JP2021107154A - 字消し - Google Patents

字消し Download PDF

Info

Publication number
JP2021107154A
JP2021107154A JP2021063346A JP2021063346A JP2021107154A JP 2021107154 A JP2021107154 A JP 2021107154A JP 2021063346 A JP2021063346 A JP 2021063346A JP 2021063346 A JP2021063346 A JP 2021063346A JP 2021107154 A JP2021107154 A JP 2021107154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
eraser
base material
mass
mpa
porous foam
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021063346A
Other languages
English (en)
Inventor
伸二 辻尾
Shinji Tsujio
伸二 辻尾
博義 山本
Hiroyoshi Yamamoto
博義 山本
小林 宣暁
Nobuaki Kobayashi
宣暁 小林
貴之 北口
Takayuki Kitaguchi
貴之 北口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakura Color Products Corp
Original Assignee
Sakura Color Products Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakura Color Products Corp filed Critical Sakura Color Products Corp
Publication of JP2021107154A publication Critical patent/JP2021107154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B43WRITING OR DRAWING IMPLEMENTS; BUREAU ACCESSORIES
    • B43LARTICLES FOR WRITING OR DRAWING UPON; WRITING OR DRAWING AIDS; ACCESSORIES FOR WRITING OR DRAWING
    • B43L19/00Erasers, rubbers, or erasing devices; Holders therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/36After-treatment
    • C08J9/40Impregnation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】使用者が文字を消すために字消しに力を加えても字消し自体が屈曲しにくく、その形状が保たれる保形性と、文字を消す能力である消字性とを兼ね備えるた字消しの提供。【解決手段】字消し10は、樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方と、可塑剤と、を含有する母材と、母材が含浸される多孔質フォームと、を含む。字消し10は0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する。【選択図】図3

