JP2021107249A - 青果物用包装部材、青果物包装体及び青果物の保管方法 - Google Patents

青果物用包装部材、青果物包装体及び青果物の保管方法 Download PDF

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和知  浩子
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永安 葉
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Abstract

【課題】青果物の香気成分を長期間保持可能な青果物用包装部材、並びにこれを用いた青果物包装体及び青果物の保管方法を提供する。【解決手段】23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が300cm3/100g・m2・day・atm〜7000cm3/100g・m2・day・atmであり、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10000cm3/100g・m2・day・atm〜20000cm3/100g・m2・day・atmであり、最大径50μm以上の孔が1m2あたり1個以下である、大気圧下5℃における呼吸速度が1mlCO2/kg・hr〜20mlCO2/kg・hrの青果物を包装するための、青果物用包装部材。【選択図】なし

Description

本発明は、青果物用包装部材、青果物包装体及び青果物の保管方法に関する。
青果物の中には特有の香りを放つ青果物が存在する。収穫後もその香りを保持する観点から、収穫後の青果物を包装袋に内包して青果物を保管することが知られている。
特許文献1では、葡萄特有の香りを保持することが可能な葡萄の保存技術として、合成樹脂フィルムからなる包装袋内に葡萄を収容した後、前記包装袋を密封することにより、前記葡萄の香りを保持する方法であって、前記合成樹脂フィルムの23℃、50%RHにおける葡萄100gあたりの酸素透過量が、2cc/100g・m・day・atm以上200cc/100g・m・day・atm以下である、葡萄の香り保持方法が提案されている。
特開2017−178454号公報
特許文献1では、葡萄の香り保持方法において使用する合成樹脂フィルムに微細孔を設けることで酸素透過量を調節でき、酸素透過量を調節することで保存対象である葡萄について、香り、食味及び外観において良好な品質を保持できることが記載されている。しかしながら、合成樹脂フィルムに微細孔を設けた場合、微細孔を介して香気成分が放出してしまうおそれがあり、長期間における香り保持の点について改善の余地がある。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、青果物の香気成分を長期間保持可能な青果物用包装部材、並びにこれを用いた青果物包装体及び青果物の保管方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 23℃、90%RH(相対湿度)における青果物100gあたりの酸素透過度が300cm/100g・m・day・atm〜7000cm/100g・m・day・atmであり、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10000cm/100g・m・day・atm〜20000cm/100g・m・day・atmであり、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下である、大気圧下5℃における呼吸速度が1mlCO/kg・hr〜20mlCO/kg・hrの青果物を包装するための、青果物用包装部材。
<2> 前記青果物が、いちご、みかん、及び桃からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、<1>に記載の青果物用包装部材。
<3> 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を有する重合体を含む、<1>又は<2>に記載の青果物用包装部材。
<4> 前記包装部材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートからなる群より選択される1種を含む層を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の青果物用包装部材。
<5> <1>〜<4>のいずれか1つに記載の青果物用包装部材と、前記青果物用包装部材で包装される前記青果物と、を備える、青果物包装体。
<6> <5>に記載の前記青果物包装体を保管する工程を含む、青果物の保管方法。
本開示によれば、青果物の香気成分を長期間保持可能な青果物用包装部材、並びにこれを用いた青果物包装体及び青果物の保管方法を提供することができる。
本開示において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値または下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
