JP2021102746A - インクジェット捺染用インク組成物、インクジェット捺染方法、及び、インクジェット捺染物 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、インクが繊維に浸透することを抑制し、画像を鮮明にするために、インクジェット印刷に先立って、多価金属塩等を含有する処理液を布帛に塗布する技術が好適に用いられている。
しかしながら、特許文献1及び2のいずれの技術においても、毛羽立ちや風合いの低下の課題について認識されておらず、更なる改良の余地があった。
(A)アルカノールアミンを含まない。
(B)アルカノールアミンを含み、かつ、上記アルカノールアミンのモル数に上記アルカノールアミン中のアミノ基数を掛けた値をxとし、上記顔料分散剤を構成する酸モノマーのモル数に上記酸モノマー中の酸基の数を掛けた値をyとすると、比率x/yは0を超え、かつ、0.5以下である。
上記アルカノールアミンは、分子内に1個のアミノ基と1個の水酸基を有することが好ましい。
上記水溶性有機溶剤は、ジオール及びトリオールを含み、かつ、上記ジオールのモル数をv、上記トリオールのモル数をwとすると、比率v/wは0.8〜1.6であることが好ましい。
上記塩基性化合物が、上記条件(A)を満たすことが好ましい。
上記ジオールは、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる1種以上であることが好ましい。
上記トリオールは、グリセリンである事が好ましい。
また、本発明は、1)カルシウム塩類、2)アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、4)水性媒体を含有するインクジェット捺染用処理液を布帛のインクジェットインクの印字領域に塗布する工程、上記インクジェット捺染用処理液が塗布された布帛を加熱する工程、上記インクジェット捺染用処理液が塗付された印字領域に上述のインクジェット捺染用インク組成物を用いて印字する工程、並びに、印字された布帛を加熱する工程を含むことを特徴とするインクジェット捺染方法に関する。
また、本発明は、上述のインクジェット捺染用インク組成物により得られることを特徴とするインクジェット捺染物に関する。
上記酸価は、共重合組成から計算により求めた理論酸価である。
上記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater 2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel 5μ MIXED−D(Polymer Laboratories社製)を使用してクロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の質量平均分子量として求めることができる。
(A)アルカノールアミンを含まない。
(B)アルカノールアミンを含み、かつ、上記アルカノールアミンのモル数に上記アルカノールアミン中のアミノ基数を掛けた値をxとし、上記顔料分散剤を構成する酸モノマーのモル数に上記酸モノマー中の酸基の数を掛けた値をyとすると、比率x/yは0を超え、かつ、0.5以下である。
また、本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、カルシウム塩類と、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分とを含むインクジェット捺染用処理液により処理された布帛上に用いられる。
このような布帛上に用いられることにより、上記顔料分散剤とアニオン性ポリウレタン樹脂の双方が有する酸基と、カルシウム塩類との相互作用によって画像濃度が良好となり、さらに、上記アニオン性ポリウレタン樹脂のポリオール化合物が形成するソフトセグメント、上記ウレア結合が形成するハードセグメント、及び、上記アニオン性ポリウレタン樹脂の適切な分子量によって、洗濯堅牢度が良好となると推測される。
また、処理液によって形成される塗膜の柔軟性および均一性によって、毛羽立ち及び風合いの低下を抑制することができると推測される。
以下、本発明のインクジェット捺染用インク組成物について、その成分毎に具体的に説明する。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、顔料を含む。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記顔料の含有量は、インクジェット捺染用インク組成物の質量を基準として、1〜20質量%であることが好ましい。
上記顔料が酸化チタンの場合は、3〜17質量%、上記顔料が酸化チタン以外の場合は、1〜8質量%であることがより好ましい。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、顔料分散剤を含む。
上記アクリル樹脂の酸価は、110〜190mgKOH/gがより好ましく、120〜180mgKOH/gが更に好ましい。
上記アクリル樹脂の質量平均分子量は、12,000〜35,000が好ましく、15,000〜30,000がより好ましい。
