JP2021097988A - 認知症リスクの提示システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ユーザの認知症リスクを提示する認知症リスク提示システムを提供する。【解決手段】提示システム10は、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データ17dおよび脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データ17eの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データ17aが、サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性17bに関連付けられた第1のデータベース17と、ユーザ脳状態データ41およびユーザ認知力データ61の少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データ18aを認識する第1の認識部11と、ユーザ個体特性43を認識する第2の認識部12と、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳健康データの推移を示す経年推移ライン52と認知症に関するリスクライン54とを提示するリスク提示部30とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、ユーザの認知症リスクを提示するシステムおよび方法に関するものである。
特許文献1には、認知症の潜在的リスクを極めて早い段階で判定でき、認知症の発症を遅らせる予防機会を与えることができる認知症リスク判定システムを提供することが記載されている。このシステムは、被検者の睡眠時の生体データを取得する生体データ検出センサと、生体データ検出センサにより取得された被検者の生体データから、時間の経過に伴う被検者の睡眠の深さ及び体動変化を含む睡眠データを生成する睡眠データ生成装置と、所定の認知症に関する症状について、実際の発症患者から得られた各症状特有の睡眠データを記憶した記憶部を具備し、睡眠データ生成装置で生成された被検者の睡眠データと、記憶部に記憶されている各症状の睡眠データとを比較して、被検者の睡眠データから3つの認知症のリスクを判定する認知症リスク判定装置とを備える。
特開2016−22310号公報
従来、認知症については、発症初期(実際に発症している状態だけでなく、発症が疑われている状態も含む)に、運動量、飲酒量等の生活習慣を適切なものとしたり、適切な治療を施したりすることによって、その進行を抑制できることが知られている。そのため、認知症の発症の可能性、または、発症後の進行の度合いを、早期に把握したいという要望がある。これに伴って、認知症の発症及び進行のリスク(以下、単に「認知症リスク」という)を把握するための様々なシステムが提案されている。
上記の催眠データから認知症でリスクを判定するシステムでは、睡眠時の状態によってユーザの脳の機能を推測し、その推測結果に基づいて、認知症リスクを認識している。そのため、認知症リスクの精度も、その推測の精度の影響を受けてしまうので、適切に認知症リスクを認識することが難しいという問題がある。単純に認知症リスクの有無を提示したのでは、十分な知識を有していない者にとって、その認知症リスクの内容を適切に理解することが難しいという問題がある。このため、認知症リスクを精度よく認識することができ、さらに、理解しやすい形で提示することができるシステムおよび方法が求められている。
本発明の一態様は、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データが、サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けられた第1のデータベースと、ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データの少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データを認識する第1の認識部と、ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識する第2の認識部と、過去および現在のユーザ脳健康データに基づいて、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳健康データの推移を示す経年推移ラインと、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データに基づいて、該サンプル脳健康データの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクラインとを提示するリスク提示部とを有するシステムである。
このシステムでは、リスク判定の対象となるユーザの脳状態に係るデータ(ユーザ脳状態データ)および脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データの少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データ(脳の健康状態のデータ)と、サンプル対象者の同様の脳の健康状態に係るデータ(サンプル脳健康データ)とを比較して、認知症リスクを認識する。脳状態に係るデータは、認知力に影響を及ぼす脳の状態に基づく定量的なパラメータという直接的なデータであり、ユーザの脳波、動作等から推測された脳の機能という間接的なデータではなく、脳状態に係るデータという直接的なデータである。認知力データを取得する認知力テストは、認知症リスクの判断基準としての内容の充実が図られており、脳機能の状態を精度よく判断できる。認知力テストの一例は、本件出願人が出願済みの特願2018−33652に記載されている。したがって、これらのいずれかまたは両方を含むユーザ脳健康データをサンプル脳健康データと比較することにより認知症リスクを精度よく認識できる。
さらに、年齢に応じたラインである経年推移ラインとリスクラインと比較する形式で認知症リスクを提示することにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの大小だけでなく、ユーザの認知症リスクの傾向(悪化しているか、改善されているか、悪化が抑制されているか等)も同時に把握できる。このため、ユーザ、または、ユーザの健康を管理する者等(以下、総称する場合には、「ユーザ等」という)は、本システムが提示される情報により、十分な知識を有していない場合であっても、直感的に認知症リスクの大小を把握することができる。
リスク提示部は、ユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を提示する第1のスコア提示部を含んでもよい。認知症リスクを、スコアまたはスコアに応じた記号(以下、「スコア等」という)として提示することにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの大小をさらに直感的に把握できる。
このシステムは、経年推移ラインに基づいて、ユーザの現在から将来において予測されるユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ラインを予測する予測部を有し、リスク提示部は、経年推移ラインおよびリスクラインに加え、経年予測ラインを提示する予測提示部を含んでもよい。現在から未来の認知症リスクの推移の予測である経年予測ラインをリスクラインと比較可能に提示することにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの傾向をさらに的確に把握できる。
リスク提示部は、経年予測ライン上の第1の年齢のユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ラインとともに、または代わりに提示する第2のスコア提示部を含んでもよい。リスク提示部は、経年予測ラインとは別に、ユーザの将来の第1の年齢のユーザ脳健康データを予想または予測し、その予測されたユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を提示してもよい。
第1のデータベースでは、サンプル脳健康データが、個体特性、並びに、サンプル対象者の生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けられていてもよい。また、このシステムは、ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識する第3の認識部をさらに有し、予測部は、ユーザ個体特性に対応する個体特性、ユーザ生活特性に対応する生活特性および年齢に関連付けられたサンプル脳健康データと経年推移ラインとに基づいて、経年予測ラインを予測してもよい。経年予測ラインを認識するに際し、ユーザ生活特性を参照すると、信頼性の高い経年予測ライン(ひいては、認知症リスクの傾向)を認識できる。これにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの傾向をさらに的確に把握することができる。
リスク提示部は、経年予測ライン上の第1の年齢のユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性、およびユーザ生活特性に対応する生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ラインとともに、または代わりに提示する第3のスコア提示部を含んでもよい。リスク提示部は、経年予測ラインとは別に、ユーザから指定された、または任意に選択されたユーザ生活特性に対応するユーザ脳健康データを予測し、その予測されたユーザ脳健康データと、ユーザ生活特性に対応する生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を提示してもよい。
予測部は、同一のユーザに対し、第1のユーザ生活特性に基づく第1の経年予測ラインと、第2のユーザ生活特性に基づく第2の経年予測ラインとを認識する比較予想部を含み、リスク提示部は、第1の経年予測ラインと第2の経年予測ラインとを比較可能に並べて、または連続的に提示する比較提示部を含んでもよい。ユーザ等は、生活特性の変動に応じた経年予測ライン(ひいては、認知症リスク)の変動を、直感的に把握することができる。これにより、ユーザ等は、具体的に改善すべき生活特性を把握することができるので、生活特性の改善に対するインセンティブを与えられることになる。