Description

この発明は、字消しに関するものである。本出願は、2017年12月12日出願の日本出願第2017−238080号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
字消しは、一般的に消しゴムと呼ばれ広く使用されている。一般的な字消しは、塩化ビニル樹脂などの基材樹脂に可塑剤と、充填剤と、必要に応じて着色料等を配合して均一に混合した後、加熱成形して製造される。そのような字消しの一例が特許文献1に開示されている。
また特許文献2には、ゴム成分及び樹脂成分の少なくともいずれかを含む字消し組成物の弾性体と、骨格組織とを含む字消しが開示されている。
特開昭55−34990号公報 特開2001−138688号公報
字消しに対しては、所望の狭い領域内の文字のみを、周囲の文字を消さないように選択的に消去したいというニーズが有る。さらに、そのような狭い領域内の文字を、軽い力で的確にかつ綺麗に消字したいというニーズがある。そのようなニーズを満たすために、字消しには、使用者が文字を消すために字消しに力を加えても字消し自体が屈曲しにくくその形状が保たれる保形性と、文字を消す能力である消字性とを兼ね備えることが求められる。
そこで本発明は、高い保形性と高い消字性を兼ね備える字消しを提供することを目的とする。
本願発明に係る字消しは、樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方と、可塑剤と、を含有する母材と、母材が含浸される多孔質フォームと、を含む。上記字消しは0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する。
字消しで所望の位置の文字を的確に消字するためには、消字時における字消しの保形性が重要である。紙面に鉛筆で書かれた文字を字消しによって消字する際、字消しの使用者は字消しを紙面に押し付けるように、紙面に対して圧力を加えながら字消しで紙面を擦ることにより文字を消す。この時、字消しが充分な保形性を有していないと、使用者が字消しに加える力によって字消しが屈曲する。字消しが屈曲すると、字消しに加えられた力の方向が分散し充分に力が伝わらず、紙面に対する摩擦力が減少し、文字が消えにくくなる。また、屈曲により字消しに加えた力が分散するために、消字するのに充分な摩擦力を得るためには、余分に力を加える必要がある。
また字消しの屈曲によって紙面が隠れるため、使用者から消字箇所が見えにくく、所定の位置が消しにくくなるという課題もある。また字消しの保形性が低いと使用者の手の動きに対する、字消しの紙面に対する接地部の動きの追従性が悪くなる。その結果、使用者が意図した部分における摩擦力が足りず充分に消字されなかったり、また使用者が意図していない部分まで消字されたりする場合がある。このように字消しの保形性が低いと、消字の際に力が伝わりにくい、消字箇所が見えにくい、といった理由により字消しの使用感が悪くなる傾向がある。
一方、字消しに対しては、字消しの本質的な性質として高い消字性を有することが求められる。字消しにより字が消える機構は次のようなものである。鉛筆で紙面に文字を書くと、紙面の表面に黒鉛が付着する。この文字を字消しで擦ると、紙面の表面で字消しの組織が摩耗しながら紙面の表面に付着した黒鉛を吸着する。黒鉛を吸着した字消しの組織の一部は、字消し表面から消しくずとして脱離する。消しくずが字消し表面から脱離することで新たな字消しの組織表面が露出する。このサイクルを繰り返すことで文字が消える。そのため字消しには摩擦により擦られた部分が崩壊しながら脱離する摩耗崩壊性が求められる。摩耗崩壊性が高いことにより、高い消字性が達成される。
しかしながら高い保形性と高い消字性とを兼ね備えたのは容易ではない。例えば保形性を高くするための一案としては字消しを硬くすることが考えられる。しかしながら、単純に字消しの硬さを上げると摩耗崩壊性が低下し、その結果として消字性が低下する傾向がある。そのため、高い保形性と高い消字性を兼ね備える字消しが求められていた。
本発明者らは、検討の結果、(1)母材と多孔質フォームとを組み合わせた字消しとすること、および(2)字消しの引張弾性率が0.6MPa以上1.2MPa以下であること、という2つの条件を満たすことにより、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しが提供可能であることを見出した。本発明者らの検討によれば、引張弾性率が0.6MPa以上の字消しであれば、通常の使用状態において充分な保形性が維持され、字消しの屈曲が起こりにくい。一方、単純に引張弾性率が0.6MPa以上1.2MPa以下とするだけでは、消しゴム本来の、字を消すための性質が損なわれる。そのため、引張弾性率が0.6MPa以上1.2MPa以下となるよう、原料の母材および多孔質フォーム、および字消しの製造条件を選定することにより高い保形性と高い消字性とを兼ね備える字消しを提供することができる。
本願発明の字消しは、引張弾性率が0.7MPa以上であるのがより好ましい。字消しの引張弾性率が0.7MPa以上であれば、より保形性が高く、消字時により屈曲しにくい字消しとなる。
上記字消しにおいて、多孔質フォームがメラミンフォームであるのが好ましい。メラミンフォームは摩擦により崩壊しやすく、適度な引張強度を有し、かつ母材との親和性も高い。高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しを得るための材料として特に好適である。
上記字消しにおいて、樹脂成分がポリ塩化ビニルであるのが好ましい。ポリ塩化ビニルは、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しを得るための材料として特に好適である。
上記字消しにおいて、多孔質フォームの引張弾性率は、0.03MPa以上0.8MPa以下であるのが好ましく、0.05MPa以上0.4MPa以下であるのがより好ましい。多孔質フォームの引張弾性率を上記範囲内とすることにより、字消しの屈曲性および保形性を適切に保つことができる。
上記字消しにおいて、多孔質フォームの密度は、3.5kg/m以上12.0kg/m以下であるのが好ましい。多孔質フォームの密度を上記範囲内とすることにより、製造時および使用時において好ましい形態とすることが容易になる。
上記字消しによれば、高い保形性と高い消字性を兼ね備えた字消しを提供することが可能となる。
本願発明の字消しを示す概略図である。 字消しの拡大断面図である。 字消しに応力が負荷された状態を示す図である。 字消しに応力が負荷され、字消しが屈曲した状態を示す図である。
次に、本発明にかかる字消しの一実施の形態を図1および図2を参照して説明する。図1に本願発明の一実施形態に係る字消し10を示す。図2は字消しの拡大断面図である。
