JP2021093472A - 有機el素子、有機el表示パネル、および、有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子、有機el表示パネル、および、有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光材料を用いた有機EL素子において、素子寿命を長く保ったまま、発光効率を向上させる。【解決手段】陽極と、機能層と、発光層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、前記発光層と前記機能層とは接しており、前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高い。【選択図】図2

Description

本開示は、蛍光材料を発光材料として用いる有機EL素子における発光効率と寿命の改善に関する。
近年、表示装置に有機EL素子を利用したものが普及しつつある。
有機EL素子は、陽極と陰極との間に、少なくとも発光層が挟まれた構造を有している。発光層では、電子と正孔(ホール)との再結合により発生した励起子のエネルギーが光に変換される。有機半導体においては、励起子(励起状態)には電子のスピン状態により、一重項励起子と三重項励起子の2種類が存在し、いわゆる蛍光材料においては、一重項励起子のエネルギーが光に変換される。
従来、有機EL素子の発光効率を向上させるため、電子とホールのバランスを調整する(例えば、特許文献1参照)、三重項励起子により発光する燐光材料を用いる(例えば、特許文献2参照)などの工夫がなされている。
特開2008−187205号公報 特開2010−171368号公報
本開示は、蛍光材料を用いた有機EL素子において、発光効率を保ったまま長寿命化を図ることを目的とする。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、機能層と、発光層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、前記発光層と前記機能層とは接しており、前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高いことを特徴とする。
なお、本明細書において、LUMO準位ないし最高被占有軌道(HOMO)準位が高いとは、当該準位と電子の真空準位との差が小さいこと、すなわち、当該準位に存在する電子のポテンシャルエネルギーが大きいことを指す。
本開示の一態様に係る有機EL素子によれば、発光層の陰極側の領域の励起子密度を上昇させ、発光層から機能層への電子の流出を抑止することができる。したがって、電子や励起子による機能層の機能材料の劣化を抑止しつつ発光層の発光効率を向上させることができ、有機EL素子の長寿命化が期待できる。
実施の形態に係る有機EL素子1の構成を模式的に示す断面図である。 実施例に係る、正孔輸送層、発光層、第1電子輸送層のバンドダイアグラムを示す簡略模式図である。 実施例と比較例に係る、正孔輸送層、発光層、第1電子輸送層のバンドダイアグラムと電子と正孔の再結合位置との関係を示す簡略模式図である。 比較例に係る、正孔輸送層、発光層、第1電子輸送層の電子と正孔の再結合確率分布である。 (a)は、発光層の再結合定数ごとの、発光層から正孔輸送層への電子注入障壁と再結合効率との関係を示すグラフであり、(b)は、発光層の再結合定数ごとの、発光層から正孔輸送層への電子注入障壁と一重項励起子の生成効率との関係を示すグラフである。 (a)は、発光層の再結合定数ごとの、発光層から正孔輸送層への電子注入障壁と再結合効率との関係を示すグラフであり、(b)は、発光層から正孔輸送層への電子注入障壁ごとの、発光層の再結合定数と再結合効率との関係を示すグラフであり、(c)は、発光層から正孔輸送層への電子注入障壁ごとの、発光層の再結合定数と一重項励起子の生成効率との関係を示すグラフである。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、基板上にTFT層が形成された状態、(b)は、基板上に層間絶縁層が形成された状態、(c)は、層間絶縁層上に画素電極材料が形成された状態、(d)は、画素電極が形成された状態、(e)は、層間絶縁層および画素電極上に隔壁材料層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁が形成された状態、(b)は、画素電極上に正孔注入層が形成された状態、(c)は、正孔注入層上に正孔輸送層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、正孔輸送層上に発光層が形成された状態、(b)は、発光層および隔壁層上に第1電子輸送層が形成された状態、(c)は、第1電子輸送層上に第2電子輸送層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、第2電子輸送層上に電子注入層が形成された状態、(b)は、電子注入層上に対向電極が形成された状態、(c)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL素子の製造過程を示すフローチャートである。 実施の形態に係る有機EL素子を備えた有機EL表示装置の構成を示すブロック図である。
≪本開示の一態様に至った経緯≫
有機EL素子を発光素子として使用するためには、発光の始状態となる励起子の生成が不可欠である。したがって、従来、正孔輸送層から発光層への正孔注入性と電子輸送層から発光層への電子注入性を高め、発光層内のキャリア密度を向上させて電子とホールの再結合確率を高めている。また、発光層内のキャリア密度をさらに向上させる構成として、発光層から電子輸送層への正孔漏出と発光層から正孔輸送層への電子漏出を抑制することができるように、電子輸送層のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位、および/または、正孔輸送層のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位を調整した機能層を選定する。このような構成により、発光層内のキャリア密度を向上させて電子と正孔の再結合確率を高めることができるからである。
有機材料中の励起子には、電子のスピン状態によって、一重項励起子と三重項励起子の2つが存在する。蛍光材料では、上述したように、一重項励起子が発光に寄与し、三重項励起子は発光に寄与しない。一方で、一重項励起子と三重項励起子の生成確率はおよそ1:3であり、一重項励起子の密度の向上が課題となっている。
発光効率の低い蛍光材料、特に、発光波長の短い青色発光材料等において、一重項励起子の密度の向上として、複数の三重項励起子を衝突させて一重項励起子を生成するTTF(Triplet-Triplet Fusion)現象を利用することが検討されている。このTTFを利用するためには、三重項励起子の密度を向上させる必要があり、すなわち、電子とホールの再結合領域を狭くすることで励起子密度を向上させる必要がある。
電子とホールの再結合領域を狭くする方法のひとつとして、発光層内の電子の移動度とホールの移動度との大小関係を調整することにより、再結合領域を発光層中の正孔輸送層側あるいは電子輸送層側のいずれかの界面近傍に局在化させる方法がある。
しかしながら、発明者らは、再結合領域を発光層の正孔輸送層側あるいは電子輸送層側のいずれかの界面近傍に局在化させた場合においても、電子とホールとのうち注入量の少ない側のキャリアが再結合することなく発光層を通過し、発光層以外の機能層において機能性材料がキャリアや励起子により劣化が促進される場合があることを見出した。