リスク提示部は、第1の経年予測ラインに対応するユーザの将来の認知症リスクを示す第1のスコアと、第2の経年予測ラインに対応するユーザの将来の認知症リスクを示す第2のスコアとを提示する第4のスコア提示部を含んでいてもよい。それぞれのスコアは、それぞれの経年予測ライン上の第1の年齢のユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性、およびそれぞれのユーザ生活特性に対応する生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて算出される。リスク提示部は、経年予測ラインとは別に、それぞれのユーザ生活特性に基づくユーザの将来の認知症リスクを予測し、それらのリスクを示す第1のスコアと第2のスコアとを提示してもよい。
サンプル脳状態データおよびユーザ脳状態データは、脳の全体の容量、又は、脳の少なくとも1つの所定領域の容量を示すデータを含んでもよく、脳画像、脳血流、脳波を含んでもよく、その他の直接・間接的に脳の状態を示す情報、たとえば、血液バイオマーカなどの情報を含んでもよい。
本発明の他の態様の1つは、認知症のリスクを提示する方法である。この方法は、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データが、前記サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けられた第1のデータベースを参照可能なシステムを用い、以下のステップを含む。
1.ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データの少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データを認識すること。
2.ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識すること。
3.過去および現在のユーザ脳健康データに基づいて、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳健康データの推移を示す経年推移ラインと、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データに基づいて、該サンプル脳健康データの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクラインとによりリスクを提示すること。
この方法は、さらに、ユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を提示することを有してもよい。
この方法は、さらに、経年推移ラインに基づいて、ユーザの現在から将来において予測されるユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ラインを予測することを有し、リスクを提示することは、経年推移ラインおよびリスクラインに加え、経年予測ラインを提示することを含んでもよい。また、この方法は、経年予測ライン上の第1の年齢のユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ラインとともに、または代わりに提示することを有してもよい。
第1のデータベースでは、サンプル脳健康データが、個体特性、並びに、サンプル対象者の生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けられていてもよい。また、この方法は、さらに、ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識することを有し、予測することは、ユーザ個体特性に対応する個体特性、ユーザ生活特性に対応する生活特性および年齢に関連付けられたサンプル脳健康データと経年推移ラインとに基づいて、経年予測ラインを予測することを含んでもよい。
また、この方法は、さらに、経年予測ライン上の第1の年齢のユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性、およびユーザ生活特性に対応する生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ラインとともに、または代わりに提示することを有してもよい。この方法は、経年予測ラインとは別に、ユーザから指定された、または任意に選択された第1の年齢のユーザ脳健康データを予想し、そのユーザ脳健康データと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性、およびユーザ生活特性に対応する生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を提示してもよい。
予測することは、同一のユーザに対し、第1のユーザ生活特性に基づく第1の経年予測ラインと、第2のユーザ生活特性に基づく第2の前記経年予測ラインとを予測することを含み、リスクを提示することは、第1の経年予測ラインと第2の経年予測ラインとを比較可能に並べて、または連続的に提示することを含んでもよい。この方法は、第1の経年予測ライン上の第1の年齢に対するスコアと、第2の経年予測ライン上の第1の年齢に対するスコアとを提示することを有していてもよい。この方法は、ユーザにより指定された、あるいは任意のユーザ生活特性に基づいて予測された、認知症のリスクに関する複数のスコアを提示してもよい。
本発明の他の対応の1つは、上記のシステムとしてコンピュータを稼働させるための命令を有するプログラム(プログラム製品)である。プログラム(プログラム製品)を、任意の記録媒体に記録して提供してもよい。
認知症リスクの提示システムの概略構成を示す図。 提示システムから提供されるレポートの一例を示す図。 認知症リスクを経年推移として提示する場合において参照する脳状態データをプロットしたグラフであり、縦軸は海馬体積、横軸は年齢を示す。 図3と同様に脳状態データをプロットしたグラフであり、95%CIの範囲を合わせて示す。 推定幅を備えた経年予測ラインを含む出力の一例。 生活特性を変更した際におけるレポートの表示内容の変動を示す一例であり、図6(a)は飲酒が毎日のケース、図6(b)は飲酒が週2−3日のケースを示す。 生活特性を変更した際におけるレポートの表示内容の変動を示す他の例であり、図7(a)は飲酒が毎日のケース、図7(b)は飲酒が週2−3日のケースを示す。 提示システムから提供されるレポートの他の例を示す図。 脳の健康状態を測定する検査またはテストの例を示す図。 図9に続いて、脳の健康状態を測定する検査またはテストの例を示す図。 提示システムの動作の概要を示すフローチャート。
図1に、認知症のリスクを提示する装置(システム)を含むシステムの一例を示している。このシステム1は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置(MRI)3aを含む病院3と、ユーザに関する各種情報の入力、および認知症リスクに関するレポート50の出力(表示)を行う情報端末(パーソナルコンピュータ、タブレット端末)2と、インターネット9を介してMRI3aおよびタブレット2から受信した情報を処理し、認知症リスクおよびその他の情報を含むレポート50を送信する情報提供装置(認知症リスク提示装置、認知症リスク提示システム、提示システム)10とを含む。本例において、提示システム10は、メモリ、CPUなどのコンピュータ資源を含み、インターネット(クラウド)9を介して情報を入出力可能なサーバ7に実装されているが、提示システム10は、ユーザの情報端末2と一体化されていてもよく、有線または無線により接続されていてもよく、病院3の内部に設置されていてもよく、提示システム10の各機能の一部あるいは全部がユーザ端末2を含めた複数の情報処理装置に分散して実装されていてもよい。
MRI3aは、ユーザの脳状態に係るデータ(ユーザ脳状態データ)を取得し、そのユーザ脳状態データ41を提示システム10へ送信する。ユーザ脳状態データ41を取得する装置は、MRI3aに限らず、認知症リスクの判断対象であるユーザのユーザ脳状態データを認識できる構成を備えた装置であればよい。例えば、CT(Computed Tomography)検査装置、超音波検査装置等、さらに、FDG、SPECT等の脳機能(脳血流)を測定する装置、脳波、血液バイオマーカなどを測定する装置であってもよく、これらにより測定可能な情報は脳状態に係るデータに含まれてもよい。また、脳状態に係るデータとして、脳の形状、容量ではなく、脳内の所定のタンパク質の量を用いる場合には、PET(Positron Emission Tomography)画像取得装置等を用いてもよい。提示システム10は、MRI3aから得た脳状態データ41を使用してもよく、事前に得られ、ユーザライブラリ18に格納された脳状態データ41を使用してもよい。
以下において、脳状態データ41として、海馬の容量(海馬体積)の値を用いた例を説明するが、脳状態データ41はこれに限定されない。ここで、「脳の状態」とは、脳の全体の状態、または、認知力に影響を及ぼす脳の領域(例えば、海馬、縁上回、角回、上前頭回、中前頭回、下前頭回、前帯状皮質等)の状態を指す。「状態」とは、脳の全体又は脳の所定領域の容量および形状の他、脳内の所定のタンパク質(例えば、アミロイドβ等)の量等が挙げられる。脳状態データ(脳状態に係るデータ、脳の状態に係るデータ)41は、脳の状態に基づく定量的なパラメータを含み、例えば、上記した脳の状態そのもの(すなわち、脳の全体又は所定の領域の形状)、または、脳の容量若しくは大きさを数値化したものを含む。脳状態データ41は、単一の脳状態に係るものであってもよいし、複数の脳状態に係るものであってもよい。具体的には、例えば、脳状態データ41は、海馬の量を含んでもよく、海馬の量と脳内のアミロイドβの量とに基づいて所定の計算式で得られる値を含んでもよい。
提示システム10にユーザに関する情報を入力し、提示システム10からユーザの認知症リスクの情報を含むレポート50を受信するタブレット2は、タッチパネル2a(入出力部)を備えている。タッチパネル2aを介して、提示システム10からの個体特性の照会42に対してユーザの個体特性43が入力され、生活特性の照会44に対してユーザの生活特性45が入力され、また、変更される。また、タッチパネル2aに、認知力テストの問題60が提示され、認知力テストに対する回答を含む認知力データ61が提示システム10へ入力される。さらに、タッチパネル2aには、認知症リスクの提示を含むレポート50が表示される。
これらの情報の入出力に用いられるユーザ端末はタッチパネル2aを有するタブレット2に限定されない。ユーザ端末は、認知症リスクの判断対象であるユーザの個体特性を認識することができ、認知症リスクを提示することができる構成を備えていればよい。例えば、タブレットではなく、パソコン、スマートフォン等を用いてもよい。また、出力部と入力部が一体化した入出力部であるタッチパネルに代わり、独立した出力部及び入力部を採用してもよい。具体的には、入力部としてキーボード、マイク等を採用してもよいし、出力部としてディスプレイ、スピーカ、印刷デバイス等を採用してもよい。
