以下、本発明の実施形態について、適宜添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、自律走行型掃除機S(以下、掃除機Sと略記する)が進行する向きのうち、掃除機Sが主に進行する方向を前方、鉛直上向きを上方、駆動輪3,4が対向する方向であって駆動輪3側を右方、駆動輪4側を左方とする(図2参照)。すなわち、図1などに示すように、前後、上下、左右方向を定義する。
図1は、本実施形態の自律走行型掃除機を示す外観斜視図である。
図1に示すように、掃除機Sは、所定の掃除領域(例えば、部屋の床面Y(図3参照))を自律的に移動しながら自動的に掃除する電気機器である。また、掃除機Sは、掃除機本体1、掃除機本体1の側周を覆うバンパ2、一対の駆動輪3,4(図2参照)、補助輪5(図2参照)、およびサイドブラシ6を備えている。
掃除機本体1は、上面の少なくとも一部を形成する上カバー1uおよび底面の少なくとも一部を形成する下ケース1sを有する。
上カバー1uには、運転の開始や停止などの各種操作を行うことができる操作ボタン7が設けられている。また、上カバー1uには、着脱可能な集塵ケース8が設けられている。この集塵ケース8は、前後方向の中央よりも後側に設けられている。また、集塵ケース8は、ハンドル8aが回動自在に取り付けられている。
バンパ2は、掃除機本体1の側周略全体に設けられている。このようなバンパ2としては、例えば無底の略筒形状として形成することができるが、少なくとも掃除機本体1の前方側の側周が水平方向、特に前後方向に可動な態様で設けられていればよい。また、バンパ2は、掃除機Sが移動するのに伴って障害物等に接触した場合、接触に伴う力で押されることで掃除機Sの内側(掃除機Sの前方側でバンパ2に接触した場合は、後方)に向けて変位することができる。
図2は、本実施形態の自律走行型掃除機を示す底面図である。
図2に示すように、駆動輪3,4は、駆動部の一例としての車輪であり、下ケース1sに取り付けられている。また、駆動輪3,4自体が回転することで掃除機Sを前進、後退、旋回(超信地旋回を含む)させることができる。また、駆動輪3,4は左右両側に配置されており、それぞれ走行モータ3m,4m(図4参照)および減速機で構成される車輪ユニットにより回転駆動される。また、駆動輪3,4は、前後方向において略中央で、左右方向について下ケースの外周寄りに(外側に)設けられている。
また、下ケース1sには、走行モータ3m,4m(図3参照)、アーム3a,4a、および減速機構3b,4bを含んで構成される駆動機構を収容する駆動機構収容部11,11が設けられている。
また、駆動輪3,4および駆動機構収容部11,11よりも後側には、回転ブラシ14を収容した吸口部12、掻取りブラシ15などが設けられている。
回転ブラシ14は、駆動輪3,4の回転中心を通る軸(左右方向)に略並行に配置されている。また、回転ブラシ14は、回転ブラシモータ14a(図4参照)によって駆動される。
掻取りブラシ15は、回転ブラシ14の回転軸と平行に配置されている。また、掻取りブラシ15は、いわゆるリントブラシで構成され、所定の角度範囲内で回動するようになっている。
補助輪5は、従動輪であり、自由回転するキャスタである。また、補助輪5は、前後方向において掃除機Sの前方側、左右方向について略中央に設けられている。また、補助輪5は、駆動輪3,4とともに下ケース1sを床面Y(図3参照)から所定高さに保たせることに寄与する。また、駆動輪3,4および補助輪5によって、掃除機Sを円滑に移動させることができる。補助輪5は、掃除機Sの移動に伴い床面Yとの間で生じる摩擦力によって従動回転し、さらに向きが水平方向に360°公転できるように、下ケース1sに軸支されている。
サイドブラシ6は、一部が掃除機本体1(図1参照)よりも外側にあり、回転ブラシ14を届かせることが容易ではない場所の塵埃を吸口部12に導くブラシである。また、サイドブラシ6は、平面視において120°間隔で放射状に延びる3束のブラシを有し、下ケース1sの前側に配置されている。また、サイドブラシ6は、その根元がサイドブラシホルダ6aに固定されている。また、サイドブラシ6の回転軸は上下方向(図2の紙面垂直方向)であり、サイドブラシ6の一部は平面視で掃除機本体1(図1参照)から外側方に飛び出ている。
また、サイドブラシ6の植毛は、先端に向かうにつれて床面Y(図3参照)に近づくように傾斜しており、その先端付近は床面に接している。また、サイドブラシ6は、矢印α1で示すように、掃除機Sの前方外側の領域を、左右方向外側から内側に向かう方向に掃引するように回転して、床面Y上の塵埃を中央の回転ブラシ14側に集める。なお、サイドブラシ6は、サイドブラシモータ6b(図4参照)によって回転駆動される。
また、下ケース1sには、前後左右の4箇所に床面用測距センサ13a,13b,13c,13dが設けられている。床面用測距センサ13aは、補助輪5の前方に位置している。床面用測距センサ13bは、駆動輪3と右側のサイドブラシ6との間の外周側に位置している。床面用測距センサ13cは、床面用測距センサ13bに対して左右対称に位置している。床面用測距センサ13dは、掻取りブラシ15の後方に位置している。
また、下ケース1sには、充電台と電気的に接続される接続部16,16が設けられている。接続部16は、サイドブラシホルダ6aと床面用測距センサ13aとの間に位置している。
図4は、本実施形態の自律走行型掃除機から上ケースを取り外した状態を示す斜視図、図5は、周囲検出センサユニットを示す斜視図である。
図4に示すように、掃除機Sは、光を用いた測距センサの一例としてのLiDARユニット40、カメラ50、測距センサ60、赤外線受光部70を備えている。これらLiDARユニット40は掃除機Sの上面の中心軸上に配置される。カメラ50および測距センサ60、赤外線受光部70は、図4に示すように、それぞれが正面側を向くように配置されている。
図4および図5に示すように、LiDARユニット40は上側の回転部40aと下側の固定部40bに分けられる。上側には赤外線等の光を用いた測距センサであるLiDAR41とLiDARの水平面上の角度を検出するためのフォトインタラプタで構成される。下側の固定部はLiDAR40bを回転させるための電動機42、電動機42の回転をLiDAR41に伝えるベルト43と回転部が回転する際の固定部との摩擦力を軽減するベアリング、フォトインタラプタが水平面上の角度を検出するための突起で構成される。LiDAR41は発光部41aと受光部41bで構成され、発光部41aの発光角度と受光部41bの受光角度に基づいて三角法で物体との距離を測定する。掃除機本体1に対する水平面上の角度は、掃除機本体1に固定された固定部40a上の各突起と回転部のフォトインタラプタで、フォトインタラプタの発光素子と受光素子の間に検出された突起の個数で回転部の水平面上の角度を検出している。掃除機本体1の前面方向の突起1つのみ他の突起を短くし、掃除機本体1の前面の角度を検出して、そこからの突起の検出数で各角度を検出している。LiDARユニット40で測定した掃除機本体1の水平面上の角度と障害物との距離に基づいて、周囲の地図情報を作成しながら、地図上の掃除機本体1の位置、速度ベクトルを特定する。なお、周囲検出センサはLiDAR41に替えて、ミリ波レーダや超音波センサなど1m以上測定できる測距センサ、またはカメラ50で三角法を用いた方法でもよい。LiDARユニットの配置は掃除機本体1の上面に限らず下面でも構わない。また、LiDARユニット40の回転部の回転角度は360°に限らず、ベルトをリンク機構に置き換える等をして、少なくとも60°以上測定できればよい。LiDARの距離の測定方法は三角法でなく発光部と受光部の光の位相差を利用したTime of Flight方式でもよい。
また、LiDARユニット40は、LiDAR41の光の強度を変更することで、より遠方の障害物を検出できる。しかし、常に強度を高くしておくのではなく、遠方の障害物を検出する必要がないときには、強度を低くすることで、消費電力を抑えることができる。また電動機42の回転数を上げることで、より詳細に障害物の検出を行うことができる。しかし、電動機42も常に回転数を高くしておくのではなく、障害物を詳細な角度で検出する必要がないときには、回転数を低くすることで、消費電力を抑えることができる。
