特許文献1に記載の乗物用シートでは、基板を外した状態のカバーの各係着部にハーネスを係着させ、基板をカバーに組み付けた後、カバーがサイドフレームに取り付けられる。すなわち、カバーの取付け完了までに、ハーネスの係着、基板の組付け等の複数の工程を経る必要がある。そのため、より簡素な工程によって組み付けることのできるカバーの開発が望まれていた。
本発明は、以上の背景を鑑み、乗物用シートを構成する構造部材に電子的操作部材が設けられたカバーの取り付けることによって組み立てられる乗物用シートにおいて、カバーの取付工程を簡素化することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、乗物用シート(1、101)であって、前記シートを構成する構造部材(12、22)と、前記構造部材に支持され、前記構造部材の外側面との間に隙間を画定するカバー(33、102、103)と、前記カバーに設けられた電気的操作部材(56)と、前記シートに設けられた機能部品(34A、34B、34C)及び又は電源線(121)に接続され、前記構造部材に取り付けられたシート本体側カプラ(35、120)と、前記電気的操作部材に接続され、前記カバーが前記構造部材に取り付けられたときに、前記シート本体側カプラに接続するように前記カバーに設けられたカバー側カプラ(60、122)とを有することを特徴とする。
この態様によれば、カバーを構造部材に取り付けることによって、カバー側カプラと、本体側カプラとが接続される。よって、カバーをサイドフレームに結合させることによって、電気的操作部材の電気的接続が完了するため、カバーの組付工程が簡素になる。
上記の態様において、前記カバーの内面に結合され、且つ、前記カバーが前記構造部材に取り付けられたときに前記隙間に位置する制御装置(58)を有するとよい。
この態様によれば、制御装置がカバー部材と構造部材との間の隙間に設けられることによって、制御装置が露出し難くなり、制御装置を保護することができる。
上記の態様において、前記隙間に位置するように前記カバーの内面に設けられたモータ(34A、34B、34C)と、前記シートに設けられた前記モータにより駆動されるべき被駆動部品(112A、112B、112C)とを有し、前記カバーが前記構造部材に取り付けられたときに、前記モータ及び前記被駆動部品を動力伝達可能に連結する軸継手(114A、114B、114C)が、前記モータ及び前記被駆動部品の間に設けられているとよい。
この態様によれば、カバーとモータとが一体化されて、一つのユニット(モジュール)が構成される。構成されたユニットを構造部材に取り付けることによって、モータの駆動力が被駆動部品に伝達可能となる。すなわち、ユニットを構造部材に取り付けることで、モータの組付が完了する。よって、シートクッションの内部や下面に設ける工程を要することなくモータの組付を行うことができるため、モータの組付工程が容易になる。
上記の態様において、前記カバーの内面に結合され、且つ、前記カバーが前記構造部材に取り付けられたときに前記隙間に位置するエアバッグモジュール(108)を有するとよい。
この態様によれば、カバーとエアバッグモジュールが一体化されて、一つのモジュールが構成される。構成されたユニットを構造部材に取り付けることによって、エアバッグモジュールがシートバックに設けられる。すなわち、ユニットを構造部材に取り付けることで、エアバッグの組付が完了する。よって、シートクッションの内部や下面に設ける工程を要することなくエアバッグモジュールの組付を行うことができるため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
上記の態様において、着座面(9)を構成するシートクッション(5)と、前記シートクッションに接続され、背凭れとなるシートバック(6)とを備え、前記構造部材は前記シートクッションを構成するクッションフレーム(12)を含み、前記クッションフレームは前後に延在する左右一組のクッションサイドフレーム(15)を備え、前記カバーは前記クッションサイドフレームのシート外側に配置され、前記電気的操作部材、及び前記制御装置は前記カバーのシート内側の側面に設けられているとよい。
この態様によれば、シートクッションの左右側部に電気的操作部材を設けることができる。よって、着座者にとって操作が容易な場所に電気的操作部材を配置することができる。また、制御装置と電気的操作部材とがカバーのシート内側の側面に設けられるため、制御装置と電気的操作部材とを接近させることができ、両者を繋ぐ配線を短くすることができる。
上記の態様において、前記構造部材は前記シートバックを構成するバックフレーム(22)を含み、前記バックフレームは左右一組のバックサイドフレーム(25)を含み、前記バックサイドフレームはそれぞれ上下に延在し、下端において対応する前記クッションサイドフレームの後端に左右方向を軸線とする回動可能に接続され、前記シート本体側カプラは一方側の前記バックサイドフレームの下端に設けられ、前記カバーは前記一方側の前記バックサイドフレーム、及び、前記一方側の前記クッションサイドフレームのシート外側に配置され、前記カバー側カプラは、前記カバーが前記構造部材に取り付けられたときに前記シート本体側カプラに整合する位置に前記軸線を中心とする回動可能に前記カバーに支持されているとよい。
この態様によれば、カバー側カプラはシートバックのシートクッションに対する回転軸線に対して回転可能となる。これにより、シートバックがシートクッションに対して回転したときに、カバー側カプラはシートバックのシートクッションに対して回転に追従して移動する。よって、カバー側カプラとシートバックに設けられた本体側カプラと相対位置が変化せず、2つのカプラの電気的な接続を維持することができる。
上記の態様において、前記カバーは、前記一方側の前記クッションサイドフレームのシート外側に配置されて、前記クッションサイドフレームに結合されたカバー本体(52)と、前記軸線に整合する位置において前記カバー本体からシート内側に突出する支持部(64)と、前記支持部に前記軸線を中心とする回動可能に支持された回転部(68)とを含み、前記カバー側カプラは前記回転部に設けられているとよい。
この態様によれば、カバーにカバー側カプラをシートバックのシートクッションに対する回転軸線を中心として回転可能に設けることができる。
上記の態様において、前記カバーには前記回転部の回転を規制する規制状態と、前記回転部の回転が可能となる可動状態とに切替可能なロック機構(80)が設けられているとよい。