また、ユーザ端末の入力部と出力部とは、必ずしも同一の装置に備わっていなくてもよく、部屋内等、相互に近い位置に配置しなくてもよい。例えば、ユーザ端末の出力部としてのディスプレイ、スピーカ、印刷デバイス等を、MRI装置等の設置されている場所とは異なる場所に設けられた医療用ワークステーションに配置してもよい。
提示システム10として稼働するサーバ7は、メモリ(データ格納部、データ格納領域)16と、メモリ16に格納されたプログラム(プログラム製品)19がロードされることにより各種の機能(機能ユニット、機能部)として動作するプロセッサ(CPU)8とを含む。メモリ16は、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データ17d、および脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データ17eの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データ17aを含むデータベース(第1のデータベース)17と、ユーザの脳健康データ(ユーザ脳健康データ)18aが格納されたユーザライブラリ18とを含む。
データベース17は、さらに、サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性17bを含み、サンプル脳健康データ17aが個体特性17bに関連付けられて格納されている。データベース17は、さらに、サンプル対象者の生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含む生活特性17cを含み、サンプル脳健康データ17aが生活特性17cに関連付けられて格納されている。
ここで、「サンプル対象者」とは、認知症(軽度認知症を含む)を発症している者および認知症の発症を疑われる者だけではなく、認知症を発症していない健常者も含まれる。個体特性17bとは、年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含むものである。また、個体特性17bに含まれる「身体情報」とは、定量的に示すことのできる身体の情報を指す。具体的には、例えば、身長、体重、体脂肪率、BMI、コレステロール値等が挙げられる。
生活特性17cとは、生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含むものである。「生活習慣」とは、生活において認知症リスクの増減に影響を及ぼす習慣のことを指す。具体的には、例えば、運動量、食事量及び種類、睡眠時間の長さ及び質、コミュニケーション量及び頻度、趣味活動量及び頻度、飲酒量及び頻度、喫煙量及び頻度等が挙げられる。「生活環境」とは、生活において認知症リスクの増減に影響を及ぼす環境のことを指す。具体的には、例えば、住所(住環境)、職業、学歴、年収、同居人の人数等が挙げられる。
データベース17においては、サンプル対象者の脳の状態に係るデータ(サンプル脳状態データ)17dおよびサンプル対象者の認知力テストの結果に係るデータ(サンプル認知力データ)17eを含むサンプル脳健康データ17aが、サンプル対象者の個体特性17bおよび生活特性17cに関連付けられた形式で格納されている。ユーザライブラリ18には、ユーザの脳状態に係るデータ(ユーザ脳状態データ)41およびユーザの認知力に係るデータ(ユーザ認知力データ)61を含むユーザ脳健康データ18aが最新(現在)のものに加えて、過去に取得されたものが格納されている。ユーザライブラリ18には、各ユーザの個体特性(ユーザ個体特性)43および生活特性(ユーザ生活特性)45が格納されていてもよい。提示システム10は、リスク判定の対象となるユーザの脳の健康状態に係るデータ(ユーザ脳健康データ)18aと、サンプル対象者の脳状態に係るデータ(サンプル脳状態データ)17aとを比較して、認知症リスクを認識する。
ここで、脳状態に係るデータ17aおよび41は、認知力に影響を及ぼす脳の状態に基づく定量的なパラメータという直接的なデータである。すなわち、この認知症リスク提示システム10では、従来のシステムのようにユーザの脳波、動作等から推測された脳の機能という間接的なデータではなく、脳状態に係るデータという直接的なデータを用いている。これにより、この提示システム10では、認知症リスクの認識において、脳の機能に関する推測精度の影響を受けることがない。その結果、この提示システム10によれば、従来のシステムに比べ、認知症リスクを精度よく認識することができる。
提示システム10は、ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データ41および脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データ61の少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データ18aを取得(認識)する第1の認識部11を有する、第1の認識部11は、ユーザ脳状態データ41を取得する入力部(入力機能、入力ユニット)14と、ユーザ認知力データ61を取得する入力部(入力機能、入力ユニット)15とを含む。認知力データ入力部15は、ユーザの端末2に対し認知力テスト60を送り、その回答からユーザ認知力データ61を認識する。認知力データ入力部15は、端末2からの直接的な情報入力に限定されず、紙媒体を介した入力や、医師、その他の専門家を介した情報の提供などにより、ユーザに関する情報を間接的に取得してもよい。他の情報の認識(取得、入力)においても同様である。
認知力テスト60の一例は、5つの認知力ドメイン毎の機能を評価するものである。認知力ドメインには、短期記憶、作業記憶、実行機能、空間認知、計算が含まれる。短期記憶は、短い時間、覚えた内容を保持して思い出せる能力を示し、脳の海馬が関わっていると言われている。作業記憶は「電話番号を覚え、その番号のボタンを押して電話をかける」といった、保持した記憶を異なる形で操作する能力であり、脳の前頭前野・側頭頭頂部などが関わっていると言われている。実行機能は、料理の「手順」や「状況に応じた材料の変更」など、ルールを維持・更新し、行動や思考を制御する能力であり、特に、脳の前頭前野が関わっていると言われている。空間認知は、図形・物体が空間の中でどの方向を向いているかを瞬時に把握・理解する能力であり、脳の頭頂葉が関わっていると言われている。計算は、四則演算を行う能力であり、脳のいろいろな領域が関わっているが、特に、脳の側頭頭頂部が関わっている言われている。
認知力データ入力部15は、認知力テスト60を行い、これらの認知力ドメイン毎の評価をユーザ認知力データ61として取得する。認知力データ61は、認知力ドメイン毎の評価を、後述するような統計処理を行うことにより、脳の機能を精度よく判断する指標とすることができる。
提示システム10は、さらに、ユーザの個体特性であるユーザ個体特性43を認識(取得)する第2の認識部(個体特性入力部、第2の入力ユニット)12と、ユーザの生活特性であるユーザ生活特性45を認識(取得)する第3の認識部(生活特性入力部、第3の入力ユニット)13とを含む。個体特性入力部12は、個体特性に関わる問診票(質問表)42をユーザ端末2に送り、それに対する回答から各ユーザの個体特性43を認識してもよい。ユーザに関する電子カルテ等が予め作成されている場合等には、個体特性入力部12は、その電子カルテ等の記載に基づいて、ユーザ個体特性43を認識してもよい。
生活特性入力部13は、生活特性に関わる問診票(質問表)44をユーザ端末2に送り、それに対する回答から各ユーザの生活特性45を認識してもよい。ユーザに関する電子カルテ等が予め作成されている場合等には、生活特性入力部13は、その電子カルテ等の記載に基づいて、ユーザ生活特性45を認識してもよい。
提示システム10は、さらに、各ユーザの現状の認知症に対するリスクを認識し、将来のリスクを予想する認識・予測部(予測部、予測機能、予測ユニット)20と、認知症のリスクを含む情報をユーザに提示するリスク提示部(リスク提示機能、リスク提示ユニット)30とを含む。認識・予測部20は現状のリスクを認識する現状リスク認識部21と、将来のリスクを予測する予測部22と、リスクをスコアに変換するスコア算出部23とを含む。
現状リスク認識部21は、過去および現在のユーザ脳健康データ18aに基づいて、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳健康データ18aの推移を示す経年推移ラインと、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aに基づいて、そのサンプル脳健康データ17aの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクラインを認識し、リスク提示部30を介してユーザ端末2に出力する。
現状のリスク認識部21は、データベース17からユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳状態データ17d、および、サンプル認知力データ17eを取得する。その後、そのサンプル脳状態データ17dとユーザ脳状態データ41との比較、および、そのサンプル認知力データ17eとユーザ認知力データ61との比較を行う。そして、これらの比較の結果に基づいて、ユーザの認知症リスクを認識してもよい。上述したように、サンプル脳状態データ17dおよびユーザ脳状態データ41は、海馬に限定されず、脳の全体の容量、または、脳の少なくとも1つの所定領域の容量であってもよい。
予測部22は、経年推移ラインに基づいて、ユーザの現在から将来において予測されるユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ラインを予測し、リスク提示部30を介して、経年推移ラインおよびリスクラインに加え、経年予測ラインを提示可能とする。スコア算出部23は、現状または将来の予測されたユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの認知症リスクを示すスコア、または、スコアに応じた記号を求め、リスク提示部30を介して提示可能とする。
リスク提示部30は、経年推移ライン、経年予測ライン、リスクラインなどをチャートまたはグラフィック表示するチャート表示部31と、求められたスコアを表示するスコア提示部32とを含む。チャート表示部31は、経年予測ラインを含めた予測表示を行う予測提示部31aと、生活特性を変えた複数のケースをシミュレートした結果を表示する比較提示部31bとを含む。スコア提示部32は、現状のリスクのスコア(対応する記号等を含む)を表示する第1のスコア提示部32aと、予測されたリスクのスコア等を表示する第2のスコア提示部32bと、生活特性を含めて予測されたリスクのスコア等を表示する第3のスコア提示部32cと、生活特性を変えたケースをシミュレートしたリスクのスコア等を表示する第4のスコア提示部32dとを含む。
