JP2021091598A - 多孔質炭素及びその製造方法 - Google Patents

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淳子 川原
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Abstract

【課題】細孔径が制御された、導電性に優れた多孔質炭素、および、細孔径を容易に均一制御可能な多孔質炭素の製造方法を提供すること。【解決手段】前記課題は、メソ孔とマクロ孔を備えた多孔質炭素であって、細孔容積は、0.5cm3/g〜5cm3/gであり、体積抵抗率は、1.0×10−1Ω・cm未満であることを特徴とする多孔質炭素によって解決される。また、導電性炭素材料(A)および分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程と、前記スラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する第二の工程と、前記造粒粒子を分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成して多孔質炭素を作製する第三の工程を有する前記多孔質炭素の製造方法によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、多孔質炭素及びその製造方法に関する。
多孔質炭素は、高い表面積や規則的で均一な細孔(ポーラス)構造を有し、耐熱性、耐薬品性、耐食性に優れるため、ガス吸着材、水処理剤、触媒など、一般産業から、半導体、航空宇宙まで広く応用されている。また、キャパシタ、燃料電池などの畜電デバイス用の電極として研究が進められており、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯電子機器の電源として活用されている。
加えて、近年では、糖やアルコール、有機酸等の有機物を燃料にして、微生物や酵素反応により生成した電子の有する電気エネルギーを利用するバイオ発電デバイスへの応用にも期待が高まっており、多孔質炭素の製法、構造、用途が多様化されつつある。
例えば、吸着を目的とする場合、細孔径が揃い、かつ高い比表面積を持つ多孔質炭素が望まれる。また、バイオ発電のような発電デバイスとして用いる場合には、高い電気伝導性を有し、反応に適したナノメートルオーダーで細孔構造が制御された多孔質炭素が望まれる。
多孔質炭素の製造方法としては、木炭、ヤシ殻灰、石炭、レーヨン、フェノール樹脂等を原料とし、塩化亜鉛、燐酸等の化学薬品を加えてから、賦活性ガス雰囲気中で加熱して炭化する薬品賦活や、炭化した原料を水蒸気、空気、燃焼ガス等を用いてガス賦活する方法が知られてる。
特許文献1では、固形化された炭素材料にアルカリ金属水酸化物を用いる薬品賦活によって活性炭を製造する方法が記載されている。賦活法では、高い比表面積を有する多孔質炭素を製造できる一方で、賦活による炭素の結晶性の低下や、細孔径の制御が難しい問題があった。
特許文献2では、多孔質ゼオライトを鋳型として用い、ゼオライトに有機物を注入し、炭化した後、鋳型を除去することを含む製造する方法が記載されている。鋳型剤に多孔質ゼオライトを用いることで、鋳型剤の粒径や形状を反映した細孔の精密制御が可能である。しかし、鋳型剤を除去するために、フッ化水素酸または塩酸を用いるため、酸による導電性の低下や安全性に懸念が生じる問題があった。
特許文献3では、炭素材料とバインダー樹脂から構成される造粒粒子をバインダー樹脂の分解温度以上で熱処理することで、多孔質炭素を製造する方法が記載されている。粒径が一定で比表面積を容易に調整できるが、炭素材料の偏在化による導電性の低下が起こる問題があった。
特開2014−34475号公報 特開2003−206112号公報 特開2016−141592号公報
本発明が解決しようとする課題は、細孔径が制御された、導電性に優れた多孔質炭素、および、細孔径を容易に均一制御可能な多孔質炭素の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、メソ孔とマクロ孔とを備えた多孔質炭素であって、
細孔容積は、0.5cm/g〜5cm/gであり、体積抵抗率は、1.0×10−1Ω・cm未満であることを特徴とする多孔質炭素に関する。
また、本発明は、ピーク細孔径が30nm以上であることを特徴とする前記多孔質炭素に関する。
また、本発明は、前記多孔質炭素が、少なくとも導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)とを含む造粒粒子の焼結体であることを特徴とする前記多孔質炭素に関する。
また、本発明は、導電性炭素材料(A)が、カーボンブラック、黒鉛、繊維状炭素およびグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の導電性炭素材料を含むことを特徴とする前記多孔質炭素に関する。
また、本発明は、導電性炭素材料(A)が、平均一次粒子径が1〜100nm、体積平均粒子径(D50)が0.2〜3μmであるカーボンブラックを含むことを特徴とする前記多孔質炭素に関する。
また、本発明は、導電性炭素材料(A)および分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程と、前記スラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する第二の工程と、前記造粒粒子を分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成して多孔質炭素を作製する第三の工程とを有する前記多孔質炭素の製造方法に関する。
