JP2021109904A - 水性インクジェットインク、画像形成方法 - Google Patents

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孝由 戸枝
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【課題】低臭気性であり、吐出性に優れ、低吸収性基材または非吸収性基材に高精細な画像を形成できる水性インクジェットインクを提供すること。【解決手段】本発明に係る水性インクジェットインクは、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤と、一般式(1)で表されるエーテル化合物と、を含有する。【化1】(式(1)中、R1、R2のいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であり、R3は水素原子またはメチル基であり、n、mは、n+m≦45を満たす整数である)【選択図】図1

Description

本発明は、水性インクジェットインク、画像形成方法に関する。
近年、インクジェット記録方式は、簡便・安価に画像を作成できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されている。
インクジェット記録方式で用いられるインクジェットインクには、水と水よりも少ない含有量の有機溶剤を含む水性インク、有機溶剤を含むが実質的に水を含まない非水系インク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク、印字後に活性光線を照射されることにより硬化する活性光線硬化性インク等、複数の種類があり、これらのインクは用途に応じて使い分けられている。
この中で、水性インクは一般に臭気が少なく安全性が高い点から家庭用プリンタなどに広く用いられる。
たとえば、特許文献1には、水溶性有機溶剤および湿潤剤を含む水性インクジェットインクが記載されている。上記水性インクジェットインクは、ビニルエーテル系の湿潤剤を含有することにより、インク中の水分量を少なくすることができるので、普通印刷紙に当該インクを用いた場合であってもカールを抑制し、高品位な画像を形成することができるとされている。
また、特許文献2には、アリルエーテルを含有するインクジェット用の油性インクが記載されている。上記油性インクは、アリルエーテルを含有することにより印刷中に発生するVOCの量を低減でき、上記アリルエーテルの含有量を油性媒質に対して30質量%以上とすることにより浸透性記録媒体に対する印刷において、初期の印刷濃度を維持することができるとされている。
特開2014−173083号公報 特開2018−123244号公報
本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載の水性インクでは、インクの吐出性は良好であったが、湿潤剤として沸点の高いビニルエーテル化合物を多量に含んでいるため、記録媒体上での乾燥が遅く、高速印刷に用いることができなかった。また、乾燥後の画像から、ビニルエーテル化合物の特有の臭気が発生することがあった。
また、特許文献2に記載の油性インクでは、水性インクよりも記録媒体への浸透力が大きいため、にじみ、裏抜けが大きく、高精細な画像を得ることができなかった。また、水性インクに、特許文献2に記載のアリルエーテルを含有すると吐出性が悪くなり、高精細な画像を形成できないことがあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、低臭気性であり、吐出性に優れ、高精細な画像を形成できる水性インクジェットインクを提供することを第1の目的とする。また、本発明は、当該水性インクジェットインクを低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成するための画像形成方法を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る水性インクジェットインクは、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤と、一般式(1)で表されるエーテル化合物と、を含有する。
Figure 2021109904
(式(1)中、R、Rのいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、n、mは、n+m≦45を満たす整数である)
また、上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成方法は、インクジェットヘッドから、上記水性インクジェットインクの液滴を吐出して、低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成する。
上記課題を解決するため、本発明は、低臭気性であり、吐出性に優れ、高精細な画像を形成できる水性インクジェットインクを提供することができる。また、本発明は、当該水性インクジェットインクを低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成するための画像形成方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の例示的な構成を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.水性インクジェットインク
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤と、一般式(1)で表されるエーテル化合物と、を含有する。
Figure 2021109904
(式(1)中、R、Rのいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、n、mは、n+m≦45を満たす整数である)
1−1.有機溶剤
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類を含み、アルカンジオール類を少なくとも1種類を含むことが好ましい。
上記エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類を含むことにより、水性インクジェットインクに一般式(1)で表されるエーテル化合物を可溶化させやすくなり、上記エーテル化合物が界面活性剤として作用し得るので、上記水性インクジェットインクの吐出を安定させることができる。
