JP2021095534A - 硬化樹脂用組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化反応温度が低く、容易に成型可能であり、且つ高弾性・高耐熱性硬化物の調製に有用な、硬化樹脂用組成物を提供する。また、当該硬化樹脂用組成物を硬化して得られるベンゾオキサジン樹脂を提供する。【解決手段】本発明の硬化樹脂用組成物は、(A)下記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物と(B)少なくとも2つのエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物とを含有する。[式(1)中、Rはアルキレン基、アラルキレン基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホニル基であり、Arはアリーレン基である。]【選択図】なし
Description
本発明は、新規ベンゾオキサジン化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する硬化樹脂用組成物に関し、更に当該硬化樹脂用組成物の硬化物であるベンゾオキサジン樹脂に関する。
ベンゾオキサジン化合物とは、ベンゼン骨格とオキサジン骨格とを有するベンゾオキサジン環を含む化合物を指し、その硬化物(重合物)であるベンゾオキサジン樹脂は、耐熱性、機械的強度等の物性に優れ、多方面の分野において各種用途用の高性能材料として使用されている。
特許文献1は、特定構造の新規なベンゾオキサジン化合物及びその製造方法を開示し、該ベンゾオキサジン化合物は高い熱伝導率を有すること、並びに該ベンゾオキサジン化合物により高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造することが可能であることを記載している。
特許文献2は、特定のベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有するポリベンゾオキサジン樹脂の反応性末端の一部又は全部を封止した熱硬化性樹脂を開示し、該熱硬化性樹脂は溶媒に溶解した際の保存安定性に優れることを記載している。
特許文献3は、ベンゾオキサジン樹脂とエポキシ樹脂を含有する組成物において、硬化後の耐熱性が向上し、ガラス転移温度が180℃〜215℃を示すことを記載している。
非特許文献1は、新規なベンゾオキサジン化合物として、2量体〜4量体ベンゾオキサジンを開示し、これらの重合体のガラス転移点等の物性測定結果を記載している。
Sini N. K., Takeshi Endo, "Toward Elucidating the Role of Number of Oxazine Rings and Intermediates in the Benzoxazine Backbone on Their Thermal Characteristics", Macromolecules, 2016, 49 (22), pp. 8466-8478
本発明の課題は、硬化反応温度が低く、容易に成型可能であり、且つ高弾性・高耐熱性硬化物の調製に有用な、硬化樹脂用組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、低温硬化性を有し、耐熱性及び耐熱分解性等に優れ、特定の環結合構造及び置換基を有するベンゾオキサジン化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する新規な硬化樹脂用組成物を開発し、本発明を完成するに至った。
本発明の一形態によれば、(A)下記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物と(B)少なくとも2つのエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物とを含有する硬化樹脂用組成物が提供される。
式(1)中、Rはアルキレン基、アラルキレン基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホニル基であり、Arはアリーレン基である。
本発明の他の形態によれば、上記硬化樹脂用組成物の硬化物である、ベンゾオキサジン樹脂が提供される。
本発明の硬化樹脂用組成物は、上記ベンゾオキサジン化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する新規組成物である。該ベンゾオキサジン化合物は、2つの二官能型ベンゾオキサジン単位が結合した構造を有し、4つのベンゾオキサジン環を有する四官能型化合物である。該硬化樹脂用組成物は液状組成物とすることが可能であり、成型が容易である。また、該硬化樹脂用組成物を硬化させると、ベンゾオキサジン環の開環によって生成するフェノール部位と多官能エポキシ化合物とが反応し、架橋密度が高く、ガラス転移温度が高く、また熱分解し難い硬化物が得られる。
本発明のベンゾオキサジン樹脂は、上記ベンゾオキサジン化合物と多官能エポキシ化合物とを使用して得られる硬化物であるため、高耐熱性であり、非常に高い弾性率を示す。従って、接着剤、封止材、塗料、複合材向けマトリックス樹脂等の分野において、高弾性・高耐熱性材料として使用できる。