字消し10は、その一部が消字のために露出され、それ以外の部分は汚れ防止のためのカバー20によって覆われている。また図2に示すように、字消し10は多孔質フォーム120の空隙に母材110が充填された構造を有する。以下に詳細を説明する。
[母材]
字消し10は、樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方と、可塑剤と、を含有する母材110を含む。
特に限定されないが、上記樹脂成分を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、多液硬化性樹脂(二液硬化性樹脂など)、触媒硬化性樹脂、繊維素エステルなどの種々の樹脂が挙げられる。なかでも熱可塑性樹脂が好適である。このような樹脂は、溶媒に溶解させた形態や、溶媒に分散させた形態又はエマルジョン化させた形態で用いることも可能である。
より好ましい上記樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル系樹脂などの塩化ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂などの酢酸ビニル系樹脂などが挙げられる。なかでも塩化ビニル系樹脂、特にポリ塩化ビニルが可塑剤との混和が容易であり、かつ高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しを得るために好適である点で好ましい。
また上記エラストマー成分としては、ポリイソプレン(天然ゴム)、スチレン系、ブタジエン系、イソプレン系、エチレン−プロピレン系、ニトリル系、クロロプレン系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、およびオレフィン系のエラストマーが挙げられる。
これらの樹脂成分およびエラストマー成分は単独で用いてもよく、必要に応じてこれらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記可塑剤は、使用する熱可塑樹脂に応じて適宜選定することができる。例えば母材110がポリ塩化ビニルを含む場合、可塑剤として、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレートなどのフタレート系可塑剤、アセチルクエン酸トリブチルなどのアセチルクエン酸エステル系可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、アジピン酸ポリエステルなどのアジピン酸エステル系可塑剤、アルキルスルフォン酸フェニルエステルなどのアルキルスルフォン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、および安息香酸系エステルなどが好適に用いられる。これらの可塑剤は単独で用いてもよく、必要に応じてこれらのうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記母材110は、上記塩化ビニル系樹脂、特にポリ塩化ビニルと、可塑剤とを含むゾル状組成物の状態で多孔質フォーム120に含浸させるのが好ましい。これは、塩化ビニル系樹脂と可塑剤とによるゾル状組成物が、多孔質フォーム120に含浸、吸収させる上で流動性があり、かつ多孔質フォーム120の空隙部において硬化し易いためである。
上記字消し10において、母材110中の樹脂成分およびエラストマー成分の合計の割合は、特に制限されない。例えば、100質量%の母材110中に樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方を10質量%以上80質量%以下、好ましくは20質量%以上70質量%以下含む。
上記字消し10において、可塑剤の割合は、例えば、100質量%の母材110中、10質量%以上80質量%以下、好ましくは20質量%以上70質量%以下である(但し、樹脂成分、エラストマー成分、および可塑剤の合計は100質量%以下である。)。
上記母材110は、さらに炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、タルク、クレー、珪藻土、石英粉、アルミナ、アルミナシリケート、マイカなどの充填剤を含んでもよい。充填剤の割合は、例えば母材110質量%中0質量%以上70質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
上記母材110は、さらに研磨剤、安定剤、着色剤、香料、界面活性剤、グリコール類などの他の添加剤を含んでもよい。上記安定剤としては、金属石鹸、バリウム−亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、マグネシウム−亜鉛系安定剤、亜リン酸エステル系安定剤などを用いることができる。上記着色剤としては、有機顔料、無機顔料、蛍光顔料などの公知の顔料や、公知の染料などを用いることができる。
また上記母材110は、擦過力によって潰れる感圧性マイクロカプセルで構成されている変色性色素成分(感圧変色性色素成分)や、擦過熱によって変色する感熱性着色成分が含有されている変色性色素成分(感熱変色性色素成分)を含んでもよい。
[多孔質フォーム]
本実施の形態に係る字消し10は母材110が含浸される多孔質フォーム120を含む。多孔質フォーム120としては、上記母材110を含浸可能で、紙面に対する摩擦力により多孔質フォーム120の骨格が母材110の摩耗とともに分断され離脱する骨格組織を有するものが好ましい。
多孔質フォーム120は、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリエステルなどのエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂などの各種の樹脂やエラストマーから構成されるものが挙げられる。また海綿などの天然高分子多孔体なども用いることができる。さらに、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴムなどの各種のゴム成分や、木綿、絹、麻などの天然繊維、セルロース系繊維、エステル系繊維、アクリル系繊維、アミド系繊維などの合成繊維など各種の繊維を含んでもよい。
これらのうち、母材110との親和性が高く、紙面に対する摩擦力により組織が容易に分断され、かつ適度な引張弾性率を付与する観点から、上記多孔質フォーム120が、メラミン樹脂から形成されるメラミンフォームであるのが好ましい。
