JP2021091658A - 肌貼付用フィルム、及び、転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】肌への追従性を高めることで密着性の向上を可能とした肌貼付用フィルム、及び、転写シートを提供する。【解決手段】肌貼付用フィルム10は、0.1g/m2以上4.0g/m2以下の平均質量を有し、高分子材料を含む。肌貼付用フィルム10の軟らかさは、1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下である。肌貼付用フィルム10は、可塑剤を含み、肌貼付用フィルム10における可塑剤の含有量は、肌貼付用フィルム10の主成分である高分子材料に対して0.01質量%以上30.0質量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、肌貼付用フィルム、及び、肌貼付用フィルムを肌に貼り付けるための転写シートに関する。
数nm〜数μm程度の厚さを有したフィルムは、生体器官の表面に対する密着性を有するため、このフィルムを臓器や皮膚等に貼り付けて利用することが試みられている。例えば、非特許文献1では、フィルムを創傷の被覆材として利用可能であることが報告されている。また、フィルムを、スキンケアやメイクアップの補助のために肌に貼り付けることも提案されている。さらに、特許文献1では、フィルムを肌に貼り付けた後に、フィルムの上から化粧料を塗布する美容方法も提案されている。
国際公開第2014/058066号
T.Fujie et al.,Adv.Funct.Mater.,2009年,19巻,2560−2568頁
上記フィルムは薄いため、肌の表面の凹凸であるキメにフィルムが追従する。そのため、接着剤なしで肌にフィルムを貼付することができる。そのフィルム上に化粧料を塗布してもフィルムの形状が目立たず、自然な外観となる。しかし、化粧料を塗布する際に指や化粧パフなどでフィルムを擦ると、フィルムが肌から浮いたり剥がれたりする現象が生じることがある。
本発明の目的は、肌への追従性を高めることで密着性の向上を可能とした肌貼付用フィルム、及び、転写シートの提供である。
上記課題を解決するための肌貼付用フィルムは、0.1g/m以上4.0g/m以下の平均質量を有し、高分子材料を含む肌貼付用フィルムであって、前記肌貼付用フィルムの軟らかさは、1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下である。
上記課題を解決するための転写シートは、肌貼付用フィルムと、前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、を備える。
本発明によれば、肌のキメへの追従性を高めることができ、密着性を向上させることができる。
一実施形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。 一実施形態の転写シートの断面構造を示す図。
図面を参照して、肌貼付用フィルム及び転写シートの一実施形態を説明する。なお、図面は模式的であり、図面における厚さと平面寸法との関係や各層の厚さの比率等は、現実の物品とは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成の例示であって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を以下の実施形態に限定しない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、以下の実施形態に種々の変更を加えた形態を含む。
(肌貼付用フィルムの構成)
図1は、肌貼付用フィルムの断面構造を示す。図1が示すように、肌貼付用フィルム10は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有している。肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられたとき、第1面11Fおよび第2面11Rのいずれかが、肌に接する。
肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m以上4.0g/m以下である。このときの肌貼付用フィルム10の密度は、例えば1g/cm以上3g/cm以下である。平均質量は、例えば、肌貼付用フィルム10における任意の三箇所の各々を、平面視にて一辺が100mmの正方形形状の膜片に切り出し、三つの膜片における精密天秤で測定した質量の平均値を100倍することにより求められる。
平均質量が0.1g/m以上であることにより、肌貼付用フィルム10の強度が高められるため、肌への貼り付けに際して肌貼付用フィルム10が破れることが抑えられる。また、平均質量が4.0g/m以下であることにより、肌貼付用フィルム10が十分に薄くなるため、肌貼付用フィルム10の肌に対する密着性が高められる。そして、肌貼付用フィルム10を肌に貼り付けたときに、肌貼付用フィルム10に皺が発生することや使用者が違和感を覚えることが抑えられる。なお、平均質量は、肌貼付用フィルム10が、添加剤として、例えばオイル等の可塑剤として機能する成分や、各種の樹脂成分や、粒子等を含有している場合に大きくなる。肌貼付用フィルム10が添加剤を含有しない場合には、肌貼付用フィルム10の単位面積あたりの平均質量は、0.1g/m以上2.0g/m以下であることが好ましい。
