JP2021100550A - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠位端側の処置部に接続されている2つの長尺部材同士が接触したとしても、筒体からの処置部の突出長さを確保することができる内視鏡用処置具を提供する。【解決手段】筒体10と、第1の長尺部材21および第2の長尺部材22と、長尺部材に設けられた第1の処置部25および第2の処置部26と、ハンドル本体30と、第1の長尺部材21に接続された第1のスライダー40と、を備えた内視鏡用処置具1。第1の長尺部材21は、筒体10の主ルーメン10aおよび第1の端部ルーメン10bに挿通され、第2の長尺部材22は、筒体10の主ルーメン10aおよび第2の端部ルーメン10cに挿通され、筒体10内に第2の長尺部材22を配置しない状態において、第1のスライダー40の摺動が第3次停止箇所で停止し、第1の処置部25の近位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置する。【選択図】図1
Description
本発明は、内視鏡下手術において体腔内の生体組織等の処置対象物の処置に用いられる内視鏡用処置具に関する。
内視鏡下手術において異なる種類の処置を行う際には、内視鏡内に挿入される処置具の交換が行われることがある。処置具の交換は、長尺な内視鏡から処置具を引き抜いた後、別の処置具を内視鏡内に配置することにより行うため時間を要し、術者の負担になっていた。また、処置具の交換中は処置を行うことができないため、手術全体の長時間化を引き起こし、患者の負担にもなっていた。このような負担を軽減するため、1つのデバイスで2種類の処置を実施することができる内視鏡用処置具が検討されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、内部に第1の管路及び第2の管路が形成された可撓性のシースと、第1の管路内に進退可能に挿通され、先端に流体注入針、手元端に流体供給部がそれぞれ設けられた可撓性チューブと、第2の管路内に、前記可撓性チューブとは独立して進退可能に挿通され、先端に切開部が形成された金属製ワイヤからなる切除具とを具備した内視鏡用処置具が開示されている。可撓性チューブや金属製ワイヤを進退させることにより、シースの先端から流体注入針や切開部を突没させることができる。この処置具では、第1の管路と第2の管路は、可撓性シースに形成されている仕切り壁によって仕切られているため、可撓性チューブと切除具は接触せず進退操作が行いやすい。しかし、このような仕切り壁は一般にシースの遠位端から近位端まで延在しているため、シングルルーメンのシースに比べて大径化が避けられない。このため、特許文献2に記載されているような処置具が開発されている。
特許文献2には、単一の内腔を有する可撓性シースの先端部分に、可撓性シースの先端から突出する二つの処置部材の先端部分を案内するための電気絶縁材からなる先端ガイド部材が設けられた内視鏡用高周波処置具が開示されている。先端ガイド部材は、可撓性シースの先端部分の軸線周り方向に回転自在に設けられ、先端ガイド部材には真っ直ぐなロッド状の高周波処置部材を案内するための高周波処置部材案内孔と、斜め前方に向かって湾曲した一方のロッド状の粘膜片押し退け部材を案内するための押し退け部材案内孔とが並んで貫通形成されている。
特許文献2に記載された処置具では、先端ガイド部材の後端部近傍に全周にわたって突出形成された突出部が、可撓性シースの先端近傍の内周面に形成された円周溝に係合しているため、可撓性シースの大径化を防ぐことができる。一方、可撓性シース内は仕切られていないため、先端ガイド部材よりも近位の位置では第1の処置部材と第2の処置部材に個別に連結された2本の操作ワイヤが自重で垂れ下がり、接触するおそれがある。その結果、2本の操作ワイヤは互いの動きを規制するため、操作ワイヤの進退操作が行いにくくなるだけでなく、先端ガイド部材からの処置部材の突出長さが不十分となり、必要な処置を実施できないおそれがある。そこで、本発明は、処置部に接続されている2つの長尺部材同士が接触したとしても、筒体からの処置部の突出長さを確保することができる内視鏡用処置具を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成し得た本発明の内視鏡用処置具の一実施態様は、遠位端と近位端を有する筒体と、筒体内に配置され、筒体に対して筒体の長手方向に移動可能な第1の長尺部材および第2の長尺部材と、第1の長尺部材の遠位端部に設けられている第1の処置部と、第2の長尺部材の遠位端部に設けられている第2の処置部と、筒体の近位部または筒体より近位に設けられているハンドル本体と、第1の長尺部材の近位端部に接続され、ハンドル本体に対して摺動可能な第1のスライダーと、を備え、筒体には、主ルーメンと、主ルーメンより遠位に位置し、主ルーメンとそれぞれ連通し、主ルーメンより小径かつ主ルーメンより短い第1の端部ルーメンおよび第2の端部ルーメンと、が設けられており、第1の長尺部材は、主ルーメンおよび第1の端部ルーメンに挿通され、第2の長尺部材は、主ルーメンおよび第2の端部ルーメンに挿通され、筒体内に第1の長尺部材を配置し、第2の長尺部材を配置していない状態において、下記[条件1]〜[条件3]を満たす点に要旨を有する。
[条件1] 第1のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の遠位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より近位かつ第1の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件2] 第1のスライダーの可動範囲内であって第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の遠位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件3] 第1のスライダーの可動範囲内であって第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の近位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件1] 第1のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の遠位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より近位かつ第1の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件2] 第1のスライダーの可動範囲内であって第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の遠位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件3] 第1のスライダーの可動範囲内であって第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、第1のスライダーの摺動が停止され、第1の処置部の近位端は、第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
上記内視鏡用処置具によれば、第1のスライダーを第2次停止箇所からさらに遠位に動かすことによって筒体の先端から処置部を突出させることができるため、第1の長尺部材と第2の長尺部材が接触したとしても、筒体からの第1の処置部の突出長さを確保することができる。このため、処置具の交換をすることなく第1の処置部と第2の処置部を用いて異なる処置を行うことが可能となり、術者および患者の負担が軽減される。また、筒体の遠位端から近位端に亘ってマルチルーメン構造にする必要がないため、筒体の大径化を防ぐことができる。
上記内視鏡用処置具は、第2の長尺部材の近位端部に接続され、ハンドル本体に対して摺動可能な第2のスライダーをさらに備え、筒体内に第2の長尺部材を配置し、第1の長尺部材を配置していない状態において、下記[条件4]〜[条件6]を満たすことが好ましい。
