JP2021106202A - 板材、放熱材及び板材の製造方法 - Google Patents

板材、放熱材及び板材の製造方法 Download PDF

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Yoshinori Miyanaga
美紀 宮永
前田 徹
Toru Maeda
前田  徹
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Abstract

【課題】線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する板材を提供する。【解決手段】板材1は、第1の主面4と、第1の主面に対向する第2の主面5とを備える。板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域2と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域3と、を含む。第2領域は、板材中に複数存在し、それぞれが第1の主面の法線N1方向に沿って延在する。【選択図】図4

Description

本開示は、板材、放熱材及び板材の製造方法に関する。
半導体分野においては、半導体素子であるハイパワーデバイスによる使用電力の増加などにより発熱量が増加する傾向にある。半導体素子の温度が上昇すると素子の破損につながることから、半導体素子の熱を効率的に拡散させるために放熱材が用いられている。放熱材としては、熱伝導率の高い金属が用いられるが、これらの金属と半導体素子、および周辺に使用されるセラミックスパッケージとは熱による線膨張係数差が大きいため、これら金属と半導導体素子、および周辺に使用されるセラミックスパッケージの界面に熱応力が発生し、半導体素子、および周辺に使用されるセラミックスパッケージが破損してしまう。
この為、熱伝導率の高い金属と線膨張係数が小さな金属やセラミックスを複合させることが一般的であり、モリブデンやタングステンといった線膨張係数が小さな金属と、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムといった熱伝導率の高い金属とを混合して複合体を放熱材と使うことが知られている。例えば、特開2000−216278号公報(特許文献1)のように、モリブデン粉末やタングステン粉末の間に銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを充填させる構造が一般的である。
半導体分野においては、半導体素子であるハイパワーデバイスによる使用電力の増加などにより発熱量が増加する傾向にあることから、放熱効果を高めて、半導導体素子、および周辺に使用されるセラミックスパッケージの破損を防ぐ必要がある。このため、線膨張係数は維持したまま、さらに高い熱伝導率を両立させることが求められている。さらに熱伝導率を高める為には銀、銅、アルミニウム、マグネシウムといった熱伝導率の高い金属の含有率を高めることが効果的であるが、この方法だと線膨張係数が大きくなり、使用することができなくなる。
上記の課題を解決するために、特開2010−219441号公報(特許文献2)のように、モリブデン層やタングステン層と、銅層、銀層、アルミニウム層、マグネシウム層とを交互に積層させることで、線膨張係数を維持したまま高い熱伝導率を両立させる放熱板も提案されている。
特開2000−216278号公報 特開2010−219441号公報
特許文献2の放熱板では、面内方向の線膨張係数を小さくできる。一方、厚み方向の熱伝導率は、銅層、銀層、アルミニウム層、マグネシウム層に比して熱伝導率の小さいモリブデン層やタングステン層の影響を受けるため、小さくなる傾向があった。
そこで、本開示は、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する板材を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態に係る板材は、第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを備える板材であって、
前記板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域と、を含み、
前記第2領域は、前記板材中に複数存在し、それぞれが前記第1の主面の法線方向に沿って延在する、板材である。
本開示の一実施形態に係る放熱材は、上記の板材を含む放熱材である。
本開示の一実施形態に係る板材の製造方法は、上記の板材の製造方法であって、
3Dプリンタを用いて、第1の主面及び第2の主面とを備える板状であって、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含み、前記第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む第1領域を形成する第1工程と、
前記複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を充填して第2領域を形成して板材を得る第2工程と、を備える、板材の製造方法である。
本開示によれば、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する板材を提供することが可能となる。
図1は、本開示の板材の外形の一例を示す模式図である。 図2は、本開示の板材の外形の他の一例を示す模式図である。 図3は、実施形態1に係る板材の上面図である。 図4は、図3の板材のX1−X1線における断面図である。 図5は、実施形態2に係る板材の上面図である。 図6は、図5の板材のX2−X2線における断面図である。 図7は、実施形態3に係る板材の上面図である。 図8は、図7の板材のX3−X3線における断面図である。 図9は、実施形態4に係る板材の上面図である。 図10は、図9のX4−X4線における断面図である。 図11は、実施形態5に係る板材の上面図である。 図12は、図11のX5−X5線における断面図である。 図13は、実施形態6に係る板材の上面図である。 図14は、図12のX6−X6線における断面図である。 図15は、実施形態7に係る放熱材の一例を示す断面図である。 図16は、実施形態8に係る板材の製造方法を示すフローチャートである。 図17は、実施例で作製された板材及び放熱材の線膨張率と熱伝導率とをプロットしたグラフである。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一実施形態に係る板材は、
