JP2021108581A - 形質転換微生物、及びポリヒドロキシアルカン酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い生産性で、大粒子径のポリヒドロキシアルカン酸を蓄積可能な形質転換微生物、及び、当該形質転換微生物を用いたポリヒドロキシアルカン酸の製造方法を提供すること。【解決手段】ポリヒドロキシアルカン酸を産生する形質転換微生物であって、ポリヒドロキシアルカン酸蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、前記形質転換微生物の宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有する、形質転換微生物。当該形質転換微生物を炭素源の存在下で培養する工程を含む、ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリヒドロキシアルカン酸を生産可能な形質転換微生物、及び、当該形質転換微生物を用いたポリヒドロキシアルカン酸の製造方法に関する。
環境問題、食糧問題、健康及び安全に対する意識の高まり、天然又は自然志向の高まりなどを背景に、微生物を利用した物質製造(発酵生産、バイオ変換など)の意義及び重要性が益々高まっており、タンパク質医薬品や遺伝子治療用の核酸などの製造にも、微生物による物質生産が応用されている。例えば、酵母やバクテリアなどの微生物を利用したエタノール、酢酸、医療用タンパク質の生産などが活発に産業応用されている。
その一例として、生分解性プラスチックとしての産業利用が期待されているポリヒドロキシアルカン酸(以下、PHAともいう)の微生物による生産が挙げられる(非特許文献1を参照)。PHAは、多くの微生物種の細胞にエネルギー蓄積物質として産生、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、生分解性を有している。現在、環境への意識の高まりから非石油由来のプラスチックが注目されるなか、特に、微生物が菌体内に産生、蓄積するPHAは、自然界の炭素循環プロセスに取り込まれることから生態系への悪影響が小さいと予想されており、その実用化が切望されている。微生物を利用したPHA生産では、例えば、カプリアビダス属細菌に炭素源として糖、植物油脂や脂肪酸を与え、細胞内にPHAを蓄積させることでPHAを生産することが知られている(非特許文献2及び3を参照)。
しかしながら、微生物を利用した物質生産においては、目的生産物の分離回収工程が煩雑となり、生産コストが高くなることが問題になるケースがある。従って、目的生産物の分離回収効率を向上させることは、生産コストの低減のための大きな課題である。
非特許文献4には、カプリアビダス属細菌においてフェイシンタンパク質をコードする遺伝子phaP1を破壊することで、非破壊の場合より大粒子径のPHAを蓄積したことが報告されており、これを目的生産物の分離回収効率を改善する方法として採用することが考えられる。しかし、該phaP1破壊株はPHA蓄積量が著しく減少することが示されており、工業生産に適したものではなかった。
Anderson AJ.,et al.,Int.J.Biol.Macromol.,12,201−105(1990) Sato S.,et al.,J.Biosci.Bioeng.,120(3),246−251(2015) Insomphun C.,et al.,Metab.Eng.,27,38−45(2015) Potter M.,et al.,Microbiology,151(Pt 3),825−833(2005)
PHAは微生物細胞内において粒子状に蓄積される。微生物細胞内に蓄積されたPHAを生分解性プラスチックとして利用するためには、細胞を破砕してPHA粒子を取り出し、他の細胞成分から分離し、回収する必要がある。分離回収の手法は、大きくは有機溶媒系による方法と水系による方法に分けられるが、有機溶媒の使用は高環境負荷、高コストとなるため、工業的には水系による方法が好ましい。水系による方法では、例えば、PHA粒子を含む細胞破砕液から、遠心分離機や分離膜等によってPHA粒子を分離することができる。このような場合、分離回収の効率はPHA粒子の大きさに依存することになる。即ち、微生物細胞内に蓄積されたPHA粒子が大きいほど、遠心分離機や分離膜等を用いた分離回収を容易に実施でき、生産コストの低減につながる。
本発明は、上記現状に鑑み、高い生産性で、大粒子径のPHAを蓄積可能な形質転換微生物、及び、当該形質転換微生物を用いたPHAの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、細胞内で疎水性のPHA粒子を覆っている両親媒性のタンパク質であるフェイシンについて、宿主とは異なる生物種由来のフェイシンをコードする遺伝子を、PHA蓄積後の平均細胞径が2μm以上と大きくなるPHA産生微生物に導入することで、工業的に望ましいPHA蓄積量を維持しながら、微生物細胞内に蓄積されるPHAの粒子径を拡大できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、ポリヒドロキシアルカン酸を産生する形質転換微生物であって、ポリヒドロキシアルカン酸蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、前記形質転換微生物の宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有する、形質転換微生物に関する。
