JP2021096153A - 伝送路異常検知システム、および伝送路異常検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動体内に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路の、断線等の異常を、専用の又は追加のセンサ等を用いることなく検知すること。【解決手段】移動体に設けられた信号伝送路の異常を検知する伝送路異常検知システムであって、移動体の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置に接続された、上記移動体に搭載されたアンテナと、当該アンテナを介して電波を受信する電波受信部と、当該受信した電波に含まれる上記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部と、当該算出した信号対雑音比に基づき上記信号伝送路の異常の有無を判断する異常判断部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の移動体に設けられた、ワイヤハーネス等で構成される信号伝送路の、断線等の異常を検知する伝送路異常検知システム、および伝送路異常検知装置に関する。
車両内には、ワイヤハーネス等構成される様々な信号の通信を行うための伝送路が設けられている。このような信号には、例えば、運転者に死角となる車両環境の映像を提供するカメラの信号や、先進運転者支援システムに環境情報を提供するミリ波レーダの信号などが含まれる。このような信号は、車両走行の安全に関連するものであり、その伝送が正常に行われることはもちろん、伝送異常の迅速な検知が重要となる。
ワイヤハーネスを構成するワイヤの異常を検知する技術として、従来、ワイヤにおける摩耗などに起因する配線欠陥を検出し、且つ当該欠陥の位置を特定することを目的として、ワイヤハーネスを構成するワイヤに一対のセンサを設ける検知手法が知られている(特許文献1)。この検知手法では、摩耗等に起因してワイヤ間に発生する部分放電を検知するべく、上記一対のセンサから取得されるデータからパルスを検出し、当該パルスの信号特徴から欠陥判定と欠陥位置特定を行う。
しかしながら、上記従来の技術では、ワイヤに設けるべき対をなす少なくとも2つのセンサが必要となり、ワイヤの本数等が増加するにつれてコストが増加する。また、上記従来技術では、ワイヤ間での部分放電を伴わない欠陥に関しては検知できないことから、故障モードによっては、欠陥検知ができない場合が生じ得る。
特開2008−256674号公報
本発明の目的は、自動車等の移動体内に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路の断線等の異常を、専用の又は追加のセンサ等を用いることなく検知すること、である。
本発明の一の態様は、移動体に設けられた信号伝送路の異常を検知する伝送路異常検知システムであって、前記移動体の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置に接続された、前記移動体に搭載されたアンテナと、前記アンテナを介して電波を受信する電波受信部と、前記受信した電波に含まれる前記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部と、前記算出した信号対雑音比に基づき前記信号伝送路の異常の有無を判断する異常判断部と、を有する。
本発明の他の態様によると、前記異常判断部は、前記算出した信号対雑音比が所定値より小さいとき、及び又は前記繰り返し算出される信号対雑音比の、直近の所定長さ期間における減少量が所定値を超えたときに、前記信号伝送路に異常が生じたものと判断する。
本発明の他の態様によると、前記無線受信装置は、前記移動体に搭載されたラジオ放送受信装置、テレビ放送受信装置、GPS受信装置、ETC電波受信装置、及び又はテレマティクス制御ユニットである。
本発明の他の態様は、移動体に設けられた信号伝送路の異常を検知する伝送路異常検知装置であって、前記移動体の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置に接続された前記移動体に搭載されたアンテナを介して電波を受信する電波受信部と、前記受信した電波に含まれる前記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部と、前記算出した信号対雑音比に基づき前記信号伝送路の異常の有無を判断する異常判断部と、を備える。
本発明によれば、自動車等の移動体内に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路の、断線等の異常を、専用のセンサ等を用いることなく検知することができる。