第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを備える板材であって、
前記板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域と、を含み、
前記第2領域は、前記板材中に複数存在し、それぞれが前記第1の主面の法線方向に沿って延在する、板材である。
本開示によれば、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する板材を提供することが可能となる。
(2)前記第2領域の少なくとも一つは、前記第1の主面から前記第2の主面まで貫通することが好ましい。
これによると、板材の熱伝導率がより向上する。
(3)前記第2領域の少なくとも一つは、その延在方向が前記第1領域により分断されることが好ましい。
これによると、板材は高い熱伝導率を維持したまま、優れた強度を有することができる。
(4)前記板材の少なくとも一部において、前記第2領域の体積V2に対する前記第1領域の体積V1の割合であるV1/V2は、0.05以上1以下であることが好ましい。
これによると、板材は、低い線膨張係数を維持したまま、より高い熱伝導率を有することができる。
(5)前記第1領域中の前記モリブデン及び前記タングステンの合計含有率は、50原子%以上100原子%以下であることが好ましい。
これによると、板材は、高い熱伝導率を維持したまま、より低い線膨張係数を有することができる。
(6)前記第2領域の少なくとも一つのアスペクト比は、0.5以上30以下であることが好ましい。
これによると、板材の線膨張係数をより低くすることができる。
(7)前記第2領域の少なくとも一つは、その中心線を法線とする断面において円形又は多角形であることが好ましい。
これによると、板材の使用時における第1領域の変形を抑制することができる。
(8)前記多角形は、三角形、四角形、平行四辺形、台形、五角形、六角形及び八角形からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これによると、板材の使用時における第1領域の変形を更に抑制することができる。
(9)前記多角形は、正多角形であることが好ましい。
これによると、板材の使用時における第1領域の変形を更に抑制することができる。
(10)本開示の一実施形態に係る放熱材は、上記の板材を含む放熱材である。
本開示の放熱材は、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する。
(11)本開示の一実施形態に係る板材の製造方法は、上記の板材の製造方法であって、
3Dプリンタを用いて、第1の主面及び第2の主面とを備える板状であって、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含み、前記第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む第1領域を形成する第1工程と、
前記複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を充填して第2領域を形成して板材を得る第2工程と、を備える、板材の製造方法である。
これによると、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する板材を得ることができる。
(12)前記第2工程における充填は、溶浸法を用いて行われることが好ましい。
これによると、第2領域への不純物の混入を抑制することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の板材、放熱材及び板材の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
[実施形態1:板材]
実施形態1の板材を図1〜図4を用いて説明する。図1は、本開示の板材の外形の一例を示す模式図である。図2は、本開示の板材の外形の他の一例を示す模式図である。図3は、実施形態1に係る板材の上面図である。図4は、図3の板材のX1−X1線における断面図である。
図1、図3及び図4に示されるように、実施形態1の板材1は、第1の主面4と、該第1の主面4に対向する第2の主面5とを備える板材1であって、該板材1は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域2と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域3と、を含み、該第2領域3は、該板材1中に複数存在し、それぞれが該第1の主面4の法線N1方向に沿って延在する、板材1である。図1において、第1の主面4及び第2の主面5と平行な面をXY平面と示し、第1の主面の法線N1と平行な線をZ軸と示す。
図1では、第1の主面4及び第2の主面5がそれぞれ円形であり、板材1の全体の外形が円盤形状であるが、板材の形状はこれに限定されない。例えば図2に示されるように、板材21は、第1の主面14及び第2の主面15がそれぞれ矩形であり、板材21の全体の外形が板状であってもよい。図1及び図2では、第1の主面4と第2の主面5とが平行であるが、第1の主面4と第2の主面5とは平行でなくてもよい。この場合、第1の主面4と第2の主面5との角度は0°以上10°以下が好ましい。
本開示の板材は、面内方向の線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する。この理由は、下記(i)及び(ii)の通りと推察される。
(i)本開示の板材1において、第1領域2は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む。モリブデン及びタングステンは、金属の中では線膨張係数が小さく、かつ、線膨張係数の小さい金属の中では熱伝導率が大きい。一方、第2領域は、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む。銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムは熱伝導率が大きい。