また、ジアルキルアミン、トリアルキルアミンの窒素原子に結合する二つのアルキル基は、互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状ジアルキルアミンとしては、ピペリジン、ピロリジン、ヘキサヒドロアゼピンなどが挙げられ、環状トリアルキルアミンとしては、N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、N−プロピルヘキサヒドロアゼピン等が挙げられる。
(A)アルカノールアミンを含まない。
(B)アルカノールアミンを含み、かつ、上記アルカノールアミンのモル数に上記アルカノールアミン中のアミノ基数を掛けた値をxとし、上記顔料分散剤を構成する酸モノマーのモル数に上記酸モノマー中の酸基の数を掛けた値をyとすると、比率x/yは0を超え、かつ、0.5以下である。
上記比率x/yが、0.5を超えると、機械安定性や吐出安定性が低下する。
上記比率x/yは、0.05〜0.45が好ましく、0.1〜0.42がより好ましい。
なお、上記アルカノールアミンのモル数に上記アルカノールアミン中のアミノ基数を掛けた値xは、具体的には、ジアミンを用いた場合は2倍、トリアミンを用いた場合には3倍として計算する。また、上記酸モノマーのモル数に上記酸モノマー中の酸基の数を掛けた値yも同様に、2価の酸を用いた場合は2倍、3価の酸を用いた場合は3倍として計算する。
上記条件(A)を満たす塩基性化合物によって中和される顔料分散剤やアニオン性ポリウレタン樹脂が有する高い保湿性により、得られた捺染物に、機械安定性及び吐出安定性を好適に付与することができるからである。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、アニオン性ポリウレタン樹脂を含む。上記アニオン性ポリウレタン樹脂は、ウレア結合を有し、ポリイソシアネート化合物と、ポリエステル系、ポリラクトン系及びポリカーボネート系のうち1種以上であるポリオール化合物及びポリアミン化合物との反応物であり、酸価が5〜100mgKOH/g、質量平均分子量が5,000〜220,000である。
上記ポリオール化合物としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート等のポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
その具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン等が挙げられる。
上記ポリアミン伸長の際に使用するポリアミンとしては、上述したポリアミン化合物が挙げられる。
上記の中和の際に使用する塩基としては、例えば、ブチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、モルホリン、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
上記アニオン性ポリウレタン樹脂の酸価が5mgKOH/g未満であるとインクジェット捺染用インク組成物の保存安定性が低下し、100mgKOH/gを超えると粘度が高くなるため、吐出安定性が低下する。
質量平均分子量が5,000を下回ると捺染した際に耐水性が低下しやすく、220,000を超えると、粘度が高くなるため、吐出安定性が低下する。
上記アニオン性ポリウレタン樹脂の含有量が1質量%未満の場合は、捺染した際にひび割れが生じやすく、30質量%を超えると、粘度が高くなるため、吐出安定性が低下する場合がある。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、水溶性有機溶剤を含む。
上記エーテル類の具体例としては、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等である。
上記エステル類としては、プロピレンカルボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、酪酸エチル、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、及び、ε−カプロラクトン、ε−カプロラクタム等の環状エステル等がある。
上記窒素含有化合物としては、尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、オクチルピロリドン、アルカノールアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペリジン、ヒドロキシエチルモルホリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン等が挙げられる。
上記水溶性有機溶剤の含有量は、特に限定されないが、インクジェット捺染用インク組成物中、15〜40質量%が好ましい。
上記比率が0.8未満の場合、印刷物に泳ぎが発生しやすくなり、1.6を超えると、インクの乾燥によりノズルが詰まりやすくなる。
上記比率v/wは、0.9〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.2であることが更に好ましい。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、水を含む。
水としては、市販の精製水等を用いることができる。