本発明の一実施形態に係る伝送路異常検知システムの構成の一例を示す図である。 図1に示す伝送路異常検知システムの処理の手順を示すフロー図である。 図1に示す伝送路異常検知システムが用いるアンテナの、配置の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る、車両内の信号伝送路の異常を検出する伝送路異常検知システムの構成を示す図である。この伝送路異常検知システム100は、移動体である車両102に搭載されている。車両102は、本実施形態では、例えばモータ又は内燃機関で駆動される自動車である。車両102には、伝送路異常検知システム100の一部を構成する伝送路異常検知装置106のほか、AV(オーディオビジュアル、Audio−Visual)装置108と、GPS(Global Positioning System)受信装置110と、ETC(Electronic Toll Correction)装置112と、TCU(テレマティクス制御ユニット)114と、を備える。車両102は、また、ナビゲーション装置116と、運転者支援(ADAS、Advansed Driver Assistence System)装置118と、カメラ画像取得装置120と、レーダ情報取得装置122と、を備える。
伝送路異常検知装置106、AV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112と、TCU114、ナビゲーション装置116、運転者支援装置118、カメラ画像取得装置120、およびレーダ情報取得装置122は、車載ネットワークバス124を介して互いに通信可能に接続されている。ここで、車載ネットワークバス124は、例えば、CAN(Cotrol Area Network)通信規格に準拠した通信をおこなうためのCAN通信バスである。
AV装置108は、例えばいわゆるディスプレイオーディオ装置であり、ラジオ放送受信装置およびテレビ放送受信装置を含む。ラジオ放送受信装置には、AMラジオ放送受信装置とFMラジオ放送受信装置が含まれ得る。AV装置108は、アンテナ132a、132b、132cを用いて、それぞれ、AMラジオ放送、FMラジオ放送、及びいわゆるワンセグ等のテレビ放送の無線信号を受信して、これらラジオ放送の音声、並びにテレビ放送の音声及び画像を、車載のスピーカ(不図示)及び表示装置(表示装置)に出力する。
AV装置108は、また、後述するナビゲーション装置116からの指示により、ナビゲーション装置116の地図情報、経路情報、及び車両102の現在位置情報を、表示装置に表示する。AV装置108は、さらに、後述するカメラ画像取得装置120が出力する画像を、表示装置に表示する。
GPS受信装置110は、アンテナ132dを用いてGPS衛星電波を受信し、車両102の現在位置情報を生成する。GPS受信装置110は、生成した現在位置情報を、例えば運転者支援装置118及び又はナビゲーション装置116へ出力する。
ETC装置112は、ETC電波受信装置を含み、アンテナ132eを用いて、高速道路等の料金ゲートに設けられETCシステムの路側機器(不図示)と通信し、通行料金支払い処理を実行する。TCU114は、アンテナ132fを用いて、車両102の外部の通信装置と、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して通信する。
ここで、アンテナ132a、132b、132c、132d、132e、132fは、車両102に搭載されたアンテナであり、AV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、およびTCU114は、車両102の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置である。以下、アンテナ132a、132b、132c、132d、132e、132fを総称してアンテナ132ともいう。
ナビゲーション装置116は、従来技術に従い、GPS受信装置110から受信される車両102の現在位置と、地図情報と、に基づき、車両102の現在位置から目的地までの経路を探索する。ナビゲーション装置116は、上記探索した経路および車両102の現在位置を、例えばAV装置108を介して表示装置に表示する等により、運転者に対して上記探索した経路にそった車両102の走行をガイドする。
運転者支援装置118は、後述するカメラ画像取得装置120からの車両102の外部環境の画像に基づき、およびレーダ情報取得装置122からの上記外部環境における物体検知情報に基づき、車両102の走行に関する各種の運転者支援を行う。この運転者支援には、例えば、ACC(アダプティブクルーズコントロール)、ALK(アダプティブ・レーンキープ)等の走行制御や、前方衝突警告、歩行者検知、交通標識認識等の安全関連情報の通知が含まれ得る。