上記多孔質フォーム120は、適切な材質を選定し、骨格部の肉厚、空隙部の孔径、気孔率等を制御することにより、字消し10の引張弾性率が0.6MPa以上1.2MPa以下となるように形成される。そのような多孔質フォーム120であれば、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えるともに、適度な柔軟性を有する字消し10を提供することができる。適度な柔軟性を有することで、字を消す際に力が入りやすく、文字が消しやすい字消し10を提供することができる。
[字消し10の製造方法]
本願発明の字消し10は、多孔質フォーム120の空隙部に母材110が浸透し、その空隙部に母材110が内包されるように製造される。製造方法は特に限定されないが、一例としては以下のような方法が挙げられる。
まず、上記樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方、可塑剤、および必要に応じて添加される充填剤や他の添加剤などの母材110の成分を充分に撹拌し混合することにより母材110を調製する。ここで、樹脂成分として、例えば塩化ビニル樹脂を用いる場合、例えば、粒状のものが用いられる。それとは別に、シート状の多孔質フォーム120を準備する。
次に母材110を多孔質フォーム120に含浸させることにより、多孔質フォーム120の空隙部に母材110を充填する。例えば多孔質フォーム120を静置した状態で、多孔質フォーム120の空隙部が充分に充填される量の、未硬化の母材110を投入し、空隙部に母材110を吸収させてもよい。また未硬化の母材110が充填されたプレート上の型枠内に多孔質フォーム120を浸漬することにより、多孔質フォーム120全体に未硬化の母材110が含浸されるようにしてもよい。多孔質フォーム120に未硬化の母材110を含浸させる際、多孔質フォーム120の空隙部全体に未硬化の母材110が行き渡るよう、多孔質フォーム120に未硬化の母材110を含浸させた状態でプレスによって多孔質フォーム120を圧縮してもよい。また字消し10に気孔が含まれないよう減圧脱気してもよい。また母材110の内包量を均一かつ増大させるために、未硬化の母材110が含浸された多孔質フォーム120の上からさらに未硬化の母材110を注いで含浸させてもよい。
多孔質フォーム120と母材110との比率は特に限定されず、多孔質フォーム120の空隙内に母材が充分に充填されるように、多孔質フォーム120の空隙率(多孔質フォーム120の見かけの体積に対する空隙の総体積の割合)や、字消し10に求められる特性などを考慮して適宜選定される。一例としては、多孔質フォーム1質量部に対し50質量部以上200質量部、好ましくは100質量部以上150質量部以下である。
多孔質フォーム120に未硬化の母材110が含浸された状態で母材110を硬化させる。生産性を高めるために、硬化は加熱によって行うのが好ましい。多孔質フォーム120の中心部まで加熱を均一に行えることから、加熱は熱プレスにより行うのが好ましい。熱プレスは、多孔質フォーム120よりも大きい寸法の複数のプレス盤により母材110が含浸された多孔質フォーム120を挟んでプレスすることにより行う。また熱プレスは多孔質フォーム120の空隙部全体に母材110が行き渡るようにするためのプレスと、加熱による硬化を促進するためのプレスとを兼ねてもよい。
上記加熱による硬化は、100℃以上160℃以下の温度で、1分以上50分以下の加熱時間で行うのが好適である。特に、110℃以上120℃以下で1分以上20分以下の範囲で行うのが、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しを製造するのに好適である。また加熱はプレスによる加圧下で行うのが好ましい。プレス時の圧力は必要に応じて適宜設定される。例えば字消しのシートをプレスする際のプレス圧は5kgf/cm(49N/cm)以上150kgf/cm(1470N/cm)以下に設定することができる。
なお上記母材110としては、例えば、温度20℃、B型粘度計、回転数6rpmの測定条件で、100〜20,000mPa・s(好ましくは800〜7,000mPa・s)のゾル状態の母材110、特にポリ塩化ビニル樹脂のゾル状組成物を未硬化の母材110として用いることが望ましい。これはこの範囲内の粘度の母材110であれば、常温において、多孔質フォーム120に未硬化の母材110を含浸、吸収させる上で好適な流動性を有しているからである。また空隙部に充填されやすく、充填された状態で硬化させ易いためである。なお、20,000mPa・sを超える高粘度の未硬化の母材110であっても、加熱による粘度低下や、減圧などによって含浸させることも可能である。
上記のように硬化されて得られたシート状の字消し基材を必要に応じて所定の大きさに切断することにより字消し10が製造される。
[字消し]
字消し10は、上記母材110が多孔質フォーム120に含浸された構造を有する。図2は字消し10の拡大断面図である。図2を参照して、字消し10は、母材110が多孔質フォーム120の空孔内に充填されるように、母材110が多孔質フォーム120に含浸されている。また字消し10の状態においては、母材110は加熱により硬化され、多孔質フォーム120内で保持されている。
字消し10は、消字時の擦過により母材110が摩耗し字消しから離脱するとともに、多孔質フォーム120の骨格組織が母材110の摩耗と共に分断され離脱するように構成されているものが好ましい。
上記のようにして製造される字消し10は、0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する。本発明者らの検討によれば、字消し10の引張弾性率が0.6MPa以上であれば、通常の使用状態において充分な保形性が維持され、字消しの屈曲が起こりにくい。
図3および図4は、字消し10が紙面30に押し当てられ、文字が消されている状態を示す図である。字消し10により紙面30上の文字を消す場合においては、使用者は紙面30に対して字消し10を押し当てながら擦ることにより紙面30上に描かれた文字を消す。この時、字消し10に対し、紙面30と垂直な方向の力成分fがはたらく。引張弾性率が0.6MPa以上であれば字消し10が充分な保形性を有するため、図3のように、字消し10の変形は小さい。この状態であれば、接地部40の変形も少なく、手の動きに追従して接地部40も移動するまた屈曲が少ない。さらに使用者から見て接地部40が見やすい。そのため、細かい文字も消しやすい。また、字消し10に対し力が入れやすいため、軽いタッチで(少ない力で)文字を消すことができ使用感に優れる。
一方、引張弾性率が0.6MPa未満の場合、図4のように、力成分fの作用によって字消し10の屈曲が大きくなる。したがって接地部50の接触面積が大きくなるとともに、手の動きに対する接地部50の追従性も悪くなる。また字消し10に遮られて接地部50が使用者から見にくくなる。そのため、細かい文字を選択的に消すのが難しい。また屈曲により字消し10に加えられた力が分散するため、充分な摩擦力を得るために、余分な力を必要とする。加えて、屈曲部の外周側12が引っ張られるため、字消し10とカバー20との境界であるスリーブ部22において字消し10が割れやすくなる。そのため、図3に示す字消しと比較すると図4の字消しは使用感が劣る。なお、引張弾性率が1.2MPaより大きいと、字消し10が屈曲しにくく、結果として字が消しにくくなる。