肌貼付用フィルム10の軟らかさは、1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下である。肌貼付用フィルム10の軟らかさとは、すなわち、圧縮荷重に対する肌貼付用フィルム10の変形量であり、曲げ弾性率であるヤング率の逆数に近しい指標である。肌貼付用フィルム10の軟らかさは、肌貼付用フィルム10における肌のキメに追従した曲がりやすさを示す。
肌貼付用フィルム10の軟らかさが1.5μm/mN以上であれば、肌のキメに対する肌貼付用フィルム10の追従性が良好に得られるため、肌に対する肌貼付用フィルム10の密着性が高められる。肌貼付用フィルム10の軟らかさが40.0μm/mN以下であれば、肌貼付用フィルム10の膜強度を良好な範囲に保ちやすい。
肌貼付用フィルム10の軟らかさは、例えば、肌貼付用フィルム10を薄くすること、肌貼付用フィルム10の主剤を変えること、および、肌貼付用フィルム10の材料に可塑剤を混合することの少なくとも1つによって、高めることができる。このうち、肌貼付用フィルム10を薄くすると、肌貼付用フィルム10の軟らかさが高められる一方で、膜強度が低くなる。これに対し、可塑剤の混合であれば、肌貼付用フィルム10を薄くすることと比較して、膜強度の低下を抑えつつ、肌貼付用フィルム10の軟らかさを高めることができる。なお、肌貼付用フィルム10の主剤は、肌貼付用フィルム10の主成分であって、すなわち、肌貼付用フィルム10における最も含有量の多い材料である。
肌貼付用フィルム10の膜強度は、25mN以上800mN以下であることが好ましく、40mN以上400mN以下であることがより好ましい。膜強度が上記下限値以上であれば、肌貼付用フィルム10の表面を指や化粧パフで擦ったときに肌貼付用フィルム10が細かく崩れることが抑えられる。また、肌貼付用フィルム10が膜形状を保ちやすくなるため、肌貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。膜強度が上記上限値以下であれば、肌貼付用フィルム10の軟らかさを上記範囲内に調整しやすくなるため、肌貼付用フィルム10と肌との間の密着性を高めやすい。
上述のように、肌貼付用フィルム10の軟らかさが上記範囲内であることにより肌に対する肌貼付用フィルム10の密着性が高められていると、肌貼付用フィルム10の上に化粧料を塗布するために指や化粧パフで肌貼付用フィルム10の表面を擦っても、肌貼付用フィルム10が肌から浮いたり剥がれたりすることが抑えられる。
さらに、日常生活においては、肌貼付用フィルム10の表面が指などによって繰り返し擦られることがある。そのため、肌貼付用フィルム10は、繰り返しの摩擦に対する耐性である耐擦過性を有していることが好ましい。肌貼付用フィルム10の膜強度が大きすぎると、摩擦を繰り返し受けたときに、肌貼付用フィルム10が膜形状を保ったまま捲れやすい。一方で、肌貼付用フィルム10の膜強度が小さすぎると、摩擦を繰り返し受けたときに、肌貼付用フィルム10が破壊されて細かな小片状に崩れやすい。
肌貼付用フィルム10の膜強度が、90mN以上200mN以下であれば、膜強度の大きさが好適となるため、肌貼付用フィルム10の耐擦過性が高められる。
(肌貼付用フィルムの材料)
(主剤)
肌貼付用フィルム10の主剤の一例は、生体適合性を有する樹脂である。生体適合性を有する材料とは、当該材料を生体に対して使用した際に副作用などの有害な影響が生じにくい材料である。肌貼付用フィルム10の主剤の具体例は、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、アクリル樹脂、ポリカーボネート等の高分子材料、これらの高分子材料の共重合体、アクリルウレタン共重合体等である。肌貼付用フィルム10が含む高分子材料における分子量の制限は特になく、肌貼付用フィルム10は、所定の平均分子量を有する一種類の高分子材料を含んでいてもよいし、互いに異なる平均分子量を有する複数種類の高分子材料を含んでいてもよい。
(可塑剤)
可塑剤の一例は、油溶性樹脂である。生体適合性を有する材料であれば、特に制限されず可塑剤として利用することができる。可塑剤として使用可能な生体適合性を有する材料は、しばしば化粧料等に使用される。可塑剤の具体例は、水添ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ゲイロウ、モクロウ等のロウ類;マカデミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油、アボガド油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、パーム油、ヤシ油、硬化ヤシ油、硬化油、硬化ヒマシ油、卵黄油、ナタネ油、コムギ胚芽油、落花生油、コメヌカ油等の油脂;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュックス、流動パラフィン、イソドデカン、水添ポリイソブテン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体;トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル;シリコーン樹脂、炭化水素樹脂、酢酸ビニル樹脂、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物等の油溶性被膜形成剤等である。
これらのなかでも、可塑剤として、液状脂肪酸あるいはそのエステルが用いられることが好ましい。可塑剤は、1種類の化合物のみから構成されてもよいし、2種類以上の化合物を含んでいてもよい。可塑剤が油溶性樹脂を含む場合、当該油溶性樹脂の平均分子量は、肌貼付用フィルム10の主剤の高分子材料の平均分子量よりも小さい。
