JP2021099237A - マイクロ流路チップ - Google Patents

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康介 薬丸
Kosuke Yakumaru
康介 薬丸
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Abstract

【課題】蛍光検出等において誤検出が少ないマイクロ流路チップを提供する。【解決手段】少なくとも一方の面に流路溝が形成された樹脂基板と、この樹脂基板の一方の面に、流路溝を覆うように接合された、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、少なくとも可視光線を透過可能な樹脂フィルムと、を備えるマイクロ流路チップ。【選択図】図1

Description

本発明は、医薬品工業などに用いられるマイクロ流路チップに関する。
医薬品や試薬などの製造等に関する医薬品工業の分野においては、核酸、タンパク質、糖鎖等の分析や合成、スクリーニングなどのために、マイクロ流路チップが使用される場合がある。このマイクロ流路チップは、微細加工技術を利用して、樹脂などにより構成される基板等に微細な流路溝(マイクロ流路とも呼ばれる)が形成されており、このマイクロ流路内を含む微小空間において、試料の化学反応、分離、検出、分析などを行うことができるものである。
そして、このような化学反応などに用いるマイクロ流路チップとして、例えば特許文献1には、流路用溝と、この流路用溝に連通する導入口とを有する基板と、フィルム状のカバー用基材の厚み方向に貫通する複数の脱気孔を有するカバー部材と、を備え、基板のうち流路用溝及び導入口が形成された一方の面に設けられた第1接合面と、流路用溝を覆うカバー部材の一方の面に設けられた第2接合面とが接合されているマイクロチップが開示されている。
特開2011−215006号公報
ここで、このマイクロ流路チップを用いて核酸やタンパク質などの蛍光検出等を行う場合において、光源として、放出光中に紫外線を若干含むハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプなどを使用したり、さらに紫外線領域に近い励起波長ピークや蛍光波長ピークを有する蛍光試薬を使用して試料をラベルしたりすると、光源からの紫外線の影響によって誤検出が発生しやすくなるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蛍光検出等において誤検出が少ないマイクロ流路チップを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも一方の面に流路溝が形成された樹脂基板と、この樹脂基板のこの一方の面に、流路溝を覆うように接合された、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、少なくとも可視光線を透過可能な樹脂フィルムと、を備えるマイクロ流路チップであることを特徴とする。
本発明によれば、蛍光検出等において紫外線の影響などによる誤検出が少ないマイクロ流路チップを得ることができる。
本実施形態に係るマイクロ流路チップの流路溝付近を拡大した拡大断面図である。 本実施形態に係るマイクロ流路チップの正面図である。 本実施形態に係るマイクロ流路チップの製造における各工程での流路溝付近を拡大した拡大断面図である。
以下、本発明に係るマイクロ流路チップの実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。なお、いずれの図面についても、便宜上、符号を付していない(省略している)箇所がある。
<概要>
まず、本実施形態に係るマイクロ流路チップの概要について、図1および図2を参照して説明する。なお、図1は、本実施形態に係るマイクロ流路チップの流路溝付近を模式的に拡大した断面図である。また、図2は、本実施形態に係るマイクロ流路チップを正面から示した図である。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、図1および図2に示すような、少なくとも一方の面に微細な流路である流路溝11が形成された樹脂基板10と、この樹脂基板10の流路溝11が形成された一方の面に、この流路溝11を覆うように接合された、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、少なくとも可視光線を透過可能な樹脂フィルム20と、を備えることを特徴とする。
なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100には、樹脂基板10等に、図2に示すような、試料等の導入口あるいは排出口や、脱気口などとなり得る1以上のポート13が形成されていても良い。そして、このポート13は、図2に示すような円筒状であっても良く、あるいは方形の筒状など他の形状であっても良い。また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の全体形状は、機器等での使用のしやすさなどの観点から方形の板状であるのが好ましいが、円形の板状などであっても良く、板状であれば特段限定されない。
<樹脂基板について>
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂基板10について、詳細に説明する。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂基板10は、少なくとも一方の面側に流路溝11が形成された、樹脂により構成される板状の基板であり、その大きさとしては、例えば方形であれば、10mm以上100mm以下×10mm以上200mm以下、厚さ0.5mm以上3.0mm以下程度が例示される。また、この流路溝11は、微細な溝であって、電気泳動などによる試料の通液が可能な幅および深さを有していれば良いが、例えば、その幅(流路溝11の短手方向の長さ)が1mm以下であり、10μm以上500μm以下、さらには20μm以上100μm以下程度の深さを有するものが例示される。そして、この流路溝11は、樹脂の射出成形によって樹脂基板10を成形する際に流路溝11も形成できるような金型を使用したり、成形された樹脂基板10を微細加工する(削ったり、部材を付加したりする)ことにより形成することができる。