本実施形態に係る水性インクジェットインクは、さらにアルカンジオール類の少なくとも1種類を含むことが好ましい。
(アルカンジオール類)
上記アルカンジオール類の例には、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
上記アルカンジオール類の中では、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールであることが好ましい。これらを有機溶剤として用いることにより、水性インクジェットインク中への界面活性剤の溶解性を向上させることができるので、上記水性インクジェットインクの吐出性を安定させることができる。
また、有機溶剤として、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコール、1−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコールグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリブチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールを含む多官能グリコールメタノールなどを含むことができる。
なお、上述した有機溶剤は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記有機溶剤の沸点は250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。上記有機溶剤の沸点が250℃以下であると、乾燥性が早いので高速印刷に対応しやすい。
また、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤の含有量は、水性インクジェットインクの全質量に対して、10.0質量%以上50.0質量%以下であり、20.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましい。有機溶剤の含有量が水性インクジェットインクの全質量に対して10.0質量%以上であることにより、水性インク中に、式(1)で表されるエーテル化合物(後述)を可溶化させやすくなり、上記エーテル化合物が界面活性剤として作用し得るので、吐出性に優れる。これにより、低吸収性基材または非吸収性基材に対する、水性インクの濡れ性が向上するので高精細な画像を形成できる。
また、有機溶剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤と、上記4種類以外の有機溶剤との合計含有量は、5質量%以上55質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。有機溶剤の合計含有量が水性インクジェットインクの全質量に対して40質量%以下とすることにより、吸水性記録媒体だけでなく非吸水性記録媒体に対しても十分な濡れ性も有し、ビーディングの発生を抑制することができる。これにより、高精細な画像を形成できる。
1−2.エーテル化合物
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、一般式(1)で表されるエーテル化合物を含有する。
Figure 2021109904
(式(1)中、R、Rのいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、n、mは、n+m≦45を満たす整数である)
本実施形態に係る一般式(1)で表されるエーテル化合物は、上記mが、0であることが好ましい。上記mが0であるエーテル化合物は、上記エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとの相溶性に優れるため、上記エーテル化合物が、水性インク中で界面活性剤として作用し、インクの吐出性を向上させることができる。これにより、低吸収性基材または非吸収性基材に対する、水性インクの濡れ性が向上するので高精細な画像を形成できる。
また、上記エーテル化合物は上記有機溶剤の存在下で用いることにより界面活性剤として作用することができる。これにより、インクジェット装置のノズル末端への配列、分子膜形成が容易になり、インクの乾燥を抑制し得る。これにより、水性インクジェットインクの吐出を安定させることができる。
一般式(1)で表されるエーテル化合物の含有量は、水性インクジェットインクの全質量に対して0.001質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.001質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましく、0.001質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。上記エーテル化合物の含有量を15.0質量%以下とすることにより、上記水性インクの粘度が高くなるのを抑制して、インクの吐出性を向上させることができる。また、上記エーテル化合物の含有量を15.0質量%以下とすることにより、低吸収性基材または非吸収性基材に対する、水性インクの濡れ性を向上させるので高精細な画像を形成できる。また、上記エーテル化合物の含有量が15.0質量%以下であると、印刷物にエーテル化合物が残存する割合が減少するので、臭気の発生を抑制することができる。また、上記エーテル化合物の含有量が15.0質量%以下であると、乾燥速度が向上するので高速印刷に対応することができる。
一般式(1)で表されるエーテル化合物のn、mは、n+m≦45を満たす整数であり、n+m≦15を満たす整数であることが好ましい。また、上記エーテル化合物のn、mは、4≦n+m≦45であることが好ましく、6≦n+m≦15であることがより好ましい。上記エーテル化合物の繰り返し単位(n+m)が4以上であると、上記エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールとの相溶性に優れるため、上記エーテル化合物が、水性インク中で界面活性剤として作用し、インクの吐出性を向上させることができる。また、上記エーテル化合物の繰り返し単位が45以下であると、非吸水性媒体に対する濡れ性の低下および泡に対する吸着性低下による消泡性効果の低減を抑制することができる。また、上記アリルエーテルの繰り返し単位(n+m)が15以下であると、繰り返し単位(n+m)が15以上の高分子量のエーテル化合物と比較して分子運動が容易であるので、インクが吐出される動きに応じてインク中を移動しやすいので吐出性を向上させることができる。
