JP2021105085A - 接着剤シート - Google Patents

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紗織 上田
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治幸 三上
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Kaori Takeuchi
香織 竹内
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Abstract

【課題】加熱後に高い接着性が得られると共に加熱中でも接着性を十分に維持できる接着剤シートを提供する。【解決手段】表面に微細構造を有する接着剤層12を有する接着剤シート13であって、前記微細構造は、複数の凸型構造31を含み、前記凸型構造は、前記凸型構造の頂部に存在する第1の部分4と前記第1の部分よりも下側に存在する第2の部分5とを有し、前記第1の部分及び前記第2の部分の一方が熱硬化性接着剤を含み、他方が感圧接着剤を含む、接着剤シート。【選択図】図2

Description

本開示は、接着剤シートに関する。
特許文献1〜3には、油面に対しても熱硬化を用いて貼り付ける取組が開示されている。
特開2017−149993号公報 特開2001−342327号公報 特開平4−218581号公報
熱硬化性接着剤を含む接着剤シートは、油面を有する対象に載せられた後、加熱により硬化される。これにより、接着剤シートが対象に強固に接着される。
しかしながら、硬化のために加熱している間は熱硬化性接着剤の流動化によって対象への接着性が低下する。その際、熱硬化性接着剤層の位置が対象に対してずれる等の可能性がある。
本開示の一つの観点は、加熱後に高い接着性が得られると共に加熱中でも接着性を十分に維持できる接着剤シートを提供することである。
本開示に係る接着剤シートは、表面に微細構造を有する接着剤層を有する接着剤シートであって、前記微細構造は、複数の凸型構造を含み、前記凸型構造は、前記凸型構造の頂部に存在する第1の部分と前記第1の部分よりも下側に存在する第2の部分とを有し、前記第1の部分及び前記第2の部分の一方が熱硬化性接着剤を含み、他方が感圧接着剤を含む。
前記第1の部分が感圧接着剤を含み、前記第2の部分が熱硬化性接着剤を含んでもよい。
前記第1の部分がゴム系接着剤を含んでもよい。
前記凸型構造の前記頂部が平坦であってもよい。
前記第1の部分及び前記第2の部分は、界面を介して互いに接合されてもよい。
前記凸型構造の高さを100%とした場合、前記第1の部分の高さが、前記凸型構造の高さの10%〜90%の範囲であってもよい。
前記凸型構造の側面と底面がなす角度θが5°以上であってもよい。
前記凸型構造の高さが5μm以上であってもよい。
本開示の一つの観点によれば、加熱後に高い接着性が得られると共に加熱中でも接着性を十分に維持できる接着剤シートが提供され得る。
一実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 他の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。 他の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。 他の実施形態に係る接着剤シートの一部の断面図である。 錐体構造の他の例を示す断面図である。 錐台構造の他の例を示す断面図である。 他の実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。 図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。 図9の工程に続く工程を示す断面図である。 図10の工程に続く工程を示す断面図である。 図3の接着剤シートを対象に貼り付ける工程を示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
図1は、一実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される接着剤シート10は、接着剤層12を有する。本実施形態において、接着剤層12は、表面12aに微細構造13を有し、表面12aとは反対側の面である裏面12bには微細構造を有していない。表面12a及び裏面12bは、接着剤層12の厚さ方向(例えばZ軸方向)に直交する面(例えばXY平面)に沿って延在している。微細構造13は、複数の錐体構造31を含む。錐体構造31は、後述する錐台構造131(図5)又はリブ構造231(図8)に置き換えられてもよい。錐体構造31、錐台構造131及びリブ構造231はそれぞれ凸型構造(コンベックス体)の一例である。本明細書において「凸型構造」とは、概して、任意の平面図形を底面とし、底面の辺のすべての点と、その平面状にない別の任意の平面図形又は直線(頂部)の辺のすべての点とを結んで構成される立体図形である。好ましくは、凸型構造の頂部の面積は、底面の面積よりも小さい。より好ましくは、凸型構造は底面から頂部に向かって先細りとなる形状を有する。複数の錐体構造31は、表面12aにおいてX軸方向及びY軸方向に沿って格子状に配列されている。図2は、X軸方向に沿って配列された複数の錐体構造31の頂点を通る断面図である。複数の錐体構造31は、好ましくは平面上に、規則的に配列されてもよいし、不規則的に配列されてもよい。錐体構造31の高さ方向に直交する面に投影された錐体構造31の面積(錐体構造31の底面1の面積)は、10平方μm以上であってもよく、10000平方μm以下であってもよい。