さらに、この流路溝11の形状は、横断面形状が矩形、多角形、半円状であるなど特段限定されない。また、流路溝11の本数も1本に限定されず、複数本形成されたものであっても良い。そして、この流路溝11は分岐や交差をしていても良く、本数なども含めて、使用用途に応じて適宜設計することができる。
ここで、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂基板10に形成された流路溝11の深さ(D)とは、流路溝11の、樹脂基板10における厚み方向の長さである。つまり、樹脂基板10に形成された流路溝11において、流路溝11が形成される前に存在していた樹脂基板10の仮想の外面から垂線(樹脂基板10の厚み方向と平行な線)を引いたときに、流路溝11を構成する面と交わる点までの距離のうち、最長の距離である。例えば、図1に示す実施形態においては、流路溝11の深さは、樹脂基板10に形成された流路溝11の上部側の線(仮想の外面)から下部側に垂線を引いたときに、この垂線が流路溝11の下部側の線(逆台形状の断面である流路溝11を構成している底面)と交わる2点間の距離のうち最長の距離である(図1のD)。
また、この樹脂基板10は、樹脂フィルム20と接合しない面側に樹脂以外の材料(例えばガラスなど)により構成される層を有していても良いが、樹脂基板10全体が樹脂(特に同じ樹脂)により構成されているのが好ましい。樹脂基板10自体の成型や樹脂フィルム20との接合がし易いからである。そして、流路溝11は、樹脂基板10において樹脂フィルム20と接合しない面側にも形成されていても良い。
さらに、この流路溝11については、その表面(流路溝11を構成する面)が親水化処理や表面処置官能基の形成処理などの表面処理が施されていても良い。このような表面処理としては、例えば含酸素官能基を導入する処理などが示される。この含酸素官能基を導入することにより、この表面の親水性が向上し、よりスムーズな試料の通液などが可能となる。含酸素官能基としては、アルデヒド基やケトン基などのカルボニル基、カルボキシル基、水酸基、エーテル基、パーオキサイト基、エポキシ基などの極性を有した官能基群が例示される。また、その導入処理としては例えば、プラズマ処理、コロナ放電処理、エキシマレーザー処理、フレーム処理などを用いることができる。この表面処理については、後述する樹脂フィルム20の流路溝11を覆う表面にも同様に施されていて良い。
そして、樹脂基板10の作製に用いる樹脂素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)などのポリオレフィン、ポリスチレン(PS)などのポリビニル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。なお、蛍光検出などにおいて用いられる光源からの可視光線を透過しやすい、つまり樹脂基板10の透明性を確保しやすいことから、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、およびシクロオレフィンコポリマー(COC)からなる群から選ばれるいずれか1つを樹脂素材として用いることがより好ましい。
なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂基板10において、「可視光線を透過」とは、通常用いられる測定光源を使用した場合において、樹脂基板10の肉厚内部に光源からの可視光線が入り込むことだけなく、樹脂基板10の肉厚全体を光源からの可視光線が透過すること(肉厚を可視光線が通過すること)を意味する。これは、後述する樹脂フィルム20においても同様である。そして、本実施形態における「透明」とは、このような可視光線が透過可能である状態を意味する。
<樹脂フィルムについて>
次に、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂フィルム20について、詳細に説明する。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂フィルム20は、少なくとも可視光線を透過可能である樹脂により構成されるフィルムである。この樹脂フィルム20が少なくとも可視光線を透過可能であることにより、蛍光検出などにおいて少なくとも樹脂フィルム20側からの照光や検出が可能となる。なお、樹脂フィルム20だけでなく上記した樹脂基板10も可視光線を透過可能であると、マイクロ流路チップ100のいずれの面側からも照光や検出が可能となるためより好ましい。
なお、この樹脂フィルム20の大きさとしては、例えば方形であれば、上記した樹脂基板10と同様の大きさ、つまり10mm以上100mm以下×10mm以上200mm以下であり、厚さは0.01mm以上1.0mm以下、さらには0.02mm以上0.5mm以下、さらには0.03mm以上0.1mm以下程度が例示される。樹脂フィルム20を上記のような厚さとするとことにより、透明性や熱伝導性がより好ましいものとすることができる。また、この樹脂フィルム20は、複数のフィルム層が積層された積層フィルムであっても良い。
