JP2021092754A - 中間転写体、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

中間転写体、画像形成装置及び画像形成方法 Download PDF

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匡洋 大森
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Abstract

【課題】記録媒体の凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有することができる中間転写ベルトを提供する。【解決手段】実施形態に係る中間転写ベルト1Aは、基層10と弾性層20とを備え、基層の上に弾性層が積層された中間転写ベルトにおいて、弾性層の表面が微粒子30によって凹凸形状を有し、かつ最表面40がダイヤモンドライクカーボン又は導電性高分子層で被覆されている。【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
中間転写ベルトを用いた電子写真方式の画像形成装置として、感光体上に形成したトナー像(現像画像)を中間転写ベルトに1次転写した後、その中間転写ベルト上のトナー像を転写紙(記録紙)等の記録媒体に2次転写して定着させる装置が知られている。このような中間転写ベルトを用いた画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等のカラー画像形成装置として広く用いられている。
中間転写ベルトは、無端状のベルトで構成された中間転写体であり、樹脂製の基材層と、当該基材層上に配置されてトナーの離型性及び中間転写ベルトの耐久性を高める表面層とを有するものが用いられる。基材層の材料には、例えば、高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が用いられている。
中間転写ベルトとして、例えば、ベルト基材と、ベルト基材上に形成され、ダイヤモンド微粒子を含有する樹脂層からなる表面層とを有する転写部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明の一態様は、記録媒体の凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有することができる中間転写ベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る中間転写ベルトの一態様は、基層と弾性層とを備え、前記基層の上に前記弾性層が積層された中間転写ベルトにおいて、前記弾性層の表面が微粒子によって凹凸形状を有し、かつ最表面がダイヤモンドライクカーボン又は導電性高分子層で被覆されている。
本発明に係る中間転写ベルトの一態様は、記録媒体の凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有することができる中間転写ベルトを提供することができる。
第1の実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を模式的に示す断面図である。 図1の中間転写ベルトの平面図である。 球状粒子の形状を模式的に示す図である。 球状粒子の形状を模式的に示す図である。 球状粒子の形状を模式的に示す図である。 弾性層への球状粒子の付与方法の一例を示す概略図である。 画像形成装置の構成の一例を示す要部模式図である。 画像形成装置の他の構成の一例を示す要部模式図である。 第2の実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、基層の主面における座標をX軸方向及びY軸方向とし、高さ方向(厚さ方向)をZ軸方向とする。基層の下から上に向かう方向(基層の主面から弾性層に向かう方向)を+Z軸方向とし、その反対方向を−Z軸方向とする。以下の説明において、+Z軸方向を上といい、−Z軸方向を下という場合がある。本明細書において数値範囲を示すチルダ「〜」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
なお、上述の特許文献1の転写部材では、表面層にダイヤモンド微粒子を含めることで、表面層の表面に凹凸を形成することについては記載されていない。そのため、特許文献1の転写部材では、記録媒体の表面の凹凸の大きさによっては記録媒体の表面に追従して転写できない可能性がある。
また、特許文献1の転写部材では、表面層からのダイヤモンド微粒子の脱落、クラックや擦り傷の発生、フィルミングの発生、ダイヤモンド微粒子が脱落した凹みに異物やトナーなどの成分が付着することにより、高画質な転写ができず、クラック耐性、擦り傷耐性と耐磨耗性を満足することはできない可能性がある。
[第1の実施形態]
<中間転写体>
第1の実施形態に係る中間転写体について説明する。なお、本実施形態では、中間転写体が画像形成装置に備えられるベルト構成部に用いられる中間転写ベルトである場合について説明する。
図1は、本実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を模式的に示す断面図であり、図2は、図1の中間転写ベルトの平面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る中間転写ベルト1Aは、基層10、弾性層20、球状粒子30及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)層40を備える。中間転写ベルト1Aでは、基層10の上に弾性層20が積層され、弾性層20の、弾性層20の基層10とは反対側の表面に球状粒子30が一部露出するように埋没して設けられ、弾性層20及び球状粒子30の表面には、DLC層40が形成されている。弾性層20の表面には露出した球状粒子30の形状に対応した凸部31が形成され、DLC層40は弾性層20と凸部31の形状に対応している。中間転写ベルト1AのDLC層40の表面には、像担持体上に形成された潜像をトナーにより現像して得られたトナー像が転写される。
[基層]
基層10は、樹脂と、電気抵抗調整剤とを含有している。基層10は、比較的屈曲性が得られる剛性を有している。
(樹脂)
樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、機械強度(高弾性)及び耐熱性の点から、ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好ましい。
ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。ポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂としては、例えば、東レ・デュポン株式会社、宇部興産株式会社、新日本理化株式会社、JSR株式会社、ユニチカ株式会社、アイ・エス・ティー株式会社、日立化成工業株式会社、東洋紡株式会社、荒川化学株式会社等からの一般汎用品を使用することができる。
(電気抵抗調整剤)
電気抵抗調整剤は、樹脂中の電気抵抗を調整する機能を有する。電気抵抗調整剤としては、目的に応じて適宜選択することができ、金属酸化物、カーボンブラック、イオン導電剤、導電性ポリマー等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等を用いることができる。また、金属酸化物は、その分散性を良くするため、金属酸化物に表面処理等を施したものを用いてもよい。
カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等を用いることができる。
イオン導電剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等を用いることができる。
導電性ポリマーとしては、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン等を用いることができる。
電気抵抗調整剤の含有量は、目的に応じて適宜設計することができる。電気抵抗調整剤がカーボンブラックの場合には、電気抵抗調整剤の含有量は、基層10に対して、10質量%〜25質量%が好ましく、15質量%〜20質量%がより好ましい。電気抵抗調整剤が金属酸化物の場合には、電気抵抗調整剤の含有量は、基層10に対して、1質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜30質量%がより好ましい。電気抵抗調整剤の含有量は、上記の好ましい範囲内とすることにより、基層10の抵抗の均一性が改善され、任意の電位に対する抵抗値の変動が小さくなると共に、基層10の機械強度を向上させる。そのため、基層10は、電気抵抗を調整する効果を安定して有することができると共に、中間転写ベルト1Aは良好な機械強度を有することができる。
(その他の成分)
基層10は、その他の成分を含んでもよい。その他の成分は、中間転写ベルト1Aの製造時に用いられる塗工液に必要に応じて添加される添加剤である。添加剤としては、分散助剤、補強剤、潤滑剤、熱伝導剤、酸化防止剤等が挙げられる。
基層10の抵抗値は、表面抵抗で1×10Ω/□〜1×1013Ω/□が好ましく、体積抵抗で1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmが好ましい。基層10の表面抵抗及び体積抵抗が、それぞれ、上記の好ましい範囲内であれば、基層10は電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)を有しつつ割れを抑制することができる。そのため、中間転写ベルト1Aは、電気特性を有しつつ機械強度を向上させることができる。
基層10の抵抗値は、例えば電気抵抗調整剤の含有量を調整することにより調整することができる。電気抵抗調整剤の添加量は、電気特性を悪化させず、かつ基層10が脆く割れやすくならない程度の機械強度が得られる量に設定するのがよい。
基層10の厚みは、目的に応じて適宜設計することができ、30μm〜150μmであることが好ましく、40μm〜120μmであることがより好ましく、50μm〜80μmであることがさらに好ましい。基層10の厚みが30μm〜150μmであると、基層10に亀裂が生じ難くなり、中間転写ベルト1Aの裂けを抑制することができると共に、中間転写ベルト1Aに割れが生じるのを抑制できるため、中間転写ベルト1Aの耐久性を高められる。
基層10の厚みムラは、中間転写ベルト1Aの使用時における走行安定性を高める点から、極力小さいことが好ましい。
基層10の厚みの測定方法としては、例えば、接触式や渦電流式の膜厚計で測定する方法、基層10の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定する方法が挙げられる。
[弾性層]
