JP2021103224A - 電子弦楽器または電気弦楽器、及び、振動検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】響板を振動させ易くできる電子弦楽器または電気弦楽器及び振動検出方法を提供する。【解決手段】弦楽器1は、ベース部材2と、ベース部材2に支持される響板10と、左右方向に所定の間隔を隔て、左右方向に直交する方向である前後方向に張られる複数の弦9と、複数の弦9に押し付けられて響板10に支持される駒7と、響板10の振動を検出する検出装置20とを備える。響板10は、左右方向よりも前後方向に長く形成され、前後方向における響板10の両端がベース部材2に支持されるので、響板10が支持される一対の支持部12どうしの間の距離を大きくし易く、響板10を振動させ易い。【選択図】図4
Description
本発は電子弦楽器または電気弦楽器、及び、振動検出方法に関し、特に、響板を振動させ易くできる電子弦楽器または電気弦楽器、及び、振動検出方法に関するものである。
電子弦楽器または電気弦楽器において、弦の振動が駒を介して本体に伝達される技術が知られている。例えば、特許文献1には、駒13に弦11が引っ掛けられた状態で駒13が本体10の振動板43に設けられ、弦11の振動が駒13を介して振動板43に伝達される。
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、振動板43が振動され難いという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、響板(振動板)を振動させ易くできる電子弦楽器または電気弦楽器、及び、振動検出方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために本発明の電子弦楽器または電気弦楽器は、ベース部材と、そのベース部材に支持される響板と、第一の方向に所定の間隔を隔て、前記第一の方向に直交する方向である第二の方向に張られる複数の弦と、前記複数の弦に押し付けられて前記響板に支持される駒と、前記響板の振動を検出する検出手段とを備え、前記響板は、前記第一の方向よりも前記第二の方向に長く形成され、前記第二の方向における前記響板の両端が前記ベース部材に支持される。
本発明の振動検出方法は、第一の方向に所定の間隔を隔て、前記第一の方向に直交する方向である第二の方向に複数の弦が張られ、前記複数の弦の振動が前記第一の方向よりも前記第二の方向に長く形成される響板に駒を介して伝達され、前記響板に伝達された振動により強磁性体を振動させ、前記強磁性体の振動に伴う磁界の変化をマグネティックピックアップで検出する。
以下、好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、第1実施形態における弦楽器1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態における弦楽器1の上面図であり、図2は、弦楽器1の分解正面斜視図である。なお、図1中の矢印F−B,矢印U−D及び矢印L−Rは、弦楽器1の前後方向、上下方向および左右方向をそれぞれ表しており、図2以降においても同様であるため、その説明は省略する。
図1及び図2に示すように、弦楽器1は、ベース部材2と、ベース部材2の前方側(矢印F方向側)の端部に設けられる指板3と、ベース部材2の上面に設けられる上板4a,4b及び響板10と、響板10の上面に設けられ、演奏時、演奏者のあごが乗せられるあご当て5、テールピース6及び駒7と、上板4a,4b及び響板10の間に設けられる連結部材8と、指板3及びテールピース6により張られた状態で設けられる複数(本実施形態では4本)の弦9と、ベース部材2の内側に設けられる検出装置20及び出力装置30と、を備える電子弦楽器として構成され、アコースティックのバイオリンの形状を模して形成される。
なお、弦楽器1は、制御装置を備えず、電気弦楽器として構成され、検出装置20から出力される信号がアンプやエフェクター(楽音効果装置)等に出力されても良い。
ベース部材2は、木材(本実施形態ではメイプル材)を用いて形成される。ベース部材2は、アコースティックのバイオリンの形状を模しており、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成される。
ベース部材2には、複数の軽量孔2aや設置孔2b,2cが上下方向(矢印U−D方向)に貫通して形成される。軽量孔2aは、ベース部材2の重量を低減させるための孔であり、設置孔2b,2cは、検出装置20及び出力装置30が設けられるための空間を形成させるための孔である。
また、ベース部材2の前方側(矢印F方向側)における上面には、下方(矢印D方向)へ向けて凹んだ状態で凹部2dが設けられる。凹部2dは、前方側が開放されており、凹部2dに指板3の固定部3bの一部が嵌め込まれることで、指板3の左右方向(矢印L−R方向)への変位が規制される。
指板3は、木材を用いて形成され、前後方向(矢印F−B方向)に延びるネック3aと、ネック3aの下面から突出して形成される固定部3bと、ネック3aの前方側(矢印F方向側)の端部に設けられるヘッド3cとを備える。
ベース部材2の凹部2dに固定部3bが嵌め込まれ、複数のねじ(図示せず)により締結されることで、指板3がベース部材2に固定される。ヘッド3cには、複数(本実施形態では4個)のペグ3dが回転可能に設けられ、各ペグ3dに複数の弦9の一端がそれぞれ巻き付けられることで弦9がペグ3dに支持される。
上板4a,4bは、詳細は後述するが、響板10よりも剛性の高い木材(本実施形態ではメイプル材)を用いて形成され、接着剤によりベース部材2の上面に取り付けられる。また、上板4a,4bは、連結部材8を介して左右方向(矢印L−R方向)における響板10の両側に取り付けられる(接触される)。即ち、上板4a、響板10及び上板4bは、左右方向に並んだ状態で設けられ、上板4a,4b及び響板10により弦楽器1の上面が形成される。言い換えると、弦楽器1の上面が上板4a,4b及び響板10により左右方向に分割して形成される。
テールピース6は、指板3(ペグ3d)と共に複数の弦9を支持するためのものであり、木材を用いて形成される。リング状に形成された複数の弦9の他端がテールピース6に引っ掛けられることで、複数の弦9の他端がテールピース6に支持される。
駒7は、複数の弦9の振動を響板10に伝達するためのものであり、木材を用いて板状体に形成される。駒7は、その駒7の板厚方向を前後方向(矢印F−B方向)に沿わせた姿勢で設けられ、前後方向よりも左右方向(矢印L−R方向)に長く形成される。駒7は、響板10に支持され、響板10に対する駒7の位置は、テールピース6及び指板3の間であって、指板3側(矢印F方向側)よりもテールピース6側(矢印B方向側)へやや偏った位置とされる。なお、駒7は、繊維強化プラスチックを用いて形成されても良い。
駒7は、左右方向(矢印L−R方向)の両端側における下面から突出される一対の脚部7aを備え、一対の脚部7aと響板10とが接触される。駒7の上面7bは、指板3(ペグ3d)及びテールピース6による複数の弦9の支持位置よりも上方(矢印U方向)に形成される。