各錐体構造31は、底面1と、頂部2と、底面1の縁と頂部2との間を繋ぐ複数の側面3とを有する。底面1は、円(楕円を含む)または多角形などの任意の平面図形を有する。錐体構造31の形状としては、例えば円錐、三角錐、四角錐、六角錐などが挙げられる。図1及び図2に示される例において、錐体構造31の形状は四角錐である。錐体構造31の形状は、同一であっても異なっていてもよいが、実質的に同一の高さ(例えば、差が±5%以内、±3%以内、または±1%以内)を有することが好ましく、全て実質的に同一の形状を有することがより好ましい。形状が異なる錐体構造31が存在する場合、微細構造13は、10種以下、9種以下、8種以下、7種以下、6種以下、5種以下、4種以下、3種以下、または2種以下の錐体構造31から構成されることが好ましい。錐体構造31と錐台構造131(図5)とリブ構造231(図8)とのうち2以上が共存していてもよい。
各錐体構造31は、錐体構造31の頂部2に存在する第1の部分4と、第1の部分4よりも下側(底面1側)に存在する第2の部分5とを備える。
頂部2は、錐体構造31の最も高い位置にある領域(本開示の接着剤シートが対象に近づいたときに、錐体構造31の中で最初に対象に接する部分)を実質的に占めている部分である。頂部2は、好ましくは錐体構造31の頂点を含む。実質的に占めるとは、ごく一部に異なる材料が付着または混入している場合も許容する意味である。例えば、第1の部分4は、錐体構造31の最も高い位置にある領域の大部分(例えば、90%以上、または95%以上)を占めてもよい。その領域に少量のフィラー等が含まれていたとしても、そのフィラー等は第1の部分4に該当しない。第1の部分4は、加熱により第2の部分5が流動化した場合であっても、接着性をもたらす。第2の部分5は、加熱により流動化することによって、対象に接触し、高い接着性をもたらす。
第1の部分4及び第2の部分5は、例えばXY平面に沿った界面を介して互いに接合されてもよい。「界面を介して接合する」とは、互いに組成が異なる二つのマトリックス相が、明確な境界面を介して接している状態を意味する。例えば、第1の部分4(マトリックス相)と第2の部分5(マトリックス相)とが、図1及び図2に示されるように層分離しており、それにより界面を介して接合している。なお、例えば、樹脂中に微粒子が分散された組成物であれば、基質となる樹脂がマトリックス相に相当し、その一方、微粒子は分散相に相当する。マトリックス相が共通し分散相のみが異なる二つの相の接合、あるいは材質が連続的に変化するような接合態様、例えば、微粒子が樹脂中に分散された材料において、微粒子の密度のみがある方向において連続的に変化するようなものは、界面を介した接合に含まれない。界面は、錐体構造31の底面1と平行な平面であっても、非平行な平面であってもよい。界面は、製造誤差又は後述する製造方法における表面張力等に由来する程度の曲面を有していてもよい。錐体構造31は、場合により第3の部分をさらに有していてもよく、あるいはそれ以上の多層構造を有していてもよい。
第1の部分4及び第2の部分5の一方は熱硬化性接着剤を含み、他方は感圧接着剤を含む。本実施形態では、第1の部分4が感圧接着剤を含み、第2の部分5が熱硬化性接着剤を含むが、第1の部分4が熱硬化性接着剤を含み、第2の部分5が感圧接着剤を含んでもよい。
第1の部分4は、感圧接着剤を含む第1接着性材料からなる。第1接着性材料としては、対象に対して接着性を有するものの容易に再剥離が可能なものが好ましい。一実施形態において、第1接着性材料は、動的粘弾性測定により算出される貯蔵弾性率(G’)が25℃下、1Hzの周波数で測定して3×10Pa以下の感圧接着剤である。具体例としては、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。第1接着性材料は、水、アルコールなどの水混和性溶媒、または炭化水素などの水非混和性溶媒の、いずれかの汎用される溶媒に対する溶解性および/または分散性が高いものであることが好ましい。また、第1接着性材料を溶解および/または分散させる溶媒は、比較的蒸気圧が低く、乾燥が容易なものが好ましい。さらに、微細構造13を形成するための型に対する濡れ性も考慮することが好ましい。濡れ性が低すぎると型の凹部の内側に溶媒が入りきらない可能性があり、高すぎると型の凹部間に溶媒が残留してしまう可能性がある。
第2の部分5は、熱硬化性接着剤を含む第2接着性材料からなる。第2接着性材料としては、硬化時に対象に対して比較的強い接着力を発揮し、容易に再剥離ができないものが好ましい。一実施形態において、第2接着性材料は、動的粘弾性測定により算出される貯蔵弾性率(G’)が25℃下、1Hzの周波数で測定して3×10Pa以下の熱硬化性接着剤である。具体例としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等が挙げられる。第2接着性材料には、粘着付与剤がブレンドされていてもよい。
第1接着性材料および第2接着性材料はいずれも、微細構造13を維持することができるよう、一定以上の硬さを備えていることが好ましい。例えば、tanδが常温下、1Hzの周波数で測定して0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、または0.3以下である材料が好ましい。
なお、「接着性」とは、同一の対象に対する相対的な接着力の強度を意味する。接着性は、動的粘弾性測定又は180°剥離強度試験などの公知の手法により評価することができる。
第1の部分4の材料と第2の部分5の材料との組み合わせは限定されないが、それら同士の接着力を考慮して材料を選択することがより好ましい。例えばポリマー構造の親和性等の観点から、第1の部分4の材料がシリコーンであれば、第2の部分5の材料もシリコーン系接着剤が好ましい。ただし、第1の部分4の材料と第2の部分5の材料が同じ構造を有するポリマー同士である必要は必ずしもない。
接着剤層12は、複数の錐体構造31より下の部分に基部32を有してもよい。基部32は、微細構造13の錐体構造31の底面1と接合または連続している。基部32の材料は、第2の部分5と同一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい。一実施形態において、錐体構造31は第1の部分4と第2の部分5の二つの部分からなり、基部32は第2の部分5と同じ材料からなり、かつ第2の部分5と連続している。基部32の厚さ(高さH3)は、所望の接着剤層12の厚さに応じて任意に設定することができる。基部32の材料が弾性を有するものである場合、微細構造13中の錐体構造31が基部32に沈み込むことができるため、錐体構造31の第2の部分5が対象により接触しやすくなり、接着剤シート10の接着性が向上する場合がある。