そこで、発明者らは、キャリアが発光層を通過することによる機能性材料の劣化を抑止させる技術について検討し、本開示の態様に至った。
≪開示の態様≫
本開示の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、機能層と、発光層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、前記発光層と前記機能層とは接しており、前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高いことを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL素子の製造方法は、基板を準備し、前記基板の上方に画素電極を形成し、前記画素電極の上方に、蛍光材料を発光材料として含む発光層を形成し、前記発光層上に機能層を形成し、前記機能層の上方に陰極を形成する有機EL素子の製造方法であって、前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高いことを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL素子または有機EL素子の製造方法によれば、発光層の陰極側の領域の励起子密度を上昇させ、発光層から機能層への電子の流出を抑止することができる。したがって、電子や励起子による機能層の機能材料の劣化を抑止しつつ発光層の発光効率を向上させることができ、有機EL素子の長寿命化が期待できる。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、前記発光層における電子と正孔の再結合定数が、Langevin再結合係数の1/100以上である、としてもよい。
これにより、発光層内の励起子を増加させ発光効率をさらに上昇させるとともに、発光層の機能層との界面付近の電子密度を低下させることができるため、電子や励起子による機能層の機能材料の劣化を抑止しつつ発光層の発光効率を向上させることができる。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、前記発光層の発光中心と前記発光層の前記陰極側の表面との距離は、前記発光層の発光中心と前記発光層の前記陽極側の表面との距離より短い、としてもよい。
これにより、発光層の中央より陰極側においてホールと電子との再結合確率を高めることができ、有機EL素子においてより高い発光効率を得ながら長寿命化を図ることができる。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、前記機能層に含まれる機能材料における一重項励起子のエネルギーは、前記発光層に含まれる機能材料に含まれる一重項励起子のエネルギーより大きい、としてもよい。
これにより、発光層の機能材料における一重項励起子のエネルギーが機能層に遷移して発光効率が低下することを抑止するとともに、機能層の機能材料における一部の一重項励起子のエネルギーを発光層に遷移させて励起子を生成し発光に用いることで発光効率の向上を図ることができる。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、前記機能層に含まれる機能材料における三重項励起子のエネルギーは、前記発光層に含まれる機能材料に含まれる三重項励起子のエネルギーより大きい、としてもよい。
これにより、発光層の機能材料における三重項励起子のエネルギーが機能層に遷移して発光効率が低下することを抑止するとともに、機能層の機能材料における一部の三重項励起子のエネルギーを発光層に遷移させて励起子を生成し発光に用いることで発光効率の向上を図ることができる。
本開示の一態様に係る有機EL素子は、陽極と、発光層と、機能層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、前記発光層と前記機能層とは接しており、前記発光層の電子移動度は、前記発光層の正孔移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最高被占有軌道(HOMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のHOMO準位より0.3eV以上低いことを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL素子の製造方法は、基板を準備し、前記基板の上方に画素電極を形成し、前記画素電極の上方に、機能層を形成し、前記機能層上に蛍光材料を発光材料として含む発光層を形成し、前記発光層の上方に陰極を形成する有機EL素子の製造方法であって、前記発光層の電子移動度は、前記発光層の正孔移動度より大きく、前記機能層に含まれる機能材料の最高被占有軌道(HOMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のHOMO準位より0.3eV以上低いことを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL素子または有機EL素子の製造方法によれば、発光層の陰極側の領域の励起子密度を上昇させ、発光層から機能層への正孔の流出を抑止することができる。したがって、正孔や励起子による機能層の機能材料の劣化を抑止しつつ発光層の発光効率を向上させることができ、有機EL素子の長寿命化が期待できる。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、本開示の一態様に係る有機EL素子を基板上に複数備える、としてもよい。
≪実施の形態≫
以下、実施の形態に係る有機EL素子について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一態様に係る構成および作用・効果を説明するための例示であって、本発明の本質的部分以外は以下の形態に限定されない。
[1.有機EL素子の構成]
図1は、本実施の形態に係る有機EL素子1の断面構造を模式的に示す図である。有機EL素子1は、陽極13、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、第1電子輸送層18、第2電子輸送層19、電子注入層20、および、陰極21を備える。
有機EL素子1において、陽極13と陰極21とは主面同士が向き合うように互いに対向して配されており、陽極13と陰極21との間に発光層17が形成されている。
発光層17の陽極13側には、発光層17に接して正孔輸送層16が形成されている。正孔輸送層16と陽極13との間には正孔注入層15が形成されている。
発光層17の陰極21側には、発光層17に接して第1電子輸送層18が形成されており、第1電子輸送層18に接して第2電子輸送層19が形成されている。第2電子輸送層19と陰極21との間に電子注入層20が形成されている。
[1.1 有機EL素子の各構成要素]
<陽極>
陽極13は、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、画素ごとに設けられ、層間絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施形態においては、画素電極13は、光反射性の陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極13は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