連結部材8は、減衰性および弾性を有するゴム材を用いて形成される。連結部材8は、接着剤により上板4a,4b及び響板10に取り付けられ、上板4a,4b及び響板10は、連結部材8を介して接触される。なお、上板4a及び上板4bに取り付けられる連結部材8は、前後方向(矢印F−B方向)における長さが異なる以外は同一に形成されるため、同一の符号を付して説明する。
連結部材8は、上下方向(矢印U−D方向)における長さが上板4a,4b側よりも響板10側において短く形成される。これにより、連結部材8が響板10に接触される場合においても響板10を振動させ易くできる。
弦9は、駒7を介して響板10を振動させるためのものであり、合成繊維材料を用いて形成される。複数の弦9は、左右方向(矢印L−R方向)に所定の間隔を隔ててそれぞれ設けられる。なお、弦9は、金属材料または動物(例えば、羊)の腸を用いて形成されても良い。
駒7の上面7bは、指板3(ペグ3d)及びテールピース6による複数の弦9の支持位置よりも上方(矢印U方向)に形成されるので、複数の弦9は、テールピース6及び指板3から駒7へ向かうにつれて上昇傾斜した姿勢でそれぞれ張られる。これにより、駒7には、響板10(矢印D方向)へ向けての張力が付与され、駒7と響板10とが離れることを抑制できる。なお、本実施形態では、前後方向(矢印F−B方向)を複数の弦9の延びる方向と定義する。
次いで、図3及び図4を参照して、響板10の構成について説明する。図3(a)は、図2の矢印IIIa方向視における響板10の下面図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線における響板10の断面図であり、図3(c)は、図3(a)のIIIc−IIIc線における響板10の断面図である。図4(a)は、図1のIVa−IVa線における弦楽器1の断面図であり、図4(b)は、図1のIVb−IVb線における弦楽器1の断面図である。なお、図3(a)では、磁石15が破線により図示され、図3(a)から図3(c)では、駒7の外形の一部が二点鎖線により図示される。また、図4(b)では、テールピース6及び複数の弦9の図示が省略される。
図3及び図4に示すように、響板10は、振動部11と、振動部11の周縁部における下面から突出される一対の支持部12及び一対の接触部13と、一対の支持部12の対向間において振動部11の下面から突出される一対の台座14とを備える。響板10は、上板4a,4bよりも剛性の低い木材(本実施形態ではスプルース材)を用いて形成され、響板10には、磁石15及び磁石ホルダ16が設けられる。
振動部11は、駒7を介して複数の弦9の振動が伝達される部位であり、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長い板状体から形成される。振動部11の左右方向における寸法は、駒7の一対の脚部7aの対向面とは反対側(左右方向の外側)の面どうしの間の寸法よりもやや大きく設定される。また、振動部11の前後方向における寸法は、ベース部材2の前端から後端にかけての寸法と略同等またはやや小さく設定される。
振動部11の上面には駒7が設置され、振動部11の下面には、一対の支持部12及び一対の接触部13が設けられる。従って、一対の支持部12及び一対の接触部13は、振動部11に対し上下方向(矢印U−D方向)において駒7とは反対側へ向けて突出される。
一対の支持部12及び一対の接触部13の下面とベース部材2とが接着剤により取り付けられ、一対の接触部13の対向面とは反対側(左右方向の外側)の面が連結部材8を介して上板4a,4bに取り付けられることで、ベース部材2に響板10が支持(固定)される。
振動部11の周縁部における下面から一対の支持部12及び一対の接触部13がそれぞれ突出されることで、ベース部材2に対する響板10(振動部11)の支持位置の間隔を大きくでき、振動部11を振動させ易くできる。
一対の接触部13の対向面は、左右方向(矢印L−R方向)において駒7の一対の脚部7aの対向する側(左右方向の内側)の面および対向する側の面とは反対側(左右方向の外側)の面の間となる位置に設定される。これにより、一対の接触部13は駒7を支持でき、駒7による押し付け力が振動部11に付与された状態においても、響板10が破損することを抑制し易くできる。また、一対の接触部13の対向面が一対の脚部7aの対向する側(左右方向の内側)の面よりも中央側となる位置に設定される場合と比較して、振動部11の厚さ寸法(上下方向の寸法)が小さい領域を増大でき、振動部11を振動させ易くできる。
また、一対の接触部13の対向面には、突出部13aが突出して形成される。前後方向(矢印F−B方向)における突出部13aの長さは、前後方向における脚部7aの長さの略3倍に形成され、下面視において、前後方向における脚部7aの全体と重なる位置に突出部13aが設けられる。接触部13に加え突出部13aが形成されることで、振動部11が破損することを一層抑制し易くできる。一方で、突出部13aが接触部13の前端から後端にかけて形成される場合と比較して、上下方向(矢印U−D方向)における振動部11の厚さ寸法が小さい領域を増大でき、振動部11を振動させ易くできる。
一対の台座14は、磁石ホルダ16を固定するための部位であり、振動部11の下面から突出して形成される。一対の台座14は、左右方向(矢印L−R方向)における振動部11の略中央に設けられ、一対の台座14の下面は、磁石15の下面よりも下方(矢印D方向)に形成される。
一対の台座14が突出されることで響板10(振動部11)の強度を確保でき、磁石ホルダ16に外力が付与された場合においても振動部11の破損を抑制し易くできる。また、磁石ホルダ16を台座14へ固定するためのねじ(図示せず)の先端が響板10(振動部11)の上面から突出されることを抑制でき、弦楽器1の見栄えの悪化を抑制できる。
磁石15は、上面または下面の一方の面にN極、他方の面にS極が着磁され、振動部11の下面に接着剤により取り付けられる。磁石15は、前後方向(矢印F−B方向)に長い略矩形状に形成される。詳細には、磁石15の前後方向における長さが後述するブレード21a,21bの前後方向における長さと略同等に形成され、本実施形態では、略60mmに設定される。磁石15の左右方向(矢印L−R方向)における長さが略5mmに設定され、磁石15の上下方向(矢印U−D方向)における長さが略5mmに設定される。
磁石ホルダ16は、振動部11から磁石15が離れることを抑制するためのものである。磁石ホルダ16は、非磁性体材料であるアルミ合金材料を用いて形成される。なお、磁石ホルダ16は、非磁性体材料である銅合金材料または合成樹脂材料を用いて形成されても良い。
磁石ホルダ16は、上下方向における厚さ寸法(板厚)が略2mmであり、前後方向(矢印F−B方向)に長い板状体から形成される。磁石ホルダ16の中央部16aと両端部16bとの間には折り曲げが形成され、磁石ホルダ16の両端部16bは、中央部16aよりも下方(矢印D方向)に形成される。磁石ホルダ16に折り曲げが形成されることで、磁石ホルダ16の上下方向(矢印U−D方向)における変形を抑制し易くできる。なお、磁石ホルダ16の板厚は、2mm以下でも良い。これにより、磁石15及び後述するマグネティックピックアップ21の間の距離を小さくできる。