[条件4] 第2のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の遠位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より近位かつ第2の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件5] 第2のスライダーの可動範囲内であって第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の遠位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件6] 第2のスライダーの可動範囲内であって第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の近位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件4] 第2のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の遠位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より近位かつ第2の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件5] 第2のスライダーの可動範囲内であって第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の遠位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件6] 第2のスライダーの可動範囲内であって第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、第2のスライダーの摺動が停止され、第2の処置部の近位端は、第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
上記内視鏡用処置具において、第1のスライダーと第2のスライダーは、筒体の長手方向に摺動可能であることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、第2のスライダーの摺動方向は、第1のスライダーの摺動方向に対して傾斜していることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、ハンドル本体には、第1のハンドルルーメンと、第2のハンドルルーメンとが設けられており、第1のスライダーは、第1のハンドルルーメンに配置され、第2のスライダーは、第2のハンドルルーメンに配置されていることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、ハンドル本体は、第1のハンドル本体と、第2のハンドル本体とを有し、第1のスライダーは、第1のハンドル本体に対して摺動可能であり、第2のスライダーは、第2のハンドル本体に対して摺動可能であることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、第1の端部ルーメンと第2の端部ルーメンは、筒体内に設けられている隔壁によって区画されていることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、筒体は、主ルーメンが設けられている本体部材と、本体部材の遠位端部に接続され、第1の端部ルーメンと第2の端部ルーメンが設けられている先端部材とを有することが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、第1の端部ルーメンと第2の端部ルーメンは、互いに平行に延在していることが好ましい。
上記内視鏡用処置具は、筒体の長手方向において、第1の処置部の長さが、第1の端部ルーメンの長さより短いことが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、第1の長尺部材と第2の長尺部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであることが好ましい。
上記内視鏡用処置具において、第1の長尺部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであり、第2の長尺部材は、樹脂製の筒部材であることが好ましい。
上記内視鏡用処置具によれば、第1のスライダーを第2次停止箇所からさらに遠位に動かすことによって筒体の先端から処置部を突出させることができるため、第1の長尺部材と第2の長尺部材が接触したとしても、筒体からの第1の処置部の突出長さを確保することができる。このため、処置具の交換をすることなく第1の処置部と第2の処置部を用いて異なる処置を行うことが可能となり、術者および患者の負担が軽減される。また、筒体の遠位端から近位端に亘ってマルチルーメン構造にする必要がないため、筒体の大径化を防ぐことができる。
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
本発明の内視鏡用処置具の一実施態様は、遠位端と近位端を有する筒体と、筒体内に配置され、筒体に対して筒体の長手方向に移動可能な第1の長尺部材および第2の長尺部材と、第1の長尺部材の遠位端部に設けられている第1の処置部と、第2の長尺部材の遠位端部に設けられている第2の処置部と、筒体の近位部または筒体より近位に設けられているハンドル本体と、第1の長尺部材の近位端部に接続され、ハンドル本体に対して摺動可能な第1のスライダーと、を備え;筒体には、主ルーメンと、主ルーメンより遠位に位置し、主ルーメンとそれぞれ連通し、主ルーメンより小径かつ主ルーメンより短い第1の端部ルーメンおよび第2の端部ルーメンと、が設けられており;第1の長尺部材は、主ルーメンおよび第1の端部ルーメンに挿通され、第2の長尺部材は、主ルーメンおよび第2の端部ルーメンに挿通され;筒体内に第1の長尺部材を配置し、第2の長尺部材を配置していない状態において、後述する[条件1]〜[条件3]を満たす。上記内視鏡用処置具によれば、第1の長尺部材と第2の長尺部材が接触して長尺部材の有効長が所定値よりも短くなり、筒体の先端からの処置部の突出長さが不十分となったとしても、第1のスライダーを第2次停止箇所からさらに遠位に動かすことによって筒体の先端から処置部を突出させることができるため、筒体からの第1の処置部の突出長さを確保することができる。このため、処置具の交換をすることなく第1の処置部と第2の処置部を用いて異なる処置を行うことが可能となり、術者および患者の負担が軽減される。また、筒体の遠位端から近位端に亘ってマルチルーメン構造にする必要がないため、筒体の大径化を防ぐことができる。
本発明において、内視鏡用処置具は、内視鏡下手術において体腔内の生体組織等の処置対象物への薬剤の注入、処置対象物の採取、把持、絞扼、切開、切除、加熱、焼灼、光治療、超音波治療、衝撃波治療等の各種治療を行うために用いられる処置具である。内視鏡用処置具は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿入され、内視鏡の鉗子チャンネルの遠位部から体内に配置され、処置対象物またはその近傍まで送達される。内視鏡用処置具は、あらゆる臓器の生体組織の治療に使用することができる。以下では、内視鏡用処置具を単に処置具と称することがある。
図1〜図5を参照しながら、内視鏡用処置具の基本構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の第1の処置部を筒体から突出させた状態を示す側面断面図を表し、図2は、図1に示した内視鏡用処置具の遠位部を拡大した側面断面図を表す。図3は、本発明の一実施形態に係る内視鏡用処置具の第2の処置部を筒体から突出させた状態を示す側面断面図を表し、図4は、図3に示した内視鏡用処置具の遠位部を拡大した側面断面図を表す。図5は、図1に示した筒体のV−V線に沿った断面図を表す。内視鏡用処置具1は、筒体10と、第1の長尺部材21と、第2の長尺部材22と、第1の処置部25と、第2の処置部26と、ハンドル本体30と、第1のスライダー40と、を備えている。以下では、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22をまとめて「長尺部材」と、第1の処置部25と第2の処置部26をまとめて「処置部」と称することがある。なお、図5では、発明の理解を容易にするため、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22を省略して記載している。
本発明において、内視鏡用処置具1の近位側とは、筒体10の長手方向に対して使用者、つまり術者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側を指す。また、筒体10の近位側から遠位側への方向または、遠位側から近位側への方向を遠近方向と称する。内視鏡用処置具1の内方とは、筒体10の径方向において筒体10の長軸中心に向かう方向を指し、外方とは、内方とは反対方向の放射方向を指す。
処置具1を用いて処置を行う際は、まず、第1の処置部25が設けられた第1の長尺部材21と第2の処置部26が設けられた第2の長尺部材22を配置した筒体10の遠位部を、内視鏡の鉗子チャンネルに挿入する。処置具1を鉗子チャンネルに挿入する際には、筒体10内に第1の処置部25および第2の処置部26が収容されていることが好ましい。鉗子チャンネルを通じて、処置具1を処置対象物の近くまで搬送し、その後、図1に示すように手元側の第1のスライダー40を操作して、図1〜図2に示すように第1の処置部25を筒体10から突出させることにより、第1の処置部25によって処置を行うことができる。また、図3に示すように処置具1に好ましく設けられる第2のスライダー50を操作して、図3〜図4に示すように第2の処置部26を筒体10から突出させることにより、第2の処置部26によって処置を行うことができる。なお、第1の処置部25と第2の処置部26を筒体10から突出させた状態で処置を行ってもよく、第1の処置部25と第2の処置部26のいずれか一方を筒体10内に収容し、第1の処置部25と第2の処置部26のいずれか他方を筒体10から突出させた状態で処置を行ってもよい。