弾性層20は、基層10の上に形成され、柔軟性を有する。弾性層20は、その表面に球状粒子30によって形成された凸部31を有している。
弾性層20は、25℃、50%RH下での硬度が50度以下であることが好ましく、40度以下であることがより好ましい。弾性層20は、柔軟性を有することができるので、表面に凹凸がある紙種に対する追従性を良好とすることができる。また、弾性層20に撓みや反りが生じても、破損するのを抑えることができる。なお、硬度は、市販のマイクロゴム硬度計を使用することにより測定することができる。市販のマイクロゴム硬度計として、例えば、高分子計器株式会社製の「マイクロゴム硬度計MD−1capa」を使用することができる。
弾性層20を形成する材料としては、柔軟性を有する、エラストマーやゴムを用いることができる。
エラストマーとしては、熱可塑性エラストマー及び熱硬化性エラストマーを用いることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアクリル系、ポリジエン系及びシリコーン変性ポリカーボネート系の熱可塑性エラストマー、フッ素系共重合体等が挙げられる。
熱硬化性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系、シリコーン変性エポキシ系及びシリコーン変性アクリル系の熱硬化性エラストマーが挙げられる。
ゴムとしては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴム等が挙げられる。
弾性層20としては、上記のエラストマー及びゴムの中から、所望の性能が得られる材料を適宜選択することができるが、中でも、耐オゾン性、柔軟性、球状粒子30との接着性、難燃性付与及び耐環境安定性の点から、アクリルゴムが好ましい。以下、弾性層20がアクリルゴムを含む場合について説明する。
アクリルゴムとして、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋性アクリルゴムを用いることができる。架橋性アクリルゴムとしては、エポキシ基、活性塩素基、カルボキシル基等の架橋系を有するアクリルゴムを用いることができる。架橋系の中では、カルボキシル基を有する架橋性アクリルゴムが、ゴム物性(特に、圧縮永久歪み)及び加工性に優れており、好ましい。
カルボキシル基架橋系のアクリルゴムに用いる架橋剤は、アミン化合物が好ましく、多価アミン化合物がより好ましい。アミン化合物として、具体的には、脂肪族多価アミン架橋剤、芳香族多価アミン架橋剤等が挙げられる。
脂肪族多価アミン架橋剤としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイト、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミン架橋剤としては、4,4'−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−ベンゼントリアミノメチル等が挙げられる。
架橋剤の含有量は、アクリルゴム100質量部に対して、好ましくは0.05質量部〜20.0質量部、より好ましくは0.1質量部〜5.0質量部である。架橋剤の配合量が上記の好ましい範囲内であれば、架橋が十分に行われるため、架橋物の形状が維持し易くなる。また、架橋物が硬くなりすぎず、架橋ゴムとしての弾性等を有することができる。
弾性層20は、さらに架橋促進剤を含んでもよい。架橋促進剤として、目的に応じて適宜選択することができるが、多価アミン架橋剤と組み合わせて用いることができることが好ましい。このような架橋促進剤としては、例えば、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、第四級オニウム塩、第三級ホスフィン化合物、弱酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
グアニジン化合物としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジオルトトリルグアニジン等が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
第四級オニウム塩としては、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリ―n−ブチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
多価三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
第三級ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン等が挙げられる。
弱酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム又はカリウムの有機弱酸塩が挙げられる。
有機弱酸塩として、例えば、無機弱酸塩、ステアリン酸塩又はラウリル酸塩等が挙げられる。無機弱酸塩として、リン酸塩及び炭酸塩等が挙げられる。
架橋促進剤の含有量は、アクリルゴム100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.3質量部〜10質量部がより好ましい。架橋促進剤の含有量が上記の好ましい範囲内であれば、架橋物の引張強さが向上し、熱負荷後の伸び変化又は引張強さ変化を小さくすることができる。また、架橋時の架橋速度を抑制できるので、架橋物表面に架橋促進剤のブルームが生じたり、架橋物の高硬度化を抑制することができる。
弾性層20は、必要に応じて、電気特性を調整するための電気抵抗調整剤、難燃性を得るための難燃剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤等の添加剤を適宜含有させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、リン系化合物、金属水和物、粘土鉱物等を用いることができる。難燃剤として、リン系化合物と金属水和物と粘土鉱物とを組み合わせて使用することができる。これらを組み合わせることにより、難燃剤としての相乗効果を発揮し、より少ない量で難燃性を発現できるようになり、温湿度が変化しても抵抗変動を抑えることができる。具体的な抵抗変動としては、高温高湿と常温常湿との差が1桁以内であるのが好ましい。
粘土鉱物としては、例えば、バーミキュライト、カオリン、雲母、層状ケイ酸塩等が挙げられる。この中でも、ゴムへの分散性という観点から、層状ケイ酸塩が好ましい。層状ケイ酸塩とは 層間にナトリウムイオン、マグネシウムイオンなどの交換性の金属カチオンを有する層状のケイ酸塩鉱物を意味する。ケイ酸塩鉱物は天然物であってもよく、合成物であってもよい。層状ケイ酸塩としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、スティブンサイト、バイデライト、ノントロナイト等のスメクタイトが挙げられる。中でもモンモリロナイトは難燃性としての効果が高く好適である。これらの層状ケイ酸塩は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。このような材料は市販品としてはビック・ケミー社のクロイサイトが挙げられる。粘土鉱物の平均粒径は、1μm〜30μmであることが好ましく、5μm〜20μmであることがさらに好ましい。
金属水和物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛などが挙げられる。中でも水酸化アルミニウムはゴムへの分散性に優れ、難燃性や抵抗環境変動の面から有利であるので特に好ましい。このような材料の市販品としては昭和電工社のハイジライトが挙げられる。金属水和物の平均粒径は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、1.0μm〜3μmであることがさらに好ましい。
リン系化合物の具体例としては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリアリルホスフェート、トリ(ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ジエチルビス(ヒドロキシエチル) アミノメチルホスホネート、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド、ジブチルヒドロオキシメチルホスフォネート、ジ(ブトキシ)ホスフィニル・プロピルアミド、ジメチルメチルホスフォネート、リン酸グアニジン、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスβ − クロロプロピルホスフェート、ポリブロモスチレン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸メラミン、赤リン等が挙げられる。これらの中でも、高い難燃性を有する点から、赤リンがより好ましい。このような材料の市販品としては、燐化学工業のノーバエクセルが挙げられる。リン系化合物の平均粒径は、1.0μm〜50μmであることが好ましく、5.0μm〜20.0μmであることがより好ましい。
難燃剤の配合量としては、リン系化合物は、アクリルゴム100質量部に対して、1.0質量部〜20.0質量部含むのが好ましく、5.0質量部〜15.0質量部含むのがより好ましい。金属水和物は、アクリルゴム100質量部に対して、1.0質量部〜150.0質量部含むのが好ましく、5.0質量部〜20.0質量部含むのがより好ましい。粘土鉱物は、アクリルゴム100質量部に対して、1.0質量部〜10.0質量部含むのが好ましく、3.0質量部〜7.0質量部含むのがより好ましい。難燃剤の配合量を、それぞれの上記の好ましい範囲に調整することにより、高い難燃性が得られ、温湿度変化があっても画像濃度が安定する。
電気抵抗調整剤としては、上記の基層10に含まれる電気抵抗調整剤と同様の材料を用いることができる。弾性層20がアクリルゴムを含む場合、アクリルゴム単体では抵抗率が高いため、電気抵抗調整剤が弾性層20に含まれることで、弾性層20の抵抗を制御することができる。電気抵抗調整剤は、中間転写ベルト1Aのゴム硬度を維持する点から、少量添加で効果があり、かつゴム硬度に影響を与えないイオン導電剤を用いるのが好ましい。イオン導電剤は、例えば、種々の過塩素酸塩やイオン性液体をアクリルゴム添加して得られる。イオン導電剤の含有量は、アクリルゴム100部に対して、0.01質量部〜3.0質量部であるのが好ましい。イオン導電剤の添加量が0.01質量部〜3.0質量部であれば、抵抗率を下げる効果を得ることができると共に、中間転写ベルト1Aの表面に導電剤がブルーム又はブリードするのを低減することができる。
弾性層20の抵抗値は、表面抵抗で1×10Ω/□〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmに調整されることが好ましい。