なお、陰極21を光反射性の陰極とする場合には、陽極13を光透過性の陽極としてもよい。この場合、陽極13は、金属材料で形成された金属層および金属酸化物で形成された金属酸化物層の少なくとも一方を含んでいる。陽極13の膜厚は1nm〜50nm程度に薄く設定されて光透過性を有している。金属材料は光反射性の材料であるが、金属層の薄膜を50nm以下と薄くすることによって、光透過性を確保することができる。したがって、発光層17からの光の一部は陽極13において反射されるが、残りの一部は陽極13を透過する。
このとき、陽極13に含まれる金属層を形成する金属材料としては、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金が挙げられる。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金が挙げられる。
陽極13に含まれる金属層は、例えばAg層あるいはMgAg合金層の単層で構成してもよいし、Mg層とAg層の積層構造(Mg/Ag)、あるいは、MgAg合金層とAg層の積層構造(MgAg/Ag)にしてもよい。
陽極13に含まれる金属酸化物層を形成する金属酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)が挙げられる。
また、陽極13は、金属層単独、または、金属酸化物層単独で構成してもよいが、金属層の上に金属酸化物層を積層した積層構造、あるいは金属酸化物層の上に金属層を積層した積層構造としてもよい。
<正孔注入層>
正孔注入層15は、陽極13から発光層17へのホール(正孔)の注入を促進させる機能を有する。正孔注入層15は、例えば、塗布膜であり、例えば、正孔注入材料と溶質とする溶液の塗布および乾燥より形成されている。正孔注入層15は蒸着膜で形成されていてもよい。正孔注入層15は、例えば、PEDOT:PSS(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)、ポリフルオレンやその誘導体、あるいは、ポリアリールアミンやその誘導体などの導電性ポリマー材料、あるいは、Ag、Mo、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物からなる。
<正孔輸送層>
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入されたホールを発光層17へ輸送する機能を有する。正孔輸送層16は、例えば、塗布膜であり、具体的には、正孔輸送材料を溶質とする溶液の塗布および乾燥より形成されている。または、正孔輸送層16は蒸着膜で形成されていてもよい。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいは、ポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物などを用いることができる。
<発光層>
発光層17は、ホールと電子の再結合により光を出射する機能を有する。発光層中でのホールと電子の再結合位置は分布を持つため、発光層膜厚は再結合分布幅よりも大きいことが好ましく、実施の一態様において、発光層17の膜厚は30nm以上である。また、実施の一態様において、発光層17の膜厚は40nm以上である。また、一般に発光材料の移動度は電荷輸送材料の移動度に比べて小さく、発光層膜厚を薄く設計することが素子の駆動電圧低減に寄与するため、実施の一態様において、発光層17の膜厚は80nm以下である。また、実施の一態様において、発光層17の膜厚は120nm以下である。
発光層17は、例えば、塗布膜であり、例えば、発光層を形成する材料と溶質とする溶液の塗布および乾燥より形成されている。または、発光層17は蒸着膜で形成されていてもよい。
発光層17を形成する材料としては、公知の蛍光物質である有機材料を利用することができる。例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物等を用いることができる。
なお、後述するように、発光層17は、電子移動度よりホール移動度が高いことが好ましく、そのような特性を有する蛍光材料を用いるか、または、そのような特性を有する有機材料をホスト材料として用いることが好ましい。蛍光材料をドーパントとして用いる場合のホスト材料としては、例えば、アミン化合物、縮合多環芳香族化合物、ヘテロ環化合物を用いることができる。アミン化合物としては、例えば、モノアミン誘導体、ジアミン誘導体、トリアミン誘導体、テトラアミン誘導体を用いることができる。縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン誘導体、ナフタレン誘導体、ナフタセン誘導体、フェナントレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、トリフェニレン誘導体、ペンタセン誘導体、ペリレン誘導体を用いることができる。ヘテロ環化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、フラン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロール誘導体、インドール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フタロシアニン誘導体を用いることができる。
なお、発光層を蛍光材料とホスト材料とから形成する場合において、実施の一態様では、蛍光材料の濃度は1wt%以上である。また、実施の一態様では、蛍光材料の濃度は10wt%以下である。また、実施の一態様では、蛍光材料の濃度は30wt%以下である。
発光層17の膜厚は、例えば、青色発光層の場合は20nmから60nm、赤色発光層、または緑色発光層の場合は、50nmから150nmである。
<第1電子輸送層>
第1電子輸送層18は、発光層17から第1電子輸送層18へのホールの流出を制限するとともに、第1電子輸送層18から発光層17への電子の注入を制御する機能を有する。発光層17から第1電子輸送層18へのホールの流出を制限する機能は、例えば、第1電子輸送層18の機能性材料のHOMO準位が、発光層17の機能性材料のHOMO準位より低く、その差が0.2eV以上、好ましくは0.3eV以上であることにより実現される。また、第1電子輸送層18から発光層17への電子の注入を制御する機能は、例えば、第1電子輸送層18の電子移動度が低く、これにより第1電子輸送層18と第2電子輸送層19とを併せた電子輸送層全体の実効的電子移動度が発光層17の電子移動度より低いことにより実現される。
また、第1電子輸送層18の材料は、LUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差、(バンドギャップ)、すなわち、一重項励起子のエネルギーが、発光層17の材料のLUMO準位とHOMO準位とのエネルギー差(一重項励起子のエネルギー)より大きいことが好ましい。本構成により、第1電子輸送層18の材料に一重項励起子が生成した場合に発光層17の蛍光材料の一重項励起子への遷移が容易に起きるとともに、発光層17の蛍光材料の一重項励起子が第1電子輸送層18へ流出することを抑止することができ、発光効率の向上に寄与する。また、同様に、第1電子輸送層18の材料における三重項励起子のエネルギーは、発光層17の材料における三重項励起子のエネルギーより大きいことが好ましい。