本発明の硬化樹脂用組成物は、(A)下記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物と(B)少なくとも2つのエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物とを含有する。以下、硬化樹脂用組成物を単に組成物と称し、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を成分(A)と称し、少なくとも2つのエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を成分(B)と称する。なお、本発明において、成分(A)及び(B)はそれぞれ単量体として用いられる化合物であってよく、該化合物の分子の一部又は全部が重合してオリゴマーを形成していてもよい。即ち、成分(A)及び(B)は硬化物を形成する前のプレポリマーであってもよい。
式(1)中、Rはアルキレン基、アラルキレン基、酸素原子、硫黄原子、又はスルホニル基[−S(=O)2−]である。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。アラルキレン基の具体例としては、フェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、フルオレン基等が挙げられる。
式(1)中、Arはアリーレン基である。アリーレン基の具体例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
式(1)のベンゾオキサジン化合物(以後、単に式(1)の化合物と称する場合もある)の具体例としては、以下の四官能型ベンゾオキサジン化合物群が挙げられる。
本発明の組成物は成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物を含有していてもよい。即ち、本発明の組成物は、1種以上のベンゾオキサジン化合物と成分(B)とを含有し、当該1種以上のベンゾオキサジン化合物が成分(A)を含む、組成物であってもよい。成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物は、単官能型、二官能型、三官能型、又は四官能型のベンゾオキサジン化合物であってよい。成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物の例としては、非特許文献1に開示される多官能型ベンゾオキサジン化合物や、後述する第1及び第2のベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。本発明の組成物の粘度を低下させたい場合、その物性を損なわない範囲で、ベンゾオキサジン環が1つである単官能型ベンゾオキサジン化合物を組成物に添加してもよい。また、入手容易性、他樹脂への溶解性、粘度調整等の観点からは、二官能型ベンゾオキサジン化合物を添加することが好ましい。即ち、本発明の組成物には、四官能型ベンゾオキサジン化合物である成分(A)と二官能型ベンゾオキサジン化合物との組み合わせを好ましく使用できる場合がある。
組成物中の全てのベンゾオキサジン化合物の合計に対する成分(A)の質量比は、20〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましい。特に、本発明の組成物が成分(A)と二官能型ベンゾオキサジン化合物との組み合わせを含有する場合は、組成物中の成分(A)と二官能型ベンゾオキサジン化合物の合計に対する成分(A)の質量比は、20質量%以上100質量%未満が好ましく、30質量%以上100質量%未満がより好ましい。また、本発明の組成物のベンゾオキサジン化合物の含有割合(即ち、成分(A)の含有割合又は成分(A)を含む全ベンゾオキサジン化合物の合計の含有割合)は、20〜95質量%であるのが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。ベンゾオキサジン化合物の含有割合が20質量%未満であると、耐熱性、弾性率等の物性の低下が懸念される。ベンゾオキサジン化合物の含有割合が95質量%を超えると、液状となる温度が高温となり、成型性の悪化が懸念される。
上記第1のベンゾオキサジン化合物は、下記式(2)で示されるベンゾオキサジン環構造を少なくとも2つ有する多官能ベンゾオキサジン化合物である。
式(2)中、Rは炭素数1〜12の鎖状アルキル基、炭素数3〜8の環状アルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、該アリール基は置換基としてハロゲン又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基を有していてもよい。本発明の組成物はRの種類が異なる複数種の第1のベンゾオキサジン化合物を含有していてもよい。
上記式(2)中のRが炭素数1〜12の鎖状アルキル基である場合、その具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。Rが炭素数3〜8の環状アルキル基である場合、その具体例としてはシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。Rが炭素数6〜14のアリール基である場合、その具体例としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。Rが置換基としてハロゲン又は炭素数1〜12の鎖状アルキル基を有する炭素数6〜14のアリール基である場合、その具体例としてはo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、o−t−ブチルフェニル基、m−t−ブチルフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、o−クロロフェニル基、o−ブロモフェニル基等が挙げられる。取り扱い性が良好な点において、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、及びo−メチルフェニル基から選択されることが好ましい。