従って、第1領域2及び第2領域3を備える板材は、低い線膨張係数を維持したまま、高い熱伝導率を有することができる。
(ii)本開示の板材において、第2領域は、板材中に複数存在し、それぞれが第1の主面の法線方向に沿って延在する。
板材1を放熱材として用いる場合は、第1の主面及び/又は第2の主面上(XY平面上)に半導体素子やセラミックスパッケージを設置する。この場合、Z軸方向の熱伝導率が大きいことが重要である。
実施形態1の板材1では、第2領域3のそれぞれが第1の主面4の法線N1方向に延在しているため、Z軸方向の熱伝導率が向上する。従って、本開示の板材は、面内方向の低い線膨張係数を維持したまま、特に、Z軸方向(厚み方向)の熱伝導率を向上させることができる。よって、実施形態1の板材は、放熱材として非常に有用である。
<第1領域>
(組成)
実施形態1の板材1において、第1領域2は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む。モリブデン及びタングステンは、金属の中では線膨張係数が小さく、かつ、線膨張係数の小さい金属の中では熱伝導率が大きい。従って、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域を備える板材は、線膨張係数が小さいにも関わらず、高い熱伝導率を維持することができる。
第1領域は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方のみからなることができる。また、第1領域は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方に加えて、他の成分も含むことができる。
第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率は、50原子%以上100原子%以下が好ましい。上記の他の成分は、モリブデン及びタングステンよりも線膨張係数が大きく、熱伝導率も大きい。従って、第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率が大きいほど、線膨張係数を小さくすることができるが、熱伝導率も小さくなる。一方、第1領域中のモリブデン及びタングステンの含有率が小さいほど、熱伝導率を大きくすることができるが、線膨張係数も大きくなる。
本発明者らは鋭意検討の結果、第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率が、50原子%以上100原子%以下の場合に、板材は、高い熱伝導率を維持したまま、線膨張係数がより低くなることを見出した。
第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率の下限は、低い線膨張係数を維持する観点から、50原子%が好ましく、60原子%以上がより好ましく、70原子%以上が更に好ましい。第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率の上限は、高い熱伝導率を維持する観点から、100原子%以下が好ましく、95原子%以下がより好ましく、85原子%以下が更に好ましい。第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率は、60原子%以上95原子%以下がより好ましく、70原子%以上85原子%以下が更に好ましい。
第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率は、エネルギー分散型ケイ光X線分析計が付帯している走査型電子顕微鏡を用いて第1領域中の元素を定量測定して算出する。測定を行う分析範囲は、第1領域中の200μm×200μmの領域とする。板材の主面の法線方向に沿う断面における第1領域において、4つの分析範囲を任意に選択する。該4箇所のそれぞれにおいて、第1領域中の元素を定量測定し、第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率を算出する。該4箇所の平均値を、第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率とする。
<第2領域>
(組成)
実施形態1の板材1において、第2領域3は、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウム(以下、「第1金属」とも記す。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む。銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムは熱伝導率が非常に大きい。従って、これらの金属を含む第2領域を備える板材は、熱伝導率が大きい。
第2領域は、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムのみからなることができる。また、第2領域は、第1金属に加えて、他の成分も含むことができる。
第2領域中の銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムの合計含有率は、50原子%以上100原子%以下が好ましい。上記の他の成分は、第1金属よりも線膨張係数が小さいが、熱伝導率も小さい。従って、第2領域中の第1金属の含有率が大きいほど、熱伝導率を大きくすることができるが、線膨張係数も大きくなる。一方、第2領域中の第1金属の含有率が小さいほど、線膨張係数を小さくすることができるが、熱伝導率も小さくなる。
本発明者らは鋭意検討の結果、第2領域中の第1金属の含有率が、50原子%以上100原子%以下の場合に、板材は、高い熱伝導率を維持したまま、線膨張係数がより低くなることを見出した。
第2領域中の第1金属の合計含有率の下限は、高い熱伝導率を維持する観点から、60原子%以上が好ましく、75原子%以上がより好ましく、80原子%以上が更に好ましい。第2領域中の第1金属の合計含有率の上限は、低い線膨張係数を維持する観点から、100原子%以下が好ましく、95原子%以下がより好ましく、90原子%以下が更に好ましい。第2領域中の第1金属の含有率は、 60原子%以上90原子%以下が好ましく、75原子%以上95原子%以下がより好ましく、80原子%以上100原子%以下が更に好ましい。