<包装部材>
本開示の青果物用包装部材は、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が300cm/100g・m・day・atm〜7000cm/100g・m・day・atmであり、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10000cm/100g・m・day・atm〜20000cm/100g・m・day・atmであり、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下である、大気圧下5℃における呼吸速度が1mlCO/kg・hr〜20mlCO/kg・hrの青果物を包装するための、青果物用包装部材(以下、「包装部材」とも称する。)である。
本発明者らの検討の結果、本開示の包装部材を用いて青果物を包装することにより、青果物の香気成分を長期間保持可能であることが分かった。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
本開示の包装部材は、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が300cm/100g・m・day・atm以上であることにより、青果物の呼吸により減少した酸素が外部から包装部材内に供給されて必要最低限な酸素濃度が維持される。これにより、包装部材内の青果物の鮮度低下を抑制することができる。また、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が7000cm/100g・m・day・atm以下であることにより、包装部材内の酸素濃度が高くなりすぎず青果物の呼吸を抑制することができ、青果物の鮮度低下を抑制することができる。これらにより、本開示の包装部材は、青果物における香気成分の分解を抑制でき、青果物の香気成分を長期間保持することができる。
本開示の包装部材は、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10000cm/100g・m・day・atm以上であることにより、包装部材内で青果物の呼吸により増加した二酸化炭素が外部に放出されやすく、包装部材内の二酸化炭素濃度が適切に調節されるため、酸欠による青果物の腐敗等が抑制される。また、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が20000cm/100g・m・day・atm以下であることにより、包装部材内の二酸化炭素濃度が低くなりすぎず青果物の呼吸を抑制することができ、青果物の鮮度低下を抑制することができる。これらにより、本開示の包装部材は、青果物における香気成分の分解を抑制でき、青果物の香気成分を長期間保持することができる。
さらに、本開示の包装部材は、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下であることにより、包装部材内から外部に香気成分が放出されにくいため、青果物の香気成分を長期間保持することができる。
また、本開示の包装部材は、青果物の鮮度低下を抑制し、青果物の腐敗等を抑制することで、青果物から発酵成分が発生することも抑制できる。
本開示の包装部材は、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が300cm/100g・m・day・atm〜7000cm/100g・m・day・atmであり、青果物の香気成分を長期間にわたって好適に保持し、青果物から発酵成分が発生することを抑制する観点から、好ましくは1000cm/100g・m・day・atm〜6000cm/100g・m・day・atmであり、より好ましくは2000cm/100g・m・day・atm〜5500cm/100g・m・day・atmであり、さらに好ましくは3000cm/100g・m・day・atm〜5000cm/100g・m・day・atmである。
上記酸素透過度は、差圧法ガス透過率測定装置(GTR−30XA、GTRテック(株)を使用して、23℃、90%RHの環境下、試験ガス(O)100%、試験面積15.2cmとして測定される酸素透過度[cm/m・day・atm]を、包装部材内に収容する青果物の質量(g)で割り算を行い、算出された値に100を掛け算して得られた値である。
本開示の包装部材は、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10,000cm/100g・m・day・atm〜20,000cm/100g・m・day・atmであり、青果物の香気成分を長期間にわたって好適に保持し、青果物から発酵成分が発生することを抑制する観点から、好ましくは10,000cm/100g・m・day・atm〜18,000cm/100g・m・day・atmであり、より好ましくは10,500cm/100g・m・day・atm〜17,000cm/100g・m・day・atmであり、さらに好ましくは11,000cm/100g・m・day・atm〜16,000cm/100g・m・day・atmである。