弾性層20は、アクリルゴム組成物を加熱することで形成できる。アクリルゴム組成物の調製には、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合等の混合方法を用いることができる。配合順序は、特に限定されないが、熱で反応や分解しにくい成分を十分に混合した後、熱で反応し易い成分又は分解し易い成分としては、例えば、架橋剤等を反応や分解が起こらない温度で短時間に混合すればよい。
アクリルゴムは、加熱することにより架橋物とすることができる。加熱温度は、130℃〜220℃が好ましく、140℃〜200℃がより好ましい。架橋時間は30秒〜5時間が好ましい。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱等のゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状等により異なるが、1時間〜48時間行うのが好ましい。後架橋を行う際の加熱方法及び加熱温度は適宜選択すればよい。
弾性層20の厚みは、400μm〜1000μmであることが好ましく、500μm〜700μmであることがより好ましい。弾性層20の層厚が400μm〜1000μmであれば、表面に凹凸がある紙種に対する画像品質を良好とすることができる。また、弾性層20の重さによって弾性層20に撓みや反りが生じるのを抑えることができる。
弾性層20の厚みとは、粒子を除いた、弾性層20の弾性材料の厚みをいい、例えば、粒子が存在していない領域の弾性層20の厚みとすることができる。
弾性層20の厚みは、弾性層20の断面をSEMで測定する方法等により測定することができる。弾性層20の厚みは、弾性層20の平均厚みを用いてもよい。平均厚みは、任意に10点の厚みを測定した際の平均値を用いることができる。
[球状粒子]
球状粒子30は、弾性層20の表面に一部露出するように埋没して設けられている。球状粒子30は、弾性層20の表面に、球状粒子30同士が弾性層20の厚さ方向に重なることなく、弾性層20の面方向に分散して配置している。殆どの球状粒子30は、弾性層20の中に完全に埋没することなく配置されている。
球状粒子30を形成する材料としては、樹脂及びゴム等を用いることができる。
樹脂としては、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂等を挙げられる。これらの中でも、滑性を有し、トナーに対して高い離型性及び耐磨耗性を有する点から、メラミン樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂を用いるのが好ましい。
前記ゴムとしては、上述の弾性層20に用いるゴムと同様の材料を用いることができる。
球状粒子30としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、メラミン粒子の場合、日本触媒社製の「エポスターS12」、「エポスターS30」等を用いることができる。シリコーン粒子の場合、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「トスパール(TOSPEARL)120」、「トスパール145」、「トスパール150KA」、「トスパール2000B」)等を用いることができる。アクリル粒子の場合、積水化成品工業社製の「テクポリマーMBX−SS」等を用いることができる。
球状粒子30は、その表面を異種材料で表面処理を施してもよい。球状粒子30が、コア部と、コア部の表面を被覆するシェル部とで構成されたコアシェル構造である場合、コア部を樹脂で形成し、シェル部をコア部とは異なる樹脂で形成してもよい。また、球状粒子30は、コア部をゴムで形成し、シェル部を樹脂で形成してもよい。
球状粒子30は、ゴム等の絶縁性材料を用いて形成される場合、球状粒子30はその表面に導電性高分子や金属の膜で被覆されているものを用いてもよい。中間転写ベルト1Aでは、弾性層20及び球状粒子30の表面にDLC層40が形成され、DLC層40によって導電性を有するので、球状粒子30は安価な絶縁性材料を用いて形成できる。
球状粒子30は、中空でもよいし、多孔質でもよい。
球状粒子30の平均粒径は、1.0μm〜20.0μmであることが好ましく、2.0μm〜10.0μmであることがより好ましく、2.5μm〜5.0μmであることがさらに好ましい。球状粒子30の平均粒径が、1.0μm〜20.0μmの範囲内であれば、表面粗さが小さくなり、球状粒子30同士の間の隙間を小さくできるため、トナーの転写性能を向上させることができると共にクリーニング性能を向上させることができる。特に、球状粒子30は絶縁性が高いものが多いため、球状粒子30の平均粒径が5.0μm以下であれば、帯電電位が残留し難くなり、連続画像出力時の画像乱れを抑制できる。なお、球状粒子30を弾性層12表面に塗布するタイミングは、特に限定されず、ゴムの加硫前、加硫後の何れでもよい。
球状粒子30は、単分散粒子であることが好ましい。単分散粒子とは、粒度分布が極めてシャープであることをいう。具体的には、粒度分布が±(平均粒径×0.5)μm以下の分布幅であることをいう。なお、球状粒子30が市販品の場合、球状粒子30の粒度分布がブロードである場合には、粒子分球装置を用いて分級し、粒度分布をシャープに揃えてもよい。
球状粒子30の平均粒径の測定方法は、走査型電子顕微鏡等で観察することにより測定することができる。視野中の任意の数(例えば、10個)の球状粒子30の大きさを測定し、平均した値を平均粒径としてもよい。
球状粒子30は、樹脂又はゴムを用いて重合法等により製造できる。
弾性層20中の球状粒子30の割合は、弾性層20のアクリルゴム100質量部に対して、0.1質量部〜1.0質量部が好ましく、0.2質量部〜0.5質量部がより好ましい。
球状粒子30は、球形であればよいが、トナーの転写効率の点から、真球により近い、真球状粒子であることが好ましい。
真球状について説明する。図3〜図5は、球状粒子30の形状を模式的に示す図である。図3〜図5において、球状粒子30の互いに直交する2つの方向のうちの一方(X軸方向)の径の長さを径rとし、他方の径の長さを径r、直交する2つの方向(X軸方向、Y軸方向)により形成される面に直交する面に対して直交する方向(Z軸方向)の径の長さを径rとする。それぞれの径r、径r及び径rの長さは、径r≧径r≧径rとする。球状粒子30は、その径rと径rとの比(径r/径r)が0.9〜1.0の範囲であり、径rと径rとの比(径r/径r)が0.9〜1.0の範囲であるとき、真球状粒子とする。径r/径r及び径r/径rが0.9以上であることにより、球状粒子30を弾性層20の表面に整列して並べることが容易となり、トナーの転写効率が向上する。
径r、径r及び径rは、例えば、球状粒子30を平滑な測定面上に均一に分散付着させ、カラーレーザ顕微鏡等により複数(例えば、100個)の球状粒子30の径r、径r及び径r(単位:μm)を測定し、これらの平均値から求めることができる。
球状粒子30は、図1に示すように、弾性層20中へ一部埋設されており、その埋没率は、50%を超え100%未満であることが好ましく、51%〜90%であることがより好ましい。埋没率が50%を超え100%未満であれば、中間転写ベルト1Aを画像形成装置に長期間使用しても、球状粒子30の脱離が抑制され、耐久性を向上させることができる。また、球状粒子30の存在による転写性能を向上させることができる。
埋没率とは、弾性層20の深さ方向に埋没している球状粒子30の割合をいう。本実施形態では、埋没率が50%を超え100%未満であるとは、全ての球状粒子30が50%を超え100%未満でなくともよく、ある所定の領域に存在する球状粒子30の平均埋没率が50%を超え100%未満であればよい。
埋没率は、弾性層20の表面の任意の箇所をSEMを用いて断面を観察することにより、弾性層20の厚さ方向に所定の数(例えば、10個)の球状粒子30の粒径のどのくらいの割合が埋没しているかを求め、その平均値を算出することにより測定できる。また、埋没率が50%の場合、弾性層20の断面観察において、弾性層20中に完全に埋没している球状粒子30は殆どない。なお、弾性層20中に完全に埋没している球状粒子30は、球状粒子30全体のうちの5%以下であることが好ましい。
球状粒子30は、図1に示すように、弾性層20の厚み方向に単一層が形成されるように配置され、複数の球状粒子30が、図2に示すように、平面視において、弾性層20の表面にそれぞれ独立して配列されている。球状粒子30が弾性層20の表面にその厚み方向に単一層を形成するように、それぞれ独立して配列した状態で配置されることで、安定した高品質画像を維持することができる。球状粒子30を弾性層20の上に直接塗布してならすことにより、球状粒子30を弾性層20の表面にその厚み方向に単一層を形成し、球状粒子30をそれぞれ独立して配列した状態を容易に形成できる。なお、球状粒子30は、弾性層20に球状粒子30同士が重なり合うように配置して、複数の球状粒子30が弾性層20の厚み方向に重なるように配置されてもよい。
弾性層20の表面から露出している球状粒子30の断面の径は、均一であるのが好ましく、±(断面の径×0.5)μm以下の分布幅であるのが好ましい。なお、球状粒子30同士の重なり合いがなければ、球状粒子30の粒径は、分布幅を満たさなくてもよい。
また、球状粒子30は粒径が揃っていれば、弾性層20の表面から露出している球状粒子30の断面の径の分布幅が±(断面の径×0.5)μm以下とし易いため、好ましい。なお、球状粒子30は粒径が揃ってなくても、ある粒径の球状粒子30が選択的に弾性層20の表面から露出させて、弾性層20の表面から露出している球状粒子30の断面の径の分布幅が、±(断面の径×0.5)μm以下となるようにしてもよい。
球状粒子30による弾性層20の表面の占有面積率は、60%以上であるのが好ましく、66%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのがさらに好ましい。占有面積率が60%以上であれば、弾性層20の露出面積を低下させ、トナーと弾性層20との接触機会を減少でき、良好な転写性が得られる。
[DLC層]
DLC層40は、弾性層20及び球状粒子30の表面に形成されている。DLCは、sp混成軌道で結合を形成するダイヤモンド構造とsp混成軌道で結合を形成するグラファイト構造とが混在したアモルファス構造を有し、ダイヤモンドとグラファイトとの中間的な性質を有している。そのため、DLC層40は、硬度が高く、極めて高い耐摩耗性と、低い摩擦係数とを有するので、良好なクリーニング性能を安定して維持することができる。
DLC層40は、ダイヤモンド構造とグラファイト構造との存在比を適宜任意に設定してもよい。DLCは炭素材料であるため、本質的には高導電性の材料であるが、ダイヤモンド構造とグラファイト構造との存在比を調整することによって、DLC層40の導電性を任意に設定することができる。