第2領域中の第1金属の合計含有率は、エネルギー分散型ケイ光X線分析計が付帯している走査型電子顕微鏡を用いて第2領域中の元素を定量測定して算出する。測定を行う分析範囲は、第2領域中の20μm×100μmの領域とする。板材の主面の法線方向に沿う断面において、異なる4つの第2領域を選択する。該4つの第2領域のそれぞれにおいて、上記分析範囲を1箇所ずつ任意に設定する。該4箇所の分析範囲のそれぞれにおいて、第2領域中の元素を定量測定し、第2領域中の第1金属の合計含有率を算出する。該4箇所の平均値を、第2領域中の第1金属の合計含有率とする。
(形状)
実施形態1の板材1において、第2領域2は、板材1中に複数存在し、それぞれが第1の主面4の法線N1方向に沿って延在する。ここで、第2領域のそれぞれが第1の主面の法線方向に沿って延在するとは、図4に示されるように、第2領域の中心線C1と第1の主面4との成す角度α1の最小値が45°以上90°以下であることを意味する。第2領域の中心線C1とは、第2領域の断面積が最小となる断面における重心をつないで形成される線を意味する。第1領域と第2領域の界面には、数μmから数十μmの凹凸が存在しているが、中心線を求める場合は、これらの凹凸の平均位置を界面と仮定する。
図4では、第2領域の中心線C1は1本の直線であるが、中心線C1の態様はこれに限定されない。中心線C1は、途中に屈曲を有していてもよいし、曲線であってもよい。
第2領域の中心線C1と第1の主面4との成す角度α1の最小値が45°以上90°以下であると、Z軸方向の熱伝導率が向上する。角度α1は、熱伝導率向上の観点から、50°以上90°以下が好ましく、75°以上90°以下がより好ましく、80°以上90°以下が更に好ましく、90°が最も好ましい。
第2領域の中心線C1と、第1の主面4との成す角度α1は、下記の方法で求める。まず、第1領域2と第2領域3とを区別するために、エネルギー分散型ケイ光X線分析計が付帯している走査型電子顕微鏡を用いて、板材の第1の主面(XY平面)において、第1領域を構成する元素(モリブデン及びタングステン)と、第2領域を構成する元素(銀、銅、アルミニウム、マグネシウム)のマッピングを行う。これにより、第1領域と第2領域のパターンを把握する。第1領域と第2領域との区別は、第1領域を構成する元素(モリブデン及びタングステン)を50原子%以上含む領域を第1領域とし、それ以外の領域を第2領域とした。続いて、X線イメージングにて、第2領域の面積が最小となる面を求める。この面の法線と板材の第1の主面(XY平面)の成す角度が、第2領域の中心線C1と第1の主面4の成す角度α1に該当する。
図4に示されるように、第2領域3の少なくとも一つは、第1の主面4から第2の主面5まで貫通することが好ましい。これによると、板材の熱伝導率がより向上する。
(V1/V2)
板材1の少なくとも一部において、第2領域3の体積V2に対する第1領域2の体積V1の割合であるV1/V2は、0.05以上1以下であることが好ましい。これによると、板材は、低い線膨張係数を維持したまま、より高い熱伝導率を有することができる。V1/V2の下限は、低い線膨張係数を維持する観点から、0.09以上がより好ましく、0.2以上が更に好ましい。V1/V2の上限は、高い熱伝導率を維持する観点から、0.5以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。V1/V2は、0.09以上0.5以下がより好ましく、0.2以上0.3以下が更に好ましい。
第1領域の体積V1及び第2領域の体積V2は、下記の方法で求める。まず、上記の第2領域の中心線C1と、第1の主面4との角度α1を求める方法と同一の方法で、第2領域の面積が最小となる面を特定し、この面の面積S、及び、この面の法線と板材の第1の主面(XY平面)の成す角度α1とを求める。面積S及び角度α1に基づき、S×L/sin(α1)の値を算出することにより、V2を求めることができる(すなわち、V2=S×L/sin(α1))。また、板材全体の体積VからV2を減算することにより、V1を求めることができる(すなわち、V1=V−V2)。
第2領域の中心線を法線とする板材1の断面において、V1/V2が0.05以上1以下である割合は、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましい。これによると、板材の全領域にわたり、板材は、低い線膨張係数を維持したまま、より高い熱伝導率を有することができる。
(アスペクト比)
第2領域3の少なくとも一つのアスペクト比は、0.5以上30以下であることが好ましい。ここで、第2領域のアスペクト比とは、図4に示されるように、第2領域の幅W1に対する第2領域の第1の主面の法線に沿う長さL1の割合であるL1/W1を意味する。
第2領域の幅W1は、の断面積が最小である断面積(すなわち、最小断面積)を正円と仮定した場合の、該正円の直径(すなわち、最小断面積の円相当径)を意味する。第2領域の幅W1は、最小断面積をSとした場合、W1=2(S/π)1/2で求められる。
第2領域の第1の主面の法線に沿う長さL1とは、第2領域を第1の主面の法線と平行な面に平行投影した場合の、第1の主面の法線に沿う長さの最短距離を意味する。第2領域が第1の主面から第2の主面まで貫通している場合は、第1の主面と第2の主面との距離がL1に相当する。第2領域の延在方向が第1領域により分断されている場合は、第1の主面と、分断している第1領域までの距離がL1に相当する。第2領域の幅W1と第2領域の第1の主面の法線に沿う長さL1は、走査型電子顕微鏡を用いて第2領域を計測することによって求める。
第2領域のアスペクト比が0.5以上であると、第2領域の幅に対して、第2領域の第1の主面の法線に沿う長さL1が十分に長いため、板材の使用時に温度が上昇し、第2領域の体積が膨張した場合であっても、第1領域と第2領域との熱膨張差に起因する両者の界面での剥離を抑制し、高い線膨張係数を維持することができる。第2領域のアスペクト比は、第1領域と第2領域との界面における剥離を抑制する観点から、0.8以上が好ましく、0.9以上がより好ましく、1.0以上が更に好ましい。第2領域のアスペクト比は、大きいほど低い線膨張係数を維持する観点から好ましい。第2領域のアスペクト比の上限は特に限定されないが、製造上の観点からは30以下とすることができる。第2領域のアスペクト比は、0.5以上30以下が好ましく、0.9以上30以下がより好ましく、1.0以上30以下が更に好ましい。