中央部16aには、磁石15を取り囲む位置に複数の突起が形成される。磁石15が中央部16aに支持された状態では、磁石15の前後方向(矢印F−B方向)又は左右方向(矢印L−R方向)への変位が複数の突起により規制される。これにより、接着剤による振動部11と磁石15との取り付けが解除された(磁石15が振動部11から剥がれた)場合においても磁石15の変位を規制でき、中央部16aから磁石15が脱落することを抑制できる。
両端部16bには、ねじ孔が板厚方向に貫通して形成され、そのねじ孔を通過した一対のねじ(図示せず)が一対の台座14に取り付けられることで磁石ホルダ16が一対の台座14に固定される。
磁石ホルダ16が一対の台座14に固定された状態において、中央部16aと磁石15とは接触して設けられる。これにより、磁石ホルダ16(中央部16a)は磁石15を下方(矢印D方向)から支持でき、振動部11から磁石15が離れることを抑制できる。
次いで、図5を参照して、検出装置20の構成について説明する。図5(a)は、図2の矢印Va方向視における検出装置20の側面図であり、図5(b)は、図5(a)の矢印Vb方向視における検出装置20の側面図であり、図5(c)は、図5(a)の矢印Vc方向視における検出装置20の上面図であり、図5(d)は、図5(c)のVd−Vd線における検出装置20の断面図である。なお、図5(a)及び図5(b)では、検出装置20のマグネティックピックアップ21が上方へ分解された状態が図示され、図5(c)では、マグネティックピックアップ21の図示が省略される。
図5に示すように、検出装置20は、マグネティックピックアップ21と、マグネティックピックアップ21の下方側(矢印D方向側)に設けられるピックアップホルダ22と、マグネティックピックアップ21に締結される一対のねじ23と、マグネティックピックアップ21及びピックアップホルダ22の間に設けられるクッション24及び一対のばね25と、ピックアップホルダ22の下方側に設けられるプレート26とを備える。
マグネティックピックアップ21は、響板10(振動部11、磁石15)の振動を検出し、その振動に基づく信号(電圧)を電気的に接続される制御装置(図示せず)に出力するための装置である。制御装置は、音源やCPUを備えており、マグネティックピックアップ21からの信号に基づく楽音信号の生成や、ノイズの判別の処理等が行われる。
本実施形態では、マグネティックピックアップ21は、ハムバッキング型と呼ばれるものであり、上方側(矢印U方向側)にN極を有し板状の永久磁石により形成されるブレード21aと、ブレード21aから左右方向(矢印L−R方向)に所定の距離を隔てて対向され、上方側にS極を有し板状の永久磁石により形成されるブレード21bと、ブレード21a,21bを支持する箱体21cとを備える。
なお、図5では、ブレード21a,21bの周囲を囲むように設けられるコイル、ブレード21a,21bを連結する永久磁石および信号(電圧)を外部に出力するための配線等の図示が省略される。また、ブレード21a,21bは、棒状の永久磁石により形成されても良い。
ブレード21a,21bは、前後方向(矢印F−B方向)に長い板状体から形成され、左右方向(矢印L−R方向)に所定の間隔(本実施形態では、略6mm)を隔てて並んで設けられる。また、ブレード21a,21bは、そのブレード21a,21bの上方側(矢印U方向側)が箱体21cから突出して設けられる。前後方向におけるブレード21a,21bの長さは、本実施形態では略60mmに設定される。
箱体21cは、合成樹脂材料を用いて左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長い箱状に形成される。なお、箱体21cは、非磁性体の金属材料を用いて形成されても良い。箱体21cの内側にブレード21a,21bの下方側(矢印D方向側)が設けられる。
下方側(矢印D方向側)における箱体21cの前面および後面には、突出部が突出して形成され、その突出部には、一対のねじ孔21dが上下方向(矢印U−D方向)に貫通して形成される。ねじ孔21dの内周面にはめねじが設けられる。一対のねじ孔21dは、左右方向(矢印L−R方向)において箱体21cの略中央となる位置に設けられる。
また、箱体21cの下面における略中央には、突部21eが突出して形成される。下面視において、突部21eの外形は、箱体21cの下面の外形よりも小さく形成される。言い換えると、突部21eは、箱体21cの下面の周縁から所定の距離だけ隔てて設けられる。突部21eは、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成される。
ピックアップホルダ22は、マグネティックピックアップ21を支持するためのものであり、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長い板状体を折り曲げて形成される。ピックアップホルダ22の前後方向における両端部には、マグネティックピックアップ21の一対のねじ孔21dに対応する位置に一対の貫通孔22aが板厚方向(矢印U−D方向)に貫通して形成される。
一対のねじ23は、頭部23aと、頭部23aから上方(矢印U方向)に延び、貫通孔22aの内径よりも小さい外径を有するおねじ部23bとを備える。おねじ部23bの外周にはおねじが設けられ、箱体21cのねじ孔21dに貫通孔22aを通過したおねじ部23bの先端側が取り付けられることで、一対のねじ23がマグネティックピックアップ21に固定される。頭部23aがピックアップホルダ22の下面に接触されることで、ねじ23の上方への変位が規制される。
クッション24は、マグネティックピックアップ21の姿勢を維持(傾きを抑制)するためのものであり、弾性を有するゴム材料を用いて形成される。
クッション24は、上面視において左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長い略矩形状に形成され、左右方向に所定の間隔を隔てて前後方向(矢印F−B方向)に延びる一対の直線部24aと、左右方向に延び一対の直線部24aを連結する複数(本実施形態では、5個)の連結部24bとを備える。一対の直線部24a及び複数の連結部24bは、上下方向(矢印U−D方向)において同一の寸法に設定され、一対の直線部24aの上面及び複数の連結部24bの上面は、同一面上に設けられる。
前後方向(矢印F−B方向)における一対の直線部24aの長さは、前後方向におけるマグネティックピックアップ21の長さと同等またはやや大きく形成される。また、一対の直線部24aの対向間の距離は、左右方向(矢印L−R方向)におけるマグネティックピックアップ21の突部21eの幅寸法と同等またはやや大きく形成され、一対の直線部24aは、突部21eの両端側であって箱体21cの下方(矢印D方向)に設けられる。