第1電子輸送層18は、例えば、蒸着膜から構成されている。第1電子輸送層18の材料としては、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キナゾリン誘導体、フェナントロリン誘導体などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。なお、第1電子輸送層18は発光層17および第2電子輸送層19より電子移動度が低いことが好ましく、格子不整合を有している、および/または、電子トラップを生成する材料をドーパントとして含んでいることが好ましい。
第1電子輸送層18の膜厚は、例えば、10nmから30nmである。
<第2電子輸送層>
第2電子輸送層19は、陰極21からの電子を、第1電子輸送層18を経て発光層17へ輸送する機能を有する。電子輸送層19は、電子輸送性が高い有機材料からなる。電子輸送層19は、例えば、蒸着膜で構成されている。電子輸送層19に用いられる有機材料としては、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キナゾリン誘導体、フェナントロリン誘導体などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
第2電子輸送層19の膜厚は、例えば、20nmから60nmである。
<電子注入層>
電子注入層20は、陰極21から供給される電子を発光層17側へと注入する機能を有する。電子注入層20は、例えば、蒸着膜で構成されている。電子注入層20は、例えば、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または、希土類金属等から選択されるドープ金属がドープされて形成されている。なお、ドープ金属は、金属単体に限られず、フッ化物(例えば、NaF)やキノリニウム錯体(例えば、Alq3、Liq)など化合物としてドープされてもよい。実施の形態では、LiがLiqとしてドープされている。ドープ金属としては、例えば、アルカリ金属に該当するリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、アルカリ土類金属に該当するカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、希土類金属に該当するイットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等である。
電子注入層20に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
<陰極>
陰極21は、光透過性の導電性材料からなり、電子注入層20上に形成されている。
陰極21の材料としては、金属材料で形成された金属層および金属酸化物で形成された金属酸化物層の少なくとも一方を含む。
陰極21に含まれる金属層を形成する金属材料としては、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金が挙げられる。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金、インジウム−銀合金が挙げられる。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム合金が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金が挙げられる。
陰極21に含まれる金属層は、例えばAg層あるいはMgAg合金層の単層で構成してもよいし、Mg層とAg層の積層構造、あるいは、MgAg合金層とAg層の積層構造にしてもよい。
陰極21に含まれる金属酸化物層を形成する金属酸化物としては、ITO、IZOが挙げられる。
また、陰極21は、金属層単独、または、金属酸化物層単独で構成してもよいが、金属層の上に金属酸化物層を積層した積層構造、あるいは金属酸化物層の上に金属層を積層した積層構造としてもよい。
なお、陽極13を光透過性の陽極とする場合には、陰極21を光反射性の電極としてもよい。このとき、陰極21は、光反射性の金属材料からなる金属層を含む。光反射性を具備する金属材料の具体例としては、銀、アルミニウム、アルミニウム合金、モリブデン、APC、ARA、MoCr、MoW、NiCrなどが挙げられる。
<その他>
有機EL素子1は基板11上に形成される。基板11は、絶縁材料である基材111からなる。あるいは、絶縁材料である基材111上に配線層112を形成してもよい。基材111は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、プラスチック基板等を採用することができる。プラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。配線層112を構成する材料としては、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属材料、窒化ガリウム、ガリウム砒素などの無機半導体材料、アントラセン、ルブレン、ポリパラフェニレンビニレンなどの有機半導体材料等が挙げられ、これらを複合的に用いて形成したTFT(Thin Film Transistor)層としてもよい。
また、図示していないが、基板11上には層間絶縁層12が形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、層間絶縁層12には、画素ごとにコンタクトホールが形成されている。
有機EL表示パネル100がボトムエミッション型である場合には、基材111、層間絶縁層12は光透過性の材料で形成されることが必要となる。さらに、TFT層112が存在する場合には、TFT層112において画素電極13の下方に存在する領域の少なくとも一部分は、光透過性を有する必要がある。
また、有機EL素子1上には、封止層22が形成されている。封止層22は、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、第1電子輸送層18、第2電子輸送層19、電子注入層20などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
有機EL表示パネル100がトップエミッション型である場合には、封止層22は光透過性の材料で形成されることが必要となる。なお図1には示されないが、封止層22の上に、封止樹脂を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、第1電子輸送層18、第2電子輸送層19、電子注入層20を水分および空気などから保護できる。
[2.エネルギーバンド構造]
有機EL素子1は、発光層17、第1電子輸送層18、および、第2電子輸送層19のエネルギーバンド構造に特徴を有する。なお、説明の簡略化のために、「層のエネルギー準位」と記載するが、これは、当該層を形成する有機材料のエネルギー準位を略記したものである。なお、複数の種類の材料からなる層については、電子および/またはホールの輸送を担っている代表的な有機材料のエネルギー準位を「層のエネルギー準位」として表記する。
図2は、有機EL素子1のエネルギーバンド構造を示すバンドダイアグラムである。図2では、正孔輸送層16、発光層17、第1電子輸送層18、および、第2電子輸送層19のLUMOのエネルギー準位(以下、「LUMO準位」と表記する)とHOMOのエネルギー準位(以下、「HOMO準位」と表記する)とを示し、他の層は記載を省略している。なお、図2では電子の真空準位を図示していないが、LUMO準位、HOMO準位のそれぞれは、バンドダイアグラムの下側であるほど、電子の真空準位からの差が大きく、エネルギーレベルが低い。
