JP2021095595A - 表面処理銅箔、銅張積層板及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
導体損失は、高周波域では表皮効果があり、電流は導体の表面を流れるという特性を有するため、銅箔表面が粗いと複雑な経路を辿って、電流が流れることになる。したがって、高周波信号の導体損失を少なくするためには、銅箔の表面粗さを小さくすることが望ましい。以下、本明細書において、単に「伝送損失」及び「導体損失」と記載した場合は、「高周波信号の伝送損失」及び「高周波信号の導体損失」を主に意味する。
そこで、銅箔と樹脂基材との間を接着剤の使用なしに接着するために、銅箔の少なくとも一方の面に表面処理層を形成することが提案されている。例えば、特許文献1には、銅箔上に粗化粒子から形成される粗化処理層を設けるとともに、最表層にシランカップリング処理層を形成する方法が提案されている。
また、シランカップリング処理層は、銅箔と樹脂基材との間の接着性を向上させる効果を有するものの、その種類によっては、接着性の向上効果が十分ではないこともある。
また、本発明の実施形態は、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と表面処理銅箔との間の接着性に優れた銅張積層板を提供することを目的とする。
さらに、本発明の実施形態は、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と回路パターンとの間の接着性に優れたプリント配線板を提供することを目的とする。
また、本発明の実施形態は、銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、前記表面処理層の突出山部高さSpkが1.2〜2.5μmである表面処理銅箔に関する。
また、本発明の実施形態は、銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、前記表面処理層のコア部のレベル差Skが1.0〜2.0μmである表面処理銅箔に関する。
また、本発明の実施形態は、前記表面処理銅箔と、前記表面処理銅箔の表面処理層に接着された樹脂基材とを備える銅張積層板に関する。
さらに、本発明の実施形態は、前記銅張積層板の前記表面処理銅箔をエッチングして形成された回路パターンを備えるプリント配線板に関する。
また、本発明の実施形態によれば、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と表面処理銅箔との間の接着性に優れた銅張積層板を提供することができる。
さらに、本発明の実施形態によれば、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と回路パターンとの間の接着性に優れたプリント配線板を提供することができる。
本発明の実施形態1は、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、表面処理層の突出山部とコア部を分離する負荷面積率SMr1が16〜28%である表面処理銅箔に関する。
また、本発明の実施形態1は、上記の表面処理銅箔と、上記の表面処理銅箔の表面処理層に接着された樹脂基材とを備える銅張積層板に関する。
さらに、本発明の実施形態1は、上記の銅張積層板の表面処理銅箔をエッチングして形成された回路パターンを備えるプリント配線板に関する。
ここで、突出山部高さSpkは、ISO 25178に準拠して測定される。表面処理銅箔の表面処理層に樹脂基材を接着した場合、表面処理層の突出山部が低いと、剥離力がコア部の表面に集中してしまう。そこで、表面処理層のSpkを1.2μm以上とすること(突出山部を高くすること)により、突出山部の存在によって剥離力を突出山部の高さ方向に分散させ易くすることができる。その結果、表面処理銅箔と樹脂基材との接着力が高くなる。一方、表面処理層のSpkを2.5μm以下とすることにより、表皮効果による伝送損失の増大を抑制することができる。
ここで、表面処理層のコア部のレベル差Skは、突出山部と突出谷部を除いた部分(コア部)の高さのバラツキの程度を表し、ISO 25178に準拠して測定される。表面処理銅箔の表面処理層に樹脂基材を接着した場合、コア部の高さのバラツキが小さいと、コア部が略平面状となり、その上面に剥離力が集中してしまう。そこで、表面処理層のSkを1.0μm以上とすること(コア部の高さのバラツキを大きくすること)により、コア部の上面を凸凹面状とし、剥離力をコア部の高さ方向に分散させ易くすることができる。その結果、表面処理銅箔と樹脂基材との接着力が高くなる。一方、表面処理層のSkを2.0μm以下とすることにより、表皮効果による伝送損失の増大を抑制することができる。