上記エーテル化合物の市販品の例には、ユニオックス PKA−5001、PKA−5002、PKA−5003、PKA−5004、PKA−5005、PKA−5006、PKA−5007、PKA−5008、PKA−5009、PKA−5010(いずれも日油化学株式会社製、「ユニオックス」は同社の登録商標)、ユニセーフPKA−5011、PKA−5011、PKA−5012(いずれも日油化学株式会社製、「ユニセーフ」は同社の登録商標)、ユニルーブPKA−5013(日油化学株式会社製、「ユニルーブ」は同社の登録商標)が含まれる。
1−3.水不溶性樹脂
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクには、水不溶性樹脂を含むことが好ましい。水不溶性樹脂の例には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が含まれる。なお、「水不溶性樹脂」とは、弱酸性または弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10(25℃)の水溶液に対する溶解度が0.5%以下の樹脂のことをいう。
(ウレタン樹脂)
水不溶性樹脂に含有されるウレタン樹脂としては、親水基を有するものが用いられる。上記親水基の例には、カルボキシ基(−COOH)およびその塩、スルホン酸基(−SOH)およびその塩等が含まれる。上記塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アミン塩等が含まれる。上記親水基の中では、カルボキシ基またはその塩が好ましい。
ウレタン樹脂は、分子内に水溶性官能基を有する自己乳化型ポリウレタンを分散させた水分散体、または界面活性剤を併用して強力な機械剪断力の下で乳化した強制乳化型ポリウレタンの水分散体であることが好ましい。上記水分散体におけるポリウレタン樹脂は、ポリオールと有機ポリイソシアネートおよび親水基含有化合物との反応により得ることができる。
上記ウレタン樹脂の水分散体の調製に使用し得るポリオールの例には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールなどが含まれる。
ポリエステルポリオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール等の低分子ポリオール;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、テトラヒドロフラン酸、エンドメチンテトラヒドロフラン酸、ヘキサヒドロフタル酸などの多価カルボン酸との縮合物が含まれる。
ポリエーテルポリオールの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンポリテトレメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが含まれる。
ポリカーボネートポリオールの例には、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲン等の炭酸誘導体と、ジオールとの反応により得ることができる。上記ジオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
また、ウレタン樹脂の水分散体の調製に使用し得る有機ポリイソシアネートの例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)などの脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI、H12MDI)などの脂環式イソシアネートが含まれる。これらは、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、ウレタン樹脂の水分散体の調製に使用し得る親水基含有化合物の例には、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、グリシンなどのカルボン酸含有化合物、およびそのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩などの誘導体;タウリン(即ち、アミノエチルスルホン酸)、エトキシポリエチレングリコールスルホン酸などのスルホン酸含有化合物、およびそのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩等の誘導体が含まれる。
ウレタン樹脂は、公知の方法により得ることができる。たとえば、上述したポリオールと有機ポリイソシアネートと、親水基含有化合物とを混合し、30〜130℃で30分〜50時間反応させることにより、ウレタンプレポリマーを得ることができる。
上記ウレタンプレポリマーは、鎖伸長剤により伸長してポリマー化することで、親水基を有するポリウレタン樹脂となる。鎖伸長剤としては、水および/またはアミン化合物であることが好ましい。鎖伸張剤として水やアミン化合物を用いることにより、遊離イソシアネートと短時間で反応して、イソシアネート末端プレポリマーを効率よく伸長させることができる。
鎖伸長剤としてのアミン化合物の例には、エチレンジアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;メタキシレンジアミン、トルイレンジアミンなどの芳香族ポリアミン;ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等のポリヒドラジノ化合物等が含まれる。上記アミン化合物には、上記ポリアミンとともに、ポリマー化を大きく阻害しない程度で、ジブチルアミンなどの1価のアミンやメチルエチルケトオキシム等を反応停止剤として含んでいてもよい。
なお、ウレタンプレポリマーの合成においては、イソシアネートと不活性であり、ウレタンプレポリマーを溶解しうる溶媒を用いてもよい。これらの溶媒の例には、ジオキサン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が含まれる。反応段階で使用されるこれらの親水性有機溶剤は、最終的に除去されるのが好ましい。