第2領域の中心線を法線とする板材1の断面における第2領域全体の面積を基準とした場合(すなわち、第2領域の中心線を法線とする板材1の断面における第2領域全体の面積を「1」とした場合)、アスペクト比が0.5以上の第2領域の割合は、低い線膨張係数を維持する観点から、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましい。
(断面形状)
図3に示されるように、第2領域3は、第2領域の中心線を法線とする断面において、円形である。図3では、円形は正円として描かれているが、円形は楕円形でも良い。また、それぞれの円形の大きさは異なっていてもよい。これによると、板材の使用時における第1領域の変形を抑制することができる。
図3では、第2領域のその中心線を法線とする断面(以下、「第2領域の断面」とも記す。)は円形であるが、第2領域の断面の形状はこれに限定されず、多角形とすることもできる。多角形としては、三角形、四角形、平行四辺形、台形、五角形、六角形及び八角形からなる群より選ばれる少なくとも1種を採用することができる。また、多角形は、正多角形であることが好ましい。第2領域の断面の形状が多角形の場合については、後述の実施形態3〜実施形態6で詳述する。また、同一の板材において、第2領域の断面の形状は、円形及び多角形の両方を含むことができる。
第2領域の断面の面積は、板材の第1の主面の面積や、板材のZ軸方向の厚みにより適宜設定される。第2領域のその中心線を法線とする断面において、第2領域の断面の面積Sと板材の断面の面積Sの比S/Sの下限は、高い熱伝導率を維持する観点から、例えば、0.69以上が好ましく、0.79以上がより好ましく、0.89以上が更に好ましい。S/Sの上限は、低い線膨張係数を維持する観点から、例えば、0.98以下が好ましく、0.96以下がより好ましく、0.91以下が更に好ましい。
<用途>
実施形態1の板材は、その主面上に半導体素子やセラミックスパッケージを設置して、放熱材として使用されるのに適している。
[実施形態2:板材]
実施形態2の板材を図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施形態2に係る板材の上面図である。図6は、図5の板材のX2−X2線における断面図である。
図5及び図6に示されるように、実施形態2の板材31は、第1の主面24と、該第1の主面24に対向する第2の主面25とを備える板材31であって、該板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域22と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域23と、を含み、該第2領域23は、該板材31中に複数存在し、それぞれが該第1の主面24の法線N2方向に沿って延在する、板材31である。実施形態2において、第2領域の中心線C2と第1の主面24との成す角度はα2で示される。
実施形態2の板材は、第2領域の形状以外は、実施形態1の板材と同一の構成を有する。従って、下記では第2領域の形状について説明する。
図6に示されるように、実施形態2の板材において、第2領域23の少なくとも一つは、その延在方向が第1領域22により分断されることが好ましい。これによると、板材は高い熱伝導率を維持したまま、優れた強度を有することができる。
図6では、それぞれの第2領域23は、その延在方向の1箇所において第1領域22により分断されているが、分断箇所は1箇所に限定されず、2箇所以上とすることもできる。
[実施形態3:板材]
実施形態3の板材を図7及び図8を用いて説明する。図7は、実施形態3に係る板材の上面図である。図8は、図7の板材のX3−X3線における断面図である。
図7及び図8に示されるように、実施形態3の板材41は、第1の主面34と、該第1の主面34に対向する第2の主面35とを備える板材41であって、該板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域32と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域33と、を含み、該第2領域33は、該板材41中に複数存在し、それぞれが該第1の主面34の法線N3方向に沿って延在する、板材41である。実施形態3において、第2領域の中心線C3と第1の主面34との成す角度はα3で示される。
実施形態3の板材は、第2領域のその中心線を法線とする断面形状以外は、実施形態1の板材と同一の構成を有する。従って、下記では第2領域の断面形状について説明する。
図7に示されるように、第2領域33は、第2領域の中心線を法線とする断面において、三角形である。図7では、三角形は正三角形として描かれているが、三角形は正三角形でなくても良い。これによると、板材の使用時における第1領域の変形を抑制することができる。
[実施形態4:板材]
実施形態4の板材を図9及び図10を用いて説明する。図9は、実施形態4に係る板材の上面図である。図10は、図9の板材のX4−X4線における断面図である。
図9及び図10に示されるように、実施形態4の板材51は、第1の主面44と、該第1の主面44に対向する第2の主面45とを備える板材51であって、該板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域42と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域43と、を含み、該第2領域43は、該板材51中に複数存在し、それぞれが該第1の主面44の法線N4方向に沿って延在する、板材51である。実施形態4において、第2領域の中心線C4と第1の主面44との成す角度はα4で示される。
実施形態4の板材は、第2領域の形状以外は、実施形態3の板材と同一の構成を有する。従って、下記では第2領域の形状について説明する。
図10に示されるように、実施形態4の板材において、第2領域43の少なくとも一つは、その延在方向が第1領域42により分断されることが好ましい。これによると、板材は高い熱伝導率を維持したまま、優れた強度を有することができる。