表面処理層の例としては、粗化処理層、耐熱処理層、防錆処理層、クロメート処理層、シランカップリング処理層などが挙げられる。これらの層は、単一又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その中でも表面処理層は、樹脂基材との接着性の観点から、粗化処理層を有することが好ましい。
また、表面処理層が、耐熱処理層、防錆処理層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択される1種以上の層を有する場合、これらの層は粗化処理層上に設けられることが好ましい。
図1に示されるように、銅箔10の一方の面に形成された粗化処理層は、一次粗化粒子20と、一次粗化粒子20を被覆するかぶせめっき層30と、かぶせめっき層30上に形成された二次粗化粒子40とを含む。かぶせめっき層30で被覆された一次粗化粒子20は略球状であり、二次粗化粒子40は樹枝状に広がるように形成されていることが好ましい。このような構造であれば、表面処理層のSMr1、Spk及びSkを上記の範囲に制御し易くなる。
かぶせめっき層30としては、特に限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、コバルト、亜鉛などから形成することができる。
二次粗化粒子40としては、特に限定されないが、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛からなる群から選択される金属又は2種以上の金属を含む合金から形成することができる。その中でも二次粗化粒子40は、銅合金、特にCu−Co−Ni合金から形成されることが好ましい。
(一次粗化粒子20の形成条件R1)
めっき液組成:5〜15g/LのCu、40〜100g/Lの硫酸
めっき液温度:20〜50℃
電気めっき条件:電流密度30〜60A/dm2、クーロン量40〜100As/dm2
めっき液組成:10〜30g/LのCu、70〜130g/Lの硫酸
めっき液温度:30〜60℃
電気めっき条件:電流密度4.8〜15A/dm2、クーロン量10〜35As/dm2
めっき液組成:10〜20g/LのCu、5〜15g/LのCo、5〜15g/LのNi
pH:2〜3
めっき液温度:30〜40℃
電気めっき条件:電流密度15〜45A/dm2、クーロン量15〜55As/dm2
なお、クーロン量(R1)/クーロン量(R2)が6.0を超えると、一次粗化粒子20のZ方向の成長が大きくなるため、かぶせめっき層30で被覆された一次粗化粒子20の形状が略楕円体〜略半楕円体の形状となる。そのため、かぶせめっき層30上に形成される二次粗化粒子40が樹枝状に広がり難くなる。
耐熱処理層及び/又は防錆処理層としては、ニッケル、亜鉛、錫、コバルト、モリブデン、銅、タングステン、リン、ヒ素、クロム、バナジウム、チタン、アルミニウム、金、銀、白金族元素、鉄、タンタルの群から選択される1種以上の元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物などのいずれの形態であってもよい)を含む層であることができる。その中でも耐熱処理層及び/又は防錆処理層はNi−Zn層又はZn層であることが好ましい。特に、Ni含有量がZn含有量に比べて少ないNi−Zn層、又はNiを含まないZn層であれば、耐熱効果及び防錆効果を大きく低減させることなく、導体損失を低減することが可能になるため好ましい。
めっき液組成:1〜30g/LのNi、1〜30g/LのZn
めっき液pH:2〜5
めっき液温度:30〜50℃
電気めっき条件:電流密度1〜10A/dm2、時間0.1〜5秒
ここで、本明細書において「クロメート処理層」とは、無水クロム酸、クロム酸、二クロム酸、クロム酸塩又は二クロム酸塩を含む液で形成された層を意味する。クロメート処理層は、コバルト、鉄、ニッケル、モリブデン、亜鉛、タンタル、銅、アルミニウム、リン、タングステン、錫、砒素、チタンなどの元素(金属、合金、酸化物、窒化物、硫化物などのいずれの形態であってもよい)を含む層であることができる。クロメート処理層の例としては、無水クロム酸又は二クロム酸カリウム水溶液で処理したクロメート処理層、無水クロム酸又は二クロム酸カリウム及び亜鉛を含む処理液で処理したクロメート処理層などが挙げられる。
クロメート液組成:1〜10g/LのK2Cr2O7、0.01〜10g/LのZn
クロメート液pH:2〜5
クロメート液温度:30〜55℃
ここで、本明細書において「シランカップリング処理層」とは、シランカップリング剤で形成された層を意味する。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。シランカップリング剤の例としては、アミノ系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、メタクリロキシ系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、イミダゾール系シランカップリング剤、トリアジン系シランカップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、アミノ系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤が好ましい。上述のシランカップリング剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