筒体10は、遠位端と近位端を有する部材である。筒体10は、長尺に形成されており、長手方向と径方向を有している。筒体10内には、筒体10に対して筒体10の長手方向に移動可能な第1の長尺部材21および第2の長尺部材22が配置されている。筒体10には、主ルーメン10aと、第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cとが設けられており、第1の長尺部材21は、主ルーメン10aおよび第1の端部ルーメン10bに挿通され、第2の長尺部材22は、主ルーメン10aおよび第2の端部ルーメン10cに挿通されている。第1の長尺部材21の遠位端部には第1の処置部25が設けられ、第2の長尺部材22の遠位端部には第2の処置部26が設けられている。他方、筒体10の近位部または筒体10より近位にはハンドル本体30が設けられている。また、処置具1は、第1の長尺部材21の近位端部に接続され、ハンドル本体30に対して摺動可能な第1のスライダー40を備えている。
筒体10はその遠位側(好ましく遠位端面)に設けられている開口を介して外部と連通していることが好ましい。例えば、図2および図4では、筒体10の遠位端面に、第1の端部ルーメン10bと連通している第1の開口11aと、第2の端部ルーメン10cと連通している第2の開口11bが形成されている。第1の処置部25は、第1の開口11aから突出可能であり、第2の処置部26は、第2の開口11bから突出可能であることが好ましい。
第1の開口11aと第2の開口11bは、いずれも筒体10の遠位端面に設けられていることが好ましいが、第1の開口11aと第2の開口11bの少なくともいずれか一方が、筒体10の外周面に設けられていてもよい。処置部の出入口や露出口としての機能を有する筒体10の開口の位置は、処置部の種類に応じて選択することができる。例えば、処置部として側方照射型の光照射プローブを採用する場合には、開口が筒体10の外周面に設けられていることが好ましい。
筒体10は、体腔内の形状に沿って屈曲する可撓性と、処置対象部まで確実に到達する剛性の両方をバランス良く兼ね備えていることが望ましい。筒体10は、生体適合性を有する材料から構成されることが好ましい。筒体10としては、樹脂チューブ、単線または複数の線材、撚線の線材を所定のパターンで配置することによって形成された筒部材、金属管またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。線材が所定のパターンで配置された筒部材としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。網目構造やコイルは、筒体10の長手方向の全体にわたって一定の密度で形成されていてもよく、筒体10の長手方向の位置によって異なる密度で形成されていてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面には切込みや、溝が形成されていてもよい。切込みや溝の形状は、直線状、円弧状、環状、らせん状やこれらの組み合わせとすることができる。中でも、溝が金属管の軸方向の中央よりも遠位側の外表面、特に外周面に形成されていることが好ましい。
筒体10は樹脂または金属から構成されることが好ましい。筒体10を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好適に用いられる。筒体10を構成する金属としては、例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni−Ti合金、Co−Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特に、Ni−Ti合金から構成されている線材は、形状記憶性および高弾性に優れている。また、線材は、上述の金属、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等の繊維材料であってもよい。繊維材料は、モノフィラメントであっても、マルチフィラメントであってもよい。また、樹脂から構成されている筒部材に金属線材等の補強材が配設されているものを筒体10として用いてもよい。
筒体10は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。また、長手方向において、筒体10の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
図5は、図1に示した筒体10のV−V線に沿った断面図である。図2、図4〜図5に示すように、筒体10には、主ルーメン10aと、第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cとが設けられている。主ルーメン10aは、単一のルーメンであることが好ましい。これにより、主ルーメン10aが設けられている部分での筒体10の可撓性を確保することができる。以下では、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cをまとめて「端部ルーメン」と称することがある。
主ルーメン10aの内径は、筒体10の長手方向の全体に亘って一定の大きさであってもよく、筒体10の長手方向の位置によって異なっていてもよいが、筒体10の長手方向の全体に亘って一定の大きさであることが好ましい。これにより、第1の長尺部材21や第2の長尺部材22が主ルーメン10aで摺動または回転に必要なスペースが確保されやすくなるため、これらの操作が行いやすくなる。
第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cは、主ルーメン10aより遠位に位置し、主ルーメン10aとそれぞれ連通している。主ルーメン10aは、端部ルーメン10b、10cに分かれると言うこともできる。好ましくは、第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cは、主ルーメン10aと隣接して設けられている。このように第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cを設けることにより、第1の処置部25と第2の処置部26の接触を防ぐことができる。
第1の端部ルーメン10bおよび第2の端部ルーメン10cは、主ルーメン10aより小径かつ主ルーメン10aより短いものである。このように端部ルーメンを主ルーメン10aより短く形成することによって、筒体10の長手方向全体の可撓性を確保しやすくなる。また、端部ルーメンを主ルーメン10aよりも小径にすることによって、端部ルーメンが設けられている区間での筒体10の大径化を防ぐことができる。
図1〜図4に示すように、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cは、互いに平行に延在していることが好ましい。これにより、端部ルーメン内で長尺部材を摺動させやすくなる。
第1の端部ルーメン10bの内径と第2の端部ルーメン10cの内径は、それぞれ筒体10の長手方向の全体に亘って一定の大きさであってもよく、筒体10の長手方向の位置によって異なっていてもよい。中でも、第1の端部ルーメン10bの内径と第2の端部ルーメン10cの内径は、いずれも筒体10の長手方向の全体に亘って一定の大きさであることが好ましい。これにより、端部ルーメンにおいて第1の長尺部材21や第2の長尺部材22が摺動または回転に必要なスペースが確保されやすくなるため、これらの操作が行いやすくなる。
第1の端部ルーメン10bの内径と第2の端部ルーメン10cの内径は、同一であってもよく、いずれか一方が他方よりも大きくてもよく、処置部や長尺部材の種類に応じて選択することができる。例えば、筒体10の長手方向の一部で、第1の端部ルーメン10bの内径が第2の端部ルーメン10cの内径よりも大きく、筒体10の長手方向の他部で、第1の端部ルーメン10bの内径と第2の端部ルーメン10cの内径が同一であってもよい。
第1の端部ルーメン10bの遠位端と第2の端部ルーメン10cの遠位端は、筒体10の遠位端と一致していることが好ましい。すなわち、筒体10の第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cよりも遠位には他のルーメンが存在しないことが好ましい。これにより筒体10の端部ルーメンよりも遠位の位置での第1の処置部25と第2の処置部26の接触を防ぐことができる。なお、処置部の種類に応じて、第1の端部ルーメン10bの遠位端と第2の端部ルーメン10cの遠位端は、筒体10の長手方向において異なる位置に配置されていてもよい。