上記二酸化炭素透過度は、差圧法ガス透過率測定装置(GTR−30XA、GTRテック株式会社を使用して、23℃、90%RHの環境下、試験ガス(CO)100%、試験面積15.2cmとして測定される二酸化炭素透過度[cm/m・day・atm]を、包装部材内に収容する青果物の質量(g)で割り算を行い、算出された値に100を掛け算して得られた値である。
本開示の包装部材は、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下である。
最大径50μm以上の孔の数が上記範囲にあることで、青果物の香気成分を長期間保持することができるとともに、より均一なガス透過性が得られる傾向にあり、さらに、包装部材内の衛生性が保持される傾向にある。
なお、上記孔の最大径及び数は、目視及び必要に応じて公知の走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡などを使用して確認することができる。
本開示の包装部材の材料は、上述した範囲に酸素透過度及び二酸化炭素透過度を有し、かつ最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下である材料であれば特に制限されない。
ある実施態様では、包装部材は4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を有する重合体(以下、4−メチル−1−ペンテン系重合体ともいう)を含む。4−メチル−1−ペンテン系重合体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の他のポリオレフィンに比べてかさ高い分子構造を有するため密度が低く、高いガス透過性を示す。このため、包装部材の材料として好適に使用できる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体は、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位のみからなる単独重合体であっても、4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位と、4−メチル−1−ペンテン以外の成分に由来する構成単位とを含む共重合体であってもよい。
4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位と4−メチル−1−ペンテン以外の成分に由来する構成単位の比率を変更することで、包装部材の酸素透過度及び二酸化炭素透過度を所望の範囲に調節することができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体が4−メチル−1−ペンテン以外の成分に由来する構成単位を含む共重合体である場合、4−メチル−1−ペンテン以外の成分としては、エチレン又は炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(ただし、4−メチル−1−ペンテンを除く)が好ましく挙げられる。
炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
これらの中でも、入手性の観点からはプロピレンが好ましく、包装部材に低温でのヒートシール性を付与する観点からは1−ブテンが好ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体を合成する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。4−メチル−1−ペンテン系重合体を合成する際に4−メチル−1−ペンテン以外の成分を用いる場合、4−メチル−1−ペンテン以外の成分として1種のみを用いても2種以上を用いてもよい。
包装部材は、4−メチル−1−ペンテン系重合体と、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体とを含むものであってもよい。
包装部材に含まれる4−メチル−1−ペンテン系重合体と、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体とのブレンド比を変更することで、包装部材の酸素透過度及び二酸化炭素透過度を所望の範囲に調節することができる。
包装部材が4−メチル−1−ペンテン系重合体と、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体とを含む場合、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体としては、ポリオレフィンが好ましく、エチレン又は炭素原子数が3〜20のα−オレフィン(ただし、4−メチル−1−ペンテンを除く)の単独重合体又は共重合体が好ましく挙げられる。
炭素原子数が3〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体として具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。
これらの中でも、入手性の観点からはプロピレンの単独重合体又は共重合体(プロピレン系重合体)が好ましく、包装部材に低温でのヒートシール性を付与する観点からは1−ブテンの単独重合体又は共重合体(1−ブテン系重合体)が好ましい。