複数の連結部24bのうち、前後方向(矢印F−B方向)における両側に設けられる連結部24bどうしの対向間の距離は、前後方向におけるマグネティックピックアップ21の突部21eの外形よりも大きく、且つ、箱体21cの外形よりも小さく形成される。
一対のばね25は、クッション24と共にマグネティックピックアップ21の姿勢を維持(傾きを抑制)するためのものであり、金属製のコイルばねを用いて円筒状に形成される。一対のばね25は、クッション24よりも弾性力が大きく設定される。
ばね25の内径は、ねじ23のおねじ部23bの外径よりも大きく形成される。これにより、ばね25の内周側におねじ部23bを設けられることができる。従って、一対のばね25は、前後方向(矢印F−B方向)におけるマグネティックピックアップ21の両端側であって、左右方向(矢印L−R方向)におけるマグネティックピックアップ21の略中央となる位置に設けられる。
プレート26は、検出装置20をベース部材2に固定させるためのものであり、板状体から形成される。マグネティックピックアップ21がベース部材2の設置孔2bの内周側に設けられ、マグネティックピックアップ21と磁石15とが対向された状態で複数のねじ(図示せず)によりプレート26がベース部材2に固定される。
プレート26及びピックアップホルダ22には、一対のねじ23と上下方向(矢印U−D方向)に重なる位置に孔がそれぞれ形成される。これにより、一対のねじ23の回転を容易に行うことができる。
次いで、検出装置20の組付け状態について説明する。上下方向(矢印U−D方向)において、ねじ23の頭部23a(ピックアップホルダ22の上面)とマグネティックピックアップ21の箱体21cの下面との対向間の距離が上下方向におけるクッション24の寸法及び一対のばね25の長さよりも小さく設定されることで、クッション24及び一対のばね25は、マグネティックピックアップ21及びピックアップホルダ22の間において圧縮方向に弾性変形される。
これにより、マグネティックピックアップ21には上方側(矢印U方向側)へ向けての弾性力が付与され、頭部23aがピックアップホルダ22の下面に接触することでマグネティックピックアップ21の上方側へ向けての変位が規制される。以下、頭部23aがピックアップホルダ22の下面に接触し、マグネティックピックアップ21の上方側へ向けての変位が規制された状態を初期状態と定義する。
初期状態において、マグネティックピックアップ21の箱体21cは、クッション24の一対の直線部24aを圧縮方向に弾性変形させた状態で設けられる。これにより、一対の直線部24aにおいて対向側に設けられる部位は突部21eへ向けて変形し、一対の直線部24aは、突部21eを挟んだ状態で支持できる。これにより、マグネティックピックアップ21が前後方向(矢印F−B方向)を軸として回転されることを抑制し易くできる。
ここで、複数の連結部24bは、一対の直線部24aを連結して設けられるため、一対の直線部24aが対向間とは反対側へ向けて変形する(一対の直線部24aの対向間の距離を増大させる)ことを抑制し易くでき、マグネティックピックアップ21が前後方向(矢印F−B方向)を軸として回転されることを抑制し易くできる。
また、初期状態において、マグネティックピックアップ21の箱体21cは、複数の連結部24bのうち、前後方向(矢印F−B方向)における両側に設けられる連結部24bを圧縮方向に弾性変形させ、突部21eは、前後方向における両側に設けられる連結部24bを除く複数の連結部24bを圧縮方向に弾性変形させた状態で設けられる。従って、前後方向における両側に設けられる連結部24bを除く複数の連結部24bは、前後方向における両側に設けられる連結部24bよりも大きく弾性変形される。
複数の連結部24bは、前後方向(矢印F−B方向)に所定の間隔を隔てて設けられることで、複数の連結部24bが圧縮方向に弾性変形された場合、複数の連結部24bの対向間へ向けて複数の連結部24bを変形させることができる。これにより、複数の連結部24bが一対の直線部24aへ向けて変形し、一対の直線部24aの対向間の距離を増大させることを抑制できる。
また、一対の直線部24aは、左右方向(矢印L−R方向)における突部21eの両端側に設けられる。言い換えると、一対の直線部24aは、マグネティックピックアップ21の左右方向における略中央には設けられない。これにより、マグネティックピックアップ21(箱体21c)が左右方向に短く形成される場合であっても、マグネティックピックアップ21の左右方向における両端側にのみ弾性回復力が付与されることで、マグネティックピックアップ21が前後方向を軸として回転されることを抑制し易くできる。
一方で、一対の直線部24aは、前後方向(矢印F−B方向)に延びて形成され、マグネティックピックアップ21(箱体21c)が前後方向に長く形成される。従って、マグネティックピックアップ21が左右方向を軸として回転される場合、前後方向におけるマグネティックピックアップ21の両端側は中央側と比較して変位量が大きく、一対の直線部24aの両端側における弾性変形量が大きくされる。
これにより、前後方向におけるマグネティックピックアップ21の中央側よりも両端側において、弾性回復力を大きく付与でき、前後方向における両側に設けられる連結部24bを除く複数の連結部24bは、前後方向における両側に設けられる連結部24bよりも大きく弾性変形され、複数の連結部24bから前後方向におけるマグネティックピックアップ21の両端側よりも中央側に複数の連結部24bによる弾性回復力が大きく付与される場合であっても、マグネティックピックアップ21が左右方向を軸として回転されることを抑制し易くできる。
また、一対のばね25が前後方向におけるマグネティックピックアップ21の両端側に設けられ、且つ、クッション24よりも弾性力が大きく設定される。これにより、マグネティックピックアップ21(箱体21c)が左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成され、左右方向を軸とした回転によりマグネティックピックアップ21の姿勢が大きく変化され易い状態であっても、マグネティックピックアップ21の両端側にのみばね25による弾性回復力を付与でき、マグネティックピックアップ21が左右方向を軸として回転されることを一層抑制し易くできる。
また、一対の直線部24aが前後方向(矢印F−B方向)に延びて形成されるため、左右(又は前後)方向から前後(又は左右)方向に傾いた方向を軸として回転されることを抑制し易くできる。
このように、本実施形態では、クッション24及び一対のばね25は、マグネティックピックアップ21及びピックアップホルダ22の間において圧縮方向に弾性変形されることにより、ねじ23が上下方向(矢印U−D方向)に沿った姿勢から傾くことを抑制し易くできる。その結果、マグネティックピックアップ21の姿勢を初期状態に維持し易くできる。
また、一対のばね25の内周側にねじ23のおねじ部23bが設けられるため、ばね25の内周側におねじ部23bが接触されることでねじ23にはばね25からの復元力が付与される。これにより、ねじ23が上下方向(矢印U−D方向)に沿った姿勢から傾くことを抑制し易くでき、マグネティックピックアップ21の姿勢を初期状態に維持し易くできる。
