JP2021092264A - 鉄道車両用歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯車箱1内に、入力軸2に固定される小歯車3と車軸4に固定される大歯車5とが互いに水平方向に噛み合わせた状態で収納され、歯車箱1の軸方向両側の側壁部11に、入力軸用の軸受と車軸用の軸受7とが取付けられた鉄道車両用歯車装置であって、歯車箱1の上面に形成した開口15を覆う箱蓋8が設けられものにおいて、大歯車5で掻き揚げられた潤滑油に付与される軸方向片側への運動成分により、箱蓋8内から軸方向片側の車軸用軸受7の配置部に多量の潤滑油が流下することを抑制できるようにする。【解決手段】箱蓋8に、開口15から上方に突出する大歯車5の上部の周方向一端近傍に対向する部分と周方向他端近傍に対向する部分とに位置させて、大歯車5の歯先円5aとの間の間隔を狭める一対の突起部81,82を設ける。【選択図】図1
Description
本発明は、歯車箱を備え、歯車箱内に、駆動源により回転駆動される入力軸に固定される小歯車と車軸に固定される大歯車とが互いに水平方向に噛み合わせた状態で収納され、歯車箱の軸方向両側の側壁部に、入力軸用の軸受と車軸用の軸受とが取付けられた鉄道車両用歯車装置に関する。
従来、この種の鉄道車両用歯車装置として、歯車箱に、大歯車を上方から挿入可能な上面の開口を形成し、この開口を覆う箱蓋を歯車箱の上面に取付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、箱蓋は、箱蓋は、歯車箱の上面の開口から上方に突出する大歯車の上部を受け入れるように、上方に凹入した形状に形成されている。また、鉄道車両用歯車装置では、歯車箱内の下部に溜められた潤滑油を大歯車で掻き揚げて、小歯車と大歯車との噛合い箇所を含む各潤滑箇所に潤滑油が供給されるようにしている。
ところで、はすば歯車で構成される大歯車の歯すじのねじれに起因して、大歯車で掻き揚げられた潤滑油に軸方向一方への運動成分が付与される。そのため、箱蓋内で潤滑油が軸方向一方に偏流し、多量の潤滑油が歯車箱の軸方向一方の側壁部を伝って軸方向一方の車軸用軸受の配置部に流下する。また、大歯車の回転速度が所定速度以上になると、理由は定かではないが、大歯車で掻き揚げられた潤滑油が箱蓋内で軸方向他方に偏流し、多量の潤滑油が歯車箱の軸方向他方の側壁部を伝って軸方向他方の車軸用軸受の配置部に流下する。
ここで、車軸用軸受の軸方向外側には、軸受に供給された潤滑油が外部に洩れ出ないようにラビリンスシールが設けられているが、軸受の配置部に上記の如く多量の潤滑油が流下すると、ラビリンスシールだけでは潤滑油の洩れを防止できなくなる。そこで、従来は、車軸用軸受の軸方向外側にラビリンスシールに加えてゴム製のオイルシールを設けている。然し、オイルシールは、消耗品であって、その交換が必要になり、メンテナンスが面倒になる。
本発明は、以上の点に鑑み、車軸用軸受の配置部への多量の潤滑油の流下を抑制して、軸用軸受に供給された潤滑油の外部への洩れをオイルシールを設けずに、或いは、オイルシールの交換頻度を低くしても防止できるようにした鉄道車両用歯車装置を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、歯車箱を備え、歯車箱内に、駆動源により回転駆動される入力軸に固定される小歯車と車軸に固定される大歯車とが互いに水平方向に噛み合わせた状態で収納され、歯車箱の軸方向両側の側壁部に、入力軸用の軸受と車軸用の軸受とが取付けられた鉄道車両用歯車装置であって、歯車箱は、大歯車を上方から挿入可能な上面の開口を有し、この開口を覆う箱蓋が歯車箱の上面に取付けられ、箱蓋は、歯車箱の上面の開口から上方に突出する大歯車の上部を受け入れるように、上方に凹入した形状に形成されるものにおいて、箱蓋に、大歯車の前記上部の周方向一端近傍に対向する部分と周方向他端近傍に対向する部分とに位置させて、大歯車の歯先円との間の間隔を箱蓋の他の部分と大歯車の歯先円との間の間隔よりも狭める一対の突起部が設けられることを特徴とする。