また、ウレタンプレポリマーの合成においては、反応を促進させるために、アミン触媒(例えば、トリエチルアミン、N−エチルモルフォリン、トリエチルジアミン等)、スズ系触媒(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、オクチル酸スズ等)、チタン系触媒(例えば、テトラブチルチタネート等)などの触媒を添加してもよい。
ウレタン樹脂の分子量は、分岐構造や内部架橋構造を導入して可能な限り大きくすることが好ましく、分子量50000〜10000000であることが好ましい。分子量を上記範囲内にすることにより、ウレタン樹脂が溶剤に溶けにくくなるので、耐候性、耐水性に優れた塗膜が得られるからである。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される値であり、例えば、株式会社島津製作所製「RID−6A」(カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL」、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、カラム温度:40℃)を用いて、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から求めることができる。
また、ウレタン樹脂は市販品を用いてもよい。上記ウレタン樹脂の市販品の例には、WBR−016U(大成ファインケミカル株式会社製)、スーパーフレックス620、スーパーフレックス650、スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE−2000(いずれも第一工業製薬株式会社製、「スーパーフレックス」は同社の登録商標)、パーマリンUC−20(三洋化成工業株式会社製、「パーマリン」は同社の登録商標)、パラサーフUP−22(大原パラヂウム化学株式会社製)などが含まれる。
また、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が樹脂の一部分を形成している複合樹脂を用いてもよい。複合樹脂の例にはウレタンアクリル樹脂などがあり、市販品の例には、WEM−202U(大成ファインケミカル株式会社製)などが含まれる。
水不溶性樹脂としては、ウレタン樹脂が樹脂の一部分を形成している複合樹脂であることがより好ましい。複合樹脂を用いることにより、吐出安定性と基材密着性とを有する水性インクジェットインクを得ることができる。
また、上述した水不溶性樹脂を水性インクジェットインクに含有することにより、低吸収性基材または非吸収性基材に対する画像(塗膜)の定着性を向上させることができる。とくに、一般式(1)で表される界面活性剤を用いることにより、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの低吸収性基材または非吸収性基材に対して均一に濡れ広がりやすくすることができるので、低吸収性基材または非吸収性基材に対する画像(塗膜)の定着性を向上させることができる。
(アクリル樹脂)
本発明においては、水不溶性樹脂としてアクリル樹脂を用いてもよい。上記アクリル樹脂はアクリル酸エステル成分、メタクリル酸エステル成分、またスチレン成分等との共重合体を用いて得ることができる。
アクリル酸エステル成分、メタクリル酸エステル成分の例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸、ジ(メタ)アクリル酸(ジ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオ−ル、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオ−ル、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロ−ルプロパン、ジ(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、アクリルアミド等が含まれる。
スチレン成分の例には、スチレン、4−メチルスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−アセチルスチレン及びスチレンスルホン酸などが含まれる。これらの成分は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、1000〜50000であることが好ましく、2000〜20000であることがより好ましい。上記ポリアクリル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上であると、塗膜の凝集力が強くなり、密着性が向上し、50000以下であると、有機溶剤に対する溶解性が良く、乳化分散体の粒子径の微小化が促進されるからである。なお、数平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される値であり、例えば、株式会社島津製作所製「RID−6A」(カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL」、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、カラム温度:40℃)を用いて、ポリスチレン標準試料で作成した検量線から求めることができる。
また、上記アクリル樹脂としては、市販品を用いてもよい。上記アクリル樹脂の市販品の例には、SE−841A(大成ファインケミカル株式会社製)、デルペット60N、80N(旭化成株式会社製、「デルペット」は同社の登録商標)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱ケミカル株式会社製、「ダイヤナール」は同社の登録商標)、KT75(デンカ株式会社製)、またはビニブラン2680、2682、2684、2685(日信化学工業株式会社製、「ビニブラン」は同社の登録商標)などのアクリル系エマルジョン等が含まれる。
なお、本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、水不溶性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。
1−4.界面活性剤
