JP2021094792A - 内面塗装鋼管 - Google Patents

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【課題】外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が少なく、防食性が高度に保持される内面塗装鋼管の提供。【解決手段】亜鉛末を35〜75質量%、アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%、および融点が2000℃超である無機顔料を3〜15質量%含有する塗膜を内面に有する内面塗装鋼管。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス管などに用いる内面塗装鋼管に関する。
ガス管などに使用される鋼管の内面に、防食等を目的として亜鉛末を多く含む塗料(無機ジンク塗料)を用いた塗装が施される場合がある。このような亜鉛末を多く含む塗料や、この塗料を用いた内面塗装が施された鋼管としては、例えば特許文献1〜4に記載のものが提案されている。
特許文献1には、原管と、原管の内表面上に配置されるリン酸塩被膜と、リン酸塩被膜上に配置され、シロキサン系結合剤および亜鉛末を含有し、表面粗さRzが30.0μm未満である塗膜と、原管の外表面上に配置されるポリエチレン樹脂被膜とを備えるガス導管用ポリエチレン被膜鋼管が記載されている。
特許文献2には、シロキサン系結合剤と、亜鉛末と、所定量の酸化第二鉄源およびモリブデン化合物とを含有し、亜鉛末と酸化第二鉄源(Fe23換算)との重量比が1/0.1〜1/2.5である一次防錆塗料組成物が記載されている。
特許文献3には、外面にポリエチレン樹脂の被膜層を有し、内面に塗装膜を有し、この塗装膜が、塗料固形分中100重量部に対し、アルキルシリケートを5重量部以上、亜鉛末を30重量部以上含有する塗料の硬化塗膜である、溶接接合性に優れたガス用ポリエチレン被覆鋼管が記載されている。
特許文献4には、塗料固形分として変性アルキルシリケートを5〜50質量%、コロイダルシリカを3〜40質量%、亜鉛末を30〜70質量%含む塗料の硬化塗膜を内面に有するガス用塗覆装鋼管(塗料の硬化塗膜にモリブデン酸化合物を1〜10質量%を含む場合を除く)が記載されている。
特開2019−044850号公報 特許第3844369号公報 特許第5516649号公報 特許第6295987号公報
ところで、内面塗装が施された鋼管の外面に溶断または溶接(以下「溶接等」ともいう)を施すと、内面の塗膜成分(特に亜鉛成分)が熱分解されて塗膜が損傷し、ミストや塵状または糸状の固形物が発生する場合がある(加熱分解されて発生するミストや塵状または糸状の固形物を、以下では「ミスト等」ともいう)。そして、このようなミスト等が鋼管内に放出されると、ガス管中のフィルターの目詰まりや、ガス管と繋がっている機器や機材などの動作不良が発生する可能性がある。
また、鋼管の外面に速度が遅い溶接等を施すと、入熱量が高いため、上記したミスト等の生成量が多くなる可能性がある。
なお、通常、溶接等においては、ミスト等の生成を防ぐために塗膜を除去してから処理を行うことが望ましいとされている。しかしながら、鋼管内面の塗膜は、その構造から溶接等の前に除去を行うことが難しい場合が多い。
したがって、塗膜を除去せずに溶接等を施しても塗膜が熱影響を受け難く、その防食性が保持される内面塗装鋼管が求められている。
そこで本発明は、外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が少なく、防食性が高度に保持される内面塗装鋼管を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、亜鉛末を35〜75質量%、アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%、および、融点が2000℃超である無機顔料を3〜15質量%含有する塗膜を内面に有する内面塗装鋼管が、外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が少なく、防食性が高度に保持されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は次の(1)〜(5)である。
(1)亜鉛末を35〜75質量%、アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%、および融点が2000℃超である無機顔料を3〜15質量%含有する塗膜を内面に有する内面塗装鋼管。
