JP2021104652A - 通気性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際、前記吸着ステージと前記基材の間に介在させて使用する通気性シートであって、通気性シートの取り扱い時に折れ皺などの癖がつきにくく取り扱い性がよく、また、真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された際に支持層がゆがみにくく、基材表面に鮮明な印刷パターンを印刷付与できる、通気性シートを提供すること。【解決手段】本発明の通気性シートは、通気性シートを構成する支持層に有機樹脂から構成された不織布又は紙を用いることで、折れ皺などの癖がつきにくく取り扱い性に優れ、また、通気性シートの曲げ強さが4.0MPa以上であることで、通気性シートを真空吸着装置の吸着ステージに基材を介在して吸引固定した際に支持層がゆがみにくく、基材への印刷時に鮮明なパターンを印刷することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、プリンテッドエレクトロニクスで真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際に、前記吸着ステージと前記基材の間に介在させて使用する通気性シートに関するものであり、特に、フィルム等の非通気性基材の表面に電子部品を印刷形成する際、好適に使用できる通気性シートに関する。
電気機器の小型化に伴い、小型で軽量な、或いは厚さの薄い電子部品、例えば集積回路や配線材あるいは電子基板など(以降、包括的に電子部品と称することがある)の開発が進められている。このような要請に応える技術として、近年、プリンテッドエレクトロニクスが注目を浴びている。
プリンテッドエレクトロニクスとは、導電性成分あるいは半導体成分などを配合した各種インク(以降、プリンテッドエレクトロニクスに使用される各種インクを単にインクと称することがある)を、フィルムや布帛(例えば、不織布、織物、編物など)などの基材の表面に印刷し、前記基材の表面に種々の電子部品を形成する技術分野である。
プリンテッドエレクトロニクスを用いることで、例えば、フィルムや布帛などの軽くて薄い基材や、柔軟性を有する基材の表面に電子部品を形成し、小型・軽量化された、あるいはフレキシブルな電気機器を提供することができる。
プリンテッドエレクトロニクスにおいては、電子部品を形成するにあたって微細で鮮明な印刷が実現できるように、真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際に、基材が動かないことに加え、基材表面において凹凸が非常に小さいことが要求される。そこで、基材を真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定する際に吸着ステージの吸引口から垂直に発生する吸引圧力を分散させ、その結果基材表面の凹凸が非常に小さくでき、基材への鮮明な印刷を実現できる、真空吸着装置の吸着ステージと基材との間に介在させる通気性シートとして、例えば、国際公開2016/021239号(特許文献1)に、非通気性基材に接する不織布層と、吸着ステージに接する織物または編物からなる支持層とを備えることを特徴とする通気性シートが開示されている。なお、特許文献1は、実施例において、支持層としてステンレス鋼製の金属メッシュを用いていることが開示されている。
国際公開2016/021239号
しかし、特許文献1の通気性シートは、通気性シートを手で持ち運ぶときなどの取り扱い時に、外力が掛かって通気性シートが曲がった際に折れ皺がつき、折れ皺がついたものを真空吸着装置の吸着ステージと基材との間に介在させると、基材への印刷時において基材表面に凹凸が発生し、基材への鮮明な印刷が実現できず、取り扱い性が良くないものであった。
そこで、本発明者らは支持層にステンレス鋼製の金属メッシュよりも折れ皺がつきにくい有機樹脂から構成された不織布や紙を使用することを検討したものの、真空吸着装置の吸着ステージに基材を介在して吸引固定する際に、吸着ステージの吸引口から垂直に発生する吸引圧力が分散せずに通気性シートがゆがみ、結果として基材への印刷時において基材表面に凹凸が発生して基材の印刷にムラが発生し、鮮明な印刷が実現できないことがあった。
