JP2021095317A - 窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材 - Google Patents

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文耶 中村
康武 早川
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Abstract

【課題】製品加工に耐え得る強度を有し、製品に加工した場合に良好な製品寿命を有することができる窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材を提供する。【解決手段】窒化ケイ素焼結体は、空孔率が3%以下であり、かつ収縮率が13%以下である。また、前記窒化ケイ素焼結体において、破壊靱性値が5.0MPa・m1/2以上、最大空孔径が50μm未満、ビッカース硬度が1300Hv以上、3点曲げ強度が700MPa以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材に関する。
窒化ケイ素(Si)焼結体は、優れた機械特性、熱伝導性、及び電気絶縁性を有することから、ベアリング部材、エンジン部品、工具材料、及び放熱基板材料等への適用が進められている。窒化ケイ素焼結体は、一般的に、窒化ケイ素粉末を出発原料として用いて製造される。窒化ケイ素粉末は価格が高いため、窒化ケイ素焼結体の価格も上昇する傾向にある。そこで、窒化ケイ素粉末に比較して低価格であるケイ素粉末を出発原料として用い、これを反応焼結させることにより窒化ケイ素焼結体を製造する2段階焼結法が注目されている(例えば、特許文献1〜3等)。
特許文献1〜3に記載の2段階焼結法では、窒素ガスを含む環境下において温度1200〜1500℃付近で熱処理することにより圧粉体を窒化させる第1工程と、第1工程で得られた窒化体を温度1600〜1950℃付近で熱処理することにより緻密化する第2工程とを行っている。
2段階焼結法の第1工程の熱処理の温度は、ケイ素の融点(約1410℃)に近く、ケイ素の窒化反応は発熱反応であるため、厳密な温度管理を行わないと第1工程中にケイ素粉末が溶融し、圧粉体の形状を維持できなくなることがある。また、第1工程において長時間熱処理を行わないと、窒化されずに残ったケイ素が第1工程後の昇温によって溶融する等により、圧粉体の形状を維持できなくなることがある。そのため、2段階焼結法では第1工程に時間を要し、迅速に窒化ケイ素焼結体を得ることは難しい。特許文献1〜3には、焼結助剤を添加することにより工程時間の改善を図ることが記載されている。
特開2008−24579号公報 特開2007−197226号公報 特開2013−49595号公報
特許文献1〜3に記載のように焼結助剤を添加して2段階焼結法を行う場合でも、窒化ケイ素粉末を用いた製造方法に比較すると工程時間が長くなってしまう。そのため、出発原料としてケイ素粉末を用いながらも、2段階焼結法のように2段階で熱処理を行うことなく窒化ケイ素焼結体を製造することが求められている。
しかしながら、ケイ素粉末を用いて1段階の熱処理により製造された窒化ケイ素焼結体では、製品に加工するための十分な強度が得られなかったり、製品に加工することができた場合であっても製品寿命が短い場合があった。
また、窒化ケイ素粉末を原料として用いる方法で作製された窒化ケイ素焼結体の収縮率(焼結の前後における寸法変化率)は、通常20〜30%となる。収縮率が大きいと、後の工程での加工が行いにくくなったり、球状焼結体の場合、加工後の真円度が低下することがあった。
本発明は、製品加工に耐え得る強度を有し、製品に加工した場合に良好な製品寿命を有することができる窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材の提供を目的とする。
本発明は、以下に示す窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材を提供する。
〔1〕 空孔率が3%以下であり、かつ収縮率が13%以下である、窒化ケイ素焼結体。
〔2〕 前記窒化ケイ素焼結体の原料は、少なくともケイ素及び焼結助剤を含む。
〔3〕 前記窒化ケイ素焼結体において、破壊靱性値が5.0MPa・m1/2以上である。
〔4〕 前記窒化ケイ素焼結体において、最大空孔径が50μm未満である。
〔5〕 前記窒化ケイ素焼結体において、ビッカース硬度が1300Hv以上である。
〔6〕 前記窒化ケイ素焼結体において、3点曲げ強度が700MPa以上である。
〔7〕 前記窒化ケイ素焼結体は、球状である。
〔8〕 前記窒化ケイ素焼結体を用いた軸受部材。
〔9〕 前記軸受部材は転動体である。