第1のベンゾオキサジン化合物の具体例としては、下記式(1X)に示す化合物、及び該化合物が重合したオリゴマーが挙げられる。
上記第2のベンゾオキサジン化合物は、下記式(3)で示される多官能ベンゾオキサジン化合物である。
式(3)中、Lは芳香環を1〜5個含む2価の有機基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。該有機基及びアルキレン基は酸素及び/又は硫黄を含んでいてもよい。本発明の組成物はLが異なる複数種の第2のベンゾオキサジン化合物を含有していてもよい。
式(3)中のLが芳香環を1〜5個含む2価の有機基である場合、単環構造、多環構造、縮合環構造等を有してよい。該有機基の具体例としては下記式(4)に示す基が挙げられる。
第2のベンゾオキサジン化合物の具体例としては、下記式(2X)に示す化合物、及び該化合物が重合したオリゴマーが挙げられる。
成分(A)以外の多官能ベンゾオキサジン化合物として、市販品を使用することもできる。市販品の例としては、四国化成株式会社製のビスフェノールF−アニリン型(F−a型)ベンゾオキサジン化合物及びフェノール−ジアミノジフェニルメタン型(P−d型)ベンゾオキサジン化合物等が挙げられる。
成分(B)は少なくとも2つのエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物である。成分(B)として使用可能なエポキシ基を2つ有する多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、N,N−ジグリシジルアニリン等が挙げられる。また、エポキシ基を3つ有する多官能エポキシ化合物jER630(三菱化学株式会社製)、エポキシ基を4つ有する多官能エポキシ化合物YH434L(新日鉄住金化学株式会社製)、エポキシ基の個数に分布のあるフェノールノボラックエポキシ化合物等も成分(B)として使用可能である。本発明の組成物はこれら化合物の組み合わせを含有していてもよい。
成分(B)としては、液状多官能エポキシ化合物を使用するのが好ましい。本発明において、液状多官能エポキシ化合物とは、多官能エポキシ化合物のうち80℃以下で粘度が100Pa・s以下となるものをいう。このような液状多官能エポキシ基を使用することで本発明の組成物は低粘度となり、成型が容易となる。液状多官能エポキシ化合物としては、YD128(新日鉄住金化学株式会社製ビスフェノールA型エポキシ化合物)、YD170(新日鉄住金化学株式会社製ビスフェノールF型エポキシ化合物)、YDPN638(新日鉄住金化学株式会社製フェノールノボラック型エポキシ化合物)、YH434L(新日鉄住金化学株式会社製四官能エポキシ化合物)、jER825(三菱化学株式会社製)、セロキサイド2021P(ダイセル株式会社製脂環式エポキシ化合物)、GAN及びGOT(日本化薬株式会社製N,N−ジグリシジルアニリン)、jER630(三菱化学株式会社製三官能エポキシ化合物)等が挙げられる。
本発明の組成物の成分(B)の含有割合は、5〜80質量%であるのが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。成分(B)の含有割合が5質量%未満であると、組成物の粘度が高くなりすぎ、成型性が悪くなるおそれがある。成分(B)の含有割合が80質量%を超えると、耐熱性が不足するおそれがある。また、組成物中の成分(B)の量は、ベンゾオキサジン化合物の開環反応にて生成するフェノール部位1molに対して、エポキシ基が0.2〜1.5molの範囲で使用することが好ましく、0.2〜1.2molの範囲がより好ましい。エポキシ基が1.5molを超えると未反応のエポキシ基により耐熱性が低下するおそれがある。
本発明の組成物は、任意に成分(C)として、少なくとも1種の硬化剤を含有することができる。成分(C)の具体例としては、ジエチルトルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、これらの各種誘導体等の芳香族アミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン、イミダゾール、イミダゾール誘導体等のイミダゾール類、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等のカルボン酸無水物、アジピン酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、単官能フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフィド、ポリフェノール化合物等の多官能フェノール化合物、ポリメルカプタン、カルボン酸塩、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体等のルイス酸錯体等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上の混合物として使用してもよい。本発明の組成物は、成分(C)としてイミダゾール類、芳香族アミン類、及び多官能フェノール類より選択される少なくとも1種の硬化剤を含有することが好ましい。
本発明の組成物に成分(C)を配合する場合、成分(A)と成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物との合計100質量部に対して、成分(C)の含有割合は0質量部超20質量部以下の範囲とすることが好ましい。本発明の組成物は成分(C)を使用しなくても熱によって硬化させることができるが、成分(C)をこの範囲の割合で含有することにより、より効率的に硬化反応を進行させることができる。