本発明は、上述した従来の問題点に基づくものであり、真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際、前記吸着ステージと前記基材の間に介在させて使用する通気性シートであって、通気性シートの取り扱い時に外力が掛かっても折れ皺などの癖がつきにくく取り扱い性がよく、また、真空吸着装置の吸着ステージに吸引固定された際に通気性シートがゆがみにくく、基材表面に鮮明な印刷パターンを印刷付与できる、通気性シートの提供を目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「吸着ステージ上に吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際に、前記吸着ステージと前記基材の間に介在させて使用する通気性シートであって、該通気性シートが、前記基材に接する不織布層と、前記吸着ステージに接する有機樹脂から構成された不織布又は紙からなる支持層とを備え、通気性シートの曲げ強さが4.0MPa以上である、通気性シート。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「前記基材に接する不織布層の構成繊維が繊維径10.5μm以下の繊維を主体としてなる、請求項1に記載の通気性シート。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「通気性シートの厚さが、600μm以下である、請求項1又は2に記載の通気性シート。」である。
本発明の通気性シートは、プリンテッドエレクトロニクスを実施するにあたって、通気性シートを構成する支持層に有機樹脂から構成された不織布又は紙を用い、また、通気性シートの曲げ強さが4.0MPa以上であることで、通気性シートを取り扱う際に折れ皺などの癖がつきにくく取り扱い性に優れ、加えて、通気性シートを真空吸着装置の吸着ステージと基材の間に介在して吸引固定した際に通気性シートがゆがみにくく、結果として基材への印刷時に基材表面に凹凸が非常に小さく鮮明なパターンをフィルム等の基材に印刷することができ、ひいては優れた電子部品を高い再現性をもって提供することが可能となる。
本発明の通気性シートの使用時における、模式的断面図である。
本発明の通気性シートは、従来知られているプリンテッドエレクトロニクス技術と同様に、真空吸引装置に組み込まれた吸引ステージ上に載置された状態で、当該シートに接してフィルム等からなる基材を置き、装置を稼働させることにより印刷が実施される。
以下、本発明の通気性シートの使用時における、模式的断面図である図1を用いて説明する。本発明の通気性シート(3)は、少なくとも一層の不織布層(3b)と、少なくとも一層の支持層(3a)とを含み、所望により他の通気性部材を更に含むことができ、それらを積層構成したものである。通気性シート(3)は、吸引口(2)が設けられた吸着ステージ(1)に、支持層(3a)が接した状態で用いられ、不織布層(3b)に接して基材(4)が載置された状態で真空吸引装置を稼働し、固定される。この際、通気性シート(3)の層間に他の通気性素材を介在させても良いが、不織布層(3b)の吸着ステージ(1)側に支持層(3a)があることが必要である。つまり、本発明の通気性シート(3)の作用効果として、吸引口(2)から基材(4)と吸着ステージ(1)との間の空気が吸引される際、これらの間に介在する通気性シート(3)のうち、まず、支持層(3a)によって吸引口(2)から基材(4)と吸着ステージ(1)との間の空気が吸引される際、これらの間に介在する通気性シート(3)のうち、まず、支持層(3a)によって吸引口(2)のパターンによる吸引力の局在化が緩和される。次いで、この支持層(3a)を貫く装置側の吸引力は不織布層(3b)を介して更に分散し、吸引力の直接対象物である基材(4)を吸着ステージ(1)側に引きつけ、当該基材(4)の平面性を保った状態で、インク付与部材(5)による印刷を鮮明に実施し得る。この間、真空吸引装置の吸引口パターン間隔等の装置側条件による影響は、不織布層(3b)を構成する繊維の繊維径が、有機樹脂から構成された不織布又は紙からなる支持層(3a)を構成する繊維の繊維径よりも小さいことで更に緩和される。
なお、基材はフィルムなどの非通気性基材であっても、紙や多孔性シートなどの通気性基材であってもよい。また、基材を構成する成分などの諸構成や、厚さや剛性などの諸物性は、基材の用途により適宜調整する。