代表的なシランカップリング処理層の形成方法としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM603)の1.2体積%水溶液(pH:10)を塗布し、乾燥させることでシランカップリング処理層を形成する方法が挙げられる。
樹脂基材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。樹脂基材の例としては、紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、液晶ポリマー、フッ素樹脂などが挙げられる。
上記のようにして製造された銅張積層板は、プリント配線板の製造に用いることができる。
なお、このサブトラクティブ法における各種条件は、特に限定されず、当該技術分野において公知の条件に準じて行うことができる。
本発明の実施形態2は、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、表面処理層の突出山部高さSpkが1.2〜2.5μmである表面処理銅箔に関する。
また、本発明の実施形態2は、上記の表面処理銅箔と、上記の表面処理銅箔の表面処理層に接着された樹脂基材とを備える銅張積層板に関する。
さらに、本発明の実施形態2は、上記の銅張積層板の表面処理銅箔をエッチングして形成された回路パターンを備えるプリント配線板に関する。
なお、本発明の実施形態2の説明において、本発明の実施形態1と同様の特徴については、その説明を省略する。
表面処理層のSkを1.0μm以上とすることにより、コア部の上面を凸凹面状とし、剥離力をコア部の高さ方向に分散させ易くすることができるため、表面処理銅箔と樹脂基材との接着力が高くなる。一方、表面処理層のSkを2.0μmとすることにより、表皮効果による伝送損失の増大を抑制することができる。
本発明の実施形態2に係る銅張積層板は、上記の表面処理銅箔を用いているため、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることができる。
本発明の実施形態2に係るプリント配線板は、上記の銅張積層板を用いているため、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と回路パターンとの間の接着性に優れている。
本発明の実施形態3は、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、表面処理層のコア部のレベル差Skが1.0〜2.0μmである表面処理銅箔に関する。
また、本発明の実施形態3は、上記の表面処理銅箔と、上記の表面処理銅箔の表面処理層に接着された樹脂基材とを備える銅張積層板に関する。
さらに、本発明の実施形態3は、上記の銅張積層板の表面処理銅箔をエッチングして形成された回路パターンを備えるプリント配線板に関する。
なお、本発明の実施形態3の説明において、本発明の実施形態1と同様の特徴については、その説明を省略する。
本発明の実施形態3に係る銅張積層板は、上記の表面処理銅箔を用いているため、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材との接着性を高めることができる。
本発明の実施形態3に係るプリント配線板は、上記の銅張積層板を用いているため、樹脂基材、特に高周波用途に好適な樹脂基材と回路パターンとの間の接着性に優れている。
圧延銅箔A(再結晶化後のヤング率が120GPa、厚さ12μm)を準備し、一方の面を脱脂及び酸洗した後、表面処理層として粗化処理層を形成することによって表面処理銅箔を得た。粗化処理層の形成条件は、次の通りとした。
<一次粗化粒子の形成条件R1>
めっき液組成:11g/LのCu、50g/Lの硫酸
めっき液温度:25℃
電気めっき条件:電流密度35.6A/dm2、クーロン量72.7As/dm2
めっき液組成:20g/LのCu、100g/Lの硫酸
めっき液温度:50℃
電気めっき条件:電流密度9.9A/dm2、クーロン量30.3As/dm2
めっき液組成:15.5g/LのCu、7.5g/LのCo、9.5g/LのNi
pH:2.4
めっき液温度:36℃
電気めっき条件:電流密度33.1A/dm2、クーロン量44.8As/dm2
圧延銅箔の種類、R1、R2及びYにおける電流密度及びクーロン量の少なくとも1つを表1に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして表面処理銅箔を得た。なお、表1において、圧延銅箔Bは、再結晶化後のヤング率が85GPa、厚さ12μmの圧延銅箔である。