本発明の組成物は、任意に成分(D)として硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィンを代表とするリン系硬化促進剤が好ましい。
成分(D)の配合割合としては、成分(A)、成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量部に対して、成分(D)を0.01質量部以上10質量部以下の範囲とすることが好ましく、0.1質量部以上5質量部以下の範囲とすることがより好ましい。成分(D)をこの範囲で含有することにより、より優れた速硬化性を有する硬化樹脂用組成物とすることができる。
また、本発明の組成物は、その物性を損なわない範囲で、その他の成分として、例えばナノカーボン、無機フィラー、難燃剤、離型剤等を含有してもよい。
上記その他の成分の配合割合としては、成分(A)、成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物、成分(B)、及び成分(C)の合計100質量部に対して、その他の成分を0.01質量部以上10質量部以下の範囲とすることが好ましく、0.1質量部以上9質量部以下の範囲とすることがより好ましい。
ナノカーボンとしては、例えば、カーボンナノチューブ、フラーレン、これらの誘導体等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、赤燐、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビスフェニルホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等のリン酸エステルや、ホウ酸エステル等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、シリコンオイル、ステアリン酸エステル、カルナバワックス等が挙げられる。
式(1)の化合物の製造方法としては、以下の工程(X)〜(Z)を含む方法を好ましい例として挙げることができる。
工程(X)
工程(X)では下記式(5)に示す反応を行う。式(5)中、Arはアリーレン基であり、Xはニトロ基[−NO2]又はアセトアミド基[−NHAc]である。即ち、工程(X)では、サリチルアルデヒド(2−ヒドロキシベンズアルデヒド)とニトロアニリン系化合物又はアセトアミドアニリン系化合物との反応により、イミン化合物を得る。
工程(X)では下記式(5)に示す反応を行う。式(5)中、Arはアリーレン基であり、Xはニトロ基[−NO2]又はアセトアミド基[−NHAc]である。即ち、工程(X)では、サリチルアルデヒド(2−ヒドロキシベンズアルデヒド)とニトロアニリン系化合物又はアセトアミドアニリン系化合物との反応により、イミン化合物を得る。
上記ニトロアニリン系化合物としては、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、6−ニトロ−2−ナフチルアミン、6−ニトロ−1−ナフチルアミン、5−ニトロ−1−ナフチルアミン、4−アミノ−4’−ニトロ−1,1’−ビフェニル、2−アミノ−7−ニトロフルオレン等が挙げられる。
上記アセトアミドアニリン系化合物としては、m−アセトアミドアニリン、p−アセトアミドアニリン、6−アセトアミド−2−ナフチルアミン、6−アセトアミド−1−ナフチルアミン、5−アセトアミド−1−ナフチルアミン、4−アミノ−4’−アセトアミド−1,1’−ビフェニル、2−アミノ−7−アセトアミドフルオレン等が挙げられる。
上記イミン化合物としては、2−(((3−ニトロフェニル)イミノ)メチル)フェノール、2−(((4−ニトロフェニル)イミノ)メチル)フェノール、2−(((3−アセトアミドフェニル)イミノ)メチル)フェノール、2−(((4−アセトアミドフェニル)イミノ)メチル)フェノール等が挙げられる。
式(5)の反応において、サリチルアルデヒドとニトロアニリン系化合物又はアセトアミドアニリン系化合物との理論反応モル比は1:1であるが、上記イミン化合物を高収率で得るためには、1モルのサリチルアルデヒドに対し、ニトロアニリン系化合物又はアセトアミドアニリン系化合物を0.5〜3.0モル使用するのが好ましく、1.0〜1.5モル使用するのが更に好ましい。
式(5)の反応に用いられる溶媒としては、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶媒類等が挙げられる。反応物及び生成物の溶解性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好ましい。
式(5)の反応を行う温度は、反応率の観点から、室温以上還流温度以下が好ましく、30℃以上100℃以下が更に好ましい。また、式(5)の反応を行う時間は1〜10時間程度でよい。
式(5)の反応によって、イミン化合物を含む反応生成物が得られる。この反応生成物は不純物を含み得るので、再結晶、カラムクロマトグラフィー、溶剤洗浄等によって精製してよい。所望のイミン化合物が高収率で得られる場合、精製することなく次工程を行うことができる。精製用溶媒としては、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
工程(Y)
工程(Y)では下記式(6)及び(7)に示す反応を行う。式(6)及び(7)中のAr及びXは、式(5)中のそれらと同義である。即ち、工程(Y)では、式(6)に示すようにイミン化合物のイミノ基を還元してアミン化合物を調製し、式(7)に示すようにアミン化合物のX基(ニトロ基又はアセトアミド基)を還元してジアミン化合物を得る。