図2に戻って説明する。出力装置30は、出力基板31と、出力基板31に電気的に接続される端子32(図4(a)参照)とを備える。出力基板31は、制御装置(図示せず)に電気的に接続され、端子32は、外部機器(図示せず)に接続可能とされる。制御装置から出力される楽音信号(電子音)が出力基板31及び端子32を介して外部に出力される。
次いで、図4を参照して、ベース部材2に響板10及び検出装置20が組付けられた状態について説明する。複数の弦9による張力が駒7の上面7bから付与され、駒7(一対の脚部7a)が響板10へ向けて押し付けられることで、駒7が立った状態で響板10に設けられる。また、前後方向(矢印F−B方向)において、駒7は、磁石15の前端と後端との間に設けられる。駒7(一対の脚部7a)が響板10に接触されることで、駒7を介して複数の弦9の振動が響板10に伝達される。
ベース部材2に響板10及び検出装置20が組付けられた状態では、磁石15と検出装置20のマグネティックピックアップ21とは上下方向(矢印U−D方向)において磁石ホルダ16を介して対向して設けられる。磁石ホルダ16及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離は略1mmに設定される。また、左右方向(矢印L−R方向)における磁石15の位置は、ブレード21a,21bの対向間となる位置に設けられる。
なお、ねじ23が回転されることで、ねじ23の頭部23a(ピックアップホルダ22)及びマグネティックピックアップ21の下面の対向間の距離が変更される。従って、磁石15及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離が変更可能とされ、響板10(振動部11、磁石15)の振動に基づく信号(電圧)の出力値の大きさが変更可能とされる。
磁石15及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離を小さくすることにより、響板10の振動に基づく信号(電圧)の出力値を大きくできる。一方で、磁石15(磁石ホルダ16)及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離が小さくなることにより、磁石ホルダ16とマグネティックピックアップ21とが接触し易くなり、磁石ホルダ16又はマグネティックピックアップ21が破損する虞がある。
頭部23aが下方(矢印D方向)となる姿勢で設けられることで、プレート26及びピックアップホルダ22に形成された孔を通してねじ23を容易に回転させることができ、磁石15及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離を容易に変更できる。
ここで、磁石15及びマグネティックピックアップ21の間に磁石ホルダ16が設けられることで、響板10に振動が生じた場合や、ねじ23を回転させ磁石15及びマグネティックピックアップ21の対向間の距離を小さくした場合における磁石15及びマグネティックピックアップ21の接触を抑制できる。
次いで、検出装置20による響板10(振動部11)の振動の検出について説明する。演奏者が弓(図示せず)を操作し弦9を弾くことにより、弦9に振動が生じる。弦9に生じた振動は、駒7の一対の脚部7aを介して響板10(振動部11)に伝達され、振動部11と共に磁石15が振動する。
響板10(振動部11、磁石15)が振動することで、磁石15が形成する磁界が変化され、マグネティックピックアップ21のブレード21a,21bの周囲を囲むように設けられるコイル(図示せず)に電流が流れる。この電流に基づく信号(電圧)を検出することで、響板10の振動がマグネティックピックアップ21により検出される。
このように、本実施形態では、複数の弦9が非磁性体である合成樹脂材料を用いて形成される場合であっても、駒7、響板10(振動部11)及び磁石15を介して複数の弦9の振動がマグネティックピックアップ21により検出される。
ここで、磁石ホルダ16は、非磁性体材料である合成樹脂材料を用いて形成される。これにより、磁石ホルダ16が磁石15及びマグネティックピックアップ21の対向間に設けられた場合においても、磁石15が形成する磁界の変化がマグネティックピックアップ21により検出されることが阻害されない。従って、マグネティックピックアップ21は、響板10(磁石15)の振動を検出できる。
また、前後方向(矢印F−B方向)におけるブレード21a,21bの長さ及び磁石15の長さが略同等に形成されることで、磁石15が形成する磁界の変化に対するマグネティックピックアップ21の検出値を大きくできる。一方で、磁石15の左右方向(矢印L−R方向)における長さ及び上下方向(矢印U−D方向)における長さが前後方向における磁石15の長さよりも短く設定されることで、磁石15の軽量化を図ることができ、振動部11を振動させ易くできると共に、弦楽器1は、アコースティックのバイオリンを模擬した楽音信号(音色)を出力し易くできる。
一対の支持部12及び一対の接触部13は、振動部11の周縁部にそれぞれ設けられる。これにより、ベース部材2に対する振動部11の支持位置の間隔を大きくでき、振動部11を振動させ易くできる。
上述したように、弦楽器1の上面が上板4a,4b及び響板10により左右方向(矢印L−R方向)に分割して形成され、響板10は、左右方向よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成される。また、ベース部材2は、左右方向よりも前後方向に長く形成される。従って、弦楽器1の上面が上板4a,4b及び響板10により前後方向に分割して形成され、響板10が前後方向よりも左右方向に長く形成される場合と比較して、響板10を長く形成でき、ベース部材2に対する振動部11の支持位置(一対の支持部12)どうしの間隔を大きくできる。その結果、振動部11を振動させ易くできる。
また、駒7は、前後方向(矢印F−B方向)よりも左右方向(矢印L−R方向)に長く形成される。そのため、左右方向における駒7の一対の脚部7a及び一対の接触部13の間の距離よりも前後方向における一対の脚部7a及び一対の支持部12の間の距離を大きくし易い。従って、響板10が左右方向よりも前後方向に長く形成されることで、効率的に振動部11を振動させ易くできる。
弦楽器1の上面が上板4a,4b及び響板10により分割して形成されることで、弦楽器1の上面に対し響板10(振動部11)が小さい。これにより、弦楽器1の上面が響板10のみから形成される場合と比較して、空気伝播される振動により響板10が振動されることを生じさせ難くでき、ハウリングを生じさせ難くできる。
また、上板4a,4bが響板10よりも剛性の高い木材を用いて形成されるため、空気伝播される振動により上板4a,4bに生じる振動を響板10に生じる振動よりも小さくできる。これにより、上板4a,4bが響板10よりも剛性の低い木材、或いは、響板10と略同等の剛性を有する木材を用いて形成される場合と比較して、空気伝播される振動により上板4a,4bが振動され、上板4a,4bから響板10に伝達される振動を低減でき、ハウリングを生じさせ難くできる。