包装部材が4−メチル−1−ペンテン系重合体と、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体とを含む場合、これらの重合体をブレンドする方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。包装部材が4−メチル−1−ペンテン系重合体と、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体とを含む場合、4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の重合体として1種のみを用いても2種以上を用いてもよい。
包装部材は、単層構造でも、多層構造であってもよい。例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体はガス透過性に優れる一方で融点が高く低温でのヒートシール性が充分でない傾向にある。このため、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む層に加え、低温でのヒートシール性に優れる層を備える積層体であってもよい。
本開示の包装部材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートからなる群より選択される1種を含む層を有していてもよい。包装部材が、積層体である場合、例えば、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む層と、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートからなる群より選択される1種を含む層とを有していてもよい。
包装部材の厚みは、特に制限されない。強度及び取り扱い性の観点からは、10μm〜100μmの範囲から選択してもよい。
本開示の包装部材は、大気圧下5℃における呼吸速度が1mlCO/kg・hr〜20mlCO/kg・hrの青果物を包装するための包装部材であり、青果物の保管に用いられるものである。
本開示において保管の対象となる青果物としては、前述の呼吸速度を満たす青果物であれば特に限定されず、例えば、いちご、みかん、桃等が挙げられる。
本開示の包装部材の形状は、特に制限されない。例えば、袋状、パック状、箱状等であってもよい。
本開示の包装部材の使用面積(包装部材内にて青果物と対面する面の合計面積)は、青果物の種類等、包装部材に包装される青果物の大きさ、質量などによって変動し、特に制限されない。例えば、包装部材の使用面積は、0.05m〜1.0mであってもよい。
本開示の包装部材に包装される青果物の質量は、青果物の種類、大きさ等によって変動し、特に制限されない。例えば、上述の青果物の質量は、200g〜500gであってもよい。包装部材に複数の青果物が包装される場合、上述の青果物の質量は、複数の青果物の合計質量を意味する。
<青果物包装体>
本開示の青果物包装体は、上述した本開示の青果物用包装部材と、前記青果物用包装部材で包装される前記青果物と、を備える。
本開示の青果物包装体(以下、「包装体」とも称する。)は、本開示の包装部材で青果物を包装するため、青果物の香気成分を長期間保持可能である。
包装体の作製時に充填するガスの組成は、無調整(大気)であっても、調整されていてもよい。経済性の観点からは、無調整であることが好ましい。
包装体の内部は、青果物の品質を好適に保持する観点からは、温度が−5℃〜10℃であることが好ましく、−3℃〜5℃であることがより好ましい。
<青果物の保管方法>
本開示の青果物の保管方法は、上述した本開示の青果物包装体を保管する工程を含む。
本開示の方法によれば、長期間にわたって青果物を保管することも可能である。保管の期間は、保管対象の青果物によって変動し、例えば、5日以上であってもよく、10日以上であってもよく、25日以上であってもよく、30日以上であってもよい。また、保管の期間は、60日以下であってもよい。
上記保管方法では、青果物包装体を保管する際の温度は、保管対象の青果物によって変動し、青果物包装体に含まれる青果物の鮮度を良好に維持する観点からは、例えば、−5℃〜10℃であることが好ましく、−3℃〜5℃であることがより好ましい。
青果物包装体を所定の温度の環境下で保管する方法としては、例えば、庫内温度を所定の温度に設定した保管庫内で青果物包装体を保管する方法が挙げられる。青果物の保管は、青果物の輸送を伴うものであってもよい。
以下、本発明に係る実施形態を、実施例を参照して詳細に説明する。なお本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(1)包装材料の準備
青果物を保管する包装部材の作製に用いる包装材料として、下記の包装材料1〜4を準備した。包装材料1〜4の物性を表1に示す。
(包装材料1)
プロピレン系重合体90質量部及び1−ブテン系重合体10質量部を含む表層(袋外側)と、4−メチル−1−ペンテン系重合体90質量部、プロピレン系重合体7質量部及び1−ブテン系重合体3質量部を含む中間層と、プロピレン系重合体90質量部及び1−ブテン系重合体10質量部を含む表層(袋内側)とをこの順に備え、表層(袋外側)、中間層、表層(袋内側)の厚みはそれぞれ6μm、18μm、6μm(合計30μm)である積層体(包装材料1)を作製した。