この態様によれば、カバーの組付時に回転部の回転を規制することによって、カバー側カプラをシート本体側カプラに整合する位置に維持することができる。よって、カバーの組付が容易になる。
上記の態様において、前記支持部及び前記回転部の一方が軸状をなす軸部(70)を含み、前記支持部及び前記回転部の他方が前記軸部を受容する筒部(66)を含み、前記ロック機構は前記筒部を貫通して前記軸部に係合し、前記軸部の回転を係止可能な係止部(82)を含むとよい。
この態様によれば、カバーを構造部材に取り付けるときに、係止部によって軸部の回転を係止し、支持部と回転部との間の相対回転を防止することができる。これにより、カバーの取付を行うときに、カバー側カプラをシート本体側カプラに整合する位置に維持することができるため、乗物用シートの組立が容易になる。
上記の態様において、着座面(9)を構成するシートクッション(5)と、前記シートクッションに接続され、背凭れとなるシートバック(6)とを備え、前記構造部材は前記シートバックを構成するバックフレーム(22)を含み、前記バックフレームは左右一組のバックサイドフレーム(25)を含み、前記カバーは、一方側の前記バックサイドフレームに支持され、前記一方側の前記バックサイドフレームのシート外側の側面との間に補助隙間(106)を画定する補助カバー(103)を含み、前記エアバッグモジュールが前記補助カバーの左右方向における他方側の側面に結合されているとよい。
この態様によれば、着座者の上半身に対応する位置に展開するエアバッグユニットを容易に設けることができる。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、乗物用シートであって、シートを構成する構造部材と、構造部材に支持され、構造部材の外側面との間に隙間を画定するカバーと、カバーに設けられた電気的操作部材と、シートに設けられた機能部品及び又は電源線に接続され、構造部材に取り付けられたシート本体側カプラと、電気的操作部材に接続され、カバーが構造部材に取り付けられたときに、シート本体側カプラに接続するようにカバーに設けられたカバー側カプラとを有するため、カバーを構造部材に取り付けることによって、カバー側カプラと、本体側カプラとが接続される。よって、カバーをサイドフレームに結合させることによって、電気的操作部材の電気的接続が完了するため、カバーの組付工程が簡素になる。
上記の態様において、カバーの内面に結合され、且つ、カバーが構造部材に取り付けられたときに隙間に位置する制御装置を有する態様によれば、制御装置がカバー部材と構造部材との間の隙間に設けられることによって、制御装置が露出し難くなり、制御装置を保護することができる。
上記の態様において、隙間に位置するようにカバーの内面に設けられたモータと、シートに設けられたモータにより駆動されるべき被駆動部品とを有し、カバーが構造部材に取り付けられたときに、モータ及び被駆動部品を動力伝達可能に連結する軸継手が、モータ及び被駆動部品の間に設けられている態様によれば、カバーとモータとが一体化されて、一つのユニット(モジュール)が構成される。構成されたユニットを構造部材に取り付けることによって、モータの駆動力が被駆動部品に伝達可能となる。すなわち、ユニットを構造部材に取り付けることで、モータの組付が完了する。よって、シートクッションの内部や下面に設ける工程を要することなくモータの組付を行うことができるため、モータの組付工程が容易になる。
上記の態様において、カバーの内面に結合され、且つ、カバーが構造部材に取り付けられたときに隙間に位置するエアバッグモジュールを有する態様によれば、カバーとエアバッグモジュールが一体化されて、一つのモジュールが構成される。構成されたユニットを構造部材に取り付けることによって、エアバッグモジュールがシートバックに設けられる。すなわち、ユニットを構造部材に取り付けることで、エアバッグの組付が完了する。よって、シートクッションの内部や下面に設ける工程を要することなくエアバッグモジュールの組付を行うことができるため、エアバッグモジュールの組付が容易になる。
上記の態様において、着座面を構成するシートクッションと、シートクッションに接続され、背凭れとなるシートバックとを備え、構造部材はシートクッションを構成するクッションフレームを含み、クッションフレームは前後に延在する左右一組のクッションサイドフレームを備え、カバーはクッションサイドフレームのシート外側に配置され、電気的操作部材、及び制御装置はカバーのシート内側の側面に設けられている態様によれば、シートクッションの左右側部に電気的操作部材を設けることができる。よって、着座者にとって操作が容易な場所に電気的操作部材を配置することができる。また、制御装置と電気的操作部材とがカバーのシート内側の側面に設けられるため、制御装置と電気的操作部材とを接近させることができ、両者を繋ぐ配線を短くすることができる。
上記の態様において、構造部材はシートバックを構成するバックフレームを含み、バックフレームは左右一組のバックサイドフレームを含み、バックサイドフレームはそれぞれ上下に延在し、下端において対応するクッションサイドフレームの後端に左右方向を軸線とする回動可能に接続され、シート本体側カプラは一方側のバックサイドフレームの下端に設けられ、カバーは一方側のバックサイドフレーム、及び、一方側のクッションサイドフレームのシート外側に配置され、カバー側カプラは、カバーが構造部材に取り付けられたときにシート本体側カプラに整合する位置に軸線を中心とする回動可能にカバーに支持されている態様によれば、カバー側カプラはシートバックのシートクッションに対する回転軸線に対して回転可能となる。これにより、シートバックがシートクッションに対して回転したときに、カバー側カプラはシートバックのシートクッションに対して回転に追従して移動する。よって、カバー側カプラとシートバックに設けられた本体側カプラと相対位置が変化せず、2つのカプラの電気的な接続を維持することができる。
上記の態様において、カバーは、一方側のクッションサイドフレームのシート外側に配置されて、クッションサイドフレームに結合されたカバー本体と、軸線に整合する位置においてカバー本体からシート内側に突出する支持部と、支持部に軸線を中心とする回動可能に支持された回転部とを含み、カバー側カプラは回転部に設けられている態様によれば、カバーにカバー側カプラをシートバックのシートクッションに対する回転軸線を中心として回転可能に設けることができる。