通気性シートの支持層(3a)を構成する有機樹脂から構成された不織布又は紙は、厚さ方向、及び厚さ方向に直交する方向にも通気性を有している。このため、吸着ステージによる吸引力を支持層のしめる空隙内の多方向に分散できる。プリンテッドエレクトロニクスでは、印刷するパターンを鮮明に印刷するために吸着ステージの吸引口の直径を小さくし、吸引口の直上での基材の変形を抑制することが行われているが、吸引口の直径が小さくなると、吸着ステージ自体の加工コストが上がり、基材の吸着効率は低下する傾向にある。本発明を適用した通気性シートは吸着ステージによる吸引力を支持層のしめる空隙内の多方向に分散でき、かつ不織布層(3b)によってさらに吸引力を分散させることで基材に平坦な面を提供できるため、一般的な真空吸着装置の吸着ステージ上に簡便に設置することで、著しいコストダウンと吸着効率の改善を図り得る。また、支持層が有機樹脂から構成された不織布又は紙からなることで、外力が掛かっても折れ皺がつきにくく、取り扱い性に優れる。これらの中でも有機樹脂から構成された不織布は、紙と比較してある程度の厚さを有し、支持層内でより吸引力を多方向に効率よく分散できることから、支持層として好ましい。
支持層(3a)を構成する有機樹脂から構成された不織布又は紙を構成する繊維の繊維成分の種類は適宜選択するものであるが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、ユリア系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、ニトリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の有機樹脂からなることができる。
なお、これらの有機樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また有機樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また有機樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。更には、複数の有機樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
支持層(3a)を構成する有機樹脂から構成された不織布又は紙を構成する繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を除去する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法、木材などの植物を高温高圧処理し繊維を取り出す方法など公知の方法により得ることができる。
前記繊維は、一種類あるいは複数種類の樹脂成分から構成されてなるものでも構わず、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型などの複合繊維を使用することができる。
前記繊維の繊維径は適宜調整するが、繊維径は100μm以下であることができ、50μm以下であることができ、30μm以下であることができる。なお、前記繊維の繊維径は適宜調整するが、0.5μm以上であるのが現実的である。また、前記繊維の繊維長は適宜調整できるが、繊維長は1mm以上であることができ、3mm以上であることができ、上述の直接紡糸法によって紡糸された連続繊維であることができる。
真空吸着装置の吸着ステージと基材(4)との間に通気性シートを介在させて基材を吸引固定した際に、支持層(3a)がゆがみにくく、結果として基材への印刷時に基材表面の凹凸が非常に小さく鮮明なパターンをフィルムなどの基材に印刷することができるように、支持層の曲げ強さが2MPa以上であるのが好ましい。曲げ強さが高ければ高いほど、より基材への印刷時に基材表面の凹凸が非常に小さくなることから、5MPa以上がより好ましく、10MPa以上が更に好ましい。支持層の曲げ強さの上限は、曲げ強さが高すぎると外力が掛かって通気性シートが曲がった際に折れ皺がつきやすいことから、35MPa以下が好ましい。なお、「曲げ強さ」とは、測定対象(支持層又は通気性シート)を長さ80mm、幅10mmに切り取り、JIS K 7171:2016「プラスチック−曲げ特性の求め方」に記載の測定方法(支点間距離:16mm、加圧速度:50mm/分)に供し、「3.4 曲げ強さ」により求められる値である。曲げ強さが高い支持層を実現し、また曲げ強さが高い通気性シートを実現するために、支持層は未延伸繊維によって接着しているのが好ましく、接着強度が高いことから、延伸繊維が延伸繊維と同じ樹脂組成からなる未延伸繊維によって接着しているのがより好ましい。
支持層(3a)の目付、厚さ、嵩密度、通気度などの諸構成は、適宜調整するのが好ましいが、支持層(3a)の目付は、50g/m以上であるのが好ましく、100g/m以上であるのがより好ましく、150g/m以上であるのが更に好ましい。なお、支持層の目付の上限は適宜調整するが、1000g/m以下であるのが現実的である。