図6は、前方センサユニットの斜視図である。
図6に示すように、前方センサユニットは、カメラ50、測距センサ60、赤外線受光部70を内部に備えている。
カメラ(撮像部)50は、単眼カメラであり、掃除機本体1の前面の中心軸に位置している。また、カメラ50は、LiDARユニット40に比べて、物の形状や位置を正確に検知することができるので、障害物を避け易くなる。また、カメラ50は、LiDARユニット40に比べて上下方向の画角を広く取ることができるので、床面の障害物を避けることができる。例えば、床面にある衣服を巻き込んだり、コードがブラシに絡まったりするのを防止できる。このように、カメラ50をLiDARユニット40と併用することにより、広範囲の障害物の大まかな配置を検知しながら、近距離の障害物の形状と位置を明確に検知することができ、障害物を判別することが可能になる。
また、カメラ50は、フレームレートを変化させることができるものである。例えば、近くの障害物を検知する際にはフレームレートを上げ、障害物が何もない広い場所を移動する際にはフレームレートを下げる。これにより、カメラ50を、常にフレームレートを上げた状態で作動させる必要がないのでカメラ50の消費電力を抑えることができる。
このように、本実施形態ではLiDAR41とカメラとの両者を利用することで、障害物までの距離情報と形状情報とを高精度に検知可能である。より具体的には、掃除領域の地図を作成するに際して、検知した障害物等の位置情報を主に又は専らLiDAR41を利用して検知及びマッピングし、形状情報を主に又は専らカメラを利用して検知及びマッピングすることができる。これらの連関を高精度にするため、本実施形態ではLiDAR41とカメラとを互いに隣接させて(離間距離が10cm、5cm又は3cm以内)設けている。
さらに、LiDAR41によって検知した距離情報に基づいてカメラの焦点距離を調整したり掃除機本体1の移動速度を変更(例えば減速)したりしてもよい。
関連技術の自律走行可能な電気掃除機では、家具などの障害物の後方に位置する掃除領域を検出することができず、その領域を認識するには障害物の後方に回り込んでからカメラやLiDAR41で再度検出する必要があるという課題がある。
測距センサ60は、LiDARより検知範囲が例えば1/10程度以上短く、比較的近傍の障害物(例えば1m程度、好ましくは50cm又は30cm程度まで以下)までの距離を検出する赤外線センサであり、例えばPSD(Position Sensitive Detector)センサによって構成される。また、測距センサ60は、正面および左右両側の計3箇所に設けられている。また、測距センサ60は、赤外線を発光させる発光部と、赤外線が障害物で反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを有している。受光部によって検出される反射光に基づいて、障害物までの距離が算出される。具体的には反射光を受ける位置、反射光を受けるまでの時間、反射光の量、強さ等に基づいて、障害物までの距離が算出される。なお、測距センサ60は、PSDセンサに限定されるものではなく、超音波センサとしてもよい。このように複数の測距センサ60を設けることにより、壁際に沿った掃除を行うことができる。
なお、バンパ2は光を透過させる樹脂またはガラスで形成されている。バンパ2のうち少なくとも、測距センサ60の近傍は、赤外線の透過率が可視光および紫外線の透過率よりも大きい材料で形成されている。これにより、紫外線や可視光が受光部に入り込んで、障害物までの距離を誤認識する虞を低減できる。なお、使用する光の波長のみ透過する材料を用いてもよい。
掃除機Sは接続部16を介して充電台と電気的に接続され、蓄電池21に給電する。また掃除機Sは、充電台から発信される3種類の赤外線LEDを赤外線受光部70で受信することで、受信した赤外線の種類に応じて掃除機本体に対する充電台の方向を特定する。
図3は、図1のIII−III線断面図である。
図3に示すように、掃除機Sは、蓄電池21、吸引ファン22を内部に備えている。
蓄電池21は、吸引ファン22の前方に配置され、走行モータ3m,4m(図4参照)、回転ブラシモータ14a、吸引ファン22などの各種モータ、バンパセンサ(不図示)、カメラ50、測距センサ60、床面用測距センサ13a〜13d、LiDARユニット40などの各種センサに電力を供給する。
吸引ファン22は、吸引力を発生させて、回転ブラシ14によって掻き取られた塵埃を集塵ケース8内に集塵させるものである。また、吸引ファン22は、前後方向中央において駆動輪3,4間に設けられている。集塵ケース8に塵埃とともに取り込まれた空気は、集塵フィルタ8bを介して吸引ファン22内に取り込まれる。吸引ファン22の排気は主に下ケース1sに形成された排気口1t(図2参照)から掃除機Sの外部に排出されるが、一部掃除機本体1前方方向に排出し、排気を電動機42の冷却に利用する。
図7は、本実施形態の自律走行型掃除機を示す制御ブロック図である。
図7に示すように、制御装置30は、掃除機Sを統括的に制御するものであり、例えばマイコン(Microcomputer)と周辺回路とが基板に実装されることで構成される。マイコンは、ROM(Read Only Memory)に記憶された制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が実行することで各種処理が実現される。周辺回路は、A/D・D/A変換器、各種モータの駆動回路、センサ駆動回路、蓄電池21の充電回路、無線LAN504との通信機等を有している。
また、制御装置30は、利用者による命令を入力可能な操作ボタン7の操作や、バンパセンサ(不図示)、床面用測距センサ13a〜13d、測距センサ60、カメラ50、LiDARユニット40から入力される信号に応じて演算処理を実行し、演算処理後の信号を出力する。
図8は、掃除機SがS1からS2まで移動する際のLiDAR41によるマッピングを説明する図を示し、(a)は移動前、(b)は移動後である。なお、図8では、部屋Rの中に障害物Tが置かれている状態を示している。
図8(a)に示すように、運転開始から、LiDARユニット40の電動機42を回転させ、ベルト43を通じてLiDAR41を回転させる。それにより、LiDAR41は掃除機S1の周囲の障害物T1および部屋Rの壁W1を検知(認識)することができる。掃除機SがS1からS2に移動した図が図8(b)である。S2の位置では部屋Rの障害物T2と壁W2を認識できる。障害物T1とT2及び壁W1とW2の特徴点を抽出し、S1とS2での部屋Rの形状を合わせ、部屋Rでの位置S1及びS2を特定することで自己位置を認識する。このように、電動機42でLiDAR41を回転させることで、部屋R1の全体をマッピングする(部屋の障害物の配置図を作成する)こととマップ内の自己位置認識が可能になる。掃除を開始前に事前に部屋全体を走行し、マップデータを収集しておくことで、掃除時の無駄な経路を削減し、掃除時の消費電力を抑えるとともに掃除可能な範囲を拡大することができる。
事前作成マップデータまたは前回の掃除時のマップデータを自動清掃終了後も記憶するようにしておき、次回以降は事前作成マッピング処理を省略しても良い。例えば使用者によって事前のマップデータ作成が必要か不要かの指定を受けるようにすることができる。使用者は、最新のマッピングより後に模様替え等をした場合は、マップの更新をすべく必要との指定をすることができる。
図9は、本実施形態の自律走行型掃除機の動作を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップS10において、事前のマップ作成走行によるマップまたは以前の清掃時のマップが本体またはサーバ501上に登録されているか確認する。