カメラ画像取得装置120は、車両102に設けられた前方カメラ150、後方カメラ152、右側方カメラ154、及び左側方カメラ156から、車両102の外部環境の画像又は映像を取得する。具体的には、カメラ画像取得装置120は、受信装置160、送信装置162、およびNW通信装置(ネットワーク通信装置)164を備える。NW通信装置164は、車載ネットワークバス124を介してAV装置108等の他の装置と通信するための送受信機であり、例えばCANトランシーバで構成される。
受信装置160は、信号伝送路126a、126b、126c、126dを介して、それぞれ、前方カメラ150、後方カメラ152、右側方カメラ154、及び左側方カメラ156からの画像信号(又は映像信号)を受信する。送信装置162は、信号伝送路126a、126b、126c、126dを介して、それぞれ、前方カメラ150、後方カメラ152、右側方カメラ154、及び左側方カメラ156へコマンドや設定データ等の信号を送信する。すなわち、受信装置160および送信装置162は、それぞれ、信号伝送路126a、126b、126c、126dを介して信号の授受を行う受信装置及び送信装置である。ここで、信号伝送路126a、126b、126c、126dは、例えば、それらの全体又は一部が束ねられて一つのワイヤハーネスとして構成される。
前方カメラ150および後方カメラ152は、例えば、車両102の前部バンパーおよび後部バンパー(共に不図示)に配されて、それぞれ車両102の前方及び後方の外部環境を撮像する。また、右側方カメラ154および左側方カメラ156、例えば、車両102の右サイドミラー及び左サイドミラー(共に不図示)に配されて、それぞれ車両102の右側方及び左側方の外部環境を撮像する。
カメラ画像取得装置120は、前方カメラ150等から取得した画像の全部又は一部を、例えばAV装置108を介して表示装置により運転者に提示する。また、カメラ画像取得装置120は、上記取得した画像を運転者支援装置118へ送信する。
レーダ情報取得装置122は、車両102に設けられた例えばミリ波レーダである前方レーダセンサ170および後方レーダセンサ172からのセンサ信号に基づき、外部環境に存在する物体についてのセンシング情報を生成する。具体的には、レーダ情報取得装置122は、受信装置174、送信装置176、およびNW通信装置(ネットワーク通信装置)178を備える。NW通信装置178は、車載ネットワークバス124を介して運転者支援装置118等の他の装置と通信するための送受信機であり、例えばCANトランシーバで構成される。
受信装置174は、信号伝送路126eおよび126fを介して、それぞれ、車両102に設けられた、例えばミリ波レーダである前方レーダセンサ170および後方レーダセンサ172からの、センサ信号を受信する。送信装置176は、信号伝送路126eおよび126fを介して、それぞれ、前方レーダセンサ170および後方レーダセンサ172へコマンドや設定データ等の信号を送信する。すなわち、受信装置174および送信装置176は、それぞれ、信号伝送路126eおよび126fを介して信号の授受を行う受信装置及び送信装置である。ここで、信号伝送路126e、126fは、例えば、それらの全体又は一部が束ねられて一つのワイヤハーネスとして構成される。また、信号伝送路126a等で構成されるワイヤハーネスと、信号伝送路126e等で構成されるワイヤハーネスとは、その一部が一つのワイヤハーネスとして束ねられてもよい。
前方レーダセンサ170および後方レーダセンサ172は、例えば、車両102の前部バンパーおよび後部バンパー(共に不図示)に配されて、それぞれ車両102の前方及び後方の外部環境についてのセンサ信号を生成する。
レーダ情報取得装置122は、受信装置174により、前方レーダセンサ170および後方レーダセンサ172から、それぞれ、車両102の前方および後方の外部環境についてのセンサ信号を取得し、取得したセンサ信号に基づき、車両102の前方及び後方の外部環境における物体の存在有無及びその物体の位置を示すセンシング情報を生成する。また、レーダ情報取得装置122は、上記生成したセンシング情報を運転者支援装置118へ送信する。
伝送路異常検知装置106は、車両102の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置であるAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、及びTCU114に接続された、車両102に搭載されたアンテナ132a、132b、132c、132d、132e、132f(以下、総称してアンテナ132ともいう)と共に伝送路異常検知システム100を構成する。
伝送路異常検知装置106は、アンテナ132を介して、上記無線信号と、信号伝送路126から放射される放射電磁波と、を含む電波を受信して、信号伝送路126の異常の発生を検知する。図1に示すように、本実施形態では、例えば、アンテナ132に接続されたリード線であるアンテナ線は、それぞれ分岐されている。伝送路異常検知装置106は、分岐されたアンテナ線を介して、アンテナ132が受信する電波を取得する。