そして、この樹脂フィルム20の作製に用いる樹脂素材としては、少なくとも可視光線を透過可能なフィルムとなる素材であれば特段限定されないが、例えば、樹脂基板10に用いる樹脂素材と同様のもの、つまりポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)などのポリオレフィン、ポリスチレン(PS)などのポリビニル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等を例示できる。さらに、上記した樹脂基板10と同様に、蛍光検出などにおいて用いられる光源からの可視光線を透過しやすい、つまり樹脂フィルム20の透明性を確保しやすいことから、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、およびシクロオレフィンコポリマー(COP)からなる群から選ばれるいずれか1つを樹脂素材として用いることが好ましい。また、複数のフィルム層が積層された積層フィルムである場合には、この各層を構成する樹脂素材が同じであると、目的とする性状の樹脂フィルム20を容易に得ることができるため好ましい。
特に、上記した樹脂基板10とこの樹脂フィルム20とが同じ樹脂素材を基材として(例えば70質量%以上)含み、この樹脂素材がポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、およびシクロオレフィンコポリマー(COC)からなる群から選ばれるいずれか1つであると、光源などからの可視光線が樹脂基板10および樹脂フィルム20をいずれも透過し易いため、蛍光検出等がより容易となり極めて好適である。
さらに、この樹脂フィルム20は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(UVA)を含有する。樹脂フィルム20中にこのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が含まれることにより、蛍光検出等において紫外線の影響による誤検出が少なく、且つマイクロ流路内での試料の電気泳動にも影響を与えにくいマイクロ流路チップ100を得ることができる。このベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であれば使用可能であるが、ポリマーである樹脂素材により構成される樹脂フィルム20に含有させるという点から、下記式(1)で表される化合物である2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、下記式(2)で表される化合物である2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、下記式(3)で表される化合物である2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、下記式(4)で表される化合物である2−(5−クロロ−2−ベンゾトリアゾール)−6−tert−ブチル−p−クレゾール、下記式(5)で表される化合物である2,2′−メチルエネビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール]などが好ましい化合物として例示される。
Figure 2021099237
Figure 2021099237
Figure 2021099237
Figure 2021099237
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特に、蛍光検出等において紫外線の影響による誤検出が少なく、且つマイクロ流路内での試料の電気泳動により影響を与えにくいという観点から、分子量500以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を樹脂フィルム20に含有させるのが好ましく、上記式(1)で表される化合物である2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールを樹脂フィルム20に含有させるのがさらに好ましい。
そして、このベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の樹脂フィルム20における含有量は、特に限定されないが、蛍光検出等における誤検出を抑制しつつ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有による他のフィルム性能(成型性など)への影響が少ない範囲として、例えば、樹脂フィルムの基材となる樹脂100質量部に対して下限として1質量部以上、さらには2質量部以上、さらには3質量部以上の範囲が示され、上限として10質量部以下、さらには8質量部以下、さらには6質量部以下、さらには5質量部以下の範囲が示される。
このベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、樹脂フィルム20における含有量のバラツキ(フィルム内における濃度差)がないように含有させても良く、あるいは一定程度の含有量のバラツキを有するように含有させても良い。また、このベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、紫外線を吸収することにより経時変化するものであるが、この経時変化を考慮して、上記含有量や上記バラツキを調整しても良い。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、樹脂フィルム20にこのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することにより、マイクロ流路チップ100を使用して核酸やタンパク質などの蛍光検出等を行う場合などにおいて、光源としてハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプなどを使用したときに、この光源からの放出光中にわずかに含まれる紫外線を樹脂フィルム20中のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が吸収するため、蛍光物質の励起や蛍光などにおいて紫外線の影響を受けにくい。さらに、紫外線領域に近い励起波長ピークや蛍光波長ピークを有する蛍光試薬(例えばAlexa Fluor488(モレキュラー プローブス インコーポレイテッド社;登録商標)など)を使用した場合でも、同様に紫外線の影響を受けにくく、蛍光検出において非常に好ましい効果が得られる。また、樹脂フィルム20中に含まれるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、マイクロ流路内での試料の電気泳動にも影響を与えにくく、よって、電気泳動の不具合などによる誤検出も少ない。
なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100においては、樹脂フィルム20だけでなく、樹脂基板10にもこのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有させても良い。その際の含有量は、上記した樹脂フィルム20に含有させる場合の好ましい含有量と同じであって良い。
さらには、この樹脂フィルム20には、可塑剤としてマレイン酸エステルを含有させるのが好ましい。樹脂フィルム20と樹脂基板10との接合を熱圧着により行う場合において、樹脂フィルム20の流路溝11側へのたわみがより少なくなり、蛍光検出等における誤検出がより少なくなるからである。
このマレイン酸エステルは、マレイン酸の2つのカルボキシ基がいずれもエステルとなっている化合物であれば使用可能であるが、蛍光検出等における試料の電気泳動に影響を与えにくいという観点から、樹脂フィルム20にマレイン酸ジオクチルを含有させるのが特に好ましい。
なお、マレイン酸ジオクチルは、マレイン酸の2つのカルボキシ基にC8のアルキル基がエステル結合した化合物の総称であり、下記式(6)で表される化合物や、下記式(7)で表される化合物などが包含される。
Figure 2021099237
Figure 2021099237
そして、このマレイン酸エステルの含有量は特に限定されないが、本発明の効果に影響を与えにくい好ましい範囲として、例えば、樹脂フィルムの基材となる樹脂100質量部に対して下限として1質量部以上、さらには2質量部以上、さらには3質量部以上、さらには5質量部以上の範囲が示され、上限として30質量部以下、さらには25質量部以下、さらには20質量部以下、さらには15質量部以下の範囲が示される。
また、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の樹脂フィルム20には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上述したベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やマレイン酸エステルに加えて、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤をさらに含んでいても良い。これは、上記した樹脂基板10も同様である。
さらに、この樹脂フィルム20には、例えば樹脂基板10に形成された流路溝11やポート13に対応するように、金属蒸着や金属の薄膜などによる電極部が形成されていても良い。そして、このような電極部が形成された樹脂フィルム20の場合には、樹脂基板10との接合性がより高まることから、低級アルコールなどの溶剤により電極部が処理されたものであるのが好ましい。
<マイクロ流路チップの製造方法について>
次に、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の製造方法について、図3を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100の製造における各工程での流路溝付近を模式的に拡大した断面図である。
本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、上記した樹脂基板10と樹脂フィルム20とを接合することにより製造される。この樹脂基板10と樹脂フィルム20との接合は、図3に示すように、樹脂基板10の流路溝11が形成された一方の面と、樹脂フィルム20の一方の面との間により行われ、熱プレス機などによる熱圧着により接合が行われるのが好ましいが、接着剤(ホットメルト接着剤等)を用いる方法、超音波融着法、レーザー融着法などにより行っても良い。いずれの方法においても、樹脂基板10と樹脂フィルム20との接合面30が均一となるように接合するのが好ましい。
そして、例えば、熱圧着によりこの接合が行われる場合であれば、その条件としては、力は1500N以上3000N以下、温度は95℃以上150℃以下、および熱圧着時間は30秒間程度が例示され、この熱圧着は、温度などを変えて2段階以上により行っても良い。なお、前述した大きさの樹脂基板10と樹脂フィルム20とを熱圧着する場合であれば、例えば、この熱圧着の圧力は0.05N/mm2以上30N/mm2以下、さらには0.15N/mm2以上15N/mm2以下、さらには0.3N/mm2以上10N/mm2以下としても良い。
また、熱圧着による接合後は、樹脂フィルム20に、流路溝11側に向かって若干のたわみが生じている場合があるが(図3の中央)、このような場合には、図3の右側に示すように、接合後において80℃以上100℃以下程度の温度で加圧せずに数秒から数十秒保持するアニール処理を行っても良い。このアニール処理により、樹脂フィルム20のたわみを概ね改善し、実質的にたわみがない状態とすることができる。つまり、樹脂フィルム20の外面を、上記した仮想の外面とほぼ同じ位置(この仮想の外面との間隔が2μm未満、より好ましくは1μm未満である位置)に戻すことができる。