ステップS20において、制御装置30はLiDARユニット40の電動機42を回転させて、LiDAR41を回転させる。なお、掃除機Sが充電台(不図示)に接続されている場合には、充電台から離れる制御を実行する。また、LiDAR41を1周回転させることで、掃除機Sが現在位置している部屋の壁の状況と障害物を検出(認識)することができる。また、LiDAR41による検出に加えて、カメラ50を作動させて、壁の手前にある障害物の種類を認識するようにしてもよい。このようにして検出したマップと掃除機Sの現在の位置が登録済みのマップと一致可能か否か確認する。
ステップS30、31において、制御装置30は、清掃ルートを算出する。ステップS30のように、清掃ルートは登録済みのマップが有り、自己位置同定ができた場合は、登録済みの全体のマップから最適な経路を算出する。ステップS31のように、登録済みのマップが無い、または自己位置同定ができない場合は、LiDAR41で検出した部屋の壁や障害物から、清掃ルートの算出を行う。
ステップS40において、制御装置30はステップS30またはステップS31に基づいて、清掃を開始する。すなわち、駆動輪3,4、サイドブラシ6および回転ブラシ14を回転させるとともに吸引ファン22を駆動して、塵埃を吸口部12から吸込み、集塵ケース8内に取り込む。
ステップS50において、制御装置30は、カメラ50をONにする。このとき、カメラ50のフレームレートを下げた状態にする。フレームレートを下げておくことで、カメラ50の消費電力を抑えることができる。
また、掃除機Sを走行させながら、LiDAR41によって部屋の壁および障害物を検出することで、現在掃除している部屋での掃除機Sの自己位置を認識することができる。このため、清掃開始後に物が置かれたり、ペットが入って来た場合など新しい障害物が登場した場合でも、それらを壁と誤認識することがない。つまり、本実施形態では、常に壁の位置を認識することで、自己の位置を常に認識することができ、ペットなどの新しい障害物を無視して清掃を実行することが可能になる。
ステップS60において、制御装置30は、障害物を認識したか否かを判定する。なお、障害物は、LiDAR41またはカメラ50で検出することで認識することができる。制御装置30は、障害物を検出した場合には(S60、Yes)、ステップS70に進み、障害物を検出していないと判定した場合には(S60、No)、ステップS100に進む。
ステップS70において、制御装置30は、カメラ50のフレームレートを上げる。例えば、フレームレートを10fpsから30fpsにして、物体(障害物)の形状を認識し易くする。
ステップS80において、制御装置30は、障害物を認識したか否かを判定し、障害物を認識した場合には(Yes)、ステップS90に進み、障害物を認識しない場合には(No)、ステップS80の処理を繰り返す。
ステップS90において、制御装置30は、カメラ50のフレームレートを下げる(例えば、フレームレートを30fpsから10fpsにする)。
ステップS100において、制御装置30は、清掃が完了したか否かを判定する。なお、清掃が完了したか否かは、ステップS30において算出した清掃ルートを走行した記録を参照することによって判定できる。制御装置30は、清掃が完了したと判定した場合には(S100、Yes)、終了し、清掃が完了していないと判定した場合には(S100、No)、ステップS60に戻る。
このように、本実施形態では、LiDAR41によって距離を測り、カメラ50によって障害物の形状認識を行う。カメラ50のフレームレートをLiDAR41およびカメラ50の値に応じて変化させることで、低消費電力および高性能距離検出の両立が可能となる。すなわち、通常走行時にLiDAR41またはカメラ50で障害物を検出したら(ステップS60)、カメラ50のフレームレートを上げ(10fps→30fps)、障害物の形状を認識し易くし(ステップS70)、認識した後に元のフレームレートに戻す(ステップS90)。このように、障害物の形状認識が必要なときのみ高消費電力のカメラ50を使用する。
ところで、掃除機Sでカメラ50を単体で使用する場合には、二次電池(蓄電池21)で駆動する自律走行型掃除機においては消費電力が大きく、正確な距離検出が難しい。また、レーザ等の距離センサ単体を掃除機Sに固定して使用する場合には、掃除機Sの周囲の状況を検出するのに駆動輪3,4を制御して掃除機Sの前面を左右に向けなければならず、マップの作成時間が長くなったり、マップの精度が落ちたりする課題があった。
そこで、本実施形態の掃除機Sでは、掃除機本体1と、掃除機本体1を駆動させる駆動輪3,4(駆動部)と、掃除機本体1に設けられるLiDARユニット40と、駆動輪3,4およびLiDARユニット40に供給する電力を蓄積する蓄電池21(蓄電装置)と、を備える。これによれば、走行しながら周囲の距離を測定できるので、清掃場所のマップを効率的に作成することができる。
また、本実施形態では、LiDARユニット40は、掃除機本体1の上面かつ中心軸上に位置している。これによれば、周囲360°の距離の測定が可能になるとともに、掃除機本体1の中心に対して物がどの位置にあるかを容易に認識することができる。
図10は、図9のステップS110の掃除機本体1の充電台帰還の動作の詳細を示すフローチャートである。掃除機Sは充電台から発信される赤外線信号を掃除機本体1の前面に具備された赤外線受光部70で受信することで充電台の位置を特定し、駆動輪3、4を制御して充電台と電気的に接続する。図10に示すように、ステップS210において、事前のマップ作成走行によるマップまたは清掃時のマップが掃除機本体1またはサーバ501上に充電台の位置が登録されているか確認する。マップ上に充電台が登録されている場合は、ステップS220へ移行し自己位置同定を行う。その後、自己位置と地図を利用して充電台までの経路を算出し、ステップS230の通り充電台へ帰還を行う。マップ上に充電台が登録されていない場合は、ステップS240へ移行する。ステップS211へ移行する。ステップS211では、過去の運転で作成したマップデータとLiDARユニット40で取得したデータを照合し、一致するものがあるかを判定する。一致するものがある場合はその地図を利用して、ステップS220へ移行し自己位置同定を行う。一致するものがない場合は、ステップS240へ移行する。
ステップS240において、掃除機本体1はその場で超信地回転を行うことで、前方に具備した赤外線受光部70のみで充電台からの帰還信号を全方位に対して探索する。充電台の赤外線信号を掃除機本体1は約4m離れた位置からまで受信可能なため、この超信地回転時に充電台の赤外線信号を受信できなかった場合は掃除機本体1の周囲4m以内には充電台が存在しないと判断する。超信地回転を終えた後ステップS250へ移行する。
ステップS250において、充電台の赤外線信号を受信できた場合は充電台帰還動作を開始する。充電台の赤外線信号を受信できなかった場合は、ステップS260へ移行する。ステップS260において、周囲検出センサ40を利用して作成したマップデータをもとに、壁など閉じられた閉空間C(図11参照)と周囲検出センサ40では壁や障害物が検出できなかった開空間OP(図11参照)の識別を行う。開空間OPが存在しない場合は、帰還できる範囲に充電台が存在しないと判断し、ステップS280へ移行してその場で停止し、操作端末503,505等に停止した通知を送信する。この通知は掃除機本体1から音声案内等で通知してもよい。開空間OPが存在する場合はステップS270へ移行する。ステップS270においては、開空間OPへの移動を行う。開空間OPが複数存在する場合は、開口部が最も広い開空間が充電台の存在する可能性が一番高いエリアであると判断し移動を行う。その後、ステップS211へ戻り、過去の運転で作成したマップデータとの照合を行う。一致するマップデータがない場合は、再度ステップS240に戻り、超信地回転を行うことで充電台の赤外線信号を探索する。この動作を繰り返すことで、的確に未知のエリアで充電台の赤外線信号の探索を行い、効率の良い充電台帰還の動作を行う。