伝送路異常検知装置106は、具体的には、処理装置180と、記憶装置182と、スペクトル分離回路184と、電波受信回路186と、NW通信装置188と、を備える。NW通信装置188は、車載ネットワークバス124を介してAV装置108等の他の装置と通信するための送受信機であり、例えばCANトランシーバで構成される。記憶装置182は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリ、及び又はハードディスク装置等により構成される。
電波受信回路186は、電波受信部であり、アンテナ132a、132b、132c、132d、132e、132fのそれぞれが受信する電波を、例えばこれらのアンテナ132からの入力を順次切り替えて、所定の時間間隔で繰り返し取得する。そして、電波受信回路186は、上記取得した電波をスペクトル分離回路184へ所定の時間間隔で繰り返し出力する。例えば、電波受信回路186は、アンテナ132から受信される電波から、無線装置であるAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、及びTCU114の受信周波数帯域内の電波を抽出してスペクトル分離回路184へ出力する。ここで、上記受信周波数帯域は、AV装置108においては、アンテナ132a、132b、および132cにより受信する電波に対応して、AMラジオ放送、FMラジオ放送、及びTV放送の周波数帯域である。
スペクトル分離回路184は、所定の時間間隔で、電波受信回路186から受信するアンテナ132毎の上記受信周波数帯域内の電波について、それぞれ、各アンテナ132に対応する(すなわち、各アンテナ132に対応する受信周波数帯域のそれぞれにおける)目的周波数および目的外周波数の周波数成分を分離する。そして、スペクトル分離回路184は、上記アンテナ132毎の、目的周波数の電波強度と、目的外周波数の電波強度と、を示す電波強度情報を、上記所定の時間間隔で処理装置180へ出力する。
ここで、目的周波数とは、各アンテナ132に対応する無線受信装置において受信することを目的とする周波数を言い、例えば、AV装置108に接続されたアンテナ132a、132bおよび132cでは、目的周波数は、AMラジオ放送局、FMラジオ放送局、及びテレビ放送局の周波数である。また、アンテナ132d、132e、及び132fの目的周波数は、これらのアンテナにそれぞれ接続されたGPS受信装置110、ETC装置112、及びTCU114が受信しようとするGPS電波周波数、ETCシステムの路側機器との通信のための周波数、およびインターネット等との接続に用いる無線周波数である。また、目的外周波数とは、目的周波数以外の周波数をいう。
スペクトル分離回路184は、例えば、アンテナ132のそれぞれについての、一の目的周波数における電波強度と、目的外周波数のうち最も電波強度の大きい目的外周波数での電波強度と、を示す電波強度情報を、処理装置180へ送信する。
処理装置180は、例えば、CPU等のプロセッサを備えるコンピュータである。処理装置180は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、処理装置180は、機能要素又は機能ユニットとして、SN算出部190と、異常判断部192と、を備える。
SN算出部190は、アンテナ132を介して受信された電波に含まれる無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出する。具体的には、SN算出部190は、スペクトル分離回路184から所定の時間間隔で取得される、アンテナ132のそれぞれの目的周波数の電波強度と目的外周波数の電波強度と、に基づき、アンテナ132のそれぞれが受信する電波のSN比(信号対雑音比、Signal−to−Noise Ratio)を、所定の時間間隔で繰り返し算出する。
なお、SN算出部190は、SN比を算出する毎に、直近の所定数のSN比算出結果によりSN比の移動平均値を算出し、当該算出した移動平均値を今回算出したSN比としてもよい。これにより、車両102がビル街等を走行するに伴って目的周波数の電波強度が一時的に増減することに起因して、後述する異常判断部192において信号伝送路異常についての判断誤りを生じてしまうことを防止することができる。
異常判断部192は、SN算出部190が算出するアンテナ132のそれぞれが受信する電波のSN比に基づき、信号伝送路126a、126b、126c、126d、126eの異常の有無を判断する。以下、アンテナ132のそれぞれが受信する電波のSN比を、アンテナ132毎のSN比という。また、信号伝送路126a、126b、126c、126d、126eを総称して信号伝送路126ともいう。