(包装材料2)
4−メチル−1−ペンテン系重合体69質量部、1−ブテン系重合体21質量部及び4−メチル−1−ペンテン・α―オレフィン共重合体10質量部を含む表層(袋外側)と、4−メチル−1−ペンテン・α―オレフィン共重合体90質量部及び1−ブテン系重合体10質量部を含む中間層と、4−メチル−1−ペンテン系重合体70質量部及び1−ブテン系重合体30質量部を含む表層(袋内側)とをこの順に備え、表層(袋外側)、中間層、表層(袋内側)の厚みはそれぞれ15μm、20μm、15μm(合計50μm)である積層体(包装材料2)を作製した。
(包装材料3)
厚み20μmの、鮮度保持用ポリエチレンフィルム(商品名「P−プラス」、住友ベークライト株式会社製)を包装材料3とした。
(包装部材4)
厚み50μmの、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名「スパッシュ」、三井化学東セロ株式会社製)を包装材料4とした。
(2)酸素透過度[cm/m・day・atm]の測定
包装材料1〜4について、差圧法ガス透過率測定装置(GTR−30XA、GTRテック株式会社を用い、23℃、90%RHの環境下、試験ガス(O)100%、包装材料1〜4の試験面積15.2cmの条件にて、包装材料1〜4の酸素透過度[cm/m・day・atm]を測定した。得られた結果を表1に示す。
(3)二酸化炭素透過度[cm/m・day・atm]の測定方法
包装材料1〜4について、差圧法ガス透過率測定装置(GTR−30XA、GTRテック株式会社を用い、23℃、90%RHの環境下、試験ガス(CO)100%、包装材料1〜4の試験面積15.2cmの条件にて、包装材料1〜4の二酸化炭素透過度[cm/m・day・atm]を測定した。得られた結果を表1に示す。
(4)最大径50μm以上の孔の数の測定
包装材料1〜4について、1mあたりにおける最大径50μm以上の孔の数を目視及び光学顕微鏡を使用して確認した。
その結果、表1に示したように、包装材料1、2、及び4のいずれも1mあたりにおける最大径50μm以上の孔は確認されず、包装材料3は前記孔が33個確認された。
Figure 2021107249
[実施例1〜6及び比較例1〜9]
(青果物の準備)
青果物として、実施例1、2及び比較例1〜3ではいちごを準備し、実施例3、4及び比較例4〜6ではみかんを準備し、実施例5、6及び比較例7〜9では桃を準備した。各青果物としては、いちごは収穫日当日、みかん、桃は収穫日から1日以内のものを準備した。各実施例及び各比較例で準備した青果物の品種・産地、単位、質量(g)を表3〜表5にそれぞれ示す。
(呼吸速度[CO/kg・hr]の測定方法)
呼吸速度は単位質量の青果物から単位時間あたりに発生する二酸化炭素量で表わされる。呼吸速度は、青果物を入れた容器内に一定流量の空気を流し、呼吸によって増加した二酸化炭素量を測定して求めた。各実施例及び各比較例で準備した青果物について、大気圧下5℃における呼吸速度は1mlCO/kg・hr〜20mlCO/kg・hrの範囲内であった。
Figure 2021107249
(包装袋の作製)
実施例1、2、5及び6並びに比較例2、3、8及び9では、包装材料1〜4をそれぞれ2枚ずつ切り出し、各包装材料を2枚重ね合わせ、3辺をスタンドシーラー(型番:NL−453PS−5、石崎電機製作所)を用いて熱融着(ヒートシール)し、包装材料1〜4を用いた方形の包装袋1〜4(有効サイズ:長さ364mm×幅515mm)を作製した。
実施例3及び4並びに比較例5及び6では、包装材料1〜4をそれぞれ2枚ずつ切り出し、各包装材料を2枚重ね合わせ、3辺をスタンドシーラー(型番:NL−453PS−5、石崎電機製作所)を用いて熱融着(ヒートシール)し、包装材料1〜4を用いた方形の包装袋1〜4(有効サイズ:長さ200mm×幅200mm)を作製した。
(包装体の準備)
各実施例及び各比較例にて、表3〜表5に示す青果物を包装袋1〜4に入れて、開放部分をスタンドシーラー(型番:NL−453PS−5、石崎電機製作所)を用いて熱融着(ヒートシール)して、青果物が包装袋1〜4で包装された包装体を得た。
比較例1、4及び7では、表3〜表5に示す青果物を包装袋に入れなかった。
(5)青果物100gあたりの酸素透過度[cm/100g・m・day・atm]の算出
表1に示した包装材料1〜4の酸素透過度から、包装袋内に収容する青果物100gあたりの酸素透過度[cm/100g・m・day・atm]を算出した。具体的には、得られた前記包装材料1〜4の酸素透過度[cm/m・day・atm]を、包装袋内に収容する青果物(いちご、みかん、桃)の質量(g)で割り算を行い、算出された値に100を掛け算して得られた値を、包装材料1〜4を用いて作製した包装袋1〜4に収容する青果物100gあたりの酸素透過度[cm/100g・m・day・atm]とした。算出結果を表3〜表5に示す。
(6)青果物100gあたりの二酸化炭素透過度[cm/100g・m・day・atm]の算出