本発明によれば、製品加工に耐え得る強度を有し、製品に加工した場合に良好な製品寿命を有することができる窒化ケイ素焼結体及びそれを用いた軸受部材を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(窒化ケイ素焼結体)
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の空孔率は、3%以下であり、3%未満であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、2%以下であってもよく、1.5%以下であってもよく、1.2%以下であってもよく、0.5%以下であってもよく、通常0.1%以上である。空孔率は、後述する実施例に記載の方法によって作製した試験片の表層から2mm以内の範囲に存在する空孔について算出した値であり、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
空孔率が上記の範囲内であることにより、窒化ケイ素焼結体を軸受部材としての転動体等の製品に加工した場合に、良好な製品寿命を有することができる。空孔率は、例えば窒化ケイ素焼結体を得るための焼結温度を調整することによって調整することができる。窒化ケイ素焼結体を得るための焼結温度が高い場合には、窒化ケイ素焼結体を形成するための原料粉末に含まれる成分が揮発しやすくなるため、空孔率が大きくなりやすい。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の収縮率は、13%以下であり、13%未満であることが好ましく、12.5%以下であることがより好ましく、10%以下であってもよく、9%以下であってもよく、8%以下であってもよく、7.5%以下であってもよく、通常3%以上であり、5%以上であってもよく、6%以上であってもよい。収縮率は、焼結の前後における寸法変化率であり、より具体的には、窒化ケイ素焼結体の原料粉末を成形した圧粉体の寸法と、圧粉体を焼結して得られた窒化ケイ素焼結体の寸法とに基づいて算出することができる。収縮率は、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
収縮率が上記の範囲内であることにより、後の工程での加工が行いやすくなる。特に、窒化ケイ素焼結体が球状である場合、加工後の真円度が向上しやすい。上記の収縮率を有する窒化ケイ素焼結体は、例えば少なくともケイ素粉末と焼結助剤とを含む原料粉末を成形した圧粉体を、焼結温度まで昇温する途中の任意の温度で一定時間保持する工程を経ることなく連続的に昇温することによって得ることができる。そのため、本実施形態の窒化ケイ素焼結体の原料は、少なくともケイ素粉末と焼結助剤とを含むことが好ましい。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の破壊靱性値は、5.0MPa・m1/2以上であることが好ましく、5.2MPa・m1/2以上であることがより好ましく、5.5MPa・m1/2以上であることがさらに好ましく、5.6MPa・m1/2以上であってもよく、5.7MPa・m1/2以上であってもよく、通常7MPa・m1/2以下であり、6MPa・m1/2以下であってもよい。破壊靱性値は、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
破壊靱性値が上記の範囲内であることにより、窒化ケイ素焼結体を軸受部材としての転動体等の製品に加工した場合に、異物等によって傷がつくことを抑制し、良好な製品寿命を有することができる。破壊靱性値は、例えば、窒化ケイ素焼結体を製造するために用いる焼結助剤の添加量や焼結条件を調整することによって調整することができる。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の最大空孔径は、50μm未満であることが好ましく、25μm未満であることがより好ましく、通常0.5μm以上である。最大空孔率は、後述する実施例に記載の方法によって作製した試験片の表層から2mm以内の範囲に存在する空孔について算出した値であり、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
最大空孔径が上記の範囲内であることにより、窒化ケイ素焼結体を軸受部材としての転動体等の製品に加工した場合に、良好な製品寿命を得やすい。最大空孔径は、例えば窒化ケイ素焼結体を得るための焼結温度を調整することによって調整することができる。窒化ケイ素焼結体を得るための焼結温度が高い場合には、窒化ケイ素焼結体を形成するために用いる原料粉末中の材料が揮発しやすくなるため、最大空孔径が大きくなりやすい。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体のビッカース硬度は、1300Hv以上であることが好ましく、1350Hv以上であることがより好ましく、1400Hv以上であることがさらに好ましく、1420Hv以上であってもよく、1430Hv以上であってもよく、通常1500Hv以下であり、1480Hv以下であってもよい。ビッカース硬度は、窒化ケイ素焼結体の表面硬さであり、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