(2)前記無機顔料が酸化アルミニウムおよび/または酸化カルシウムを含む、(1)に記載の内面塗装鋼管。
(3)前記無機顔料における前記酸化アルミニウムと前記酸化カルシウムとの質量比が1:0.2〜5である、(2)に記載の内面塗装鋼管。
(4)外面にポリオレフィンからなる被覆層を有する、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の内面塗装鋼管。
(5)ガス管として用いる、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の内面塗装鋼管。
本発明によれば、外面に入熱量が高い溶接等を施しても、内面から発生するミスト等の生成量が少なく、防食性が高度に保持される内面塗装鋼管を提供することができる。
内面塗装鋼管の外面に溶接ビートを形成する方法を説明するための概略斜視図である。
本発明について説明する。
本発明は、亜鉛末を35〜75質量%、アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%、および融点が2000℃超である無機顔料を3〜15質量%含有する塗膜を内面に有する内面塗装鋼管である。
以下においては、これを「本発明の鋼管」ともいう。また、本発明の鋼管が内面に有する塗膜を、以下では「本発明の塗膜」ともいう。
なお、本発明において鋼管の「内面」とは、鋼管が内部に有する空洞と接している面である。そして、鋼管の「外面」とは、鋼管の外部側に備わる、上記した内面と実質的に対向している面である。
初めに、本発明の塗膜が含有する各成分について詳細に説明する。
まず、本発明の塗膜は亜鉛末を含む。亜鉛末は、犠牲陽極として働くことで鋼管に防食性を付加する成分である。そして、この亜鉛末は、金属亜鉛からなる粉体であり、その平均粒子径は1〜20μm程度であるのが好ましく、2〜15μmであるのがより好ましく、3.5〜10μmであるのがさらに好ましい。
ここで、平均粒子径とは、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、亜鉛末を倍率5000倍で写真撮影し、得られた写真から任意に500個を選び、ノギスを用いて各々の投影面積円相当径を測定して積算粒度分布(体積基準)を求め、それより平均粒子径(メジアン径)を算出して求める値とする。
そして、本発明の塗膜における亜鉛末の含有率は35〜75質量%であり、45〜65質量%であることが好ましく、50〜60質量%であることがより好ましい。亜鉛末の含有率がこのような範囲であると、高い防食性を有する塗膜とすることができる。また、本発明の塗膜は、上記のような亜鉛末の含有率でありながら、外面に溶接等を施した場合でも、酸化亜鉛などの亜鉛成分に由来するミスト等が発生し難い。
さらに、本発明の塗膜はアルキルシリケート重縮合反応物を含む。このアルキルシリケート重縮合反応物は、アルキルシリケートを含む塗料が鋼管内面に塗装された後、空気中の水分を利用してアルキルシリケートが加水分解を起こしてシラノール基を生成し、その後、重縮合反応により強固なシロキサン結合が形成されたものである。これにより、塗膜の強度が高まる。なお、このアルキルシリケートはエチルシリケート(テトラアルコキシシラン)であることが好ましい。
そして、本発明の塗膜におけるアルキルシリケート重縮合反応物の含有率は10〜40質量%であり、12〜37質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。アルキルシリケート重縮合反応物の含有率がこのような範囲であると、本発明の塗膜の強度がより高くなる。
さらに、本発明の塗膜は融点が2000℃超である無機顔料を含む。この融点が2000℃超である無機顔料は、本発明の塗膜の耐熱性を向上させ、本発明の鋼管の外面に溶接等を施した場合における熱影響をより低減させる。そして、この融点が2000℃超である無機顔料は、酸化アルミニウムまたは酸化カルシウムを含むのが好ましく、酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムをいずれも含むのがより好ましい。
なお、融点が2000℃超である無機顔料が酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムをいずれも含む場合において、耐熱性と防食性とのバランスがより好適となることから、この無機顔料における酸化アルミニウムと酸化カルシウムとの質量比が1:0.2〜5であるのが好ましく、1:0.5〜2であるのがより好ましく、1:0.7〜1.5であるのがさらに好ましい。