好ましくは、前記形質転換微生物は、minD遺伝子の発現、又は、minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化されたものである。
好ましくは、前記フェイシン遺伝子が、アエロモナス属の微生物に由来する。
好ましくは、前記フェイシン遺伝子が、配列番号6で示されるアミノ酸配列に対して90〜100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子である。
好ましくは、前記宿主が、カプリアビダス属に属し、より好ましくは、カプリアビダス・ネカトールである。
好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカン酸が、2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体である。
好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシヘキサン酸単位を含む共重合体である。
好ましくは、前記ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシ酪酸単位と3−ヒドロキシヘキサン酸単位を含む共重合体である。
また本発明は、前記形質転換微生物を、炭素源の存在下で培養する工程を含む、ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法に関する。
好ましくは、前記培養工程において、前記形質転換微生物が、平均粒子径が2μm以上のポリヒドロキシアルカン酸粒子を蓄積する。
好ましくは、前記炭素源が植物油を含む。
本発明によれば、高い生産性で、大粒子径のPHAを蓄積可能な形質転換微生物、及び、当該形質転換微生物を用いたPHAの製造方法を提供することができる。本発明によると、微生物細胞内に大粒子径のPHA粒子が蓄積されるため、細胞成分からのPHAの分離回収が容易となり、生産コストの低減を実現することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本開示に係る形質転換微生物は、PHA合成酵素遺伝子を有し、ポリヒドロキシアルカン酸蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有する形質転換微生物である。また、好適な実施形態によると、前記形質転換微生物は、さらに、minD遺伝子の発現、又は、minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化された形質転換微生物であってもよい。
(微生物)
本開示に係る形質転換微生物の宿主は、好ましくは、元来フェイシン遺伝子を有する細菌である。当該細菌としては、例えば、ラルストニア(Ralstonia)属、カプリアビダス(Cupriavidus)属、ワウテルシア(Wautersia)属、アエロモナス(Aeromonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属等に属する細菌類が好ましい例として挙げられる。安全性及びPHA生産性の観点から、より好ましくはラルストニア属、カプリアビダス属、アエロモナス属、ワウテルシア属に属する細菌であり、さらに好ましくはカプリアビダス属又はアエロモナス属に属する細菌であり、さらにより好ましくはカプリアビダス属に属する微生物であり、特に好ましくはカプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus necator)である。
本開示に係る形質転換微生物の宿主は、PHA合成酵素遺伝子を本来的に有する野生株であってもよいし、そのような野生株を人工的に突然変異処理して得られる変異株や、あるいは、遺伝子工学的手法により外来のPHA合成酵素遺伝子が導入された菌株であってもよい。外来のPHA合成酵素遺伝子を導入する方法は特に限定されず、宿主の染色体上に遺伝子を直接挿入または置換する方法、宿主が保有するメガプラスミド上に遺伝子を直接挿入または置換する方法、あるいはプラスミド、ファージ、ファージミドなどのベクター上に遺伝子を配置して導入する方法などが選択でき、これらの方法のうち2つ以上を併用しても良い。導入遺伝子の安定性を考慮すると、好ましくは、宿主の染色体上または宿主が保有するメガプラスミド上に遺伝子を直接挿入または置換する方法であり、より好ましくは、宿主の染色体上に遺伝子を直接挿入または置換する方法である。
本開示に係る形質転換微生物が有するPHA合成酵素遺伝子としては、特に限定されないが、ラルストニア属、カプリアビダス属、ワウテルシア属、アルカリゲネス属、アエロモナス属、シュードモナス属、ノルカディア属、クロモバクテリウム属に類する生物に由来するPHA合成酵素遺伝子や、それらの改変体などが挙げられる。前記改変体としては、1以上のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入、又は置換されたPHA合成酵素をコードする塩基配列などを用いることができる。例えば、配列番号1〜5のいずれかに記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子、及び、該アミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、かつPHA合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子などが挙げられる。上記配列相同性としては好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