可塑剤が添加されていると、主剤の高分子鎖の隙間に可塑剤が入り込むことによって、高分子鎖の絡み合いが緩まる。これにより、肌貼付用フィルム10の軟らかさが高められる。さらに、緩んだ高分子鎖の隙間に可塑剤が挟まっていることによって、高分子鎖単独で絡み合いが緩んでいる状態と比較して、肌貼付用フィルム10の膜強度の低下が抑えられる。なお、主剤の高分子鎖の隙間に入り込んで高分子鎖の相互作用を弱めることが可能であれば、可塑剤は、油溶性樹脂に限らず、油溶性低分子であってもよい。
可塑剤は、極性基を有していることが好ましい。極性基は、主剤の高分子材料と水素結合等の分子間結合を形成する官能基である。極性基は、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基などである。主剤と可塑剤との間に分子間結合が形成されることにより、高分子鎖の隙間から可塑剤が離脱し難くなるため、肌貼付用フィルム10の軟らかさが的確に高められる。さらに、可塑剤が複数の極性基を有している場合、可塑剤が複数の高分子鎖と分子間結合を形成することで高分子鎖を繋ぐように機能するため、肌貼付用フィルム10の膜強度の低下がより好適に抑えられる。可塑剤が有する極性基の数が多いほど、膜強度の低下を抑える効果が高く得られる。
このように、可塑剤を添加することで、膜強度の低下を抑えつつ肌貼付用フィルム10の軟らかさを高めることが可能である。ただし、可塑剤の添加によって軟らかさを高める場合、肌貼付用フィルム10を薄くすることと比較して、軟らかさの向上に対する膜強度の低下を抑えることができるものの、膜強度の低下が全く生じないとは言えず、可塑剤の添加量が多すぎると、膜強度が低くなってしまう。こうした観点から、肌貼付用フィルム10における可塑剤の含有量は、肌貼付用フィルム10の主剤である高分子材料に対して0.01質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上15.0重量%以下であることがより好ましい。可塑剤の含有量が上記下限値以上であれば、肌貼付用フィルム10の軟らかさを高める効果が得られやすい。可塑剤の含有量が上記上限値以下であれば、肌貼付用フィルム10の膜強度が過剰に低くなることを抑えやすい。
可塑剤の含有量が上記範囲内であれば、例えば、0.1g/m以上2.0g/m以下の平均質量を有する肌貼付用フィルム10において、膜強度を好適に保ちつつ、軟らかさを3.0μm/mN以上40.0μm/mN以下に制御することができる。
なお、肌貼付用フィルム10は、上記可塑剤以外に、所定の機能を発揮する物質である機能性物質を含有していてもよい。機能性物質は、例えば、保湿クリームや美容液等のスキンケアに用いられる化粧料あるいは化粧料成分、色素、薬剤、タンパク質、及び、酵素等である。肌貼付用フィルム10は、機能性物質を1種類のみ含有していてもよいし、2種類以上の機能性物質を含有していてもよい。
また、肌貼付用フィルム10は単層の膜であってもよいし、複数の膜の積層体であってもよい。肌貼付用フィルム10が複数の膜を備える場合、各膜に可塑剤が含有されていてもよいし、複数の膜に、可塑剤を含む膜と可塑剤を含まない膜とが含まれてもよい。
(転写シートの構成)
図2を参照して、肌貼付用フィルム10を肌に貼り付けるための転写シート20について説明する。図2は、転写シート20の断面構造を示す。図2が示すように、転写シート20は、肌貼付用フィルム10と、肌貼付用フィルム10を支持する支持基材21と、を備える。
支持基材21は、肌貼付用フィルム10の第1面11Fに接しても良いし、第2面11Rに接しても良い。第1面11Fおよび第2面11Rのうち、支持基材21に接していない方の面が、肌に貼り付けられる。支持基材21は、転写シート20の保管時や、転写シート20の使用に際して肌貼付用フィルム10を肌上へ移動させるときに、肌貼付用フィルム10の変形を抑える機能を有する。支持基材21に支持されていることにより、肌貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
支持基材21は、多孔質基材であることが好ましい。多孔質基材は、内部に微小な多数の間隙を有する基材であり、液体を浸透あるいは透過させることができる。支持基材21として用いることのできる多孔質基材は、例えば、不織布、紙、編物、織物等の繊維材料からなるシート、メッシュ状のように間隙を含む構造を有する樹脂シートである。これらの基材のなかでも、水分を速やかに吸収して拡散できることから、不織布が好適に用いられる。不織布を構成する繊維は、例えば、綿、麻、羊毛、パルプ等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の合成繊維等である。上記の繊維のなかでも、天然繊維、特にパルプが好適に用いられる。不織布は、一種類の繊維から構成されていてもよいし、二種類以上の繊維から構成されていてもよい。
支持基材21として用いる不織布の製造方法は特に限定されない。不織布は、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、エアレイ法、フラッシュ紡糸法、及び、樹脂接着法のうち、何れかによって製造されればよい。支持基材21として用いる不織布の目付けは、10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、肌触り等の使用感に優れることから、20g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。なお、支持基材21は、多孔質基材に限らず、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等であってもよい。