図2に、提示システム10によりユーザに提供されるレポート50の一例を示している。このレポート50は、認知症リスクの判断を行われた際に、ユーザ端末2に提示される画面またはデジタルデータであってもよく、オーディオファイルであってもよく、ユーザ端末2を経て、また経ずに郵送などによりユーザに提供される印刷物、冊子などであってもよい。レポート50は、脳画像表示エリア59と、経年推移表示エリア51と、スコア表示エリア57と、生活特性表示エリア58とを含み、各エリアに認知症リスクまたはユーザ生活特性に関する情報が提示される。
具体的には、脳画像表示エリア59には、MRI3aによって取得されたユーザ脳状態データ41に含まれるユーザの脳の画像が表示される。経年推移表示エリア51には、リスク認識・予測部20によって認識された認知症リスクとして、グラフ(チャート)が提示部30を介して表示される。このグラフは、サンプル脳状態データとユーザ脳状態データとの比較の結果を示すものである。このグラフには、経年推移ライン52と、経年予測ライン53と、リスクライン54とが含まれる。
スコア表示エリア57には、リスク認識・予測部20によって認識された認知症リスクとして、A〜D及びFのアルファベットで示された総合リスク判定に係るランク55と、数字で示された脳年齢56a、長期予測に係る記号である矢印56bが表示される。また、スコア表示エリア57には、ランク55に関する凡例56cが表示される。このランク55の値、脳年齢56aの値および矢印56bの傾きは、サンプル脳状態データ17dとユーザ脳状態データ41との比較の結果、および、サンプル認知力データ17eとユーザ認知力データ61との比較の結果に基づいて得られたスコアに応じて定められる。ランクAは、脳機能が高いことを示し、ランクBは、脳機能が標準的であることを示し、ランクCは脳機能が低下していることを示し、ランクDは脳機能の低下に注意すべきことを示している。ランクFは、すでに脳機能の低下により治療が開始されていることを示す。
生活特性表示エリア58には、ユーザ生活特性45が表示される。このユーザ生活特性45は、タッチパネル2aを介して、変更された結果が反映される。
なお、このような表示形式によって認知症リスクを提示する方法はあくまでも一例である。すなわち、提示システム10により認知症リスクを提示する方法は、このような構成に限定されるものではなく、ユーザの脳健康データ18aと、ユーザの個体特性および/または生活特性に関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果を提示するものであればよい。例えば、画面(レポート)50のレイアウトは適宜変更してもよい。また、グラフのみ、または、スコアに関する表示のみを行ってもよい。また、スコアに関する表示のうち、ランク、脳年齢、矢印のいずれか1つ、または2つのみを表示してもよい。上記の表示とは全く異なる形式で提示してもよく、例えば、ユーザの脳の画像と、ユーザと同じ個体特性を有し、理想的な健康状態にあるサンプル対象者な脳の画像とを並列表示してもよい。また、音声によって結果を提示してもよい。
経年推移表示エリア51における表示内容についてさらに説明する。このレポート50においては、経年推移表示エリア51に、認知症リスクとして、縦軸を海馬体積、横軸を年齢としたグラフが表示される。このグラフには、経年推移ライン52、経年予測ライン53、および、リスクライン54が含まれる。経年推移ライン52は、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳状態データ41の推移を示す。経年予測ライン53は、ユーザの現在から将来において予測されるユーザ脳状態データ41の推移を示す。リスクライン54は、ユーザ等が警戒すべき認知症リスクの度合いを示すためのものであり、グラフ中の領域を基準範囲54aと要注意ゾーン54bとに分割する。
ユーザ等は、経年推移ライン52の傾き、および経年予測ライン53の傾きと、リスクライン54の傾きとを対比したり、経年推移ライン52の位置、および経年予測ライン53の位置(具体的には、基準範囲54aの範囲内にあるか、要注意ゾーン54bの範囲内にあるか)を参照したりして、ユーザの認知症リスクの大小、認知症リスクの傾向を把握する。
経年推移ライン52および経年予測ライン53を作成する処理に際しては、まず、ユーザ脳状態認識部14が、ユーザの現在及び過去における脳状態データ41を認識する。具体的には、ユーザ脳状態認識部14は、過去(本実施形態ではユーザが41歳のとき)、および、現在(認知症リスク判断のとき(本実施形態ではユーザが45歳のとき))に、MRI3aを用いて取得されたユーザの脳の断面画像から、所定のアルゴリズムを用いて、海馬体積を算出する。所定のアルゴリズムとして、ニューラルネットワークを用いて画像の経年の生成モデルによる海馬体積の予測を行う技術を用いてもよい。さらに精度を上げるため、生活所見と相関の高いバイオマーカーデータ情報を加えてもよい。
リスク認識・予想部20の現状のリスク認識部21は、ユーザ脳状態認識部14が認識したユーザ脳状態41に基づいて、ユーザの脳の状態に関する経年推移ライン52を認識する。
具体的には、図3に示すように、まず、現状のリスク認識部21は、縦軸を海馬体積、横軸を年齢としたグラフ上に、ユーザの過去(41歳)における海馬体積、及び、ユーザの現在(45歳)における海馬体積をプロットする。その後、リスク認識部21は、それらを線分で結ぶことによって、経年推移ライン52を生成する。リスク認識部21は、ユーザ個体特性43に基づいて、そのユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳状態データ17dを、データベース17から取得する。
ユーザの一例は男性という個体特性43を有する。リスク認識部21は、男性という個体特性17bを関連付けられたサンプル脳状態データ(すなわち、海馬体積)17dを取得する。次に、リスク認識部21は、個体特性に基づいて認識したサンプル脳状態データ17dの年齢に応じた推移を参照して、リスクライン54を決定する。
図3は、縦軸が海馬体積、横軸が年齢であり、個体特性17bにより抽出されたサンプル脳状態データ17dがプロットされている。図3における黒い丸、及び、白い丸は、一つ一つのサンプル脳状態データ17dを表し、白い丸は、飲酒量が多いグループに属するサンプル脳状態データ17dを表し、黒い丸はその他のサンプル脳状態データ17dを表す。図中、飲酒量が多いグループを含めた、抽出されたサンプル脳状態データ17dの海馬体積の平均を示す第1平均ライン66を実線で示し、飲酒量が多いグループのみのサンプル脳状態データ17dの海馬体積の平均を示す第2平均ライン67を破線で示している。このような統計処理は事前に行われていてもよく、リスク認識部21が行ってもよい。
リスク認識部21は、第1平均ライン66よりも下方に位置に、点線で示すリスクライン54を生成する。具体的には、第1平均ライン66の各値x1より2σ(「σ」は年齢ごとの海馬体積(サンプル脳状態データ)の標準偏差を表わす。)低い値(x1−2σ)に基づくライン(下位2.3%を示すライン)を生成し、そのラインをリスクライン54として認識する。
なお、本発明のリスクライン54の認識の方法は、このような方法に限定されるものではなく、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳状態データ17dに基づいて、そのサンプル脳状態データの年齢に応じた推移を参照して決定する方法であればよい。例えば、本実施形態と同様にユーザ個体特性が男性である場合には、男性という個体特性を関連付けられたサンプル脳状態データ17dの全てではなく、それらのサンプル脳状態データ17dのうちのユーザ生活特性45と対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳状態データ17dの平均ラインに基づいて、リスクライン54を定めてもよい。具体的には、飲酒量が多いグループのみの傾向ラインである第2平均ライン67に基づいて、リスクライン54を定めてもよい。
また、例えば、平均ラインの各値に対し(−2σ)の値に基づくラインではなく、平均ラインそのものをリスクライン54としてもよい。また、異なる値(例えば、平均ラインの各値に対し(−3σ)の値)を用いてリスクライン54を生成してもよい。また、このように統計化したデータに基づいてリスクライン54を生成せずに、単純にデータの順位等を参照してリスクライン54を生成してもよい。具体的には、例えば、ユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳状態データ17dのうち、所定の順位のデータ(例えば、下位3番以内のデータ)を基準として、リスクライン54を生成してもよい。
次に、リスク認識・予測部20の予測部22は、経年推移ライン52に基づいて、ユーザの現在から将来において予測されるユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ライン53を予測(算出)する。予測部22は、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17b、ユーザ生活特性45に対応する生活特性17cおよび年齢に関連付けられたサンプル脳健康データ17aと経年推移ライン52とに基づいて経年予測ライン53を予測する機能を含む。
予測部22は、ユーザ生活特性45に基づいて、そのユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳状態データ17d、本例においては、ユーザは飲酒量が多いという個体特性のサンプル脳状態データ(白い丸)17dの第2平均ライン67に基づいて経年予測ライン53を生成する。具体的には、予測部22は、ユーザ脳状態データ41の基準となる年齢(本実施形態では最も新しい時点における年齢である45歳)から、所定の年齢(本実施形態では50歳)までの第2平均ライン67の推移を参照し、経年推移ライン52の基準となる年齢を起点として、第2平均ライン67の推移と同様の推移を辿るラインを経年予測ライン53として生成する。