(PHA)
本開示に係る形質転換微生物が生産するPHAの種類としては、微生物が生産し得るPHAである限り特に限定されないが、炭素数4〜16の3−ヒドロキシアルカン酸から選択される1種のモノマーの単独重合体、炭素数4〜16の3−ヒドロキシアルカン酸から選択される1種のモノマーとその他のヒドロキシアルカン酸(例えば、炭素数4〜16の2−ヒドロキシアルカン酸、4−ヒドロキシアルカン酸、5−ヒドロキシアルカン酸、6−ヒドロキシアルカン酸など)の共重合体、及び、炭素数4〜16の3−ヒドロキシアルカン酸から選択される2種以上のモノマーの共重合体が好ましい。例えば、3−ヒドロキシ酪酸(略称:3HB)のホモポリマーであるP(3HB)、3HBと3−ヒドロキシ吉草酸(略称:3HV)の共重合体P(3HB−co−3HV)、3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(略称:3HH)の共重合体P(3HB−co−3HH)(略称:PHBH)、3HBと4−ヒドロキシ酪酸(略称:4HB)の共重合体P(3HB−co−4HB)、乳酸(略称:LA)を構成成分として含むPHA、例えば3HBとLAの共重合体P(LA−co−3HB)などが挙げられるが、これらに限定されない。この中でも、ポリマーとしての応用範囲が広いという観点から、PHBHが好ましい。なお、生産されるPHAの種類は、目的に応じて、使用する微生物の保有するあるいは別途導入されたPHA合成酵素遺伝子の種類や、その合成に関与する代謝系の遺伝子の種類、培養条件などによって適宜選択しうる。
(フェイシン遺伝子)
フェイシン遺伝子は、PHA蓄積微生物が有する、両親媒性のタンパク質をコードする遺伝子であり、フェイシンタンパク質は細胞質基質中において、疎水性であるPHA粒子を覆うことによって、PHA粒子の蓄積を補助することが知られている。本開示に関わるフェイシン遺伝子は、本開示に係る形質転換微生物の宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子であれば特に限定されない。該フェイシン遺伝子としては、ラルストニア属、カプリアビダス属、ワウテルシア属、アルカリゲネス属、アエロモナス属、シュードモナス属に類する生物に由来するフェイシン遺伝子や、それらの改変体などが挙げられる。前記改変体としては、1以上のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入、又は置換されたフェイシンをコードする塩基配列などを用いることができる。前記フェイシン遺伝子としては、例えば、配列番号6に記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子(アエロモナス・キャビエに由来するフェイシン遺伝子)、及び、該アミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子などが挙げられる。上記配列相同性としては好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子として、好ましくは、アエロモナス属の微生物に由来するフェイシン遺伝子、及びその改変体、より好ましくは、アエロモナス・キャビエに由来するフェイシン遺伝子、及びその改変体を用いることができる。
(minC遺伝子、minD遺伝子)
本開示の好適な実施形態に係る形質転換微生物は、さらに、minD遺伝子の発現、又は、minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化された微生物であって良い。minC遺伝子、minD遺伝子、及び、他のmin遺伝子であるminE遺伝子がコードするタンパク質、MinC、MinD、及び、MinEは、細菌において協調して細胞分裂を制御する機能を持つタンパク質である(MinCDEシステム)。例えば大腸菌細胞内においては、MinDはATP依存的に重合体を形成し、さらにMinCと複合体を形成して、細胞の極から極へと素早く振動することが知られている。MinCは細胞分裂の際の隔壁形成を阻害する働きを持つ。また、MinEはMinCと競合的にMinDに結合することが知られており、細胞の中央でのみ隔壁形成が生じるように調節する働きを持つ。
前記minC遺伝子は、配列番号7に記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチド(UniProtKB ID Q0KFI3)、及び、該アミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子である。上記配列相同性としては好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
前記minD遺伝子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチド(UniProtKB ID Q0KFI4)、及び、該アミノ酸配列に対して85%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列で示されるポリペプチドをコードする塩基配列を有する遺伝子である。上記配列相同性としては好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。