水の含有量としては、特に限定されず、適宜選択することができる。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。
上記界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸系界面活性剤が好ましく、機械安定性及び吐出安定性をより好適に向上させる観点から、これらを併用することがより好ましい。
これらのなかでも、捺染物の画像濃度の観点から、サーフィノール440、オルフィンE1010が好ましい。
これらのなかでも、捺染物の画像濃度と洗濯堅牢性の観点から、レオドールTW−S120Vが好ましい。
さらに、本発明のインクジェット捺染用インク組成物には、目的に応じて、公知の界面活性剤、ワックス、防黴剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保存性向上剤、消泡剤、pH調整剤等の添加剤も添加することもできる。
以上の構成成分を用いて本発明のインクジェット捺染用インク組成物を製造する方法としては、
(1)顔料、塩基性化合物の存在下にアクリル樹脂を水中に溶解した顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス、必要に応じて添加剤等を混合した後、各種分散機、例えばボールミル、アトライター、ロールミル、サンドミル、アジテーターミル等を利用して顔料を分散させてインクベースを調製し、さらに残りの材料を添加して、インクジェット捺染用インク組成物を製造する方法、
(2)上記の方法で顔料を分散した後、酸析法や再公表特許WO2005/116147号公報に記載のイオン交換手段等により、顔料表面にアクリル樹脂を析出させた樹脂被覆顔料を得、次いで得られた樹脂被覆顔料を塩基性化合物で中和して顔料分散剤に被覆された顔料を得た後、各種分散機(高速攪拌装置等)を用いて水に再分散し、さらに残りの材料を添加して、インクジェット捺染用インク組成物を製造する方法等を挙げることができる。
このようにして得られた本発明のインクジェット捺染用インク組成物は製造後の初期粘度が2.0〜10.0mPa・s、好ましくは4.0〜8.0mPa・sの範囲とする。
次に、インクジェット捺染方法について説明する。
上記インクジェット捺染方法としては、例えば、後述するインクジェット捺染用処理液を、布帛の少なくともインクジェットインクの印字領域に塗布する工程と、該処理液を塗布した布帛を加熱する工程と、該処理液が塗付された印字領域に、本発明のインクジェット捺染用インク組成物を用いて印字する工程と、印字された布帛を加熱する工程とを含む方法を挙げることができる。
このようなインクジェット捺染方法もまた、本発明の一つである。
例えば、インクジェット記録用ヘッドの室内のインクに記録信号を対応したエネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴を発生させる装置が挙げられる。
<布帛>
まず、布帛としては、従来から使用されているいずれのものでもよいが、例えば、綿、絹、麻、レーヨン、アセテート、ナイロンもしくはポリエステル繊維からなる布帛、これら繊維の2種以上からなる混紡布帛等が使用できる。
インクジェット捺染用インク組成物は、上記で説明したインクジェット捺染用インク組成物が利用できる。
インクジェット捺染用処理液としては、1)カルシウム塩類、2)アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、4)水性媒体を含有するインクジェット捺染用処理液を使用できる。
なかでも、処理液塗布面の乾燥後における布帛上での塩の析出の問題から、無色の結晶であり、吸湿性を有する硝酸カルシウムが好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、より高い耐水性や洗濯堅牢性が要求される場合は、これらエマルジョンに、風合いが低下しない範囲で、熱により架橋する架橋成分を導入させることが好ましい。
更に、処理液中の上記樹脂成分の総樹脂量が3質量%を超える場合は、ガラス転移温度は0℃以下であることが好ましい。一方、処理液中の上記樹脂成分の総樹脂量が3質量%を超える場合、樹脂エマルジョンのガラス転移温度が0℃より大きいと、布帛の風合いが低下する傾向にある。
上記水溶性高分子の例としては、トウモロコシ、小麦等のデンプン物質、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多糖類、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質物質、タンニン系物質、リグニン系物質等の公知の天然水溶性高分子が挙げられる。また、合成高分子としては、例えば、公知のポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物等が挙げられる。
本発明は、上述のインクジェット捺染用インク組成物により得られることを特徴とするインクジェット捺染物でもある。
本発明の捺染物は、布帛の風合いを損なうことなく、印字画像の鮮明性や色濃度(画像濃度)が高く、引っかきや擦れ等の外的応力に対する耐久性や洗濯による外的応力と洗剤等に対する耐久性(洗濯堅牢性)に優れており、かつ、毛羽立ち及び風合いの低下を抑制することができる。