そして、本発明の塗膜における融点が2000℃超である無機顔料の含有率は3〜15質量%であり、4〜12質量%であることが好ましい。この無機顔料が酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムをいずれも含む場合には、本発明の塗膜における酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムの含有率がそれぞれ2〜10質量%であることが好ましく、それぞれ3〜6質量%であることがより好ましい。融点が2000℃超である無機顔料の含有率がこのような範囲であると、塗膜の性状等に大きな影響を与えず、且つ、本発明の鋼管の外面に溶接等を施した場合に、本発明の塗膜が熱分解し難くなり、ミスト等の生成が抑制され、溶接等の後においてもその防食性が高度に保持される。
さらに、本発明の塗膜は、上記以外の成分を含んでいても良く、例えば、本発明の塗膜を形成するために用いる塗料に含まれる添加剤等(融点が2000℃以下の無機顔料(塩化亜鉛等)、モリブデン化合物(リンモリブデン酸等)、カーボンブラック、沈降防止剤(結晶性シリカ等)、レベリング剤、たれ止め剤など)に由来する成分を含んでいても良い。
なお、これらの添加剤等に由来する成分、つまり亜鉛末、アルキルシリケート重縮合反応物、および融点が2000℃超である無機顔料以外の成分は、本発明の塗膜において10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。
ここで、本発明の塗膜中における含有成分の含有率測定については、有機成分の含有率は赤外分光分析法と熱分解ガスクロマトグラフ/質量分析法とを組み合わせることにより測定し、無機成分の含有率は蛍光X線分析法により測定する。
本発明の鋼管は、上記のような本発明の塗膜を内面に有する。本発明の塗膜の厚さは特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。なお、この塗膜の厚さは、電磁膜厚計を用いて測定する。
さらに、本発明の鋼管は、その外面にポリオレフィンからなる被覆層を有すると好適である。そして、このポリオレフィンからなる被覆層は、ポリエチレン被覆層であるとより好ましい。なお、このポリオレフィンからなる被覆層は、例えば、押出成形機から丸ダイまたはTダイを介して鋼管外面にポリオレフィン樹脂を被覆することにより形成することができる。
あるいは、JIS G3477のポリエチレン被覆鋼管「PE2S」、「PE1H」、「P3X−M」等に規定される鋼管などの、予め外面にポリオレフィンからなる被覆層を有する鋼管の内面に本発明の塗膜を形成しても良い。
このような構成である本発明の鋼管は、特にガス管(ガス燃料、空気、窒素、酸素、水素などのガス用送配管)として用いられる場合に好適な効果を発揮する。ガス管は、その外面に溶接等を施した場合などにおいて内面に損傷が発生すると、ガスがこの損傷部から流入して腐食が容易に進展するが、本発明の鋼管は、この溶接等においても内面に損傷が発生し難く、よって、上記のような腐食が発生し難い。
次に、本発明の鋼管の製造方法について詳細に説明する。
本発明の鋼管は、溶媒に、亜鉛末、アルキルシリケート、および融点が2000℃超である無機顔料を前述した比率で添加した塗料を鋼管の内面に塗装し、その後、乾燥により溶媒を分離除去して製造することができる。
この溶媒としては、溶剤を用いることができる。溶剤は、塗装後の塗料を乾燥させることで揮発する水や有機溶媒等の成分を指す。具体的には、有機溶媒として、エチルベンゼン、キシレン、酢酸ブチル、イソブタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶剤成分は1種類のみ含んでも良いが、複数種含んでいても良い。
塗料が含む塗膜成分(亜鉛末、アルキルシリケート、融点が2000℃超である無機顔料等)の含有率は30〜85質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることがさらに好ましい。
また、上記のような塗料を鋼管の内面に塗装する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適用することができる。
例えば、エアレススプレー方法を適用することが好適であり、均一な塗膜を形成するため、塗装には、鋼管を一定方向に回転させる装置(例えばターニングロール)を用いることがより好ましい。
以下に、ターニングロールを用いたエアレススプレー方法を例に、鋼管内面の塗装方法について説明する。