本開示に係る形質転換微生物は、PHA蓄積後の平均細胞径が2μm以上となるものである。しかし、平均細胞径は、該微生物の培養中、常に2μm以上である必要はなく、培養工程を終了する段階で、2μm以上となっていれば良い。PHA蓄積後の平均細胞径が2μm未満であると、細胞径が限界となって、大粒子径(特に、平均粒子径が2μm以上)のPHA粒子を蓄積させることが困難となる。また、本開示に係る形質転換微生物の蓄積するPHA粒子の平均粒子径は、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有しない微生物の蓄積するPHA粒子の平均粒子径よりも大きくなる。さらに、本開示に係る形質転換微生物において、PHA蓄積後の平均細胞径と平均PHA粒子径の差は、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有しない微生物における前記差よりも小さくなる。
本開示に係る形質転換微生物が蓄積するPHAの量は特に限定されないが、工業的な生産効率を考慮すると、培養工程を終了する段階で、菌体乾燥重量に対してPHA重量が占める割合が80%以上であることが好ましく、85%以上がさらに好ましい。前記割合の上限値は100%未満であれば特に限定されないが、例えば、98%以下であってよく、また、95%以下であってもよい。
(遺伝子導入及び遺伝子発現強化)
本開示において、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を宿主に導入する方法は、特に限定されないが、後述する対象遺伝子を宿主に導入する方法を使用することができる。また、minD遺伝子の発現、又は、minC遺伝子及びminD遺伝子の発現を強化する方法についても特に限定されないが、対象遺伝子を宿主に導入する方法、宿主がゲノムDNA上に元来有する対象遺伝子の発現量を増強する方法、またはその両方を選択することができる。
本開示における遺伝子発現の強化とは、対象遺伝子の発現が強化されていない菌株と比較して、対象遺伝子の転写量または対象遺伝子のコードするポリペプチドの発現量が増加している状態を指す。その増加量は特に限定されないが、対象遺伝子の発現が強化されていない菌株と比較して1倍超であればよく、好ましくは1.1倍以上、より好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上、さらにより好ましくは2倍以上の増加である。
対象遺伝子を宿主に導入する方法としては特に限定されないが、宿主の染色体上に対象遺伝子を直接挿入または置換する方法、宿主が保有するメガプラスミド上に対象遺伝子を直接挿入または置換する方法、あるいはプラスミド、ファージ、ファージミドなどのベクター上に対象遺伝子を配置して導入する方法などが選択でき、これらの方法のうち2つ以上を併用しても良い。
導入遺伝子の安定性を考慮すると、好ましくは、宿主の染色体上または宿主が保有するメガプラスミド上に対象遺伝子を直接挿入または置換する方法であり、より好ましくは、宿主の染色体上に対象遺伝子を直接挿入または置換する方法である。導入する遺伝子を確実に発現させるために、対象遺伝子が、宿主が元来有する「遺伝子発現調節配列」の下流に位置するように導入するか、または、対象遺伝子が、外来の「遺伝子発現調節配列」の下流に位置する形で導入することが好ましい。本開示における「遺伝子発現調節配列」とは、その遺伝子の転写量を制御する塩基配列(例えばプロモーター配列)、及び/または、その遺伝子から転写されたメッセンジャーRNAの翻訳量を調節する塩基配列(例えばシャイン・ダルガノ配列)を含むDNA配列である。「遺伝子発現調節配列」としては、自然界に存在する任意の塩基配列を利用することもできるし、人工的に構築または改変された塩基配列を利用しても良い。
また、宿主がゲノムDNA上に元来有する対象遺伝子の発現量を増強する方法としては特に限定されないが、対象遺伝子の上流に位置する「遺伝子発現調節配列」を改変する方法、対象遺伝子の上流に外来の「遺伝子発現調節配列」を導入する方法、あるいは、対象遺伝子及び/またはその周辺の塩基配列を改変することにより、転写されたメッセンジャーRNAの安定性を向上させる方法などが挙げられる。
「遺伝子発現調節配列」に含まれるプロモーター配列やシャイン・ダルガノ配列としては、例えば、配列番号9〜15のいずれかに示される塩基配列、または、これら塩基配列の一部を含む塩基配列などが挙げられるが、特に限定されない。
ゲノムDNAの少なくとも一部の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、当業者に周知の方法により行うことができる。代表的な方法としてはトランスポゾンと相同組換えの機構を利用した方法(Ohman et al., J. Bacteriol., 162:1068-1074 (1985))や、相同組換えの機構によって起こる部位特異的な組み込みと第二段階の相同組換えによる脱落を原理とした方法(Noti et al., Methods Enzymol., 154:197-217 (1987))などがある。また、Bacillus subtilis由来のsacB遺伝子を共存させて、第二段階の相同組換えによって遺伝子が脱落した微生物株をスクロース耐性株として容易に単離する方法(Schweizer, Mol. Microbiol., 6:1195-1204 (1992)、Lenz et al., J. Bacteriol., 176:4385-4393 (1994))も利用することができる。