工程(Y)では下記式(6)及び(7)に示す反応を行う。式(6)及び(7)中のAr及びXは、式(5)中のそれらと同義である。即ち、工程(Y)では、式(6)に示すようにイミン化合物のイミノ基を還元してアミン化合物を調製し、式(7)に示すようにアミン化合物のX基(ニトロ基又はアセトアミド基)を還元してジアミン化合物を得る。
上記アミン化合物としては、2−((3−ニトロフェニル)アミノメチル)フェノール、2−((4−ニトロフェニル)アミノメチル)フェノール、2−((3−アセトアミドフェニル)アミノメチル)フェノール、2−((4−アセトアミドフェニル)アミノメチル)フェノール等が挙げられる。
上記ジアミン化合物としては、2−((3−アミノフェニル)アミノメチル)フェノール、2−((4−アミノフェニル)アミノメチル)フェノール等が挙げられる。
式(6)の反応では、接触水素還元法や金属水素化物を用いた還元法といった、公知のイミノ基還元方法を用いてよい。接触水素還元法では、触媒として、ニッケル、パラジウム、白金等の金属やその化合物を含む担持触媒を用いてよい。水素圧は常圧以上10気圧以下が好ましい。金属水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)等が挙げられる。
式(6)の反応において水素化ホウ素ナトリウムを用いる場合、イミン化合物と水素化ホウ素ナトリウムとの理論反応モル比は2:1であるが、上記アミン化合物を高収率で得るためには、1モルのイミン化合物に対し、水素化ホウ素ナトリウムを0.5〜4.0モル使用するのが好ましい。
式(6)の反応に用いられる溶媒としては、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。反応物及び生成物の溶解性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好ましい。
式(6)の反応において接触水素還元法を用いる場合、反応率の観点から、反応温度は−78℃以上還流温度以下が好ましく、−20℃以上50℃以下が更に好ましい。また、反応時間は30分間〜48時間程度でよい。金属水素化物を用いる場合は、反応率の観点から、反応温度は0℃以上還流温度以下が好ましく、20℃以上50℃以下が更に好ましい。また、反応時間は5分間〜1時間程度でよい。
式(6)の反応によって、2級アミンを含む反応生成物が得られる。この反応生成物は不純物を含み得るので、再結晶、カラムクロマトグラフィー、溶剤洗浄等によって精製し、高純度のアミン化合物を得ることが好ましい。この場合、工程(Z)において式(1)の化合物を高収率で得られる。精製用溶媒としては、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等を例示できる。
式(7)の反応では、X基がニトロ基である場合、接触水素還元法、ヒドラジン還元法、塩化スズを用いた還元法等の、公知のニトロ基還元方法を用いてよい。塩化スズは水和物であることが好ましく、アミン化合物1モルに対する塩化スズの量は1.0〜10.0モルが好ましい。X基がアセトアミド基である場合、アミド基の加水分解にてアミン体を得ることができ、塩酸、硫酸等の酸化合物、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基化合物を用いてよい。
式(7)の反応に用いられる溶媒としては、アルコール類、炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。反応物及び生成物の溶解性の観点から、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールが好ましい。
式(7)の反応を行う温度は−20℃以上還流温度以下であってよく、反応時間は0.5時間以上10時間以下であってよい。反応生成物が不純物を含む場合は、溶媒洗浄、再結晶、カラムクロマトグラフィー等によって精製してよい。
X基がニトロ基である場合、式(6)及び(7)の2つの還元反応は、1段階で行っても2段階で行ってもよい。即ち、式(6)及び(7)の還元反応を同時に(同じ反応系中で)行ってもよい。
工程(Z)
工程(Z)では下記式(8)に示す反応を行う。式(8)中のR及びArは、式(1)中のそれらと同義である。(CH2O)はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を表す。即ち、工程(Z)では、ジアミン化合物と、ビスフェノール類と、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体とを反応させて、ベンゾオキサジン環を形成し、式(1)の化合物を得る。
工程(Z)では下記式(8)に示す反応を行う。式(8)中のR及びArは、式(1)中のそれらと同義である。(CH2O)はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体を表す。即ち、工程(Z)では、ジアミン化合物と、ビスフェノール類と、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体とを反応させて、ベンゾオキサジン環を形成し、式(1)の化合物を得る。
上記ビスフェノール類としては、ビスフェノールF(ビス(ヒドロキシフェニル)メタン)、ビスフェノールA(4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパン)、ビスフェノールS(ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、ビスフェノールAP、ビスフェノールBP、4,4’−ヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ヒドロキシフェニルフルオレン等が挙げられる。