上板4a,4bが左右方向(矢印L−R方向)における響板10の両側に設けられることで、一対の接触部13の対向面とは反対側(左右方向外側)の面の下方側が外部に露出されることを上板4a,4bにより抑制できる。これにより、演奏者が意図せず一対の接触部13に接触し、響板10が振動する(ノイズが生じる)ことを抑制し易くできる。
上板4a,4b及び響板10の間には、連結部材8が取り付けられる。これにより、上板4a,4b及び響板10の間に隙間が形成されることを抑制でき、見栄えの悪化を抑制できる。
また、空気伝播される振動により上板4a,4bが振動された場合においても、上板4a,4bから響板10に伝達される振動が連結部材8の減衰性により低減され、ハウリングを生じさせ難くできる。一方で、上板4a,4b及び響板10が取り付けられた(接触された)場合においても、上板4a,4bにより響板10の振動が規制されることを連結部材8の弾性により抑制でき、響板10を振動させ易くできる。
駒7は、前後方向(矢印F−B方向)において響板10の略中央に設けられ、一対の支持部12から所定の距離を隔てて設けられると共に、磁石15の前端と後端との間に設けられる。これにより、駒7を介して弦9の振動が振動部11に伝達された場合、駒7により振動部11(磁石15)の振動を大きくでき、マグネティックピックアップ21による響板10(振動部11、磁石15)の振動を検出し易くできる。
磁石15及びマグネティックピックアップ21の外形は、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成され、磁石15及びマグネティックピックアップ21の長手方向が振動部11の長手方向に沿った姿勢で設けられる。
響板10に振動が生じ易い方向に沿って磁石15及びマグネティックピックアップ21が設けられることにより、響板10の振動を検出し易くできる。また、前後方向(矢印F−B方向)において響板10に対する磁石15及びマグネティックピックアップ21の設ける位置の自由度を向上できると共に、磁石15を前後方向に大型化させ易くできる。これにより、響板10の振動を検出し易くできる。
磁石ホルダ16は、台座14を介して振動部11に固定されるため、磁石ホルダ16が一対の支持部12、一対の接触部13、ベース部材2或いはプレート26に固定される場合と比較して磁石ホルダ16及び磁石15を振動部11と同一の振動の態様で振動させ易くできる。これにより、磁石ホルダ16を磁石15から離れさせ難くできる。その結果、振動部11から磁石15が離れることを抑制し易くできる。また、振動部11の振動が阻害されることを抑制し易くできる。
詳細には、一対の支持部12及び一対の接触部13は、振動部11の周縁部における下面から突出してベース部材2に取り付けられるため、振動部11(磁石15)と同一の振動の態様で振動され難い。これに対し、台座14は、左右方向(矢印L−R方向)における振動部11の略中央に設けられるため振動部11と同一の振動の態様で振動され易い。従って、磁石ホルダ16を磁石15と共に振動させ易くでき、磁石ホルダ16が磁石15から離れ難くできる。
次いで、図6(a)を参照して、第2実施形態における弦楽器201について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図6(a)は、第2実施形態における弦楽器201の部分断面図であり、図1のIVa−IVa線における断面に対応する。
図6(a)に示すように、第2実施形態における弦楽器201では、響板10に、複数(本実施形態では3個)の磁石215が設けられ、検出装置220は、複数(本実施形態では3個)のマグネティックピックアップ221及びクッション224を備える。
磁石215、マグネティックピックアップ221及びクッション224は、第1実施形態における磁石15、マグネティックピックアップ21及びクッション24に比べ、前後方向(矢印F−B方向)の長さが小さく形成される以外は同一に形成されるため、その説明は省略する。
複数の磁石215は、前後方向(矢印F−B方向)に所定の間隔を隔てて響板10の振動部11の下面にそれぞれ取り付けられ、複数の磁石215の下方側(矢印D方向側)となる位置にマグネティックピックアップ221及びクッション224がそれぞれ設けられる。複数のマグネティックピックアップ221は、制御装置(図示せず)に電気的に接続される。制御装置は、マグネティックピックアップ221毎に楽音信号を生成することが可能とされる。
振動部11は、左右方向(矢印L−R方向)よりも前後方向(矢印F−B方向)に長く形成されるため、前後方向における振動部11の位置により振動部11の振動の態様が異なる度合いが大きい。従って、前後方向に所定の間隔を隔てて複数の磁石215が振動部11に取り付けられることで、検出装置220は、振動部11の位置に応じて異なる複数の振動を検出できる。これにより、出力される楽音信号(音色)を切り替えたり、複数の楽音信号(音色)を合成して出力することができる。その結果、出力される楽音信号(音色)の種類を増大させることができる。
次いで、図6(b)を参照して、第3実施形態における弦楽器301について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。図6(b)は、第3実施形態における弦楽器301の部分断面図であり、図1のIVa−IVa線における断面に対応する。
図6(b)に示すように、第3実施形態における弦楽器301では、響板310に一対の台座14が設けられない。これにより、アコースティックのバイオリンを模擬した楽音信号(音色)を出力し易くできる。また、振動部311を軽量化でき、振動部311を振動させ易くできる。
響板310(振動部311)には、一対の孔311aが振動部311の板厚方向(矢印U−D方向)に貫通して形成され、磁石ホルダ316の両端部16bには、上面視において、一対の孔311aに対応する位置にめねじが設けられた一対のねじ孔が形成される。響板310の上面側から一対の孔311aを通過したねじ(図示せず)の先端側が両端部16bに形成された一対のねじ孔に取り付けられることで磁石ホルダ316が響板310に固定される。
以上、上記実施形態に基づき説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施形態では、弦楽器1,201,301が4本の弦を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、3本以下、或いは、5本以上の弦を備えても良い。
また、上記各実施形態において、弦楽器1,201,301が2個以上の駒7を備えても良い。また、弦楽器1,201,301には、指板3及びテールピース6が設けられず、複数の弦9がベース部材2に支持されても良い。
これらにより、上記各実施形態において、弦楽器1,201,301がアコースティックのチェロ、コントラバス、ビオラ、琴、二胡、ギター又はウクレレ等、他の弦楽器の形状を模して形成されても良い。