本開示に係る形質転換微生物を培養することで、微生物細胞内にPHA粒子を蓄積させることができる。本開示に係る形質転換微生物を培養する方法としては、常法の微生物培養法に従うことができ、適切な炭素源が存在する培地中で培養を行なえばよい。培地組成、炭素源の添加方法、培養スケール、通気攪拌条件や、培養温度、培養時間などは特に限定されない。炭素源は、連続的に、または間欠的に培地に添加することが好ましい。
培養時の炭素源としては、本開示に係る形質転換微生物が資化可能であればどのような炭素源でも使用可能である。特に限定されないが、例えば、グルコース、フルクトース、シュークロース、キシロースなどの糖類;パーム油やパーム核油(これらを分別した低融点分画であるパームオレイン、パームダブルオレイン、パーム核油オレインなども含む)、コーン油、やし油、オリーブ油、大豆油、菜種油、ヤトロファ油などの油脂やその分画油類、あるいはその精製副産物;ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリンスチン酸などの脂肪酸やそれらの誘導体、あるいはグリセロール等が挙げられる。また、本開示に係る形質転換微生物が二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、メタノール、エタノールなどのガスやアルコール類を利用可能である場合、これらを炭素源として使用することもできる。中でも、炭素源は植物油を含むことが好ましい。
本開示におけるPHAの製造では、上記炭素源、炭素源以外の栄養源である窒素源、無機塩類、その他の有機栄養源を含む培地を用いて、前記微生物を培養することが好ましい。下記に限定されないが、窒素源としては、例えば、アンモニア;塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩;ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が挙げられる。無機塩類としては、例えば、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。その他の有機栄養源としては、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、プロリン等のアミノ酸、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる。
培養を適切な時間行なって微生物細胞内にPHA粒子を蓄積させた後、周知の方法を用いてPHAを回収する。回収方法については特に限定されないが、例えば、培養終了後、機械的なせん断力を加えたり、界面活性剤やアルカリ、酵素などを用いて細胞を破砕することで、PHA以外の細胞成分が水に溶解した細胞破砕液を得ることができる。前記細胞破砕液の濾過や遠心分離によってPHA粒子を水相から分離した後、乾燥させることで、PHAを回収することができる。本開示により製造される平均粒子径が大きいPHA粒子は、このような水系による分離回収を効率的に実施できるため好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお全体的な遺伝子操作は、例えばMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))に記載されているように行うことができる。また、遺伝子操作に使用する酵素、クローニング宿主等は、市場の供給者から購入し、その説明に従い使用することができる。なお、酵素としては、遺伝子操作に使用できるものであれば特に限定されない。
(製造例1)宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入された株(KNK−005/Pac株)の作製
まず、フェイシン遺伝子導入用プラスミドの作製を行った。作製は以下のように行った。
合成オリゴDNAを用いたPCRにより、カプリアビダス・ネカトールH16株のphaP1構造遺伝子(フェイシン遺伝子)より上流及び下流の塩基配列と、アエロモナス・キャビエに由来するフェイシン遺伝子であるphaPac遺伝子の塩基配列を有するDNA断片(配列番号16)を得た。このDNA断片を制限酵素SwaIで消化し、得られたDNA断片を、同じくSwaI消化した特開2007−259708号公報に記載のベクターpNS2X−sacBとDNAリガーゼ(Ligation High(東洋紡社製))にて連結し、フェイシン遺伝子導入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+P1U−Pac−P1Dを作製した。
次に、フェイシン遺伝子導入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+P1U−Pac−P1Dを用いて、以下のようにしてフェイシン遺伝子導入株の作製を行った。
フェイシン遺伝子導入用プラスミドベクターpNS2X−sacB+P1U−Pac−P1Dで大腸菌S17−1株(ATCC47055)を形質転換し、それによって得た形質転換微生物を、KNK−005株とNutrient Agar培地(Difco社製)上で混合培養して接合伝達を行った。