第1の部分4を構成する第1接着性材料、および第2の部分5を構成する第2接着性材料、ならびに存在する場合にはその他の部分を構成する材料がいずれも透明である場合、接着剤層12全体を透明にすることができる。その際、各部分が接合する界面が視認できないようにするためには、各部分を構成する材料の屈折率の差が1%以内であることが好ましい。具体的には、錐体構造31の第1の部分4と第2の部分5が隣接しており、第1の部分4を構成する材料の屈折率と、第2の部分5を構成する材料の屈折率の差が1%以内、0.9%以内、0.8%以内、0.7%以内、または0.6%以内である場合、一般的に、両部分の界面は視認できない。例えば、第1の部分4および第2の部分5のそれぞれをアクリル系透明接着剤から構成するようにすると、そのような要件を満たし、完全に透明な接着剤層12を提供することが可能となる。なお、透明とは、例えばJIS K 7136に従って測定したヘーズが40%以下であることにより定義することができる。
第1の部分4の形成を容易にする等の観点から、微細構造13に含まれる錐体構造31は、隣接する二つの錐体構造31の中心間の最長距離が、300μm以下、260μm以下、220μm以下、180μm以下、140μm以下、または100μm以下であってよい。なお、錐体構造31の中心とは、錐体の頂点を意味する。錐台構造131(図5)の中心は、対応する錐体構造の頂点を意味する。
隣接する二つの錐体構造31の底面1は、近接していてよい。例えば、四角錐または六角錐の場合、隣接する二つの錐体構造31の底面1は、一辺を共有していてもよく、あるいは隣接する辺同士が、例えば250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、50μm以下、15μm以下、または10μm以下の間隔β(図5)で離れていてもよい。
隣り合う錐体構造31のピッチα(図5の場合のピッチはα+β)は、10μm以上、15μm以上、20μm以上、200μm以下、150μm以下、100μm以下であってもよい。
第1の部分4の形成を容易にする等の観点から、錐体構造31の配列方向(例えばX軸方向)における錐体構造31の底面1の幅αは、500μm以下、450μm以下、400μm以下、350μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、55μm以下、または50μm以下であってよい。錐体構造31の配列方向(例えばX軸方向)において、第1の部分4の底面の幅α1は、錐体構造31の底面1の幅αよりも小さい。
接着剤シート10の製造を容易にする、あるいは完成した接着剤シート10からライナー71(図11参照)を剥離しやすくする等の観点から、錐体構造31の高さHは、100μm以下、95μm以下、90μm以下、85μm以下、80μm以下、75μm以下、70μm以下、65μm以下、60μm以下、55μm以下、または50μm以下であってよい。
錐体構造31の高さHは5μm以上、10μm以上、25μm以下であってよい。錐体構造31の高さHを100%とした場合、第1の部分4の高さH1は、再剥離性などの観点から錐体構造31の高さHの10%以上、15%以上、20%以上であってよい。高さH1は、加熱後の接着性の観点などから90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、または50%以下であってよい。第2の部分5の高さH2は、錐体構造31の高さHと第1の部分4の高さH1との差分に相当する。なお、高さH,H1,H2は、錐体構造31の底面1の法線方向(Z軸方向)を基準とする。第1の部分4とその下の第2の部分5との界面が底面1と非平行な平面または曲面である場合は、底面1の法線方向を基準として求めた界面の高さの平均値から高さH1を算出する。第1の部分4が比較的小さい場合、加熱中の対象に対する接着剤シート10の接着性は低減するが、加熱後の対象に対する接着剤シート10の接着性は向上する傾向にある。一方、第1の部分4が比較的大きい場合は、その逆となる。
接着剤層12の厚さ(H+H3)は、用いる接着性材料や、接着剤シート10の使用目的などに応じて任意に設定することができ、例えば15μm〜10mmまたは200μm〜4mmの範囲とすることができる。接着剤層12の厚さは、錐体構造31の底面1の法線方向を基準とし、錐体構造31の最も高い部分と、微細構造13を有する表面12aとは反対側の裏面12bとの間の距離を意味する。
錐体構造31の側面3と底面1がなす角度θは、第1の部分4の形成の容易さ、加熱中又は加熱後の接着性などの観点から、錐体構造31の頂点及び錐体構造31の配列方向を含む断面(XZ平面)において、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、25°以上であってよい。また、後述するライナー71からの接着剤シート10の剥離をスムーズにする等の観点から、角度θは、錐体構造31の頂点及び錐体構造31の配列方向を含む断面(XZ平面)において、90°未満、85°以下、80°以下、または70°以下であってよい。
錐体構造31の数は、加熱中に十分な接着性をもたらす観点から、接着剤層12の表面1mmあたり16個以上、25個以上、36個以上、49個以上、64個以上、81個以上、または100個以上存在することが好ましい。錐体構造31の個数は、単位面積内に存在する錐体構造31の中心の数に対応する。錐体構造31の密度が高いことも、加熱中の接着性の向上に寄与する。
