JP2021112757A - 液冷ジャケットの製造方法 - Google Patents

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久司 堀
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Abstract

【課題】材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】回転ツールFの攪拌ピンF2のみをジャケット本体2に接触させるとともに、封止体3の側面31cにもわずかに接触させた状態で第一突合せ部J1に摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、本接合工程では、封止体3の裏面3bの法線方向に対する側面31cの傾斜角度をθとし、攪拌ピンF2の外周面の回転中心軸線Cに対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、回転ツールFを終了位置EP1に移動させつつ攪拌ピンF2を周壁部11の端面11aから徐々に引き抜いて終了位置EP1で周壁部11から回転ツールFを離脱させる。【選択図】図8

Description

本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。
例えば、特許文献1には、液冷ジャケットの製造方法が開示されている。図12は、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。従来の液冷ジャケットの製造方法では、アルミニウム合金製のジャケット本体101の段差部に設けられた段差側面101cと、アルミニウム合金製の封止体102の側面102cとを突き合わせて形成された突合せ部J10に対して摩擦攪拌接合を行うというものである。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールF50の攪拌ピンF52のみを突合せ部J10に挿入して摩擦攪拌接合を行っている。また、従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツールFの回転中心軸線Cを突合せ部J10に重ねて相対移動させるというものである。
特開2015−131321号公報
ここで、ジャケット本体101は複雑な形状となりやすく、例えば、4000系アルミニウム合金の鋳造材で形成し、封止体102のように比較的単純な形状のものは、1000系アルミニウム合金の展伸材で形成するというような場合がある。このように、アルミニウム合金の材種の異なる部材同士を接合して、液冷ジャケットを製造する場合がある。このような場合は、ジャケット本体101の方が封止体102よりも硬度が高くなることが一般的であるため、図12のように摩擦攪拌接合を行うと、攪拌ピンF52が封止体102側から受ける材料抵抗に比べて、ジャケット本体101側から受ける材料抵抗が大きくなる。そのため、回転ツールF50の攪拌ピンによって異なる材種をバランスよく攪拌することが困難となり、接合後の塑性化領域に空洞欠陥が発生し接合強度が低下するという問題がある。
また、攪拌ピンF42を突合せ部J10から離脱させる際、鉛直方向に攪拌ピンF52を移動させるため、摩擦攪拌の終了位置における摩擦熱が過大となる。これにより、当該終了位置において、ジャケット本体101側の金属が封止体102側に混入しやすくなり、接合不良の一因となるという問題がある。
このような観点から、本発明は、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
このような観点から本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させるとともに、前記封止体の側面にもわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記設定移動ルートよりも外側に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部の端面から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記周壁部から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させるとともに、前記封止体の側面にもわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
かかる製造方法によれば、ジャケット本体と攪拌ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主としてジャケット本体側の第一アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部においてジャケット本体の段差側面と封止体の側面とを接合することができる。また、攪拌ピンの外周面を封止体の側面にわずかに接触させるに留めるため、封止体からジャケット本体への第二アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主としてジャケット本体側の第一アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、封止体の側面に傾斜を設けることで、当該側面と回転ツールとの接触代を小さくすることができる。また、回転ツールを設定移動ルートと重複する位置から移動させながら攪拌ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルート上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ攪拌ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルートの一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、設定移動ルート上において、封止体の第二アルミニウム合金がジャケット本体側に混入するのを防ぐことができる。