このように、字消し10の引張弾性率が0.6MPa以上1.2MPa以下であれば、通常の使用状態において充分な保形性が維持され、字消し10の屈曲が起こりにくい。その結果、細かい文字が消しやすく、軽いタッチで字を消すことができ使用感に優れる字消し10を提供することができる。
上記引張弾性率は0.7MPa以上であるのがより好ましい。引張弾性率が0.7MPa以上であれば、引張弾性率が高いことによる上記効果がより充分に発揮される。
なお引張弾性率は、例えばダンベル状に切り出したサンプルを用いて、引張試験機によりJIS K 6251に準拠した方法で測定することができる。
上記のような引張弾性率を有し、かつ消字性に優れた字消し10は、0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する字消し10を形成するのに適した密度、気孔率などの特性を有する多孔質フォーム120の選定や、字消し10の形成時の加熱条件、および可塑剤の種類や量を調整することにより得ることができる。一例として、多孔質フォーム120としてメラミンフォームを用い、未硬化の上記母材110をメラミンフォームに含浸させた状態で100℃以上160℃以下の温度、2分以上50分以下の時間で熱プレスしながら加熱することにより、0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有し、高い保形性と高い消字性を兼ね備えた字消し10を得ることができる。
字消し10の表面硬さは、特に制限されず、例えば、50〜85、好ましくは60〜75である。表面硬さは、JIS S 6050に準じた方法で測定することができる。
字消し10の摩擦係数は、1.0以下であることが好ましい。字消し10の摩擦係数が1.0以下であれば、実使用上問題のないレベルである。字消し10の摩擦係数は、0.8以下であることがより好ましい。字消し10の摩擦係数が0.8以下であれば、軽いタッチで消字がし易い。また、字消し10の摩耗率は0.7%以上であることが好ましい。摩耗率が0.7%以上であれば、消字の際に表面が汚れにくく、より容易に消字することができる。
字消し10の消字率(%)は85%以上であるのが好ましく、90%以上であるのが好ましく、93%以上であるのがより好ましく、94%以上であるのが特に好ましい。このような消字率であれば適度な摩擦回数により効率よく文字を消すことができる。なお消字率はJIS S 6050:2002 6.4に準拠した方法により測定することができる。
以上の通り、本実施の形態に係る字消し10によれば、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しを提供することが可能となる。
以下において、実施例を参照して本発明をより具体的に説明する。本発明の範囲は、これら実施例の記載によって限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
(字消しの調製)
下記組成を有する母材と、下記に示す多孔質フォームとを用いて実施例の字消しを調製した。なお、後述する粒子径の測定については、JIS K5600−2−5;1999に準拠した方法で行い、100μmグライドゲージで三本目を測定した。
[母材]
(1)樹脂:ポリ塩化ビニル(商品名「ZEST P21」、新第一塩ビ株式会社製)(粒子径:55μm、重合度1550、K値75.1、粘度5300(mPa・s))34.0質量部
(2)可塑剤
(2−1)DOP(ジオクチルフタレート)(新日本理化株式会社製)32.3質量部
(2−2)DBP(ジブチルフタレート)(新日本理化株式会社製)8.0質量部
(3)充填剤
重質炭酸カルシウム(備北粉化工業株式会社製)25.0質量部
(4)安定剤
(4−1)マグネシウム‐亜鉛系安定剤(商品名「EMBILIZER R−23L、東京ファインケミカル株式会社製)0.5質量部
(4−2)有機リン系安定剤(商品名「EMBILIZER TC−110S、東京ファインケミカル株式会社製)0.2質量部
合計100質量部
[多孔質フォーム]
メラミンフォーム(商品名「バソテクト(Basotect)」、BASF社製)(メラミンフォームの引張弾性率:0.22MPa、密度:9.0kg/m
母材を構成する各成分を撹拌容器に投入し、均一になるまで撹拌することにより母材を調製した。所定の大きさ(60mm×23mm×10mm)にカットしたシート状のメラミンフォーム0.15質量部に対して、母材20質量部を含浸させた。メラミンフォームに母材が含浸された状態で、温度105℃、プレス圧10kgf/cm(=98N/cm)で25分間熱プレスし、母材を硬化させることにより字消しAを調製した。得られた字消しAの摩擦係数は、0.74であった。
(実施例2)
熱プレスの条件を温度113℃、プレス時間5分間、プレス圧10kgf/cm(=98N/cm)に変更した以外は実施例1と同様の手順にて字消しBを調製した。
(実施例3)
樹脂成分として用いるポリ塩化ビニルについて、粒子径が45μmであるものを用いた以外は実施例1と同様の手順にて字消しGを調製した。
(実施例4)
樹脂成分として用いるポリ塩化ビニルについて、粒子径が63μmであるものを用いた以外は実施例1と同様の手順にて字消しHを調製した。
(実施例5)
用いるメラミンフォームについて、引張弾性率が0.14MPaであるものを用いた以外は実施例1と同様の手順にて字消しIを調製した。得られた字消しIの摩擦係数は、0.66であった。なお、メラミンフォームの密度は、5.6kg/mである。
(実施例6)
用いるメラミンフォームについて、引張弾性率が0.09MPaであるものを用いた以外は実施例1と同様の手順にて字消しJを調製した。得られた字消しJの摩擦係数は、0.68であった。なお、メラミンフォームの密度は、8.9kg/mである。
(実施例7)
用いるメラミンフォームについて、引張弾性率が0.32MPaであるものを用いた以外は実施例1と同様の手順にて字消しKを調製した。得られた字消しKの摩擦係数は、0.64であった。なお、メラミンフォームの密度は、6.2kg/mである。
(実施例8)
可塑剤としてATBC(アセチルクエン酸トリブチル)を用い、母材を以下の構成とした以外は、実施例1と同様の手順にて字消しLを調製した。
[母材]
(1)樹脂:36.0質量部
(2)可塑剤:40.0質量部