充電台帰還動作は使用者が充電台帰還の命令をする場合を除いては、清掃が完了した後、自動で開始されるため、蓄電池21の電池残量が少ない状態から充電台帰還動作は開始される。蓄電池21の電池残量が少ない状態で動作し続けると放電深度が深くなり、蓄電池21の寿命が短くなる。マップデータを利用して充電台帰還動作を効率的に行うことで、蓄電池21の劣化を抑えることが出来る。また、充電台が存在しない場合、または充電台の赤外線信号を受信できない場合に、マップデータを利用しながら部屋内の充電台の赤外線信号の有無を判断して停止することで、蓄電池21の放電深度が深くなるまで掃除機本体1が充電台を探索することを防ぎ、蓄電池21を劣化から保護することができる。また、停止した際に携帯端末等に通知を送信することで、充電台帰還動作が正常に終了しなかったことを使用者が把握することができる。
また、本実施形態では、周囲検出センサ40は、駆動機構により周囲検出センサ40自身が回転し、走査する。しかし、駆動輪3,4によって掃除機本体1を駆動させることで、周囲検出センサ40を駆動させる機構を設けずに走査してもよい。
また、本実施形態では、駆動輪3,4は、充電台探索時に掃除機本体1を360度超信地旋回させる。これによれば、一度で周囲に充電台があるかどうかを探索することができる。また、同時にカメラ50により周囲に障害物が存在しているかどうかを確認することができる。
また、本実施形態では、掃除機本体1は、カメラ50(撮像部)を備える。これによれば、障害物の種類を判別することができ、さらに画角が広いので、掃除機本体1の近傍の床面の障害物を検出することができる。これにより、床面に落ちている服を巻き込んだり、床面のコードが駆動輪3,4や回転ブラシ14にからまったりするのを防止できる。
また、本実施形態では、カメラ50は、単眼カメラである。これによれば、ステレオカメラよりも安価に構成できる。
また、本実施形態では、カメラ50は、掃除機本体1の前面および中心軸上の上方に配置される。カメラ50は、より高い位置から前面下方に向けるように配置することで、正面の物体の陰影が明確になる。
また、本実施形態では、カメラ50のフレームレートを制御する制御装置30を備える。制御装置30は、カメラ50が障害物を検出した場合にフレームレートを上げ、障害物を認識した場合にフレームレートを下げる(元に戻す)。これによれば、障害物を検出したときだけフレームレートを上げるので、カメラ50の消費電力を抑制することができる。
また、本実施形態では、掃除機本体1は、赤外線の反射光の位置で距離を測定する測距センサ60を備える。これによれば、赤外線の反射光の有無で物の判定を行う赤外線センサに比べて、近傍の壁を精度よく検出できる。よって、壁の近くまで寄って、隅の掃除や壁際に沿った掃除が可能になる。なお、測距センサ60に替えて超音波センサにしても、同様の効果を得ることができる。また、バンパまたはカメラを用いても良い。
壁際掃除の動作にはマップデータを利用して移行する。壁際動作時には、まず、LiDAR41で測定したマップ内の自己位置を検出し、壁に対して平行に動作できるような大まかな経路を決定する。次に掃除機本体1の側面の測距センサ60で壁との距離を測定し、駆動輪3、4を制御してサイドブラシ6が回転したときに先端が壁に当たる位置まで移動させる。その後マップデータによる経路に従って移動する。その際には壁との距離を掃除機本体1の側面の測距センサ60で測定しながら移動し、サイドブラシ6が当たらない位置に掃除機本体1がずれてしまった際には壁と反対側の駆動輪3または4の回転速度を上げて、サイドブラシ6が当たる位置に移動する。サイドブラシ6は掃除機本体1の片側に配置されるため、右側に配置されている場合は時計回り、左側に配置されている場合は反時計回りで壁際掃除を行う。また、壁際から塵埃を掻き出す量を向上するために、壁際掃除時にはサイドブラシの回転数を上げる。
隅掃除の動作には壁際掃除中にLiDAR41および測距センサ60を利用して移行する。壁際掃除で壁に対して平行に移動している途中に、掃除機本体1の前面の測距センサ60が正面の壁を検知した際に隅掃除動作に移行する。その際には掃除機本体1の正面および側面の測距センサ60で壁との距離を測定し、駆動輪3、4を制御してサイドブラシ6が回転したときに先端が正面および側面の壁に当たる位置まで移動させて、隅の掃除を行う。その後壁際掃除に再び移行する。
また、本実施形態では、測距センサ60は、掃除機本体1の正面かつ幅方向の中央に位置している。これによれば、掃除機本体1の中心に対して物がどの位置にあるかを容易に認識することができる。また、障害物や壁面の位置をLiDAR41で、形状をカメラで設定し、位置情報や形状を測距センサやバンパによる検知情報を利用して修正しても良い。
掃除機本体1は床面用測距センサ13a〜dの検知する値がある一定の閾値より大きくなったことを検知すると、掃除機本体1の前方または側方に段差があると認識し、掃除機本体1は後方に一定距離移動した後、回転して、床面用測距センサ13a〜dが検知した時の場所に対して後方または斜め後方に直進し段差を回避する。床面用測距センサ13a〜dが検知する値は駆動輪3、4のサスペンションの振動や回転ブラシ14の床面への吸い付きによってばらつきが生じるため、閾値付近の段差の昇降可否の判断にはばらつきが生じる。使用者の家庭では段差の種類は家具の変更等を行わない限り変化はなく一定であるため、段差乗り越え可否についても各段差に応じて一定であると、昇降できる段差を回避してしまったり、昇降できない段差に進行して駆動輪3、4が浮いてしまい走行できなくなったり、というような走行上の不具合を回避できる。前回の運転時の結果から段差の種類とそれぞれの段差の昇降の可否、その際の床面用測距センサ13a〜d等の値が取得できる。床面用測距センサ13a〜dで昇降可と判断した閾値付近の段差でその判断が間違っていた場合、次の運転時には昇降不可と判断できるように床面用測距センサ13a〜dの閾値を変更することで、走行上の不具合を回避する確率を高められる。処理の流れは、カメラ50で進行方向に段差を検知した際に、段差乗り越え前から段差を登れなかった場合または登れた場合の床面用測距センサ13a〜dや段差の昇降の可否等のデータを収集し、学習データとして保存する。その学習データの段差昇降可否の判定値と段差昇降の結果に差異がある場合には、床面用測距センサ13a〜dの閾値を変更する。閾値の変更は、最適化手法(例えば最近傍法等)用いて、段差昇降可否の判定と段差昇降の結果の差異が最小になるように閾値を変更する。段差の判定方法は床面用測距センサ13a〜dに限らず、カメラ50による画像認識でもよい。
掃除機本体1は回転ブラシ14に加わる負荷がある一定の閾値より大きくなったことを検知すると、掃除機本体1が走行する床面が変化したと認識し、塵埃の吸込性能の向上や消費電力の低減のために、吸引ファン22の回転数や回転ブラシ14の回転数、サイドブラシ6の回転数を床面に応じて変化させる。回転ブラシ14が検知する負荷は駆動輪3、4のサスペンションの振動や回転ブラシ14の床面への吸い付きによってばらつきが生じるため、閾値付近の床面の判定にはばらつきが生じる。しかし、使用者の家庭では床面の種類は家具の変更等を行わない限り変化はなく一定であるため、床面判定についても各床面に応じて一定であるとよい。閾値付近の床面がある場合、閾値をその床面の負荷の大きさに応じて変更することで床面判定のばらつきを軽減できる。処理の流れは、カメラ50が掃除機本体1の進行方向に床面の変化を検知した際に、回転ブラシ14の負荷変化前から回転ブラシ14の負荷変化後の回転ブラシ14の負荷やその他のセンサのデータを収集し、学習データとして保存する。その学習データの回転ブラシ14の負荷とカメラ50での床面の判定に差異がある場合には、回転ブラシ14の負荷の床面判定の閾値を変更する。閾値の変更は、最適化手法(例えば最近傍法等)用いて、回転ブラシ14の負荷とカメラ50の床面判定の差異が最小になるように回転ブラシ14の負荷の床面判定の閾値を変更する。床面の変化を検知する方法及び閾値を変更する判定値は回転ブラシ14の負荷に限らず、駆動輪3、4の負荷やサイドブラシ6の負荷やカメラ50による画像認識でもよい。
掃除機本体1は回転ブラシ14と集塵ケース8の間にごみ検出センサ17を設ける。ごみ検出センサ17は赤外線の発光部と受光部を備え、塵埃の流路をはさんで各々が配置される。赤外線の受光部と発光部の間を通過した塵埃が赤外線の受光を妨げ、その妨げられた時間から回転ブラシ14から集塵ケース8に移動した塵埃の量を推定する。なお、本実施形態では、ごみ検出センサ17として赤外線センサを搭載した場合を例にして説明したが、赤外線センサに替えて圧力センサを搭載し、圧力の変化からごみの量を推定する方法でもよい。