なお、本実施形態においては、経年予測ライン53を認識するに際し、ユーザ生活特性45を参照している。これは、信頼性の高い経年予測ライン(ひいては、認知症リスクの傾向)を認識するためである。しかしながら、本発明の経年予測ラインの認識の方法は、このような方法に限定されるものではなく、経年推移ライン52に基づいて認識する方法であればよい。例えば、経年推移ライン52の傾きを認識し、その傾きを用いて、経年予測ライン53を生成し、認識してもよい。また、ユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳状態データ17dに基づいて、そのサンプル脳状態データ17dの年齢に応じた推移を参照して決定する方法であればよい。例えば、1つだけの生活特性17cに係るサンプル脳状態データ17dだけではなく、2つ以上の生活特性17cに係るサンプル脳状態データ17dを参照してもよい。
年齢zの不特定多数のサンプル対象者に関して、「サンプル脳状態データ」、「サンプル認知力データ」及び「ユーザ個人特性」の3つの因子のうち少なくとも1つの因子により構成される評価用因子xの回帰式が以下の式(1)で表わされ、年齢zの不特定多数のサンプル対象者のうち、所定の生活特性(例えば、飲酒習慣あり)を有するサンプル対象者に関して評価用因子xの回帰式が以下の式(2)で表わされている場合、次回時点t+1(tは5年、10年などの離散的時間を表わす。)における評価用因子xt+1は、今回時点tにおける評価用因子xtに基づき、以下の式(3)にしたがって予測される。
x=β0+β1z(β0、β1は回帰係数) ・・・(1)
x’=β0’+β1’z(β0’、β1’は回帰係数)・・・(2)
t+1=xt+{IF生活特性を有するTHEN(xt+1’−xt’)ELSE(xt+1−xt)}
・・・(3)
リスク提示部30のチャート表示を行う予測提示部31aは、レポート50の経年推移表示エリア51に、経年推移ライン52、経年予測ライン53およびリスクライン54を、比較可能に並列させて表示する。予測提示部31aは、サンプル脳状態データ17dを示すプロット、第1平均ライン66、第2平均ライン67を含めて表示してもよいが、ユーザ等が見やすくなるようにこれらを削除している。予測提示部31aは、リスクライン54の上側の基準範囲54aと、下側の要注意ゾーン54bとに異なる色を付してもよい。また、予測提示部31aは、グラフの横軸に、経年推移ライン52および経年予測ライン53の基準となる年齢(本実施形態では、41歳、45歳、50歳)をプロットする。
本実施形態では、経年予測ライン53がリスクライン54の上側にあることは、以下の式(4)で示す評価用因子xの累積密度関数cdf(x|μ,σ)の未来時点t+1における値cdf(xt+1|μt+1,σt+1)が、2σより大きいことを意味する。
cdf(x|μ,σ)=(1/2){1+erf(x−μ)/(2σ2)1/2})
(erfは誤差関数)・・・(4)
予測部22は、経年予測ライン53を、確率の高い領域を示す推定幅53wで示してもよい。図4に示すように、第1平均ライン66および第2平均ライン67は誤差を含み、95%CI(Confidence Interval、信頼区間)をそれぞれライン66aおよび67aにより示している。予測部22が、各ユーザの経過最終時点tに対して、未来の時点t+1における同年齢の第2平均ライン67の推定幅で、経年予測ライン53の推定幅53wを求め、予測提示部31aが、その予測幅53wを経年推移表示エリア51に表示してもよい。
図5に、推定幅53wを用いて経年予測ライン53を示した異なる例を示している。この例では、未来の時点t+1において、認知症リスクの推定幅53wがpre−MCI(軽度認知症(Mild Cognitive Impairment)の前段階)からMCIに至るリスクライン54を下回る可能性が示唆されており、AD(Alzheimer's Disease、アルツハイマー型認知症)に至る危険性が確率的にあり得ることを示している。
このように、提示システム10では、年齢に応じたラインである経年推移ライン52、経年予測ライン53およびリスクライン54と比較する形式で認知症リスクを提示している。これにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの大小だけでなく、ユーザの認知症リスクの傾向(悪化しているか、改善されているか、悪化が抑制されているか等)も同時に把握することができる。
提示システム10の予測部22は、さらに、同一のユーザに対し、第1のユーザ生活特性45に基づく第1の経年予測ライン53と、第2のユーザ生活特性45に基づく第2の経年予測ライン53aとを認識する比較予想部22aを含む。ユーザ等によってユーザ生活特性45が変更された場合、その変更内容に応じて、認知症リスクに係る表示内容も変動する。このため、提示システム10は、ユーザ生活特性45を変えた結果をシミュレーションする比較予想部22aと、その結果を比較可能に並べて、または連続的に提示する比較提示部31bとを含む。
図6にユーザ生活特性45を変更して経年予測ライン53が変化した2種類のレポート50を示している。図6(a)に示したレポート50では、生活特性表示エリア58における飲酒量の内容が「毎日」に設定されており、図6(b)に示したレポート50では、生活特性表示エリア58における飲酒量の内容が「週2〜3回」に変更されている。この結果、図6(b)に示したレポート50では、経年推移表示エリア51に表示される経年予測ライン53aが、図6(a)のレポート50に示された経年予測ライン53より上側に、リスクライン54から離れた傾きを持ち、認知症のリスクが低減されることを示している。
比較予想部22aにおいては、ユーザ生活特性45の飲酒量の内容が「毎日」から「週2〜3回」に変更されると、図3において抽出されたサンプル脳状態データ17dの中から、飲酒量が少ないサンプルを抽出して新たな平均ライン(第3平均ライン、不図示)を求め、その平均ラインに基づいて、経年予測ライン53と同様の処理により、新たな経年予測ライン53aを生成する。比較提示部31bは、以前の条件の第1の経年予測ライン53と、次の条件の第2の経年予測ライン53aとを別々のレポート50として提示してもよく、レポート50の内部で参照できるように並べて提示してもよい。比較提示部31bは、第1の経年予測ライン53と第2の経年予測ライン53aとを、比較可能に連続的に表示してもよい。具体的には、第1の経年予測ライン53を所定時間経過後に非表示にした後、ユーザ等が第1の経年予測ライン53の大まかな形状を把握している時間内に、第2の経年予測ライン53aを表示するようにしてもよい。
比較予想部22aおよび比較提示部31bは、2回に限らず、何度でも、ユーザ生活特性45の条件を変えて経年予測ライン53を求めて提示してもよい。この機能により、提示システム10を用いて、ユーザ等は、生活特性45の変動に応じた認知症リスクの変動を、直感的に把握することができる。これにより、ユーザ等は、具体的に改善すべき生活特性を把握することができるので、生活特性の改善に対するインセンティブを与えられることになる。
この提示システム10のリスク認識・予想部20は、認知症リスクをスコアに換算するスコア算出部23を含み、リスク提示部30は、認知症リスクをスコアに基づいて提示するスコア提示部32を含む。スコア算出部23は、ユーザ脳状態データ41と、ユーザ認知力データ61と、ユーザ個体特性43と、ユーザ生活特性45とに基づいて認識されたサンプル脳状態データ17dおよびサンプル認知力データ17eとを比較して、その比較の結果に基づいて、スコア付け、及び、そのスコアに基づいたランク、脳年齢、及び、対応する記号の決定を行う。
例えば、先に式(4)で示した、サンプル脳状態データ17d等の評価用因子xの累積密度関数cdf(x|μ,σ)の今回時点tにおける値cdf(xt|μt,σt)が、スコアSとして定義されてもよい。当該スコアSが複数の数値範囲(例えば、0.0<S≦0.25,0.25<S≦0.50,0.50<S≦0.75,0.75<S≦1.0の4つの数値範囲)のそれぞれのうちいずれの数値範囲に含まれるかに応じてランク55が決定されてもよい。また、スコア算出部23は、スコアSのさまざまな値、または複数の数値範囲のそれぞれと、複数の脳年齢のそれぞれとが対応付けられているテーブルが参照されることにより脳年齢56aを決定する機能23aを含んでいてもよい。
また、スコア算出部23は、評価用因子xの累積密度関数cdf(x|μ,σ)の未来時点t+1における値cdf(xt+1|μt+1,σt+1)の、その今回時点tにおける値cdf(xt|μt,σt)に対する偏差に基づき、スコアに対応する記号56bを決定する機能23bを含んでいてもよい。当該偏差が正値である場合又は所定の正値以上である場合にはリスク低下の可能性があり、当該偏差が負値である場合又は所定の負値以下である場合にはリスク上昇の可能性がある、当該偏差が0である場合又はその大きさが所定の正値未満かつ所定の負値より大きい場合にはリスクに変化なしと判定される。そして、リスクの「低下可能性あり」、「上昇可能性あり」及び「変化なし」の別に応じて、スコアSに対応する記号56bが決定される。
記号を決定する機能23bは、評価用因子xの、未来時点t+1における値cdf(xt+1|μt+1,σt+1)が、母集団の(−2σ、(下位2.3%を示す閾値))と等価である0.023以上であるか、それよりも小さいかということに基づき、スコアSに対応する長期予測の記号56bを決定する機能を含んでいてもよい。
なお、スコアの算出方法としては、上述の累積密度関数を用いた方法のように、パラメトリックなモデル化を利用する方法に限定されるものではない。例えば、ノンパラメトリックな順位を利用した方法であってもよい。具体的には、平均ランク、メディアランク、近似等を用いた各種分位数の算出方法を用いてもよい。
提示システム10のスコア提示部32は、タブレット2のタッチパネル2a、またはレポート50に、スコアに基づいて決定されたランク55、脳年齢56a、矢印56b、および、ランクに関する凡例56cを表示(出力)する。このように、提示システム10では、認知症リスクをスコアまたはスコアに応じた記号として提示している。これにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの大小を直感的に把握することができる。
スコア算出部23は、現在の認知症リスクのスコアを算出して第1のスコア提示部32aを介して表示する機能に加えて、ユーザの将来、例えば、1年後の認知症リスクのスコアを算出する機能23cを含んでいてもよい。将来のスコアを算出する機能23cは、経年予測ライン53上の第1の年齢のユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に第1の年齢を加えた個体特性17bに対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコアを求め、第2のスコア提示部32bにより、算出されたスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ライン53とともに、または代わりに出力してもよい。