具体的には、異常判断部192は、SN算出部190が上記SN比を算出する毎に、アンテナ132毎のSN比のいずれかの値が所定の閾値未満であるか否かを判断し、閾値未満であるときは、信号伝送路126のいずれかに異常が発生したものと判断する。信号伝送路126に、断線故障や、被覆摩耗に起因するシールド異常等が生じた場合、信号伝送路126が伝送する信号が、放射電磁波となって空中に放出され易くなる。この放射電磁波は、AV装置108等の無線受信装置におけるSN比の劣化を引き起こす。したがって、アンテナ132毎のSN比が所定値未満となった場合には、信号伝送路126のいずれかに異常が発生したものと判断することができる。
上記の伝送路異常検知システム100では、専用の又は追加のセンサを用いることなく、一般車両において通常用いられるAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、TCU114のアンテナ132を用いて、車両102に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路126の、断線等の異常の有無を検知することができる。
次に、伝送路異常検知システム100における動作の手順の一例について説明する。図2は、伝送路異常検知システム100における処理の手順を示すフロー図である。この処理は、伝送路異常検知システム100を構成する伝送路異常検知装置106の電源がオンされたときに開始し、オフされたときに終了する。
処理を開始すると、まず、伝送路異常検知装置106は、電波受信回路186により、車載のアンテナ132を介して電波を受信する(S100)。次に、伝送路異常検知装置106は、SN算出部190により、上記受信した電波のSN比を算出する(S102)。このSN比の算出は、上述したように、アンテナ132毎の受信電波について、スペクトル分離回路184により分離された目的周波数及び目的外周波数の電波強度に基づいて算出され得る。
次に、伝送路異常検知装置106の異常判断部192は、上記算出されたSN比が所定値異常であるか否かを判断する(S104)。そして、上記算出されたSN比の全てが所定値以上であるときは(S104、YES)、異常判断部192は、信号伝送路が正常である旨を、例えば運転者支援装置118に通知し(S106)、ステップS100に処理を戻す。
一方、上記算出されたSN比のいずれかが所定値未満であるときは(S104、NO)、異常判断部192は、信号伝送路が異常である旨を、例えば運転者支援装置118に通知し(S106)、ステップS100に処理を戻す。これにより、上記通知を受信した運転者支援装置118は、例えば、カメラ画像取得装置120からの画像情報及びレーダ情報取得装置122からのセンシング情報のいずれかが無効であるものとして、これらの情報に依拠する運転支援を無効にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、上述した実施形態では、移動体である車両102は、モータ又は内燃機関で駆動される自動車であるものとした、これには限られない。車両102は、自動二輪車、電動自転車、電車、トロリーバス、モータボートなどの、陸及び又は海における移動体であって、当該移動体内においてカメラ等のセンサ等と制御装置等との間でケーブルを介した通信を行う必要のある任意の移動体であるものとすることができる。
また、異常判断部192は、SN算出部190がSN比を算出する毎に信号伝送路126の異常の有無を判断するものとしたが、これには限られない。例えば、SN算出部190は、繰り返し算出したアンテナ132毎のSN比を、それぞれ時系列に記憶装置182に記憶しておくものとし、異常判断部192は、アンテナ132毎のSN比の劣化傾向から、信号伝送路126の異常の有無を判断するものとすることができる。
具体的には、異常判断部192は、例えば、いずれかのアンテナ132についての、上記記憶された繰り返し算出される時系列のSN比の、所定の長さ期間(例えば、直近過去の一週間)における減少量が所定値を超えたときに、信号伝送路126に異常が生じたものと判断するものとすることができる。これにより、例えば、車両102がトンネルやビル街などテレビ放送電波の届き難い場所を走行したときに、テレビ信号の電波強度(すなわち、目的周波数の電波強度)の低下からテレビ放送電波を受信するアンテナ132cについてのSN比が低下し、異常判断部192が誤って直ちに信号伝送路126が異常であると判断してしまうのを防止することができる。