掃除機本体1はごみ検出センサ17の値が変化し、ある一定の閾値より大きくなったことを検知すると、掃除機本体1が走行中の床面にごみが多いを判定し、吸引ファン22の回転数や回転ブラシ14の回転数、駆動輪3、4の回転数、サイドブラシ6の回転数を変化させる。ごみ検出センサ17が検知する値は駆動輪3、4のサスペンションの振動や回転ブラシ14の床面への吸い付きによってばらつきが生じるため、閾値付近のごみの量の判定にはばらつきが生じる。ごみ検出センサ17の値とカメラ50によるごみ検知の結果を学習データとして保存する。その学習データの撮像部による画像とごみ検出センサ17によるごみの量の判定に差異がある場合には、撮像部による画像認識とごみ検出センサ17によるごみの量の判定の閾値を変更する。その学習データからカメラ50の画像認識によるごみ量の判定とごみ検出センサ17によるごみの量の判定を一致させるように画像認識またはごみ検出センサ17の閾値を補正し、その補正値を次回以降の運転時に活用する。補正値の変更は、最適化手法(例えば最近傍法等)用いて、画像認識の判定とごみ検出センサの量の判定の差異が最小になるようにどちらかの判定の閾値を変更する。
上記の段差検知、床面検知、ごみ検知に関する学習データはサーバ501上に保存する。サーバ501に蓄積された過去の学習データからサーバ501内で計算を行い、各々の閾値の最適化を行う。サーバ501で計算された閾値を設定値として掃除機本体1はネットワーク経由でダウンロードし、次回以降の運転時の設定として使用する。また、同一の掃除領域で使用されている別の掃除機本体1および他の家電製品もサーバ501の設定値を参照し、共有できるようにすることで、使用する掃除機本体1を増やした場合や変更した場合、他の家電製品を追加した場合に同一掃除領域で同一の設定値を使用できる。なお、学習データの保存先や閾値の計算の場所はサーバ501に限らず、掃除機本体1の制御装置30の内部や制御装置30に接続した外付けデータストレージでもよい。
なお、本発明の内容は実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。また、電気機器として床面を走行する掃除機Sを例に挙げて説明したが、飛行する移動体へ適用しても同様な効果がある。飛行する移動体に適用することで、床面の塵埃だけではなく、壁面に付着した塵埃も取り除くことが可能になる。
なお、本実施形態では、単眼のカメラ50を搭載した場合を例にして説明したが、単眼のカメラ50に替えて複眼のカメラを搭載する構成でもよい。
図12は、本実施例の機器制御システムの模式図である。本明細書では便宜的に自律走行型掃除機Sと操作端末とが同一の無線LANルータ環境内にある場合を宅内、同一の無線LANルータ環境内にない場合を宅外と呼称する。機器制御システムは、広域ネットワーク502、操作端末503,505、宅内(例えば家庭内)に配された無線LANルータ504と自律走行型掃除機Sで構成されている。
サーバ501は、広域ネットワークプロトコルを利用して他の機器と通信可能な機器である。サーバ501は、例えば予め、自律走行型掃除機Sから無線通信プロトコル及び広域ネットワークプロトコルを利用した通信により、他の機器と通信できる。
本実施例では、無線通信プロトコルを利用した通信ができない(宅外の)第1操作端末503が自律走行型掃除機Sへの要求を送信しようとする場合、要求がサーバ501に送られるように構成されている。この要求には、対象となる自律走行型掃除機Sに固有の番号(掃除機番号)が含まれている。掃除機番号は、操作端末503,505が自律走行型掃除機Sと認証処理を行うことで取得されている。
一方、自律走行型掃除機Sは、定期的にサーバ501に要求が存在しないか問合せるように構成されているか、サーバ501と常時接続しサーバ501に到達した要求を即時受信することができるように構成されている。問合せの際には、サーバ501に自己の掃除機番号を通知し、サーバ501は一致する掃除機番号への要求が存在するかを確認する。対応する要求が見つかれば、サーバ501が自律走行型掃除機Sに要求を送信する。このように構成することで、セキュリティ性を向上させることができる。
操作端末503,505は、例えば自律走行型掃除機Sの使用者それぞれが所有する好ましくは可搬の端末である。操作端末503,505は、広域ネットワークプロトコル及び無線通信プロトコルを利用して自律走行型掃除機Sと通信可能な機器である。広域ネットワークプロトコルを利用した通信の場合、広域ネットワーク502と無線LANルータ504を介することで自律走行型掃除機Sと通信可能である。無線通信プロトコルを利用した通信の場合も、自律走行型掃除機Sとの間では無線LANルータ504を介することで通信可能である。
本実施例では、操作端末503,505のうち、無線LANルータ504との無線通信プロトコルによる無線通信圏内にない(すなわち、宅外の)端末を第1操作端末503と、無線通信圏内にある(すなわち、宅内の)端末を第2操作端末505と呼称する。LAN操作端末503,505は便宜上分けて説明するものであり、或る端末が宅内に在る場合には第2操作端末505となり、宅外に在る場合には第1操作端末503となると考えることができる。
無線LANルータ504は、広域ネットワークプロトコル及び無線通信プロトコルを利用して、無線LANルータ504に送信されてきた情報を、送信先である他の機器(操作端末503,505、自律走行型掃除機S)に転送する機器である。
自律走行型掃除機Sは、無線通信プロトコルを利用した無線LANルータ504との通信を介して、操作端末503,505と通信可能である。詳細は後述するが、自律走行型掃除機Sは、自律走行型掃除機Sに配されたスイッチ又は操作ボタン7等の操作や、通信を介した操作端末503,505からの操作を通じて、駆動、駆動終了、駆動の予約、また、駆動中の動作の調整等の指令を受付けることができる。
自律走行型掃除機Sは、送受信部561、指令の受付許否を許否条件に基づいて判定する判定部563、受付を許可した指令を解釈して実行処理する処理部562、操作権情報を記憶する端末情報記憶部564、及び、判定部563等の最新の動作からの経過時間を計測する計時部565を備える。
送受信部561は、操作端末503,505からの指令(要求)や操作端末503,505固有の情報(操作端末情報)を受信するとともに、判定部563の判断結果や処理部562の処理結果といった応答を、無線LANルータ504を介して操作端末503,505に送信する。
判定部563は、予め設定された許否条件に基づいて、送受信部561が受信した指令の受付許否を判定する。本実施例の判定部563は、或る操作端末の指令を受付けているのと同時期に別の操作端末が指令を行おうとすることで自律走行型掃除機Sが思わぬ動作をすることを抑制するように構成されている。具体的には、或る操作端末が自律走行型掃除機Sに指令を送信している場合、判定部563は、この操作端末に固有の操作端末情報を端末情報記憶部564に記憶させておき、この操作端末からの指令のみを一定時間受付けるようにする。このとき、端末情報記憶部564に記憶された操作端末は、「操作権を有する」ことになる。
処理部562は、判定部563が受付を許可した指令を解釈し、指令に対応した処理を自律走行型掃除機Sに実行させる。例えば、指令が自律走行型掃除機Sの自律駆動の開始である場合は、それに従って自律走行型掃除機Sを駆動させる。その他、自律走行型掃除機Sに取付けられている撮像部による撮像及び撮像データの返信等、種々の指令に従うことができる。
端末情報記憶部564は、判定部563の指令に応じて端末情報を記憶することができる。記憶端末情報は、計時部565の計時に応じて消去されることができる。記憶端末情報が設定されていない場合に送受信部561が操作端末情報を受信すると、判定部563は、この操作端末情報を記憶端末情報に設定させる。
計時部565は、自律走行型掃除機S、例えばより詳細には、送受信部561、判定部563、又は処理部562の最後の動作時点(例えば、処理部562が最後に処理を実行した時点)からの経過時間を測定する。所定時間が経過した場合、記憶端末情報を消去することで操作権を消去する。