将来のスコアを算出する機能23cは、経年予測ライン53上の第1の年齢のユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性17b、およびユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコアを求め、第3のスコア提示部32cにより、算出されたスコア、または、スコアに応じた記号を、経年予測ライン53とともに、または代わりに出力してもよい。将来のスコアを算出する機能23cは、経年予測ライン53上のユーザ脳健康データ18aの代わりに、ユーザが指定した、あるいは、任意に選択したユーザ脳健康データ18aに基づいてスコアを計算する機能を含んでいてもよい。
将来のスコアを算出する機能23cは、ユーザ生活特性45を変更してスコアがどのように変化するかを確認するシミュレーション機能23dを含んでいてもよい。この機能23dは、第1のユーザ生活特性45を反映した第1の経年予測ライン53上の第1の年齢のユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性17b、および第1のユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示す第1のスコアを算出する。さらに、この機能23dは、第2のユーザ生活特性45に基づく第2の経年予測ライン53a上の第1の年齢のユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性に第1の年齢を加えた個体特性43に対応する個体特性17b、および第2のユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示す第2のスコアを算出する。第4のスコア提示部32dは、第1および第2のスコア、またはそれらに応じた記号を経年予測ラインとともに、または代わりに出力してもよい。ユーザ等によってユーザ生活特性が変更された場合、その変更内容に応じて、認知症リスクに係る表示内容も変動する。
図7(a)に示したレポート50においては、生活特性表示エリア58における飲酒量の内容が「毎日」であり、図7(b)に示したレポート50においては、飲酒量の内容が「週2〜3回」に変更されている。これらのレポート50には、将来のある時点、例えば一年後の認知症リスクがスコアで表示されており、飲酒量の内容を「毎日」から「週2〜3回」に変更することにより、経年予測ライン53が変わり、比較対象となるサンプル脳健康データ17aが「飲酒量が多いグループ」から「飲酒量が少ないグループ」に代わる。このケースでは、総合リスク判定55が「B」から「A」に代わり、脳年齢56aが若くなり、長期予測記号56bも平坦な方向に変わっている。
このように提示システム10においては、ユーザ生活特性45の変更に応じて、将来の認知症リスクをスコアまたはランクなどに出力できる。そのため、ユーザ等は、生活特性の変動に応じた認知症リスクの変動を、直感的に把握することができる。これにより、ユーザ等は、具体的に改善すべき生活特性を把握することができるので、生活特性の改善に対するインセンティブを与えられることになる。
図8に、認知症のリスクを示す異なるタイプのレポートの例を示している。このレポート50は、上記と同様に、提示システム10のリスク提示部30から出力される。レポート50は、スコア表示エリア57およびユーザ脳状態データ41の経年推移表示エリア51に加え、ユーザ認知力データ61の解析結果表示エリア75と、ユーザ認知力データ61の経年推移表示エリア71とを含む。スコア表示エリア57は、ランク55と、脳年齢56aに加えて、CQスコア(Cognitive Quotient Score)76の表示が含まれる。CQスコア76は、各認知機能テストを踏まえた総合的な個人の認知力・脳機能のスコアであり、平均を100、標準偏差を15に設定するとIQ(知能指数)およびその他の認知力テストのスコアリングと互換性があるスケールとなる。CQスコア(cq)76は以下の式(5)により求められる。
[式5]
Figure 2021097988
変数xiは、認知力テスト60の各ドメインの評価結果であり、このレポート50においては、短期記憶、作業記憶、実行機能、空間認知、計算の各機能のテスト結果である。認知力テスト60に含まれるテスト項目(ドメイン)はこれらに限定されず、順唱、逆唱、計算、ストループテスト、メンタルローテーションの組み合わせであってもよく、その他のテスト項目の組み合わせであってもよい。式(5)においては、各テスト項目(ドメイン)のスコアについて正規分布の標準化(z)を行った上で合算したものを総合スコア(cq、CQスコア)76とする。
このレポート50においては、式(4)で示した累積密度関数を用い、同年齢の累積密度関数cdf(cq|μ,σ)77を求め、算出されたCQスコア76が含まれる数値範囲によりランク55を求めている。例えば、平均が100、標準偏差が15の正規分布を仮定したときに、偏差値(standard score)が110を超えた「Above」の領域をランクA、偏差値が80−110の「AverageおよびLow Average」の領域をランクB、偏差値が70−79の「Low」の領域をランクC、偏差値が70未満の「Very Low」の領域をランクDに設定している。
なお、認知力テストはこれらに限定されず、図9および図10に列記する脳の健康状態(認知機能の状態並びに脳疾患及び精神疾患の有無及び程度を含む)を測定する検査またはテストその他の同様の形式の検査またはテストに従って、スコアを評価してもよい。
レポート50の解析結果表示エリア75には、認知力テスト60の各項目(短期記憶、作業記憶、実行機能、空間認知、計算)の結果と、同年齢の標準とを示すレーダーチャート78を含む。ユーザ認知力データ61の経年推移表示エリア71には、ユーザ認知力データ61の各項目(短期記憶、作業記憶、実行機能、空間認知、計算)の経年推移ライン72a〜72eと、リスクラインとして同年齢層の標準ライン74a〜74eとを示す。
レポート50の経年推移表示エリア51には、ユーザ脳状態データ41の経年推移ライン52と、リスクライン54に加え、ユーザ個体特性43に基づいて同年齢層の平均推移ライン65が示されている。これらの表示より、ユーザはレポート50を見ることにより、認知症のリスクと、脳の健康状態の経過とを明確に把握できる。
図11に、上述した提示システム10における処理の概要を、フローチャートを用いて示している。ステップ101において、第1の認識部11により、ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データ41および脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データ61の少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データ18aを認識(取得)する。ステップ102において、第2の認識部(個体特性入力部)12により、ユーザの個体特性であるユーザ個体特性43を認識(取得)する。ステップ103において、提示システム10は、予測処理が要求されているかを判断し、予測処理が要求されていなければ、ステップ104において、リスク提示部30は、過去および現在のユーザ脳健康データ18aに基づいて、ユーザの過去から現在におけるユーザ脳健康データ18aの推移を示す経年推移ライン52と、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aに基づいて、サンプル脳健康データの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクライン54とによりリスクを提示する。
ステップ105において、リスク提示部30は、さらに、ユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの認知症リスクを示すスコア55、または、スコアに応じた記号を提示する。さらに、ステップ106において、リスク提示部30は、これらの情報を含むレポート50を作成してユーザに提供する。この段階のレポート50は、経年予測ラインを含まないレポートとなる。
ステップ103において、予測処理が要求されると、ステップ107において、提示システム10は、さらに、ユーザ生活特性の入力の有無を判断する。ユーザ生活特性45の入力があれば、ステップ108において、第3の認識部(生活特性入力部)13により、ユーザの生活特性であるユーザ生活特性45を認識(取得)する。ステップ109において、リスク認識・予測部20の予測部22が、ユーザ個体特性43に対応する個体特性17b、ユーザ生活特性45に対応する生活特性17cおよび年齢に関連付けられたサンプル脳健康データ17aと経年推移ライン52とに基づいて、経年予測ライン53を予測(算出)する。ステップ108において、ユーザ生活特性45が入力されていない場合は、ステップ109において、予測部22は、個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aと経年推移ライン52とに基づいて、経年予測ライン53を生成する。
ステップ110において、リスク提示部30は、経年推移ライン52およびリスクライン54に加え、経年予測ライン53を提示する。ステップ111において、スコア算出部23は、経年予測ライン53上の第1の年齢のユーザ脳健康データ18aと、ユーザ個体特性43に第1の年齢を加えた個体特性に対応する個体特性17b、およびユーザ生活特性45に対応する生活特性17cに関連付けられたサンプル脳健康データ17aとの比較の結果に基づいて、ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア55を算出し、リスク提示部30は、スコア55または、スコアに応じた記号を、経年予測ライン53とともに、または代わりに提示する。ステップ108において、ユーザ生活特性45が入力されていない場合は、ステップ110において、スコア算出部23は、個体特性17bに関連付けられたサンプル脳健康データ17aに基づきスコア55を算出する。
ステップ112において、提示システム10は、異なる(次の)ユーザ生活特性45が提供されているか否かを判断する。異なるユーザ生活特性45が提供されている場合は、ステップ108に戻って、異なる生活特性(第2のユーザ生活特性)45を取得し、上記と同様の処理を行う。ステップ109においては、第2のユーザ生活特性45に関わる第2の経年予測ライン53aを予測し、ステップ110においては、前回の生活特性(第1のユーザ生活特性)45に関わる第1の経年予測ライン53と、第2のユーザ生活特性45に関わる第2の経年予測ライン53aとを比較可能に並べて、または連続的に提示する。ステップ111においては、第2のユーザ生活特性45に関わる第2の経年予測ライン53a上の第2のスコア55を算出し、第1のユーザ生活特性45に関わる第1の経年予測ライン53上の第1のスコア55と比較可能な状態で、経年予測ライン53および53aとともに、あるいはそれらに代わり提示する。
