(30−18−20−N)のものを使用し、床版2を打設してから3日後に壁高欄3を打設した。供試体は、翌日脱型後、1ヶ月の標準水中養生を行った。供試体の左右の鉛直面には水分の移動を生じさせないためにシリコーンでコーティングを行い、また、床版2の上面2aにはシリコーンで塩水を溜めるためのプール20を作製した。
実施例1の供試体は、上述した耐久性改善構造A(図6に拡大して示す)を備えている。凹部3aは、プール20の底面から35mm上方に離れたところに形成した。凹部3bの幅及び深さはそれぞれ10mmとした。凹部3aの内面にゴム系塗料からなるプライマーを塗布し、その後、自己粘着ゴム11とゴム系弾性体12とを凹部3bに入れ込んだ。
比較例1の供試体は、耐久性改善構造Aを備えていないものである。比較例2の供試体は、壁高欄3の壁面3aに、プール20の底面から上方へ50mm離れたところまで連続してプライマー及びエポキシ樹脂を塗布してコーティング層30を形成したものである。比較例1の供試体及び比較例2の供試体には壁面に凹部が形成されておらず、壁面が平坦な面で構成されている。
塩化物の吸い上げ試験条件について説明する。供試体は高温室(30.0〜33.1℃、湿度54〜60%)に設置した。プール20の水位は10mmに保ち、期間は140日間とした。試験終了後、供試体のプール20底面から50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mm、350mmの各高さから、奥行き方向(壁高欄3の厚み方向)に10mm間隔で最大50mmの深さまで、ドリル法により粉末を採取する。採取した各粉末の塩化物イオン濃度を蛍光X線分析装置によって測定した。
外観については、試験開始後、34日経過した時点で、比較例1の壁面3aには、塩化物の吸い上げによる色むらが現れるとともに、吸い上げ、乾燥による塩化物の結晶化を繰り返しながら結晶が高さ方向に成長していた。比較例2の壁面3aにもエポキシ樹脂の表面に塩化物の結晶が形成されていた。実施例の壁面3aには、塩化物の吸い上げが殆ど見られなかった。
図9は、比較例1、比較例2、実施例1の各供試体の塩化物イオン濃度を示すグラフであり、各グラフの横軸は塩化物イオン濃度を示し、縦軸は測定位置(mm)、即ちプール20底面からの高さを示している。50mm、100mm、150mm、200mm、250mm、300mm、350mmの各高さにおける塩化物イオン濃度が分かるようになっている。また、凡例における丸印は1層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準とし、そこから10mmの深さまでの塩化物イオン濃度を示している。凡例における上向き三角印は2層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準として10mm〜20mmの深さまでの塩化物イオン濃度を示している。凡例におけるひし形印は3層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準として20mm〜30mmの深さまでの塩化物イオン濃度を示している。凡例における四角印は4層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準として30mm〜40mmの深さまでの塩化物イオン濃度を示している。凡例における下向き三角印は5層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準として40mm〜50mmの深さまでの塩化物イオン濃度を示している。
図9から明らかなように、比較例1では、高さ50mm〜150mmの範囲で全ての層で塩化物イオン濃度が高まっている。特に1層目の高さ100mmでの塩化物イオン濃度は極めて高く、このことで塩害が引き起こされる可能性がある。
また、比較例2では、比較例1に比べて全体的に塩化物イオン濃度が低い傾向にあるが、比較例1と同様に1層目の高さ100mmでの塩化物イオン濃度は極めて高く、このことで塩害が引き起こされる可能性がある。
一方、実施例1の場合、全ての測定点で比較例1及び比較例2の塩化物イオン濃度を大きく下回っている。2層目〜5層目では、塩化物イオン濃度が0に近い値となっており、また、1層目についても高さ100mm以上では、塩化物イオン濃度が0に近い値となっている。従って、塩化物が壁高欄3の上側及び厚み方向の内方へ向けて浸透するのが抑制されている。
(試験2)
次に、試験2について図10及び図11に基づいて説明する。試験2では、実施例2、3の供試体と、比較例3〜6の供試体を用意した。各供試体の寸法は試験1で使用した供試体と同じである。実施例2の供試体は、耐久性改善構造Aを備えており、発泡構造のゴム系弾性体12を凹部3bに設置している。実施例3の供試体は、耐久性改善構造Aを備えており、液状ゴム材料を凹部3bの内面に塗布して定形構造にしたゴム系弾性体を備えている。比較例3の供試体は、耐久性改善構造Aを備えていないものであり、凹部3bに硬質材料(硬質樹脂)からなる部材を設置した例である。比較例4の供試体は、耐久性改善構造Aを備えていないものであり、凹部を形成せず、ゴム等を設置していない無対策の例である。比較例5の供試体は、耐久性改善構造Aを備えていないものであり、凹部3bを形成しているが、その凹部3bには何も設置していない例である。この比較例5の凹部3bの幅及び深さはそれぞれ10mmである。比較例6の供試体は、耐久性改善構造Aを備えていないものであり、比較例5と同様に凹部3bに何も設置していない例であるが、比較例6の凹部3bの幅及び深さはそれぞれ20mmである。
試験2の試験方法及び条件は上記試験1と同じである。図10は、実施例2、3、比較例3〜6の各供試体の塩化物イオン濃度を示すグラフであり、縦軸及び横軸は図9に示すグラフと同じであるが、1層目、即ち壁高欄3の壁面3aを基準とし、そこから10mmの深さまでの塩化物イオン濃度の測定結果を示している。