このような樹脂基板10と樹脂フィルム20との接合により、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100を得ることができる。
なお、本実施形態に係るマイクロ流路チップ100は、さらに膜体、ポンプ、バルブ、センサー、モーター、ミキサー、ギア、クラッチ、マイクロレンズ、電気回路等を組み合わせて複合化させることも可能である。
以上のような実施形態を含む本発明に係るマイクロ流路チップは、試料の分離、検出、分析などに使用することが可能であり、2種類以上の試料を接触させて化学反応などを行うことも可能である。そして、この試料の蛍光検出等を行う場合において、光源として、放出光中に紫外線を若干含むハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプなどを使用したり、さらに紫外線領域に近い励起波長ピークや蛍光波長ピークを有する蛍光試薬を使用して試料をラベルしたりしても、紫外線の影響による誤検出が極めて少ないため、検出時において紫外線をカットするフィルターなどを併用する必要がない。また、電気泳動の不具合などによる誤検出も少なく、非常に好適である。
そして、上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)少なくとも一方の面に流路溝が形成された樹脂基板と、前記樹脂基板の前記一方の面に、前記流路溝を覆うように接合された、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、少なくとも可視光線を透過可能な樹脂フィルムと、を備えるマイクロ流路チップ。
(2)前記樹脂フィルムにおける前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が、前記樹脂フィルムの基材となる樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下である、(1)に記載のマイクロ流路チップ。
(3)前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、分子量500以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、(1)または(2)に記載のマイクロ流路チップ。
(4)前記分子量500以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである、(3)に記載のマイクロ流路チップ。
(5)前記樹脂フィルムが可塑剤としてマレイン酸エステルを含み、前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとが熱圧着により接合されている、(1)〜(4)のいずれか1つに記載のマイクロ流路チップ。
(6)前記マレイン酸エステルが、マレイン酸ジオクチルである、(5)に記載のマイクロ流路チップ。
(7)前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとが同じ樹脂素材を基材として含み、前記樹脂素材がポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンコポリマーからなる群から選ばれるいずれか1つである、(1)〜(6)のいずれか1つに記載のマイクロ流路チップ。
10 樹脂基板
11 流路溝
13 ポート
20 樹脂フィルム
30 接合面
100 マイクロ流路チップ
D 流路溝深さ

Claims (7)

  1. 少なくとも一方の面に流路溝が形成された樹脂基板と、
    前記樹脂基板の前記一方の面に、前記流路溝を覆うように接合された、ベンゾトリアゾール骨格を有し且つ紫外線吸収作用を備える化合物であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有し、少なくとも可視光線を透過可能な樹脂フィルムと、
    を備えるマイクロ流路チップ。
  2. 前記樹脂フィルムにおける前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含有量が、前記樹脂フィルムの基材となる樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下である、請求項1に記載のマイクロ流路チップ。
  3. 前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、分子量500以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、請求項1または2に記載のマイクロ流路チップ。
  4. 前記分子量500以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである、請求項3に記載のマイクロ流路チップ。
  5. 前記樹脂フィルムが可塑剤としてマレイン酸エステルを含み、前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとが熱圧着により接合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップ。
  6. 前記マレイン酸エステルが、マレイン酸ジオクチルである、請求項5に記載のマイクロ流路チップ。
  7. 前記樹脂基板と前記樹脂フィルムとが同じ樹脂素材を基材として含み、前記樹脂素材がポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンコポリマーからなる群から選ばれるいずれか1つである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロ流路チップ。
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