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、エーテル化合物以外の界面活性剤を含むことが好ましい。上記界面活性剤の例には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性、ベタイン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤などが含まれる。上記界面活性剤の中では、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
(シリコーン系界面活性剤)
シリコーン系界面活性剤の市販品の例には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−LPX23288(いずれもビックケミー社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(いずれも信越化学工業株式会社製)、TEGOWET240、245、250、260、265、270、280(いずれもエボニックデグサ社製、「TEGO」は同社の登録商標)が含まれる。
(アセチレングリコール系界面活性剤)
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品の例には、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(いずれもエボニックジャパン社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(いずれも日信化学工業株式会社製、「オルフィン」は同社の登録商標)、アセチレノールE00、E13T、E40、E60、E100、E200(川研ファインケミカル株式会社製、「アセチレノール」は同社の登録商標)が含まれる。
上記界面活性剤は、上記水性インクジェットインクの全質量に対して0.001質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1.0質量%以下であることがより好ましい。上記界面活性剤の含有量を水性インクジェットインクの全質量に対して0.001質量%以上とすることにより、インクジェットインクの吐出性を向上させることができる。また、上記界面活性剤の含有量を水性インクジェットインクの全質量に対して5質量%以下とすることにより、水性インクジェットインクの表面張力を低下させ、低吸収性基材または非吸収性基材表面への濡れ広がりが向上させることができる。これにより、高精細な画像を形成することができる。
1−5.色材
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、色材を含んでもよい。なお、色材は、顔料でも染料でもよい。
耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色彩などに応じて、たとえば、黄顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料、緑顔料、および黒顔料から選択することができる。
本発明に使用できる顔料としては、公知の有機および無機顔料を用いることができる。有機および無機顔料の例には、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料;カーボンブラック等の無機顔料が含まれる。
また、有機顔料および無機顔料の例には、カラーインデックスに記載される下記の顔料が含まれる。
赤またはマゼンタ顔料の例には、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、PigmentViolet 3、19、23、29、30、37、50、および88、ならびにPigmentOrange 13、16、20、および36が含まれる。
青またはシアン顔料の例には、pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、および60が含まれる。
緑顔料の例には、Pigment Green 7、26、36、および50が含まれる。
黄顔料の例には、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、および193が含まれる。
黒顔料の例には、Pigment Black 7、26、および28が含まれる。
顔料の含有量は、水性インクジェットインクの全質量に対して0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10.0質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。顔料または染料の含有量が、水性インクジェットインクの全質量に対して0.1質量%以上であると、得られる画像の発色が十分となる。顔料または染料の含有量がインクの全質量に対して15.0質量%以下であると、インクの粘度が高まりすぎず、安定して記録媒体に射出することができる。
1−6.顔料分散剤
上記顔料は、分散剤で分散されていてもよい。
顔料分散剤の例には、界面活性剤および高分子分散剤などが含まれるが、高分子分散剤が好ましい。
高分子分散剤の例には、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種類以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩、ポリオキシアルキレン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が含まれる。
顔料は、さらに必要に応じて分散助剤によって分散性を高められていてもよい。
また顔料の分散樹脂として、共重合樹脂を用いて分散しても良い。
共重合樹脂の例には、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂が含まれる。
分散剤の含有量は、顔料の全質量に対して10.0質量%以上200.0質量%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が顔料の全質量に対して10.0質量%以上であると、顔料の分散安定性が高まり、分散剤の含有量が顔料の全質量に対して200.0質量%以下であると、インクジェットヘッドからのインクの吐出性が安定しやすくなる。