なお、KNK−005株は、カプリアビダス・ネカトールH16株を宿主とし、該宿主の染色体上のPHA合成酵素遺伝子を、アエロモナス・キャビエ由来のPHA合成酵素遺伝子の改変体(配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素をコードする遺伝子、即ちN149S/D171G変異体遺伝子)に置換した形質転換体であり、米国特許第7384766号明細書に記載の方法に準じて作製することができる。
得られた培養菌体を、250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培地(クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g/L、硫酸マグネシウム・7水塩0.2g/L、りん酸二水素アンモニウム1g/L、りん酸水素二カリウム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)に播種し、寒天培地上で生育してきた菌株を選択して、プラスミドがKNK−005株の染色体上に組み込まれた株を取得した。この株をNutrient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上に希釈して塗布し、生育してきた菌株をプラスミドが脱落した株として取得した。さらにPCRおよびDNAシーケンサーによる解析により、染色体上のphaP1構造遺伝子がphaPac遺伝子に置換された菌株1株を単離した。この菌株をKNK−005/Pac株と命名した。
(製造例2)minD遺伝子の発現が強化された株(KNK−005/minD株)の作製
まず、minD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minDの作製を行った。作製は以下のように行った。
合成オリゴDNAを用いたPCRにより、プロモーター配列とminD遺伝子配列を有するDNA断片(配列番号17)を得た。このDNA断片を制限酵素MunIおよびSpeIで消化し、得られたDNA断片を、国際公開2007/049716号に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIおよびSpeIで切断したものと連結して、minD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minDを得た。
次に、minD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minDをKNK−005株に導入し、KNK−005/minD株を得た。
プラスミドベクターの細胞への導入は以下のようにエレクトロポレーション法によって行った。遺伝子導入装置はBiorad社製のジーンパルサーを用い、キュベットは同じくBiorad社製のgap0.2cmを用いた。キュベットに、コンピテント細胞400μlと発現ベクター20μlを注入してパルス装置にセットし、静電容量25μF、電圧1.5kV、抵抗値800Ωの条件で電気パルスをかけた。パルス後、キュベット内の菌液をNutrientBroth培地(DIFCO社製)で30℃、3時間振とう培養し、選択プレート(NutrientAgar培地(DIFCO社製)、カナマイシン100mg/L)で、30℃にて2日間培養して、生育してきたKNK−005/minD株を取得した。
(製造例3)minD遺伝子の発現が強化され、かつ、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入された株(KNK−005/minD/Pac株)の作製
製造例2で作製したminD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minDを、製造例2と同様のエレクトロポレーション法により、製造例1で作製したKNK−005/Pac株に導入し、KNK−005/minD/Pac株を得た。
(製造例4)minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化された株(KNK−005/minCD株)の作製
まず、minC遺伝子及びminD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minCDの作製を行った。作製は以下のように行った。
合成オリゴDNAを用いたPCRにより、プロモーター配列とminC遺伝子及びminD遺伝子配列を有するDNA断片(配列番号18)を得た。このDNA断片を制限酵素MunIおよびSpeIで消化し、得られたDNA断片を、国際公開2007/049716号に記載のプラスミドベクターpCUP2をMunIおよびSpeIで切断したものと連結して、minC遺伝子及びminD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minCDを得た。
次に、minC遺伝子及びminD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minCDを、製造例2と同様のエレクトロポレーション法により、KNK−005株に導入し、KNK−005/minCD株を得た。
(製造例5)minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化され、かつ、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入された株(KNK−005/minCD/Pac株)の作製