上記の態様において、カバーには回転部の回転を規制する規制状態と、回転部の回転が可能となる可動状態とに切替可能なロック機構が設けられている態様によれば、カバーの組付時に回転部の回転を規制することによって、カバー側カプラをシート本体側カプラに整合する位置に維持することができる。よって、カバーの組付が容易になる。
上記の態様において、支持部及び回転部の一方が軸状をなす軸部を含み、支持部及び回転部の他方が軸部を受容する筒部を含み、ロック機構は筒部を貫通して軸部に係合し、軸部の回転を係止可能な係止部を含む態様によれば、カバーを構造部材に取り付けるときに、係止部によって軸部の回転を係止し、支持部と回転部との間の相対回転を防止することができる。これにより、カバーの取付を行うときに、カバー側カプラをシート本体側カプラに整合する位置に維持することができるため、乗物用シートの組立が容易になる。
上記の態様において、着座面を構成するシートクッションと、シートクッションに接続され、背凭れとなるシートバックとを備え、構造部材はシートバックを構成するバックフレームを含み、バックフレームは左右一組のバックサイドフレームを含み、カバーは、一方側のバックサイドフレームに支持され、一方側のバックサイドフレームのシート外側の側面との間に補助隙間を画定する補助カバーを含み、エアバッグモジュールが補助カバーの左右方向における他方側の側面に結合されている態様によれば、着座者の上半身に対応する位置に展開するエアバッグユニットを容易に設けることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用シートを自動車に搭載される車両用シートに適用した実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
本発明に係る乗物用シート1は運転席の側方に配置された助手席を構成している。図1に示すように、乗物用シート1は車室3の底部を画定するフロア4上に、車両の前方を向くように(より詳細には着座した乗員が車両の前方に向くように)載置されている。乗物用シート1はフロア4に前後にスライド移動可能に支持されている。以下では、乗物用シート1に着座した乗員から見た方向を基準として、前後、左右、及び上下方向をそれぞれ定めて、説明を行う。また、必要に応じて、左右方向における乗物用シート1に近づく方向を内方、離れる方向を外方と記載する。
乗物用シート1は着座者の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部に設けられ、背凭れとして機能するシートバック6と、各シートバック6の上部に設けられたヘッドレスト7とを備えている。
シートクッション5は略上下方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートクッション5の上面は乗員1人分の着座面9を構成している。着座面9は左右方向略中央において下方に凹み、後方に向かってやや下方に傾斜している。これにより、着座面9は乗員の臀部及び大腿部に対応する形状をなしている。乗員が着座するときには、着座面9には乗員の臀部及び大腿部が配置される。
シートバック6は上下に延び、略前後方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートバック6の前面はそれぞれ乗員の背中を支持する支持面10を構成している。支持面10は左右方向略中央において後方に凹み、上方に向かってやや後方に傾斜している。これにより、支持面10は乗員の背中に対応する形状をなし、支持面10に乗員の背中が支持される。
ヘッドレスト7は、シートバック6の上端に2つのピラー11を介して接続されている。ヘッドレスト7は着座した乗員の頭部の後方となる位置に配置されている。
図1、及び図2に示すように、シートクッション5は構造部材として、シートクッション5の骨組を構成する金属製のフレーム(クッションフレーム12、図2参照)と、クッションフレーム12にそれぞれ支持されたパッド部材13(図1参照)と、パッド部材13それぞれの表面の少なくとも一部を覆う表皮材14(図1参照)とを含む。図4に示すように、クッションフレーム12は、前後に延びる左右一組のクッションサイドフレーム15と、各クッションサイドフレーム15の前部間に掛け渡された前フレーム16と、各クッションサイドフレーム15の後部間に掛け渡された後フレーム17とを有し、略四角枠形をなす。本実施形態では、クッションフレーム12は左右一組のクッションサイドフレーム15の間に左右に延在する板状のパンフレーム(不図示)を含む。
シートバック6は構造部材として、シートバック6の骨組みを構成する金属製のフレーム(バックフレーム22、図2参照)と、バックフレーム22にそれぞれ支持されたパッド部材23(図1参照)と、パッド部材23それぞれの表面の少なくとも一部を覆う表皮材24(図1参照)とを含む。バックフレーム22は、上下に延びる左右一組のバックサイドフレーム25と、バックサイドフレーム25の上部間に掛け渡されたアッパフレーム(図示せず)と、バックサイドフレーム25の下部の間に掛け渡されたロアフレーム26とを有し、略四角枠形をなす。左側のバックサイドフレーム25はそれぞれ下端部において、左側のクッションサイドフレーム15の後端部に、車幅方向(左右方向)に延びる軸線である傾倒軸P(図1参照)回りに回動可能に支持されている。同様に、右側のバックサイドフレーム25はそれぞれ下端部において、右側のクッションサイドフレーム15の後端部に、傾倒軸P回りに回動可能に支持されている。これにより、バックフレーム22は、クッションフレーム12に傾倒可能に結合されている。以下では、シートバック6がフロア4に対して最も起立した状態(着座面9と支持面10とのなす角度が最も90度に近い状態。たとえば、図1参照)にあるとき、シートバック6が起立状態にあると記載する。
図1に示すように、シートクッション5のパッド部材13はクッションフレーム12の上側に配置されている。シートクッション5のパッド部材13の上面は、表皮材14によって覆われている。シートバック6のパッド部材23はバックフレーム22の前面に配置され、その前面が表皮材24によって覆われている。このように、シートクッション5にクッションフレーム12を、シートバック6にバックフレーム22をそれぞれ設けることで、乗物用シート1に乗員を支持するのに十分な剛性を持たせることができる。また、パッド部材13、23及び表皮材14、24を設けることで、着座面9や支持面10に好適な弾性や質感を持たせることができる。