ステップ112において、次のユーザ生活特性の入力がなければ、ステップ113において、複数の予測が実行されているか否かを判断し、複数の予測が実行されていなければ、ステップ114において、リスク提示部30は、経年推移ライン52、経年予測ライン53、リスクライン54およびスコア55などを含むレポート50を作成してユーザに提供する。複数の経年予測ライン53が生成されていれば、ステップ115において、リスク提示部30は、シミュレーションされた複数の経年予測ライン53および複数のスコア55などを含むレポート50を作成してユーザに提供する。
なお、本実施形態においては、認知症リスクに関するスコア付けを行うに際し、ユーザ生活特性を参照して、脳状態データ及び認知力データを用いている。これは、信頼性のスコア(ひいては、認知症リスク)を認識するためである。しかしながら、本発明のスコア付けの方法は、このような方法に限定されるものではなく、ユーザ脳状態データとユーザ個体特性に対応する個体特性に関連付けられたサンプル脳状態データとの比較の結果に基づいて、スコア付けが行われていればよい。例えば、生活特性を参照しなくてもよいし、認知力データを用いず、脳状態データだけを用いてもよい。
また、図2に示すレポート50のように、スコア表示エリア57とともに、経年推移表示エリア51を設け、その経年推移表示エリア51に脳状態データに基づく認知症リスクを表示する場合等には、スコア表示エリア57に表示するスコア55等を、認知力データのみを参照して求めるようにしてもよい。
以上説明したように、提示システム10では、リスク判定の対象となるユーザの脳状態に係るデータ(ユーザ脳状態データ)と、サンプル対象者の脳状態に係るデータ(サンプル脳状態データ)とを含む脳健康データを比較して、認知症リスクを認識している。脳状態に係るデータは、認知力に影響を及ぼす脳の状態に基づく定量的なパラメータという直接的なデータである。すなわち、この認知症リスク提示システム10では、従来のシステムのようにユーザの脳波、動作等から推測された脳の機能という間接的なデータではなく、脳状態に係るデータという直接的なデータを用いることができる。
これにより、この提示システム10では、認知症リスクの認識において、脳の機能に関する推測精度の影響を受けることが少ない。その結果、この提示システム10によれば、従来のシステムに比べ、認知症リスクを精度よく認識することができる。
また、この提示システム10では、認識した認知症リスクを、ユーザ脳状態データとサンプル脳状態データとの比較の結果という形で、ユーザ等に提示することができる。これにより、この提示システム10によれば、ユーザ等は、十分な知識を有していない場合であっても、直感的に認知症リスクの大小を把握することができる。また、提示システム10は、年齢に応じたラインである経年推移ラインとリスクラインと比較する形式で認知症リスクを提示することができる。このため、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの大小だけでなく、ユーザの認知症リスクの傾向(悪化しているか、改善されているか、悪化が抑制されているか等)も同時に把握することができるようになる。また、現在から未来の認知症リスクの推移の予測である経年予測ラインをリスクラインと比較可能に提示することができ、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの傾向をさらに的確に把握することができる。
また、提示システム10は、経年予測ラインを認識するに際し、1または複数のユーザ生活特性を参照することができ、信頼性の高い経年予測ライン(ひいては、認知症リスクの傾向)を認識するとともに、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの傾向をさらに的確に把握することができる。さらに、複数のユーザ生活特性に関する経年予測ラインを比較できる形で提示することにより、ユーザ等は、生活特性の変動に応じた経年予測ライン(ひいては、認知症リスク)の変動を、直感的に把握することができる。これにより、ユーザ等は、具体的に改善すべき生活特性を把握することができるので、生活特性の改善に対するインセンティブを与えられることになる。
さらに、提示システム10は、認知症リスクをスコア等として提示することができる。ユーザ等は、スコア等を認識するに際し、ユーザ生活特性を参照すると、信頼性の高いスコア等(ひいては、認知症リスク)を認識することができる。これにより、ユーザ等は、ユーザの認知症リスクの傾向をさらに的確に把握することができる。また、ユーザ等は、具体的に改善すべき生活特性を把握することができるので、生活特性の改善に対するインセンティブを与えられることになる。
上記には、ユーザの認知症リスクを提示する認知症リスク提示システムであって、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データが、前記サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けて格納されているデータ格納部と、前記ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データを認識するユーザ脳状態認識部と、前記ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識するユーザ個体特性認識部と、前記ユーザ脳状態データと前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データとの比較を行うリスク認識部と、前記リスク認識部による比較の結果を提示するリスク提示部とを備えていることを特徴とする認知症リスク提示システムが開示されている。前記サンプル脳状態データ及び前記ユーザ脳状態データは、脳の全体の容量、又は、脳の少なくとも1つの所定領域の容量を示すデータであり、前記リスク認識部は、過去の前記ユーザ脳状態データ及び現在の前記ユーザ脳状態データに基づいて、前記ユーザの過去から現在における前記ユーザ脳状態データの推移を示す経年推移ラインを認識し、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データに基づいて、該サンプル脳状態データの年齢に応じた推移を参照して決定されたリスクラインを認識し、前記リスク提示部は、前記経年推移ラインと前記リスクラインとを、比較可能に並列させて提示してもよい。
前記リスク認識部は、前記経年推移ライン及び前記リスクラインを認識するとともに、前記経年推移ラインに基づいて、前記ユーザの現在から将来において予測される前記ユーザ脳状態データの推移を示す経年予測ラインを認識し、前記リスク提示部は、前記経年推移ライン及び前記経年予測ラインと前記リスクラインとを、比較可能に並列させて提示してもよい。システムは、前記ユーザの生活習慣及び生活環境の少なくとも1つを含む生活特性であるユーザ生活特性を認識するユーザ生活特性認識部を備え、前記データ格納部は、前記サンプル脳状態データを、前記個体特性、並びに、前記サンプル対象者の前記生活特性に関連付けて格納され、前記リスク認識部は、前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データに基づいて、該サンプル脳状態データの年齢に応じた推移を示す傾向ラインを認識し、前記傾向ラインと前記経年推移ラインとに基づいて、前記経年予測ラインを認識してもよい。前記リスク認識部は、前記ユーザ生活特性が変更された場合に、変更後の前記ユーザ生活特性に基づいて、前記経年予測ラインを再度認識し、前記リスク提示部は、変更前の前記ユーザ生活特性に基づいて認識された前記経年予測ラインと、変更後の前記ユーザ生活特性に基づいて認識された前記経年予測ラインとを、比較可能に並列させて、又は、比較可能に連続的に提示してもよい。
前記リスク認識部は、前記ユーザ脳状態データと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの前記認知症リスクをスコアとして認識し、前記リスク提示部は、前記スコア、又は、前記スコアに応じた記号を提示してもよい。システムは、前記ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識するユーザ生活特性認識部を備え、前記データ格納部は、前記サンプル脳状態データを、前記個体特性、並びに、前記サンプル対象者の生活習慣及び生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けて格納され、前記リスク認識部は、前記ユーザ脳状態データと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データ、及び、前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの前記認知症リスクをスコアとして認識してもよい。
システムは、前記ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識するユーザ生活特性認識部を備え、前記データ格納部は、前記サンプル脳状態データを、前記個体特性、並びに、前記サンプル対象者の生活習慣及び生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けて格納され、前記リスク認識部は、前記ユーザ生活特性が変更された場合に、変更後の前記ユーザ生活特性に基づいて、前記スコアを再度認識し、前記リスク提示部は、変更前の前記ユーザ生活特性に基づいて認識された前記スコア又は前記スコアに応じた記号と、変更後の前記ユーザ生活特性に基づいて認識された前記スコア又は前記スコアに応じた記号とを、比較可能に並列させて、又は、比較可能に連続的に提示してもよい。
上記には、また、ユーザの認知症リスクを提示する認知症リスク提示方法であって、データ格納部が、サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データが、前記サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けて格納されているステップと、ユーザ脳状態認識部が、前記ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データを認識するステップと、ユーザ個体特性認識部が、前記ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識するステップと、リスク認識部が、前記ユーザ脳状態データと前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳状態データとの比較を行うステップと、リスク提示部が、前記リスク認識部による比較の結果を提示するステップとを備えていることを特徴とする認知症リスク提示方法が開示されている。