このように本実施例では、記憶端末情報が設定されていない場合に何れかの操作端末503,505からの要求を送受信部561が受信すると、その操作端末の操作端末情報が記憶端末情報として設定される(操作権が付与される)。操作権が付与された操作端末からの要求が判定部63によって受付許可される。
なお、送受信部561は例えば無線通信基板であり、判定部563及び処理部562は例えばプロセッサであり、端末情報記憶部564は例えば半導体メモリ媒体であり、計時部565は例えばクロックカウンタで構成できる。
操作端末503,505には、自律走行型掃除機Sへの指令を行うことを可能にするプログラム(アプリケーション)がインストールされている。アプリケーションは、宅外から自律走行型掃除機Sに指令しようとする場合は、広域ネットワークプロトコルを利用して無線LANルータ504を経由して指令が送られるように構成されており、宅内から指令しようとする場合は、無線通信プロトコルにより無線LANルータ504を経由して指令が送られるように構成されている。尤も、宅内に在る場合は、使用者の選択により広域ネットワークプロトコルを利用した通信に切替えることもできる。この場合、この操作端末は宅外から通信されているのと同様の状態になる。
本実施例の判定部563は、操作端末503,505が宅内と宅外どちらから要求を送信しているかの情報を取得して、これを利用した判定を行うことができる。
宅外の場合に自律走行型掃除機Sに対して可能な指令の種類は、宅内の場合に可能な指令の種類と異ならせることができる。指令としては、例えば、自律走行型掃除機Sの起動予約、起動指令、終了予約、終了指令、オートでの(自律での)駆動指令、マニュアルでの駆動指令、予約状況等の情報の閲覧、が挙げられる。このうち、例えばマニュアルでの駆動指令(例えば、現在位置から前進せよとかジャンプせよといった移動指令、設定温度を下げよといった目標値指令)は、指令者による自由度が高いため、セキュリティの観点から宅内モードでのみ可能にしても良い。本実施例での詳細は後述する。
また、例えば、情報の閲覧は宅内及び宅外両方から可能にしても良い。このように指令の種類によっては宅内モードでのみ実行可能にすることで、自律走行型掃除機Sの使用者以外の者が不正に指令を実行させる虞を低減できる。
このように宅内または宅外それぞれから可能な指令の種類は、例えばセキュリティの観点から、操作端末503,505が宅内に在る場合に限って変更可能にしたり、自律走行型掃除機Sに配されたスイッチ等を直接操作したりすることによって変更可能に構成しても良い。
本実施例では上述のように、操作端末が利用するプロトコルによってその位置を判定しているが、例えば操作端末503,505及び自律走行型掃除機SのGPS情報などを利用して具体的な位置を特定することで判定しても良い。
操作端末503,505にインストールされた、自律走行型掃除機Sを制御するためのプログラム(アプリケーション)の起動後に表示することができる画面として本実施例では、リモコン操作画面表示ボタン580によって遷移するリモコン操作画面、予約操作画面表示ボタン590によって遷移する予約操作画面、及び履歴表示画面表示ボタン600によって遷移する履歴表示画面が、また、取扱説明画面表示ボタン610によって遷移する取扱説明画面、メニュー画面表示ボタン620によって遷移するメニュー画面が用意されている。以下、理解を容易にするため、各表示ボタンの符号を各表示ボタンによって遷移する画面にも付することがある。
本実施例では、操作画面に含まれる操作ボタンの種類や配置(レイアウト)は、宅内宅外どちらからの操作かに拘らず同一(略同一でもよい)としている。操作画面の1つとして表示されるリモコン操作画面580に表示される各種ボタン等は、操作端末503,505の例えばタッチパネルに表示される仮想のボタンにすることができる。これら仮想のボタンに触れることでボタンに対応する機能や指令を自律走行型掃除機Sに送信等させるよう操作端末503,505等に処理させることを、便宜的にボタンを「押下」する等と表現する。本実施例では、押下可能な状態のボタンを、図13bのスポットボタン585に例示されるように比較的濃い色で表示し、また、押下不能な状態のボタンを、図13aのスポットボタン585に例示されるように比較的薄い色で表示する。すなわち、押下可能な状態か不能な状態かは、視覚的に区別できる態様で表示される。このように押下不能なボタンであってもこれを表示しておくことで操作画面のレイアウトが変動することを抑制している。
図13aは本実施例の第1操作端末503(宅外)のリモコン操作画面580、図13bは本実施例の第2操作端末5(宅内)のリモコン操作画面580である。リモコン操作画面580には、スタート・ストップボタン581、ホームボタン582、並びに前進ボタン5831、右回転ボタン5832、ちょっと戻るボタン5833、及び左回転ボタン5834で構成される移動ボタン583、並びにさがすボタン584、スポットボタン585、コース選択部586、が表示される。各ボタンの押下によって送信されて自律走行型掃除機Sが実行する動作や機能については後述するが、ボタンの一部によって実現される動作や機能は、使用者が自律走行型掃除機Sの近くにいてその動作や機能が行われていることを知覚できる状態で行われるのが好ましいもの(要知覚性の動作や機能と呼称する。)がある。
要知覚性の動作や機能としては、例えば、自律走行型掃除機Sを知覚できる環境下で行われるのが好ましいもの(例えば、マニュアル操作は目視できる環境下が好ましいし、音を生じさせる場合は同一宅内など周囲に居る場合が好ましい。)、その動作や機能を発揮するときに自律走行型掃除機Sが特定の位置や状況にあることが好ましいもの、が挙げられる。また、要知覚性ではない動作や機能としては、例えば、自律走行型掃除機Sに、周囲を自律的に動き回らせたり、所定の目的地(例えば充電台)を探索するよう自律的に移動させるもの、そのような自律駆動のモードやコースを指定するもの、自律走行型掃除機Sの状態を操作端末503,505が出力可能な態様で出力させることが挙げられる。
本実施例の要知覚性の動作や機能に対応するボタンとしては、移動ボタン583、さがすボタン584、スポットボタン585、が挙げられ、要知覚性のものについては、宅外に在る第1操作端末503によっては押下不能に表示される。また、要知覚性でないものについては、宅内宅外に拘らず押下可能に表示される。
なお、操作端末503,505が宅内に在る場合の操作画面(図13b)の背景589の色と宅外に在る場合の操作画面(図13a)の背景589の色とを互いに異ならせてもよい。このようにすると、操作端末503,505が宅内と宅外どちらのプロトコル又はネットワーク等で自律走行型掃除機Sにアクセスしようとしているのかを使用者に容易に判断可能に報知することができる。
スタート・ストップボタン581は、操作端末503,505が宅内及び宅外どちらに在る場合でも押下可能に表示される。スタート・ストップボタン581を押下すると、自律走行型掃除機Sを自律駆動(掃除)させる指令が送信される。この指令が送受信部561に達し、判定部563が受付許可した場合、処理部562によって指令の内容である自律駆動による掃除が開始される。その他のボタンの押下でも、送受信部561の指令受信から処理部562の実行までの流れは同様である。スタート・ストップボタン581は、自律走行型掃除機Sの運転中は「ストップ」の表示に切り替わり、再度スタート・ストップボタン581を押下することで、自律走行型掃除機Sの運転が停止する。
ホームボタン582は、操作端末503,505が宅内及び宅外どちらに在る場合でも押下可能に表示される。ホームボタン582を押下すると、自律走行型掃除機Sは、予めホームと設定された場所、例えば充電台に戻ろうとする自律走行を開始する。本実施例では、充電台が発する信号を探索するとともにこの信号を辿って充電台に接続しようと走行する。なお、ホームと設定可能な場所を複数登録しておき、ホームボタンによる指令を送信するときにどの場所をホームとして設定するかを選択可能に構成しても良い。ホームボタン582は、自律走行型掃除機Sが充電台に接続されている場合は操作不可能となる。ホームにいるかどうかは後述する状態表示部621に表示可能である。