図2に示すように、乗物用シート1は更に、シートクッション5及びシートバック6の少なくとも一方を変位可能とするための機能部品である変位装置31と、変位装置31を操作するための電気的操作ユニット32(ECU)(図3も参照)と、サイドカバー33とを備える。本実施形態では、乗物用シート1は変位装置31として、リクライニング装置31Aと、ハイト変更装置31Bと、チルト装置31Cとを備えている。
リクライニング装置31Aはシートクッション5に対してシートバック6を、傾倒軸Pを中心として前後に傾倒させる装置である。リクライニング装置31Aは傾倒軸Pを中心としてバックフレーム22を回転させるリクライニングモータ(以下、RECモータ34A)を含む。本実施形態では、RECモータ34Aはバックサイドフレーム25に結合され、クッションサイドフレーム15をバックサイドフレーム25に対して傾倒軸Pを中心として回転させる。
RECモータ34Aは所定の配線を介してRECモータカプラ35Aに接続されている。RECモータカプラ35Aは外部の配線をRECモータ34Aに接続するためのコネクタである。本実施形態では、RECモータカプラ35Aは雄型のコネクタ(プラグ)である。RECモータカプラ35Aはシートバック6の左側のバックサイドフレーム25の下端部分に取り付けられている。より具体的には、シートバック6の左側のバックサイドフレーム25の下端部分には車幅方向に貫通する下端貫通孔36Aが設けられている。RECモータカプラ35Aは下端貫通孔36Aに整合する位置において、シート内側(右側)からバックサイドフレーム25に結合されている。RECモータカプラ35Aは下端貫通孔36Aを通過してシート外方(左方)に突出している。
ハイト変更装置31Bは、フロア4に固定されたロアレール40にスライド可能に設けられたアッパレール42と、アッパレール42とクッションフレーム12とを接続するリンク機構44と、リンク機構44を駆動するハイトモータ34Bとを含む。リンク機構44は、アッパレール42と、クッションサイドフレーム15とを接続する前後一対の平行リンク46を含む。平行リンク46はそれぞれ、下端においてアッパレール42に車幅方向を軸線とする回転可能に結合され、上端においてクッションサイドフレーム15に車幅方向を軸線とする回転可能にされている。ハイトモータ34Bは2つの平行リンク46の下端をアッパレール42に対して回転させることによって、シートクッション5を上下動させる。ハイトモータ34Bはクッションフレーム12(本実施形態では、左側のクッションサイドフレーム15)に支持されている。
ハイトモータ34Bは所定の配線を介してハイトモータカプラ35Bに接続されている。ハイトモータカプラ35Bは外部の配線をハイトモータ34Bに接続するためのコネクタである。本実施形態では、ハイトモータ34Bは雄型のコネクタ(プラグ)である。左側のクッションサイドフレーム15の略中央部には車幅方向に貫通する後部貫通孔36Bが設けられている。ハイトモータカプラ35Bは後部貫通孔36Bに整合する位置において、シート内側から取り付けられて、左側のクッションサイドフレーム15に固定されている。ハイトモータカプラ35Bは後部貫通孔36Bを通過してシート外方(左方)に突出している。
チルト装置31Cは、シートクッション5の着座面9をフロア4に対して傾けるための装置である。チルト装置31Cは、前後一対の平行リンク46のうち、一方の平行リンク46A(本実施形態では前側の平行リンク46A)を、アッパレール42との結合部分を中心として回転させるチルトモータ34Cを含む。チルトモータ34Cの駆動によって、一方(前側)の平行リンク46が回転すると、シートクッション5がその後部を通過し、車幅方向の延びる軸線を中心として回転する。これにより、シートクッション5の着座面9のフロア4に対する傾斜角が変更される。チルトモータ34Cはクッションフレーム12(本実施形態では、左側のクッションサイドフレーム15)に支持されている。
チルトモータ34Cは所定の配線を介してチルトモータカプラ35Cに接続されている。チルトモータカプラ35Cは外部の配線をチルトモータ34Cに接続するためのコネクタである。本実施形態では、チルトモータカプラ35Cは雄型のコネクタ(プラグ)である。左側のクッションサイドフレーム15の前部には車幅方向に貫通する前部貫通孔36Cが設けられている。チルトモータカプラ35Cは前部貫通孔36Cに整合する位置において、シート内側からクッションサイドフレーム15に結合されている。チルトモータカプラ35Cは前部貫通孔36Cを通過してシート外方(左方)に突出している。
このように、RECモータカプラ35A、ハイトモータカプラ35B、及びチルトモータカプラ35Cはそれぞれ乗物用シート1の構造部材であるクッションフレーム12、又はバックフレーム22に結合され、対応する変位装置31の各モータ34A〜34Cに接続されている。
図2に示すように、左側のクッションサイドフレーム15にはブラケット48を介してワイヤ部材50が結合されている。ワイヤ部材50は金属製の部材であり、本実施形態では折曲加工された金属パイプによって構成されている。ワイヤ部材50はクッションサイドフレーム15の左側面に結合され、左側のクッションサイドフレーム15の上縁に沿って前後に延在している。ワイヤ部材50は後部において左側のクッションサイドフレーム15の後部に、前部において左側のクッションサイドフレーム15の前部にそれぞれ結合されている。
図1に示すように、サイドカバー33は左側のクッションサイドフレーム15の左側(シート外側)に配置されている。サイドカバー33はシートクッション5の左側面に対応する形状をなし、車幅方向を向く面を有する板状の本体52(カバー本体)と、本体52の縁部に沿って右側(シート内側)に延びる周壁部53とを備えている。本体52のシート内側の側面には、ワイヤ部材50に掛止可能なフック54が設けられている。フック54をワイヤ部材50に掛止することによって、サイドカバー33は左側のクッションサイドフレーム15に結合され、そのクッションサイドフレーム15に支持される。このとき、左側のクッションサイドフレーム15の外側面(左側面)と、サイドカバー33の本体52の内面(右側面)との間に隙間55が形成されている。
電気的操作ユニット32は着座者からの入力を受け付けて、変位装置31を制御するためのユニットであって、図3に示すように、サイドカバー33の本体52のシート内側の側面に結合されている。電気的操作ユニット32は、乗員からの入力を受け付ける操作スイッチ56と、操作スイッチ56からの入力に基づいて変位装置31の制御を行う制御装置58と、制御装置58への信号の出入力を媒介するコネクタである複数の制御カプラ60(カバー側カプラ)とを備える。