[2.1 電子注入障壁]
陰極21側から発光層17へ電子を注入するためのエネルギー障壁が、陰極21から発光層17までの各層の界面に存在する。このエネルギー障壁は、界面の陽極13側の層と陰極21側の層とのLUMO準位の差に起因する。以下、隣り合う2つの層の界面において陰極21側から陽極13側へ電子を注入するためのエネルギー障壁を「電子注入障壁」という。
第1電子輸送層18から発光層17への電子注入障壁Eg(eml)は、発光層17の有機材料のLUMO準位171と第1電子輸送層18の有機材料のLUMO準位181との差によって規定される。本実施の形態では、電子注入障壁Eg(eml)は0.1eVである。
発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)は、正孔輸送層16の有機材料のLUMO準位161と発光層17の有機材料のLUMO準位171との差によって規定される。Eg(htl)は下記の式(1)を満たすことが好ましい。本実施の形態では、電子注入障壁Eg(htl)は0.3eVである。
Eg(htl)≧0.3eV …式(1)
正孔輸送層16から発光層17へのホール注入障壁Hg(eml)は、発光層17の有機材料のHOMO準位172と正孔輸送層16の有機材料のHOMO準位162の際によって規定される。本実施の形態では、ホール注入障壁Hg(eml)が0.11eVである。
発光層17から第1電子輸送層18へのホール注入障壁Hg(etl1)は、第1電子輸送層の有機材料のHOMO準位182と発光層の有機材料のHOMO準位172との差によって規定される。本実施の形態では、ホール注入障壁Hg(etl1)は0.31eVである。
[3.キャリア移動度および再結合レートの構成]
有機EL素子1は、発光層17のキャリア移動度およびに電子とホールの再結合レートに特徴を有する。
上述したように、発光層17は電子移動度よりホール移動度が高い。発光層17の電子移動度をμe(eml)とし、ホール移動度をμh(eml)としたとき、下記の式(2)を満たすことが好ましい。
μh(eml)>μe(eml) …式(2)
また、時刻t、膜厚方向位置zにおける発光層17における電子の再結合レートR(z,t)は、時刻t、膜厚方向位置zにおける発光層17における再結合定数r(z,t)を用いて式(3)により示される。
R(z,t)=r(z,t){n(z,t)・p(z,t)−ni 2} …式(3)
ここで、n(z,t)、p(z,t)はそれぞれ、時刻t、膜厚方向位置zにおける電子密度とホール密度である。また、niは真正半導体状態のキャリア密度である。
発光層17における再結合定数r(z,t)は、Langevinの再結合定数rLに対し、式(4)を満たすことが好ましい。
r(z,t)≧0.01×rL …式(4)
なお、Langevinの再結合定数rLは、発光層17の電子移動度μe(eml)、ホール移動度μh(eml)、比誘電率εrを用いて、式(5)により示される。
Figure 2021093472
…式(5)
ここで、eは電子の素電荷、ε0は真空の誘電率である。
なお、発光層17が上記条件を満たしているか否かは、例えば、インピーダンス分光法を用いて測定することができる。より具体的には、発光層17を備える有機EL素子1に対して広帯域の周波数で交流電圧を印加して、抵抗値および電流と電圧の位相差の周波数依存性から有機EL素子1のインピーダンスを測定する。インピーダンスの周波数特性から、有機EL素子1と等価な回路、具体的には、抵抗とコンデンサが並列接続された単位回路が複数個、直列に接続された回路(RC回路)を推測する。これにより、有機EL素子1の膜厚方向におけるキャリア分布を推測することができ、再結合定数を評価することができる。
[4.構成がもたらす効果]
[4.1 設計から予測される効果]
図3(a)〜(b)、および、(c)は、それぞれ、実施例および比較例に係る、正孔輸送層16、発光層17、第1電子輸送層18のバンドダイアグラム及び電子と正孔の再結合を示した簡易模式図である。
図3(c)は、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)を0.3eV未満とした場合の模式図である。発光層17の陽極側より注入されたホールは、発光層17のホール移動度が高いため発光層17の第1電子輸送層18との界面付近まで移動する。しかしながら、発光層17から第1電子輸送層18へのホール注入障壁Hg(etl1)は0.2eV以上と大きいため、ホールは第1電子輸送層18へとほとんど注入されることなく、発光層17の第1電子輸送層18との界面付近にホールが蓄積する。一方で発光層17の電子移動度は発光層17のホール移動度より低いため、発光層17における電子とホールの再結合領域は発光層17の第1電子輸送層18との界面近傍の狭い領域に制限される。したがって、励起子密度の向上が容易となりTTF現象を利用しやすくなる。
しかしながら、比較例では、発光層17の正孔輸送層16との界面付近においても電子密度が高いことを発明者らは見出した。図4(a)は、比較例に係る、正孔輸送層16から第1電子輸送層18までの範囲のキャリア密度であり、実線は電子密度を、破線はホール密度をそれぞれ示す。また、図4(b)は、比較例に係る、再結合レートの分布図である。図4(b)に示すように、発光層17の正孔輸送層16との界面付近における再結合レートは、発光層17の第1電子輸送層18との界面付近における再結合レートの1/10程度と大きい。図4(a)に示すように、発光層17の正孔輸送層16との界面付近では、発光層17の第1電子輸送層18との界面付近よりホールの密度は低いため、発光層17の正孔輸送層16との界面付近における電子密度が高いことが、発光層17の正孔輸送層16との界面付近における再結合レートが高い要因と考えられる。したがって、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が高くない場合、発光層17から正孔輸送層16へ電子が流出し、発光効率が低下するだけでなく、正孔輸送層16や正孔注入層15等の機能性材料が電子や励起子によって劣化が促進されるおそれがある。
これに対し、実施の形態では、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上である。この場合も、図3(a)、(b)の模式図に示すように、発光層17の陽極側より注入されたホールは、発光層17のホール移動度が高いため発光層17の第1電子輸送層18との界面付近まで移動する。しかしながら、発光層17から第1電子輸送層18へのホール注入障壁Hg(etl1)は0.2eV以上と大きいため、ホールは第1電子輸送層18へとほとんど注入されることなく、発光層17の第1電子輸送層18との界面付近にホールが蓄積する。一方で発光層17の電子移動度は発光層17のホール移動度より低いため、発光層17における電子とホールの再結合領域は発光層17の第1電子輸送層18との界面近傍の狭い領域に制限される。したがって、励起子密度の向上が容易となりTTF現象を利用しやすくなる。
さらに、実施の形態では発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であるため、図3(b)の模式図に示すように、発光層17の正孔輸送層16との界面付近まで移動した電子は、正孔輸送層16にはほとんど流出しない。したがって、正孔輸送層16や正孔注入層15等の機能性材料が電子や励起子によって劣化することを抑止することができる。また、実施の形態では、発光層17の正孔輸送層16との界面付近で電子が蓄積するため、正孔輸送層16との界面付近においても電子とホールの再結合により励起子が生じることを期待でき、発光効率の向上を期待できる。