DLC層40は、ドープ元素を一部含んでもよい。DLC層40にドープ元素が添加されることで、DLC層40の導電性を任意に設定することができる。ドープ元素としては、水素、窒素、ケイ素、チタン、クロム、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀、モリブデン、タングステン、フッ素等の元素が挙げられる。
DLC層40を形成する方法は、化学気相成長(CVD)法、物理気相成長(PVD)法等の公知の方法を採用することができる。CVD法としては、マイクロ波プラズマCVD法、直流プラズマCVD法、高周波プラズマCVD法、有磁場プラズマCVD法等が挙げられる。PVD法としては、アークイオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、イオンビーム・スパッタ法、イオンビーム蒸着法、反応性プラズマ・スパッタ法、アンバランスドマグネトロンスパッタ法等が挙げられる。
このとき炭素源として用いることができる原料ガスは、含炭素ガスである。原料ガスとして、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、アセチレン、メチルアセチレン、ベンゼン、トルエン、キシレン、インデン、ナフタレン、フェナントレン、シクロプロパン、シクロヘキサン等の炭化水素ガス、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン化炭素、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、アセトン、ジフェニルケトン等のケトン類、一酸化炭素、二酸化炭素等のガス、及び、これらのガスにN2、H2、O2、H2O、Ar等を混合したものが挙げられる。上記の原料ガスは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
DLC層40の厚みは、0μmを超え1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm〜0.5μmであることがより好ましい。DLC層40の厚みが1.0μm以下であれば、中間転写ベルト1Aの変形に追従でき、DLC層40が割れるのを低減できるので、耐久性を維持することができる。
DLC層40の厚さは、弾性層20及び球状粒子30の上に形成したDLC層40の断面を観察して測定することができる。また、弾性層20及び球状粒子30の上にDLC層40を形成するのと同時に平坦な基板(例えば、シリコンウエハ等)上にもDLC層40を形成し、基板上のDLC層40の厚さを測定することにより、DLC層40の厚さを簡易的に測定してもよい。
中間転写ベルト1Aは、その抵抗を、基層10及び弾性層20に含まれる電気抵抗調整剤の含有量を変更することにより、適宜設計することができる。
中間転写ベルト1Aは、その抵抗を、表面抵抗で1×10Ω/□〜1×1013Ω/□とし、体積抵抗で1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmとするのが好ましい。中間転写ベルト1Aの表面抵抗及び体積抵抗が、それぞれ、上記範囲内であれば、中間転写ベルト1Aの導電性を最適にすることができる。なお、中間転写ベルト1Aの抵抗の測定は、市販の計測器を使用できるが、例えば、ダイアインスツルメンツ社製のハイレスタを用いて測定することができる。
中間転写ベルト1Aは、無端ベルト、即ちシームレスベルトとして用いることができる。中間転写ベルト1Aが無端ベルトの場合、中間転写ベルト1Aの周長は、目的に応じて適宜設計することができるが、1000mm〜3000mmが好ましく、1100mm〜3000mmがより好ましい。
[中間転写ベルトの製造方法]
一実施形態に係る中間転写ベルト1Aの製造方法の一例を説明する。
まず、基層10の作製方法について説明する。樹脂成分としてポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体等を用い、樹脂成分及び電気抵抗調整剤を含む塗工液を作製する。例えば、金属等で形成された、円筒状の金型(円筒型)をゆっくりと回転させながら、作製した塗工液をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒型の外面全体に均一になるように塗布・流延して、塗膜を形成する。
その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、円筒型を回転させつつ徐々に昇温させながら、80℃〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。その際、雰囲気中に存在する、揮発した溶媒等を含む蒸気を効率よく循環して取り除くことが好ましい。
自己支持性のある膜が形成された後、円筒型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、炉内を段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温で円筒型を加熱処理して、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体をイミド化又はポリアミドイミド化させる。これにより、基層10が形成される。
基層10を形成した後、円筒型を冷却し、円筒型の表面に形成した基層10の上に弾性層20を形成する。
まず、アクリルゴム、架橋剤、架橋促進材等を有機溶剤に溶解させたゴム塗料(アクリルゴム組成物)を準備する。ゴム塗料を基層10の上に塗布して塗膜を形成した後、塗膜に含まれる溶剤を乾燥させると共に、ゴムを加硫させることで、弾性層20を形成することができる。
ゴム塗料の塗膜の成形方法としては、基層11の形成方法と同様、螺旋塗工、ダイ塗工、ロール塗工等の塗工法を用いることができる。凹凸転写性を良くするためには、弾性層20の厚みを厚くする必要があり、ゴム塗料の厚膜を形成する塗工法としては、ダイ塗工、及び螺旋塗工が好ましい。例えば、基層11と同様に、円筒型をゆっくりと回転させながら、ゴム塗料をノズルやディスペンサー等のような液供給装置にて基層11の表面全体に均一になるように、塗布して流延して、基層11の表面に塗膜を形成する。続いて、円筒型を所定の回転速度、乾燥温度を維持させることで平滑化(レベリング)されながら乾燥される。これにより、弾性層20が形成される。弾性層20は、その後、十分に冷却される。なお、円筒型の回転中に、必要に応じて、加硫温度に加熱して、ゴム塗膜中のゴムを加硫(架橋)させて、弾性層20を形成してもよい。
その後、円筒型の回転速度を所定速度まで上げ、所望の所定速度に達したら、一定速度に維持し、回転を継続する。弾性層20を十分に乾燥した後、弾性層20上に球状粒子30を供給し、球状粒子30を弾性層20の上に固着させる。
弾性層20への球状粒子30の付与方法の一例を示す概略図を図6に示す。図6に示すように、円筒型51の周面に、基層10と弾性層20が積層して形成されたベルトを取り付け、このベルトの表面に、粉体供給装置52と押し当て部材53を設置する。円筒型51を回転させながら粉体供給装置52から球状粒子30を含む流延塗工液を弾性層20の上に球状粒子30を均一にまぶし、弾性層20上にまぶされた球状粒子30を押し当て部材53により一定圧力で押し当てる。この押し当て部材53により、弾性層20へ球状粒子30を埋設させつつ、余剰な球状粒子30を取り除く。本実施形態では、特に、単分散の球状粒子30を用いることにより、このような押し当て部材53を用いた、ならし工程のみの簡単な工程で、弾性層20の厚さ方向に、好ましくは平面方向にも単一の状態で独立して球状粒子30の一部を埋め込むことができ、均一な単一粒子層を形成することができる。これにより、弾性層20の表面に露出した球状粒子30の形状に対応した凸部が形成される。
球状粒子30の埋没率は、押し当て部材53の押し当て時間の長さ等により調整することができる。なお、球状粒子30の弾性層20中への埋没率の調整は、他の方法によっても可能である。例えば、押し当て部材53の押圧力を加減することにより、埋没率を調整することができる。例えば、流延塗工液の粘度、固形分、溶剤の使用量、粒子の材料等にもよるが、例えば、流延塗工液の粘度が100mPa・s〜100000mPa・sの時、押圧力を1mN/cm〜1000mN/cmとすることにより、球状粒子30の埋没率を50%を超え100%未満の範囲に容易に調整することができる。
なお、球状粒子30の埋没率を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、最終的に得られる中間転写ベルト1Aの断面をSEMやレーザ顕微鏡を用いて観察する方法等により測定することができる。
弾性層20の上に球状粒子30を均一に並べた後、円筒型51を回転させながら所定温度及び所定時間で加熱することにより、弾性層20を硬化させ、球状粒子30を埋設させた弾性層20を形成する。
次に、円筒型を、弾性層20の表面に球状粒子30を埋没させたベルトが取り付けられている状態で処理炉に入れて、マイクロ波プラズマCVD法等を用いて、弾性層20の表面と露出している球状粒子30の表面とにDLC層40を形成する。DLC層40の膜厚条件は、DLC層40の膜厚が所定の厚さ(例えば、1μm以下)となるように、成膜条件を調整して行う。
DLC層40を十分に冷却した後、処理炉からDLC層40が形成された円筒型51を取り出して、円筒型51から、基層10、弾性層20、球状粒子30及びDLC層40を備える中間転写ベルト1Aを脱離させ、所望の中間転写ベルト(シームレスベルト)1を得る。
このように、中間転写ベルト1Aは、弾性層20の表面に一部露出した状態で配設された球状粒子30と、弾性層20及び球状粒子30の表面を被覆するDLC層40とを備え、DLC層40の表面に球状粒子30により凸部31を形成している。中間転写ベルト1Aは、DLC層40の表面に弾性層20から露出した球状粒子30の形状に対応した凸部31を形成しているので、記録媒体の凹凸に対して追従しやすく、転写性能を高めることができる。また、DLC層40は、高い耐摩耗性を有しつつ低い摩擦係数を有することができる。そのため、中間転写ベルト1Aは、記録媒体の凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有することができる。
中間転写ベルト1Aは、DLC層40の厚みを1.0μm以下とすることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、高い耐久性を維持することができる。
中間転写ベルト1Aは、表面抵抗を1×10Ω/□〜1×1013Ω/□とし、体積抵抗を1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmとすることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、導電性を最適とすることができるので、より転写性能を安定させることができる。