また、支持層(3a)の厚さは、50〜550μmであるのが好ましく、100〜400μmであるのがより好ましく、150〜300μmであるのが更に好ましい。
更に、支持層(3a)の嵩密度は、嵩密度の高い支持層であると、吸着ステージに吸引固定する際に効率よく吸引力を分散できる一方、支持層の嵩密度が高すぎると、支持層の通気性が低くなり基材を吸引固定し難くなるおそれがあることから、嵩密度は、0.25〜1.50g/cmであるのが好ましく、0.40〜1.20g/cmであるのがより好ましく、0.50〜0.90g/cmであるのが更に好ましい。
更に、支持層(3a)の通気度は適宜調整するが、通気度は0.1(cm/cm/s)以上が好ましく、0.5(cm/cm/s)以上がより好ましく、1(cm/cm/s)以上が更に好ましい。なお、支持層の通気度の上限は適宜調整するが、200(cm/cm/s)以下が現実的である。
なお、本発明では、目付とは面積1mあたりの質量をいう。厚さとは厚さ測定器(デジマチック標準外側マイクロメータ(MDC−MJ/PJ)1/1000mm(株)ミツトヨ)により計測した、500g荷重時測定値の5点の厚さの算術平均値をいう。なお、マイクロメータでの厚さ測定が困難な場合は、500g荷重時の測定対象物の厚さ方向における断面写真を撮影し、撮影した写真から厚さを求める。嵩密度は目付(単位:g/m)を厚さ(単位:μm)で除した値をいう。通気度はJIS L 1096に規定されるフラジール形法により測定された値をいう。
また、支持層(3a)は1種類の繊維のみで構成されていても、2種類以上の繊維で構成されていても良い。
支持層(3a)には界面活性剤を塗布添加するなど、種々の形態とすることができる。この際、界面活性剤の支持層(3a)における含有量は、使用する界面活性剤の種類により任意好適に設計することができる。
次いで、本発明の通気性シートを構成する不織布層(3b)に用いる繊維を構成する繊維成分の種類は、支持層(3a)に使用する繊維成分と同様の繊維成分が使用でき、特に限定するものではない。
また、不織布層(3b)を構成する繊維は、支持層(3a)に使用する繊維と同様の公知の方法により得ることができる。これら公知の不織布製造技術のうち、通気性シート(3)からの発塵を防止し、かつ不織布層の基材(4)側表面の毛羽立ちを防止する観点から上述した直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)により得られる連続繊維であるのが好ましい。
また、不織布層(3b)の構成繊維の繊維径を小さく採ることによって、同程度の目付であれば、基材(4)との接触面における単位面積あたりの繊維本数が増えることで、不織布層の表面平坦性が向上する。これにより、基材の吸着固定をする際に基材をより平坦に固定することが可能になる。このため、不織布層における主体とする構成繊維の繊維径は10.5μm以下、より好ましくは1μm以下とするのが良い。なお、「主体」とは全体の50mass%以上であることをいう。本発明の通気性シートは、単一の不織布層を設けた場合に限定されるものではなく、複数の不織布層を設けることができ、その場合、繊維径が10.5μm以下の構成繊維を主体とする層は、基材と直接接触するのが好適である。この場合、比較的細径の繊維を主体とする不織布層は、真空装置の吸引等によってフィルムなどの基材との間で帯電し易い傾向にあるため、不織布層に帯電防止を目的とした導電性繊維を有するのが好適である。この導電性繊維を有する代わりに、不織布層が表面に界面活性剤を含有するなど、種々の形態とすることができる。この際、界面活性剤の最終的な不織布層への含有量は、使用する界面活性剤の種類により任意好適に設計することができる。
なお、支持層が不織布から構成されている場合、真空吸引装置の吸引口パターン間隔等の装置側条件による影響は、不織布層(3b)を構成する繊維の繊維径が、有機樹脂から構成された不織布又は紙からなる支持層(3a)を構成する繊維の繊維径よりも小さいことで更に緩和されることから、不織布層を構成する繊維の繊維径のほうが、支持層(不織布)を構成する繊維の繊維径よりも小さいのが好ましい。
不織布層(3b)の目付、厚さ、嵩密度、通気度など、繊維径以外の諸構成は、適宜調整するのが好ましいが、不織布層の目付は、5g/m以上であるのが好ましく、10g/m以上であるのがより好ましく、20g/m以上であるのが更に好ましい。なお、不織布層の目付の上限は適宜調整するが、200g/m以下であるのが現実的である。