移動ボタン583は、宅内に在る第2操作端末505では押下可能に表示され、宅外に在る第1操作端末503では押下不能に表示される。移動ボタン583のうち、前進ボタン5831を押下すると自律走行型掃除機Sは前進を開始し、右回転ボタン832を押下すると右回転を開始し、ちょっと戻るボタン833を押下すると後退を開始し、左回転ボタン834を押下すると左回転を開始する。移動ボタン83は、使用者が自律走行型掃除機Sの位置や状態を確認できる状態で操作されることが望ましいため、宅内(第2操作端末5)でのみ操作可能としている。ちょっと戻るボタン833は、運転中の自律走行型掃除機Sに対して、直前の位置(具体的には本体1台分後方)に戻る機能であるため、宅内であっても、自律走行型掃除機Sの運転中のみ操作可能である。
さがすボタン584は、宅内に在る第2操作端末505では押下可能に表示され、宅外に在る第1操作端末503では押下不能に表示される。さがすボタン584を押下すると、自律走行型掃除機Sが音や光を発する。これにより、宅内にいる使用者は、自律走行型掃除機Sがどこにあるか探しやすくなる。
スポットボタン585は、宅内に在る第2操作端末5では押下可能に表示され、宅外に在る第1操作端末503では押下不能に表示される。スポットボタン585を押下すると、自律走行型掃除機Sが現在位置近傍を集中的に清掃する動きを行う。
コース選択部586は、自律走行型掃除機Sの掃除動作時の態様(コース)を択一で選択するスライドである(便宜上、スライドもボタンと呼称することがある)。本実施例では、通常コースとマナーコースとを選択可能に構成されており、通常コースでは、自律走行型掃除機Sの駆動輪3、4を駆動させる駆動機構部(駆動輪のモータ)や、サイドブラシ6を駆動させるモータ、塵埃の吸引に用いられる吸引ファン22の駆動音がマナーコースに比して大きくなることを許容するコースである。使用者のうち、駆動音の低減よりも掃除性能や駆動時間の短縮を重視する者は、本コースを選択することが多いと考えられる。一方、マナーコースでは、これらモータの駆動音が比較的小さくなるように掃除が実行されるコースである。使用者のうち、駆動音を小さくすることを望む者は、本コースを選択することが多いと考えられる。
コースは、後述のモードボタン630,640,650それぞれから選択可能なモードについて選択可能である。例えば、自動モードの通常コース、自動モードのマナーコース、念入りモードの通常コース、念入りモードのマナーコース、お好みモードの通常コース、お好みモードのマナーコースを設定することができる。
第1操作端末503又は第2操作端末505の使用者は、自動モードボタン630、念入りモードボタン640、及びお好みモードボタン650から1種を選択して押下できる。これらのボタンは、スタートボタン581等による操作で自律走行型掃除機Sの駆動を開始させた場合、どのように自律駆動するかのパラメータを指定するものである。
自動運転モードボタン630の押下によって自動モードを選択した場合、床面の状態(例えば材質。床面の種類の判定は種々公知の方法を採用できる)。や、上述のごみセンサが検知するごみの量によって、自律走行型掃除機Sの吸引ファン22の駆動強さを「標準」及び「強」どちらかに自律的に切り替える。また、駆動輪3,4を「速い」速度で回転させる。清掃時間はセンサによって検知した清掃する空間の広さとごみセンサで検知したごみの残量によって、例えば約30分から約60分を自動で判断する。
念入り運転モードボタン640の押下によって念入りモードを選択した場合、運転時間を自動モードより長くする。例えば約70分固定にする。
お好みモード設定ボタン650を押下した場合、図13cに例示する画面に遷移する。お好みモードとして調整可能に設定されたパラメータとして本実施例では、壁近くを走行する「壁際走行」、壁や障害物から離れる方向に走行する「反射走行」、椅子の脚などの細い障害物の周囲を回るように走行する「脚周り走行」の実行しやすさ(実行確率)を用意している。本実施例では、これら3種のパラメータのうち何れを重視するかを選択可能なボタン651,652,653を使用者に提示する。壁際走行重視モードボタン651による場合、その他のお好みモード652,653に比べて壁際走行を実行する確率を高くする。反射走行重視モードボタン652による場合は、その他のお好みモードに比べて反射走行を実行する確率を高くする。脚周り走行重視モードボタン653による場合は、その他のお好みモードに比べて脚周り走行を実行する確率を高くする。
リモコン操作画面580には他に、状態表示部621、おしらせ表示部622が表示される。状態表示部621には、「運転中」、「停止中」、「ホーム」、又は「未接続」の4種類何れかの旨が表示される。「運転中」は、自律走行型掃除機Sが駆動していること(本実施例では清掃中であること)を示す。「停止中」は、自律走行型掃除機Sが駆動を停止していることを示す(「ホーム」の状態である場合は「ホーム」が優先して表示される)。「ホーム」は、自律走行型掃除機Sが充電台に接続していることを示す。「未接続」である場合は、自律走行型掃除機Sとの通信が確立できていないことを示す。このように自律走行型掃除機Sの状態を表示する領域を設けることによって、自律走行型掃除機Sが使用者の知覚できない場所にある場合でも、使用者は自律走行型掃除機Sの状態を知ることができる。また、「運転中」の場合は状態表示部621を押下することができるように構成されており、後述する履歴画面と同様の画面により現在の運転状況の詳細を確認することができる。なお、図13aでは「未接続」である旨が、図13bでは停止中である旨が表示されている。
おしらせ表示部622は、自律走行型掃除機Sに対するメンテナンスなど、使用者に何らかの行為を求める必要が発生した場合(おしらせが発生した場合)に、その旨を使用者に知らせることができる。おしらせがある場合、おしらせ表示部622は押下可能になる。この状態でおしらせ表示部622を押下すると、例えば、「本体を移動してください」、「ブラシに絡みついたものを取り除いてください」といった、使用者に求める行為の内容が表示される。この内容については、文字だけでなく、例えば図解や動画を使用して説明してもよい。図解や動画は、予めアプリケーションとともにインストールされていても良いし、サーバにアクセスしてサーバに図解や動画を要求するようにしても良い。
図14aは本実施例の操作端末503,505に表示される予約操作画面590である。本実施例での予約操作は、曜日ごとに1回分の運転予約が可能である。予約操作画面590は、予約状態表示部591、曜日表示部592、運転開始時刻指定部593、モード指定部593、コース指定部594を含んでいる。曜日表示部592に示された曜日ごとに、例えば月曜日の予約設定を希望する使用者は、例えば「月」と表示された曜日表示部592が属する行の予約設定ボタン595を押下する。すると、月曜日の運手開始時刻、モード、コースを指定する画面に遷移する。具体的な運転開始時刻等の指定は、種々公知の指定方法で行うことができる。また、予約状態表示部591を押下すると、予約のON/OFFを切替できる。図14bは、予約設定ボタン595を押下したときに遷移する予約設定画面である。予約設定画面には、押下された予約設定ボタン595と同じ行の曜日表示部592aの内容が表示される(符号592a)。また、運転開始時刻は、時間単位指定部593aと分単位指定部593bをスクロールすることで1時間刻み及び5分刻みに設定できる。また、モード及びコースはそれぞれモード指定部594a及びコース指定部595aから選択可能である。この機能は、使用者知覚の必要がないため、操作端末503,505が宅内及び宅外どちらに在る場合でも使用可能である。