また、上述した実施形態では、無線受信装置であるAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、TCU114のアンテナ132を用いて受信される電波から、アンテナ132毎のSN比が算出され、いずれかのアンテナ132についてのSN比が所定値未満であるときに、信号伝送路126に異常があるものと判断されるものとしたが、これには限られない。いずれか一つの無線受信装置の一つのアンテナ、例えばAV装置108のアンテナ132aのみを用いて、当該アンテナ132aから受信される電波に基づき、信号伝送路126の異常の有無を判断するものとしてもよい。
この場合、電波受信回路186は、アンテナ132aから受信される受信電波信号をスペクトル分離回路184へ送信し、スペクトル分離回路184は、AV装置108のAMラジオ受信装置の目的周波数および目的外周波数の電波強度の情報を処理装置180へ送信するものとすることができる。SN算出部190は、受信したAV装置108の目的周波数および目的外周波数の電波強度からSN比を算出し、異常判断部192は、当該SN比が所定値未満であるときに、いずれかの信号伝送路126に異常があるものと判断することができる。
ただし、本実施形態のように複数のアンテナ132を用いることで、信号伝送路126における異常の概略的な位置を把握することができる。すなわち、アンテナ132毎のSN比のうち、劣化の程度が一番大きいSN比に対応する無線受信装置のアンテナ132の近くに、信号伝送路126の異常個所があるものと判断することができる。
また、例えば、図3に示すように、複数のアンテナ132が車両102に分散して配されていれば、アンテナ132毎のSN比の劣化の程度から、信号伝送路126における異常の位置を更に絞り込むことも可能となる。図3に示す例では、AV装置108のAMラジオアンテナであるアンテナ132aが、ルーフアンテナとして車両102のルーフの外側に配されている。また、AV装置108のFMラジオアンテナおよびTVアンテナであるアンテナ132bおよびお132cが、フィルムアンテナとして車両102のフロントガラスに配されている。さらに、GPS受信装置110およびETC装置112のアンテナ132dおよび132eが、チップアンテナを収納したアンテナボックスとして、それぞれ車両102のダッシュボードの左右端部に配されている。また、TCU114のアンテナ132fが、TCU114の筐体内に配されたチップアンテナとして、車両102の中央部に配されている。
図3に示すアンテナ132の配置においては、アンテナ132毎のSN比の劣化量から、車両102に搭載された信号伝送路126の異常個所の概略位置を、例えば図示一点鎖線で区画された6つの領域に分けて検知することが可能となる。
また、上述した実施形態では、SN算出部190は伝送路異常検知装置106に設けられるものとしたが、これには限られない。SN算出部190は、無線受信装置であるAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、TCU114に、それぞれ設けられるものとすることができる。
例えば、AV装置108には、それぞれAMラジオアンテナ、FMラジオアンテナ、及びTVアンテナであるアンテナ132a、132bおよび132cから受信される電波についての、それぞれのSN比を算出するSN算出部が配されるものとすることができる。また、GPS受信装置110、ETC装置112、およびTCU114には、それぞれ、アンテナ132d、132e、および132fから受信される電波についてのそれぞれのSN比を算出するSN算出部が配されるものとすることができる。
この場合には、伝送路異常検知システム100は、SN算出部が配されたAV装置108、GPS受信装置110、ETC装置112、及びTCU114を含んで構成されるか、またはこれらの装置に配されたSN算出部を含んで構成される。なお、上記のように無線受信装置に配されるSN算出部は、上述したスペクトル分離回路184から電波強度を受信することに代えて、対応するアンテナ132に一般的に接続され得る同調回路の同調周波数をスキャンして、それぞれ所定の目的周波数の電波強度と目的外周波数の電波強度を取得し、当相取得したこれらの電波強度からSN比を算出するものとすることができる。
以上説明したように、上述した伝送路異常検知システム100は、移動体である車両102に設けられた信号伝送路126の異常を検知する。伝送路異常検知システム100は、車両102の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置であるAV装置108等に接続された、車両102に搭載されたアンテナ132と、アンテナ132を介して電波を受信する電波受信部である電波受信回路186と、を含む。また、伝送路異常検知システム100は、上記受信した電波に含まれる上記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部190と、当該算出したSN比に基づき信号伝送路126の異常の有無を判断する異常判断部192と、を有する。