上記ホルムアルデヒドはホルマリンの状態で使用してもよい。上記ホルムアルデヒド誘導体としては、トリオキサンやパラホルムアルデヒドのような多量体や重合体等が挙げられる。
式(8)の反応において、ジアミン化合物とビスフェノール類との理論反応モル比は2:1であるが、式(1)の化合物を高収率で得るためには、2モルのジアミン化合物に対し、ビスフェノール類を0.5〜3.0モル使用するのが好ましく、0.8〜1.5モル使用するのが更に好ましい。また、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド誘導体については、ジアミン化合物1モルに対する理論量はCH2Oとして3モルであるが、式(1)の化合物を高収率で得るためには、1モルのジアミン化合物に対し、CH2Oとしての量を2.5〜4.0モルとするのが好ましい。
式(8)の反応に用いられる溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、エステル類、アミド類、含ハロゲン溶媒類等が挙げられる。反応物及び生成物の溶解性の観点から、含ハロゲン溶媒類が好ましく、クロロホルムが特に好ましい。
式(8)の反応を行う温度は、反応率の観点から、室温以上還流温度以下が好ましく、30℃以上70℃以下が更に好ましい。また、式(8)の反応を行う時間は1〜48時間程度でよい。
式(1)で示される四官能型ベンゾオキサジン化合物の構造は、元素分析、プロトンNMR(1H−NMR)、カーボンNMR(13C−NMR)等によって同定できる。元素分析によって、各元素の測定値と計算値がほぼ一致することが確認できる。両NMR測定で得られたNMRピークの化学シフト、カップリング、及び面積比から、水素原子及び炭素原子がそれぞれ合理的に帰属できることが確認できる。このようにして、式(1)の構造を確認する。
式(1)の化合物の融点は、150℃以下であってよく、130℃以下であることが好ましい。従来の四官能型ベンゾオキサジンと比較すると、式(1)の化合物は融点が低いため、融点以上において液体となり、低温流動性に優れるという利点を有する。なお、融点はDSC(示差走査熱量測定)等によって測定することができる。
次に、本発明の組成物の製造方法について説明する。本発明の組成物は、成分(A)及び(B)、更に所望により成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物、成分(C)、成分(D)、その他の成分、溶剤等を適宜追加して混練又は混合することにより製造することができる。混練又は混合した後、得られた混合物を粉体状、ペレット状、顆粒状等に加工してもよい。
混練又は混合の方法は特に限定されず、例えば、プラネタリーミキサー、2軸押出機、熱ロール、又はニーダー等の混合装置又は混練機等を用いる方法が挙げられる。また、成分(A)、成分(A)以外のベンゾオキサジン化合物、成分(B)、又は成分(C)が室温で高粘度の液状又は固体状である場合、必要に応じて加熱して混練してもよく、加圧又は減圧条件下で混練してもよい。加熱温度としては80〜120℃が好ましい。
本発明の組成物は、公知のベンゾオキサジン化合物及び/又はエポキシ化合物と同様の条件下で開環重合を行うことで、硬化させることができる。
例えば、以下の方法によって本発明の硬化物が得られる。まず、本発明の組成物を上記方法によって製造する。続いて、得られた組成物を、例えば150〜300℃で20秒間〜5時間加熱することで、硬化物が得られる。硬化物を連続生産する場合には、硬化時間は1〜3分間で十分であるが、より高い強度を得るために後硬化として更に5分間〜5時間程度加熱することが好ましい。
本発明の硬化物としてフィルム状成形物を調製する場合は、溶剤を配合して組成物の粘度を薄膜形成に好適な範囲に調整してもよい。溶剤としては成分(A)〜(D)等を溶解できれば特に限定されず、例えば、炭化水素類、エーテル類、エステル類、含ハロゲン溶剤類等が挙げられる。
組成物が溶剤を含有する場合は、溶液状の組成物を基材等に塗布し、溶剤を揮発させ、熱硬化を行うことによって、硬化物を得ることができる。
本発明の硬化物の耐熱性はガラス転移温度及び弾性率を測定することにより評価できる。硬化物のガラス転移温度は、220℃以上とすることが可能であり、好ましくは225℃以上、より好ましくは230℃以上である。ガラス転移温度は熱機械測定(TMA)により測定することができる。硬化物の弾性率は、35℃における弾性率として、4.0GPa以上とすることが可能であり、好ましくは4.5GPa以上、より好ましくは5.0GPa以上である。弾性率は動的粘弾性測定(DMA)により測定することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、製造方法は一例であり、本発明で使用する各成分及び組成物は、下記製造方法により限定されるものではない。
(実施例1)
1.ベンゾオキサジン化合物の合成
以下の通り、下記式(I)で示されるビス(3−(3−(2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−3(4H)−イル)フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)メタンを合成した。このベンゾオキサジン化合物を四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)と称する。