操作スイッチ56は、乗員からリクライニング装置31A、ハイト変更装置31B、及びチルト装置31Cをそれぞれ電気的に制御するための操作入力を受け付ける電気的操作部材である。操作スイッチ56は例えば、オンオフスイッチやボリュームスイッチであってよい。
制御装置58は、中央演算処理装置(CPU)、及び、記憶装置(メモリ)を含むマイクロコンピュータである。制御装置58は、CPU,メモリ、及び、操作スイッチ56等が実装された回路基板58Aと、回路基板58Aを収容するケース58Bとを備えている。ケース58Bは前後に延びる略直方体状をなしている。回路基板58Aは板状をなし、ケース58Bの内部に、面が左右方向を向くように配置されている。ケース58Bはサイドカバー33の本体52のシート内側の側面(すなわち内面)である右側面に結合されている。操作スイッチ56は回路基板58Aの左側の面に結合され、左方に突出している。ケース58Bの左側面には貫通孔が設けられ、操作スイッチ56がその貫通孔を通過してケース58Bの外側に突出している。サイドカバー33の本体52にもまた、操作スイッチ56を通過させるための貫通孔(スイッチ用貫通孔62)が設けられている。本実施形態では、操作スイッチ56はスイッチ用貫通孔62を介してシート外側(左側)突出している。これにより、乗員がサイドカバー33のシート外側から操作スイッチ56を容易に操作することができる。
サイドカバー33が左側のクッションサイドフレーム15に結合されているときには、制御装置58は左側のクッションサイドフレーム15の左側面と、サイドカバー33の本体52との間の隙間55に配置されている。すなわち、サイドカバー33はクッションサイドフレーム15に支持され、クッションサイドフレーム15との間に隙間55を画定し、その隙間55に制御装置58が収容されている。
電気的操作ユニット32(ECU)は制御カプラ60として、制御装置58からリクライニング装置31Aに信号を出入力するためのREC制御カプラ60Aと、ハイト変更装置31Bに信号を出入力するためのハイト制御カプラ60Bと、チルト装置31Cに信号を出入力するためのチルト制御カプラ60Cとを備える。
REC制御カプラ60AはRECモータカプラ35Aに接続可能な雌型コネクタ(レセプタクル)であって、所定のケーブル63を介して、制御装置58に接続されている。REC制御カプラ60Aはサイドカバー33の後部に傾倒軸Pを中心に回転可能に設けられている。より具体的には、サイドカバー33には、リクライニング装置31Aの傾倒軸Pに整合する位置において、本体52の右側面(シート内側の面)から右方(シート内側)に向かって突出する支持部64が設けられている。支持部64は傾倒軸Pを中心として、本体52の右側面から右方に突出する筒部66を含む。支持部64には回転部68が傾倒軸Pを中心として回転可能に結合されている。回転部68は筒部66に回転可能に収容された軸状をなす軸部70と、軸部70のシート内側の端部に結合された接続部72とを備えている。軸部70は傾倒軸Pを中心とする円柱状をなしている。軸部70の外径は筒部66の内径と概ね等しく、軸部70は筒部66の内孔に回転可能に収容されている。接続部72は車幅方向を向く面を有する板状をなし、車幅方向視で傾倒軸Pを要とする扇状をなしている。
接続部72には、車幅方向に貫通する接続部貫通孔74が設けられている。接続部貫通孔74はサイドカバー33が組みつけられ、シートバック6が起立位置にあり、且つ、筒部66と軸部70との回転角度が所定角度であるとき(以下、回転部68が初期位置にあると記載する)に、左右方向視でRECモータカプラ35Aと重なり合う位置に設けられている。REC制御カプラ60Aはシート外側(左側)から接続部貫通孔74を通過し、シート内方(右方)に突出するように、接続部72に結合されている。これにより、REC制御カプラ60Aは傾倒軸Pを中心としてサイドカバー33に回転可能に支持されている。乗物用シート1が起立状態にあり、且つ、回転部68が初期位置にあるときには、サイドカバー33をシート外側(左側)から組み付けることによって、RECモータカプラ35AがREC制御カプラ60Aに差し込まれる。これにより、REC制御カプラ60AはRECモータカプラ35Aに接続される。
本実施形態では、回転部68の支持部64に対する回転が規制された規制状態と、回転部68の支持部64に対する回転が可能となる可動状態とに切替可能なロック機構80が設けられている。ロック機構80は筒部66を軸線に直交する方向に貫通して軸部70に係合する螺子82(係止部)を含む。螺子82を締める方向に回転させると、螺子82は筒部66の内孔の側に進入し、軸部70に係合して、軸部70の回転が規制された規制状態となる。螺子82を緩めると、軸部70は筒部66の内孔ら後退し、軸部70の回転が可能な可動状態に切り替わる。本実施形態では、周壁部53に螺子82を外部から操作するための貫通孔84が設けられている。
ハイト制御カプラ60Bはハイトモータカプラ35Bに接続可能な雌型コネクタ(レセプタクル)である。ハイト制御カプラ60Bは本体52の右面前後方向略中央部に固定されている。ハイト制御カプラ60Bは右側(シート内側)から差し込まれることによって、ハイトモータカプラ35Bに接続される。
より詳細には、ハイト制御カプラ60Bはパネルマウント型の雌型コネクタ(レセプタクル)であり、制御装置58の回路基板58Aに半田付けされた状態で、ケース58Bの内部に収容されている。ケース58Bのシート内側の面には、前後方向略中央部に貫通孔58Cが設けられ、ハイト制御カプラ60Bはその貫通孔58Cに整合する位置に配置されている。貫通孔58Cを介してハイトモータカプラ35Bをケース58Bの内部に挿入することによって、ハイトモータカプラ35Bはハイト制御カプラ60Bに嵌合し、電気的に接続される。サイドカバー33が左側のクッションサイドフレーム15にシート外側(左側)から結合されると、ハイト制御カプラ60Bはハイトモータカプラ35Bに接続される。
チルト制御カプラ60Cはチルトモータカプラ35Cに接続可能な雌型コネクタ(レセプタクル)である。チルト制御カプラ60Cはサイドカバー33の本体52の右面前部に固定されている。チルト制御カプラ60Cは右側(シート内側)から差し込まれることによって、チルトモータカプラ35Cに接続される。
より詳細には、チルト制御カプラ60Cはパネルマウント型の雌型コネクタ(レセプタクル)であり、制御装置58の回路基板58Aに半田付けされた状態で、ケース58Bの内部に収容されている。ケース58Bのシート内側の面には、その前部に貫通孔58Dが設けられ、チルト制御カプラ60Cはその貫通孔58Dに整合する位置に配置されている。貫通孔58Dを介してチルトモータカプラ35Cをケース58Bの内部に挿入することによって、チルトモータカプラ35Cはチルト制御カプラ60Cに嵌合し、電気的に接続される。サイドカバー33が左側のクッションサイドフレーム15にシート外側(左側)から結合されると、チルト制御カプラ60Cはチルトモータカプラ35Cに接続される。