筒体10の長手方向と垂直な断面形状は、例えば、円形状、長円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせとすることができる。なお、長円形状には、楕円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれる。筒体10の長手方向と垂直な断面形状は、円形状または楕円形状であることが好ましい。これにより、筒体10内に配置される長尺部材の摺動性を確保しやすくなる。
図2、図4〜図5に示すように、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cは、筒体10内に設けられている隔壁12によって区画されていることが好ましい。このように隔壁12を設けることによって、端部ルーメンの内径が大きく、かつ筒体10の外径が小さくなるように筒体10内を区画することができる。
隔壁12は、例えば筒体10内を区画するための面を有する板状に形成することができる。隔壁12は、平面状に形成されていてもよく、曲面状に形成されていてもよい。また、隔壁12の一部が折れ曲がるように形成されていてもよい。
隔壁12の肉厚は、端部ルーメンが設けられている区間での筒体10の肉厚よりも小さいことが好ましい。これにより、端部ルーメンが設けられている区間での筒体10の可撓性を確保することができる。
隔壁12は、筒体10の長軸中心を通る位置に配されていることが好ましい。このように隔壁12を配することにより、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cの内径を同程度に構成しやすくなる。
隔壁12は、筒体10と一体的に形成されていることが好ましい。これにより、隔壁12が筒体10に強固に固定されるため、処置部や長尺部材と隔壁12との接触による隔壁12の位置ズレを防ぐことができる。
隔壁12は、筒体10の遠位端を含みそれより近位側の部分に設けられていることが好ましい。これにより筒体10の端部ルーメンよりも遠位の位置での第1の処置部25と第2の処置部26の接触を防ぐことができる。
図6は、筒体10の変形例を示す断面図である。図6に示すように、筒体10は、主ルーメン10aが設けられている本体部材14と、本体部材14の遠位端部に接続され、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cが設けられている先端部材15とを有することが好ましい。このように筒体10を複数の部材から構成することで、端部ルーメンを形成しやすくなる。例えば、処置部の種類や形状に応じて、第1の端部ルーメン10bと第2の端部ルーメン10cの内径や形状を変えることが容易となる。
本体部材14は、単筒状に形成されていることが好ましい。すなわち、本体部材14に設けられている主ルーメン10aは、単一のルーメンであることが好ましい。
先端部材15は、互いに平行に延在している2つのルーメンを有する筒状に形成することができる。なお、先端部材15の内部を区画するためには、隔壁12が、先端部材15の内部に設けられていてもよい。
図6に示すように、先端部材15のうち本体部材14と当接している当接部16の近位端16aは、隔壁12の近位端12aより遠位に位置していることが好ましい。これにより、先端部材15が設けられている部分で筒体10の外径または内径が大きくなることを防ぎつつ、端部ルーメンを長く形成することができる。
先端部材15は、本体部材14の遠位端部に固定されていることが好ましい。本体部材14と先端部材15の固定には、接着剤による接着;熱溶着;係合、嵌合、かしめ等の機械的な固定等の方法を用いることができる。
先端部材15の一部は、単筒状の本体部材14の内腔に挿入されていることが好ましい。また、筒体10の径方向において、本体部材14の外方端と先端部材15の外方端が一致していることがより好ましい。これにより、先端部材14が設けられている部分での筒体10の大径化を防ぐことができる。
本体部材14の材料と先端部材15の材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、本体部材14と先端部材15を熱溶着で固定しやすくするためには、本体部材14と先端部材15の材料は同一であることが好ましい。
隔壁12、本体部材14および先端部材15の材料としては、筒体10の材料の説明を参照することができる。端部ルーメンが設けられている区間での筒体10の可撓性を確保するためには、隔壁12や先端部材15は樹脂から構成されていることが好ましい。
図1〜図4に示すように、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22は、筒体10内に配置され、筒体10に対して筒体10の長手方向に移動可能なものである。第1の長尺部材21の遠位端部には第1の処置部25が設けられ、第2の長尺部材22の遠位端部には第2の処置部26が設けられている。また、第1の長尺部材21の近位端部は第1のスライダー40に接続されている。長尺部材は、処置部とスライダーを接続し、処置部を筒体10から突没させるための牽引部材として機能する。長尺部材は、体腔内の形状に沿って屈曲する可撓性と、処置対象部まで確実に到達する剛性の両方をバランス良く兼ね備えていることが望ましい。
長尺部材は、筒体10の長手方向に沿って延在している部材であれば、その種類は特に限定されない。長尺部材は筒体10と同様に、樹脂または金属から構成することができる。また、長尺部材は、石英ガラス、ふっ化物ガラス等のガラスから構成することもできる。長尺部材は、複数の材料からなる複合体であってもよく、例えば、長尺部材は、金属と合成樹脂の複合体であってもよい。長尺部材の材料は、筒体10の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
長尺部材としては、筒体10と同様に樹脂チューブ、単線または複数の線材、撚線の線材を所定のパターンで配置することによって形成された筒部材、金属管またはこれらを組み合わせたものを用いることができる。これにより、長尺部材内に薬剤等を流す、または長尺部材内に処置部を有する別の部材を挿通することが可能となる。処置部が薬剤注入用の針、カニューレ、超音波プローブ、光照射プローブ、レーザープローブ、衝撃波プローブの場合には、長尺部材は筒部材であることが好ましい。また、長尺部材が、遠近方向に延在している光ファイバーを有する導光装置であってもよい。
長尺部材は、中実状に形成されているか、あるいは複数の線材が結束または撚られて形成されていてもよい。中でも、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであることが好ましい。これにより、手元側の操作が遠位側の処置部に伝わりやすくなる。処置部がクリップ、鉗子、スネア、ナイフ、バスケットの場合には、長尺部材は操作ワイヤであることが好ましい。
長尺部材は、筒体10の長手方向に延在している光ファイバーを有する導光装置であってもよい。光ファイバーは、コアと、コアの径方向外方を被覆するクラッドとを有する構成とすることができる。その場合、処置部として、コアの遠位部の一部に設けられているクラッドの非存在部を採用することができる。
長尺部材の種類は、その遠位端部に設けられる処置部の種類に応じて選択することができる。第1の長尺部材21と第2の長尺部材22の種類は、同一であってもよい。例えば、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであることが好ましい。これにより、手元側の操作が遠位側の第1の処置部25と第2の処置部26に伝わりやすくなり、特に処置部の回転操作を行いやすくなる。
第1の長尺部材21と第2の長尺部材22の種類は、異なっていてもよい。例えば、第1の長尺部材21は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであり、第2の長尺部材22は、樹脂製の筒部材であることが好ましい。第2の長尺部材22として樹脂製の筒部材を用いることで処置対象物への薬剤の注入が可能となるため、薬剤の注入を伴う処置が行いやすくなる。
薬剤の種類は特に限定されないが、生理食塩水、造影剤、またはこれらの混合液を用いることができる。
処置部は、処置対象物に対して、各種処置を行うために設けられる。第1の処置部25は、第1の長尺部材21の遠位端部に設けられ、第2の処置部26は、第2の長尺部材22の遠位端部に設けられている。処置部の種類は特に限定されないが、例えば、薬剤注入用の針、クリップ、鉗子、スネア、ナイフ、バスケット、カニューレ、超音波プローブ、光照射プローブ、レーザープローブ、衝撃波プローブ等が挙げられる。鉗子、スネア、ナイフは、手元側から電力を供給し、電流を発生させて病変部等の生体組織の切開、切除、焼灼等の処置をするための高周波処置部として用いることもできる。
処置部は、長尺部材を構成する部分の一部であってもよい。すなわち、処置部が長尺部材と一体的に形成されていてもよい。また、処置部は、長尺部材とは別の部材から構成されていてもよい。例えば、処置部は、長尺部材の遠位端部に接続されていてもよい。