1.ベンゾオキサジン化合物の合成
以下の通り、下記式(I)で示されるビス(3−(3−(2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−3(4H)−イル)フェニル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)メタンを合成した。このベンゾオキサジン化合物を四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)と称する。
なお、以下の合成において、サリチルアルデヒド、3−ニトロアニリン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、パラホルムアルデヒド、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、及び水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)は、東京化成工業株式会社からの市販品を使用した。塩化スズ(II)二水和物、酢酸エチル、及びエタノール(99.5)は、和光純薬工業株式会社からの市販品を使用した。ジクロロメタン、ヘキサン、及びクロロホルムは、関東化学株式会社からの市販品を使用した。
1−1.2−(((3−ニトロフェニル)アミノ)メチル)フェノールの合成
下記式(2a)及び(3a)に示すように、2−(((3−ニトロフェニル)アミノ)メチル)フェノールを合成した。以下、2−(((3−ニトロフェニル)アミノ)メチル)フェノールを単にアミン化合物と称する。
下記式(2a)及び(3a)に示すように、2−(((3−ニトロフェニル)アミノ)メチル)フェノールを合成した。以下、2−(((3−ニトロフェニル)アミノ)メチル)フェノールを単にアミン化合物と称する。
具体的には、まずサリチルアルデヒド(8.84g、72.39mmol)、3−ニトロアニリン(10g、72.39mmol)、及びエタノール(250mL)を丸底フラスコに入れ、60℃で撹拌した。反応混合物は当初は均質であったが、反応が進行するにつれて橙黄色の懸濁液へと変化した。60℃で8時間撹拌した後、室温まで冷却し、NaBH4(1.36g、36.19mmol)を添加して15分間撹拌した。
反応混合物に蒸留水(100mL)を添加し、得られたアミン化合物を100mLのジクロロメタンで3回抽出した。有機層を回収し、蒸留水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し、アミン化合物の黄色結晶(17.41g、71.32mmol、収率98.5%)を得た。
1−2.2−(((3−アミノフェニル)アミノ)メチル)フェノールの合成
下記式(4a)に示すように、上記アミン化合物を用いて、2−(((3−アミノフェニル)アミノ)メチル)フェノールを合成した。以下、2−(((3−アミノフェニル)アミノ)メチル)フェノールを単にジアミン化合物と称する。
下記式(4a)に示すように、上記アミン化合物を用いて、2−(((3−アミノフェニル)アミノ)メチル)フェノールを合成した。以下、2−(((3−アミノフェニル)アミノ)メチル)フェノールを単にジアミン化合物と称する。
丸底フラスコに上記アミン化合物(15g、61.45mmol)、塩化スズ(II)二水和物(69.33g、307.2mmol)、及びエタノール(250mL)を入れ、室温で1時間撹拌し、更に85℃で2時間還流した。反応混合物を冷却した後、飽和Na2CO3溶液を加え、pHを8に調製したところ、白色沈殿が生じた。
反応混合物を吸引ろ過し、酢酸エチル(〜400mL)を用いてジアミン化合物を抽出した。有機層を回収し、350mLの蒸留水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターを用いて溶媒を留去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。まずは溶離液として酢酸エチルとヘキサンの混合液(酢酸エチル:ヘキサン=30:70)を用いて未反応のアミン化合物を除去し、次に酢酸エチルとヘキサンの混合液(酢酸エチル:ヘキサン=50:50)を用いて所望のジアミン化合物を回収した。ジアミン化合物を酢酸エチルとヘキサンの混合液(酢酸エチル:ヘキサン=50:50)中で再結晶し、オフホワイト色の光沢結晶を得た(4.4g、20.5mmol、収率33%)。
1−3.四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)の合成
下記式(5a)に示すように、上記ジアミン化合物を用いて、四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)を合成した。
下記式(5a)に示すように、上記ジアミン化合物を用いて、四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)を合成した。
丸底フラスコに上記ジアミン化合物(1g、4.67mmol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(0.467g、2.33mmol)、パラホルムアルデヒド(1.15g、15.41mmol)、トリエチルアミン(0.472g、4.67mmol)、及びクロロホルム(10mL)を入れ、65℃で24時間還流した。反応混合物を冷却し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した。溶離液としては酢酸エチルとヘキサンの混合液(酢酸エチル:ヘキサン=1:4)を用いた。酢酸エチルとヘキサンの混合液(酢酸エチル:ヘキサン=4:1)を用いて四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)を再結晶し、白色結晶を得た(0.34g、0.485mmol、収率20.85%)。