なお、発光層17における再結合定数r(z,t)が、Langevinの再結合定数rLに対し、上述の式(4)を満たす場合、発光層17内の電子とホールの再結合によって発光層17内の励起子密度が向上するとともに、発光層17の正孔輸送層16との界面付近まで移動する電子の数を減少させることができる。したがって、発光効率の向上と正孔輸送層16等の機能性材料が電子や励起子によって劣化することを抑止することができる。
[4.2 評価結果]
図5(a)は、発光層17における再結合定数r(z,t)ごとの、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)と再結合効率との関係を示すグラフである。ここで、再結合効率とは、発光層17内の電子とホールの再結合レートを積算し(空間積分し)、流れた電流量で除したものである。また、図5(b)は、発光層17における再結合定数r(z,t)ごとの、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)と一重項励起子の生成効率との関係を示すものである。ここで、一重項励起子の生成効率は、発光層17内の一重項励起子数を積算し(空間積分し)、流れた電流量で除したものである。なお、図5(a)、(b)ともに、再結合定数r(z,t)を、再結合定数r(z,t)のLangevinの再結合定数rLに対する比率r(z,t)/rLで示している。
図5(a)に示されるように、比率r(z,t)/rLの値に係らず、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であれば再結合効率が最大化される。すなわち、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であれば、発光層17の正孔輸送層16との界面付近で再結合レートが低い場合であっても、正孔輸送層16への電子流出を抑制し、再結合効率が向上する。また、図5(b)に示されるように、比率r(z,t)/rLの値に係らず、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であれば一重項励起子の生成確率が最大化される。すなわち、電子とホールの再結合の過程のみならず一重項励起子の数が平衡状態に達した後についても、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であれば効率が向上していることが分かる。
図6(a)は、発光層17における再結合定数r(z,t)ごとの、発光層17から正孔輸送層16への電子注入障壁Eg(htl)と再結合効率との関係をより詳細に示すグラフである。図6(a)においても、再結合定数r(z,t)を、再結合定数r(z,t)のLangevinの再結合定数rLに対する比率r(z,t)/rLで示している。
図6(a)に示すとおり、比率r(z,t)/rLに係らず、再結合効率は電子注入障壁Eg(htl)が0.3eVで最大化し、電子注入障壁Eg(htl)が減少すると再結合効率も低下する。一方で、電子注入障壁Eg(htl)が同程度である場合には比率r(z,t)/rLが大きいほど再結合効率が大きい。図6(b)は、電子注入障壁Eg(htl)ごとの、再結合定数r(z,t)と再結合効率との関係を示したグラフである。図6(b)に示すように、電子注入障壁Eg(htl)に関わらず、再結合定数r(z,t)がLangevinの再結合定数rLの1/100以上であれば、再結合定数r(z,t)が再結合効率にもたらす効果が大きい。すなわち、再結合定数r(z,t)がLangevinの再結合定数rLの1/100以上であれば、電子注入障壁Eg(htl)や再結合定数r(z,t)の最適化が再結合効率にもたらす効果が大きい。図6(c)は、電子注入障壁Eg(htl)ごとの、再結合定数r(z,t)と一重項励起子の生成効率との関係を示したグラフである。図6(c)に示すように、再結合定数r(z,t)がLangevinの再結合定数rLの1/100以上であれば、電子注入障壁Eg(htl)や再結合定数r(z,t)の最適化が一重項励起子の生成効率にもたらす効果も大きい。
すなわち、再結合定数r(z,t)がLangevinの再結合定数rLの1/100以上であることと、電子注入障壁Eg(htl)が0.3eV以上であることは、いずれも発光効率を向上させるが、再結合定数r(z,t)がLangevinの再結合定数rLの1/100以上であることは、電子注入障壁Eg(htl)が大きいことによる効果をより増大させる効果も有する。
[4.3 発光中心]
ここで、発光層における発光中心について説明する。発光中心とは、以下に説明する発光のピークとなる代表位置を指す。発光ピークの位置は、発光材料の励起子が集中する位置であり、一般に、発光層の陰極側の界面と、発光層の陽極側の界面との、いずれか一方、または、両方である。発光層におけるホールの移動度が電子の移動度より十分に高い場合、ホールは発光層の陰極側の界面まで移動する一方で、電子は発光層の陰極側の界面付近で再結合によって消費されるため、励起子は発光層の陰極側の界面付近で集中的に生成する。一方、発光層における電子の移動度がホールの移動度より十分に高い場合、電子は発光層の陽極側の界面まで移動する一方で、ホールは発光層の陽極側の界面付近で再結合によって消費されるため、励起子は発光層の陽極側の界面付近で集中的に生成する。また、発光層におけるホールの移動度と電子の移動度との関係によっては、励起子が、発光層の陰極側の界面付近と陽極側の界面付近の双方で集中的に生成することもある。一般には、励起子が集中的に生成した位置が、そのまま発光ピークの位置となる。
なお、発光材料の励起子の拡散特性が高く、励起子寿命が長い場合は、励起子の拡散により、励起子が集中的に生成する位置と発光ピークの位置が必ずしも一致しない場合がある。この場合は、励起子が集中的に生成する位置ではなく、励起子のエネルギーから光子のエネルギーへの遷移が集中的に発生する位置が発光中心となる。
[5.まとめ]
以上説明したように、本実施の形態に係る有機EL素子は、発光層17においてホール移動度が電子移動度より高い。そのため、発光層17における電子とホールの再結合領域が発光層17の電子輸送層との界面付近の狭い領域とすることができ、励起子密度を向上させてTTFによる発光効率の向上を得ることができる。
また、本実施の形態に係る有機EL素子は、正孔輸送層16の材料のHOMO準位が発光層17の材料のLUMO準位よりも0.3eV以上高い。そのため、発光層17から正孔輸送層16への電子の漏出を抑止し、発光層17内の励起子密度を向上させることができる。したがって、再結合領域が発光層17の外部、特に、正孔輸送層16側へと広がることを抑止することができ、発光効率の向上とともに、電子や励起子による機能性材料の劣化を抑止することができる。
さらに、本実施の形態に係る有機EL素子は、発光層における再結合定数r(z,t)が、Langevinの再結合定数rLの1/100以上である。そのため、発光層17内の電子とホールの再結合によって発光層17内の励起子密度が向上するとともに、発光層17の正孔輸送層16との界面付近まで移動する電子の数を減少させることができる。したがって、発光効率の向上と正孔輸送層16等の機能性材料が電子や励起子によって劣化することをさらに強く抑止することができる。
[6.有機EL素子の製造方法]
有機EL素子の製造方法について、図面を用いて説明する。図7(a)〜図10(c)は、有機EL素子を備える有機EL表示パネルの製造における各工程での状態を示す模式断面図である。図11は、有機EL素子を備える有機EL表示パネルの製造方法を示すフローチャートである。