(3)充填剤:23.4質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.5質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例9)
母材を以下の構成とした以外は、実施例8と同様の手順にて字消しMを調製した。
[母材]
(1)樹脂:32.0質量部
(2)可塑剤:46.0質量部
(3)充填剤:21.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例10)
母材を以下の構成とした以外は、実施例8と同様の手順にて字消しNを調製した。
[母材]
(1)樹脂:31.0質量部
(2)可塑剤:48.0質量部
(3)充填剤:20.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例11)
母材を以下の構成とした以外は、実施例8と同様の手順にて字消しOを調製した。
[母材]
(1)樹脂:30.0質量部
(2)可塑剤:50.0質量部
(3)充填剤:19.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例12)
可塑剤としてDOA(ジ−2−エチルヘキシルアジペート)、樹脂としてポリ塩化ビニル(商品名「ZEST P22」、新第一塩ビ株式会社製)(粒子径:55μm、重合度1060、K値67.1、粘度3000(mPa・s))を用い、母材を以下の構成とした以外は、実施例8と同様の手順にて字消しPを調製した。
[母材]
(1)樹脂:36.0質量部
(2)可塑剤:40.0質量部
(3)充填剤:23.4質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.5質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例13)
母材を以下の構成とした以外は、実施例12と同様の手順にて字消しQを調製した。
[母材]
(1)樹脂:32.0質量部
(2)可塑剤:46.0質量部
(3)充填剤:21.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例14)
母材を以下の構成とした以外は、実施例12と同様の手順にて字消しRを調製した。
[母材]
(1)樹脂:31.0質量部
(2)可塑剤:48.0質量部
(3)充填剤:20.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(実施例15)
樹脂としてポリ塩化ビニル(商品名「ZEST P21」、新第一塩ビ株式会社製)(粒子径:55μm、重合度1550、K値75.1、粘度5300(mPa・s))を用いた以外は、実施例13と同様の手順にて字消しSを調製した。
(実施例16)
可塑剤としてATBCおよびDOAを用い、母材を以下の構成とした以外は、実施例8と同様の手順にて字消しTを調製した。
[母材]
(1)樹脂:32.0質量部
(2−1)可塑剤:ATBC:23.0質量部
(2−2)可塑剤:DOA:23.0質量部
(3)充填剤:21.5質量部
(4−1):マグネシウム‐亜鉛系安定剤:0.4質量部
(4−2):有機リン系安定剤:0.1質量部
(比較例1)
メラミンフォームを使用しないこと以外は実施例2と同様の手順にて字消しCを調製した。
(比較例2)
メラミンフォームを使用せず、温度125℃、プレス時間10分間、プレス圧10kgf/cm(=98N/cm)の条件で熱プレスした以外は実施例2と同様の手順にて字消しDを調製した。
(比較例3)
メラミンフォームを使用せず、かつDOP(ジオクチルフタレート)の量を33.0質量部に変更したこと以外は実施例2と同様の手順にて字消しEを調製した。
(比較例4)
メラミンフォームを使用せず、かつDOP(ジオクチルフタレート)の量を25.0質量部に変更したこと以外は実施例2と同様の手順にて字消しFを調製した。
[物性の測定および特性の評価]
字消しの各物性は以下のような手順により測定し、特性を評価した。
[引張弾性率]
標線間距離30mmのダンベル状に字消し10を打ち抜き引張試験用の試験片を作製した。作製した試験片を用い、JIS K 6251に準拠した方法で引張弾性率(MPa)を測定した。
[字消し特性の評価]
次に一般的な字消しとしての各種特性を評価した。特性としては消字率(%)、消字の際の力の入りやすさ、細かい文字の消しやすさ、字消し表面の汚れやすさを評価した。評価手順は以下の通りである。
[消字率]
消字率はJIS S 6050:2002 6.4に準拠した以下の手順に沿って測定した。
(1)字消しを厚さ5mmの板状に切り、着色紙と接触する先端部分を半径6mmの円弧に仕上げたものを試験片とした。
(2)画線機を用いて、JIS S 6006に規定する鉛筆のHBと、坪量90g/m以上、白色度75%以上の上質紙を使用して着色紙を作製した。この着色紙に対して、試験片を垂直に、かつ着色線に対して直角になるように接触させた。この状態で、試験片におもりとホルダの質量の和が0.5kgとなるようにおもりを載せ、150±10cm/minの速さで着色部を4往復摩消させた。
(3)濃度計によって、着色紙の非着色部分の濃度を0として、着色部及び摩消部の濃度をそれぞれ測定した。
(4)消字率は次の式によって算出し、3回の平均値を求めた。
消字率(%)=(1−(摩消部の濃度/着色部の濃度))×100
[力の入りやすさ、細かい文字の消しやすさ、字消し表面の汚れやすさ]
実施例および比較例の各字消しを用いて実際に消字することにより、消字の際の力の入りやすさおよび細かい文字の消しやすさについて評価した。また消字後の字消し表面の汚れの程度を確認し、表面の汚れやすさを評価した。力の入りやすさについては、優れているものから順に、良好、ほぼ良好、並、入りにくい、と表現した。
[折れにくさ]
用紙と、60mm×23mm×10mmの字消し10に対し、先端の12mm×23mm×10mmの部分が露出するようにカバー20をかぶせた字消し10の試料とを準備した。カバー20を作業者の親指と人差し指で握りながら、字消し10と用紙の角度が約45°となるように字消し10を用紙に接触させた。この状態で1kgf(9.8N)の荷重をかけながら長さ130mmの範囲を70回往復運動させ、その後2.5kgf(24.5N)の荷重をかけながら長さ130mmの範囲を70回さらに往復運動させた。往復運動の後、字消しが折れたかどうかを判定した。この評価を各試料についてサンプル数n=5で評価した。往復運動の途中で折れた(割れた)試料の数が0の場合を「良好」、2個以下の場合を「やや劣る」、3個以上の場合を「劣る」として評価した。
上記のようにして実施例および比較例の各字消しを評価した。結果を表1、表2、表3および表4に示す。
Figure 2021107154
Figure 2021107154
Figure 2021107154
Figure 2021107154