中間転写ベルト1Aは、弾性層20の硬度を50度以下とすることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、記録媒体の凹凸に対する追従性をより安定させることができると共に、転写性能をより安定させることができるので、より安定した画像品質を維持することができる。
中間転写ベルト1Aは、弾性層20の厚みを、400μm〜1000μmとすることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、弾性層20に撓みや反りが生じるのを抑えることができるので、中間転写ベルト1Aの走行性を安定化させることができると共に、中間転写ベルト1Aを張架させるためのローラ曲率部での屈曲により亀裂が生じるのを抑制することができる。
中間転写ベルト1Aは、球状粒子30の、表面抵抗を1×10Ω/□〜1×1013Ω/□とし、体積抵抗を1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmとすることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、最適な導電性を有することができるので、良好な転写性能を安定して得ることができる。
中間転写ベルト1Aは、シームレスベルトとして用いることができる。これにより、中間転写ベルト1Aは、画像形成装置のベルト構成部に用いられる無端ベルトとして有効に用いることができる。
中間転写ベルト1Aは、上述の通り、優れた追従性、転写性能及び耐久性を有するので、中間転写ベルト方式の画像形成装置における中間転写ベルトとして好適に用いることができる。中間転写ベルト方式の画像形成装置として、像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、得られた一次転写画像を記録媒体上に一括して二次転写する方式の装置がある。
<画像形成装置>
一実施形態に係る中間転写体を中間転写ベルトとして適用した画像形成装置について説明する。一実施形態に係る画像形成装置は、潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、該像担持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像部と、前記現像部により現像されたトナー像が一次転写される中間転写体である中間転写ベルト1Aと、中間転写ベルト1A上に担持されたトナー像を記録媒体に二次転写する転写部とを備えている。また、画像形成装置は、必要に応じて、例えば、除電部、クリーニング部、リサイクル部、制御部を備えることができる。なお、画像形成装置は、フルカラー画像形成装置である場合には、各色の現像部を有する複数の潜像担持体を直列に配置しているのが好ましい。
一実施形態に係る画像形成装置を用いた画像形成方法は、以下の工程を含み、中間転写体として一実施形態に係る中間転写体を用いる。画像形成方法は、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。
(現像工程)潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体の上に形成された潜像をトナーで現像する工程:
(一次転写工程):前記現像工程において現像された前記トナー像を中間転写体上に一次転写する工程:及び
(二次転写工程):前記中間転写体の上に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する工程
(第1の態様)
図7は、画像形成装置の構成の一例を示す要部模式図である。図7に示すように、画像形成装置100Aは、中間転写ユニット110、二次転写ユニット130、作像ユニット150、ベルト構成部であるベルト搬送装置(転写搬送ベルト)160及び定着装置170を備える。
中間転写ユニット110は、複数のローラに張架された中間転写ベルト1A、中間転写ベルトクリーニング部であるベルトクリーニングブレード111、潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ112、中間転写ベルト1Aが架け渡されている一次転写電荷付与手段である一次転写バイアスローラ113、ベルト駆動ローラ114、ベルトテンションローラ115、二次転写対向ローラ116、クリーニング対向ローラ117及びフィードバック電流検知ローラ118、光学センサ119、一次転写電源120、トナーシール部材121、除電ローラ122、アースローラ123及び帯電チャージャ124を備えている。
二次転写ユニット130は、二次転写電荷付与部である二次転写バイアスローラ131、二次転写電源132、レジストローラ133、クリーニング部であるクリーニングブレード134、転写紙ガイド板135及び除電針からなる転写紙除電チャージャ136を備える。
作像ユニット150は、像担持体である感光体ドラム151、帯電チャージャ152、リボルバ現像ユニット153、感光体クリーニング装置154、除電ランプ155、電位センサ156及び画像濃度センサ157を備える。
リボルバ現像ユニット153は、4つの現像機1531(黒(BK)現像機1531K、シアン(C)現像機1531C、マゼンタ(M)現像機1531M、イエロー(Y)現像機1531Yを内部に備えている。
中間転写ベルト1Aの周りには、二次転写バイアスローラ131、ベルトクリーニングブレード111、潤滑剤塗布ブラシ112等が、それぞれ、中間転写ベルト1Aと対向するように配設されている。
中間転写ベルト1Aの外周面又は内周面には、図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト1Aの外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード111の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがある。そのため、位置検知用マークは中間転写ベルト1Aの内周面側に設けてもよい。
光学センサ119は、マーク検知用センサとして機能し、中間転写ベルト1Aが架け渡されている一次転写バイアスローラ113とベルト駆動ローラ114との間の位置に設けられる。
中間転写ベルト1Aは、一次転写バイアスローラ113、ベルト駆動ローラ114、ベルトテンションローラ115、二次転写対向ローラ116、クリーニング対向ローラ117及びフィードバック電流検知ローラ118に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、一次転写バイアスローラ113以外の各ローラは接地されている。一次転写バイアスローラ113には、定電流又は定電圧制御された一次転写電源120により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流又は電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト1Aは、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ114により、矢印方向に駆動される。
中間転写ベルト1Aは、感光体ドラム151上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
二次転写バイアスローラ131は、二次転写対向ローラ116に張架された部分の中間転写ベルト1Aのベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。二次転写バイアスローラ131は、二次転写対向ローラ116に張架された部分の中間転写ベルト1Aとの間に被記録媒体(転写材)である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される二次転写電源132によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ133は、二次転写バイアスローラ131と二次転写対向ローラ116に張架された中間転写ベルト1Aとの間に、所定のタイミングで転写紙Pを送り込む。また、二次転写バイアスローラ131には、クリーニングブレード134が当接している。
クリーニングブレード134は、二次転写バイアスローラ131の表面に付着した付着物を除去してクリーニングする。
このような構成を有する画像形成装置100Aにおいて、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム151は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、感光体ドラム151上に、BK(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト1Aはベルト駆動ローラ114によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト1Aの回転に伴って、一次転写バイアスローラ113に印加される電圧による転写バイアスにより、BKトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の一次転写が行われ、最終的にBK、C、M、Yの順に中間転写ベルト1A上に各トナー像が重ね合わされて、トナー画像125が形成される。
例えば、BKトナー像形成は、次のように行われる。図7において、帯電チャージャ152は、コロナ放電によって感光体ドラム151の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、BKカラー画像信号に基づいてレーザ光Lによるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム151の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、BK静電潜像が形成される。このBK静電潜像に、BK現像機1531Kの現像ローラ上の負帯電されたBKトナーが接触することにより、感光体ドラム151の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBKトナー像が形成される(現像工程)。