なお、有機EL表示パネルにおいて、画素電極(下部電極)は有機EL素子の陽極として、対向電極(上部電極、共通電極)は有機EL素子の陰極として、それぞれ機能する。
(1)基板11の形成
まず、図7(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を形成する(図11のステップS10)。TFT層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
次に、図7(b)に示すように、基板11上に層間絶縁層12を形成する(図11のステップS20)。層間絶縁層12は、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いて積層形成することができる。
次に、層間絶縁層12における、TFT層のソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホールを形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するように形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることがなされる。
(2)画素電極13の形成
次に、図7(c)に示すように、層間絶縁層12上に画素電極材料層130を形成する(図11のステップS31)。画素電極材料層130は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる
次に、図7(d)に示すように、画素電極材料層130をエッチングによりパターニングして、サブピクセルごとに区画された複数の画素電極13を形成する(図11のステップS32)。この画素電極13は、各有機EL素子の陽極として機能する。
なお、画素電極13の形成方法は上述の方法に限られず、例えば、画素電極材料層130上に正孔注入材料層150を形成し、画素電極材料層130と正孔注入材料層150とをエッチングによりパターニングすることで、画素電極13と正孔注入層15とをまとめて形成してもよい。
(3)隔壁14の形成
次に、図7(e)に示すように、画素電極13および層間絶縁層12上に、隔壁14の材料である隔壁用樹脂を塗布し、隔壁材料層140を形成する。隔壁材料層140は、隔壁層用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を画素電極13上および層間絶縁層12上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される(図11のステップS41)。そして、隔壁材料層140にパターン露光と現像を行うことで隔壁14を形成し(図8(a)、図11のステップS42)、隔壁14を焼成する。これにより、発光層17の形成領域となる開口部14aが規定される。隔壁14の焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
また、隔壁14の形成工程においては、さらに、隔壁14の表面を所定のアルカリ性溶液や水、有機溶媒等によって表面処理するか、プラズマ処理を施すこととしてもよい。これは、開口部14aに塗布するインク(溶液)に対する隔壁14の接触角を調節する目的で、もしくは、表面に撥水性を付与する目的で行われる。
(4)正孔注入層15の形成
次に、図8(b)に示すように、隔壁14が規定する開口部14aに対し、正孔注入層15の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド401のノズルから吐出して開口部14a内の画素電極13上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔注入層15を形成する(図11のステップS50)。
(5)正孔輸送層16の形成
次に、図8(c)に示すように、隔壁14が規定する開口部14aに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド402のノズルから吐出して開口部14a内の正孔注入層15上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔輸送層16を形成する(図11のステップS60)。
(6)発光層17の形成
次に、図9(a)に示すように、発光層17の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド403のノズルから吐出して開口部14a内の正孔輸送層16上に塗布し、焼成(乾燥)を行って発光層17を形成する(図11のステップS70)。
(7)第1電子輸送層18の形成
次に、図9(b)に示すように、発光層17および隔壁14上に、第1電子輸送層18を形成する(図11のステップS80)。第1電子輸送層18は、例えば、第1電子輸送層18の材料となる有機化合物を蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより形成される。
(8)第2電子輸送層19の形成
次に、図9(c)に示すように、第1電子輸送層18上に、第2電子輸送層19を形成する(図11のステップS90)。第2電子輸送層19は、例えば、電子輸送性の有機材料を蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより形成される。
(9)電子注入層20の形成
次に、図10(a)に示すように、第2電子輸送層19上に、電子注入層20を形成する(図11のステップS100)。電子注入層20は、例えば、電子輸送性の有機材料とドープ金属またはその化合物を共蒸着法により各サブピクセルに共通して成膜することにより形成される。
(10)対向電極21の形成
次に、図10(b)に示すように、電子注入層20上に、対向電極21を形成する(図11のステップS110)。対向電極21は、ITO、IZO、銀、アルミニウム等を、スパッタリング法、真空蒸着法により成膜することにより形成される。なお、対向電極21は、各有機EL素子の陰極として機能する。
(11)封止層22の形成
最後に、図10(c)に示すように、対向電極21上に、封止層22を形成する(図11のステップS120)。封止層22は、SiON、SiN等を、スパッタリング法、CVD法などにより成膜することにより形成することができる。なお、SiON、SiNなどの無機膜上に封止樹脂層をさらに塗布、焼成等により形成してもよい。
なお、封止層22の上にカラーフィルタや上部基板を載置し、接合してもよい。
[7.有機EL表示装置の全体構成]
図12は、有機EL表示パネル100を備えた有機EL表示装置1000の構成を示す模式ブロック図である。図12に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル100と、これに接続された駆動制御部200とを含む構成である。駆動制御部200は、4つの駆動回路210〜240と、制御回路250とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置1000では、有機EL表示パネル100に対する駆動制御部200の配置については、これに限られない。
[8.その他の変形例]
(1)上記実施の形態において、発光層17においてホール輸送性が電子輸送性より高いとしたが、発光層17において電子輸送性がホール輸送性より高い場合においても、本開示に係る構成が可能である。