ビッカース硬度が上記の範囲内であることにより、窒化ケイ素焼結体を軸受部材としての転動体等の製品に加工した場合に、良好な製品寿命を得やすい。ビッカース硬度は、例えば、窒化ケイ素焼結体を製造するために用いる焼結助剤の添加量や焼結条件を調整することによって調整することができる。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の3点曲げ強度は、700MPa以上であることが好ましく、750MPa以上であることがより好ましく、800MPa以上であることがさらに好ましく、通常1000MPa以下であり、900MPa以下であってもよい。3点曲げ強度は、後述する実施例に記載の方法によって算出することができる。
3点曲げ強度が上記の範囲内であることにより、窒化ケイ素焼結体を軸受部材としての転動体等の製品に加工した場合に破損を抑制することができ、良好な製品寿命を有することができる。3点曲げ強度は、例えば、窒化ケイ素焼結体を製造するために用いる焼結助剤の添加量や焼結条件を調整することによって調整することができる。
本実施形態の窒化ケイ素焼結体の形状は特に限定されず、球状、円柱形状、円錐形状、円錐台形状、直方体形状等、用途によって適宜選択すればよいが、球状であることが好ましい。上記したように窒化ケイ素焼結体は収縮率が小さいため、球状の窒化ケイ素焼結体では加工後の真円度を向上させやすい。また、窒化ケイ素焼結体のサイズも特に限定されず、例えば、球状であれば直径を0.5cm〜10cmとすることができ、円柱形状であれば底面の直径を0.5cm〜15cmとし、高さを3cm〜20cmとすることができる。
上記の窒化ケイ素焼結体は、少なくともケイ素粉末と焼結助剤とを混合した原料粉末を成形した圧粉体を、窒素雰囲気中において1700℃以上1900℃以下の範囲の温度まで連続的に昇温して得られたものであることが好ましい。連続的に昇温するとは、上記範囲の温度まで昇温する途中の任意の温度で一定時間保持する工程を経ることなく昇温することをいう。上記した焼結条件を調整することにより、圧粉体中のケイ素粉末を窒化させて焼結して、緻密化(高密度化)した窒化ケイ素焼結体を得ることができる。これにより、熱処理の工程を1段階で行うことができるため、2段階焼結法に比較して短時間で窒化ケイ素焼結体を得ることができる。また、工程の削減により、エネルギーの消費量を抑制し、環境負荷を低減することができる。
窒化ケイ素焼結体を得るために用いるケイ素粉末粒子の最大粒子径は、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。最大粒子径は、レーザー散乱型粒度分布計によって測定することができる。ケイ素粉末粒子の最大粒子径が上記の範囲内であることにより、圧粉体を焼結したときにケイ素を十分に窒化させることができ、窒化ケイ素焼結体を緻密化することができる。
焼結助剤としては、特に限定されないが、例えば、炭素(C)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、及び希土類酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。希土類酸化物としては、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)等の酸化物等が挙げられる。
原料粉末中の焼結助剤の含有量は、ケイ素粉末粒子と焼結助剤との合計重量に対して10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であってもよく、また、40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であってもよい。原料粉末における焼結助剤の含有量が増えると窒化ケイ素焼結体の緻密化が促進されるが、40重量%を超えると窒化ケイ素焼結体内に生成されるガラス相が増加し、窒化ケイ素焼結体の機械的特性が低下しやすい。
ケイ素粉末粒子と焼結助剤との混合は、乾式法で行ってもよく、湿式法で行ってもよい。
原料粉末は、種結晶としての窒化ケイ素粉末をさらに含んでいてもよい。窒化ケイ素粉末は、ケイ素粉末粒子と焼結助剤との合計重量に対して30重量%以下であることが好ましい。