接着剤層12は、接着剤以外の追加的な材料、例えば接着性を調節する目的の中空または中実のガラススフェアなどの微粒子を含んでいてもよい。しかし、本開示の接着剤シート10は、そのような追加的な材料を含まなくても所望の性質を達成することができる。一実施形態において、接着剤層12は微粒子を含まない。
(接着剤シートの特性)
接着剤シート10は、接着剤層12の裏面12bに低い圧力をかけた際に、対象に対して接着力を発揮する。一実施形態において、低い圧力とは、100g/cm以下、50g/cm以下、10g/cm、または5g/cm以下の圧力と定義することができる。別の実施形態では、JIS K 7125に規定される圧着装置を用いて、100gのローラを300mm/分の速さで一往復させることによりかかる圧力に相当する圧力と定義することができる。
一実施形態において、鋼材(例えばSS400材、クロムメッキなどのメッキを有していてもよい)などの金属製の滑り片を1000mm/分の速度で引っ張る以外はJIS K 7125に従って試験した際の接着剤シート10(接着剤層12の表面12a)の静摩擦係数は、10〜15であることが好ましい。静摩擦係数が大きいと、低い圧力で接着剤シート10を対象に押し付ける際に接着剤シート10がずれ難い。よって、接着剤シート10を対象に接着することができる。
以上説明したように、接着剤シート10では、熱硬化性接着剤を含む第2の部分5を加熱することにより、接着剤シート10(接着剤層12の表面12a)を対象に強固に接着することができる。加熱中に第2の部分5が流動化することによって接着性が低下しても、感圧接着剤を含む第1の部分4により、接着剤シート10の接着力を十分に維持できる。そのため、加熱中に、接着剤シート10の位置が対象に対してずれ難い。
第1の部分4がゴム系接着剤を含む場合、第1の部分4は油を吸収できる。そのため、対象が油面を有する場合であっても、接着剤シート10(接着剤層12の表面12a)を油面に貼り付ける際に、感圧接着剤を含む第1の部分4により、接着剤シート10の接着力を十分に維持できる。油面を有する対象としては、例えば自動車の車体に用いられる金属部材が挙げられる。金属部材の表面には防錆油が塗布されている。
平坦な頂部2を有する錐台構造131では、頂部2と対象との接触面積が大きくなる。そのため、接着剤シート10(接着剤層12の表面12a)を対象に貼り付ける際に、感圧接着剤を含む第1の部分4により、接着剤シート10の接着力を十分に維持できる。
錐体構造31の側面3と底面1がなす角度θが5°以上である場合、錐体構造31の底面1から対象までの距離が長くなるので、接着剤シート10を対象に貼り付ける際に、第2の部分5が広い面積で対象に接触することを抑制できる。よって、加熱により第2の部分5が流動化しても、第1の部分4により、接着剤シート10の接着力を十分に維持できる。
錐体構造31の高さHが5μm以上である場合、錐体構造31の底面1から対象までの距離が長くなるので、接着剤シート10を対象に貼り付ける際に、第2の部分5が広い面積で対象に接触することを抑制できる。よって、加熱により第2の部分5が流動化しても、第1の部分4により、接着剤シート10の接着力を十分に維持できる。
錐体構造31の高さHを100%とした場合、第1の部分4の高さH1が、錐体構造31の高さHの10%〜90%の範囲であってもよい。この場合、加熱前において接着剤シート10の接着性を維持できる一方、加熱後において接着剤シート10の接着性を向上できる。
図3は、他の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。図3に示される接着剤シート110は、図1及び図2に示される接着剤層12と、微細構造13上に配置されるライナー71と、微細構造が設けられていない裏面12bに設けられたキャリア102とを備える。ライナー71は微細構造13を保護することができる。接着剤シート110は、ライナー71及びキャリア102のいずれか一方を備えなくてもよい。例えば、接着剤シート110がキャリア102を備えない場合、芯の周りに接着剤層12が内側となるように接着剤シート110を巻き回すことによってロールを形成できる。
キャリア102の例としては、樹脂フィルム、例えばABS、ASA、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、フッ素系樹脂、ポリプロピレン、PET、またはPVCなどからなるフィルムが挙げられる。アクリルフォームのような弾性を有するキャリア102を用いると、微細構造13中の錐体構造31がキャリア102に沈み込むことができるため、錐体構造31の第2の部分5が対象により接触しやすくなり、接着剤シート110の接着性が向上する場合がある。接着剤シート110は、キャリア102と接着剤層12の間に、プライマーなどを含む任意の層を有していてもよい。
ライナー71の例としては、キャリア102と同様の材料からなるフィルムが挙げられる。
図4は、他の実施形態に係る接着剤シートの断面図である。図4に示される接着剤シート210は、接着剤層112と、接着剤層112を挟む一対のライナー71と、を備える。接着剤層112は、図1及び図2の接着剤層12の裏面12bに微細構造13が設けられた構成を有する。よって、接着剤層112の表面112a及び裏面112bには、それぞれ微細構造13が設けられている。裏面112bは表面112aとは反対側の面である。表面112a及び裏面112bにそれぞれ設けられた微細構造13は、互いに同一の構造を有してもよいし、互いに異なる構造を有してもよい。例えば、第1の部分4の材料又は高さH1は、表面112aと裏面112bとの間で同一でも異なっていてもよい。
図5は、他の実施形態に係る接着剤シートの一部の断面図である。図5に示される接着剤シート310は、複数の錐体構造31に代えて複数の錐台構造131を備え、複数の錐台構造131が、配列方向において間隔βをあけて配置されていること以外は接着剤シート10と同じ構成を備える。各錐台構造131は、錐体構造31の頂点を含む最上部を部分的に取り除いた構造を有する。錐台構造131の形状としては、例えば円錐台、三角錐台、四角錐台、六角錐台などが挙げられる。各錐台構造131は、錐台構造131の頂部2に存在する第1の部分4と、第1の部分4よりも下側(底面1側)に存在する第2の部分5とを備える。第1の部分4の頂部2(頂面)は平坦である。