製造例4で作製したminC遺伝子及びminD遺伝子発現用プラスミドpCUP2−PA−minCDを、製造例2と同様のエレクトロポレーション法により、製造例1で作製したKNK−005/Pac株に導入し、KNK−005/minCD/Pac株を得た。
(比較例1−1)KNK−005株によるPHA生産
下記の条件でKNK−005株を用いた培養検討を行なった。
(培地)
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaHPO・12HO 、0.15w/v% KHPO、(pH6.8)とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v%KHPO、1.29 w/v%(NHSO 、0.1w/v% MgSO・7HO、2.5w/v% パームオレインオイル、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)とした。炭素源としてパームオレインオイルを10g/Lの濃度で一括添加した。
PHA生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v%(NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)とした。
(PHA蓄積量割合の測定方法)
乾燥菌体に対するPHA蓄積量の割合は次のように測定した。遠心分離によって培養液から菌体を回収、エタノールで洗浄、凍結乾燥し、乾燥菌体を取得し、重量を測定した。得られた乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、乾燥菌体量に対してPHA蓄積量が占める割合を算出した。
(平均細胞径の測定方法)
平均細胞径は次のように測定した。培養終了後の培養液を60℃で10分処理し、菌体細胞不活化を行った後、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(Microtrac MT3300EXII)により解析し、PHA蓄積細胞の体積平均径(MV)を測定した。測定は標準的な設定(粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.81、粒子形状:非球形、溶媒屈折率:1.333)で行った。
(平均PHA粒子径の測定方法)
平均PHA粒子径は次のように測定した。培養終了後の培養液0.2mlを分取し、20mlの0.02w/v% 塩化ベンザルコニウム水溶液に懸濁した。さらに10mlの10w/v% ドデシル硫酸ナトリウム水溶液を加え混合し、超音波破砕によりPHA抽出液を得た。超音波破砕にはSMT社製超音波分散機UH−600を用い、最大出力で40秒、4回の処理を行った。得られたPHA抽出液をレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(Microtrac MT3300EXII)により解析し、PHA粒子の体積平均粒子径(MV)を測定した。測定は標準的な設定(粒子透過性:透過、粒子屈折率:1.81、粒子形状:非球形、溶媒屈折率:1.333)で行った。
(PHA生産培養)
PHA生産培養は次のように行った。まず、KNK−005株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、前培養液を、2.5LのPHA生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−U50型)に5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度420rpm、通気量2.1L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールした。pHコントロールには25%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源は断続的に添加した。炭素源としてはパームオレインオイルを使用した。培養は、乾燥菌体量に対するPHA蓄積量の割合が90%程度に達するまで行った。PHA蓄積量の割合、平均細胞径および平均PHA粒子径は前述のように測定した。結果を表1に示す。
(比較例1−2)KNK−005/Pac株によるPHA生産
比較例1−1と同様の条件でKNK−005/Pac株を用いた培養検討を行なった。PHA蓄積量の割合、平均細胞径および平均PHA粒子径の測定結果を表1に示す。
培養検討の結果、PHA蓄積後のKNK−005/Pac株の平均細胞径は2μmを下回った。また、平均PHA粒子径は、KNK−005株と比較して増大しなかった。さらに、平均細胞径と平均PHA粒子径の差はKNK−005株と同程度であった。
比較例1−1及び比較例1−2の結果より、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入されていても、PHA蓄積後の平均細胞径が2μm未満である時には、平均PHA粒子径は増大しないことが分かる。
(比較例2)KNK−005/minD株によるPHA生産
比較例1−1と同様の条件でKNK−005/minD株を用いた培養検討を行なった。PHA蓄積量の割合、平均細胞径および平均PHA粒子径の測定結果を表1に示す。