図10では、それぞれの第2領域43は、その延在方向の1箇所において第1領域42により分断されているが、分断箇所は1箇所に限定されず、2箇所以上とすることもできる。また、分断されていない第2領域が存在していてもよい。
[実施形態5:板材]
実施形態5の板材を図11及び図12を用いて説明する。図11は、実施形態5に係る板材の上面図である。図12は、図11の板材のX5−X5線における断面図である。
図11及び図12に示されるように、実施形態5の板材61は、第1の主面54と、該第1の主面54に対向する第2の主面55とを備える板材61であって、該板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域52と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域53と、を含み、該第2領域53は、該板材61中に複数存在し、それぞれが該第1の主面54の法線N5方向に沿って延在する、板材61である。実施形態5において、第2領域の中心線C5と第1の主面54の成す角度はα5で示される。
実施形態5の板材は、第2領域のその中心線を法線とする断面形状以外は、実施形態1の板材と同一の構成を有する。従って、下記では第2領域の断面形状について説明する。
図11に示されるように、第2領域53は、第2領域の中心線を法線とする断面において、六角形である。図7では、六角形は正六角形として描かれているが、六角形は正六角形でなくても良い。これによると、板材の使用時における第1領域の変形を抑制することができる。
実施形態5では、第2領域53は、第1の主面54から第2の主面55まで貫通している。第2領域は、その延在方向が第1領域52により分断されていてもよい。
[実施形態6:板材]
実施形態6の板材を図13及び図14を用いて説明する。図13は、実施形態6に係る板材の上面図である。図14は、図13の板材のX6−X6線における断面図である。
図13及び図14に示されるように、実施形態6の板材71は、第1の主面64と、該第1の主面64に対向する第2の主面65とを備える板材71であって、該板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域62と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域63と、を含み、該第2領域63は、該板材71中に複数存在し、それぞれが該第1の主面64の法線N6方向に沿って延在する、板材71である。実施形態6において、第2領域の中心線C6と第1の主面64の成す角度はα6で示される。
実施形態6の板材は、第2領域のその中心線を法線とする断面形状以外は、実施形態1の板材と同一の構成を有する。従って、下記では第2領域の断面形状について説明する。
図13に示されるように、第2領域63は、第2領域の中心線を法線とする断面において、四角形である。図13では、四角形は平行四辺形(菱形)として描かれているが、四角形は平行四辺形に限定されず、正方形、長方形等とすることができる。これによると、板材の使用時における第1領域の変形を抑制することができる。
実施形態6では、第2領域63は、第1の主面64から第2の主面65まで貫通している。第2領域は、その延在方向が第1領域62により分断されていてもよい。
[実施形態7:放熱材]
実施形態7の放熱材を図15を用いて説明する。図15は、実施形態7の放熱材の一例を示す断面図である。
図15に示されるように、実施形態7の放熱材6は、本開示の板材81を含む。該放熱材は、面内方向の線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有する。
実施形態7の放熱材6は、板材81の第1の主面上、及び、第2の主面上に、金属板7が貼り付けられている。金属板7としては、例えば、銅板、ニッケル板、銀板等を用いることができる。これによると、放熱材の熱伝導率が向上する。
放熱材は、上記の金属板に代えて、板材の第1の主面及び第2の主面の一方又は両方に、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、銀ロウメッキなどの各種メタライズ処理を施して使用されてもよい。これによると、放熱材の熱伝導率が向上する。
[実施形態8:板材の製造方法]
実施形態8では、本開示の板材の製造方法について、図16を用いて説明する。図16は、実施形態8に係る板材の製造方法を示すフローチャートである。
図16に示されるように、実施形態8に係る板材の製造方法は、上記の本開示の板材の製造方法であって、3Dプリンタを用いて、第1の主面及び第2の主面とを備える板状であって、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含み、該第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む第1領域を形成する第1工程S1と、該複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を充填して第2領域を形成して板材を得る第2工程S2と、を備える、板材の製造方法である。
<第1工程>
まず、3Dプリンタを用いて、第1の主面及び第2の主面とを備える板状であって、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含み、該第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む第1領域を形成する。該空孔領域のパターンは、CAD(COMPUTER−AIDED DESIGN:コンピューターによる設計支援システム)等を使って、人によって設計される。該パターンを実現するために、3Dプリンタを用いる。
3Dプリンタの形式としては、光硬化型の樹脂とモリブデン粉末やタングステン粉末を混合し、レーザーにより樹脂を硬化させて設計パターンを造形し、その後脱脂、焼結を行うことにより、第1領域を形成する方法を用いることができる。
また、モリブデン粉末やタングステン粉末に、レーザーや電子線を照射することで直接第1領域を形成する方法を用いることもできる。第1領域の焼結密度は100%である必要はなく、一部に空隙が残っていても良い。この空隙には、後述の溶浸工程により、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属が含浸される。