この場合、発光層17の正孔輸送層16との界面付近において電子密度が向上し、電子とホールの再結合領域となる。その一方で、発光層17の第1電子輸送層18との界面付近においてホール密度が向上し、ホール流出の恐れがある。したがって、発光層17から第1電子輸送層181へのホール注入障壁Hg(etl1)は、下記の式(6)を満たすことが好ましい。
Hg(etl1)≧0.3eV …式(6)
上記構成によれば、発光層17から第1電子輸送層181へのホール流出を抑止することができ、発光効率を向上させるとともに第1電子輸送層181等のホールや励起子による機能性材料の劣化を抑止することができる。また、実施の形態と同様、発光層17における再結合定数r(z,t)が、Langevinの再結合定数rLの1/100以上であることがより好ましい。本構成により、発光層17内の励起子密度が向上し発光効率が向上するとともに、発光層17の正孔輸送層16との界面付近において電子密度の上昇を抑止することができ、第1電子輸送層181等のホールや励起子による機能性材料の劣化を抑止することができる。
(2)上記実施の形態においては、発光層17が単一の有機発光材料からなるとしたが、これに限られない。例えば、発光層17が、蛍光材料と、ホスト材料とを含むなど、複数の材料からなるとしてもよい。このとき、バンドダイアグラムとしては、以下の条件を満たすことが好ましい。
発光層17と正孔輸送層16との関係においては、発光層17から正孔輸送層16にホールが流出する際、発光層17を構成する主たる材料からホールが流出する。したがって、正孔輸送層16の材料と、発光層17を構成する主たる材料との間において、式(1)を満たしていることが好ましい。
なお、上記変形例(1)の場合においては、同様に、第1電子輸送層181の材料と、発光層17を構成する主たる材料との間において、式(6)を満たしていることが好ましい。
(3)上記実施の形態においては、正孔注入層15や電子注入層20を必須構成であるとしたが、これに限られない。例えば、正孔注入層15を有さず、正孔輸送層16が正孔注入性を兼ね備えてもよい。また、例えば、第1電子輸送層18と第2電子輸送層19に替えて単一の電子輸送層を備えてもよいし、電子注入層20を有さず第2電子輸送層が電子注入性を兼ね備えてもよい。
(4)上記実施の形態においては、有機EL表示パネルはトップエミッション構成であるとしたが、陽極を光透過型電極、陰極を光反射型電極とすることでボトムエミッション構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、陽極が画素電極、陰極が対向電極であるとしたが、陰極が画素電極、陽極が対向電極であるとしてもよい。
以上、本開示に係る有機発光パネルおよび表示装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明は、長寿命の有機EL素子およびそれを備える有機EL表示パネル、表示装置を製造するのに有用である。
1 有機EL素子
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極(陽極)
14 隔壁
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 第1電子輸送層
19 第2電子輸送層
20 電子注入層
21 対向電極(陰極)
22 封止層
100 有機EL表示パネル
200 駆動制御部
210〜240 駆動回路
250 制御回路
1000 有機EL表示装置

Claims (10)

  1. 陽極と、機能層と、発光層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、
    前記発光層と前記機能層とは接しており、
    前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、
    前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高い
    ことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記発光層における電子と正孔の再結合定数が、Langevin再結合係数の1/100以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記発光層の発光中心と前記発光層の前記陰極側の表面との距離は、前記発光層の発光中心と前記発光層の前記陽極側の表面との距離より短い
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記機能層に含まれる機能材料における一重項励起子のエネルギーは、前記発光層に含まれる機能材料に含まれる一重項励起子のエネルギーより大きい
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  5. 前記機能層に含まれる機能材料における三重項励起子のエネルギーは、前記発光層に含まれる機能材料に含まれる三重項励起子のエネルギーより大きい
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機EL素子。
  6. 陽極と、発光層と、機能層と、陰極とがこの順に積層されてなる有機EL素子であって、
    前記発光層と前記機能層とは接しており、
    前記発光層の電子移動度は、前記発光層の正孔移動度より大きく、
    前記機能層に含まれる機能材料の最高被占有軌道(HOMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のHOMO準位より0.3eV以上低い
    ことを特徴とする有機EL素子。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の有機EL素子を基板上に複数備える
    有機EL表示パネル。
  8. 基板を準備し、
    前記基板の上方に画素電極を形成し、
    前記画素電極の上方に、蛍光材料を発光材料として含む発光層を形成し、
    前記発光層上に機能層を形成し、
    前記機能層の上方に陰極を形成する有機EL素子の製造方法であって、
    前記発光層の正孔移動度は、前記発光層の電子移動度より大きく、
    前記機能層に含まれる機能材料の最低空軌道(LUMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のLUMO準位より0.3eV以上高い
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  9. 前記発光層における電子と正孔の再結合定数が、Langevin再結合係数の1/100以上である
    ことを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 基板を準備し、
    前記基板の上方に画素電極を形成し、
    前記画素電極の上方に、機能層を形成し、
    前記機能層上に蛍光材料を発光材料として含む発光層を形成し、
    前記発光層の上方に陰極を形成する有機EL素子の製造方法であって、
    前記発光層の電子移動度は、前記発光層の正孔移動度より大きく、
    前記機能層に含まれる機能材料の最高被占有軌道(HOMO)準位は、前記発光層に含まれる機能層のHOMO準位より0.3eV以上低い
    ことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
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