また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、前記攪拌ピンは、先細りとなるように傾斜する外周面を備えるとともに平坦な先端面を備え、前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させ、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面の高さよりも深く挿入するとともに、前記攪拌ピンの前記外周面を前記封止体の側面にわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度αとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記設定移動ルートよりも外側に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部の端面から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記周壁部から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、前記攪拌ピンは、先細りとなるように傾斜する外周面を備えるとともに平坦な先端面を備え、前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させ、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面の高さよりも深く挿入するとともに、前記攪拌ピンの前記外周面を前記封止体の側面にわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度αとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする。
かかる製造方法によれば、ジャケット本体と攪拌ピンとの摩擦熱によって第一突合せ部の主としてジャケット本体側の第一アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部においてジャケット本体の段差側面と封止体の側面とを接合することができる。また、攪拌ピンの外周面を封止体の側面にわずかに接触させるに留めるため、封止体からジャケット本体への第二アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。これにより、第一突合せ部においては主としてジャケット本体側の第一アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、封止体の側面に傾斜を設けることで、当該側面と回転ツールとの接触代を小さくすることができる。また、回転ツールを設定移動ルートと重複する位置から移動させながら攪拌ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルート上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、回転ツールを設定移動ルート上で移動させつつ攪拌ピンを徐々に引き抜くことにより、設定移動ルートの一点で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、回転ツールの攪拌ピンの先端を段差底面の高さよりも深く挿入することで、接合強度を高めることができる。
また、前記封止体の板厚を、前記段差側面の高さ寸法よりも大きくすることが好ましい。
かかる製造方法によれば、液冷ジャケットに配置される発熱体との熱交換効率を高めることができる。
また、前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を設け、当該螺旋溝が形成されている領域の長さ寸法を、前記段差側面の高さ寸法よりも大きくすることが好ましい。
かかる製造方法によれば、段差側面の高さ方向の全体に亘って効率よく摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、前記第一アルミニウム合金は鋳造材で形成され、第二アルミニウム合金は展伸材で形成されていることが好ましい。
かかる製造方法によれば、ジャケット本体の強度を高めることができるとともに、封止体の熱伝導性を高めることができる。
また、前記回転ツールの外周面に基端側から先端側に向かうにつれて左回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールの外周面に基端側から先端側に向かうにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることが好ましい。
かかる製造方法によれば、塑性流動材を攪拌ピンの先端側に導くことができるため、バリの発生を抑制することができる。
また、前記本接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記ジャケット本体側がフロー側となり、前記封止体側がシアー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方向を設定することが好ましい。
かかる製造方法によれば、第一突合せ部の摩擦攪拌が促進され、より好適に接合することができる。
また、前記準備工程では、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって広がるように斜めに立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成し、前記本接合工程では、前記段差側面と前記封止体の側面との間の隙間を塑性流動材で埋めることが好ましい。
本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、材種の異なるアルミニウム合金を好適に接合することができる。
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の準備工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の載置工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る回転ツールを示す側面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る本接合工程における押入区間を側方から見た断面図である。 第一実施形態に係る本接合工程における中間点S1付近を進行方向後方から見た断面図である。 第一実施形態に係る本接合工程における離脱区間を側方から見た断面図である。 第一実施形態に係る本接合工程における終了後を示す斜視図である。 第二実施形態に係る本接合工程における中間点S1付近を進行方向後方から見た断面図である。 第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す斜視図である。 第三実施形態に係る本接合工程における終了後を示す斜視図である。 従来の液冷ジャケットの製造方法を示す断面図である。