また、不織布層(3b)の厚さは、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのが更に好ましい。
更に、不織布層(3b)の嵩密度は、嵩密度の高い不織布層であると、より不織布層の凹凸が小さくなり、鮮明な印刷が実現できる一方、不織布層の嵩密度が高すぎると、不織布層の通気性が低くなり基材を吸引固定し難くなるおそれがあることから、嵩密度は、0.01〜1.0g/cmであるのが好ましく、0.10〜0.70g/cmであるのがより好ましく、0.20〜0.40g/cmであるのが更に好ましい。
更に、不織布層(3b)の通気度は適宜調整するが、通気度は0.1(cm/cm/s)以上が好ましく、0.2(cm/cm/s)以上がより好ましく、0.3(cm/cm/s)以上が更に好ましい。なお、不織布層の通気度の上限は適宜調整するが、10(cm/cm/s)以下が現実的である。
また、不織布層(3b)は1種類の繊維のみで構成されていても、2種類以上の繊維で構成されていても良いが、不織布層が1種類の繊維で構成されていると、不織布層の構成繊維が均一に分散し、基材表面の凹凸がより小さいことから、好ましい。
通気性シートの不織布層(3b)と支持層(3a)とが一体化している場合、あるいは、不織布層が複数の不織布を有する場合は、これらを重ねた後、熱圧着により一体化し、通気性シートの取り扱い性を高めるのが好ましい。また、熱圧着をする代わりに、層間に接着剤を塗布し、接着することができる。
本発明の通気性シートは、曲げ強さが4.0MPa以上である。曲げ強さがこの値であることで、通気性シートを真空吸着装置の吸着ステージと基材(4)の間に介在して吸引固定した際に通気性シートがゆがみにくく、結果として基材への印刷時に基材表面に凹凸が非常に小さく鮮明なパターンをフィルムなどの基材に印刷することができる。上述の効果がより得られることから、曲げ強さは、7.0MPa以上であるのがより好ましく、10.0MPa以上であるのが更に好ましい。一方、曲げ強さが高すぎると、通気性シートを手で持ち運ぶときなどの取り扱い時に、外力が掛かって通気性シートが曲がった際に折れ皺などの癖がつくおそれがあり、折れ皺がついたものを真空吸着装置の吸着ステージと基材との間に介在させると、基材への印刷時において基材表面に凹凸が発生し、基材への鮮明な印刷が実現できないおそれがあることから、曲げ強さは34.0MPa以下が好ましく、25.0MPa以下がより好ましく、20.0MPa以下が更に好ましい。
また、本発明の通気性シートは、ある程度の硬さを有し、印刷時に吸着ステージからの吸引圧力がかかることで通気性シートが変形してしまい、結果として基材(4)が変形してしまい、印刷不良が起きないように、圧縮変化量が100μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、15μm以下であるのが更に好ましい。
なお、「圧縮変化量」は以下の方法により測定できる。
(1)直径25mmの円形に打ち抜いた通気性シートを、テンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ:RTF−1310)にセットし、速度1.0mm/分の条件で1.0MPaの圧力を通気性シート全体に掛ける。
(2)前記通気性シートに掛ける圧力を1.0秒保持してから、速度1.0mm/分の条件で圧力を0.01MPaまで下げる。
(3)前記通気性シートに掛ける圧力を1.0秒保持してから、速度1.0mm/分の条件で圧力を1.0MPaまで上げる。
(4)(2)〜(3)の動作を繰り返し、10回目に1.0MPaの圧力を掛けたときの厚さa(μm)及び10回目に0.01MPaの圧力を掛けたときの厚さb(μm)を測定する。
(5)以下の式により、圧縮変化量を算出する。
圧縮変化量(μm)=b−a
通気性シートの目付、厚さ、嵩密度、通気度などの諸構成は、適宜調整するのが好ましいが、通気性シートの目付は、55g/m以上であるのが好ましく、100g/m以上であるのがより好ましく、200g/m以上であるのが更に好ましい。なお、通気性シートの目付の上限は適宜調整するが、1000g/m以下であるのが現実的である。
また、通気性シートの厚さは、厚すぎると折れ皺がつきやすくなり、取り扱い性が劣るおそれがあることから、600μm以下であるのが好ましく、450μm以下であるのがより好ましく、350μm以下であるのが更に好ましい。一方、厚さが薄すぎると吸着ステージの吸引圧力が十分分散せず、基材表面に凸凹が発生するおそれがあることから、50μm以上であるのが好ましく、150μm以上であるのがより好ましく、250μm以上であるのが更に好ましい。