第1の処置部25と第2の処置部26は、同じ種類であってもよいが、異なる種類であることが好ましい。例えば、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Sudmucosal Dissection:ESD)に用いる処置具1としては、第1の処置部25をナイフとし、第2の処置部26をスネアとすることができる。このように目的とする処置の種類に応じて処置部の種類を選択することが好ましい。なお、図1〜図4では、第1の処置部25がスネアであり、第2の処置部26が薬剤注入用の針である例を示した。
筒体10の長手方向において、第1の処置部25の長さは、第1の端部ルーメン10bの長さより短いことが好ましい。筒体10内に配置された第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触して長尺部材の有効長が所定値よりも短くなったとしても、第1の端部ルーメン10b内に第1の処置部25を位置させやすくなる。同様の理由から、筒体10の長手方向において、第2の処置部26の長さは、第2の端部ルーメン10cの長さよりも短いことが好ましい。
処置部と長尺部材の固定には、接着剤による接着;熱溶着;係合、嵌合、かしめ等の機械的な固定等の方法を用いることができる。なお、図1〜図4では、第1の処置部25の近位端部と第1の長尺部材21の遠位端部が、筒状の接続具23を介して接続されている例を示した。このように第1の処置部25の近位端部と第1の長尺部材21の遠位端部を接続具23の内腔に挿入し、接続具23をかしめることによって第1の処置部25と第1の長尺部材21が固定されていてもよい。
次に、処置具1の近位部の構成について説明する。図1および図3に示すように、処置具1は、筒体10の近位部または筒体10より近位に設けられているハンドル本体30と、第1の長尺部材21の近位端部に接続され、ハンドル本体30に対して摺動可能な第1のスライダー40と、を備えている。また、処置具1は、第2の長尺部材22の近位端部に接続され、ハンドル本体30に対して摺動可能な第2のスライダー50をさらに備えていることが好ましい。以下では、第1のスライダー40と第2のスライダー50をまとめて「スライダー」と称することがある。
図1および図3に示すように、ハンドル本体30は、筒体10の近位部に接続されていることが好ましい。これにより、術者がハンドル本体30を把持したときに筒体10も一緒に保持することができるため、筒体10に対する処置部の操作を安定して行うことができる。
図示していないが、ハンドル本体30は、筒体10に固定されていなくてもよい。これにより、ハンドル本体30の操作を筒体10から離れた位置で行うことが可能となる。
ハンドル本体30およびスライダーは、それぞれ一または複数の部材から構成することができる。ハンドル本体30およびスライダーの構成材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。ハンドル本体30とスライダーの構成材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
図1および図3に示すように、ハンドル本体30には、第1のハンドルルーメン30aと、第2のハンドルルーメン30bとが設けられており、第1のスライダー40は、第1のハンドルルーメン30aに配置され、第2のスライダー50は、第2のハンドルルーメン30bに配置されていることが好ましい。このようにハンドル本体30に複数のルーメンを設けることにより、ハンドル本体30を複数設ける必要がない。なお、スライダーがハンドルルーメンに配置されているとは、スライダーの一部がハンドルルーメン内に配置されていることを意味する。
ハンドル本体30は、第1のハンドルルーメン30aと第2のハンドルルーメン30bに相当する複数の中空部を有するように形成することができる。中でも、図1および図3に示すように、ハンドル本体30は近位側に向かって二又に分岐するY字管状であることが好ましい。一方の分岐管の内腔を第1のハンドルルーメン30aとし、他方の分岐管の内腔を第2のハンドルルーメン30bとすることができる。
各スライダーにそれぞれ対応するハンドルが設けられていてもよい。例えば、図示していないが、ハンドル本体30は、第1のハンドル本体と、第2のハンドル本体とを有し、第1のスライダー40は、第1のハンドル本体に対して摺動可能であり、第2のスライダー50は、第2のハンドル本体に対して摺動可能であることが好ましい。その場合、第1のハンドル本体に第1のハンドルルーメン30aが配置されており、第2のハンドル本体に第2のハンドルルーメン30bが配置されていることが好ましい。このように各スライダーに個別にハンドルを設けることにより、処置部を個別に回転させる操作が行いやすくなる。例えば、術者が第1のハンドル本体を回転することで、第2の処置部26を回転させない状態で第1の処置部25のみを回転させることが可能となる。また、単一のハンドル本体30に第1のハンドルルーメン30aと第2のハンドルルーメン30bが設けられる態様と比べて、1個のハンドルを大きく形成することもできる。これに伴いスライダーも大きく形成することが可能となるため、スライダーの移動操作が行いやすくなる。
上記のようにハンドル本体30が、第1のハンドル本体と、第2のハンドル本体とを有している場合、ハンドル本体30は、筒体10よりも近位に設けられていることが好ましい。また、ハンドル本体30は、筒体10に固定されていないことがより好ましい。これにより、第1のハンドル本体や第2のハンドル本体を回転させることでスライダーや長尺部材を介して処置部を回転させることが可能となり、処置部の処置対象物への位置合わせが行いやすくなる。
図1および図3では、第1のスライダー40は筒状部44を有しており、筒状部44内に設けられている接続部45に第1の長尺部材21が固定されることによって第1のスライダー40と第1の長尺部材21が接続されている。また、第2のスライダー50も筒状部54を有しており、筒状部54内に第2の長尺部材22が挿入されることによって第2のスライダー50と第2の長尺部材22が接続されている。スライダーと長尺部材との接続方法としては、処置部と長尺部材の固定方法を参照することができる。
図1〜図4に示すように、第2のスライダー50の摺動方向は、第1のスライダー40の摺動方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、スライダー同士の接触を防ぎやすくなる。また、使用者が手元の感覚でいずれのスライダーであるかを把握しやすくなる。
図示していないが、第1のスライダー40と第2のスライダー50は、筒体10の長手方向に摺動可能であってもよい。このようにスライダーの摺動方向を設定することにより、スライダーに接続される長尺部材が筒体10の長手方向に沿って配置されやすくなるため、長尺部材への湾曲部や屈曲部の形成を防ぐことができる。このため、長尺部材を通じて手元側の操作が遠位側の処置部に伝わりやすくなり、スライダーの摺動操作や処置部の回転操作が行いやすくなる。
第1のスライダー40と第2のスライダー50が筒体10の長手方向に摺動可能であり、第1のスライダー40の可動範囲と第2のスライダー50の可動範囲は、筒体10の長手方向において異なる位置にあることが好ましい。また、2つのスライダーの可動範囲が筒体10の長手方向において重ならない位置に形成されていることがより好ましい。これにより、使用者が手元の感覚でいずれのスライダーであるかを把握しやすくなるため、スライダーの移動操作が行いやすくなる。
第2のスライダー50の摺動方向は、例えば、第1のスライダー40の摺動方向に対して、20度以上、30度以上、または45度以上傾斜していてもよく、あるいは、80度以下、70度以下、または60度以下傾斜していることも許容される。なお、図1および図3では、第2のスライダー50の摺動方向が第1のスライダー40の摺動方向に対して45度傾斜するように第1のハンドルルーメン30aと第2のハンドルルーメン30bが設けられている。
使用者が手元の感覚でいずれのスライダーであるかを把握しやすくするために、第1のスライダー40と第2のスライダー50の形状と材質の少なくともいずれか一方が異なっていてもよい。同様の理由から、第1のスライダー40と第2のスライダー50のいずれか一方の表面に凹凸が設けられていてもよい。
スライダーには、流体を放出する処置部のための流体供給部を設けることができる。例えば第2の処置部26が、薬剤注入針であって、第2の長尺部材22が樹脂製の筒部材である場合、第2の長尺部材22の近位端部には第2の長尺部材22内に薬剤を注入するための液体供給部55が接続されることが好ましい。例えば、図1に示すように、第2のスライダー50が、第2の長尺部材22が内挿される筒状部54と、筒状部54の近位端部に接続され第2の長尺部材22内に液体を供給する液体供給部55とを有していてもよい。
処置具1は、処置対象物に対して処置部で処置を行う際、あるいはその前後で、処置部の遠近方向の位置が適切に制御されることが好ましい。しかしながら、筒体10の主ルーメン10aの位置では第1の処置部25が設けられた第1の長尺部材21と、第2の処置部26が設けられた第2の長尺部材22が自重で垂れ下がることによって接触しやすくなる。長尺部材同士の接触は、長尺部材の摺動性の低下を引き起こすため、筒体10からの処置部の突出長さが不十分となるおそれがある。上記の観点から、処置具1は、筒体10内に第1の長尺部材21を配置し、第2の長尺部材22を配置していない状態において、下記[条件1]〜[条件3]を満たすように構成されている。これについて、図7〜図12を参照して説明する。