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法は、ジャケット本体2と、封止体3とを摩擦攪拌接合して液冷ジャケット1を製造するものである。液冷ジャケット1は、封止体3の上に発熱体(図示省略)を設置するとともに、内部に流体を流して発熱体と熱交換を行う部材である。なお、以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面という意味である。
本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法は、準備工程と、載置工程と、本接合工程と、を行う。以下、それぞれの工程について順に説明する。
(準備工程)
準備工程は、ジャケット本体2と封止体3とを準備する工程である。ジャケット本体2は、底部10と、周壁部11とで主に構成されている。ジャケット本体2は、アルミニウム合金を主に含んで形成されている。アルミニウム合金は、例えば、JISH5302 ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。
図1に示すように、底部10は、平面視矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。周壁部11の内周縁には段差部12が形成されている。段差部12は、段差底面12aと、段差底面12aから立ち上がる段差側面12bとで構成されている。
図2に示すように、段差側面12bは、段差底面12aから開口部に向かって垂直に立ち上がっている。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。また、周壁部11の端面11aには、段差側面12bに沿う凸部20が内周縁全体に亘って形成されている。凸部20の断面形状は特に制限されないが、本実施形態では矩形になっている。凸部20の大きさ及び位置は、本接合工程後に第一突合せ部J1に金属不足が発生しないようにすることが好ましい。なお、凸部20は省略してもよい。
封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する板状部材である。封止体3はクラッド材であり、下側の第一基体部31が第二アルミニウム合金、上側の第二基体部32が銅又は銅合金によって形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。なお、本明細書において硬度はブリネル硬さをいい、JIS Z 2243に準じた方法によって測定することができる。
封止体3の少なくとも下側の第一基体部31には、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように、側面31cに傾斜が設けられている。以降、封止体3の裏面3bの法線方向に対する、封止体3の下側の第一基体部31の側面31cの傾斜角度をθとする。本実施形態においては、第一基体部31と第二基体部32を圧延接合して封止体3とした後に、封止体3の側面3c(第一基体部31の側面31cおよび第二基体部32の側面32c)全体に傾斜を設けている。
封止体3の裏面3bは、この後の載置工程でジャケット本体2の段差底面12aに載置したときに、概ね隙間なく段差底面12aを覆う大きさになっている。封止体3の板厚は、段差側面12bの高さ寸法と同等でもよいが、本実施形態では、段差側面12bの高さ寸法よりも大きくなっている。
(載置工程)
載置工程は、図2に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程では、段差底面12aに封止体3の裏面3bを載置する。段差側面12bと封止体3の側面3cとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成される。封止体3の下側の第一基体部31の側面31cには傾斜が設けられているため、側面31cと段差側面12bとの間には断面V字状の隙間が形成されている。また、段差底面12aと、封止体3の裏面3bとが突き合わされて第二突合せ部J2が形成される。本実施形態では、封止体3を載置すると、封止体3の下側の第一基体部31と上側の第二基体部32の境界が、周壁部11の端面11aよりも高い位置となる。
(本接合工程)
本接合工程は、図3〜図8に示すように、回転ツールFを用いてジャケット本体2と封止体3とを摩擦攪拌接合する工程である。
(回転ツール)
回転ツールFは、図3に示すように、基軸部F1と攪拌ピンF2とを含んで構成されている。回転ツールFは、例えば、工具鋼で形成されている。基軸部F1は、摩擦攪拌装置(図示省略)の回転軸に連結される部位である。基軸部F1は円柱状を呈する。
攪拌ピンF2は、基軸部F1から垂下しており、基軸部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は基軸部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の先端には平坦な平坦面F3が形成されている。平坦面F3は、回転中心軸線Cに対して垂直である。以上のように、攪拌ピンF2の外面は、先細りとなる外周面と、先端に形成された平坦面F3とで構成されている。側面視した場合において、回転中心軸線Cと攪拌ピンF2の外周面とのなす傾斜角度αは、例えば5°〜30°の範囲で適宜設定すればよい。
攪拌ピンF2の外周面には長さ方向の全体に亘って螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、螺旋溝が形成されている領域の長さ寸法を、周壁部11の段差側面11bの高さ寸法よりも大きく設定している。
本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝は、基端側から先端側に向かうにつれて左回りに形成されている。言い換えると、螺旋溝は、螺旋溝を基端側から先端側に向けてなぞると上から見て左回りに形成されている。