比較例3〜6では、測定高さ50mmにおける塩化物イオン量が30kg/mを超えているが、実施例2、3では、10kg/mを大幅に下回っていることが分かる。従って、実施例2、3によれば、塩化物が壁高欄3の上側及び厚み方向の内方へ向けて浸透するのが抑制されている。
図11は、実施例2、3及び比較例4の供試体の試験後の状態を示す写真であり、壁高欄3の壁面3aを下から上下方向中間部まで撮影したものである。白い泡のように見えるものが塩化物の結晶である。
比較例4(無対策)の場合、図10に示すように測定高さ50mmにおける塩化物イオン量が40kg/mに近くなっている。この比較例4では、図11に示すように塩化物が供試体の表面の広い範囲に結晶化して存在しており、結晶が高さ方向に大きく成長している。一方、実施例2、3では、比較例4に比べて塩化物の結晶化の範囲が著しく狭くなっている。これは、塩化物が壁高欄3の上側及び厚み方向の内方へ向けて浸透するのが抑制されていることによる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、壁高欄3のかぶり部分に形成した凹部3bの内面をゴム系塗料によってコーティングした状態にすることができるので、床版2に塩化物が堆積した場合に、その塩化物が壁高欄3の上側へ向けて浸透しにくくなり、鉄筋コンクリート製構造物1の塩害を抑制できる。これにより、鉄筋コンクリート製構造物1の劣化を抑制して鉄筋コンクリート製構造物1の長寿命化を図ることができる。
また、凹部3bに自己粘着ゴム11を入れ込むことで、自己粘着ゴム11がゴム系塗料の塗膜10に粘着して凹部3bが自己粘着ゴム11によって塞がれる。これにより、凹部3bへの塩化物の接触量が減少し、塩化物がより一層壁高欄3に浸透しにくくなる。
また、凹部3bにゴム系弾性体11を入れ込むことで、凹部3bがゴム系弾性体11によって塞がれる。これにより、凹部3bへの塩化物の接触量が減少し、塩化物がより一層壁高欄3に浸透しにくくなる。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、鉄筋コンクリート製構造物1が鉄筋コンクリート製の橋梁である場合について説明したが、これに限らず、各種鉄筋コンクリート製構造物に本発明を適用することができる。
以上説明したように、本発明は、例えば鉄筋コンクリート製の橋梁の壁高欄に適用することができる。
1 鉄筋コンクリート製構造物
2 床版
2a 上面
3 壁高欄
3a 壁面
3b 凹部
10 塗膜
11 自己粘着ゴム
12 ゴム系弾性体

Claims (8)

  1. 床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    壁のかぶり部分に、当該壁面に開口するとともに床に沿う方向へ延びる凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記凹部形成工程で形成された前記凹部にゴム系弾性体を設けるゴム系弾性体設置工程とを備えていることを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  2. 請求項1に記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記ゴム系弾性体設置工程では、発泡構造のゴム系弾性体を使用することを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  3. 請求項1に記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記ゴム系弾性体設置工程では、前記凹部に設置する時には不定形性を有しており、湿度または硬化剤によって定形構造に変化するゴム系弾性体を使用することを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  4. 請求項1に記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記ゴム系弾性体設置工程では、前記凹部形成工程で形成された前記凹部の内面にゴム系塗料を塗布することを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  5. 請求項4に記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記ゴム系塗料の塗布後、自己粘着性を有する自己粘着ゴムにより、前記ゴム系塗料の塗膜と前記ゴム系弾性体を粘着させることを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  6. 請求項4に記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記ゴム系塗料の塗布後、自己粘着性を有する自己粘着ゴム層と前記ゴム系弾性体があらかじめ粘着力によって積層された積層物を前記凹部に設けることを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  7. 請求項1から6にいずれか1つに記載の鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法において、
    前記凹部形成工程では、橋梁のコンクリート製壁高欄の床版近傍に前記凹部を形成することを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善方法。
  8. 床及び壁を有する鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造において、
    壁のかぶり部分に、当該壁面に開口するとともに床に沿う方向へ延びるように形成された凹部にゴム系弾性体が設けられていることを特徴とする鉄筋コンクリート製構造物の耐久性改善構造。
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