次に、乗物用シート1の効果について説明する。図4に示すように、乗物用シート1の組立作業時には、まず、作業者は回転部68を初期位置とし、螺子82を締めて、回転部68を初期位置に固定する。次に、作業者は、シートバック6を起立位置にした後、サイドカバー33を左側のクッションサイドフレーム15に結合させる。このとき、サイドカバー33とクッションサイドフレーム15との間に隙間55が形成され、その隙間55に制御装置58が収容される。更に、REC制御カプラ60AはRECモータカプラ35Aに、ハイト制御カプラ60Bはハイトモータカプラ35Bに、チルト制御カプラ60Cはチルトモータカプラ35Cにそれぞれ結合されて電気的に接続される。これにより、電気的操作ユニット32はRECモータ34A、ハイトモータ34B、及びチルトモータ34Cに電気的に接続される。
このように、サイドカバー33をクッションサイドフレーム15に取り付けることによって、サイドカバー33に設けられた制御カプラ60(REC制御カプラ60A、ハイト制御カプラ60B、及び、チルト制御カプラ60C)が、対応するカプラ(RECモータカプラ35A、ハイトモータカプラ35B、及び、チルトモータカプラ35C。以下、シート本体側カプラ35)に接続される。換言すれば、制御カプラ60は対応するシート本体側カプラ35に接続するようにサイドカバー33に設けられている。サイドカバー33をクッションサイドフレーム15に結合させることによって、制御カプラ60は対応するシート本体側カプラ35に接続され、各モータ34A、34B、及び34Cと、制御装置58及び操作スイッチ56への電気的接続が完了する。よって、サイドカバー33の取付時に、クッションサイドフレーム15からの配線の取り回し作業や、配線をサイドカバー33に固定する作業を要しない。これにより、サイドカバー33の組付工程が簡素になり、乗物用シート1の組立作業性が向上する。また、サイドカバー33の組付工程を簡素化することによって、サイドカバー33の組立を自動化することができる。
また、制御装置58がサイドカバー33と左側のクッションサイドフレーム15との間の隙間55に配置されているため、制御装置58が外部から露出し難くなる。これにより、乗物用シート1の意匠性を高めることができるとともに、制御装置58を保護することができる。
サイドカバー33を左側のクッションサイドフレーム15に取り付けた後、作業者は螺子82を緩める。これにより、軸部70が筒部66に対して回転可能となる。よって、回転部68が傾倒軸Pを中心として回転可能であり、回転部68に結合されたREC制御カプラ60Aもまた傾倒軸Pを中心として回転可能となっている。
乗員が操作スイッチ56に入力を行うと、制御装置58は操作スイッチ56への入力に基づいて、RECモータ34A、ハイトモータ34B、及びチルトモータ34Cのそれぞれの駆動を制御する。これにより、乗員が操作スイッチ56へ入力を行うことによって、シートバック6の傾倒角度や、シートクッション5の高さ、及び、シートクッション5の回転角度を変化させることができる。
RECモータ34Aの駆動によって、シートバック6がシートクッション5に対して傾倒軸Pを中心として回転する。このとき、シートバック6に設けられたRECモータカプラ35Aもまた、シートクッション5に対して傾倒軸Pを中心に回転する。本実施形態では、REC制御カプラ60Aが傾倒軸Pを中心として回転可能な回転部68に結合されている。これにより、REC制御カプラ60Aはシートバック6のシートクッション5に対して回転に追従して移動する。よって、シートバック6が傾倒軸Pを中心にシートクッション5に対して回転したときに、RECモータカプラ35AとREC制御カプラ60Aとの相対位置が変化しない。よって、RECモータカプラ35AとREC制御カプラ60Aとの分離が防止され、RECモータカプラ35AとREC制御カプラ60Aとの電気的な接続が維持される。
一方、サイドカバー33をクッションサイドフレーム15に取り付けるときには、螺子82によって軸部70の回転が係止されている。これにより、サイドカバー33の取付を行うときに、回転部68が回転せず、REC制御カプラ60AをRECモータカプラ35Aに整合する初期位置に維持することができる。よって、サイドカバー33の取付時に、REC制御カプラ60AがRECモータカプラ35Aに容易に結合させることができ、乗物用シート1の組立が容易になる。
図1に示すように、操作スイッチ56はシートクッション5の側部に配置されたサイドカバー33に設けられている。これにより、操作スイッチ56を乗物用シート1の着座者の手の近傍に配置することができるため、着座者は操作スイッチ56を容易に操作することができる。
図3に示すように、制御装置58及び操作スイッチ56はサイドカバー33のシート内側面に結合されている。このように、制御装置58と操作スイッチ56とをサイドカバー33に集約することによって、例えば、制御装置58をシートクッション5の下面に設けた場合に比べて、操作スイッチ56と制御装置58と近接させることができ、両者を繋ぐ配線の長さを短くすることができる。これにより、組付作業時に配線がシートクッション5のフレーム等に引っ掛かる可能性を低減することができる。また、配線の長さが短くすることができるため、製造コストを低減することができる。
ハイトモータカプラ35B及びチルトモータカプラ35Cはそれぞれケース58Bの内部に挿入することによって、対応するハイト制御カプラ60B及びチルト制御カプラ60Cに互いに接続される。よって、サイドカバー33の組付け後、ハイトモータカプラ35B及びチルトモータカプラ35Cの突端はそれぞれケース58Bの内部に収容され、外部に露出しない。よって、ハイトモータカプラ35B及びチルトモータカプラ35Cを外界からの荷重に対して保護することができる。
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る乗物用シート101は図5に示すように、サイドカバー33として、シートクッション5の左側部に設けられた第1実施形態と同様のサイドカバー(以下、主サイドカバー102)と、シートバック6の左側部に設けられたサイドカバー(以下、補助サイドカバー103)とを備えている。図6に示すように、主サイドカバー102は、第1実施形態と同様に車幅方向を向く面を有する板状の本体52と、本体52の周縁から右方に筒状に延びる周縁部105とを備えている。主サイドカバー102の本体52のシート内側の側面(右側面)には、第1実施形態と同様の電気的操作ユニット32に加えて、ハイトモータ34B、及びチルトモータ34Cが設けられている。