本発明の捺染物は、例えば、上述したインクジェット捺染方法により得ることができる。
(金属塩)
・硝酸カルシウム4水和物
・塩化カルシウム2水和物
・塩化マグネシウム6水和物
・塩化ナトリウム
(樹脂成分)
・モビニール 966A (スチレン−アクリル系、ジャパンコーティングレジン社製、固形分45%)
・PRIMAL AC−2235 (アクリル系、ダウ・ケミカル社製、固形分46.5%)
・ビニブラン 1008 (ポリ酢酸ビニル系、日新化学工業社製、固形分50%)
・A−7901 (スチレン−ブタジエン系、旭化成社製、固形分50%)
(界面活性剤成分)
・アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル社製)
(水性媒体)
・精製水
(インクジェット捺染用処理液1)
精製水83.7部に、硝酸カルシウム4水和物10部、ガラス転移温度−30℃のノニオン性スチレン−アクリル系自己架橋性樹脂エマルジョン(商品名:モビニール966A、ジャパンコーティングレジン社製、固形分45質量%)の6.0部、アセチレノールE100(HLB13.5、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、川研ファインケミカル社製)の0.3部、を加えて攪拌し、インクジェット捺染用処理液1を得た。
インクジェット捺染用処理液の作製に用いた材料を、表1に記載の種類及び量に変更したこと以外は、インクジェット捺染用処理液1と同様にして、インクジェット捺染用処理液2〜7をそれぞれ得た。
・酸化チタン(商品名「タイペークCR−90」、アルミナシリカ処理、平均一次粒子径0.25μm、吸油量21ml/100g、石原産業社製)
・青色顔料(C.I.Pigment Blue 15:3、商品名「LIONOL BLUE FG−7330」、東洋インキ(株)製)
・黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 74、商品名「Brilliant Yellow 5GX」、クラリアント社製)
・赤色顔料(C.I.Pigment Red 122、商品名「CROMOPHTAL PINK PT」、チバ社製)
・黒色顔料(C.I.Pigment Black 7、商品名「MA100」、三菱ケミカル社製)
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/アクリル酸ラウリル/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム3.5部と水71.5部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス1を得た。
質量平均分子量20,000、酸価125mgKOH/gの、アクリル酸/アクリル酸ラウリル/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム3.1部と水71.9部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス2を得た。
質量平均分子量20,000、酸価175mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム4.4部と水70.6部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス3を得た。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム3.5部と水71.5部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス4を得た。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を、水酸化カリウム2.8部と2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール1.1部と水71.1部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス5を得た。
なお、上記比率x/yは、0.2であった。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を、水酸化カリウム2.1部と2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール2.2部と水70.7部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス6を得た。
なお、上記比率x/yは、0.4であった。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を、水酸化カリウム2.1部とN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン5.4部と水67.5部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス7を得た。