塗装はアームの先端部にノズルを有するエアレススプレー装置を用いる。なお、ノズルチップはパターン角度20〜60°、チップ口径0.2〜0.5mmのものを用いるのが好ましい。
まず、鋼管をターニングロールのロール対上に載置し、鋼管の管軸を中心として、一定速度で回転駆動させる。この回転する鋼管の一方の管端部より、エアレススプレー装置のアームを鋼管内の空洞に挿入して、他方の管端部までアームを移動させてからノズルの先を下方に向ける。そして、アームを他方の管端部から一方の管端部へ一定速度で移動させながら、圧力5〜15MPa、吐出量300〜1500g/minにて塗料を鋼管内面へ吹き付け、鋼管内面が完全に被覆し、かつ塗膜が均一となるように塗布する。この際、塗料を吹き付ける際の鋼管内面とノズル先端との距離(吹き付け距離)は150〜600mmとするのが好適である。
塗装後、塗膜を形成するため鋼管内面に塗布された塗料を乾燥させる。乾燥方法は特に制限されないが、塗装後の鋼管を風通しが良好な屋内で養生させることが好ましい。また、養生期間は2〜7日間が好ましい。
なお、鋼管の内面を塗装する前に、内面を表面処理することが好ましい。内面に付着した油脂の汚れやスケールなどを除去するためである。表面処理は従来公知の方法を用いることができ、例えばグリットブラスト処理や酸洗いなどが挙げられる。
このような製造方法によって、本発明の鋼管を得ることができる。
そして、このようにして得られた本発明の鋼管は、外面を溶断や溶接しても、内面からミスト等が生成し難いことが特徴である。特に入熱量が高い溶断や溶接を行っても、ミスト等は生成し難い。
本発明の鋼管に適用できる溶接方法としては、アーク溶接が好ましい。アーク溶接として、例えば被覆アーク溶接、ガスシールドアーク溶接(ミグ溶接、マグ溶接)、ティグ溶接などが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
塗膜成分(塗膜を形成する成分)として、亜鉛末(平均粒子径4μm)、アルキルシリケート(エチルシリケート)、無機顔料等を異なる含有率で含む塗料を18種類用意した。そして、各々を後述する方法により鋼管の内面に塗布して塗膜を形成し、下記表1に示す組成の塗膜を内面に有する実施例1〜15、および比較例1〜3に係る内面塗装鋼管を得た。
なお、これらの塗料は、溶剤として、キシレン、エチルベンゼン、酢酸ブチル、イソブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、エチルベンゼン、tert−ブタノール等の有機溶媒を2種以上混合したものを用いた。また、塗料中の塗膜成分は50〜55質量%とした。
また、これらの塗料、塗膜におけるその他添加剤は、結晶性シリカ、カーボンブラック、モリブデン化合物(リンモリブデン酸)、および塩化亜鉛である。
この実施例1〜15、および比較例1〜3に係る内面塗装鋼管における塗料の塗装方法は、以下のようにして行った。
初めに、JIS G 3452の規格に規定される配管用鋼管(日本製鉄株式会社製、SGP200A×1m)を用いた、外面にポリエチレン被覆層を有する鋼管を用意した。
次に、この鋼管の内面にスチールグリット(粒径0.7mm)を0.5MPa程度の圧力で吹き付けて、グリットブラスト処理を行った。この処理により、鋼管の内面表面に付着した油脂や汚れ、スケール等を除去した。
次に、前述のターニングロールを用いたエアレススプレー方法により鋼管内面を塗装した。なお、塗装装置として、アームの先端部にノズルを有するエアレススプレー装置(株式会社旭サナック製、機種:エコポンジンク)を用いた。また、ノズルチップはパターン角度30°、チップ口径0.3mmのものを用いた。塗装方法の条件を以下に示す。
ターニングロールの回転速度 :140m/min
エアレススプレーの圧力 :11MPa
エアレススプレーの吐出量 :600g/min
エアレススプレーの吹き付け距離:200mm
上記のような塗装を行った後、鋼管を風通しが良好な屋内で7日間養生した。そして、このようにして得られた内面の塗膜の厚さが15〜30μmである実施例1〜15、および比較例1〜3の内面塗装鋼管を、以下のような方法で評価した。
<溶接ビード形成方法>
上記のようにして得た実施例1〜15、および比較例1〜3の内面塗装鋼管について、各々、鋼管外面の表面に溶接ビードを形成した。この溶接ビードの形成方法を、図1を用いて説明する。
初めに、ジェットヒーターにより鋼管1の内面を95℃を超えない温度に予熱し、外面のポリエチレン被覆層を貫通する切断線をカッターで入れた。そして、チゼル、ジェットタガネ、金ヘラにてポリエチレン被覆層を剥離し、ベルトサンダー、ワイヤーブラシで鋼面の残渣樹脂を除去した。