錐台構造131の配列方向において、錐台構造131の頂面の幅はaであり、隣り合う錐台構造131の頂面間の間隔はbである。aが0の場合、錐台構造131は錐体構造31と同じ構造になる。
錐台構造131の配列方向における錐台構造131の頂面の幅aは、例えば50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、または10μm以下である。底面1の幅αに対して頂面の幅aが過度に大きすぎないようにすることで、加熱後に発揮される接着力が低減するのを防ぐことができる。
図6は、錐体構造の他の例を示す断面図である。錐体構造31の断面は、図6の(a)に示される三角形を有してもよいし、(b)〜(d)に示されるように、歪んだ側面を有してもよいし、(e)に示されるように、頂点の位置が底面の中心から外れた形状を有してもよい。図6の(f)に示されるように、錐体構造31の断面は、歪んだ側面を有し、かつ、頂点の位置が底面の中心から外れた形状を有してもよい。なお、錐体構造31の頂点を通る断面は必ずしも全て同じ形状ではなく、断面ごとに違う形状を有していてもよい。
図7は、錐台構造の他の例を示す断面図である。錐台構造131の断面は、図7の(a)に示される台形を有してもよいし、(b)〜(c)に示されるように、歪んだ側面を有してもよいし、(d)〜(e)に示されるように、歪んだ頂面を有してもよい。図7の(f)に示されるように、錐台構造131の断面は、歪んだ側面及び歪んだ頂面を有してもよい。なお、錐台構造131に対応する錐体の頂点を通る断面は必ずしも全て同じ形状ではなく、断面ごとに違う形状を有していてもよい。また、錐台構造131の頂面は、底面と平行でなくとも、または平面でなくてもよい。
図8は、他の実施形態に係る接着剤シートの斜視図である。図8に示される接着剤シート410は、複数の錐体構造31に代えて複数のリブ構造231を有すること以外は図1の接着剤シート10と同じ構成を備える。接着剤シート410は、複数のリブ構造231を含む微細構造113を有する接着剤層212を備える。複数のリブ構造231は、X軸方向に沿って配列されており、各リブ構造231は、Y軸方向に延在している。各リブ構造231は、リブ構造231の頂部に存在する第1の部分14と、第1の部分14よりも下側(底面側)に存在する第2の部分15とを備える。Y軸方向に直交する接着剤シート410の断面は、図2に示される接着剤シート10の断面と同じになる。
リブ構造231は、平面上の任意の軸方向(Y軸方向)における長さが、その軸に直交する軸方向(X軸方向)における長さよりも長い平面図形を底面とし、底面の辺のすべての点と、その平面上にない、Y軸方向と実質的に並行である方向に延びる線又は矩形の辺のすべての点とを結んで構成される立体図形である。リブ構造231の断面は、錐体構造31および錐台構造131と同様に、図6(a)〜(f)および図7(a)〜(f)に例示されるような任意の形状を有することができる。リブ構造231の底面のX軸方向の長さに対するY軸方向の長さの比、すなわちアスペクト比は、例えば、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、50以上、100以上、500以上、1000以上、又は10000以上、である。リブ構造231は、接着剤シート410の全面に渡って、任意の軸方向に沿って連続していてもよい。
図9は、図3の接着剤シートを製造する方法における工程を示す断面図である。図10は、図9の工程に続く工程を示す断面図である。図11は、図10の工程に続く工程を示す断面図である。図3の接着剤シート110は、例えば以下の工程を経ることによって製造され得る。
(型の準備工程)
まず、図9(a)に示されるように、型61を準備する。型61は、表面61aに微細構造61bを有する。微細構造61bは複数の錐体構造61cを含む。型61は、例えば金属または樹脂などの材料からなる平板を、ダイヤモンドカッターまたはレーザーを用いて加工することによって、作製され得る。錐体構造61cは、接着剤シート110の錐体構造31と実質的に同一の形状を有する。錐体構造61cのサイズと錐体構造31のサイズとの差異は±5%以内、±3%以内、または±1%以内であることが好ましい。ただし、錐体構造31の高さHに関しては、第2の部分5の収縮又は重力の影響により、より大きな差異が生じる場合がある。なお、錐体構造31のサイズは、ライナー71を剥離した直後、例えば5分以内、あるいは3分以内のものを意味する。
(ライナーの作製工程)
次に、図9(a)〜(c)に示されるように、ライナー71に型61を押し当てて、型61の表面61aの微細構造61bをライナー71に転写する。ライナー71の材質としては、転写により微細構造61bを形成可能であり、かつそれを保持可能であるものが挙げられる。ライナー71の一例は、樹脂または紙からなるシート本体の表面に樹脂が積層されたシート71aと、シート71aの表面に設けられた剥離コーティング71bとを備える。剥離コーティング71bは、例えばシリコーンからなる。微細構造61bの転写は、例えば、ライナー71の表面(剥離コーティング71b)に型61を当て、ライナー71の表面をヒートプレスすることにより行われ得る。転写により、ライナー71の表面には型61が有する微細構造61bに対して相補的な微細構造72が形成される。微細構造72は、錐体構造を有する複数の凹部72aを含む。
(第1の部分の形成工程)
次に、図10(a)〜(d)に示されるように、ライナー71の微細構造72に第1接着性材料を含む溶液を適用し、次いで固化させることによって、第1の部分4を形成する。
まず、図10(a)に示されるように、ライナー71の表面に形成された微細構造72に、第1接着性材料を含む溶液81を塗布またはスプレーなどにより適用する。