また、上記顔料は、上記顔料分散剤およびその他所望する目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。
分散機の例には、従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が含まれる。上記分散機の中では、分散により製造される水性インクジェットインクの粒度分布をシャープにする観点から、サンドミルによる分散が好ましい。
また、サンドミルによる分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ビーズ径が0.3〜3mmのジルコニアまたはジルコンが好ましい。
なお、分散後の顔料の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器などにより求めることができる。
1−7.その他の成分
上記水性インクジェットインクには、一般式(1)の界面活性剤以外の界面活性剤、pH調整剤、油滴微粒子、紫外線吸収剤、退色防止剤、蛍光増白剤、多糖類、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防ばい剤、防錆剤などを含有してもよい。これらの成分は、1種類のみを単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
2.基材
本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、基材は特に限定されないが、低吸収性基材または非吸収性基材に用いることが好ましい。
本発明でいう低吸収性記録媒体または非吸収性記録媒体とは、下記に示す記録媒体面の水に対する濡れ性の測定結果に基づき定義する。
すなわち、記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって記録媒体の吸収性能の特徴付けを行う。より具体的には、記録媒体の性質としての、非吸収性記録媒体とは上記接触角の低下率が1.0%未満の特性を有する記録媒体のことであり、低吸収性記録媒体とは上記接触角の低下率が1.0%以上、5.0%未満の特性を有する記録媒体のことである。また、吸収性とは上記接触角の低下率が5.0%以上である記録媒体と定義する。接触角は、例えば、ポータブル接触角計「PCA−1」(協和界面科学株式会社製)を用いて測定することができる。
上記低吸収性記録媒体および非吸収性記録媒体として、フィルムを用いることができる。
上記フィルムには、公知のプラスチックフィルムが含まれる。上記プラスチックフィルムの例には、ポリエステル(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ナイロン(NY)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、ポリアクリル酸(PAA)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、およびポリ乳酸フィルムなどの生分解性フィルムなどが含まれる。
ガスバリアー性、防湿性および保香性などを付与するために、フィルムの片面または両面にポリ塩化ビニリデンがコートされていてもよいし、金属酸化物が蒸着されていてもよい。また、フィルムには防曇加工が施されていてもよい。また、フィルムにはコロナ放電及びオゾン処理などが施されていてもよい。
また、上記フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいし、紙などの吸収性の基材の表面にPVAコートなどの層を設けて、記録をすべき領域を非吸収性とした、多層性の基材でもよい。
また、本発明の実施形態に係る水性インクジェットインクは、吸収性基材に用いてもよい。上記吸収性基材の例には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙またはコート紙などの塗工された印刷用紙が含まれる。
3.印刷物
本発明の実施形態に係る印刷物は、インクジェットヘッドから、上記水性インクジェットインクの液滴を吐出して、低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成する画像形成方法(後述)で形成された印刷層を有する。なお、上記印刷層の上層に、例えば、ラミネート接着層を介して非吸水性のフィルム基材等を貼付してもよい。
また、本発明の実施形態に係る印刷物は、インクジェットヘッドから、上記水性インクジェットインクの液滴を吐出して、上記吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成する画像形成方法で形成された印刷層を有していてもよい。
上記印刷物は、上記水性インクジェットインクを用いていることから基材との密着性に優れ、かつ、耐水性に優れた高精細な画像を有する。
4.画像形成方法
本発明の実施形態に係る画像形成方法は、上述の水性インクジェットインクを用いた、画像形成方法である。具体的には、インクジェットヘッドから、上述した水性インクジェットインクの液滴を吐出して、低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて、上記低吸収性基材または非吸収性基材の表面に画像を形成する、画像形成方法である。
上記インクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気−機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(「バブルジェット」はキヤノン株式会社の登録商標)型を含む電気−熱変換方式等が含まれる。
上記インクジェットヘッドの中では、電気−機械変換方式に用いられる電気−機械変換素子として圧電素子を用いたインクジェットヘッド(ピエゾ型インクジェットヘッドともいう)であることが好ましい。
また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよいが、ライン式であることが好ましい。
ライン式のインクジェットヘッドとは、印字範囲の幅以上の長さを持つインクジェットヘッドのことをいう。ライン式のインクジェットヘッドとしては、一つのヘッドで印字範囲の幅以上であるものを用いてもよいし、複数のヘッドを組み合わせて印字範囲の幅以上となるように構成してもよい。
また、複数のヘッドを、互いのノズルが千鳥配列となるように並設して、これらヘッド全体としての解像度を高くしてもよい。