得られた第1領域は、その後熱処理することで、金属粉末同士の接合強度を更に高めることができる。また、熱処理により、表面の酸化層や内部の酸素を還元除去することができる。これによると、第1領域の熱伝導率を高めることができる。
熱処理条件としては、窒素雰囲気、水素雰囲気、アルゴン雰囲気、窒素−水素混合雰囲気、アルゴン−水素混合雰囲気を用いることが好ましい。中でも、表面の酸化層や内部の酸素を還元除去出来る点で、水素が含まれる雰囲気であることがより好ましい。熱処理温度は、1000℃以上、2000℃以下が好ましい。これによると、金属粉末同士の接合強度を更に高めることができ、更に、表面の酸化層や内部の酸素を還元除去の効果を得ることができる。
<第2工程>
次に、第1工程で得られた第1領域中に存在する複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を充填して第2領域を形成して板材を得る。第2工程における充填は、溶浸法を用いて行われることが好ましい。
溶浸法とは、第1領域中に存在する複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を溶融して浸漬させ、固化させて、第1領域と複合化した第2領域を形成する方法である。これによると、第2領域への酸素や炭素等の不純物の混入を抑制することができる。
具体的には、第1領域の表面(主面側)に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属(第1金属)からなる金属板を配置し、昇温して金属板を溶融させて、金属を空孔領域に浸漬させる。同時に、第1領域を構成するモリブデン粒子間又はタングステン粒子間の空隙部分にも上記第1金属が含浸される場合がある。
溶浸時の温度は、金属の融点以上とする。例えば、金属が銅の場合は、温度は銅の融点である1150℃を越える必要がある。一方、銅の浸漬状態を均一にするためには、銅の溶融液の粘度が小さくなりすぎない方が良い。この観点から、溶浸時の温度は1500℃以下が好ましい。
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
<試料1〜試料14、試料20〜試料29>
第1領域の原料として、モリブデン(Mo)粉末またはタングステン(W)粉末を準備する。モリブデン粉末及びダングステン粉末の粒径D50は、15〜20μmである。これらの粉末は一次粒径約1μmの粉末を造粒して得られた球形状の粉末である。
モリブデン粉末及びタングステン粉末を、3Dプリンタを用いて造形し、互いに対向する第1の主面と第2の主面とを備える板状造形物を形成する。板材の外形は、130mm×100mm×1.0mmとした。XY平面(図1参照)は130mm×100mm面である。
該板状造形物は、第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む。各試料の空孔領域の形状は、表1の「第2領域断面形状」、「第2領域分断有無」及び「角度」欄に示される通りである。
「第2領域断面形状」欄に「図3」と示される場合は、空孔領域のその中心線を法線とする断面形状は同じ大きさの正円である。該正円の径は0.6mmであり、隣り合った正円同士の中心間の距離は0.8mmである。空孔領域は最密充填構造となるように配置する。
「第2領域断面形状」欄に「図7」と示される場合は、空孔領域のその中心線を法線とする断面形状は同じ大きさの正三角形である。該正三角形の一辺の長さは0.6mmであり、隣り合う正三角形の辺間の距離(焼結後の第1領域の厚さに相当)は0.1mmである。
「第2領域断面形状」欄に「図11,(a)」、「図11,(b)」又は、「図11,(c)」と示される場合は、空孔領域のその中心線を法線とする断面形状は、同じ大きさの正六角形である。「図11,(a)」と示される場合は、該正六角形の一辺の長さは0.5mmであり、隣り合う正六角形の辺間の距離(焼結後の第1領域の厚さに相当)は0.1mmである。「図11,(b)」と示される場合は、該正六角形の一辺の長さは0.6mmであり、隣り合う正六角形の辺間の距離(焼結後の第1領域の厚さに相当)は0.05mmである。「図11,(c)」と示される場合は、該正六角形の一辺の長さは1.0mmであり、隣り合う正六角形の辺間の距離(焼結後の第1領域の厚さに相当)は0.05mmである。
「第2領域断面形状」欄に「図13」と示される場合は、空孔領域のその中心線を法線とする断面形状は、同じ大きさの菱形である。該菱形は、正六角形を基本構造として、該正六角形の中心点から3つの角に向かって第1領域を形成して得られる。該菱形の一辺の長さは0.4mmであり、隣り合う菱形の辺間の距離は0.05mmである。
「第2領域分断有無」欄に「有」と記載されている場合は、第2領域の延在方向が板状造形物(焼結後の第1領域に相当)により分断されている。「無」と記載されている場合は、第2領域は板状造形物の対向する主面間を貫通している。
各試料において、板状造形物の第1の主面と空孔領域の中心線との成す角度は、表1の「角度」欄に示される通りである。
次に、得られた板状造形物を水素雰囲気中1900℃で熱処理を行い、板状造形物中の金属粒子を焼結し、第1領域を形成する。
次に、得られた第1領域の上部に、該第1領域の第1の主面と同一サイズの130mm×100mmの銅の板を置き、水素雰囲気で1300℃まで昇温する。この熱処理により、第1領域内の空孔領域に銅が含浸され、第2領域が形成され、板材が得られる。
<試料15〜試料19>
試料15、試料16、試料17、試料18及び試料19の放熱材は、それぞれ試料1、試料2、試料3、試料4及び試料9と同一の板材を準備し、該板材の第1の主面及び第2の主面の両方に、厚さ200μmの銅板を貼り付けて作製される。銅板は熱間圧延で貼り付けし、水素雰囲気1100℃で熱間成形することで銅板を第1の主面及び第2の主面に貼り合わる。圧下率は5%以下とした。
<測定及び評価>
(V1/V2)
各試料で作製される板材について、第2領域の体積V2に対する第1領域の体積V1の割合であるV1/V2を算出した。具体的な算出方法は、上記の実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「V1/V2」欄に示す。
(第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率)