また、本発明は、前記スラリーの固体分100質量%中、導電性炭素 材料(A)が50〜95質量%、分散樹脂(B)が5〜50質量%である前記多孔質炭素の製造方法に関する。
本発明により、細孔径が制御された、導電性に優れた多孔質炭素、および細孔径を容易に均一制御可能な多孔質炭素の製造方法を提供することが可能となった。
<多孔質炭素>
本発明における多孔質炭素とは、炭素原子が六角網状に共有結合した炭素六角網面を基本骨格とする炭素材料からなり、固体構造内に無数の細孔(ポア)を有する。IUPACによって、固体中の細孔は、細孔径の大きさで3つのクラスに分類されている。細孔径が2nm〜50nmのメソ孔、細孔径が50nmを超えるマクロ孔、および細孔径が2nmよりも小さいミクロ孔である。ここでいう多孔質炭素とは、上記3つのクラスの細孔のうちメソ孔とマクロ孔を有する多孔質炭素である。
本発明における多孔質炭素の細孔容積は、0.5cm/g〜5cm/gである。また、体積抵抗率は、1.0×10−1Ω・cm未満である。細孔容積が上記範囲にあると、吸着材などの反応が起こる反応場を多くすることができ、体積抵抗が上記範囲にあると、電極中における酸化還元反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすい。このように、細孔容積がある程度大きな状態で導電性が高いため、燃料電池やキャパシタなどの畜電デバイス、バイオ発電といった発電デバイスに用いることができる。
細孔容積は、0.5〜4.0cm/gが好ましく、0.8〜3.5cm/gがより好ましい。体積抵抗率は7.5×10−2Ω・cm未満が好ましく、5.0×10−2Ω・cm未満がより好ましい。
本発明における細孔容積とは試料単位質量当たりの全細孔容積のことであり、窒素吸着法によって求めることができる。窒素吸着法とは、吸着剤に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより吸脱着等温線を測定し、測定したデータを解析し、比表面積や細孔容積、細孔径を算出する。比表面積についてはBET法、細孔容積および細孔径については細孔分布解析法として広く用いられているBJH法により求められる。BJH法により、2〜300nmの細孔分布をプロットし、メソ孔およびマクロ孔の存在を確認することができる。細孔径は、得られた細孔分布からピーク細孔径を算出することにより求められる。
本発明における体積抵抗率とは単位体積当たりの体積抵抗のことであり、四端子法によって求めることができる。断面積W×tに一定電流A(A)を流し、距離Lだけ離れた電極間の電位差V(V)を測ることにより求められる。ここでいう体積抵抗率は、粉体抵抗測定システム(三菱ケミカルアナリテック社製、MCP−PD51)と抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製、ロレスタ−GP)を用いて測定することが出来、具体的には、多孔質炭素を粉体抵抗測定システムのセル内に入れ、荷重4kNを加えた際の体積抵抗率を測定する。
本発明における多孔質炭素は、上記窒素吸着法からBJH解析において求めたピーク細孔径において、30nm以上が好ましい。細孔径が30nm以上であると、酵素や微生物、ウイルス等の吸着物質を選択的に吸着や分離することができ、発電デバイスやセンサー、除染や資源回収等に有効活用することができる。また、細孔径が50nm以上であるとさらに好ましい。
本発明における多孔質炭素は、少なくとも導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)からなる造粒粒子の焼結体であることが好ましい。
<導電性炭素材料(A)>
本発明における導電性炭素材料(A)としては、無機炭素材料を用いることができる。例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、黒鉛、繊維状炭素(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、カーボンナノホーン、グラフェン、フラーレンを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さから、カーボンブラック、黒鉛、繊維状炭素およびグラフェンが好ましく、カーボンブラック、黒鉛、繊維状炭素およびグラフェンを2種類以上併用するとより好ましい。
市販の無機炭素材料としては、例えば、
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等のデンカ社製アセチレンブラック;
ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD、ライオナイトEC−200L等のライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製ケッチェンブラック;
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック; プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック;
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULT
RA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック;