(肌貼付用フィルム及び転写シートの製造方法)
肌貼付用フィルム10及び転写シート20の製造方法の一例を説明する。なお、上述した構成の肌貼付用フィルム10及び転写シート20を形成可能であれば、肌貼付用フィルム10及び転写シート20は、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
まず、成膜用基材の表面に、肌貼付用フィルム10を形成する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂、金属酸化物、金属等から構成された基材が用いられる。成膜用基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる基材、こうした樹脂基材に対して延伸加工や離型処理やマット加工が施された基材である。あるいは、成膜用基材として、ガラス、石英、アルミニウム等の無機物からなる基材や、こうした無機物からなる基材に対して離型処理やマット加工を施した基材が用いられてもよい。
肌貼付用フィルム10の材料が溶媒に溶かされた塗液が、成膜用基材の表面に塗布されることにより塗膜が形成され、塗膜が乾燥されることによって、肌貼付用フィルム10が形成される。例えば、主剤を溶解させた溶液に可塑剤を加えることにより、所望の濃度の主剤と可塑剤とを含む塗液が調整される。
上記溶媒としては、肌貼付用フィルム10の材料の特性に応じて、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン系溶剤、トルエンやヘキサン等の非極性溶剤等が用いられる。溶媒は主剤及び可塑剤に対して相溶性を有することが好ましい。溶媒は単一溶媒でも他種の有機溶剤の混合溶液でもよく特に限定されない。
塗液の塗布方法は、塗液の塗布量を精密に制御可能な方法であれば特に限定されない。塗布方法としては、例えば、グラビア法、マイクログラビア法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、シルクスクリーン法、ダイコーティング法、及び、カーテンコーティング法のいずれかが利用されることが好ましい。
成膜用基材を支持基材21として用いてもよいし、支持基材21とは異なる基材を成膜用基材として用い、成膜用基材上に形成した肌貼付用フィルム10を支持基材21上へ転写してもよい。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。
(肌貼付用フィルムの貼付方法)
肌貼付用フィルム10の貼付方法、すなわち、転写シート20を用いた肌貼付用フィルム10の転写方法を説明する。以下では、支持基材21として多孔質基材を用い、支持基材21を湿潤させて肌貼付用フィルム10を肌に転写する方法について説明する。
まず、肌における肌貼付用フィルム10を貼付する箇所に、水等の液体を供給する。供給される液体である供給液は、転写シート20を湿潤可能な液体であればよく、具体的には、水を含む液体、あるいは、マッサージオイル等の油類であればよい。例えば、供給液としては、水や、化粧水等の化粧料を用いることができる。
続いて、供給液が供給された箇所に肌貼付用フィルム10が接するように、転写シート20を肌上に配置する。そして、支持基材21の上から、転写シート20を指等で押圧することにより、供給液を支持基材21にまで浸透させる。
続いて、肌貼付用フィルム10から支持基材21を剥離する。これにより、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられる。転写シート20が湿潤することによって、多孔質基材である支持基材21が膨張することや、支持基材21と肌貼付用フィルム10との間まで供給液が浸入すること等に起因して、支持基材21が肌貼付用フィルム10から剥がれやすくなると考えられる。
なお、上記転写方法においては、肌上に転写シート20を配置する前に、肌に供給液を供給する方法を例示したが、肌上に転写シート20を配置した後に、供給液が転写シート20に対して供給されてもよい。また、転写シート20を湿潤させずに、支持基材21を肌貼付用フィルム10から剥離してもよい。この場合、支持基材21は多孔質基材でなくてもよい。
また、肌貼付用フィルム10は、化粧料が塗布された肌に対して化粧料の上から貼り付けられてもよいし、化粧料が塗布されていない肌に貼り付けられてもよい。さらに、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられた後に、肌貼付用フィルム10の上から化粧料が塗布されてもよい。肌貼付用フィルム10は、肌の保湿等によりスキンケアを補助し、あるいは、化粧下地等としてメイクアップを補助する。
[実施例]
上述した肌貼付用フィルム及び転写シートについて、具体的な実施例及び比較例を用いて説明する。
(実施例1)
DL−ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製、重量平均分子量10万)を、溶液中のポリ乳酸の濃度が5質量%となるように酢酸エチルに溶解することにより、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、シリコーンコーティングにより離型性が付与された表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、成膜用基材にワイヤーバーで上記塗液を塗布して成膜用基材の表面に塗膜を形成した。塗膜をオーブンで加熱して乾燥・固化させることにより、肌貼付用フィルムを形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。以上の工程では、肌貼付用フィルムを、乾燥後の平均質量が2.00g/mとなるように形成した。