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端側から先端側に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。言い換えると、この場合の螺旋溝は、螺旋溝を基端側から先端側に向けてなぞると上から見て右回りに形成されている。螺旋溝をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、被接合金属部材(ジャケット本体2及び封止体3)の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
(回転ツールの移動)
まず、回転ツールFの平坦面F3の中心が通過するルートである「設定移動ルートL1」を設定する。図4に示すように、設定移動ルートL1は、一点鎖線で示している。設定移動ルートL1は、本実施形態では凸部20の上に設定している。なお、設定移動ルートL1については後記する。
図4に示すように、本接合工程では、開始位置SP1から中間点S1までの押入区間と、中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP1までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌接合する。中間点S1,S2は、設定移動ルートL1上に設定されている。開始位置SP1は、周壁部11の端面11a上において、設定移動ルートL1よりも外側に設定されている。本実施形態では、開始位置SP1を、開始位置SP1と中間点S1とを結ぶ線分と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となる位置に設定する。
本接合工程の押入区間では、図5に示すように、開始位置SP1から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の端面11aに対して回転中心軸線Cを垂直にしつつ、右回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP1に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、図5に示すように、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく。つまり、回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを設定移動ルートL1に移動させながら徐々に下降させていく。
中間点S1に達した際、攪拌ピンF2は所定の深さに到達している。「所定の深さ」とは、設定移動ルートL1上の中間点S1から中間点S2までの本区間において攪拌ピンF2を差し込む深さをいう。所定の深さは、本実施形態では、図6に示すように、ジャケット本体2の周壁部11と回転ツールFの基軸部F1とは離間させ、攪拌ピンF2のみを周壁部11に挿入し、攪拌ピンF2の外周面と封止体3の下側の第一基体部31の側面31cとがわずかに接触した状態となるように設定する。また、本実施形態では、回転ツールFの平坦面F3が段差底面12aよりも高い位置となるように所定の深さを設定している。
中間点S1に到達した回転ツールFは、所定の深さを維持したまま、本区間の摩擦攪拌接合に移行する。攪拌ピンF2の外周面と第一基体部31の側面31cとの接触代(オフセット量)Nは、例えば、0<N≦1.0mmの間で設定し、好ましくは0<N≦0.85mmの間で設定し、より好ましくは0<N≦0.65mmの間で設定する。
設定移動ルートL1は、第一突合せ部J1の周方向において、攪拌ピンF2を押入した際に、封止体3の下側の第一基体部31の側面31cと、攪拌ピンF2の外周面とを平行にしつつ、両者をわずかに接触させるように適宜設定する。本実施形態では、凸部20の表面(上面)に設定移動ルートL1を設定している。
本接合工程では、周壁部11の段差側面11bと封止体3の下側の第一基体部31の側面31cとの間の断面V字状の隙間に塑性流動材を流入させながら摩擦攪拌接合を行う。このとき、少なくとも攪拌ピンF2の外周面と封止体3の第一基体部31との接触により、第一基体部31の第二アルミニウム合金がわずかに削り取られ、第二アルミニウム合金がジャケット本体2側に混入する。
設定移動ルートL1に沿って回転ツールFを一周させ、攪拌ピンF2が中間点S2に到達した後、回転ツールFはそのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、図7に示すように、中間点S2から終了位置EP1に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に引抜いていき、終了位置EP1でジャケット本体2から攪拌ピンF2を離脱させる。つまり、図8に示すように回転ツールFを一ヶ所に留まらせることなく、回転ツールFを終了位置EP1に移動させながら徐々に引抜いていく。
本実施形態では、終了位置EP1を周壁部11の端面11aにおいて、設定移動ルートL1よりも外側に設定している。また、本実施形態では、終了位置EP1を、終了位置EP1と中間点S2とを結ぶ線分と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となる位置に設定している。回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域W1が形成される。
以上説明した本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、ジャケット本体2と攪拌ピンF2との摩擦熱によって第一突合せ部J1の主としてジャケット本体2側の第一アルミニウム合金が攪拌されて塑性流動化され、第一突合せ部J1においてジャケット本体2の段差側面12bと封止体3の側面3c(第一基体部31の側面31c)とを接合することができる。また、攪拌ピンF2の外周面を封止体3の側面3cにわずかに接触させるに留めるため、封止体3からジャケット本体2への第二アルミニウム合金の混入を極力少なくすることができる。
これにより、第一突合せ部J1においては主としてジャケット本体2側の第一アルミニウム合金が摩擦攪拌されるため、接合強度の低下を抑制することができる。また、本実施形態では、封止体3のうち銅又は銅合金で形成された第二基体部32と回転ツールFとを接触させないため、銅又は銅合金がジャケット本体2側に混入することはない。また、封止体3の側面3cに傾斜を設けることで、当該側面3cと回転ツールFとの接触代を小さくすることができる。