低吸収性基材または非吸収性基材の搬送速度は、例えば、1〜120m/minで設定することができる。搬送速度が速いほど画像形成速度が速まる。本発明によれば、シングルパスのインクジェット画像形成方法で適用可能な、線速50〜120m/minという非常に速い線速でもインクの定着性の高い高精細な画像を得ることができる。
本発明の画像形成方法は、ロール状に収納されるフィルムに対して行うことができる。
5.画像形成装置
本発明の実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、水性インクジェットインクの液滴を吐出して基材上の領域に着弾させるインクジェットヘッドを有するヘッドキャリッジ110、および乾燥器120を有する。
図1では、基材の搬送方向(図中矢印方向)に沿って上流側から、ヘッドキャリッジ110および乾燥器120がこの順に配置されている。
ヘッドキャリッジ110は、例えば、4つのインクジェットヘッド111を搭載しており、それぞれのインクジェットヘッド111が有するノズル112からは、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのインクを吐出して基材130の水性インクジェットインクの液滴を着弾させるべき領域に着弾させる。
乾燥器120は、熱風を吹き付ける温風ドライヤー、および赤外線または電離放射線を照射する照射器などの公知の乾燥器とすることができる。乾燥器120は、ヘッドキャリッジ110の上流に設けられている。
本発明を以下の試験を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の試験に限定されない。
1.インクの調製
(顔料分散液の調製)
18.0質量%の顔料(ピグメントブルー15:3)と、31.5質量%の顔料分散剤(水酸化ナトリウム中和されたカルボキシ基を有するアクリル系分散剤「ジョンクリル819」(酸価:75.0mgKOH/g、固形分:20.0質量%、BASF社製、「ジョンクリル」は同社の登録商標)と、20.0質量%のエチレングリコールと、イオン交換水(残量;全量が100質量%となる量)と、の混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて6時間分散して、顔料分散液(顔料粒子の平均粒子径:110nm)を調製した。なお、上記顔料粒子の平均粒子径の測定は、マルバルーン社製の「ゼータサイザ1000HS」により行った。
(インク1の調製)
17.0質量%の上記顔料分散液に、5.0質量部の水不溶性樹脂「WBR−016U(A−1)」と、5.0質量%のエチレングリコール(B−1)と、10.0質量%のエーテル化合物(C−1)と、0.1質量%の界面活性剤(D−1)および62.0質量%のイオン交換水(残量)を撹拌しながら添加し、得られた混合液を1μmのメンブレンフィルターにより濾過して水性インクジェットインク1を得た。
(インク2〜26の調製)
表1に、上記インク1およびインク2〜9、表2にインク10〜18、表3にインク19〜26の各成分の含有量(単位は質量%)を示す。
表1〜3で示される各略号は次のとおりである。
(樹脂)
A−1:WBR−016U(大成ファインケミカル株式会社製、ウレタン樹脂)
A−2:SE−841A(大成ファインケミカル株式会社製、アクリル樹脂)
(有機溶剤)
B−1 :エチレングリコール
B−2 :プロピレングリコール
B−3 :3−メトキシ−1−ブタノール
B−4 :3−メトキシ−3−メチル1−ブタノール
B−5 :1,3−プロパンジオール
B−6 :2−メチル−1,3−プロパンジオール
B−7 :2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール
B−8 :1,4−ブタンジオール
B−9 :2−メチル−2,4−ペンタンジオール
B−10:3−メチル−1,5−ペンタンジオール
B−11:1,2−ブタンジオール
B−12:1,2−ヘキサンジオール
(エーテル化合物)
C−1:ユニセーフ PKA−5011(n+m=17)
C−2:ユニセーフ PKA−5012(n+m=45)
C−3:ユニオックス PKA−5004(n+m=17)
C−4:ユニオックス PKA−5005(n+m=34)
C−5:ユニオックス PKA−5010(n+m=34)
C−6:ユニオックス PKA−5001(n+m=4)
C−7:ユニオックス PKA−5002(n+m=9)
C−8:ユニオックス PKA−5003(n+m=10)
C−9:ユニオックス PKA−5006(n+m=8)
C−10:ユニオックス PKA−5007(n+m=9)
C−11:ユニオックス PKA−5008(n+m=10)
C−12:ユニオックス PKA−5009(n+m=12)
C−13:ユニルーブ PKA−5013(n+m=45)
C−14:アリルブチルエーテル(東京化成工業株式会社製)
C−15:トリエチレングリコールジビニルエーテル(東京化成工業株式会社製)
(界面活性剤)
D−1:オルフィン E1010(n=10)
D−2:KF351A
D−3:BYK−333
Figure 2021109904
Figure 2021109904
Figure 2021109904
2.評価
調製したインクジェットインク1〜26を用いて、画像1〜26を形成して、それぞれについて画質、吐出性、臭気、および乾燥性の評価を行った。
2−1.評価用の画像形成
評価用の画像1〜26は、以下の方法で形成した。
(画像形成方法)
インク1〜26を、ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録ヘッドを有する画像形成装置(コニカミノルタ株式会社製、360dpi、吐出量14pL)の独立駆動ヘッド二つをノズルが互い違いになるように配置し、720dpi×720dpiのヘッドモジュールを作成し、ステージ搬送機上に、搬送方向にノズル列が直交するように設置した。ヘッドモジュールのインクジェットに、インク1〜26を充填し、ステージ搬送機によって搬送される低吸収性基材または非吸収性基材表面にシングルパス方式でベタ画像を記録できるように画像形成装置を構成した。上記ヘッドを用いて、インクの付量が11.2cc/mである720dpi×720dpiのベタ画像が形成されるように、水性インクジェットインクの液滴を吐出した。なお、基材は、OPPフィルム「FOS」(フタムラ株式会社製)を用いた。
2−2.画質評価
(評価方法)