次に、図10(b)に示されるように、余剰な溶液81を、例えばドクターブレードまたはスキージー等の除去装置82により掻き落とす。除去装置82は、ライナー71の表面に沿った方向Aに移動する。これにより、図10(c)に示されるように、溶液81がライナー71の表面に形成された凹部72aのそれぞれに貯留した状態となる。ライナー71の表面に形成された微細構造72において、凹部72aと凹部72aとの間隔が近接していると、溶液81を掻き落とし易くなるため好ましい。
次に、図10(d)に示されるように、凹部72a内の溶液81を乾燥させて溶媒を除去することによって凹部72a内に第1の部分4を形成する。第1の部分4は、各凹部72aの最下部に配置され、固体の第1接着性材料からなる。乾燥後、必要に応じて、紫外線又は電子線などを第1の部分4に照射して第1接着性材料を硬化させても良い。一実施形態において、図10(d)に示されるように、第1の部分4は、凹部72aの最下部から途中までを占め、かつ乾燥させる際のライナー71の置き方により定まる水平面と略平行な面を上部側に有する。なお、ライナー71を作製する際に用いた型61において、錐体構造61cの側面と底面とがなす角度θが大きい場合、あるいは錐体構造61cの底面間の距離が小さい場合、第1接着性材料を含む溶液81を凹部72aの最下部に落とし込むことが容易になる。その結果、第1の部分4の形成も容易になる。溶液81は、例えばアクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤を適切な溶媒に溶解および/または分散させたものである。溶液81に用いる溶媒は、上述した溶液81の掻き落としにも影響を与える場合がある。例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの溶媒を用いる場合、型61における錐体構造61cの底面間の距離は、より近接していたほうが好ましい(例えば50μm以下)。
(第2の部分の形成工程)
次に、図11(a)に示されるように、第1の部分4が形成されたライナー71に、第2接着性材料またはその前駆体を適用することにより、第2の部分5を形成する。本実施形態では、第2の部分5及び基部32を含む接着剤層12がライナー71上に形成される。第1の部分4と第2の部分5の間に、それ以外の任意の部分が存在する場合には、第2の部分5の形成は、第1の部分4の形成後、その任意の部分を形成した後に行われる。第2接着性材料の適用は、種々の方法で行うことができる。例えば、既にシート状などに成型した第2接着性材料をライナー71の微細構造72に貼り付け、熱および/または圧力をかけて、あるいは常温常圧下で一定時間以上静置することにより、第2接着性材料を流動させてライナー71の表面の凹部72aに入り込ませ、凹部72aの最下部にある第1の部分4と接合させる。他の例では、紫外線または電子線などのエネルギー線の照射により硬化して第2接着性材料となる前駆体を、ライナー71の微細構造72に塗布して凹部72aに入り込ませ、次いでエネルギー線を照射する。他の例では、第2接着性材料の溶液を、ライナー71の微細構造72に塗布して凹部72aに入り込ませ、次いで必要に応じて加熱し、乾燥させて溶媒を除去する。
(キャリアの形成工程)
次に、図11(b)〜(c)に示されるように、接着剤層12上に例えばPVCフィルム等のキャリア102を形成する。キャリア102は、例えばローラー103を用いて接着剤層12上に積層される。
上記各工程を経ることによって、図3の接着剤シート110を製造することができる。図11(a)に示されるように第2の部分5を形成した後、キャリア102を形成せず、ライナー71を接着剤層12から剥離してもよい。この場合、図1及び図2の接着剤シート10を製造することができる。また、第2の部分5を形成する際に、第1の部分4が凹部72a内に残存した一対のライナー71(図10(d)参照)を準備し、一対のライナー71間に第2接着性材料またはその前駆体を配置してもよい。この場合、図4の接着剤シート210を製造することができる。さらに、型61の微細構造61bの形状を変更することによって、上記と同様に図5の接着剤シート310又は図8の接着剤シート410を製造することができる。
図12は、図3の接着剤シート110を対象に貼り付ける工程を示す断面図である。まず、図12(a)に示されるように、接着剤シート110からライナー71を除去し、接着剤層12の第1の部分4が対象111の表面111aに対向するように接着剤シート110を対象111の表面111a上に載置する。対象111は例えば金属板等の板状部材であってもよい。表面111aは例えば油面である。キャリア102を介して接着剤層12にかかる圧力(矢印B)が低い間は、第1の部分4が変形するなどにより、第1の部分4は表面111aに接触する。第2の部分5は表面111aに全くまたはわずかしか接触しない。低い圧力下において、接着剤層12は表面111aに対する接着力を発揮する。すなわち、第1の部分4が表面111aに接着することによって、接着剤シート110は表面111aに接着される。
一方、図12(b)に示されるように、接着剤層12を加熱すると、第2の部分5が流動化して表面111aに接触する。加熱後、流動化した第2の部分5は硬化する。これにより、接着剤シート110は表面111aに固定される。よって、接着剤シート110によれば、加熱前に表面111aに接着剤シート110を押し付けて接着できる一方、加熱後に接着剤シート110を表面111aに強固に固定することができる。
同様に、接着剤シート10,210,310,410を、対象111の表面111aに対して接着することができる。
以下、実施例を用いて本開示をより詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ダイヤモンドカッターを用いて金属(ニッケル)の平板を加工することにより、均等に配置された複数の正四角錐構造(凹部)を有する型を作製した。正四角錐の底面と側面とのなす角度(図2のθに相当)は30°、正四角錐の底面の幅(図2のαに相当)は90μm、正四角錐の高さ(図2のHに相当)は26μmであった。正四角錐のサイズは、型の表面を高精度の顕微鏡で観察し、最も明確な像が観察可能な正四角錐構造を一つ選択して測定した。