上記各実施形態では、検出装置20,220がマグネティックピックアップ21,221を用いて構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、圧電素子や、受発光素子および反射板を組み合わせた装置を用いて検出装置20,220を構成しても良い。
上記各実施形態では、ベース部材2、指板3、上板4a,4b及びテールピース6が木材を用いてそれぞれ形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、合成樹脂材料または金属材料を用いて形成されても良い。
上記各実施形態では、連結部材8が接着剤により上板4a,4b及び響板10に取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連結部材8と上板4a,4b若しくは響板10の一方とは、接着剤による取り付けが省略されても良い。
上記各実施形態において、連結部材8が設けられず、響板10,310と上板4a,4bとが接着剤により取り付けられても(接触されても)良い。
上記各実施形態において、接着剤に代えてボルト及びナットにより上板4a,4b及び響板10,310が取り付けられても良い。
上記各実施形態では、連結部材8の上下方向(矢印U−D方向)における長さが上板4a,4b側よりも響板10側において短く形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上板4a,4b側よりも響板10側において長く形成されても良く、上板4a,4b側および響板10側において略同等の長さに形成されても良い。これにより、空気伝播される振動により上板4a,4bに生じる振動が響板10,310に伝達されることを一層抑制し易くでき、ハウリングを生じさせ難くできる。
上記各実施形態では、連結部材8及びクッション24がゴム材を用いて形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、合成樹脂材料を用いて形成されても良い。
上記各実施形態では、上板4a,4b及び響板10,310が接触される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、響板10,310及び上板4a,4bが非接触とされても良い。これにより、空気伝播される振動により上板4a,4bに生じる振動が響板10,310に伝達されることを抑制でき、ハウリングを生じさせ難くできる。また、響板10,310の振動が上板4a,4bにより低減されることを抑制できる。
上記各実施形態において、突出部13aが非形成とされても良い。これにより、一対の接触部13の対向間の距離を大きくできる。これにより、振動部11,311を振動させ易くできる。また、磁石15,215や検出装置20,220の設けられる位置の自由度を向上できると共に、磁石15を左右方向に大型化させ易くできる。
上記各実施形態では、箱体21cの下面から突部21eが突出して形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、突部21eが非形成とされる、言い換えると、箱体21cの下面が平坦に形成されても良い。
上記各実施形態では、マグネティックピックアップ21,221がハムバッキング型と呼ばれるマグネティックピックアップから構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、シングルコイル型と呼ばれるマグネティックピックアップから構成されても良い。
上記各実施形態では、マグネティックピックアップ21が板状の永久磁石により形成されるブレード21a,21bを備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円柱状の永久磁石を複数備えても良い。
上記各実施形態では、ばね25が円筒状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、円錐台状に形成されても良い。また、ばね25が金属製のコイルばねを用いて形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ゴム材料または合成樹脂材料を用いて円筒状や円錐台状に形成されても良い。
上記各実施形態において、磁石15,215に代えて鉄合金製やニッケル合金製等の強磁性体材料を用いても良い。また、上下方向(矢印U−D方向)において、磁石15に鉄合金製やニッケル合金製等の強磁性体材料を重ねて取り付けても良い。この場合、マグネティックピックアップ21,221と対向する側に磁石15,215が設けられても良く、マグネティックピックアップ21,221と対向する側に鉄合金製やニッケル合金製等の強磁性体材料が設けられても良い。
上記各実施形態では、磁石15,215が振動部11,311の下面に設けられる(取り付けられる)場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、振動部11,311の上面に設けられても(取り付けられても)良い。
上記各実施形態では、磁石15,215が振動部11の下面に取り付けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁石15,215が振動部11の下面に取り付けられていない状態としても良い。即ち、磁石15,215と振動部11の下面との間に隙間が設けられても良い。この場合、磁石15,215が磁石ホルダ16,316の中央部16aの上面に支持されることで、振動部11の下面に接触された状態に維持される。これにより、響板10,310の振動がマグネティックピックアップ21,221により検出される。
上記各実施形態において、磁石15,215が前後方向(矢印F−B方向)における駒7の前面または後面に取り付けられ、マグネティックピックアップ21,221が磁石15,215に対向する位置に設けられても良い。
上記各実施形態において、磁石ホルダ16,316の中央部16aの内部に磁石が埋め込まれても良い。これにより、磁石とマグネティックピックアップ21,221との間の距離を短くでき、マグネティックピックアップ21,221により検出される振動に基づく信号(電圧)の出力値を増大できる。
上記各実施形態では、ねじ孔21dにめねじが設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ピックアップホルダ22の貫通孔22aにめねじが設けられても良い。この場合、頭部23aが上方(矢印U方向)となる姿勢でねじ23(おねじ部23b)が貫通孔22aに取り付けられ、頭部23aが箱体21cに接触することでマグネティックピックアップ21,221がピックアップホルダ22に固定される。
上記各実施形態では、クッション24,224及び一対のばね25が圧縮方向に弾性変形される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、引張方向に弾性変形されても良い。
上記第1及び第3実施形態では、前後方向(矢印F−B方向)において、駒7が磁石15の前端と後端との間に設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、駒7が磁石15の前端よりも前方側(矢印F方向側)、或いは、駒7が磁石15の後端よりも後方側(矢印B方向側)に設けられても良い。この場合、磁石15が取り付けられる位置における振動部11,311の厚さ寸法(上下方向の寸法)が小さく形成されることが望ましい。