続いて、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を用い、支持基材を肌貼付用フィルムに積層した後に成膜用基材を剥離して、肌貼付用フィルムを成膜用基材から支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。これにより、転写シートを得た。
後述の方法により、肌貼付用フィルムの軟らかさ及び膜強度を測定した。実施例1の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは1.9μm/mNであり、膜強度は482.0mNであった。
(実施例2)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例2の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、油溶性樹脂であるトリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルは、極性基であるヒドロキシ基を複数有している。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例2の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは3.6μm/mNであり、膜強度は400.0mNであった。
(実施例3)
乾燥後の平均質量が0.75g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例3の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。
実施例3の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは3.3μm/mNであり、膜強度は180.0mNであった。
(実施例4)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例3と同様の工程によって、実施例4の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して0.01質量%である。
実施例4の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは3.4μm/mNであり、膜強度は181.0mNであった。
(実施例5)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例3と同様の工程によって、実施例5の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例5の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは4.3μm/mNであり、膜強度は175.0mNであった。
(実施例6)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例3と同様の工程によって、実施例6の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、低極性の油溶性樹脂であるイソノナン酸イソノニルを用いた。イソノナン酸イソノニルは極性基を有していない。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例6の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは3.4μm/mNであり、膜強度は180.3mNであった。
(実施例7)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例3と同様の工程によって、実施例7の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、油溶性樹脂であるイソステアリン酸デキストリンを用いた。イソステアリン酸デキストリンは、極性基であるヒドロキシ基を複数有している。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例7の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは6.2μm/mNであり、膜強度は190.0mNであった。
(実施例8)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例3と同様の工程によって、実施例8の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して30質量%である。
実施例8の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは11.3μm/mNであり、膜強度は95.0mNであった。
(実施例9)
乾燥後の平均質量が0.10g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例9の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。
実施例9の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは25.0μm/mNであり、膜強度は25.0mNであった。