補助サイドカバー103は、主サイドカバー102と同様に、車幅方向(左右方向)を向く面を有する板状の本体部104と、本体部104の周縁から右側(シート内側)に筒状に延びる周縁部105とを備えている。本体部104はシートバック6の左側部に対応する形状をなし、略上下方向に延びる帯状をなしている。バックサイドフレーム25には、第1実施形態、及び本実施形態のクッションサイドフレーム15と同様に、その左側面にその延在方向に沿って延びるワイヤ部材(不図示)が設けられている。補助カバーの本体部104の右側面には、第1実施形態と同様に、ワイヤ部材に掛止可能なフック(不図示)が設けられている。フックをワイヤ部材に掛止することによって、補助サイドカバー103はシートバック6の左側のクッションサイドフレーム15に結合されて、そのクッションサイドフレーム15に支持される。このとき、左側のクッションサイドフレーム15の外側面(左側面)と、補助サイドカバー103の本体部104との間に補助隙間106が形成されている。
補助サイドカバー103の本体部104の左側面上部にはエアバッグモジュール108が結合されている。エアバッグモジュール108は、エアバッグと、エアバッグの内部にガスを供給してエアバッグを膨張(展開)させるインフレータと、エアバッグ及びインフレータを収容するケースとを備えている。補助サイドカバー103がシートバック6に組み付けられたときには、エアバッグモジュール108は補助隙間106の内部に収容されている。エアバッグモジュール108は補助サイドカバー103を介して、シートバック6の左側のバックサイドフレーム25に支持されている。エアバッグモジュール108のケース内に収容されたエアバッグは、インフレータからガスが供給されると、着座者の上半身の左方(車外側)に展開する、いわゆるサイドエアバッグとして機能する。
補助サイドカバー103の本体部104の左側面下部にはRECモータ34Aが結合されている。RECモータ34Aは、第1実施形態と同様に、シートクッション5をシートバック6に対して回転させるための駆動力を発生する電気モータである。RECモータ34Aはエアバッグモジュール108と同様に、補助隙間106に収容されている。RECモータ34Aの出力軸110Aは、バックフレーム22に回転可能に設けられた被駆動軸112A(被駆動部)の軸継手114Aに結合されている。RECモータ34Aは出力軸110Aを回転させることによって、被駆動軸112Aを回転させる。これにより、RECモータ34Aは傾倒軸Pを中心としてシートクッション5を回転させて、シートバック6をシートクッション5に対して傾倒させる。
ハイトモータ34Bは主サイドカバー102の本体52の右側面(すなわち、内面)の後部に結合されている。主サイドカバー102がクッションサイドフレーム15に取り付けられたときには、ハイトモータ34Bは主サイドカバー102の本体52とクッションサイドフレーム15との間に形成された隙間55に収容されている。このとき、ハイトモータ34Bの出力軸110Bは右方向の突出し、クッションフレーム12に回転可能に支持された被駆動軸112B(被駆動部)の軸継手114Bに結合されている。ハイトモータ34Bは出力軸110Bを回転させることによって、被駆動軸112Bを回転させ、前後に対をなす平行リンク46をそれぞれ回転させる。これにより、シートクッション5はハイトモータ34Bの駆動に応じて、フロア4に対して上下動する。
チルトモータ34Cは主サイドカバー102の本体52の右側面(すなわち、内面)の前部に結合されている。主サイドカバー102がクッションサイドフレーム15に取り付けられたときに、チルトモータ34Cもまた主サイドカバー102の本体52とクッションサイドフレーム15との間に形成された隙間55に収容されている。このとき、チルトモータ34Cの出力軸110Cは右方向に突出し、クッションフレーム12に回転可能に支持された被駆動軸112C(被駆動部品)の軸継手114Cに結合されている。チルトモータ34Cは出力軸110Cを回転させることによって、被駆動軸112Cを回転させ、前側の平行リンク46を回転させる。これにより、シートクッション5は後部を通る左右方向に延びる回転軸を中心として回転し、着座面9のフロア4に対する傾斜角が変更される。
RECモータ34A、ハイトモータ34B、及び、チルトモータ34Cはそれぞれケーブル116を介して、電気的操作ユニット32に接続されている。各モータ34A、34B、及び34Cと電気的操作ユニット32とを繋ぐケーブル116はそれぞれ、主サイドカバー102、及び補助サイドカバー103の適所に係止されているとよい。
更に、クッションサイドフレーム15には、略中央部に車幅方向に貫通する貫通孔118が設けられている。クッションサイドフレーム15には、貫通孔118を通過して、シート外方(左方)に突出する給電用カプラ120(シート本体側カプラ)が取り付けられている。給電用カプラ120は雌型のコネクタであり、シートクッション5の下側を通過する電源線121を介して、車載バッテリ(不図示)に接続されている。主サイドカバー102には、給電用カプラ120に整合する位置に受電用カプラ122(カバー側カプラ)が設けられている。
図6に示すように、主サイドカバー102には、給電用カプラ120に整合する位置に受電用カプラ122が設けられている。受電用カプラ122は給電用カプラ120に係脱可能な雄型のコネクタであり、電気的操作ユニット32に接続されている。本実施形態では、受電用カプラ122は、制御装置58のケースに収容されている。ケース58Bは前後方向に延びる略直方体状をなしている。ケース58Bの内部には、CPUやメモリが実装された回路基板58Aが左右方向を向くように収容されている。受電用カプラ122は回路基板58Aのシート内側の面(右面)に結合され、ケース58Bの右側面には、受電用カプラ122に整合する位置に貫通する貫通孔58Eが設けられている。給電用カプラ120は貫通孔58Eを介してケース58Bの内部に挿入されると、受電用カプラ122に嵌合して電気的に接続される。これにより、電気的操作ユニット32に車載バッテリから給電用カプラ120及び受電用カプラ122を介して電力が供給される。電気的操作ユニット32は、操作スイッチ56への入力に応じて、各モータ34A、34B、及び34Cに電力を供給し、各モータ34A、34B、及び34Cの駆動を制御する。