上記第2実施形態では、検出装置220が複数のマグネティックピックアップ221を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、検出装置220が一つのマグネティックピックアップ221を備えても良い。この場合、マグネティックピックアップ221は、ブレード21a,21bを複数(例えば、3組)備え、各ブレード21a,21bの周囲を囲むようにコイルがそれぞれ設けられる。言い換えると、マグネティックピックアップ221が複数のマグネティックピックアップ21をユニット化した態様に形成される。これにより、検出装置220は、振動部11の位置に応じて異なる振動を検出できると共に、ピックアップホルダ22へのマグネティックピックアップ221の固定作業を容易とできる。
1,201,301 弦楽器
2 ベース部材
4a,4b 上板
7 駒
8 連結部材(第一の弾性体)
9 弦
10,310 響板
13 接触部(対向部)
13a 突出部
15,215 磁石
16,316 磁石ホルダ
20,220 検出装置
21,221 マグネティックピックアップ
22 ピックアップホルダ
23 ねじ(規制部材)
24,224 クッション(第二の弾性体)
24a 直線部
24b 連結部
25 ばね(第三の弾性体)
L−R 左右方向(第一の方向)
F−B 前後方向(第二の方向)
U−D 上下方向(第三の方向)
2 ベース部材
4a,4b 上板
7 駒
8 連結部材(第一の弾性体)
9 弦
10,310 響板
13 接触部(対向部)
13a 突出部
15,215 磁石
16,316 磁石ホルダ
20,220 検出装置
21,221 マグネティックピックアップ
22 ピックアップホルダ
23 ねじ(規制部材)
24,224 クッション(第二の弾性体)
24a 直線部
24b 連結部
25 ばね(第三の弾性体)
L−R 左右方向(第一の方向)
F−B 前後方向(第二の方向)
U−D 上下方向(第三の方向)
Claims (12)
- ベース部材と、そのベース部材に支持される響板と、第一の方向に所定の間隔を隔て、前記第一の方向に直交する方向である第二の方向に張られる複数の弦と、前記複数の弦に押し付けられて前記響板に支持される駒と、前記響板の振動を検出する検出手段とを備え、
前記響板は、前記第一の方向よりも前記第二の方向に長く形成され、前記第二の方向における前記響板の両端が前記ベース部材に支持されることを特徴とする電子弦楽器または電気弦楽器。 - 前記検出手段は、強磁性体と、その強磁性体に対向して配置され、前記強磁性体の振動に伴う磁界の変化により電流が流れることで前記響板の振動を電気信号に変換するマグネティックピックアップとを備え、
前記強磁性体およびマグネティックピックアップの長手方向が前記第二の方向に沿った姿勢で設けられることを特徴とする請求項1記載の電子弦楽器または電気弦楽器。 - 前記強磁性体およびマグネティックピックアップの対向間に磁性を有さない非磁性体から形成される磁石ホルダが設けられることを特徴とする請求項2記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記磁石ホルダは前記響板に取り付けられ、前記強磁性体および磁石ホルダの対向面どうしが接触されることを特徴とする請求項3記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記検出手段は、ピックアップホルダと、そのピックアップホルダ及び前記マグネティックピックアップの間に前記第一の方向および第二の方向に直交する方向である第三の方向の一方へ弾性変形された状態で設けられる第二の弾性体および第三の弾性体と、前記マグネティックピックアップに取り付けられ前記第三の方向の他方への変位が前記ピックアップホルダに接触されることで規制される規制部材とを備え、
前記第二の弾性体は、前記第一の方向における前記マグネティックピックアップの両端側となる位置に前記第二の方向に沿って延びる一対の直線部を備え、
前記第三の弾性体は、前記第一の方向において前記一対の直線部の対向間となる領域であって、前記第二の方向における前記マグネティックピックアップの両端側となる位置に一対設けられ、前記第三の方向への弾性が前記第二の弾性体よりも大きく設定されることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の電子弦楽器または電気弦楽器。 - 前記マグネティックピックアップは、前記ピックアップホルダへ向けて突出され前記一対の直線部の対向間に設けられる突部を備え、
前記第二の弾性体は、前記第二の方向に所定の間隔を隔て前記一対の直線部に連結される複数の連結部を備えることを特徴とする請求項5記載の電子弦楽器または電気弦楽器。 - 前記響板と共に外形を形成し前記響板よりも剛性の高い上板を備え、前記響板および上板が接触されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記響板および上板は、第一の弾性体を介して接触されることを特徴とする請求項7記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記響板と共に外形を形成する上板を備え、前記響板および上板が非接触とされることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記響板は、前記第二の方向に沿う両端縁部から前記駒とは反対側へ向けて突出される一対の対向部を備え、その一対の対向部は、少なくとも一部が前記第一の方向および第二の方向に直交する方向である第三の方向において前記響板における前記駒の支持領域と重なる位置に形成されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 前記一対の対向部は、前記第三の方向において前記響板における前記駒の支持領域と重なる位置に前記一対の対向部の対向面へ向けて突出される突出部を備えることを特徴とする請求項10記載の電子弦楽器または電気弦楽器。
- 第一の方向に所定の間隔を隔て、前記第一の方向に直交する方向である第二の方向に複数の弦が張られ、
前記複数の弦の振動が前記第一の方向よりも前記第二の方向に長く形成される響板に駒を介して伝達され、
前記響板に伝達された振動により強磁性体を振動させ、
前記強磁性体の振動に伴う磁界の変化をマグネティックピックアップで検出することを特徴とする振動検出方法。
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JP2019234150A JP2021103224A (ja) | 2019-12-25 | 2019-12-25 | 電子弦楽器または電気弦楽器、及び、振動検出方法 |
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