上記方法で作成したベタ画像を目視にて評価した。なお、下記評価においては、△以上が実用上好ましいと判断した。
(評価基準)
◎:インクの濡れ性が非常に良好であり、濃度ムラがなく均一な画像であり、インクの抜けが観察されない
○:インクの濡れ性が良好であり、濃淡の異なる箇所がわずかにあるが、インクの抜けは観察されない
△:インクの濡れ性がわずかに足りず、インクの抜け落ちている箇所があり、わずかに白抜けが発生している
×:インクの濡れ性が十分でなく、画像中にインクが抜け落ちている箇所が非常に多く、白抜けが目立つ
2−3.吐出性評価
(評価方法)
上記画像を形成するのに用いた画像形成装置を25℃、50RHの条件で1時間放置した後、印字幅100nm×100nm、解像度720×720dpiの条件で、それぞれベタ画像(100%印字)を連続で100枚印字した。その後、液滴量3.5pl、液滴速度7.0m/sec、射出周波数40kHz、印字率100%となる条件で連続吐出(駆動)させ、ヘッドノズルの欠数を計測した。
(評価基準)
評価は下記基準で行った。なお、下記評価においては、△以上が実用上好ましいと判断した。
◎:欠ノズルなし
○:欠ノズル1以上3未満
△:欠ノズル3以上6未満
×:欠ノズル6以上
2−4.臭気の評価
(評価方法)
上記記録方法で作成した画像を蓋付きのガラス瓶に保管し、24時間後開放して、10人の評価者の4段階評価の合計点から臭気評価をした。
(評価基準)
(4段階評価)
4点:ほぼ無臭である
3点:僅かな臭気があるがほとんど気にならない
2点:ある程度の臭気があるが、許容範囲内である
1点:強い臭気がある
(10人の合計点からの臭気評価)
◎:35点以上40点以下
○:25点以上35点未満
△:15点以上25点未満
×:10点以上15点未満
2−5.乾燥性の評価
(評価方法)
上記画像形成装置のステージ搬送機を30m/minになるように設定し、画像形成後に、90℃に設定した乾燥機を通過した後の画像全体の乾燥性を評価した。
(評価基準)
◎:目視、触診ともに完全に乾燥している
○:目視で乾燥しているが、触診でわずかに画像面が乱れる
△:目視で一部乾燥していない箇所がある
×:全く乾いていない
インク1〜26を用いて形成した画像1〜26の各種評価の結果を表4に示す。
Figure 2021109904
エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含む有機溶剤と、式(1)で表されるエステル化合物とを含むことにより、インクの吐出性を向上させることができた。とくに、有機溶剤の含有量が10.0質量%以上50.0質量%以下であり、上記エーテル化合物が5.0質量%以下のときに良好となった。これは、上記有機溶剤は、式(1)で表されるエーテル化合物を界面活性剤として、水性インク中に可溶化することができるので、吐出安定性が向上したと考えられる。さらに、有機溶剤の含有量を上記範囲内とすることにより、吸水性記録媒体だけでなく非吸水性記録媒体に対しても十分な濡れ性を付与することができ、高精細な画像を形成することができた。
また、エチレンオキサイド構造を有する一般式(1)で表されるエーテル化合物を用いることにより、インクの吐出性が向上することがわかった。これは、エチレンオキサイド構造を有するエーテル化合物と上記有機溶剤との相溶性が優れるためであると考えられる。
上記また、上記エーテル化合物の含有量を、水性インクジェットインクの全質量に対して5.0質量%以下とすることにより、臭気の発生を抑制することができた。これは、上記エーテル化合物の含有量を低減しても水性インクの乾燥性を損なうことがないので印刷物に上記エーテル化合物が残存する割合が減少するためであると考えられる。
また、上記エーテル化合物の繰り返し単位を15以下とした場合に、吐出安定性を向上させることができた。これは、繰り返し単位(n+m)が15以上の高分子量のエーテル化合物と比較して分子運動が容易であるので、インクが吐出される動きに応じてインク中を移動しやすいためであると考えられる。
本発明の水性インクジェットインクによれば、インクジェット法による印刷の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
100 画像形成装置
110 ヘッドキャリッジ
111 インクジェットヘッド
112 ノズル
120 乾燥器
130 基材

Claims (6)

  1. エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−1−ブタノール、および3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種類の有機溶剤と、
    一般式(1)で表されるエーテル化合物と、
    を含有する、水性インクジェットインク。
    Figure 2021109904
    (式(1)中、R、Rのいずれか一方は水素原子であり、もう一方はメチル基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、n、mは、n+m≦45を満たす整数である)
  2. 前記有機溶剤の含有量は、前記水性インクジェットインクの全質量に対して10.0質量%以上50.0質量%以下である、請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 前記エーテル化合物の含有量は、前記水性インクジェットインクの全質量に対して5.0質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の水性インクジェットインク。
  4. 前記mは、0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク。
  5. 前記一般式(1)で表されるエーテル化合物のn、mは、n+m≦15を満たす整数である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性インクジェットインク。
  6. インクジェットヘッドから、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性インクジェットインクの液滴を吐出して、低吸収性基材または非吸収性基材の表面に着弾させて画像を形成する、画像形成方法。
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