図15aは本実施例の操作端末503、505に表示される履歴表示画面600である。履歴表示画面600は、自律走行型掃除機Sの運転が行われた運転日表示601、運転開始時刻表示602、運転開始から終了までの時間603、運転開始から終了までの走行距離604を表示することができ、例えば運転日の新しいものから順に表示することができる。また、運転日ごとに詳細表示ボタン605が設定されており、これを押下することで、履歴詳細画面(図15b)に遷移する。この画面では、運転したモード606および運転したコース607、運転したマップ608を含んで確認することができる。
この機能は、使用者知覚の必要がないため、操作端末503,505が宅内及び宅外どちらに在る場合でも使用可能である。
取扱説明画面表示ボタン610を押下すると、あらかじめWEB上(例えばサーバ50上)にアップロードしたコンテンツにリンクし、使用者が自律走行型掃除機Sの使用方法を確認することができる。このコンテンツは文章でもよいし、図象や動画でもよい。この機能は、使用者知覚の必要がないため、操作端末503,505が宅内及び宅外どちらに在る場合でも使用可能である。
図16はメニュー画面表示ボタン620を押下した際のメニュー画面である。この画面620より、詳細の内容設定を行うことができる。例えば、本実施例では、1つの操作端末503,505にインストールされたアプリケーションから自律走行型掃除機Sを5台まで操作することができるように構成されている。
「機器選択」、「機器の追加」、「機器の削除」といった機能がある。「機器の追加」からは、公知のペアリングによって1台の自律走行型掃除機Sを操作端末3,5に関連付けることができる。これにより、操作端末503,505はペアリングされた自律走行型掃除機Sを操作できるようになる。「機器選択」からは、ペアリング済の自律走行型掃除機Sのうち何れに対する操作を行うのかを選択することができる。すなわち、操作端末503,505は、1の操作で1の自律走行型掃除機Sを操作する。「機器の削除」からは、ペアリングした自律走行型掃除機Sの情報の削除を行うことができる。
また、逆に1つの自律走行型掃除機Sは、最大5つの操作端末503、505から操作要求を受付可能に構成されている。複数の操作端末503、505からの操作詳細については後述する。
また、「バージョン情報」を選択することで自律走行型掃除機Sのソフトウエアおよび操作端末503、505のアプリケーションの確認を行うことができる。これにより、例えば、使用者は自律走行型掃除機Sのソフトウエアが最新であるかどうかを確認でき、ソフトウエアの更新が可能である。その他、メニュー620からは、各種情報を閲覧することが可能である。
本実施例では、前述のとおり1台の自律走行型掃除機Sを最大5台の操作端末503、505によって操作することができる。また、操作端末503(宅外)が複数ある場合、複数の使用者がそれぞれを知覚できない距離で自律走行型掃除機Sを操作することになる可能性がある。その場合、複数の操作端末503、505からの要求情報を同時に適用してしまうと、使用者の意図しない動作をしてしまう虞がある。そこで本実施例の端末情報記憶部564は、操作端末503,505の優先順位情報を記憶可能に構成されても良い。例えば、自律走行型掃除機Sの使用者が自律走行型掃除機S又は操作端末503,505の操作を通じて、操作端末503,505のうち1つが他方に優先するという設定を予めしておくことができる。本実施例では操作端末Aが優先されるように設定されたとして説明する。
この場合、端末情報記憶部564に操作端末Bの操作端末情報が格納されている(操作端末Bが操作権を有する)間に、操作端末Aが自律走行型掃除機Sへの要求を送信したとする。このとき、判定部563は、操作権を有する操作端末Bよりも現在要求を受信した操作端末Aの優先順位が高いことを検知し、例えば、操作端末Aに次の情報(1)〜(3)の一部又は全部を、操作端末Bに次の情報(4)又は(5)を報知する。
(1)現在他の端末に記憶端末情報が設定されている。
(2)現在操作端末Bに記憶端末情報が設定されている。
(3)記憶端末情報消去部の情報。例えば計時部65の測定時間。
(4)自己より高い優先順位の他の操作端末が要求を送信している。
(5)自己より高い優先順位の操作端末である操作端末Aが要求を送信している。
次に、操作端末Aは、操作権を取得するか否かの問合せを自律走行型掃除機Sから受信する。操作権の(強制的な)取得を望む場合は、望む旨を自律走行型掃除機Sに返信することで、判定部563は操作端末Bの操作権を消去するとともに第1操作端末Aに操作権を付与する。
この操作優先権は、予め設定しておかなくとも、ある1つの操作端末Cが要求情報を送信した場合、その操作端末Cが一定時間(例えば5秒)他の操作端末503、505よりも優先権を得ることで、複数の操作端末503、505が同時に要求情報を送信することを防ぐことができる。
また、自律走行型掃除機Sを複数の操作端末503、505が操作できる状態である場合、自律走行型掃除機Sで例えば選択されているコース586の情報や、モード630、640、650の情報、および予約操作画面590履歴表示画面600の情報は共有できることが望ましい。そのため、これらの情報は自律走行型掃除機Sの端末情報記憶部564に記憶され、定期的(例えば宅内の情報端末505は0.3秒ごと、宅外の情報端末503は1分ごと)に無線LANルータ4を通じて他の操作端末503、505に反映される。
自律走行型掃除機Sは、操作端末503,505以外に掃除機本体1の本体操作ボタン7でも操作可能である。また、選択されているコース586の情報や、モード設定ボタン630、640、650による設定の情報、および予約操作画面590の一部を表示パネルに表示することが可能である。これにより、掃除機本体1も操作端末の1つとして扱うことができ、無線ルータ504を通じて、表示パネルの表示を情報端末503,505と共有することが可能である。操作ボタン7での操作も無線ルータ504を通じて、操作端末503、505に反映される。すなわち、表示パネルは、操作端末503,505にインストールされたアプリケーションによって確認可能な情報の好ましくは全部が表示可能に構成される。例えば本体操作ボタンとして、リモコン操作画面表示ボタン580、予約操作画面表示ボタン590、履歴表示画面表示ボタン600、取扱説明表示ボタン610と同様の機能の本体ボタンを含んで構成されることができる。
表示パネルは、これら本体ボタンの操作に応じて、リモコン操作画面580、予約操作画面590、履歴表示画面600、取扱説明表示画面610を表示可能に構成されることができる。また、表示パネルがリモコン操作画面580を表示する場合、操作権を有する操作端末からの要求内容(例えば、前進ボタン5831が押下されていること)を合わせて表示することが好ましい。
この場合、掃除機本体1を操作する使用者が最も掃除機本体1に近く、正確に知覚できていると考えられるため、操作の優先度は操作端末503,505よりも本体操作ボタンが高いことが望ましい。例えば、宅外から使用者Aが操作端末503を操作して自律走行型掃除機Sを動かしており、掃除機本体1が動作してほしくない場所に向かってしまった場合、掃除機本体1と同じ場所にいる使用者Bが本体操作ボタンを操作することで、優先して掃除機本体1の動きを変えることができる。本体操作ボタンによる操作内容は、操作端末503,505のリモコン操作画面580や予約操作画面590にも表示されるべく、自律走行型掃除機Sから送信される。
参考例の構成は、次の点を除き本実施形態と同様にできる。図17は参考例の機器制御システムの模式図である。
本実施形態では、第1操作端末503(宅外)と第2操作端末505(宅内)とで、操作画面580に表示される操作ボタンのレイアウトを同一又は略同一にすることで、操作端末の位置が変わってもレイアウトを維持できるため、使用者が習得すべき操作方法の種類が増加することを抑制できる。
参考例では、操作端末503(宅外)と操作端末505(宅内)の操作画面を全く別のものにしている。例えば、宅内のリモコン操作画面(図13b)に対して、宅外のリモコン操作画面を図17のようにして、操作できるボタンのみに絞ったレイアウトにしている。このようにすることにより、操作端末503、505の違いを使用者がより判別できるようになる。また、操作端末503、505によって同じ位置のボタンで違う機能を持たせると使用者が混乱するため、レイアウトを変更することで機能の違いを判別できるようになる。