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態の提示システムでは、脳状態に係るデータとして、海馬の容量(海馬体積)の値を用いる。また、認知症リスクの判断に際しては、ユーザ個体特性に加え、ユーザ生活特性を参照している。しかしながら、本発明の認知症リスク提示システムは、そのような構成に限定されるものではなく、個体特性に基づいて脳状態データの比較を行って、認知症リスクを判断するものであればよい。例えば、海馬の容量に代わり、脳全体又は他の領域に係る値を用いてもよいし、生活特性を参照しなくてもよい。また、その他の当業者が想到可能な変更については、特許請求の範囲に示された範囲にしたがって、本発明の範囲に含まれるものである。
10 提示システム、 17 データベース

Claims (18)

  1. サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データが、前記サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けられた第1のデータベースと、
    ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データの少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データを認識する第1の認識部と、
    前記ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識する第2の認識部と、
    過去および現在の前記ユーザ脳健康データに基づいて、前記ユーザの過去から現在における前記ユーザ脳健康データの推移を示す経年推移ラインと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データに基づいて、該サンプル脳健康データの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクラインとを提示するリスク提示部とを有するシステム。
  2. 請求項1において、
    前記リスク提示部は、前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を提示する第1のスコア提示部を含む、システム。
  3. 請求項1または2において、さらに、
    前記経年推移ラインに基づいて、前記ユーザの現在から将来において予測される前記ユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ラインを予測する予測部を有し、
    前記リスク提示部は、前記経年推移ラインおよび前記リスクラインに加え、前記経年予測ラインを提示する予測提示部を含む、システム。
  4. 請求項3において、
    前記リスク提示部は、前記経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を、前記経年予測ラインとともに、または代わりに提示する第2のスコア提示部を含む、システム。
  5. 請求項3または4において、
    前記第1のデータベースでは、前記サンプル脳健康データが、前記個体特性、並びに、前記サンプル対象者の生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けられており、
    前記ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識する第3の認識部を、さらに有し、
    前記予測部は、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性、前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性および年齢に関連付けられた前記サンプル脳健康データと前記経年推移ラインとに基づいて、前記経年予測ラインを予測する、システム。
  6. 請求項5において、
    前記リスク提示部は、前記経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を、前記経年予測ラインとともに、または代わりに提示する第3のスコア提示部を含む、システム。
  7. 請求項5または6において、
    前記予測部は、同一のユーザに対し、第1の前記ユーザ生活特性に基づく第1の前記経年予測ラインと、第2の前記ユーザ生活特性に基づく第2の前記経年予測ラインとを認識する比較予想部を含み、
    前記リスク提示部は、前記第1の経年予測ラインと前記第2の経年予測ラインとを比較可能に並べて、または連続的に提示する比較提示部を含む、システム。
  8. 請求項7において、
    前記リスク提示部は、前記第1の経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記第1のユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示す第1のスコア、または、前記第1のスコアに応じた記号と、
    前記第2の経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記第2のユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示す第2のスコア、または、前記第2のスコアに応じた記号とを前記第1の経年予測ラインと前記第2の経年予測ラインとともに、または代わりに提示する第4のスコア提示部を含む、システム。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記サンプル脳状態データおよび前記ユーザ脳状態データは、脳の全体の容量、脳の少なくとも1つの所定領域の容量、脳画像、脳波、脳血流の少なくともいずれかを示すデータを含む、システム。
  10. サンプル対象者の脳の状態に係るデータであるサンプル脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるサンプル認知力データの少なくともいずれかを含むサンプル脳健康データが、前記サンプル対象者の年齢、性別及び身体情報の少なくとも1つを含む個体特性に関連付けられた第1のデータベースを参照可能なシステムを用いて認知症のリスクを提示する方法であって、
    ユーザの脳の状態に係るデータであるユーザ脳状態データおよび脳の機能である認知力に係るデータであるユーザ認知力データの少なくともいずれかを含むユーザ脳健康データを認識することと、
    前記ユーザの個体特性であるユーザ個体特性を認識することと、
    過去および現在の前記ユーザ脳健康データに基づいて、前記ユーザの過去から現在における前記ユーザ脳健康データの推移を示す経年推移ラインと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データに基づいて、該サンプル脳健康データの年齢に応じた推移を参照して決定された認知症に関するリスクラインとによりリスクを提示することとを有する方法。
  11. 請求項10において、さらに、
    前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を提示することを有する、方法。
  12. 請求項10または11において、さらに、
    前記経年推移ラインに基づいて、前記ユーザの現在から将来において予測される前記ユーザ脳健康データの推移を示す経年予測ラインを予測することを有し、
    前記リスクを提示することは、前記経年推移ラインおよび前記リスクラインに加え、前記経年予測ラインを提示することを含む、方法。
  13. 請求項12において、さらに、
    前記経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を、前記経年予測ラインとともに、または代わりに提示することを有する、方法。
  14. 請求項12または13において、
    前記第1のデータベースでは、前記サンプル脳健康データが、前記個体特性、並びに、前記サンプル対象者の生活習慣および生活環境の少なくとも1つを含む生活特性に関連付けられており、
    当該方法は、さらに、前記ユーザの生活特性であるユーザ生活特性を認識することを有し、
    前記予測することは、前記ユーザ個体特性に対応する前記個体特性、前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性および年齢に関連付けられた前記サンプル脳健康データと前記経年推移ラインとに基づいて、前記経年予測ラインを予測することを含む、方法。
  15. 請求項14において、さらに、
    前記経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記ユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示すスコア、または、前記スコアに応じた記号を、前記経年予測ラインとともに、または代わりに提示することを有する、方法。
  16. 請求項14または15において、
    前記予測することは、同一のユーザに対し、第1の前記ユーザ生活特性に基づく第1の前記経年予測ラインと、第2の前記ユーザ生活特性に基づく第2の前記経年予測ラインとを予測することを含み、
    前記リスクを提示することは、前記第1の経年予測ラインと前記第2の経年予測ラインとを比較可能に並べて、または連続的に提示することを含む、方法。
  17. 請求項16において、さらに、
    前記第1の経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記第1のユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示す第1のスコア、または、前記第1のスコアに応じた記号と、前記第2の経年予測ライン上の第1の年齢の前記ユーザ脳健康データと、前記ユーザ個体特性に前記第1の年齢を加えた個体特性に対応する前記個体特性、および前記第2のユーザ生活特性に対応する前記生活特性に関連付けられた前記サンプル脳健康データとの比較の結果に基づいて、前記ユーザの将来の認知症リスクを示す第2のスコア、または、前記第2のスコアに応じた記号とを前記第1の経年予測ラインと前記第2の経年予測ラインとともに、または代わりに提示することを有する、方法。
  18. 前記請求項1ないし9のいずれかに記載にシステムとしてコンピュータを稼働させるための命令を有するプログラム。
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