#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック;
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック;
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック;
SCMG−AH、SCMG−AR、SCMG−AR−H、SCMG−AF、SCMG−AFC、UF−G10、UF−G30等の昭和電工社製黒鉛;
CPB、UCP、AP、P#1、PAG−5、HAG−10W、ACP、ACB−150、SP−10、SP−20、J−SP、GR−15、UP−5N、UP−15N、CGC−20、CGB−20、J−SP−α、UP−5−α、SP−5030−α、EXP−SM等の日本黒鉛工業社製黒鉛;
UF−2,BF−3A、BF−5A、BF−8A、BF−10A、BF−20A、CNG−44N、BSP−5A、BSP−20A、A−0、FAG−1C、JSG−25、JSG−75、WF−10,WF−20,WF−30等の富士黒鉛工業社製黒鉛,
Z−5F,CNP−7、CNP−15、CNP−35、Z+80、Z−25、Z−50、X−10、X−20、SRP7、SRP10、CP2000M、EC1500、SG−BH8、SG−BH等の伊藤黒鉛工業社製黒鉛、
VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ;
名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ;
日本ゼオン社製のカーボンナノチューブ;
xGnP−C−300、xGnP−C−500、xGnP−C−750、xGnP−M−5、xGnP−M−15、xGnP−M−25、xGnP−H−5、xGnP−H−15、xGnP−H−25等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明で用いるカーボンブラックは、一次粒子径が小さいほど単位質量当たりに含まれる粒子個数が増え、カーボンブラック粒子同士の接触点が増えるため、多孔質炭素の体積抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、導電性と入手のし易さの観点から、好ましくは平均一次粒子径が1〜100nmであり、より好ましくは10〜80nmであり、さらに好ましくは20〜70nmである。 ただし、ここでいう平均一次粒子径とは、アグリゲート(一次凝集体)を形成する球形粒子について、電子顕微鏡などで測定した粒子径を平均したものである。
本発明で用いられるカーボンブラックは、アグリゲート(一次凝集体)が凝集してなるアグロメレート(二次凝集体)を形成している。二次凝集体のサイズが所定以上大きいことで、導電ネットワークを形成しやすくなり、体積抵抗を下げるのに有利となる。二次凝集体を形成することで、所定の細孔径を有する多孔質炭素を得やすいために好ましい。本発明において、二次凝集体は体積平均粒子径で表され、具体的には体積平均粒子径(D50)が好ましくは0.2〜3μmであり、より好ましくは0.2〜2μmであり、さらに好ましくは0.2〜1μmである。
ここでいう体積平均粒子径(D50)とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、レーザー散乱方式の粒度分布計等で測定される。
<分散樹脂(B)>
分散樹脂としては、特に限定されないが、ノニオン性分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、両性分散剤などを挙げることができる。これらは、例えば、アニオン性官能基、カチオン性官能基およびノニオン性官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する重合体、または前記重合体の中和物の形態であり、溶媒に水系溶媒を用いる際により好適に使用できる。
分散樹脂の重量平均分子量は5000以上が好ましい。更に好ましくは30000以上である。また、その上限値は1500000以下が好ましく、800000以下がさらに好ましい。上記範囲であると、導電性炭素材料(A)の分散性が優れるため好ましい。
(ノニオン性分散剤)
ノニオン性樹脂とは、イオン性官能基を有していない樹脂が挙げられる。具体的には、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール変性アクリル樹脂、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエーテル、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン−メタクリル酸アミド−ビニルイミダゾール共重合体、及びアルキル化ビニルピロリドン−1−ブテン共重合体等のビニルピロリドン系樹脂、リグニン、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、セルロース系樹脂(セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、キチン類、キトサン類、デンプンなどが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
中でも、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
(アニオン性分散剤)
アニオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、酸性官能基を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂、酸性官能基を有するポリビニル系樹脂、酸性官能基を有するポリエステル系樹脂、およびその他の市販の酸性官能基を有する樹脂等が挙げられる。また、酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及び燐酸基が挙げられる。
アニオン性分散剤の酸価は、100mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には300mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
カルボキシル基を有するアニオン性分散剤としては、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体および必要に応じた他の単量体を共重合して得られる分散樹脂が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基を有する単量体であれば特に限定されないが、特にメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
共重合する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を有するエチレン性不飽和単量体、アルキル系(メタ)アクリレート、アルキレングリコール系(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スルホン酸を有するアニオン性分散剤としては、スルホン酸を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物を用いることができる。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物とは、例えば、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(またはそれらのアルカリ金属塩)をホルマリンで縮合したものである。
(カチオン性分散剤)
カチオン性分散剤は、カチオン性部位として脂肪族アミンもしくは芳香族アミンの少なくとも一方を有することが好ましい。アミン価は、110mgKOH/g以上1000mgKOH/g未満の範囲であることが好ましく、更には250mgKOH/g以上1000mgKOH/g未満の範囲であることが好ましい。
脂肪族アミンもしくは芳香族アミンを有するカチオン性分散剤としては、脂肪族アミンもしくは芳香族アミンを有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、脂肪族アミノ基もしくは芳香族アミノ基を有する単量体を重合もしくは縮合してなり、好ましくは、脂肪族アミノ基もしくは芳香族アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体および必要に応じた他の単量体を重合して得られるものである。
脂肪族アミノ基もしくは芳香族アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、脂肪族アミノ基を有するものとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アリルアミン等を例示することができ、また、芳香族アミノ基を有するものとしては、アミノスチレン、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等を例示することができる。
共重合する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を有するエチレン性不飽和単量体、アルキル系(メタ)アクリレート、アルキレングリコール系(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(両性分散剤)
両性分散剤としては、芳香環を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体と、を必須成分とする共重合および前記共重合体の中和物であることが好ましい。これらの単量体としては、アニオン性分散剤またはカチオン性分散剤で例示したものと同じものが挙げられる。
<液状媒体(C)>
本発明に使用する液状媒体(C)としては、特に限定せず使用することができる。必要に応じて、例えば、分散性向上のために、複数の溶剤種を混ぜて使用しても良い。溶剤としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられる。中でも水や、炭素数が4以下のアルコール系溶剤が好ましい。
<多孔質炭素の製造方法>
本発明では、多孔質炭素は、導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程と、前記スラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する第二の工程により製造される。より好ましくは、導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程と、前記スラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する第二の工程と、前記造粒粒子を分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成して多孔質炭素を作製する第三の工程からにより製造される。