培養検討の結果、PHA蓄積後のKNK−005/minD株の平均細胞径は2μmを上回った。平均PHA粒子径は、1.69μmであった。平均細胞径と平均PHA粒子径の差は0.40μmであった。
(実施例1)KNK−005/minD/Pac株によるPHA生産
比較例1−1と同様の条件でKNK−005/minD/Pac株を用いた培養検討を行なった。PHA蓄積量の割合、平均細胞径およびPHA粒子径の測定結果を表1に示す。
培養検討の結果、PHA蓄積後のKNK−005/minD/Pac株の平均細胞径は2μmを上回った。また、平均PHA粒子径は、KNK−005/minD株と比較して増大し、2.20μmとなった。さらに、平均細胞径と平均PHA粒子径の差はKNK−005/minD株と比較して小さく、0.24μmとなった。
比較例2及び実施例1の結果より、PHA蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、かつ、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入されていると、平均細胞径と平均PHA粒子径の差が小さくなり、平均PHA粒子径が増大することが分かる。
(比較例3)KNK−005/minCD株によるPHA生産
比較例1−1と同様の条件でKNK−005/minCD株を用いた培養検討を行なった。PHA蓄積量の割合、平均細胞径および平均PHA粒子径の測定結果を表1に示す。
培養検討の結果、PHA蓄積後のKNK−005/minCD株の平均細胞径は2μmを上回った。平均PHA粒子径は、1.92μmであった。平均細胞径と平均PHA粒子径の差は0.32μmであった。
(実施例2)KNK−005/minCD/Pac株によるPHA生産
比較例1−1と同様の条件でKNK−005/minCD/Pac株を用いた培養検討を行なった。PHA蓄積量の割合、平均細胞径およびPHA粒子径の測定結果を表1に示す。
培養検討の結果、PHA蓄積後のKNK−005/minCD/Pac株の平均細胞径は2μmを上回った。また、平均PHA粒子径は、KNK−005/minCD株と比較して増大し、2.16μmとなった。さらに、平均細胞径と平均PHA粒子径の差はKNK−005/minCD株と比較して小さく、0.18μmとなった。
比較例3及び実施例2の結果からも、PHA蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、かつ、宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子が導入されていると、平均細胞径と平均PHA粒子径の差が小さくなり、平均PHA粒子径が増大することが分かる。
なお、比較例および実施例の培養検討によって生産されたPHAはPHBHであることをHPLC分析にて確認した。
Figure 2021108581

Claims (12)

  1. ポリヒドロキシアルカン酸を産生する形質転換微生物であって、
    ポリヒドロキシアルカン酸蓄積後の平均細胞径が2μm以上であり、
    前記形質転換微生物の宿主とは異なる生物種由来のフェイシン遺伝子を有する、形質転換微生物。
  2. minD遺伝子の発現、又は、minC遺伝子及びminD遺伝子の発現が強化された、請求項1に記載の形質転換微生物。
  3. 前記フェイシン遺伝子が、アエロモナス属の微生物に由来する、請求項1又は2に記載の形質転換微生物。
  4. 前記フェイシン遺伝子が、配列番号6で示されるアミノ酸配列に対して90〜100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする遺伝子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  5. 前記宿主が、カプリアビダス属に属する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  6. 前記宿主が、カプリアビダス・ネカトールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  7. 前記ポリヒドロキシアルカン酸が、2種以上のヒドロキシアルカン酸の共重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  8. 前記ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシヘキサン酸単位を含む共重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  9. 前記ポリヒドロキシアルカン酸が、3−ヒドロキシ酪酸単位と3−ヒドロキシヘキサン酸単位を含む共重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の形質転換微生物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の形質転換微生物を、炭素源の存在下で培養する工程を含む、ポリヒドロキシアルカン酸の製造方法。
  11. 前記培養工程において、前記形質転換微生物が、平均粒子径が2μm以上のポリヒドロキシアルカン酸粒子を蓄積する、請求項10に記載のポリヒドロキシアルカン酸の製造方法。
  12. 前記炭素源が植物油を含む、請求項10又は11に記載のポリヒドロキシアルカン酸の製造方法。
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