この構成によれば、車両102内に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路126の断線等の異常を、専用のセンサ等を用いることなく検知することができる。
また、伝送路異常検知システム100では、異常判断部192は、SN算出部190が算出したSN比が所定値より小さいとき、及び又はSN算出部190が繰り返し算出するSN比の、直近の所定長さ期間における減少量が所定値を超えたときに、信号伝送路126に異常が生じたものと判断する。この構成によれば、簡易な判断処理により、信号伝送路126の異常の有無を容易に判断することができる。
また、伝送路異常検知システム100では、無線受信装置は、車両102に搭載されたAV装置108に含まれるラジオ放送受信装置及び又はテレビ放送受信装置、並びにGPS受信装置110、ETC電波受信装置であるETC装置112、及び又はTCU114であるものとすることができる。この構成によれば、車両に一般的に備えられる無線受信装置に接続されたアンテナを用いて、信号伝送路126の断線等の異常を検出することができる。
また、上述した実施形態に係る伝送路異常検知装置106は、車両102に設けられた信号伝送路126の異常を検知する。伝送路異常検知装置106は、車両102の外部から送信される無線信号を受信するAV装置108等の無線受信装置に接続された車載のアンテナ132を介して電波を受信する電波受信部である電波受信回路186を備える。伝送路異常検知装置106は、また、上記受信した電波に含まれる上記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部190と、上記算出したSN比に基づき信号伝送路126の異常の有無を判断する異常判断部192と、を備える。
この構成によれば、車両102内に設けられたワイヤハーネス等で構成される信号伝送路126の断線等の異常を、専用のセンサ等を用いることなく検知することができる。
100…伝送路異常検知システム、102…車両、106…伝送路異常検知装置、108…AV装置、110…GPS受信装置、112…ETC装置、114…TCU、116…ナビゲーション装置、118…運転者支援装置、120…カメラ画像取得装置、122…レーダ情報取得装置、124…車載ネットワークバス、126、126a、126b、126c、126d、126e、126f…信号伝送路、132、132a、132b、132c、132d、132e、132f…アンテナ、150…前方カメラ、152…後方カメラ、154…右側方カメラ、156…左側方カメラ、160、174…受信装置、162、176…送信装置、164、178、188…NW通信装置、170…前方レーダセンサ、172…後方レーダセンサ、180…処理装置、182…記憶装置、184…スペクトル分離回路、186…電波受信回路、190…SN算出部、192…異常判断部。

Claims (4)

  1. 移動体に設けられた信号伝送路の異常を検知する伝送路異常検知システムであって、
    前記移動体の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置に接続された、前記移動体に搭載されたアンテナと、
    前記アンテナを介して電波を受信する電波受信部と、
    前記受信した電波に含まれる前記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部と、
    前記算出した信号対雑音比に基づき前記信号伝送路の異常の有無を判断する異常判断部と、
    を有する、
    伝送路異常検知システム。
  2. 前記異常判断部は、前記算出した信号対雑音比が所定値より小さいとき、及び又は前記繰り返し算出される信号対雑音比の、直近の所定長さ期間における減少量が所定値を超えたときに、前記信号伝送路に異常が生じたものと判断する、
    請求項1に記載の伝送路異常検知システム。
  3. 前記無線受信装置は、前記移動体に搭載されたラジオ放送受信装置、テレビ放送受信装置、GPS受信装置、ETC電波受信装置、及び又はテレマティクス制御ユニットである、請求項1または2に記載の伝送路異常検知システム。
  4. 移動体に設けられた信号伝送路の異常を検知する伝送路異常検知装置であって、
    前記移動体の外部から送信される無線信号を受信する無線受信装置に接続された前記移動体に搭載されたアンテナを介して、電波を受信する電波受信部と、
    前記受信した電波に含まれる前記無線信号についての、当該電波における信号対雑音比を所定の時間間隔で繰り返し算出するSN算出部と、
    前記算出した信号対雑音比に基づき前記信号伝送路の異常の有無を判断する異常判断部と、
    を備える、
    伝送路異常検知装置。
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