(実施例10)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、実施例9と同様の工程によって、実施例10の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例10の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは31.0μm/mNであり、膜強度は22.0mNであった。
(実施例11)
塗液に可塑剤を加えたこと、および、乾燥後の平均質量が4.00g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、実施例11の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
実施例11の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは2.2μm/mNであり、膜強度は800.0mNであった。
(比較例1)
乾燥後の平均質量が4.00g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、比較例1の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。
比較例1の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは1.1μm/mNであり、膜強度は800.0mNであった。
(比較例2)
乾燥後の平均質量が0.05g/mとなるように肌貼付用フィルムを形成したこと以外は、実施例1と同様の工程によって、比較例2の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。
比較例2の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは42.0μm/mNであり、膜強度は12.5mNであった。
(比較例3)
塗液に可塑剤を加えたこと以外は、比較例2と同様の工程によって、比較例3の肌貼付用フィルム及び転写シートを得た。可塑剤としては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルを用いた。可塑剤の添加量は、DL−ポリ乳酸に対して10質量%である。
比較例3の肌貼付用フィルムについて、軟らかさは50.6μm/mNであり、膜強度は15.0mNであった。
(軟らかさ及び膜強度の測定方法)
厚紙からなる台紙の表裏の同じ位置に、両面テープ(ニチバン社製:ナイスタック(登録商標)スポンジ両面テープ スポンジタイプ、NW−P15)を貼り、この両面テープが貼られた厚紙を、約20mmの長さの帯状に成形した。穴あけパンチを使用し、厚紙における両面テープが貼られている部分の中央に6mmの直径の穴を開けた。台紙の片面における両面テープの剥離フィルムを剥がして、この面に肌貼付用フィルムを貼った。以上の手順により、試験片を作製した。
卓上圧縮・引張試験機(島津製作所社製:EZ−Test)に、円柱状のサンプル支持台を取り付け、試験片における肌貼付用フィルムと反対側の両面テープの剥離フィルムを剥がし、試験片をサンプル支持台に貼り付けた。3mmの直径を有する円柱圧子を、10mm/minの圧縮速度で上記台紙の穴部分に位置する肌貼付用フィルムに差し込み、肌貼付用フィルムに円柱圧子を貫通させ、肌貼付用フィルムにかかる荷重を測定した。
上記測定結果から、荷重−歪み曲線におけるストローク開始初期の傾き、すなわち、ストローク0.0mmから0.5mmまでの荷重変化量を、肌貼付用フィルムの軟らかさとした。また、円柱圧子が肌貼付用フィルムを貫通したときの荷重を膜強度とした。
(評価方法)
各実施例及び各比較例の肌貼付用フィルムに対し、密着性及び耐擦過性の評価を行った。
<密着性試験>
人工皮革(イデアテックスジャパン社製:サプラーレ)の表面を水で湿らせて、肌貼付用フィルムが人工皮革と接するように転写シートを配置した後、静かに支持基材を取り除くことにより、人工皮革に肌貼付用フィルムを貼り付けた。
肌貼付用フィルムを乾燥させた後、人工皮革上の肌貼付用フィルムの端部を、166gの一定荷重をかけながら、化粧パフで一定方向に1回擦った。
[密着性評価:剥離面積]
上記密着性試験の前後に肌貼付用フィルムの画像を撮影し、人工皮革上に貼付されているフィルムの面積を、画像処理によって算出した。算出結果に基づき、密着性試験の前後でのフィルムの貼付面積の差の、密着性試験前のフィルムの貼付面積に対する割合を求めた。当該割合が、剥離面積比率であり、すなわち、密着性試験によって肌貼付用フィルムがどの程度の割合で剥がれたかを示す。剥離面積比率が大きいほど、肌貼付用フィルムの剥がれた面積が大きいことを意味する。
剥離面積による評価では、剥離面積比率が0%以上1.5%未満の場合を、剥がれが起きにくいとして「〇」とし、剥離面積比率が1.5%以上15%未満の場合を、剥がれがわずかに起きたとして「△」とし、剥離面積比率が15%以上の場合を、剥がれが顕著に起きたとして「×」とした。
[密着性評価:表面観察]
上記密着性試験の後の肌貼付用フィルムの表面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−7000)を用いて観察した。上述の画像処理においてフィルムが貼付されていると識別された領域であっても、肌貼付用フィルムが細かな小片状に破壊されている場合がある。デジタルマイクロスコープを用いた表面観察では、こうした肌貼付用フィルムの破壊が生じているか否かを確認し、破壊が確認されない場合を「〇」とし、破壊が確認された場合を「×」とした。
[密着性評価:総合評価]