図7〜図9には、それぞれ下記条件1の第1次停止箇所41、下記条件2の第2次停止箇所42、下記条件3の第3次停止箇所43で第1のスライダー40が停止した状態における第1の処置部25と筒体10の位置関係が、第1の処置部25の状態とともに示されている。図10〜図12には、それぞれ第1のスライダー40が第1次停止箇所41、第2次停止箇所42、第3次停止箇所43にあるときの第1のスライダー40とハンドル本体30の位置関係が示されている。なお、図10〜図12では、第1のスライダー40の停止箇所を、第1のスライダー40の近位端の遠近方向の位置で表している。
[条件1]
第1のスライダー40の可動範囲内の第1次停止箇所41において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の遠位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より近位かつ第1の端部ルーメン10bの近位端より遠位に位置する。
[条件2]
第1のスライダー40の可動範囲内であって第1次停止箇所41より遠位に位置する第2次停止箇所42において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の遠位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置する。
[条件3]
第1のスライダー40の可動範囲内であって第2次停止箇所42より遠位に位置する第3次停止箇所43において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の近位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置する。
第1のスライダー40の可動範囲内の第1次停止箇所41において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の遠位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より近位かつ第1の端部ルーメン10bの近位端より遠位に位置する。
[条件2]
第1のスライダー40の可動範囲内であって第1次停止箇所41より遠位に位置する第2次停止箇所42において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の遠位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置する。
[条件3]
第1のスライダー40の可動範囲内であって第2次停止箇所42より遠位に位置する第3次停止箇所43において、第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の近位端は、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置する。
第1のスライダー40の第1次停止箇所41は、術者が内視鏡用処置具1による処置を行う前に、第1の処置部25の遠位端が少なくとも第1の端部ルーメン10bの位置にあることで、第1の処置部25が収容状態にあることを知らせるシグナルとして機能させることができる。条件1は、筒体10内に第1の長尺部材21を配置し、第2の長尺部材22を配置していない状態での第1の処置部25の遠位端の位置を規定したものである。筒体10内に第1の長尺部材21と第2の長尺部材22の両方を配置した状態では、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が自重で垂れ下がることにより接触する可能性がある。この場合、第1の長尺部材21は、第2の長尺部材22に当接することで近位側に引っ張られ、有効長が短くなることはあっても、遠位側に伸びることはない。このため、処置具1が条件1を満たすことにより、筒体10内に第1の長尺部材21と第2の長尺部材22を配置したときに、第1の処置部25を第1の端部ルーメン10b内に位置させることができる。
第1のスライダー40の第2次停止箇所42は、術者が内視鏡用処置具1による処置を行う際であって、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触していない、またはその接触の程度が弱い場合に、第1の処置部25の少なくとも一部が筒体10から突出した状態にあることを知らせるシグナルとして機能させることができる。条件2も、条件1と同様に、筒体10内に第2の長尺部材22を配置していない状態で第1の処置部25の位置を規定している。筒体10内に第1の長尺部材21と第2の長尺部材22の両方を配置した状態であって、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触していないか、その接触の程度が弱い場合には、処置具1が条件2を満たすことにより、第1の処置部25の少なくとも一部を筒体10から突出させることができ、第1の処置部25による処置を行うことができる。しかしながら、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が強めに接触している場合には、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が互いの動きを規制し、筒体10からの第1の処置部25の突出長さが不十分となり、処置を行えない可能性がある。このため、処置具1では、第2次停止箇所42に加えて、第3次停止箇所43を設けている。
第1のスライダー40の第3次停止箇所43は、筒体10内に第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が配置されている状態において、第1のスライダー40を第2次停止箇所42に停止させてもなお第1の処置部25が筒体10から突出しきれていない場合に利用する。すなわち、第3次停止箇所43は、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触していることで、第1の長尺部材21が第2の長尺部材22との当接により近位側に引っ張られたとしても、第1の処置部25の少なくとも一部が筒体10から突出した状態にあることを知らせるシグナルとして機能させることができる。したがって、処置具1によれば、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触したとしても、第1のスライダー40を第2次停止箇所42からさらに遠位に動かすことによって筒体10の先端から第1の処置部25を突出させることができるため、筒体10からの第1の処置部25の突出長さを確保することができる。このため、処置具1の交換をすることなく第1の処置部25と第2の処置部26で異なる処置を行うことが可能となり、術者および患者の負担が軽減される。また、筒体10の遠位端から近位端に亘ってマルチルーメン構造にする必要がないため、筒体10の大径化を防ぐことができる。
本発明において、処置部の近位端とは、処置部のうち筒体10の長手方向における長尺部材との接続部を除いた区間の最近位の位置を意味する。例えば、図2において第1の処置部25の近位端は符号25aで示され、第2の処置部26の近位端は符号26aで示されている。なお、第1の処置部25、第2の処置部26の遠位端はそれぞれ符号25b、26bで示されている。
条件2において、第2次停止箇所42で第1のスライダー40の摺動が停止され、第1の処置部25の近位端が、第1の端部ルーメン10bの遠位端より遠位に位置してもよい。その場合、条件3において、第3次停止箇所43で第1のスライダー40の摺動が停止され、第1のスライダー40を第2次停止箇所42に停止させたときよりも第1の処置部25の近位端が遠位に位置していることが好ましい。このように条件2および3を設定することによって、筒体10からの第1の処置部25の突出長さをより一層確保しやすくなる。
第1のスライダー40を第1次停止箇所41から遠位側に摺動させるのに必要な押力と、第1のスライダー40を第2次停止箇所42から遠位側に摺動させるのに必要な押力とは、同一であっても異なっていてもよい。同様に第2のスライダー50を第1次停止箇所51から遠位側に摺動させるのに必要な押力と、第2のスライダー50を第2次停止箇所52から遠位側に摺動させるのに必要な押力とは、同一であっても異なっていてもよい。
第1のスライダー40の停止位置と第1の処置部25の筒体からの突出長さの関係は、第2のスライダー50の停止位置と第2の処置部26の筒体からの突出長さの関係にも応用することができる。処置具1は、筒体10内に第2の長尺部材22を配置し、第1の長尺部材21を配置していない状態において、下記[条件4]〜[条件6]を満たすように構成されていることが好ましい。これについて、図13〜図18を参照して説明する。