また、本接合工程では、封止体3の裏面3bの法線方向に対する封止体3の側面3cの傾斜角度をθとし、攪拌ピンF2の外周面の回転中心軸線Cに対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行う。換言すると、攪拌ピンF2の外周面と、封止体3の側面3c(第一基体部31の側面31c)とを平行にした状態で摩擦攪拌接合を行うことができるため、高さ方向に亘ってバランス良く摩擦攪拌接合を行うことができる。
また、本実施形態では、攪拌ピンF2のみをジャケット本体2に接触させるため、ショルダ部を接触させる場合と比べて摩擦攪拌装置に作用する荷重を軽減することができる。
また、本接合工程において、開始位置SP1及び終了位置EP1の位置は適宜設定すればよいが、開始位置SP1と設定移動ルートL1とのなす角度、終了位置EP1と設定移動ルートL1とのなす角度が鈍角となるように設定することにより、中間点S1,S2で回転ツールFの移動速度が低下することなくスムーズに本区間又は離脱区間に移行することができる。これにより、設定移動ルートL1上で回転ツールFが停止又は移動速度が低下することにより、摩擦熱が過大となることを防ぐことができる。なお、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように開始位置SP1から設定移動ルートL1に回転ツールFを移動させてもよい。同様に、上方から見て回転ツールFの軌跡が円弧を描くように設定移動ルートL1から終了位置EP1に回転ツールFを移動させてもよい。
また、回転ツールFを設定移動ルートL1と重複する位置まで移動させながら所定の深さとなるまで攪拌ピンF2を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、回転ツールFを移動させながら攪拌ピンF2を徐々に引抜いていくことにより、設定移動ルートL1上で摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、設定移動ルートL1上において、封止体3の第二アルミニウム合金がジャケット本体2側に混入するのを防ぐことができる。
また、封止体3が、下側の第一基体部31を第二アルミニウム合金、上側の第二基体部32を銅又は銅合金によって形成されたクラッド材であるため、銅又は銅合金の高い熱伝導性と、アルミニウム合金の軽量性を兼ね備えた液冷ジャケット1とすることができる。また、ジャケット本体2をアルミニウム合金鋳造材で形成しているため、液冷ジャケット1の強度を高めることができる。
また、本接合工程では、攪拌ピンF2と凸部20とを接触させた状態で摩擦攪拌を行うため、第一突合せ部J1の金属不足を防ぐことができる。また、本接合工程では、回転ツールFの回転方向及び進行方向は適宜設定すればよいが、回転ツールFの移動軌跡に形成される塑性化領域Wのうち、封止体3側がシアー側となり、ジャケット本体2側がフロー側となるように回転ツールFの回転方向及び進行方向を設定した。これにより、第一突合せ部J1の周囲における攪拌ピンF2による攪拌作用が高まり、第一突合せ部J1における温度上昇が期待でき、第一突合せ部J1において段差側面12bと封止体3の側面3cとをより確実に接合することができる。
なお、シアー側(Advancing side)とは、被接合部に対する回転ツールFの外周の相対速度が、回転ツールFの外周における接線速度の大きさに移動速度の大きさを加算した値となる側を意味する。一方、フロー側(Retreating side)とは、回転ツールFの移動方向の反対方向に回転ツールFが回動することで、被接合部に対する回転ツールFの相対速度が低速になる側を言う。
また、封止体3の板厚寸法を、段差側面12bの高さ寸法よりも大きく設定している。これにより、封止体3に配置される発熱体の熱交換効率を高めることができる。
また、攪拌ピンF2の外周面に螺旋溝を設け、当該螺旋溝が形成されている領域の長さ寸法を、段差側面12bの高さ寸法よりも大きくしているため、第一突合せ部J1の高さ方向全体に亘って効率よく摩擦攪拌接合を行うことができる。
なお、本接合工程では、回転ツールFの回転速度を一定としてもよいが、可変させてもよい。本接合工程の押入区間において、開始位置SP1における回転ツールFの回転速度をV1とし、本区間における回転ツールFの回転速度をV2とすると、V1>V2としてもよい。回転速度V2は、設定移動ルートL1における予め設定された一定の回転速度である。つまり、開始位置SP1では、回転速度を高く設定しておき、押入区間内で徐々に回転速度を低減させながら本区間に移行してもよい。
また、第一本接合工程の離脱区間において、本区間における回転ツールFの回転速度をV2、終了位置EP1において離脱させるときの回転ツールFの回転速度をV3とすると、V3>V2としてもよい。つまり、離脱区間に移行したら、終了位置EP1に向けて徐々に回転速度を上げながら周壁部11から回転ツールFを離脱させてもよい。回転ツールFを周壁部11に押し入れる際又は離脱させる際に、前記のように設定することで、押入区間又は離脱区間時における少ない押圧力を、回転速度で補うことができるため、摩擦攪拌を好適に行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、第一実施形態と同一である。
本実施形態は、図9に示すように、本接合工程の本区間における回転ツールFの「所定の深さ」が、第一実施形態よりも深くなっている。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
本実施形態に係る本接合工程の本区間では、図9に示すように、攪拌ピンF2の平坦面F3が、段差底面12aの高さよりも深くなるように所定の深さを設定している。
以上説明した本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、第二突合せ部J2周りを確実に摩擦攪拌できるため、接合強度を高めることができる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態では、図10に示すように、本接合工程における開始位置SP1及び終了位置EP1の位置をいずれも設定移動ルートL1上に設定する点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