なお、上記比率x/yは、0.4であった。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を、水酸化カリウム2.1部とN−メチルジエタノールアミン3.0部と水69.9部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス8を得た。
なお、上記比率x/yは、0.4であった。
質量平均分子量20,000、酸価75mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム1.9部と水73.1部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス9を得た。
質量平均分子量20,000、酸価225mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を水酸化カリウム5.6部と水69.4部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス10を得た。
質量平均分子量20,000、酸価140mgKOH/gの、アクリル酸/ラウリルアクリレート/スチレン共重合体25部を、水酸化カリウム1.4部と2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール3.3部と水70.3部との混合溶液に溶解させて、固形分25%の顔料分散剤を含む水性樹脂ワニス11を得た。
なお、上記比率x/yは、0.6であった。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにテスラック2471(日立化成ポリマー社製、平均分子量2,000のネオペンチルアジペートジオール)100部、ジメチロールプロピオン酸15.1部、イソホロンジイソシアネート72.2部、及びテトラブチルチタネート0.04部を仕込み、窒素ガスを導入しながら90〜100℃で6時間反応させた。その後70℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテル98部と1,8−ジアザビシクロオクタン12.6部を加えた後、均一になるまで撹拌した。その後、冷却しながら精製水381部、イソホロンジアミン14.5部、及びアミノエチルエタノールアミン8.9部を加えて20分間攪拌し、酸価30mgKOH/g、理論分子量25,900のアニオン性ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂ワニス1(固形分30%)を得た。
上記水性ポリウレタン樹脂ワニス1の製造において、テスラック2471をプラクセル210(ダイセル社製、平均分子量2,000のポリカプロラクトンジオール)に変更して、酸価30mgKOH/g、理論分子量25,900のアニオン性ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂ワニス2(固形分30%)を得た。
上記水性ポリウレタン樹脂ワニス1の製造において、テスラック2471をニッポラン982R(東ソー社製、平均分子量2,000のポリカプロラクトン/ポリカーボネートジオール)に変更して、酸価30mgKOH/g、理論分子量25,900のアニオン性ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂ワニス3(固形分30%)を得た。
攪拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにテスラック2471(日立化成ポリマー社製、平均分子量2,000のネオペンチレンアジペートジオール)100部、ジメチロールプロピオン酸9.4部、及びイソホロンジイソシアネート21.3部、テトラブチルチタネート0.03部を仕込み、窒素ガスを導入しながら90〜100℃で6時間反応させた。その後70℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテル61部と1,8−ジアザビシクロオクタン7.8部を加えた後、均一になるまで撹拌した。その後、冷却しながら精製水236部を加えて20分間攪拌し、酸価30mgKOH/g、理論分子量5,400のアニオン性ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂ワニス4(固形分30%)を得た。
上記水性ポリウレタン樹脂ワニス1の製造において、テスラック2471をサンニックスPP2000(三洋化成社製、平均分子量2,000のポリプロピレングリコール)に変更して、酸価30mgKOH/g、理論分子量25,900のアニオン性ポリウレタン樹脂を含む水性ポリウレタン樹脂ワニス5(固形分30%)を得た。
上記水性樹脂ワニス1の36部に水19部を加え混合し、更に酸化チタン45部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性白色インクベース1を得た。
上記水性白色インクベース1の調製において、水性樹脂ワニス1を水性樹脂ワニス2〜11にそれぞれ変更し、水性白色インクベース2〜11を得た。
上記水性樹脂ワニス1の16部に水64部を加え混合し、更に青色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性青色インクベース1を得た。