本発明によれば、大歯車がその上部の周方向一端側から周方向他端側に向かう方向に回転する場合には、大歯車の上部の周方向一端近傍に対向する箱蓋の部分に設けた突起部が、掻き揚げられた潤滑油の箱蓋内への流入を抑制する障害物として機能し、大歯車がその上部の周方向他端側から周方向一端側に向かう方向に回転する場合には、大歯車の上部の周方向他端近傍に対向する箱蓋の部分に設けた突起部が、掻き揚げられた潤滑油の箱蓋内への流入を抑制する障害物として機能する。そのため、大歯車が何れの方向に回転しても、掻き揚げられた潤滑油は箱蓋内にさほど流入せず、車軸用軸受の配置部に多量の潤滑油が流下することを抑制できる。従って、車軸用軸受に供給された潤滑油の外部への洩れをオイルシールを設けずに、或いは、オイルシールの交換頻度を低くしても防止でき、メンテナンス性を向上できる。
図1を参照して、本発明の実施形態の鉄道車両用歯車装置は、歯車箱1を備えている。歯車箱1内には、図示省略した駆動源により回転駆動される入力軸2(図3参照)に固定されるはすば歯車から成る小歯車3と車軸4に固定されるはすば歯車から成る大歯車5とが互いに水平方向に噛み合わせた状態で収納されている。図2、図3を参照して、歯車箱1の軸方向両側の側壁部11,11には、入力軸2を軸支する一対の入力軸用軸受6,6と車軸4を軸支する一対の車軸用軸受7,7とが取付けられている。具体的には、各側壁部11に、入力軸2と同心で小歯車3より大径の開口111と、車軸4と同心で大歯車5より小径の開口112とを形成している。そして、入力軸用軸受6を内蔵する軸受箱61を各側壁部11に開口111を閉塞するようにして取付け、また、車軸用軸受7を内蔵する軸受箱71を各側壁部11に開口112を閉塞するようにして取付けている。小歯車3は、入力軸2に一体に形成され、軸方向一方の側壁部11の開口111を通して歯車箱1内に挿入される。尚、入力軸2に、これとは別体の小歯車3を外嵌固定することも可能である。
歯車箱1内の下部には、大歯車5の下部が浸漬される第1油溜り部121と、小歯車3の下方に位置する第2油溜り部122と、第1油溜り部121と第2油溜り部122とを仕切る仕切壁13とが設けられている。仕切壁13には、第1油溜り部121と第2油溜り部122とを連通する連通孔131が形成されている。第1油溜り部121に貯留された潤滑油は、大歯車5の回転で掻き揚げられ、小歯車3と大歯車5との噛合い箇所や入力軸用と車軸用の軸受6,7といった各潤滑箇所に掻き揚げられた潤滑油が供給される。尚、第1油溜り部121の底面となる歯車箱1の部分には開口が形成されており、この開口に栓体14が装着されている。栓体14には、ドレンボルト141が装着されており、ドレンボルト141を抜くことで、歯車箱1内の潤滑油を外部に排出することができるようにしている。
また、歯車箱1は、大歯車5を上方から挿入可能な上面の開口15を有している。そして、この開口15を覆う箱蓋8が歯車箱1の上面に取付けられている。箱蓋8は、歯車箱1の上面の開口15から上方に突出する大歯車5の上部を受け入れるように、上方に凹入した形状に形成されている。
ところで、背景技術の欄で先に説明したように、大歯車5で掻き揚げられた潤滑油は、これに付与される軸方向片側への運動成分により、箱蓋8内で軸方向片側に偏流し、多量の潤滑油が歯車箱1の軸方向片側の側壁部11を伝って軸方向片側の車軸用軸受7の配置部に流下する恐れがある。ここで、車軸用軸受7を内蔵する軸受箱71の軸方向外端にはカバー72が取付けられている。そして、軸受箱71内とカバー72内とに、複数のラビリンスシール部73を設けて、車軸用軸受7に供給された潤滑油が外部に洩れ出ることを防止している。然し、多量の潤滑油が車軸用軸受7の配置部に流下すると、車軸用軸受7への潤滑油の供給量が過多となって、ラビリンスシール部73だけでは潤滑油の外部への洩れを防止できなくなり、ゴム製のオイルシールを設けることが必要になる。
そこで、本実施形態では、箱蓋8に、歯車箱1の上面の開口15から上方に突出する大歯車5の上部の周方向一端(図1で右端)近傍に対向する部分と周方向他端(図1で左端)近傍に対向する部分とに位置させて、大歯車5の歯先円5aとの間の間隔Lを箱蓋8の他の部分と大歯車5の歯先円5aとの間の間隔よりも狭い、例えば5mm程度とする一対の突起部81,82を設けている。