本実施形態に係る液冷ジャケットの製造では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。準備工程及び載置工程は、第一実施形態と同一である。
本接合工程では、図10に示すように、開始位置SP2を設定移動ルートL1上に設定する。本接合工程では、開始位置SP2から中間点S1までの押入区間と、中間点S1から一周廻って中間点S2までの本区間と、中間点S2から終了位置EP2までの離脱区間の三つの区間を連続して摩擦攪拌する。
押入区間では、開始位置SP2から中間点S1までの摩擦攪拌を行う。押入区間では、周壁部11の端面11aに対して回転中心軸線Cを垂直となるようにしつつ、右回転させた攪拌ピンF2を開始位置SP2に挿入し、中間点S1まで移動させる。この際、少なくとも中間点S1に到達するまでに予め設定された「所定の深さ」に達するように攪拌ピンF2を徐々に押し入れていく(図5参照)。
押入区間における、中間点S1に達した際の攪拌ピンF2の外周面と封止体3の下側の第一基体部31の側面31cとの接触代N、および所定の深さは第一実施形態と同様である。
図11に示すように、回転ツールFを一周させて攪拌ピンF2が中間点S2に到達したら、そのまま離脱区間に移行する。離脱区間では、中間点S2から終了位置EP2に向かうまでの間に攪拌ピンF2を徐々に引き抜いて、設定移動ルートL1上に設定された終了位置EP2でジャケット本体2から攪拌ピンF2を離脱させる。
以上説明した本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。第三実施形態に係る本接合工程の押入区間では、回転ツールFを設定移動ルートL1上で移動させつつ所定の深さとなるまで攪拌ピンF2を徐々に押入することにより、設定移動ルートL1上の一点で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。また、第三実施形態に係る本接合工程の離脱区間では、回転ツールFを設定移動ルートL1上で移動させつつ攪拌ピンF2を徐々に引抜いていくことにより、設定移動ルートL1上の一点で回転ツールFが停止して摩擦熱が過大になるのを防ぐことができる。これにより、設定移動ルートL1において、封止体3の第二アルミニウム合金が、ジャケット本体2側に混入するのを防ぐことができる。
なお、第三実施形態における本接合工程の本区間では、第一実施形態のように攪拌ピンF2の平坦面F3が、段差底面12aに達しないように所定の深さを設定してもよいし、第二実施形態のように攪拌ピンF2の平坦面F3が段差底面12aよりも下方に位置するように設定してもよい。攪拌ピンF2の平坦面F3を段差底面12aよりも下方に位置させることで接合強度をより高めることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、適宜設計変更が可能である。例えば、前記した各実施形態において、段差側面12bは、開口部に向かって外側に広がるように傾斜させてもよい。この場合、本接合工程では、傾斜した段差側面12bと封止体3の側面3cとの間の隙間を塑性流動材で埋めながら摩擦攪拌接合を行う。
1 液冷ジャケット
11 周壁部
12 段差部
2 ジャケット本体
3 封止体
3b 裏面(封止体)
31 第一基体部(封止体)
32 第二基体部(封止体)
F 回転ツール
F1 基軸部
F2 攪拌ピン
F3 平坦面
J1 第一突合せ部
J2 第二突合せ部
W 塑性化領域
L1 設定移動ルート
SP1,SP2 開始位置
EP1,EP2 終了位置

Claims (11)

  1. 底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
    前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、
    前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、
    前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、
    前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
    回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させるとともに、前記封止体の側面にもわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、
    前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記設定移動ルートよりも外側に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部の端面から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記周壁部から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  2. 底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
    前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、
    前記攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、
    前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、
    前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
    回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させるとともに、前記封止体の側面にもわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、
    前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度をαとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  3. 底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
    前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、