上記水性樹脂ワニス1の16部に水64部を加え混合し、更に黄色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性黄色インクベース1を得た。
上記水性樹脂ワニス1の16部に水64部を加え混合し、更に赤色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性赤色インクベース1を得た。
上記水性樹脂ワニス1の16部に水64部を加え混合し、更に黒色顔料20部を加えて撹拌混合後、湿式サーキュレーションミルで練肉を行ない、水性黒色インクベース1を得た。
・SF440(商品名「サーフィノール440」、固形分100%、アセチレンジオール系界面活性剤、HLB8、日信化学社製)
・E1010(商品名「オルフィンE1010」、固形分100%、アセチレンジオール系界面活性剤、HLB13〜14、日信化学社製)
・L120(商品名「レオドールTW−L120」、固形分100%、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、HLB16.7、花王社製)
・グリセリン
・トリメチロールプロパン
<ジオールである水溶性有機溶剤>
・プロピレングリコール
・1,3−ブタンジオール
・1,2−ヘキサンジオール
表2〜5の質量割合となるように各材料を攪拌混合して、実施例1〜24及び比較例1〜9のインクジェット捺染用インク組成物を得た。
以下の評価方法により評価し、それらの結果を表2〜5に示す。
(機械安定性)
ダイヤフラムポンプ(製品名「NF60」、KNF社製)を用いて実施例1〜24及び比較例1〜9のインクジェット捺染用インク組成物の100gをそれぞれ流速500g/分循環し、ポンプ内部の凝集物及び流速の変化について、以下の基準で評価した。
◎:凝集物の発生はなく、流速の変化もなし
○:凝集物は発生するが、流速の変化はなし
△:凝集物が発生し、流速も低下するが、3時間以上循環が可能である
×:凝集物が発生し、流速も低下し、3時間未満で循環が不可能となる
綿100%の黒色布帛に、上記インクジェット捺染用処理液1〜7をA4サイズあたり10g含浸させた後に加熱乾燥させた布帛をそれぞれ準備した。
その後、SPECTRA社製ヘッドを搭載した評価用プリンターを用いて、実施例1〜24及び比較例1〜9のインクジェット捺染用インク組成物を、ベタ印字が4回重なるような態様で布帛上に印刷し、その後ヒートプレス機を用いて170℃の温度で1分間加熱して、実施例1〜24及び比較例1〜9の捺染物を得た。
上記プリンターと実施例1〜24及び比較例1〜9のインクジェット捺染用インク組成物を使用して連続印刷を行い、吐出安定性を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:連続3時間以上の実印刷動作で、全てのノズルで吐出可能
○:連続1時間以上かつ3時間未満の実印刷動作で、全てのノズルで吐出可能
△:連続1時間以上かつ3時間未満の実印刷動作で、吐出不可能となるノズルが存在する
×:3時間未満の実印刷動作で、全てのノズルが吐出不可能となる
実施例1〜24及び比較例1〜9の捺染物の明度(L*)を、色差計(製品名「DR−321」、コニカミノルタ社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:L*が80以上
○:L*が70以上80未満
△:L*が50以上70未満
×:L*が50未満
実施例1〜24及び比較例1〜9の捺染物を家庭用洗濯機で通常の洗濯(洗濯条件:通常モードでの洗濯→脱水→乾燥、洗濯時の水温20℃程度)を5回実施し、各捺染物の洗濯前と洗濯後の明度を色差計(製品名「DR−321」、コニカミノルタ社製)を用いて測定し、洗濯前の明度(L*)の初期値からの変化率を測定し、以下の基準で評価した。
◎:洗濯後において画像濃度が初期値の90%以上を保つもの
○:洗濯後において画像濃度が初期値の80%以上90%未満のもの
△:洗濯後において画像濃度が初期値の70%以上80%未満のもの
×:洗濯後において画像濃度が初期値の70%未満のもの
実施例1〜24及び比較例1〜9の捺染物のインクジェット捺染用インク組成物を印刷した領域について目視により観察し、以下の基準で評価した。
◎:捺染物の表面には毛羽立ちによる画像のムラが全く見られない。
○:捺染物の表面に、毛羽立ちによる画像のムラが1〜5箇所見られた。
△:捺染物の表面に、毛羽立ちによる画像のムラが6〜10箇所見られた。
×:捺染物の表面に、毛羽立ちによる画像のムラが11箇所以上見られた。
実施例1〜24及び比較例1〜9の捺染物のインクジェット捺染用インク組成物を印刷した領域について触手により観察し、以下の基準で評価した。
◎:捺染物が容易に折れ曲がり、綿100%の布帛そのものの柔らかさに近いもの
○:捺染物が容易に折れ曲がるが、布帛そのものよりも若干ごわつきを感じるもの
△:捺染物がごわつきを感じるもの
×:捺染物が自由に折れ曲がらない程固いもの
これらの性質に関して、実施例1〜8の結果によると、アクリル樹脂の種類及び上記比率x/yを変更した顔料分散剤を用いても、安定した性質を有することが分かる。
また、実施例1、9、及び10の結果によると、アニオン性ポリウレタン樹脂の種類を変更しても、安定した性質を有することが分かる。