表1に示した包装材料1〜4の二酸化炭素透過度から、包装袋内に収容する青果物100gあたりの二酸化炭素透過度[cm/100g・m・day・atm]を算出した。具体的には、得られた前記包装材料1〜4の二酸化炭素透過度[cm/m・day・atm]を、包装袋内に収容する青果物(いちご、みかん、桃)の質量(g)で割り算し、算出された値に100を掛け算して得られた値を、包装材料1〜4を用いて作製した包装袋1〜4に収容する青果物100gあたりの二酸化炭素透過度[cm/100g・m・day・atm]とした。算出結果を表3〜表5に示す。
(7)保管試験の実施
各実施例及び各比較例において、青果物が包装された包装体、及び包装されていない青果物を、表3〜表5に示す条件で保管庫内に保管した。各実施例及び各比較例における保管庫内の相対湿度は90%であった。
(8)香気成分及び発酵成分の割合(保管後/保管前)の算出
まず、包装前の青果物について、以下の装置を用いて以下の分析条件にて分析を行うことにより、表3〜表5に示す香気成分及び発酵成分のピーク強度(保管前ピーク強度)を測定した。
さらに、各実施例及び各比較例で準備した包装体を表3〜表5に示す条件で保管庫内に保管した後に、包装体から青果物を取り出し、前述と同様にして表3〜表5に示す香気成分及び発酵成分のピーク強度(保管後ピーク強度)を測定した。
比較例1、4及び7では、包装されていない青果物を表3〜表5に示す条件で保管庫内に保管した後に、前述と同様にして表3〜表5に示す香気成分及び発酵成分のピーク強度(保管後ピーク強度)を測定した。
そして、各実施例及び各比較例について、香気成分及び発酵成分の保管後ピーク強度/保管前ピーク強度を求めることにより、香気成分及び発酵成分の割合を算出した。香気成分の割合が1に近いほど、保管後に香気成分が好適に保持されていることを意味する。また、発酵成分の割合が大きいほど、保管後に発酵成分が多く発生していることを意味する。
得られた結果を表3〜表5に示す。
≪装置≫
ガスクロマトグラフ装置:HERACLES II アルファ・モス社製
ヘッドスペース法
検出器:FID(水素炎イオン化型検出器)
カラム:MXT−5 MXT−WAX
≪分析条件≫
試料 :搾汁により試料10mlを専用バイアルに採取後にセプタム付き栓で密封
注入量:ヘッドスペースガス 5ml
カラム:MXT−5及びMXT−WAX
(両方とも10m×0.18mm id 0.4μm film)
キャリアガス:水素 昇圧速度 1.6kPa
オーブン温度:40℃(恒温時間5秒)〜250℃
(昇温速度1.5℃/秒、恒温時間60秒)
注入口温度:210℃
トラップ温度:40℃
検出器温度:270℃
スプリット比:10対01
Figure 2021107249
Figure 2021107249
Figure 2021107249
表3に示すように、実施例1、2では、比較例1〜3と比較していちごの香気成分が保持されており、いちごの発酵成分の発生も抑制されていた。
表4に示すように、実施例3、4では、比較例4〜6と比較してみかんの香気成分が保持されており、みかんの発酵成分の発生も抑制されていた。
表5に示すように、実施例5、6では、比較例7〜9と比較して桃の香気成分が保持されており、桃の発酵成分の発生も抑制されていた。
以上により、各実施例では、青果物の香気成分を長期間保持できることが示された。

Claims (6)

  1. 23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの酸素透過度が300cm/100g・m・day・atm〜7000cm/100g・m・day・atmであり、23℃、90%RHにおける青果物100gあたりの二酸化炭素透過度が10000cm/100g・m・day・atm〜20000cm/100g・m・day・atmであり、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下である、大気圧下5℃における呼吸速度が1mlCO/kg・hr〜20mlCO/kg・hrの青果物を包装するための、青果物用包装部材。
  2. 前記青果物が、いちご、みかん、及び桃からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の青果物用包装部材。
  3. 4−メチル−1−ペンテンに由来する構成単位を有する重合体を含む、請求項1又は請求項2に記載の青果物用包装部材。
  4. 前記包装部材は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸及びポリブチレンサクシネートからなる群より選択される1種を含む層を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の青果物用包装部材。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の青果物用包装部材と、前記青果物用包装部材で包装される前記青果物と、を備える、青果物包装体。
  6. 請求項5に記載の前記青果物包装体を保管する工程を含む、青果物の保管方法。
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