密着性の総合評価では、剥離面積による評価と表面観察による評価との双方が「〇」である場合を、「〇」とした。また、剥離面積による評価が「△」であり、表面観察による評価が「〇」である場合を、「△」とした。また、剥離面積による評価と表面観察による評価との少なくとも一方が「×」である場合を、「×」とした。密着性の総合評価が「〇」または「△」であれば、実用に耐え得る密着性が得られていると言える。
<耐擦過性試験>
人工皮革(イデアテックスジャパン社製:サプラーレ)の表面を水で湿らせて、肌貼付用フィルムが人工皮革と接するように転写シートを配置した後、静かに支持基材を取り除くことにより、人工皮革に肌貼付用フィルムを貼り付けた。
肌貼付用フィルムを乾燥させた後、人工皮革上の肌貼付用フィルムの端部を、166gの一定荷重をかけながら、化粧パフで一定方向に5回擦った。
[耐擦過性評価:剥離面積]
上記耐擦過性試験の前後に肌貼付用フィルムの画像を撮影し、人工皮革上に貼付されているフィルムの面積を、画像処理によって算出した。算出結果に基づき、剥離面積比率として、耐擦過性試験の前後でのフィルムの貼付面積の差の、耐擦過性試験前のフィルムの貼付面積に対する割合を求めた。当該剥離面積比率は、耐擦過性試験によって肌貼付用フィルムがどの程度の割合で剥がれたかを示す。剥離面積比率が大きいほど、肌貼付用フィルムの剥がれた面積が大きいことを意味する。
剥離面積による評価では、剥離面積比率が0%以上2%未満の場合を、剥がれが起きにくいとして「〇」とし、剥離面積比率が2%以上15%未満の場合を、剥がれがわずかに起きたとして「△」とし、剥離面積比率が15%以上の場合を、剥がれが顕著に起きたとして「×」とした。
[耐擦過性評価:表面観察]
上記耐擦過性試験の後の肌貼付用フィルムの表面を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−7000)を用いて観察した。この表面観察では、肌貼付用フィルムに小片状の破壊が生じているか否かを確認し、破壊が確認されない場合を「〇」とし、破壊が確認された場合を「×」とした。
[耐擦過性評価:総合評価]
耐擦過性の総合評価では、剥離面積による評価と表面観察による評価との双方が「〇」である場合を、「〇」とした。また、剥離面積による評価が「△」であり、表面観察による評価が「〇」である場合を、「△」とした。また、剥離面積による評価と表面観察による評価との少なくとも一方が「×」である場合を、「×」とした。耐擦過性の総合評価が「〇」または「△」であれば、複数回の擦れに対する肌貼付用フィルムの耐性が、実用に耐え得る程度に得られていると言える。
(評価結果)
表1に、各実施例及び各比較例の肌貼付用フィルムにおける可塑剤の含有の有無、平均質量、軟らかさ、膜強度を示す。表2に、各実施例及び各比較例の肌貼付用フィルムについての密着性と耐擦過性との評価結果を示す。
Figure 2021091658
Figure 2021091658
表1及び表2が示すように、密着性試験では、肌貼付用フィルムの軟らかさが1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下である実施例1〜11のすべてについて、剥離面積及び表面観察の各々で良好な結果が得られた。これに対し、軟らかさが1.5μm/mN未満である比較例1では、実施例と比較して密着性試験での剥離面積が顕著に大きかった。比較例1では、軟らかさが低いために肌貼付用フィルムが肌のキメに追従し難く、肌貼付用フィルムの剥がれが大きくなったと考えられる。
一方、軟らかさが40.0μm/mNを超えている比較例2,3では、密着性試験において、表面観察で小片状の破壊が生じていることが確認された。比較例2,3では、平均質量が0.1g/m未満であり、すなわち、肌貼付用フィルムの厚さが極めて小さいため、軟らかさが大きくなる一方で、膜強度が20mNを下回るほどに小さくなっている。そのため、密着性試験で膜の細かな破壊が生じたと考えられる。
また、耐擦過性試験では、膜強度が90mN以上200mN以下である実施例3〜8について、剥離面積及び表面観察の各々で良好な結果が得られた。これに対し、膜強度が200mNを超えている実施例1,2,11では、耐擦過性試験での剥離面積が顕著に大きかった。したがって、膜強度が大きいと、複数回の擦れに対して肌貼付用フィルムが捲れやすくなることが確認された。
一方、膜強度が90mN未満である実施例9,10では、耐擦過性試験において、表面観察で小片状の破壊が生じていることが確認された。したがって、膜強度が小さいと、複数回の擦れに対して肌貼付用フィルムが破壊されやすくなることが確認された。
このように、密着性が良好な実施例のなかでも、膜強度が90mN以上200mN以下であれば、密着性に加えて耐擦過性も高められることが示された。
以下、実施例を詳細に考察する。平均質量が同じである実施例1及び実施例2について、可塑剤が添加されていない実施例1に対し、可塑剤が添加されている実施例2の方が、軟らかさが大きくなっており、これにより、密着性試験での剥離面積も小さくなっている。実施例2と同程度の軟らかさを、可塑剤の添加なしに肌貼付用フィルムを薄くすることで実現しようとすれば、実施例3のように、実施例1に対して大きな膜強度の低下が避けられない。これに対し、実施例2では、可塑剤の添加により、実施例3と比較して膜強度の低下を抑えつつ実施例1よりも軟らかさを高めることができている。