また、実施例1及び11〜14の結果によると、水溶性有機溶剤の種類及びジオールとトリオールの比率v/wを変更しても、安定した性質を有することが分かる。
また、実施例1及び15〜18の結果によると、顔料の種類に影響されず、安定した性質を有することが分かる。
これに対して、比較例1の結果によると、ポリウレタン樹脂がウレア結合を有さない場合には、洗濯堅牢性が悪化することが分かる。
また、比較例2の結果によれば、顔料分散剤の酸価が低すぎる場合には、機械安定性、吐出安定性及び洗濯堅牢性が悪化することが分かる。
比較例3の結果によれば、顔料分散剤の酸価が高すぎる場合には、画像濃度及び洗濯堅牢性が悪化することが分かる。
比較例4の結果によれば、顔料分散剤におけるアルカノールアミンと酸モノマーのモル比(x/y)が0.5を超えると、洗濯堅牢性は良好であるものの、機械安定性及び吐出安定性が悪化することが分かる。
実施例1、19〜24と、比較例5〜9の結果によれば、カルシウム塩類と、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分とを含むインクジェット捺染用処理液により処理された布帛上に用いられることにより、画像濃度及び洗濯堅牢性に優れ、かつ、毛羽立ち及び風合いの低下を抑制することができるといった効果の全てを奏することが分かる。
Claims (9)
- 顔料、顔料分散剤、アニオン性ポリウレタン樹脂、水溶性有機溶剤、及び、水を含み、
前記顔料分散剤が、酸価100〜200mgKOH/g、質量平均分子量10,000〜40,000のアクリル樹脂を塩基性化合物で中和したものであり、
前記アニオン性ポリウレタン樹脂が、ウレア結合を有し、ポリイソシアネート化合物と、ポリエステル系、ポリラクトン系及びポリカーボネート系のうち1種以上であるポリオール化合物及びポリアミン化合物との反応物であり、酸価が5〜100mgKOH/g、質量平均分子量が5,000〜220,000であり、
前記塩基性化合物が、下記条件(A)又は(B)を満たし、
カルシウム塩類と、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分とを含むインクジェット捺染用処理液により処理された布帛上に用いられる
インクジェット捺染用インク組成物。
(A)アルカノールアミンを含まない。
(B)アルカノールアミンを含み、かつ、前記アルカノールアミンのモル数に前記アルカノールアミン中のアミノ基数を掛けた値をxとし、前記顔料分散剤を構成する酸モノマーのモル数に前記酸モノマー中の酸基の数を掛けた値をyとすると、比率x/yは0を超え、かつ、0.5以下である。 - 前記アルカノールアミンは、脂肪族アルカノールアミンである請求項1に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 前記アルカノールアミンは、分子内に1個のアミノ基と1個の水酸基を有する請求項1又は2に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 前記塩基性化合物が、前記条件(A)を満たす請求項1に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 前記水溶性有機溶剤は、ジオール及びトリオールを含み、かつ、前記ジオールのモル数をv、前記トリオールのモル数をwとすると、比率v/wは0.8〜1.6である請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 前記ジオールは、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる1種以上である請求項5に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 前記トリオールは、グリセリンである請求項5又は6に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
- 1)カルシウム塩類、
2)アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂及びスチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂成分、
3)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤成分、並びに、
4)水性媒体
を含有するインクジェット捺染用処理液を、布帛のインクジェットインクの印字領域に塗布する工程、
前記インクジェット捺染用処理液が塗布された布帛を加熱する工程、
前記インクジェット捺染用処理液が塗付された印字領域に前記請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット捺染用インク組成物を用いて印字する工程、並びに、
印字された布帛を加熱する工程
を含むインクジェット捺染方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク組成物により得られるインクジェット捺染物。
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