図13〜図15には、それぞれ下記条件4の第1次停止箇所51、下記条件5の第2次停止箇所52、下記条件6の第3次停止箇所53で第2のスライダー50が停止した状態における第2の処置部26と筒体10の位置関係が、第2の処置部26の状態とともに示されている。図16〜図18には、それぞれ第2のスライダー50が第1次停止箇所51、第2次停止箇所52、第3次停止箇所53にあるときの第2のスライダー50とハンドル本体30の位置関係が示されている。なお、図16〜図18では、第2のスライダー50の停止箇所を、第2のスライダー50の近位端の遠近方向の位置で表している。
[条件4]
第2のスライダー50の可動範囲内の第1次停止箇所51において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の遠位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より近位かつ第2の端部ルーメン10cの近位端より遠位に位置する。
[条件5]
第2のスライダー50の可動範囲内であって第1次停止箇所51より遠位に位置する第2次停止箇所52において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の遠位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より遠位に位置する。
[条件6]
第2のスライダー50の可動範囲内であって第2次停止箇所52より遠位に位置する第3次停止箇所53において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の近位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より遠位に位置する。
第2のスライダー50の可動範囲内の第1次停止箇所51において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の遠位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より近位かつ第2の端部ルーメン10cの近位端より遠位に位置する。
[条件5]
第2のスライダー50の可動範囲内であって第1次停止箇所51より遠位に位置する第2次停止箇所52において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の遠位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より遠位に位置する。
[条件6]
第2のスライダー50の可動範囲内であって第2次停止箇所52より遠位に位置する第3次停止箇所53において、第2のスライダー50の摺動が停止され、第2の処置部26の近位端は、第2の端部ルーメン10cの遠位端より遠位に位置する。
第2のスライダー50の第1次停止箇所51、第2次停止箇所52、第3次停止箇所53の説明は、第1のスライダー40の第1次停止箇所41、第2次停止箇所42、第3次停止箇所43の説明を参照することができる。すなわち、筒体10内に第1の長尺部材21と第2の長尺部材22の両方を配置した状態であって、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が接触していないか、その接触の程度が弱い場合には、第2のスライダー50を第2次停止箇所で停止させることによって、第2の処置部26の少なくとも一部を筒体10から突出させることができ、第2の処置部26による処置を行うことができる。また、第1の長尺部材21と第2の長尺部材22が強めに接触していたとしても、第2のスライダー50を第3次停止箇所53まで動かすことによって、筒体10から第2の処置部26を突出させることができる。
なお、上記に説明した第1のスライダー40または第2のスライダー50の各停止箇所は、各スライダーの可動範囲内においてスライダーを遠位側に押し込む、または近位側に引き込んだ際に、スライダーの少なくとも一部がハンドル本体30の少なくとも一部に当接してスライダーの移動が停止する位置として規定される。
ハンドル本体30に対してスライダーを摺動させたときにスライダーを各停止箇所で停止させるための機構については特に限定されない。このような当接は、簡便には、スライダーがハンドル本体30に対向する面と、ハンドル本体30がスライダーに対向する面に、凸部や凹部を設けることにより実現することができる。具体的には、ハンドル本体30がスライダーに対向する面にハンドル本体側凸部を設け、スライダーがハンドル本体30に対向する面にスライダー側凸部を設け、スライダーを遠近方向に移動させた際にハンドル本体側凸部とスライダー側凸部とが当接する位置を、上記の停止箇所とすることができる。例えば、ハンドル本体側凸部の遠位側の面とスライダー側凸部の近位側の面とが当接する位置や、ハンドル本体側凸部の近位側の面とスライダー側凸部の遠位側の面とが当接する位置が、上記の停止位置となる。
例えば、図10〜図12では、第1のスライダー40の第1次停止箇所41と第2次停止箇所42と第3次停止箇所43が、第1のハンドル本体側凸部35aと第1のスライダー側凸部46との当接によって実現されている。また、図16〜図18では、第2のスライダー50の第1次停止箇所51と第2次停止箇所52と第3次停止箇所53が、第2のハンドル本体側凸部35bと第2のスライダー側凸部56との当接によって実現されている。
図示していないが、第1のスライダー40の第1次停止箇所41は、第1のスライダー40が、第1のスライダー40の可動範囲の近位端に当接することによって実現することもできる。また、第1のスライダー40の第3次停止箇所43は、第1のスライダー40が、第1のスライダー40の可動範囲の遠位端に当接することによって実現することもできる。第2のスライダー50の第1次停止箇所51や第3次停止箇所53についても同様に構成することができる。
ハンドル本体側凸部、ハンドル本体側凹部、スライダー側凸部、スライダー側凹部は、ハンドル本体30やスライダーの形状に応じて、適宜形状を選択することができる。例えば、ハンドル本体30やスライダーが筒状部を有している場合は、筒状部の遠近方向に垂直な断面の円周上に凸部や凹部を設けることができる。凸部や凹部は円周上で連続する形状であってもよく、1つまたは複数の凸部または凹部が円周上で断続的に設けられてもよい。また、ハンドル本体側凸部または凹部を円周上に連続的に設け、スライダー側凸部または凹部を円周上に1つまたは複数の突起または窪みとして設けてもよく、またその逆の態様で設けることもできる。
例えば、図10〜図12では、ハンドル本体30には、第1のハンドルルーメン30aと、第2のハンドルルーメン30bとが設けられており、第1のスライダー40は、第1のハンドルルーメン30aに配置され、第2のスライダー50は、第2のハンドルルーメン30bに配置されている場合のハンドル本体30とスライダーの停止機構を示している。図10〜図12に示すハンドル本体30は、近位側に向かって二又に分岐するY字管状に形成されており、一方の分岐管に第1のスライダー40が係合し、他方の分岐管に第2のスライダー50が係合している。具体的には、一方の分岐管の外周上に第1のハンドル本体側凸部35aが設けられ、他方の分岐管の内周上に第2のハンドル本体側凸部35bが設けられている。第1のスライダー40は筒状部44を有しており、第1のスライダー40の筒状部44の内周上に第1のスライダー側凸部46が設けられている。第2のスライダー50も筒状部54を有しており、第2のスライダー50の筒状部54の外周上に第2のスライダー側凸部56が設けられている。
図示していないが、ハンドル本体30は、第1のハンドル本体と、第2のハンドル本体とを有し、第1のスライダー40は、第1のハンドル本体に対して摺動可能であり、第2のスライダー50は、第2のハンドル本体に対して摺動可能である場合には、第1のハンドル本体と第2のハンドル本体の外周上または内周上にそれぞれハンドル本体側凸部を設けることができる。すなわち、第1のハンドル本体が第1のスライダー40に対向する面に第1のハンドル本体側凸部35aを設け、第1のスライダー40が第1のハンドル本体に対向する面に第1のスライダー側凸部を設けることができる。同様に、第2のハンドル本体が第2のスライダー50に対向する面に第2のハンドル本体側凸部35bを設け、第2のスライダー50が第2のハンドル本体に対向する面に第2のスライダー側凸部を設けることができる。
なお、図10〜図12や図16〜図18では、遠近方向に対する位置として、第1のスライダー側凸部46を1箇所設け、これに対応する第1のハンドル本体側凸部35aを3箇所設けており、第2のスライダー側凸部56を3箇所設け、これに対応する第2のハンドル本体側凸部35bを1箇所設けている。しかし、ハンドル本体側凸部とこれに対応するスライダー側凸部の数は特に制限されず、ハンドル本体側凸部の数はスライダー側凸部の数より多くてもよく、少なくてもよい。また、ハンドル本体側凸部の少なくとも1つを凹部に代えて、ハンドル本体側凹部とスライダー側凸部とが当接する位置を上記の停止箇所としたり、スライダー側凸部の少なくとも1つを凹部に代えて、ハンドル本体側凸部とスライダー側凹部とが当接する位置を上記の停止箇所とすることもできる。