次に、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるシートの両面にポリエチレン(PE)からなる層が設けられ、さらにそのPE層の一方にシリコーンコーティングを適用することにより剥離表面が設けられているベースライナーを用意した。ベースライナーの剥離表面に型を当て、ヒートプレスにより型の微細構造をベースライナーに転写し、微細構造を有するライナーを作製した。具体的には、120℃で5分間、7N/cmの圧力で型をベースライナーに押し付けた。55℃まで冷却した後、型を除去してライナーを得た。ライナーの微細構造は、型が有する微細構造と実質的に同一のサイズを有していた。
次に、ライナーの微細構造上に、溶媒(水とイソプロピルアルコールとが1:1の割合で含まれる溶媒)で30質量%に調整したゴム系接着剤(商品名:WP2000、3M社製)を塗布した。塗布後、ドクターブレードまたはスキージーにより余剰な溶液を掻き落とした。その後、100℃で5分間オーブンで加熱して、溶液に含まれる水、アルコールもしくは他の有機溶媒、またはそれらの混合物からなる溶媒を揮発させることにより、固体のゴム系接着剤(図2の第1の部分4)がライナーの正四角錐構造の底部に配置されるようにした。よって、図2に示される第1の部分の高さH1は18μm、第1の部分の底面の幅α1は60μmであった。
次に、ライナーの微細構造上に熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂を含む溶液を塗布した。溶液は、表1に示される各材料を混合し、減圧により脱ガスすることによって得られる。
Figure 2021105085
次に、塗布した熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂を含む溶液の上に、ポリエステルフィルムをラミネートした。続いて、蛍光黒色電球(SylvaniaTM F20T12B)を用いて紫外線をポリエステルフィルムの上から溶液に照射し、溶液中のUV硬化性樹脂を硬化させた。この時点で熱硬化性接着剤は未硬化である。得られた熱硬化性接着剤層は、ライナーの四角錐構造内に位置する部分(図2の第2の部分5)と、第2の部分を支持する基部(図2の基部32)とからなる。第2の部分の高さH2は8μm、第2の部分の底面の幅αは90μmであった。このようにして、ライナー上に、表面に複数の凸型構造を有する接着剤層が形成された。
上記各工程を経ることによって、図3の接着剤シート110からキャリア102を除去した構造と同様の構造を有する実施例1の接着剤シートを作製した。
(実施例2)
正四角錐構造を有する型に代えて正四角錐台構造を有する型を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の接着剤シートを作製した。正四角錐台の底面と側面とのなす角度(図5のθに相当)は30°、正四角錐台の底面の幅(図5のαに相当)は45μm、正四角錐台の高さ(図5のHに相当)は13μmであった。なお、隣り合う正四角錐台間の距離は0(図5のβに相当)である。
(実施例3)
第1の部分を形成する際に溶媒(水とイソプロピルアルコールとが1:1の割合で含まれる溶媒)で20質量%に調整したアクリル系感圧接着剤(商品名:N801-A、イーテック社製)を用い、第2の部分を形成する際に熱硬化性接着剤(商品名:StructuralBonding tape 9270、3M社製)を用いたこと以外は実施例2と同様にして実施例3の接着剤シートを作製した。
(実施例4)
正四角錐台構造のサイズが異なる型を用いたこと以外は実施例3と同様にして実施例4の接着剤シートを作製した。本実施例では、正四角錐台の底面と側面とのなす角度(図5のθに相当)は15°、正四角錐台の底面の幅(図5のαに相当)は97μm、正四角錐台の高さ(図5のHに相当)は13μmであった。
(実施例5)
実施例1の正四角錐構造を有する型を用いたこと以外は実施例3と同様にして実施例5の接着剤シートを作製した。本実施例では、正四角錐の底面と側面とのなす角度(図2のθに相当)は30°、正四角錐の底面の幅(図2のαに相当)は90μm、正四角錐の高さ(図2のHに相当)は26μmであった。
(参考例1)
表面に微細構造を有していない平滑ライナー(厚さ50μmのポリエステルフィルム、商品名:CerapeelTM MIB、東レフィルム加工社製)上に、熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂を含む溶液を塗布した後、実施例1と同様にして溶液を硬化させた。このようにして、微細構造を含まない平坦な両面を有する熱硬化性接着剤層からなる参考例1の接着剤シートを作製した。
(参考例2)
平滑ライナー上に、実施例1と同様にしてゴム系接着剤を含む溶液を塗布した後、固体のゴム系接着剤を形成した。このようにして、微細構造を含まない平坦な両面を有するゴム系接着剤層からなる参考例2の接着剤シートを作製した。ゴム系接着剤層の厚さは20μmであった。
(参考例3)
平滑ライナー上に、実施例1と同様にしてゴム系接着剤を含む溶液を塗布した後、固体のゴム系接着剤を形成した。その後、固体のゴム系接着剤上に、熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂を含む溶液を塗布した後、実施例1と同様にして溶液を硬化させた。このようにして、微細構造を含まない平坦な両面を有する参考例2の接着剤シートを作製した。本参考例の接着剤シートにおいて、接着剤層は、厚さ20μmのゴム系接着剤層と、熱硬化性接着剤層との2層からなる。
(参考例4)
参考例1の熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂に代えて実施例3の熱硬化性接着剤を用いたこと以外は参考例1と同様にして参考例4の接着剤シートを作製した。