次に、鋼管1の外面における長手方向の中央部に溶接棒7を向け、溶接機5を操作し、被覆アーク溶接(手溶接)にて、0.06m/minの溶接速度で円形50Aサイズ(直径(外径)60.5mm、幅15mm)の溶接ビード9を形成した。この際の溶接電流は120Aとした。また、溶接速度は、ストップウォッチを用いて、円形の溶接ビード9を1周形成するのに要する時間を調整することによりコントロールした。
なお、溶接棒7は、JIS Z 3211に規定される低水素系溶接棒E4316に相当する溶接棒(株式会社神戸製鋼所製、LB−52U、棒径3.2mm、棒長400mm)を用いた。また、溶接ビードの形成前に、被覆剤の再乾燥のため、溶接棒7を350℃で60分間加熱した。
そして、上記の溶接ビードの形成による溶接加工が、鋼管内面の塗膜に与える影響を次の方法で評価した。
<溶接時におけるミスト等の確認試験>
溶接ビードの形成時に、鋼管の管端部より鋼管内部を目視し、白色や淡黄色の煙(ミスト)の発生の有無を「あり」または「なし」で評価した。
また、塗膜が熱分解されて生じる塵状固形物または糸状固形物の有無を次のような方法で評価した。ここで、塵状固形物とは、加熱により塗膜から飛沫した細かい塵状の加熱分解物を指す。また、糸状固形物とは、加熱により塗膜成分が溶融して下垂し、糸状に凝固した加熱分解物を指す。この塵状固形物および糸状固形物の発生の有無を、溶接ビードの形成時に目視で確認した。
さらに、これら固形物が発生した場合、鋼管内面から薬さじでこれら固形物を丁寧にこそぎ取り、薬包紙上に集め、精密天秤を用いてその質量を測定した。この結果を基に、これら固形物の質量が0.03g以下の場合を「○」、0.03g超0.13g未満の場合を「△」、0.13g以上の場合を「×」と評価した。そして、塵状固形物および糸状固形物の合計質量(g)も算出した。
これらの結果を下記表1に示した。
<屋外曝露試験>
溶接ビードを形成した実施例1〜15、および比較例1〜3の内面塗装鋼管を屋外に曝露し、30日後、90日後、180日後、および365日後における鋼管内面の溶接ビード裏面塗装部の外観を目視により確認して、錆が発生していない場合を〇、錆が発生している場合を×と評価した。
この結果も下記表1に示した。
Figure 2021094792
以上の結果から、亜鉛末、アルキルシリケート重縮合反応物、および融点が2000℃超の無機顔料である酸化アルミニウムおよび/または酸化カルシウムを含む塗膜を内面に有する実施例1〜15の内面塗装鋼管(本発明の鋼管)は、外面に入熱量が高い溶接を施しても内面からミストの発生がなく、防食性も高度に保たれた非常に優れた内面塗装鋼管であることが明らかとなった。
特に、融点が2000℃超の無機顔料として酸化アルミニウムおよび酸化カルシウムをいずれも含む塗膜を内面に有する実施例1〜7の内面塗装鋼管は、外面に入熱量が高い溶接を施しても内面からミストの発生がなく、さらに塵状固形物および糸状固形物の発生量も少なく、防食性が高度に保たれた極めて優れた内面塗装鋼管であることが明らかとなった。
一方、亜鉛末、およびアルキルシリケート重縮合反応物を含むが無機顔料を含まない塗膜を内面に有する比較例1の内面塗装鋼管は、防食性がかなり低下し、且つ溶接によるミストの発生があり、塵状固形物および糸状固形物の発生も非常に多い内面塗装鋼管であった。
また、亜鉛末、アルキルシリケート重縮合反応物、および融点が2000℃未満の無機顔料を含む塗膜を内面に有する比較例2〜3の内面塗装鋼管は防食性が低下し、且つ、比較例3の内面塗装鋼管は、溶接による塵状固形物および糸状固形物の発生がやや多かった。
1 内面塗装鋼管
5 溶接機
7 溶接棒
9 溶接ビード

Claims (5)

  1. 亜鉛末を35〜75質量%、アルキルシリケート重縮合反応物を10〜40質量%、および融点が2000℃超である無機顔料を3〜15質量%含有する塗膜を内面に有する内面塗装鋼管。
  2. 前記無機顔料が酸化アルミニウムおよび/または酸化カルシウムを含む、請求項1に記載の内面塗装鋼管。
  3. 前記無機顔料における前記酸化アルミニウムと前記酸化カルシウムとの質量比が1:0.2〜5である、請求項2に記載の内面塗装鋼管。
  4. 外面にポリオレフィンからなる被覆層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内面塗装鋼管。
  5. ガス管として用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の内面塗装鋼管。
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