本発明では、多孔質炭素は、導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程の直後に、第二の工程をとることが好ましい。直後とは、導電性炭素材料(A)の分散状態が保たれている間の時間であることを示し、具体的には、前述した体積平均粒子径(D50)により確認することができる。本工程によれば、二次粒子のサイズが所定以上大きいことで、導電ネットワークを形成しやすくなり、体積抵抗を下げるのに有利となる。また、カーボンブラックの二次凝集体を制御することで、所定の細孔径を有する多孔質炭素を容易に製造することができる。
本発明の第一の工程では、分散樹脂(B)を液状媒体(C)に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に導電性炭素材料(A)を添加、混合、分散することが好ましい。導電性炭素材料(A)を一次粒子近くまで分散させつつ、これら分散樹脂(B)を導電性炭素材料(A)に吸着、被覆させて溶媒中に分散させることができるためである。また、第一の工程において、導電性炭素材料(A)を1800℃以上で高温焼成した後、分散樹脂(B)を液状媒体(C)に完全ないしは一部溶解させ、その溶液中に導電性炭素材料(A)を添加、混合、分散することがより好ましい。
前記スラリー固体分100質量%中、導電性炭素材料(A)の含有量は、導電性の観点から、好ましくは50〜95質量%であり、より好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは65〜85質量%である。
前記スラリー固体分100質量%中、分散樹脂(B)の含有量は、導電性と分散安定性の観点から、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。
本発明の第一工程で導電性炭素材料のスラリーを得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機が使用できる。例えば、ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、プライミクス社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの分散機は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。さらに、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーターおよびベッセルがセラミック製または樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーターおよびベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズや、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
第一の工程では、更に炭素材料となる炭素化材を含んでも良い。炭素化材は不活性雰囲気で焼成することで炭素材料となる分子量の大きな樹脂や糖類などが使用できる。炭素化材は、例えば、導電性炭素材料(A)の一次粒子の表面を被覆しミクロ孔を塞いだり、一次粒子間の空隙を埋めたりすることで多孔質炭素の細孔径や細孔容積を制御することが出来る。炭素化材を使用する場合は、後述の第三の工程において、焼成温度を2000℃以上であると炭化材の黒鉛化が進みやすく、多孔質炭素の導電性を阻害しないため好ましい。
第二の工程は、第一の工程で作製したスラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する。液状媒体(C)を除去する方法としては、特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥、攪拌乾燥、静置乾燥等の中から選択することができる。中でも、粒子を充填しやすい球状に造粒できることから、スプレードライヤーを好適に用いることができる。
第三の工程は、上記第二の工程で作製した造粒粒子を分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成して多孔質炭素を作製する。分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成することで有機物が炭化し、導電性に悪影響を与えないためである。焼成は不活性雰囲気下で行うことが好ましく、不活性雰囲気としては、窒素やアルゴンで満たされた雰囲気、または、真空雰囲気を例示できる。
また、第三の工程として、上記第二の工程で作製した造粒粒子を1800℃以上の温度で焼成して多孔質炭素を作製することが好ましい。多孔質炭素の細孔径や細孔容積を維持したまま、導電性炭素材料(A)の結晶性が向上することで、導電性が良好になる。また、焼成温度は、導電性炭素材料(A)の種類により最適な温度が異なるが、黒鉛化が進み始める2000℃以上とすることがより好ましい。
本発明の多孔質炭素は、酵素や微生物、ウイルス、ガス等の吸着物質を選択的に吸着や脱離することができ、水浄化や土壌改質、クロマトグラフィー、ガス吸蔵・放出、タンパク質の取込、除染や資源回収に有効活用することができる。また、導電性に優れているため、燃料電池やキャパシタなどの畜電デバイス、バイオ発電といった発電デバイスやセンサーの電極用の導電材として適用することができる。特に、酵素発電デバイスにおいては、本発明の多孔質炭素をデバイス用電極の導電材として好適に適用できる。