実施例3〜8は、いずれも同一の平均質量を有している。可塑剤が添加されていない実施例3に対し、可塑剤の含有量が0.01質量%である実施例4では、膜強度の低下を抑えつつ軟らかさを高める効果は小さい。これに対し、可塑剤の含有量が10質量%である実施例5では、上記効果が大きく得られている。また、実施例6では、極性基を有さない可塑剤を添加しており、極性基を有する可塑剤を実施例6と同じ割合で含む実施例5と比較すると、膜強度の低下を抑えつつ軟らかさを高める効果が小さい。一方、実施例7では、実施例5とは異なる数の極性基を有する可塑剤を実施例5と同じ割合で添加しているが、実施例5と比較して、膜強度の低下を抑えつつ軟らかさを高める効果が大きく得られている。このことは、実施例5で用いた可塑剤が有する極性基の数よりも、実施例7で用いた可塑剤が有する極性基の数の方が多いことを示唆している。また、実施例5と比較して、可塑剤の含有量を30質量%に増やした実施例8では、膜強度が下がっているものの、軟らかさ及び膜強度が、密着性及び耐擦過性の双方が良好となる範囲で得られている。
実施例9,10では、平均質量が0.1g/mであり、肌貼付用フィルムが薄くされている。この場合でも、良好な密着性が得られる程度に軟らかさ及び膜強度が得られている。また、実施例11では、平均質量が4.0g/mであり、肌貼付用フィルムが厚くされている。この場合でも、可塑剤の添加によって、良好な密着性が得られる程度に軟らかさが高められている。
以上、実施形態および実施例にて説明したように、上記肌貼付用フィルム及び転写シートによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)肌貼付用フィルム10の軟らかさが1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下であることにより、肌のキメに対する肌貼付用フィルム10の追従性が高められるため、肌に対する肌貼付用フィルムの密着性が高められる。
(2)肌貼付用フィルム10の主成分が生体適合性樹脂であるため、生体の肌への貼り付けに対する肌貼付用フィルム10の適性が高められる。
(3)肌貼付用フィルム10が可塑剤を含み、肌貼付用フィルム10における可塑剤の含有量が、肌貼付用フィルム10の主成分である高分子材料に対して0.01質量%以上30.0質量%以下である。こうした構成によれば、膜強度の低下を抑えつつ、肌貼付用フィルム10の軟らかさを高めることができる。
(4)可塑剤が油溶性樹脂であれば、肌貼付用フィルム10の軟らかさを高める効果が好適に得られる。また、化粧料に用いられる材料のなかから、可塑剤を選択することができる。
(5)可塑剤が極性基を有することにより、主剤と可塑剤との間に分子間結合が形成される。その結果、高分子鎖の隙間から可塑剤が離脱し難くなるため、肌貼付用フィルム10の軟らかさが的確に高められる。さらに、可塑剤が複数の極性基を有している場合、可塑剤が複数の高分子鎖と分子間結合を形成することで高分子鎖を繋ぐように機能するため、肌貼付用フィルム10の膜強度の低下がより好適に抑えられる。
(6)肌貼付用フィルム10の膜強度が25mN以上800mN以下である。これにより、化粧料の塗布に際して肌貼付用フィルム10が細かく崩れることが抑えられ、また、肌貼付用フィルム10の軟らかさを上記範囲内に調整しやすくなるため、肌貼付用フィルム10と肌との間の密着性を高めやすくなる。
(7)肌貼付用フィルム10の膜強度が90mN以上200mN以下であることにより、複数回の擦れに対して、肌貼付用フィルム10が破壊されて細かな小片状に崩れること、及び、肌貼付用フィルム10が捲れることが抑えられる。したがって、肌貼付用フィルム10の耐擦過性が高められる。
(8)肌貼付用フィルム10と支持基材21とを備える転写シート20であれば、肌貼付用フィルム10が支持基材21に支持されていることにより、肌貼付用フィルム10の変形が抑えられるとともに、肌貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されず、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
10…肌貼付用フィルム
11F…第1面
11R…第2面
20…転写シート
21…支持基材

Claims (8)

  1. 0.1g/m以上4.0g/m以下の平均質量を有し、高分子材料を含む肌貼付用フィルムであって、
    前記肌貼付用フィルムの軟らかさは、1.5μm/mN以上40.0μm/mN以下である
    肌貼付用フィルム。
  2. 前記肌貼付用フィルムの主成分は、生体適合性樹脂である
    請求項1に記載の肌貼付用フィルム。
  3. 前記肌貼付用フィルムは、可塑剤を含み、
    前記肌貼付用フィルムにおける前記可塑剤の含有量は、前記肌貼付用フィルムの主成分である高分子材料に対して0.01質量%以上30.0質量%以下である
    請求項1または2に記載の肌貼付用フィルム。
  4. 前記可塑剤は、油溶性樹脂である
    請求項3に記載の肌貼付用フィルム。
  5. 前記可塑剤は、極性基を有する
    請求項3または4に記載の肌貼付用フィルム。
  6. 前記肌貼付用フィルムの膜強度は、25mN以上800mN以下である
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
  7. 前記肌貼付用フィルムの膜強度は、90mN以上200mN以下である
    請求項6に記載の肌貼付用フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルムと、
    前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、
    を備える転写シート。
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