2.硬化樹脂用組成物及び硬化物の調製
10gの四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)と10gのセロキサイド2021Pを100℃に加温し撹拌混合して、硬化樹脂用組成物を調製した。脱泡混練機を用いて組成物中の気泡を除いた後、金型に注入し、250℃で4時間硬化を行って硬化物を得た。実施例1の組成物に用いたベンゾオキサジン化合物及び多官能エポキシ化合物の種類及び量を表1に示す。
10gの四官能型ベンゾオキサジン化合物(I)と10gのセロキサイド2021Pを100℃に加温し撹拌混合して、硬化樹脂用組成物を調製した。脱泡混練機を用いて組成物中の気泡を除いた後、金型に注入し、250℃で4時間硬化を行って硬化物を得た。実施例1の組成物に用いたベンゾオキサジン化合物及び多官能エポキシ化合物の種類及び量を表1に示す。
3.硬化樹脂用組成物及び硬化物の物性測定
上記組成物の硬化反応温度Tp、並びに上記硬化物のガラス転移温度Tg及び弾性率E’を測定した。測定結果を表1に示す。なお、硬化反応温度Tpは、20〜30mgの試験片を用い、XDSC−7000(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分及び昇温速度20℃/分の条件下でDSC(示差走査熱量測定)を行って測定した。本発明では、この硬化反応温度Tpは250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましい。ガラス転移温度Tgは、10×12×3mmの試験片を用い、TMA−7200(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分及び昇温速度10℃/分の条件下でTMA(熱機械測定)を行って測定した。35℃での弾性率E’は、10×50×3mmの試験片を用い、DMA−7000(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分、昇温速度5℃/分、及び1Hzの条件下でDMA(動的粘弾性測定)を行って測定した。
上記組成物の硬化反応温度Tp、並びに上記硬化物のガラス転移温度Tg及び弾性率E’を測定した。測定結果を表1に示す。なお、硬化反応温度Tpは、20〜30mgの試験片を用い、XDSC−7000(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分及び昇温速度20℃/分の条件下でDSC(示差走査熱量測定)を行って測定した。本発明では、この硬化反応温度Tpは250℃以下が好ましく、240℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましい。ガラス転移温度Tgは、10×12×3mmの試験片を用い、TMA−7200(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分及び昇温速度10℃/分の条件下でTMA(熱機械測定)を行って測定した。35℃での弾性率E’は、10×50×3mmの試験片を用い、DMA−7000(日立ハイテクサイエンス社製)を使用して、N2流量20mL/分、昇温速度5℃/分、及び1Hzの条件下でDMA(動的粘弾性測定)を行って測定した。
(実施例2〜11及び比較例1〜5)
ベンゾオキサジン化合物及び多官能エポキシ化合物の種類及び量を表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様に、実施例2〜11及び比較例1〜5の組成物及び硬化物を調製し、硬化反応温度Tp、ガラス転移温度Tg、及び弾性率E’を測定した。結果を表1〜3に示す。
ベンゾオキサジン化合物及び多官能エポキシ化合物の種類及び量を表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様に、実施例2〜11及び比較例1〜5の組成物及び硬化物を調製し、硬化反応温度Tp、ガラス転移温度Tg、及び弾性率E’を測定した。結果を表1〜3に示す。
なお、表1及び2中、「2021P」はダイセル株式会社製脂環式エポキシ化合物セロキサイド2021Pであり、「YD128」は新日鉄住金化学株式会社製ビスフェノールA型エポキシ化合物であり、「YDPN638」は新日鉄住金化学株式会社製フェノールノボラック型エポキシ化合物であり、「YH434L」は新日鉄住金化学株式会社製四官能エポキシ化合物である。また、二官能型ベンゾオキサジン化合物(II)は下記式(II)で示される。
表1〜3に示したように、特定の四官能ベンゾオキサジン化合物と多官能エポキシ化合物とを含有する実施例1〜11の組成物は、特定の四官能ベンゾオキサジン化合物を含有しない比較例1〜5の組成物と比較して、低い硬化反応温度を示した。また、これら組成物を硬化して得られた実施例1〜11の硬化物は、高いガラス転移温度及び弾性率を示した。
本発明の硬化樹脂用組成物は硬化反応温度が低く、硬化樹脂の調製に適している。該組成物の硬化物は高いガラス転移温度及び弾性率を示すため、高耐熱性、高弾性率等の物性が要求される分野で使用可能である。例えば、複合材料向けのマトリックス樹脂、電子分野における封止材、積層板等、塗料、接着剤等に用いることができる。
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