補助サイドカバー103の下端は、主サイドカバー102の後部上方に位置している。図7に示すように、本実施形態では、周縁部105は本体部104の前縁、上縁、及び後縁からシート内側(右側)に延びる帯板状をなしている。補助サイドカバー103の下端には本体部104の下縁から下方に突出する延出部130が設けられている。
主サイドカバー102の後部上縁には前後方向視で車内側に凹む段部132が形成されている。延出部130は段部132に傾倒軸Pを中心として回動可能に軸支されている。これにより、補助サイドカバー103と主サイドカバー102とは回動可能に結合されて、一体となっている。
より詳細には、延出部130は左右方向を向く板状をなしている。延出部130の下縁130Aは側面視で円弧状をなしている。これにより、延出部130の下端には側面視で略円弧状をなし、下方に突出する延出部下端面134が形成されている。延出部下端面134は前縁及び下縁は略上下方向に延出する周縁部105の前面及び後面にそれぞれ連続的に接続している。
段部132は車外側を向く第1面138と上方向を向く第2面140とによって画定されている。第1面138は主サイドカバー102の上縁から下方に延びている。第2面140は主サイドカバー102の後部前縁から後縁まで延びている。延出部130は右面において段部132の第1面138に左側から接するように配置され、延出部130は段部132の第1面138に回動可能に軸支されている。
本実施形態では、図8に示すように、第2面140は側面視で下方に凹む円弧状をなしている。側面視で第2面140の曲率半径(Ra)は、延出部下端面134の曲率半径(Rb)よりも大きい。
次に、本実施形態に係る乗物用シート101の効果について説明する。主サイドカバー102をクッションサイドフレーム15に結合させ、補助サイドカバー103をバックサイドフレーム25に結合させることによって、各モータ34A〜34Cの出力軸110A〜110Cがそれぞれ、対応する軸継手114A〜114Cに接続される。これにより、各モータ34A〜34Cの動力が対応する被駆動軸112A〜112C(被駆動部品)に動力伝達可能となる。このように、各モータ34A〜34Cを主サイドカバー102及び補助サイドカバー103のそれぞれに設けることによって、各モータ34A〜34Cと主サイドカバー102及び補助サイドカバー103が一体化され、一つのユニット142(モジュール)が構成される。構成されたユニット142をクッションサイドフレーム15、及びバックサイドフレーム25に組み付けることによって、各モータ34A〜34Cの駆動力が対応する被駆動軸112A〜112Cに伝達可能となる。これにより、乗物用シート101へのモータ34A〜34Cの組付が完了する。よって、モータ34A〜34Cをそれぞれシートクッション5やシートバック6の内部や下部に組み付ける作業が不要となり、モータ34A〜34Cの組付が容易になる。
また、エアバッグモジュール108もまた、補助サイドカバー103と一体化されて、一つのユニット142(モジュール)となっている。ユニット142をバックサイドフレーム25に取り付けることによって、乗物用シート1にサイドエアバッグを設けることができる。これにより、エアバッグモジュール108をシートバック6の内部や下面に設ける工程を要することなくサイドエアバッグを設けることができるため、エアバッグの組付が容易になる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、RECモータカプラ35Aはバックサイドフレーム25に設けられていたが、この態様には限定されない。RECモータカプラ35Aは左側のクッションサイドフレーム15に設けられていてもよい。
上記実施形態では、回転部68が軸状をなす軸部70を含み、支持部64が軸部70を受容する筒部66を含むように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、支持部64が軸部70を備え、回転部68が軸部70を受容する筒部66を備えていてもよい。
上記第1実施形態では、軸継手114A〜114Cはそれぞれ被駆動軸112A〜112Cに設けられていたが、この態様には限定されない。軸継手114A〜114Cはそれぞれ出力軸110A〜110Cに設けられていてもよい。また、上記実施形態では、機能部品としてモータ34A〜34Cが設けられる例を記載したがこの態様には限定されず、例えば、機能部品は着座面9や支持面10を加熱するヒータや、着座者に送風するファン等であってもよい。
上記第2実施形態では、主サイドカバー102及び補助サイドカバー103がともに乗物用シート101の左側部に設けられていたが、この態様には限定されない。主サイドカバー102及び補助サイドカバー103はそれぞれ乗物用シートの右側部に設けられていてもよい。また、乗物用シートには補助サイドカバー103のみが設けられてもよく、主サイドカバー102が乗物用シートの一方側の側部、補助サイドカバー103が乗物用シートの他方側の側部にそれぞれ設けられていてもよい。
上記第2実施形態において、第2面140は側面視において、延出部下端面134の曲率よりも大きな曲率を有するように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、図9(A)に示すように、第2面160は側面視で直線状をなすように構成されていてもよい(第1変形例)。また、図9(B)に示すように、側面視において、第2面162の曲率と延出部下端面134の下縁の曲率とは互いに等しくなるように構成されていてもよい(第2変形例)。
但し、第2面140を側面視で円弧状をなすように形成することで、第2面160を側面視で直線状をなすように形成した場合(例えば、図9(A)参照)に比べて、延出部130の下面と第2面140との隙間を小さくすることができる。これにより、延出部130と段部132との間に異物が挿入され難くなる。また、図8(A)及び図9(B)の二点鎖線を比較することによって理解できるように、第2実施形態では側面視で第2面140の曲率半径が延出部130の下縁130Aの曲率半径よりも大きいため、第2面140の曲率半径と延出部130の下縁130Aの曲率半径とを等しくした場合に比べて、シートバック6を前後方向に倒したときに、補助サイドカバー103の前面又は後縁、より詳細には周縁部105の前面又は後面と第2面140の前後縁とが接触し難くなる。よって、シートバック6の回動範囲を大きくすることができる。