更に、通気性シートの嵩密度は、嵩密度の高い通気性シートであると、より通気性シートの凹凸が小さくなり、鮮明な印刷が実現できる一方、通気性シートの嵩密度が高すぎると、通気性シートの通気性が低くなり基材を吸引固定し難くなるおそれがあることから、嵩密度は、0.25〜1.50g/cmであるのが好ましく、0.40〜1.20g/cmであるのがより好ましく、0.60〜0.90g/cmであるのが更に好ましい。
更に、通気性シートの通気度は適宜調整するが、通気度は0.07(cm/cm/s)以上が好ましく、0.10(cm/cm/s)以上がより好ましく、0.13(cm/cm/s)以上が更に好ましい。なお、通気性シートの通気度の上限は適宜調整するが、100(cm/cm/s)以下が現実的である。
本発明の通気性シートはそのまま使用することができるが、通気性シートと吸着ステージとの密着性向上のため、通気性シート外周部をテープなどで留めてもよい。また、通気性シートにおける不織布層と支持層の大きさは同じであっても、異なっていてもよい。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(支持層の調製)
(支持層Aの調製)
延伸ポリエステル繊維A(繊維径:11.6μm、繊維長:38mm)5mass%、延伸ポリエステル繊維B(繊維径:17.5μm、繊維長:64mm)35mass%、延伸ポリエステル繊維C(繊維径:13.2μm、繊維長:51mm)25mass%、未延伸ポリエステル繊維(繊維径:22.7μm、繊維長:38mm)35mass%を、カード機により開繊して、繊維集合体Aを形成した。
次に、前記繊維集合体Aを、温度:223℃、線圧:28.5N/mmに加熱加圧したロール間に通し、更に、温度:210℃、線圧:17.8N/mmに加熱加圧したロール間に通して未延伸ポリエステル繊維を接着させ、支持層A(目付:175g/m、厚さ:270μm、嵩密度:0.65g/cm、通気度:13.9(cm/cm/s)、曲げ強さ:10.3MPa)を製造した。
(支持層Bの調製)
延伸ポリエステル繊維A15mass%、延伸ポリエステル繊維B30mass%、未延伸ポリエステル繊維55mass%を、カード機により開繊して、繊維集合体Bを形成した。
次に、前記繊維集合体Bを、温度:205℃、線圧:13.5N/mmに加熱加圧したロール間に通し、更に、温度:213℃、線圧:24.9N/mmに加熱加圧したロール間に通して未延伸ポリエステル繊維を接着させ、支持層B(目付:180g/m、厚さ:207μm、嵩密度:0.87g/cm、通気度:1.02(cm/cm/s)、曲げ強さ:15.2MPa)を製造した。
(支持層Cの調製)
レーヨン繊維A(繊維径:12.0μm、繊維長:38mm)60mass%、レーヨン繊維B(繊維径:16.7μm、繊維長:51mm)20mass%、延伸ポリエステル繊維A20mass%を、カード機により開繊して、繊維集合体Cを形成した。
次に、前記繊維集合体Cにアクリル樹脂バインダ液を付与し、乾燥させることで、アクリル樹脂バインダを有する支持層C(目付:125g/m、うちアクリル樹脂バインダの目付:40g/m、厚さ:513μm、嵩密度:0.24g/cm、通気度:90.0(cm/cm/s)、曲げ強さ:1.4MPa)を製造した。
(支持層Dの調製)
ステンレス鋼製の金属メッシュを用意(平織り、線径0.10mm、目開きの間隔:0.15mm、曲げ強さ:36.1MPa)し、支持層Dとした。
ここで表記した目開きの間隔とは平織りにおけるワイヤー同士で形成される網目状の開口の一辺の長さに相当する公称値であり、通常、メッシュ数とミリ単位とした線径dにより、以下の式で算出することができる。この計算式は広く知られた算出手法であるが、実際に顕微鏡で観察した結果と極めて高い相関が有ることを確認した。
目開きの間隔=(25.4/メッシュ数)−線径d
(不織布層の調製)
公知の静電紡糸技術による不織布層を作製した。始めに、重量平均分子量20万のポリアクリロニトリルである「ボンネル D122」(三菱レイヨン株式会社製:登録商標)を、N,N−ジメチルホルムアミドに濃度16wt%になるように溶解させ、ポリマー溶液(粘度:2000mPa・s)とした。次いで、ケースに周囲を囲われた空間(縦:1000mm、横:1000mm、高さ:1000mm)内に、ポリマー溶液を吐出できる内径0.41mmの金属製ノズルを直流高電圧装置に接続した状態で配置し、吐出されたポリマー溶液を捕集するための無端ベルトをアースし、ケースに囲われた空間内に配置した。この金属製ノズルに17kVの電圧を印加することで、ポリマー溶液を3g/hの速度で吐出させて繊維化し、繊維径0.4μmの連続繊維から構成された繊維集合体Dを形成した。