各試料で作製される板材について、第1領域中のモリブデン及びタングステンの合計含有率を測定する。具体的な算出方法は、上記の実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「第1領域Mo,W含有率」欄に示す。
(アスペクト比)
各試料で作製される板材について、第2領域のアスペクト比を算出した。具体的な算出方法は、上記の実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「アスペクト比」欄に示す。
(熱伝導率)
試料1〜試料14、試料20〜試料29の板材、及び、試料15〜試料19の放熱材について、熱伝導率を測定する。具体的な測定方法は下記の通りである。
板材及び放熱材のサンプル形状は、8mm×8mm×1mmとする。8mm×8mm面がXY平面(主面)である。サンプルのZ軸方向の熱伝導率を測定する。サンプルの下面を短いエネルギーパルスで加熱し、試料上面の温度変化を赤外線検出器(使用機器:NETZSCH社製LFA467)で測定する。横軸を時間、縦軸を上昇温度でプロットした曲線から、熱伝導率を算出する。室温で測定した。結果を表1の「熱伝導率」欄に示す。
(線膨張係数)
試料1〜試料14、試料20〜試料29の板材、及び、試料15〜試料19の放熱材について、線膨張係数を測定する。具体的な測定方法は下記の通りである。
線膨張係数の測定はJIS Z2285に準拠して行う。測定温度は500℃とする。サンプル形状は、1mm×5mm×10mmとした。5mm×10mm面がXY平面(主面)であり、この面に平行な方向での線膨張係数をRigaku社製TMA8310を用いて測定する。結果を表1の「線膨張係数」欄に示す。
Figure 2021106202
<考察>
試料1〜試料14の板材は実施例に該当する。試料15〜試料19の放熱材は実施例に該当する。
試料20〜試料29の板材は、第2領域の中心線と板材の第1の主面との成す角度が40°である。よって、試料20〜試料29の板材では、第2領域が第1の主面の法線方向に沿って延在しておらず、試料20〜試料29は比較例に該当する。
試料1〜試料14、及び、試料20〜試料29の板材、及び、試料15〜試料19の放熱材について、横軸に線膨張係数、縦軸に熱伝導率をプロットしたグラフを作成する。得られるグラフを図17示す。図17に示されるように、線膨張係数と熱伝導率には相関があり、実施例は比較例と比べて、同一の線膨張係数の場合に、熱伝導率が高い傾向にある。すなわち、実施例の板材及び放熱材は、線膨張係数が小さく、かつ、優れた熱伝導率を有することが確認される。
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,21,31,41,51,61,71,81 板材
2,22,32,42,52,62 第1領域
3,23,33,43,53,63 第2領域
4,24,34,44,54,64 第1の主面
5,25,35,45,55,65 第2の主面
6 放熱材
7 金属板
C1,C2,C3,C4,C5,C6 第2領域の中心線
N1,N2,N3,N4,N5,N6 第1の主面の法線

Claims (12)

  1. 第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを備える板材であって、
    前記板材は、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含む第1領域と、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む第2領域と、を含み、
    前記第2領域は、前記板材中に複数存在し、それぞれが前記第1の主面の法線方向に沿って延在する、板材。
  2. 前記第2領域の少なくとも一つは、前記第1の主面から前記第2の主面まで貫通する、請求項1に記載の板材。
  3. 前記第2領域の少なくとも一つは、その延在方向が前記第1領域により分断される、請求項1又は請求項2に記載の板材。
  4. 前記板材の少なくとも一部において、前記第2領域の体積V2に対する前記第1領域の体積V1の割合であるV1/V2は、0.05以上1以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の板材。
  5. 前記第1領域中の前記モリブデン及び前記タングステンの合計含有率は、50原子%以上100原子%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の板材。
  6. 前記第2領域の少なくとも一つのアスペクト比は、0.5以上30以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の板材。
  7. 前記第2領域の少なくとも一つは、その中心線を法線とする断面において円形又は多角形である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の板材。
  8. 前記多角形は、三角形、四角形、平行四辺形、台形、五角形、六角形及び八角形からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項7に記載の板材。
  9. 前記多角形は、正多角形である、請求項7又は請求項8に記載の板材。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の板材を含む放熱材。
  11. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の板材の製造方法であって、
    3Dプリンタを用いて、第1の主面及び第2の主面とを備える板状であって、モリブデン及びタングステンの一方又は両方を含み、前記第1の主面の法線方向に沿って延在する複数の空孔領域を含む第1領域を形成する第1工程と、
    前記複数の空孔領域に、銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を充填して第2領域を形成して板材を得る第2工程と、を備える、板材の製造方法。
  12. 前記第2工程における充填は、溶浸法を用いて行われる、請求項11に記載の板材の製造方法。
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