<表面処理層のSMr1、Spk、Sk>
オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡(LEXT OLS4000)を用いて画像撮影を行なった。撮影した画像の解析は、オリンパス株式会社製のレーザー顕微鏡(LEXT OLS4100)の解析ソフトを用いて行った。SMr1、Spk及びSkの測定はISO 25178にそれぞれ準拠して行った。また、これらの測定結果は、任意の3か所で測定した値の平均値を測定結果とした。なお、測定時の温度は23〜25℃とした。また、レーザー顕微鏡及び解析ソフトにおける主要な設定条件は下記の通りである。
対物レンズ:MPLAPON50XLEXT(倍率:50倍、開口数:0.95、液浸タイプ:空気、機械的鏡筒長:∞、カバーガラス厚:0、視野数:FN18)
光学ズーム倍率:1倍
走査モード:XYZ高精度(高さ分解能:10nm、取込みデータの画素数:1024×1024)
取込み画像サイズ[画素数]:横257μm×縦258μm[1024×1024]
(横方向に測定するため、評価長さとしては257μmに相当)
DIC:オフ
マルチレイヤー:オフ
レーザー強度:100
オフセット:0
コンフォーカルレベル:0
ビーム径絞り:オフ
画像平均:1回
ノイズリダクション:オン
輝度むら補正:オン
光学的ノイズフィルタ:オン
カットオフ:無し(λc、λs、λf全て無し)
フィルタ:ガウシアンフィルタ
ノイズ除去:測定前処理
表面(傾き)補正:実施
表面処理銅箔を樹脂基材[LCP:液晶ポリマー樹脂(ヒドロキシ安息香酸(エステル)とヒドロキシナフトエ酸(エステル)との共重合体)フィルム(株式会社クラレ製Vecstar(登録商標)CTQ;厚み50μm又は100μm)]と貼り合わせた後、幅3mmの回路をTD方向(圧延銅箔の幅方向)に形成した。次に、回路(表面処理銅箔)を樹脂基材の表面に対して、50mm/分の速度でTD180°方向に引き剥がすときの強さ(TD180°ピール強度)をJIS C6471:1995に準拠して測定した。測定は3回行い、その平均値をピール強度の結果とした。ピール強度は、0.50kgf/cm以上であれば、回路(表面処理銅箔)と樹脂基材との接着性が良好であるといえる。
なお、回路幅の調整は、塩化銅エッチング液を用いる通常のサブトラクティブエッチング方法によって行った。
一方、表面処理層のSMr1、Spk及びSkが所定の範囲外である比較例1の表面処理銅箔はピール強度が低かった。
Claims (12)
- 銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、
前記表面処理層の突出山部とコア部を分離する負荷面積率SMr1が16〜28%である表面処理銅箔。 - 前記表面処理層の突出山部高さSpkが1.2〜2.5μmである、請求項1に記載の表面処理銅箔。
- 前記表面処理層のコア部のレベル差Skが1.0〜2.0μmである、請求項1又は2に記載の表面処理銅箔。
- 銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、
前記表面処理層の突出山部高さSpkが1.2〜2.5μmである表面処理銅箔。 - 前記表面処理層のコア部のレベル差Skが1.0〜2.0μmである、請求項4に記載の表面処理銅箔。
- 銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に形成された表面処理層とを有し、
前記表面処理層のコア部のレベル差Skが1.0〜2.0μmである表面処理銅箔。 - 前記表面処理層が粗化処理層を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。
- 前記粗化処理層が、一次粗化粒子と、前記一次粗化粒子を被覆するかぶせめっき層と、前記かぶせめっき層上に形成された二次粗化粒子とを含む、請求項7に記載の表面処理銅箔。
- 前記表面処理層は、前記粗化処理層上に、耐熱処理層、防錆処理層、クロメート処理層及びシランカップリング処理層からなる群から選択される1種以上の層を更に有する、請求項7又は8に記載の表面処理銅箔。
- 前記銅箔が圧延銅箔である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の表面処理銅箔。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の表面処理銅箔と、前記表面処理銅箔の表面処理層に接着された樹脂基材とを備える銅張積層板。
- 請求項11に記載の銅張積層板の前記表面処理銅箔をエッチングして形成された回路パターンを備えるプリント配線板。
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