原料粉末は、成形性及び成形時の原料粉末の流動性を向上するために、さらにバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、樹脂等の有機バインダーが挙げられる。原料粉末がバインダーを含有している場合、温度300℃〜700℃の範囲で圧粉体の脱脂処理を行ってもよい。
圧粉体を得る方法としては、原料粉末をプレス成形、射出成形、テープ成形等により成形する方法が挙げられる。プレス成形する方法としては、例えば、機械プレス、水圧プレス、油圧プレス、冷間等方圧プレス等が挙げられる。例えば、機械プレスを行った後に水圧プレスを行う等、2種類以上の成形方法によって成形を行ってもよい。
圧粉体を焼結する方法としては、常圧焼結、ガス圧焼結、ホットプレス焼結、熱間静水圧加圧焼結、パルス通電加圧焼結等の任意の方法を採用することができる。製造コストの観点からは、常圧焼結であることが好ましい。
焼結は窒素雰囲気中で行う。窒素雰囲気の圧力は、0.2MPa以上5MPa以下とすることができ、例えば0.6MPa以上1MPa以下とすることができる。焼結時間は、1時間以上10時間以下とすることができ、例えば3時間以上5時間以下とすることができる。
焼結温度は、1700℃以上であってもよく、また、1950℃以下とすることができ、1900℃以下であってもよい。焼結温度が高すぎると、原料粉末に含まれる成分の揮発により空孔が増加し、窒化ケイ素焼結体の機械的強度が低下しやすい。焼結温度への昇温速度は、ケイ素が大量に溶融することを抑制するために、1℃/分以上であることが好ましく、5℃/分以上であってもよく、また、18℃/分以下であることが好ましく、15℃/分以下であってもよい。
圧粉体を焼結温度まで昇温する工程において、ケイ素の融点(約1410℃)以下の温度で窒化されなかったケイ素が存在すると、焼結温度に昇温する工程で圧粉体が溶融する。圧粉体が溶融すると窒化ケイ素焼結体は圧粉体の形状を保ちにくくなるが、溶融したケイ素が少量であれば形状を維持することができると考えられる。
(窒化ケイ素焼結体の用途)
本実施形態の窒化ケイ素焼結体は、例えば、転がり軸受、直動案内軸受、ボールねじ、直動ベアリング等の軸受部材に用いることができ、特に転がり軸受けの転動体として好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[試験片の作製]
(試験片(1)の作製)
各実施例及び各比較例で得られた窒化ケイ素焼結体(1)を、JIS B 1563に準拠し、G5になるまで球研磨し、3/8インチ(直径9.525mm)の球状の試験片(1)を作製した。
(試験片(2)の作製)
各実施例及び各比較例で得られた窒化ケイ素焼結体(2)を、切断して鏡面研磨し、サイズが40mm×4mm×3mm(厚み)の板状の試験片(2)を作製した。
[収縮率の測定]
各実施例及び各比較例で得られた圧粉体(1)の寸法、及び、窒化ケイ素焼結体(1)の寸法をマイクロメータで測定し、下記式:
収縮率[%]=〔{(圧粉体(1)の直径)−(窒化ケイ素焼結体(1)の直径)}/圧粉体(1)の直径〕×100
によって算出した。
[空孔率及び最大空孔径の測定]
上記で得た球状の試験片(1)を切断し、切断面を鏡面研磨した。鏡面研磨した切断面を、株式会社キーエンス製「VHX5000」を用いて撮影し、その撮影画像を、三谷商事製株式会社「WinRoof」を用いて解析し、球状の試験片の表層から2mm以内の範囲に相当する領域に存在する空孔について、空孔率及び最大空孔径を算出した。最大空孔径の評価にあたっては、最大空孔径が25μm未満である場合を「A」と評価し、最大空孔径が25μm以上50μm未満である場合を「B」と評価し、最大空孔径が50μm以上である場合を「C」と評価した。
[破壊靱性値の測定]
上記で得た球状の試験片(1)を切断して、切断面を鏡面研磨し、JIS R 1607に準拠して破壊靱性値を測定した。
[ビッカース硬度の測定]
上記で得た試験片(1)を切断して、切断面を鏡面研磨し、JIS R 1610に準拠して、球状の試験片の表面に相当する部分のビッカース硬度を測定した。
[転動疲労試験]
上記で得た試験片(1)を用い、軸受外輪、軸受内輪、及び保持器としてNTN株式会社製「6206」を用いて、回転数を3000rpm、負荷荷重を1.5GPa、試験時間を168時間として転動疲労試験を行い、製品寿命を評価した。潤滑油は、JXTGエネルギー株式会社製の無添加タービンオイル「VG56」を用いた。試験時間内に試験片が剥離しなかったものを「a」と評価し、剥離したものを「b」と評価した。
[3点曲げ試験]
上記で得た板状の試験片(2)を用い、JIS R 1601に準拠して、3点曲げ強度を測定した。
〔実施例1〜8、比較例1〜15、参考例1及び2〕
表1に示す配合量で各材料を乾式混合して原料粉末を得た。表1に示す各材料は、下記に示す材料である。
Si:キンセイマテック株式会社製「#600」