このようにして感光体ドラム151上に形成されたBKトナー像は、感光体ドラム151と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト1Aのベルト外周面に一次転写される。この一次転写後の感光体ドラム151の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム151の再使用に備えて、感光体クリーニング装置154で清掃される。この感光体ドラム151側では、BK画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム151の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBK静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット153の回転動作が行われ、C現像機1531Cが現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続ける。C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBK現像機1531Kの場合と同様にリボルバ現像ユニット153の回転動作を行い、次のM現像機1531Mを現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれの、カラー画像データの読み取り、静電潜像の形成及び現像の動作が、上述のBK、Cの場合と同様であるため、説明は省略する。
このようにして感光体ドラム151上に順次形成されたBK、C、M及びYのトナー像は、中間転写ベルト1A上の同一面に順次位置合わせされて一次転写される(一次転写工程)。
これにより、中間転写ベルト1A上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、画像形成動作が開始される時期に、転写紙Pが転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ133のニップで待機している。
そして、二次転写対向ローラ116に張架された中間転写ベルト1Aと二次転写バイアスローラ131によりニップが形成された二次転写部に、中間転写ベルト1A上のトナー像の先端がさしかかる時に、転写紙Pの先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ133が駆動されて、転写紙ガイド板135に沿って転写紙Pが搬送され、転写紙Pとトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙Pが二次転写ユニット130を通過すると、二次転写電源132によって二次転写バイアスローラ131に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト1A上の4色重ねトナー像が転写紙P上に一括転写(二次転写)される(二次転写工程)。
この転写紙Pは、転写紙ガイド板135に沿って搬送されて、二次転写部の下流側に配置した転写紙除電チャージャ136との対向部を通過することにより除電された後、ベルト搬送装置160により定着装置170に向けて送られる。そして、この転写紙Pは、定着装置170の定着ローラ171、172のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置170は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、中間転写ベルト1Aへの転写後の感光体ドラム151の表面は、感光体クリーニング装置154でクリーニングされ、除電ランプ155で均一に除電される。また、転写紙Pにトナー像を二次転写した後の中間転写ベルト1Aのベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード111によってクリーニングされる。ベルトクリーニングブレード111は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
ベルトクリーニングブレード111の中間転写ベルト1Aの移動方向上流側には、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に対して接離するトナーシール部材121が設けられている。このトナーシール部材121は、残留トナーのクリーニング時にベルトクリーニングブレード111から落下した落下トナーを受け止めて、落下トナーが転写紙Pの搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材121は、クリーニング部材離接機構によって、ベルトクリーニングブレード111とともに、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト1Aのベルト外周面には、潤滑剤塗布ブラシ112により削り取られた潤滑剤161が塗布される。潤滑剤161は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、潤滑剤塗布ブラシ112に接触するように配設されている。また、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に残留した残留電荷は、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、潤滑剤塗布ブラシ112及びベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、中間転写ベルト1Aのベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム151への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(BK)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト1Aは、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙Pへの一括転写工程に引き続き、ベルト外周面のベルトクリーニングブレード111でクリーニングされた領域に、2枚目のBKトナー像が一次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。
これにより、画像形成装置100Aは、4色のフルカラーコピーを得るコピーモードである場合には、フルカラー画像を得ることができる。また、画像形成装置100Aが2色又は3色のコピーモードの場合には、指定された色と回数の分について上記と同様の動作を行う。さらに、画像形成装置100Aが単色のコピーモードの場合には、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット153の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード111を中間転写ベルト1Aに接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
このように、画像形成装置100Aは、中間転写ユニット110に中間転写ベルト1Aを備えているので、転写紙Pの凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有するので、耐久性が向上すると共に優れた画像形成を実現することができる。
(第2の態様)
なお、本実施形態では、画像形成装置100Aは、感光体ドラム151を一つだけ備えているが、複数の感光体ドラム151を中間転写ベルト1Aに沿って直列に並設することができる。
図8は、画像形成装置の他の構成の一例を示す要部模式図である。なお、図8では、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム151BK、151Y、151M及び151Cを備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。図8に示すように、画像形成装置100Bは、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム151BK、151Y、151M及び151Cをプリンタ本体210内に備えている。
プリンタ本体210は、電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部211、画像形成部212、給紙部213及び一次転写バイアスローラ214BK、214M、214Y及び214Cを備えている。
プリンタ本体210では、送られる画像信号を元に、図示しない画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びシアン(C)の各色信号に変換され、変換された各色信号が画像書込部211に送信される。
画像書込部211は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、前記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部212の各色毎に設けられた感光体ドラム150BK、151M、151Y及び151Cに各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部212は、黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、及びシアン(C)用のそれぞれの感光体ドラム151BK、151M、151Y、151Cを備えている。この各色用の感光体ドラム151BK、151M、151Y、151Cとしては、有機感光体(OPC:Organic Photoconductor drum)ドラムが用いられる。各感光体ドラム151BK、151M、151Y及び151Cの周囲には、帯電装置と、画像書込部211から照射されるレーザ光Lの露光部と、黒、マゼンタ、イエロー及びシアンの各色用の現像装置213BK、213M、213Y及び213Cと、一次転写部としての一次転写バイアスローラ214BK、214M、214Y及び214Cと、クリーニング装置(表示略)と、図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、現像装置213BK、213M、213Y及び213Cには、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。中間転写ベルト1Aは、それぞれの感光体ドラム151BK、151M、151Y及び151Cと、それぞれの一次転写バイアスローラ214BK、214M、214Y及び214Cとの間に介在し、それぞれの感光体ドラム151BK、151M、151Y及び151Cの上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙Pは、給紙部213から給紙された後、レジストローラ215を介して、ベルト搬送装置160に担持される。そして、中間転写ベルト1Aとベルト搬送装置160とが接触するところで、中間転写ベルト1A上に転写されたトナー像が、二次転写バイアスローラ131により二次転写(一括転写)される。これにより、転写紙Pの上にカラー画像が形成される。