注釈)※1 字消しの屈曲は少ないが、紙面上で摩耗しないため摩擦力が少なく、滑りやすい。
※2)表面組織が充分に摩耗しないため、筆跡が伸びて紙面が汚れる。
(結果)
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12、実施例13、実施例14、実施例15および実施例16は本願発明の範囲に属する字消しの例である。比較例1および比較例2は引張弾性率が0.6MPa未満の字消しの例である。また比較例3および比較例4は、引張弾性率が0.6MPa以上であるが、多孔質フォームを含んでいない字消しである。なお比較例1および比較例2の字消しも同様に多孔質フォームを含んでいない。
引張弾性率が0.6MPa未満である比較例1および比較例2の字消しの場合、消字時に屈曲するので力が入りにくい。そのため細かい文字が消しにくい。消字後の字消し表面には黒い汚れが残りやすい。さらに折れにくさの評価に示すように、非常に割れやすく、字消しの寿命が短くなることも明らかとなった。特に比較例1および比較例2の字消しは引張弾性率が低くたわみやすいため、図1における字消し10とカバー20の境界部分において字消し10がスリーブ部22に接触し割れやすいことがわかった。
比較例3および比較例4の字消しは引張弾性率が0.6MPa以上である。しかしながら、多孔質フォームを使用せずに引張弾性率を高めた場合には字消しが本来有するべき特性を備えていない。具体的には、他の実施例、比較例と比較して消字率が著しく低い。そのため、充分に文字が消えず、摩擦によって文字の黒鉛が引き伸ばされて紙面の汚れが著しい。また引張弾性率が0.6MPa以上であるため、消字の際に屈曲しにくいが、表面で摩耗しないため、紙面に対する摩擦力が小さく滑りやすい。そのため字消しとしては使用するのが実用上困難である。
これに対し、実施例1〜実施例16の字消しは、いずれの特性に対しても満足できる評価結果であった。具体的には、実施例1および〜実施例16の字消しは0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有するために消字の際に力が入りやすく、軽いタッチで文字を消すことができる。また力を加えても屈曲が少ないため、使用者が紙面との接触面を見やすく、使用者の手の動きに対する接触面の追従性も高い。そのため細かい文字も消しやすい。また多孔質フォームとしてメラミンフォームを含んでおり、消字時に字消しから摩耗した消しカスが容易に離脱し新しい組織が次々に露出されるため、字消しの表面の汚れも少ない。また折れにくさの評価においても往復運動中に折れた試料は見られなかった。これは引張弾性率が上記範囲内にある実施例1〜実施例16の字消しはたわみにくく字消しとスリーブ部との接触が少ないことによる。これらの結果は実施例1〜実施例16の字消しは保形性が高いことを示している。
なお、消字率の高さと、字消しの使用感の良さとは必ずしも相関しない。これは消字率の測定においては、字消しの試験片を紙面に対して垂直に接触させながら、紙面に対して垂直な方向に負荷をかけて消字するのに対し、一般的な字消しの使用場面では、紙面に対して斜め方向に負荷をかけながら消字することが多いからである。紙面に対して斜め方向に負荷が係ると字消しは屈曲する。このとき、0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する字消しにおいては屈曲に対し充分な耐性を有するため、力が入れやすく、細かい文字も消しやすいという有利な特徴を備えている。
このように樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方と、可塑剤と、を含有する母材と、母材が含浸される多孔質フォームと、を含み、0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する字消しとすることで、高い保形性と高い消字性の両立が可能である。その結果、力が入れやすく、軽いタッチで消字が可能であり、かつ細かい文字も消しやすい字消しを提供することが可能となる。
なお、実施例5、実施例6および実施例7については、字消しの摩擦係数は、0.8以下である。したがって、軽いタッチで消字がし易い。
また、実施例1、実施例3および実施例4について、ポリ塩化ビニルの粒子径を変更したものを用いている。これらは全て良好な評価を得ている。ここで、ポリ塩化ビニルの粒子径が大き過ぎると、例えば100μmよりも大きいと、得られる字消しのゲル硬度は低くなる傾向にある。また、得られる字消しの特性として柔らかく、使用時に大きく崩れる傾向にある。さらに、得られる字消しの表面に粒状の塊が現れて、見た目としても好ましくない傾向にある。一方、ポリ塩化ビニルの粒子径が小さ過ぎると、例えば20μmよりも小さいと、得られる字消しとしてのゲル硬度は高くなる傾向にある。また、得られる字消しの特性として硬くなり、使用時に粉っぽく崩れる傾向にある。また、使用後における消し屑が非常に細かくなり、周囲の環境を汚染する傾向にある。さらに使用後における字消しの表面も汚染される傾向にある。よって、ポリ塩化ビニルの粒子径については、20μm以上100μm以下とすれば、好ましい形態で上記字消しを製造することが容易となる。ポリ塩化ビニルの粒子径を実施例1、実施例3、実施例4に示すように45μm以上63μm以下とすることにより、より確実に好ましい形態で上記字消しを製造することができる。
なお、用いる多孔質フォームについて、多孔質フォームが非常に柔らかく密度が粗い、すなわち、多孔質フォームに形成される隙間が大きくなると、製造時において毛細管現象を利用した含浸の効果を十分に得にくい。よって、多孔質フォームの内部に溶融させた樹脂成分が含浸しにくくなる傾向にある。また、得られる字消しの特性としていわゆるコシがなく、曲がりやすい傾向にある。また、使用時に字消しの摩耗が細かく崩れず大きく崩れる傾向にある。さらに、得られた字消しの内部に空隙が生じやすくなる傾向にある。一方、多孔質フォームが非常に硬く密度が高い、すなわち、多孔質フォームに形成される隙間が小さくなると、製造時において多孔質フォームの内部に溶融させた樹脂成分を含浸しにくくなる傾向にある。また、得られた字消しについて、使用時の字消しの摩耗量が少なくなり、新しい面が出にくく、消去性が劣る傾向にある。よって、多孔質フォームの密度を、例えば3.5kg/m以上12.0kg/m以下とすることにより、製造時および使用時において好ましい形態とすることが容易になる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかる字消しは、高い保形性と高い消字性とを兼ね備えた字消しが求められる分野において、特に有利に適用され得る。
10 字消し、12 屈曲部の外周側、20 カバー、22 スリーブ部、30 紙面、40 接地部、50 接地部、110 母材、120 多孔質フォーム