Si:デンカ株式会社製「SN−9FWS」
:H.C.Stark製「Y Grade C」
Al:住友化学株式会社製「AKP−30」
上記で得た原料粉末を、ゴム型を用いた冷間等方圧プレス法によって成形し、直径11mmの球状の圧粉体(1)を得た。得られた圧粉体(1)を、圧力0.9MPaの窒素雰囲気下で、表1に示す昇温速度で焼結温度まで昇温した後、4時間保持して、窒化ケイ素焼結体(1)を得た。焼結炉として、富士電波工業株式会社製の「FVPS−R−320/425」を用いた。参考例1では、10℃/minの昇温速度で1400℃まで昇温して8時間保持した後、10℃/minの昇温速度で1800℃まで昇温して4時間保持して、窒化ケイ素焼結体(1)を得た。
また、上記で得た原料粉末を、金型を用いた油圧プレスによって成形し、60mm×50mm×4mm(厚み)の板状の圧粉体(2)を得た。得られた圧粉体(2)を用いたこと以外は、上記窒化ケイ素焼結体(1)を得る方法と同様にして、窒化ケイ素焼結体(2)を得た。
表1中の「焼結体の溶解」の欄に「有」として示すように、比較例15では窒化ケイ素焼結体(1)及び(2)がいずれも溶解しており、圧粉体の形状を保っていなかった。
窒化ケイ素焼結体が溶解していなかった実施例1〜8、比較例1〜14、参考例1及び2で得た窒化ケイ素焼結体を用いて試験片(1)及び(2)の作製を行った。表1中の「試験片への加工」の欄に「不可」として示すように、比較例1〜4では試験片(1)及び(2)への加工中に窒化ケイ素焼結体が破壊した。試験片(1)及び(2)を作製することができた実施例1〜8、比較例5〜14、参考例1及び2について、収縮率、空孔率、破壊靱性値、最大空孔径、ビッカース硬度の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2021095317
Figure 2021095317
実施例4と参考例1との対比から、1段階の熱処理によって作製された窒化ケイ素焼結体では、2段階焼結法によって作製された窒化ケイ素焼結体よりも、空孔率を小さくできることがわかった。窒化ケイ素粉末を原料を用いて窒化ケイ素焼結体を作製する場合に、ケイ素粉末の添加により焼結時の窒化ケイ素の揮発が抑制されることが知られている(例えば、BAIK, Sunggi, and Rishi Raj. "Effect of Silicon Activity on Liquid‐Phase Sintering of Nitrogen Ceramics.", Journal of the American Ceramic Society, 68.5 (1985): C-124.)。このことから、2段階焼結法で窒化ケイ素焼結体を作製した場合(参考例1)と比較すると、1段階の熱処理で作製された窒化ケイ素焼結体は(実施例4)、窒化ケイ素が揮発する温度域(およそ1600℃以上)において窒化されずに残ったケイ素の量が多くなり、窒化ケイ素の揮発を抑制することができ、窒化ケイ素焼結体の空孔率を低下させることができたと考えれらる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、転がり軸受、直動案内軸受、ボールねじ、直動ベアリング等の軸受部材に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 空孔率が3%以下であり、かつ収縮率が13%以下である、窒化ケイ素焼結体。
  2. 前記窒化ケイ素焼結体の原料は、少なくともケイ素及び焼結助剤を含む、請求項1に記載の窒化ケイ素焼結体。
  3. 破壊靱性値が5.0MPa・m1/2以上である、請求項1又は2に記載の窒化ケイ素焼結体。
  4. 最大空孔径が50μm未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化ケイ素焼結体。
  5. ビッカース硬度が1300Hv以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化ケイ素焼結体。
  6. 3点曲げ強度が700MPa以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化ケイ素焼結体。
  7. 球状である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒化ケイ素焼結体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化ケイ素焼結体を用いた軸受部材。
  9. 転動体である、請求項8に記載の軸受部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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