これによれば、大歯車5がその上部の周方向一端側から周方向他端側に向かう方向(図1で反時計回り方向)に回転する場合には、大歯車5の上部の周方向一端近傍に対向する箱蓋8の部分に設けた突起部81が、掻き揚げられた潤滑油の箱蓋8内への流入を抑制する障害物として機能し、大歯車5がその上部の周方向他端側から周方向一端側に向かう方向(図1で時計回り方向)に回転する場合には、大歯車5の上部の周方向他端近傍に対向する箱蓋8の部分に設けた突起部82が、掻き揚げられた潤滑油の箱蓋8内への流入を抑制する障害物として機能する。そのため、大歯車5が何れの方向に回転しても、掻き揚げられた潤滑油は箱蓋8内にさほど流入しない。従って、箱蓋8での軸方向片側への潤滑油の偏流により、軸方向片側の車軸用軸受7の配置部に多量の潤滑油が流下することを抑制できる。そのため、車軸用軸受7に供給された潤滑油の外部への洩れをオイルシールを設けずに防止できる。その結果、オイルシールの交換が不要となり、メンテナンス性を向上できる。また、車軸用軸受7の外側にオイルシールを設ける場合でも、オイルシールが相当劣化しても潤滑油の外部への洩れを生じないため、オイルシールの交換頻度を低くすることができ、メンテナンス性が向上する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
1…歯車箱、11…側壁部、15…上面の開口、151…開口周縁部、2…入力軸、3…小歯車、4…車軸、5…大歯車、5a…歯先円、6…入力軸用軸受、7…車軸用軸受、8…箱蓋、81,82…突起部、L…突起部と大歯車の歯先円との間の間隔。
Claims (1)
- 歯車箱を備え、歯車箱内に、駆動源により回転駆動される入力軸に固定される小歯車と車軸に固定される大歯車とが互いに水平方向に噛み合わせた状態で収納され、歯車箱の軸方向両側の側壁部に、入力軸用の軸受と車軸用の軸受とが取付けられた鉄道車両用歯車装置であって、歯車箱は、大歯車を上方から挿入可能な上面の開口を有し、この開口を覆う箱蓋が歯車箱の上面に取付けられ、箱蓋は、歯車箱の上面の開口から上方に突出する大歯車の上部を受け入れるように、上方に凹入した形状に形成されるものにおいて、
箱蓋に、大歯車の前記上部の周方向一端近傍に対向する部分と周方向他端近傍に対向する部分とに位置させて、大歯車の歯先円との間の間隔を箱蓋の他の部分と大歯車の歯先円との間の間隔よりも狭める一対の突起部が設けられることを特徴とする鉄道車両用歯車装置。
Priority Applications (2)
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JP2019222856A JP2021092264A (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | 鉄道車両用歯車装置 |
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2019222856A JP2021092264A (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | 鉄道車両用歯車装置 |
Publications (1)
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ID=76312069
Family Applications (1)
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JP2019222856A Pending JP2021092264A (ja) | 2019-12-10 | 2019-12-10 | 鉄道車両用歯車装置 |
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2019
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2020
- 2020-09-22 CN CN202011001114.XA patent/CN113048225A/zh active Pending
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CN113048225A (zh) | 2021-06-29 |
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