1:内視鏡用処置具
10:筒体
10a:主ルーメン
10b:第1の端部ルーメン
10c:第2の端部ルーメン
11a:第1の開口
11b:第2の開口
12:隔壁
14:本体部材
15:先端部材
21:第1の長尺部材
22:第2の長尺部材
23:接続具
25:第1の処置部
25a:第1の処置部の近位端
25b:第1の処置部の遠位端
26:第2の処置部
26a:第2の処置部の近位端
26b:第2の処置部の遠位端
30:ハンドル本体
30a:第1のハンドルルーメン
30b:第2のハンドルルーメン
35a:第1のハンドル本体側凸部
35b:第2のハンドル本体側凸部
40:第1のスライダー
41:第1のスライダーの第1次停止箇所
42:第1のスライダーの第2次停止箇所
43:第1のスライダーの第3次停止箇所
44:筒状部
45:接続部
46:第1のスライダー側凸部
50:第2のスライダー
51:第2のスライダーの第1次停止箇所
52:第2のスライダーの第2次停止箇所
53:第2のスライダーの第3次停止箇所
54:筒状部
55:液体供給部
56:第2のスライダー側凸部
10:筒体
10a:主ルーメン
10b:第1の端部ルーメン
10c:第2の端部ルーメン
11a:第1の開口
11b:第2の開口
12:隔壁
14:本体部材
15:先端部材
21:第1の長尺部材
22:第2の長尺部材
23:接続具
25:第1の処置部
25a:第1の処置部の近位端
25b:第1の処置部の遠位端
26:第2の処置部
26a:第2の処置部の近位端
26b:第2の処置部の遠位端
30:ハンドル本体
30a:第1のハンドルルーメン
30b:第2のハンドルルーメン
35a:第1のハンドル本体側凸部
35b:第2のハンドル本体側凸部
40:第1のスライダー
41:第1のスライダーの第1次停止箇所
42:第1のスライダーの第2次停止箇所
43:第1のスライダーの第3次停止箇所
44:筒状部
45:接続部
46:第1のスライダー側凸部
50:第2のスライダー
51:第2のスライダーの第1次停止箇所
52:第2のスライダーの第2次停止箇所
53:第2のスライダーの第3次停止箇所
54:筒状部
55:液体供給部
56:第2のスライダー側凸部
Claims (12)
- 遠位端と近位端を有する筒体と、
前記筒体内に配置され、前記筒体に対して前記筒体の長手方向に移動可能な第1の長尺部材および第2の長尺部材と、
前記第1の長尺部材の遠位端部に設けられている第1の処置部と、
前記第2の長尺部材の遠位端部に設けられている第2の処置部と、
前記筒体の近位部または前記筒体より近位に設けられているハンドル本体と、
前記第1の長尺部材の近位端部に接続され、前記ハンドル本体に対して摺動可能な第1のスライダーと、を備え、
前記筒体には、主ルーメンと、該主ルーメンより遠位に位置し、前記主ルーメンとそれぞれ連通し、前記主ルーメンより小径かつ前記主ルーメンより短い第1の端部ルーメンおよび第2の端部ルーメンと、が設けられており、
前記第1の長尺部材は、前記主ルーメンおよび前記第1の端部ルーメンに挿通され、
前記第2の長尺部材は、前記主ルーメンおよび前記第2の端部ルーメンに挿通され、
前記筒体内に前記第1の長尺部材を配置し、前記第2の長尺部材を配置していない状態において、下記[条件1]〜[条件3]を満たす内視鏡用処置具。
[条件1]
前記第1のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、前記第1のスライダーの摺動が停止され、前記第1の処置部の遠位端は、前記第1の端部ルーメンの遠位端より近位かつ前記第1の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件2]
前記第1のスライダーの可動範囲内であって前記第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、前記第1のスライダーの摺動が停止され、前記第1の処置部の遠位端は、前記第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件3]
前記第1のスライダーの可動範囲内であって前記第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、前記第1のスライダーの摺動が停止され、前記第1の処置部の近位端は、前記第1の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。 - 前記第2の長尺部材の近位端部に接続され、前記ハンドル本体に対して摺動可能な第2のスライダーをさらに備え、
前記筒体内に前記第2の長尺部材を配置し、前記第1の長尺部材を配置していない状態において、下記[条件4]〜[条件6]を満たす請求項1に記載の内視鏡用処置具。
[条件4]
前記第2のスライダーの可動範囲内の第1次停止箇所において、前記第2のスライダーの摺動が停止され、前記第2の処置部の遠位端は、前記第2の端部ルーメンの遠位端より近位かつ前記第2の端部ルーメンの近位端より遠位に位置する。
[条件5]
前記第2のスライダーの可動範囲内であって前記第1次停止箇所より遠位に位置する第2次停止箇所において、前記第2のスライダーの摺動が停止され、前記第2の処置部の遠位端は、前記第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。
[条件6]
前記第2のスライダーの可動範囲内であって前記第2次停止箇所より遠位に位置する第3次停止箇所において、前記第2のスライダーの摺動が停止され、前記第2の処置部の近位端は、前記第2の端部ルーメンの遠位端より遠位に位置する。 - 前記第1のスライダーと前記第2のスライダーは、前記筒体の長手方向に摺動可能である請求項1または2に記載の内視鏡用処置具。
- 前記第2のスライダーの摺動方向は、前記第1のスライダーの摺動方向に対して傾斜している請求項1または2に記載の内視鏡用処置具。
- 前記ハンドル本体には、第1のハンドルルーメンと、第2のハンドルルーメンとが設けられており、
前記第1のスライダーは、前記第1のハンドルルーメンに配置され、
前記第2のスライダーは、前記第2のハンドルルーメンに配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 - 前記ハンドル本体は、第1のハンドル本体と、第2のハンドル本体とを有し、
前記第1のスライダーは、前記第1のハンドル本体に対して摺動可能であり、
前記第2のスライダーは、前記第2のハンドル本体に対して摺動可能である請求項1〜4のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 - 前記第1の端部ルーメンと前記第2の端部ルーメンは、前記筒体内に設けられている隔壁によって区画されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記筒体は、前記主ルーメンが設けられている本体部材と、該本体部材の遠位端部に接続され、前記第1の端部ルーメンと前記第2の端部ルーメンが設けられている先端部材とを有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記第1の端部ルーメンと前記第2の端部ルーメンは、互いに平行に延在している請求項1〜8のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記筒体の長手方向において、前記第1の処置部の長さは、前記第1の端部ルーメンの長さより短い請求項1〜9のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記第1の長尺部材と前記第2の長尺部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤである請求項1〜10のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
- 前記第1の長尺部材は、線材がらせん状に巻回されて形成されている操作ワイヤであり、
前記第2の長尺部材は、樹脂製の筒部材である請求項1〜10のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2019233041A JP2021100550A (ja) | 2019-12-24 | 2019-12-24 | 内視鏡用処置具 |
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JP2021100550A true JP2021100550A (ja) | 2021-07-08 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2019233041A Pending JP2021100550A (ja) | 2019-12-24 | 2019-12-24 | 内視鏡用処置具 |
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