さらに、前記繊維集合体Dにアクリル樹脂バインダ液を付与し、乾燥させることで、不織布層(目付:26g/m、うちアクリル樹脂バインダの目付:9g/m、厚さ:65μm、嵩密度:0.40g/cm、通気度:0.34(cm/cm/s))を得た。
(通気性シートの調製)
上述した各支持層、並びに、不織布層を表1に記載の通りに組み合わせ、各実施例及び各比較例の通気性シートを調製した。
実施例及び比較例の通気性シートで使用した支持層、及び、通気性シートの目付、厚さ、嵩密度、通気度を以下の表1に示す。
Figure 2021104652
以下の方法で、実施例及び比較例の通気性シートを評価した。
(曲げ強さ測定)
前述に記載の方法で、実施例及び比較例の曲げ強さ(MPa)を測定した。
(圧縮変化量測定)
前述に記載の方法で、実施例及び比較例の圧縮変化量(μm)を測定した。
(取り扱い性評価)
上述に記載の曲げ強さ測定方法によって測定した通気性シートに、目視で確認して折れ皺などの変形が見られない場合は「〇」、折れ皺などの変形が見られる場合は「×」として評価した。
(フィルムへの印刷評価)
(1)基材として、非通気性の市販のポリエチレンテレフタレート製フィルム「テトロンフィルムNS」(帝人デュポン株式会社製:厚さ12μm)を1辺180mmの正方形に裁断して用意した。
(2)実施例及び比較例の通気性シートを1辺190mmの正方形に裁断した。
(3)市販の真空吸着装置として、直径1.5mmの円形の吸引口が10mm間隔で格子状(縦15個、横15個)に合計225個開口され、開口領域の一辺が140mmの短形平版形状の吸着ステージを用意した。
(4)この吸着ステージの開口領域をすべて覆うように、吸着ステージと通気性シートの支持層が接し、また、基材の全面が通気性シートと重なるように、各通気性シート、基材を順次に載置し、四方をテープで留めることによって吸引力の損失を回避し、この状態で、真空吸着装置の真空ポンプを動作させた。
(5)評価用の印刷スクリーン製版として、320mm×320mmのメッシュスクリーン中央部65mm角の領域にベタ印刷領域を有するスクリーン製版を用いた。インクは市販のインク「T−JET 250 緑」(株式会社ミノグループ製:商品名)に市販の遅乾溶剤「リターダーVZ3」(株式会社ミノグループ製:商品名)10wt%を添加させたものを用いた。スクリーン製版を基材上に載せ、その上からインクを流してブレード状のスキージにより印刷を実施することで、当該インクを、スクリーン製版を通して基材表面に印刷を行った。
(6)基材を取り出し、基材のインクを有する印刷面を目視で観察した。印刷面においてインクの色が濃く点状に見える箇所に着目し、長辺が1.0mm以上の点が9個以下の場合は「〇」、長辺が1.0mm以上の点が10個以上の場合は「×」として印刷性を評価した。
実施例及び比較例の通気性シートの評価結果を、以下の表2に示す。
Figure 2021104652
実施例1、2の通気性シートは、曲げ強さが4.0MPaよりも低い比較例1の通気性シートと比較して、取り扱い性と印刷性が優れ、また、支持層が有機樹脂で構成された不織布又は紙のどちらでもない比較例2の通気性シートと比較して、取り扱い性が優れているものであった。
吸着ステージ上に吸引固定された基材の表面へ印刷する際に、前記吸着ステージと前記基材との間に介在させて使用する通気性シートであって、基材の表面へ鮮明な印刷パターンを形成できる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
1・・・吸着ステージ、2・・・吸引口、
3・・・通気性シート、3a・・・支持層、3b・・・不織布層、
4・・・基材、5・・・インク付与部材。
Figure 2021104652

Claims (3)

  1. 吸着ステージ上に吸引固定された基材の表面へ印刷を施す際に、前記吸着ステージと前記基材の間に介在させて使用する通気性シートであって、
    該通気性シートが、前記基材に接する不織布層と、前記吸着ステージに接する有機樹脂から構成された不織布又は紙からなる支持層とを備え、通気性シートの曲げ強さが4.0MPa以上である、通気性シート。
  2. 前記基材に接する不織布層の構成繊維が繊維径10.5μm以下の繊維を主体としてなる、請求項1に記載の通気性シート。
  3. 通気性シートの厚さが、600μm以下である、請求項1又は2に記載の通気性シート。
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