    前記攪拌ピンは、先細りとなるように傾斜する外周面を備えるとともに平坦な先端面を備え、
    前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、
    前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
    回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させ、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面の高さよりも深く挿入するとともに、前記攪拌ピンの前記外周面を前記封止体の側面にわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、
    前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度αとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記設定移動ルートよりも外側に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部の端面から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記周壁部から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  4. 底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を備えるジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体と、を攪拌ピンを備える回転ツールを用いて接合する液冷ジャケットの製造方法であって、
    前記ジャケット本体は第一アルミニウム合金によって形成されており、前記封止体は下側が第二アルミニウム合金、上側が銅又は銅合金によって形成されているクラッド材であり、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度の高い材種であり、
    前記攪拌ピンは、先細りとなるように傾斜する外周面を備えるとともに平坦な先端面を備え、
    前記ジャケット本体について、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成するとともに、前記封止体について、下側から上側に向かって平面視面積が縮小するように少なくとも第二アルミニウム合金の下側の側面に傾斜を設ける準備工程と、
    前記ジャケット本体に前記封止体を載置し、前記段差側面と前記封止体の側面とを突き合わせてV字の隙間を有する第一突合せ部を形成するとともに、前記段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
    回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンのみを前記ジャケット本体に接触させ、回転する前記回転ツールの前記攪拌ピンの先端を前記段差底面の高さよりも深く挿入するとともに、前記攪拌ピンの前記外周面を前記封止体の側面にわずかに接触させた状態で、前記周壁部の端面に予め設定した設定移動ルートに沿って前記回転ツールを一周させて摩擦攪拌接合を行う本接合工程と、を含み、
    前記本接合工程では、前記封止体の裏面の法線方向に対する前記封止体の側面の傾斜角度をθとし、前記攪拌ピンの外周面の回転中心軸線に対する傾斜角度αとすると、θ=αにした状態で摩擦攪拌接合を行うとともに、前記本接合工程において、前記設定移動ルート上に終了位置を設定し、前記第一突合せ部に対する摩擦攪拌接合の後、前記回転ツールを前記終了位置に移動させつつ前記攪拌ピンを前記周壁部から徐々に引き抜いて前記終了位置で前記封止体から前記回転ツールを離脱させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  5. 前記準備工程では、前記周壁部の端面に、前記段差側面に沿う凸部を形成し、
    前記本接合工程では、前記攪拌ピンと前記凸部とを接触させた状態で摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  6. 前記封止体の板厚を、前記段差側面の高さ寸法よりも大きくすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  7. 前記攪拌ピンの外周面に螺旋溝を設け、当該螺旋溝が形成されている領域の長さ寸法を、前記段差側面の高さ寸法よりも大きくすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  8. 前記第一アルミニウム合金は鋳造材で形成され、第二アルミニウム合金は展伸材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  9. 前記回転ツールの外周面に基端側から先端側に向かうにつれて左回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを右回転させ、
    前記回転ツールの外周面に基端側から先端側に向かうにつれて右回りの螺旋溝を刻設した場合、前記回転ツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  10. 前記本接合工程では、前記回転ツールの移動軌跡に形成される塑性化領域のうち、前記ジャケット本体側がフロー側となり、前記封止体側がシアー側となるように前記回転ツールの回転方向及び進行方向を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  11. 前記準備工程では、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって広がるように斜めに立ち上がる段差側面と、を有する段差部を形成し、
    前記本接合工程では、前記段差側面と前記封止体の側面との間の隙間を塑性流動材で埋めることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
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