Claims (5)

  1. 樹脂成分およびエラストマー成分のうち少なくともいずれか一方と、可塑剤と、を含有する母材と、
    前記母材が含浸される多孔質フォームと、を含み、
    0.6MPa以上1.2MPa以下の引張弾性率を有する、字消し。
  2. 前記多孔質フォームがメラミンフォームである、請求項1に記載の字消し。
  3. 前記樹脂成分がポリ塩化ビニルである、請求項1または請求項2に記載の字消し。
  4. 前記多孔質フォームの引張弾性率は、0.05MPa以上0.4MPa以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の字消し。
  5. 前記多孔質フォームの密度は、3.5kg/m以上12.0kg/m以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の字消し。
JP2021063346A 2017-12-12 2021-04-02 字消し Pending JP2021107154A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017238080 2017-12-12
JP2017238080 2017-12-12
JP2019523882A JPWO2019117125A1 (ja) 2017-12-12 2018-12-11 字消し

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019523882A Division JPWO2019117125A1 (ja) 2017-12-12 2018-12-11 字消し

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021107154A true JP2021107154A (ja) 2021-07-29

Family

ID=66819625

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019523882A Pending JPWO2019117125A1 (ja) 2017-12-12 2018-12-11 字消し
JP2021063346A Pending JP2021107154A (ja) 2017-12-12 2021-04-02 字消し

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019523882A Pending JPWO2019117125A1 (ja) 2017-12-12 2018-12-11 字消し

Country Status (3)

Country Link
JP (2) JPWO2019117125A1 (ja)
TW (1) TW201927883A (ja)
WO (1) WO2019117125A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2020262116A1 (ja) * 2019-06-24 2020-12-30

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138688A (ja) * 1999-08-30 2001-05-22 Rabitsuto Kk 字消し及びその製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE3131456C2 (de) * 1981-08-08 1987-04-02 Fa. J.S. Staedtler, 8500 Nürnberg Radiergummi mit mischungsbedingter Charakteristik und Verfahren zu dessen Herstellung
JPH08258493A (ja) * 1995-03-20 1996-10-08 Mitsubishi Pencil Co Ltd 字消し材
JPH0966699A (ja) * 1995-08-30 1997-03-11 Pentel Kk 消しゴム
JP2006027151A (ja) * 2004-07-20 2006-02-02 Sakura Color Prod Corp 消しゴム及びその製造方法。
JP5749955B2 (ja) * 2011-03-24 2015-07-15 株式会社サクラクレパス プラスチック消しゴム、それを含むプラスチック消しゴム複合体及びその製造方法
JP6674181B2 (ja) * 2012-07-03 2020-04-01 株式会社サクラクレパス 字消し

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138688A (ja) * 1999-08-30 2001-05-22 Rabitsuto Kk 字消し及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2019117125A1 (ja) 2019-06-20
TW201927883A (zh) 2019-07-16
JPWO2019117125A1 (ja) 2019-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7341635B2 (en) Eraser
JP6674181B2 (ja) 字消し
JP5749955B2 (ja) プラスチック消しゴム、それを含むプラスチック消しゴム複合体及びその製造方法
JP2021107154A (ja) 字消し
JP3835732B2 (ja) 字消し及びその製造方法
JP2022009115A (ja) 字消し
WO2020262116A1 (ja) 字消し
JP4563105B2 (ja) 消し具
JP2011251432A (ja) 消しゴム組成物
JP2021167088A (ja) 字消し
JP4647069B2 (ja) 汚れ落とし具
JP2011110894A (ja) 消しゴム
JPH09175087A (ja) 消しゴム
JP7394447B2 (ja) 字消し
JP2023092943A (ja) 字消し
JPH08258493A (ja) 字消し材
MXPA00008410A (es) Borrador
JP2002254894A (ja) 消しゴム
JP2010228220A (ja) 油性マーカー用消しゴム、消しゴム付き油性マーカー、あるいは、消しゴム入り油性マーカーセット
JPH0971096A (ja) 消しゴム
JP2008194914A (ja) プラスチック字消し

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230110

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230704