カラー画像が形成された転写紙Pは、ベルト搬送装置160により定着装置170に搬送され、この定着装置170により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、二次転写時に転写されずに中間転写ベルト1A上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材220によって中間転写ベルト1Aから除去される。このベルトクリーニング部材220の下流側には、潤滑剤塗布装置230が配設されている。この潤滑剤塗布装置230は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト1Aに摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト1Aに常時接触して、中間転写ベルト1Aに固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト1Aのクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
このように、画像形成装置100Bにおいても、プリンタ本体210内に中間転写ベルト1Aを備えているので、転写紙Pの凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有するので、耐久性が向上すると共に優れた画像形成を実現することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る中間転写体について、図面を参照して説明する。図9は、本実施形態に係る中間転写ベルトの層構成を模式的に示す断面図である。図9に示すように、本実施形態に係る中間転写体1Bは、上述の図1に示す第1の実施形態に係る中間転写ベルト1Aにおいて、弾性層20及び球状粒子30の表面に、DLC層40に代えて、導電性高分子層60を備える。中間転写体1Bは、第1の実施形態に係る中間転写ベルト1AのDLC層40以外は同様であるため、導電性高分子層60の構成についてのみ説明する。
導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリアニリンスルホン酸、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、又はポリピロール等を用いることができる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
導電性高分子層60の形成方法としては、スプレー、インクジェット、ディッピング、スクリーン印刷などの塗工方法から適宜選択できる。
導電性高分子層60の厚みは、0μmを超え1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。導電性高分子層60の厚みが1.0μm以下であれば、中間転写ベルト1Aの変形に追従でき、導電性高分子層60が割れるのを低減できるので、耐久性を維持することができる。また、導電性高分子層60の厚みと体積抵抗率は比例しており、導電性高分子層60の体積抵抗率が1×10Ω・cm〜1×1010Ω・cmであれば、印刷画質を高めることができる。導電性高分子層60の厚みが0μm超え1.0μm以下であれば、導電性高分子層60の体積抵抗率を1×10Ω・cm〜1×1010Ω・cmの範囲内に容易に調整することができる。
導電性高分子層60の厚さは、第1の実施形態に係る中間転写ベルト1AのDLC層40と同様、弾性層20及び球状粒子30の上に形成した導電性高分子層60の断面を観察して測定することができる。また、弾性層20及び球状粒子30の上に導電性高分子層60を形成するのと同時に平坦な基板(例えば、シリコンウエハ等)上にも導電性高分子層60を形成し、基板上の導電性高分子層60の厚さを測定することにより、導電性高分子層60の厚さを簡易的に測定してもよい。
このように、中間転写ベルト1Bは、弾性層20の表面に一部露出した状態で配設された球状粒子30と、弾性層20及び球状粒子30の表面を被覆する導電性高分子層60とを備え、導電性高分子層60の表面に球状粒子30により凸部31を形成している。中間転写ベルト1Aは、導電性高分子層60の表面に弾性層20から露出した球状粒子30の形状に対応した凸部31を形成しているので、記録媒体の凹凸に対して追従し易く、転写性能を高めることができる。また、導電性高分子層60は、高い耐摩耗性を有しつつ低い摩擦係数を有することができる。そのため、中間転写ベルト1Bは、上述の図1に示す第1の実施形態に係る中間転写ベルト1Aと同様、記録媒体の凹凸に対する追従性に優れ、かつ高い転写性能及び優れた耐久性を有することができる。
中間転写ベルト1Bは、導電性高分子層60の厚みを1.0μm以下とすることができる。これにより、中間転写ベルト1Bは、第1の実施形態に係る中間転写ベルト1Aと同様、高い耐久性を維持することができる。
中間転写ベルト1Aは、第1の実施形態に係る中間転写ベルト1Aと同様、表面抵抗を1×10Ω/□〜1×1013Ω/□とし、体積抵抗を1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmとすることができる。これにより、中間転写ベルト1Bは、第1の実施形態に係る中間転写ベルト1Aと同様、導電性を最適とすることができるので、より転写性能を安定させることができる。
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
<中間転写ベルトの作製>
[実施例1]
(基層用塗工液の調製)
まず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(商品名:U−ワニスA、宇部興産株式会社製)に、予め、ビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(商品名:SpecialBlack4、エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有量がポリアミック酸の固形分に対して17質量%になるように調合し、よく攪拌混合して、基層用塗工液Aを調製した。
(ポリイミド基層ベルトの作製)
次に、外径500mm、長さ400mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製の円筒状支持体を型として用い、該型をロールコート塗工装置に取り付けた。次いで、前記基層用塗工液をパンに流し込み、塗布ローラの回転速度40mm/secで基層用塗工液を汲み上げ、規制ローラと塗布ローラのギャップを0.6mmとして、塗布ローラ上の基層用塗工液の厚みを制御した。その後、円筒状支持体の回転速度を35mm/secに制御して塗布ローラに近づけ、前記塗布ローラとのギャップを0.4mmとして前記塗布ローラ上の基層用塗工液を均一に円筒状支持体上に転写塗布した後、回転を維持しながら熱風循環乾燥機に投入して、110℃まで徐々に昇温して30分間加熱、更に昇温して200℃で30分間加熱し、回転を停止した。その後、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分間加熱処理(焼成)した。充分に冷却し、平均厚み60μmを有するポリイミド基層ベルトを作製した。
(弾性層の形成)
下記に示す各成分を下記に示す割合で配合し混練することで、ゴム組成物を作製した。
・アクリルゴム(日本ゼオン株式会社製、NipolAR12):100質量部
・ステアリン酸(日油株式会社製、ビーズステアリン酸つばき):1質
・赤リン(燐化学工業株式会社製、ノーバエクセル140F):10質量部
・水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製、ハイジライトH42M):40質量部
・架橋剤:ヘキサメチレンジアミンカーバメイト(デュポン ダウ エラストマー・ジャパン社製、 Diak.No1):0.6質量部
・架橋促進剤:70%1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7と二塩基酸との塩、30%アモルファスシリカ(Safic alcan社製、VULCOFAC ACT55):0.6質量部
・ニトリルゴム(アクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体)(日本ゼオン株式会社製 Nipol 1042):10質量部
・硫黄(鶴見化学工業社製 200mesh硫黄):0.1質量部
・酸化亜鉛(正同化学工業社製 亜鉛華2種):0.3質量部
・加硫促進剤(大内新興化学工業/ノクセラーCZ):0.1質量部
・導電剤:過塩素酸テトラブチルアンモニウム(日本カーリット株式会社製 QAP−01):0.3質量部
次に、このようにして得られたゴム組成物を有機溶剤(MIBK:メチルイソブチルケトン)に溶かして固形分35wt%のゴム溶液Aを作製した。この作製したゴム溶液(ゴム塗料)Aを先に作製したポリイミド基層が形成された円筒型を回転させながらポリイミド基層上に、ノズルよりゴム溶液Aを連続的に吐出しながら円筒型の軸方法に移動させ螺旋状に塗工した。塗布量としては中央部の最終的な層厚が500μmになるような液量の条件とした。その後、ゴム溶液Aが塗工された円筒型をそのまま回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で90℃まで昇温して30分加熱した。
その後、円筒型を乾燥機から取り出して冷却し、この表面に、母体粒子と突起物のどちらもポリメチルシルセスキオキサンである金平糖形状のメラミン粒子(日本触媒社製、「エポスターM30」、平均粒径3.0μm)を図6の方法を用いて、まんべんなく表面にまぶし、ポリウレタンゴムブレードの押し付け部材を、押圧力100mN/cmで押し当てて弾性層に固定化した。続いて、再び熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度4℃/分で170℃まで昇温して60分加熱処理した。
(ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層の形成)
次に、円筒型をダイヤモンドライクカーボンの処理炉(神港精機社製、PIG式DLC膜形成装置)に入れ、膜厚が0.5μmとなるよう処理温度と処理時間を調整し、中間転写ベルトの最表面にダイヤモンドライクカーボン層を形成した。
その後、円筒型から外して実施例1の中間転写ベルトを得た。
[実施例2及び3]
実施例1において、DLC層の膜厚及び体積抵抗を変更したこと以外は、実施例1と同様にして行った。
[実施例4〜6]
実施例1において、球状粒子をシリコーン球状粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、トスパール150KA、平均粒径5.0μm)に変更し、DLC層の膜厚及び体積抵抗を変更したこと以外は、実施例1と同様にして行った。
[実施例7]
実施例1において、DLC層に代えて、導電性高分子層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして行った。