(参考例5)
参考例3のゴム系接着剤に代えて実施例3のアクリル系感圧接着剤を用い、参考例3の熱硬化性接着剤及びUV硬化性樹脂に代えて熱硬化性接着剤を用いたこと以外は参考例3と同様にして参考例5の接着剤シートを作製した。
実施例1〜2及び参考例1〜3の接着剤シートについて以下の評価を行った。
(180°剥離試験)
表面に防錆油(商品名:プレトンNP−8、スギムラ化学工業社製)が形成された鋼板(幅75mm、長さ150mm、厚さ0.8mm)を準備する。厚さ25μmのPETフィルム(キャリア)を各接着剤シートの熱硬化性接着層上にラミネートし、25mm×75mmの大きさにカットする。次に、各接着剤シートのライナーを除去し、5kgのローラを用いて、露出した接着剤層を鋼板の油面にラミネートする。実施例1〜2及び参考例1,3では、ゴム系接着剤層が油面に接触する。参考例2では熱硬化性接着剤層が油面に接触する。24時間経過後、25℃において50mm/分の剥離速度で接着剤層を油面から剥離する際の180°剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2021105085
(せん断試験)
一対の鋼板(幅10mm、長さ100mm、厚さ1.6mm)を準備する。各接着剤シートを10mm×10mmの大きさにカットする。次に、カットされた各接着剤シートからライナー及びキャリアを除去し、接着剤層を一対の鋼板間に挟む。鋼板と接着剤シートとの間には、直径0.15mmのステンレス鋼ワイヤがスペーサとして挟まれる。次に、クリップを用いて一対の鋼板及び接着剤層を挟んだ状態でオーブンにおいて170℃で30分間加熱する。これにより、熱硬化性接着剤層が硬化する。室温まで冷却した後、一方の鋼板の端部と他方の鋼板の端部とを互いに反対方向に5mm/分の速度で引っ張る。このようにして、重ね合せせん断強さを測定した。結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例1〜2の接着剤シートは、参考例1〜3の接着剤シートに比べて、加熱前に油面に対して高い接着性を有すると共に、加熱後にも高い接着性を有する。
実施例3〜5及び参考例4〜5の接着剤シートについて以下の評価を行った。
(硬化中保持力試験)
スズ面を有するガラス板を準備し、イソプロピルアルコールを用いてスズ面を洗浄する。各接着剤シートを20mm×20mmの大きさにカットする。次に、カットされた各接着剤シートからライナーを除去し、接着剤層をスズ面に圧着する。実施例3〜5及び参考例5では、ゴム系接着剤層がスズ面に接触する。参考例4では、熱硬化性接着剤層がスズ面に接触する。圧着は、スズ面とは反対側のガラスの面から見て濡れ面積が100%(スズ面の法線方向から見て接着剤層の全面積がスズ面に接触している状態)となるように行われる。各接着剤シートには50g又は100gの重りが取り付けられる。各接着剤シートがガラス板の下方に配置されるようにガラス板を水平に保持すると、重りが各接着剤シートに吊り下げられることになる。重りが各接着剤シートに吊り下げられた状態でサンプルをオーブンに入れて140℃まで加熱する。オーブンの温度が140℃に到達した時から25分経過した時点で、各接着剤シート及び重りがガラス板から剥離して落下しているか否かを確認した。結果を表3に示す。表3において、「100g」は100gの重りでも落下しなかった場合を示し、「50g」は50gの重りでは落下しなかったが、100gの重りでは落下したことを示し、「400g」は400gの重りでも落下しなかったことを示す。
Figure 2021105085
実施例3〜5及び参考例4〜5の接着剤シートについても上述のせん断試験を行った。結果を表3に示す。
表3に示されるように、実施例3〜5の接着剤シートでは、参考例4〜5の接着剤シートに比べて、加熱後(硬化後)に高い接着性が得られると共に加熱中(硬化中)でも接着性を十分に維持できる。
1…底面、2…頂部、3…側面、4,14…第1の部分、5,15…第2の部分、10,110,210,310,410…接着剤シート、12,112,212…接着剤層、12a,112a…表面、12b…裏面、13,113…微細構造、31…錐体構造(凸型構造)、131…錐台構造(凸型構造)、231…リブ構造(凸型構造)。

Claims (8)

  1. 表面に微細構造を有する接着剤層を有する接着剤シートであって、
    前記微細構造は、複数の凸型構造を含み、
    前記凸型構造は、前記凸型構造の頂部に存在する第1の部分と前記第1の部分よりも下側に存在する第2の部分とを有し、前記第1の部分及び前記第2の部分の一方が熱硬化性接着剤を含み、他方が感圧接着剤を含む、接着剤シート。
  2. 前記第1の部分が感圧接着剤を含み、前記第2の部分が熱硬化性接着剤を含む、請求項1に記載の接着剤シート。
  3. 前記第1の部分がゴム系接着剤を含む、請求項1または2に記載の接着剤シート。
  4. 前記凸型構造の前記頂部が平坦である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着剤シート。
  5. 前記第1の部分及び前記第2の部分は、界面を介して互いに接合されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の接着剤シート。
  6. 前記凸型構造の高さを100%とした場合、前記第1の部分の高さが、前記凸型構造の高さの10%〜90%の範囲である、請求項5に記載の接着剤シート。
  7. 前記凸型構造の側面と底面がなす角度θが5°以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着剤シート。
  8. 前記凸型構造の高さが5μm以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の接着剤シート。
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