(導電性高分子層の形成)
導電性高分子層は、円筒型の表面に形成した弾性層にメラミン粒子を固定化した後、円筒型を回転させながら、ポリチオフェン系塗料(ナガセケムテックス社製、デナトロンP−500NT:導電性高分子1)を膜厚が0.5μmとなるようスプレー塗工し、10分間乾燥することで、形成した。
[実施例8及び9]
実施例7において、導電性高分子層の膜厚を変更したこと以外は、実施例7と同様にして行った。
[実施例10〜12]
実施例7において、ポリアニリン系塗料(出光昭和シェル社製、エルコート:導電性高分子2)に変更し、膜厚を変更したこと以外は、実施例7と同様にして行った。
[比較例1]
実施例1において、球状粒子として、さらにアルミコート微粒子(安達新産業社製、平均粒径1.5μm)を加え、DLC層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして行った。
[比較例2]
実施例1において、球状粒子として、さらにシリコーン球状粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、トスパール150KA、平均粒径5.0μm)を加え、DLC層を形成しないこと以外は、実施例1と同様にして行った。
[比較例3及び4]
実施例1において、球状粒子として、さらにシリコーン球状粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、トスパール150KA、平均粒径5.0μm)を加え、DLC層の膜厚を変更したこと以外は、実施例1と同様にして行った。
[比較例5]
実施例7において、導電性高分子層を形成しないこと以外は、実施例7と同様にして行った。
[比較例6]
実施例7において、球状粒子としてアルミコート微粒子(安達新産業社製、平均粒径1.5μm:球状粒子2)を用い、導電性高分子層を形成しないこと以外は、実施例7と同様にして行った。
[比較例7]
実施例7において、導電性高分子層を厚く形成すること以外は、実施例7と同様にして行った。
[比較例8]
実施例10において、導電性高分子層を厚く形成すること以外は、実施例10と同様にして行った。
<特性の評価>
作製した中間転写ベルトの特性を評価した。
[硬度の測定]
中間転写ベルトのマイクロゴム硬度は、高分子計器株式会社の「マイクロゴム硬度計M D−1」を用いて測定した。
[体積抵抗の測定]
中間転写ベルトの体積抵抗は、ダイアインスツルメンツ社製の高抵抗率計ハイレスタ−IPを用いて測定した。
[転写性の評価]
中間転写ベルトを、図8に示すような画像形成装置(RICOH、MP C6502、株式会社リコー製)に搭載し、各画像形成装置を用いて、レザック紙(レザック66、連量215kg、竹尾社製)をA4サイズ縦出力、23℃55%RH環境下、ブラックハーフトーン画像の10万枚通紙を行った。続いて、レザック紙のA3サイズ紙でブラックハーフトーン画像を10枚出力し、10枚全てで縦スジ画像発生の有無を確認し、下記基準で評価した。縦スジ画像が10枚全てで未発生の場合(二重丸の場合)には、転写性及び耐久性が極めて良好と評価し、1枚〜2枚でうっすらと縦スジが見える箇所が確認された場合(○印の場合)、転写性及び耐久性が良好と評価し、6枚以上で縦スジがはっきり見えていた場合(×印の場合)、使用不可と評価した。
(評価基準)
◎:縦スジ画像が10枚全てで未発生
○:1枚〜2枚でうっすらと縦スジが見える箇所がある
△:3枚〜5枚でうっすらと縦スジが見える箇所がある
×:6枚以上で縦スジがはっきり見えていた箇所がある
[耐久性の評価]
上記の、転写性の評価で使用した中間転写ベルトをルーペで目視評価し、以下の評価基準に基づき、耐久性を評価した。
(評価基準)
◎:クラックの発生がない
○:クラックが発生したが、製品としては問題ない
×:クラックが発生し、製品として問題がある
[異常放電の有無の確認]
上記の、転写性の評価を行った際に、以下の評価基準に基づき、異常放電の有無を評価した。異常放電の有無は、温度が約10℃であり、かつ湿度が約15%であるLL環境の下で画像出力を行い、放電画像の有無で確認した。なお、放電画像とは、異常放電により転写トナーが飛び散って雷のように白く抜けることをいう。
(評価基準)
○:放電画像がない
△:放電画像があるが、目視では確認できないレベル
×:放電画像が目視で確認できる
[球状粒子の脱落の有無の確認]
上記の、転写性の評価で使用した中間転写ベルトのうちの、A4サイズ紙のエッジ部接触箇所(エッジ傷発生部)に該当する部分の表面をレーザ顕微鏡(オリンパス株式会社製、LEXT OLS4100)で観察し、球状粒子の脱落の有無を確認した。
(評価基準)
○:球状粒子の脱落がない
△:球状粒子の脱落が発生したが、製品としては問題ない
×:球状粒子の脱落が発生し、製品として問題がある
[凸部の有無の確認]
上記の、転写性及び耐久性の評価で使用した中間転写ベルトのDLC層の表面をレーザ顕微鏡(オリンパス株式会社製、LEXT OLS4100)で観察し、弾性層の表面に形成した凸部の有無を確認した。
(評価基準)
○:凸部の欠損がない
△:凸部の欠損が発生したが、製品としては問題ない
×:凸部の欠損が発生し、製品として問題がある
上記各実施例、比較例の中間転写ベルトを構成する各構成と、中間転写ベルトの、硬度、体積抵抗値、転写性、耐久性、異常放電の有無、球状粒子の脱落の有無の確認及び凸部の有無の評価結果とを表1〜表4に示す。
Figure 2021092754
Figure 2021092754
Figure 2021092754
Figure 2021092754
表1及び表2より、実施例1〜12では、縦スジ異常画像が発生しなかった。よって、実施例1〜12は、転写性が良好であるといえる。
一方、表3より、比較例1は、異常放電が起こり、転写性は不良であった。これは、球状粒子として導電性粒子を用い、ダイヤモンドライクカーボン層を形成しなかったためであると考えられる。比較例2でも、異常放電が起こった。これは、球状粒子として絶縁性粒子を用い、ダイヤモンドライクカーボン層を形成しなかったためであると考えられる。比較例3では、凹凸紙追従性が悪く、転写率が不良であった。これは、中間転写ベルトの硬度が高かったためであると考えられる。比較例4でも凹凸紙追従性が悪く、転写率が不良であった。これは、SLC層を厚く形成し、割れてしまったためであると考えられる。
また、表4より、比較例5は、ブラックハーフトーン画像の出力が悪く、転写性は不良であった。これは、導電性高分子層がないことで球状粒子の絶縁部分と、弾性層の導電部分との電位差が大きかったためと考えられる。また、比較例6では、異常放電が起こり、転写性は不良であった。これは、球状粒子として導電性粒子を用いたためであると考えられる。比較例7及び8では、レザック紙のような凹凸紙への追従性が悪く、転写率が不良であった。これは、導電性高分子層が厚いため、硬度が高いことと、導電性高分子層の体積抵抗が低すぎたためであると考えられる。
よって、本実施形態に係る中間転写ベルトは、優れた転写性及び耐久性を有することができ、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写方式の画像形成装置を提供することができる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記各実施形態は、例として提示したものであり、上記各実施形態により本発明が限定されるものではない。上記各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1A、1B 中間転写ベルト
10 基層
20 弾性層
30 球状粒子
40 ダイヤモンドライクカーボン(DLC)層
60 導電性高分子層
100A、100B 画像形成装置
特開2009−157376号公報

Claims (10)

  1. 基層の上に弾性層が積層された中間転写体であって、
    前記弾性層の前記基層とは反対側の表面に一部露出した状態で配設された球状粒子と、
    前記弾性層及び前記球状粒子の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン層又は導電性高分子層と、
    を備え、
    前記ダイヤモンドライクカーボン層又は導電性高分子層の表面に前記球状粒子により凸部が形成された中間転写体。
  2. 前記ダイヤモンドライクカーボン層又は導電性高分子層の厚みが、1.0μm以下である請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記中間転写体は、表面抵抗が1×10Ω/□〜1×1013Ω/□であり、体積抵抗が1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmである請求項1又は2に記載の中間転写体。
  4. 前記弾性層の硬度が、50度以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記弾性層の厚みが、400μm〜1000μmである請求項1〜4の何れか一項に記載の中間転写体。
  6. 前記球状粒子は、表面抵抗が1×10Ω/□〜1×1013Ω/□であり、体積抵抗が1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmである請求項1〜5の何れか一項に記載の中間転写体。
  7. 前記中間転写体が、シームレスベルトである請求項1〜6の何れか一項に記載の中間転写体。
  8. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体と、
    前記像担持体の上に形成された潜像をトナーで現像する現像部と、
    前記現像部により現像された前記トナー像が一次転写される中間転写体と、
    前記中間転写体の上に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写部と、を備え、
    前記中間転写体が、請求項1〜7の何れかの中間転写体である画像形成装置。
  9. 互いに異なる色の前記トナー像を担持する複数の前記像担持体が直列に配設されている請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 潜像が形成され、トナー像を担持可能な像担持体の上に形成された潜像をトナーで現像する現像工程と、
    前記現像工程において現像された前記トナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程と、
    前記中間転写体の上に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写工程と、を含み、
    前記中間転写体が、請求項1〜7のいずれかに記載の中間転写体である画像形成方法。
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