[酵素発電デバイス]
酵素発電デバイスは、酸化還元酵素を含み、燃料を酸化する負極、酸素の還元が起こる正極、及び必要に応じて負極と正極とを電気的に分離するセパレータを含み、更に必要に応じて、負極から正極側にイオンを伝達するためのイオン伝導体を含む。
酵素発電デバイスの具体的な態様としては、酵素燃料電池及び有機物センサー等が挙げられる。酵素燃料電池では、糖及びアルコール等の有機物を燃料として用い、負極での酸化反応と正極での還元反応を含む上記反応により発電し、電気を出力することができる。有機物センサーでは、発電の有無又は発電量を検知することにより、センシング対象物質の有無又は量を検出することができる。酵素発電デバイスは、電源とセンサーを兼ねることができ、電源機能付きセンサーとして用いることができる。
燃料又はセンシング対象物質としては酸化還元酵素により分解できる有機物であれば特に限定されず、グルコース(好ましくは天然型のD−グルコース)及びフルクトース等の単糖類;デンプン等の多糖類;エタノール等のアルコール;乳酸等の有機酸等が挙げられる。中でも、グルコース、フルクトース、及び乳酸からなる群より選択される1種以上の有機物が好ましい。燃料は、外部から供給されてもよいし、セパレータ等に担持されるなど、酵素発電デバイスに内蔵されてもよい。
本発明の多孔質炭素は、酵素発電デバイス用電極を形成するためのペーストとして用いることができる。電極用ペーストは、多孔質炭素と溶剤とバインダーとを含み、更に必要に応じて分散剤等の他の成分を含むことができる。各成分の割合は特に限定されず、適宜設計することができる。
電極用ペーストに使用される溶剤としては特に限定されず、公知のものを用いることができ、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、及び水等が挙げられる。中でも、水及び炭素数が4以下のアルコール系溶剤が好ましい。
電極用ペーストに使用されるバインダーは、多孔質炭素等の他の電極構成材料を結着させるために使用され、それらの他の電極構成材料を溶剤中へ分散させる効果は小さい公知のバインダー用の樹脂が用いられる。
例えば、アクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエステル樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂;フェノキシ樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;アルキッド樹脂;ホルムアルデヒド樹脂;シリコーン樹脂;スチレン−ブタジエンゴム及びフッ素ゴム等の合成ゴム;ポリアニリン及びポリアセチレン等の導電性樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニル、パーフルオロカーボン、及びテトラフルオロエチレン等の含フッ素化合物;これらの変性物等が挙げられる。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
溶剤として水性液状媒体を使用する場合、バインダーとして水性エマルションを使用してもよい。水性エマルションは、バインダー樹脂が水中に溶解せずに、微粒子の形態で分散した分散液である。
水性エマルションとしては特に限定されず、(メタ)アクリル系エマルション;ニトリル系エマルション;ウレタン系エマルション;SBR(スチレンブタジエンゴム)等のジエン系ゴムを含むジエン系エマルション;PVdF(ポリフッ化ビニリデン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の含フッ素高分子を含むフッ素系エマルション等が挙げられる。
電極用ペーストに必要に応じて使用される分散剤は、特に制限されず、多孔質炭素で例示した分散樹脂等が挙げられる。また、電極用ペーストは、必要に応じて、酸化還元酵素、触媒等の他の成分を含んでもよく、従来公知のものを使用することができる。
<多孔質炭素>
(実施例1A)
導電性炭素材料としてカーボンブラック(ライオナイトEC−200L、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)14質量部、分散樹脂であるポリビニルピロリドン(PVP K−30、和光社製)10%水溶液を60質量部(固形分として6質量部)、イオン交換水を126質量部採取し、ミキサーに入れて混合し、サンドミルを用いて30分間分散し、スラリーを得た。続いて、日本ビュッヒ社の噴霧乾燥器ミニスプレードライヤーB−290を使用し、上記スラリーを125℃で噴霧造粒することによって、導電性炭素材料の造粒粒子を得た。その後、得られた粉末を、窒素雰囲気下、500℃で1時間加熱焼成することによって、多孔質炭素(1)を得た。
実施例および比較例に用いた材料の評価については、以下の通り行った。
(導電性炭素材料の平均一次粒子径)
透過型電子顕微鏡(日本電子データム社製 JEM−1010)を用いて、加速電圧100kVにて炭素材料粒子の撮影を行った。アグリゲート(一次凝集体)を形成する球形粒子100個の直径を測長し、平均化して求めた。
(導電性炭素材料の体積平均粒子径)
導電性炭素材料と分散樹脂を機械分散したスラリーを、固形分に応じて100〜1000倍に水希釈し、マイクロトラック(日機装社製 MT3300EXII)のセルに該希釈スラリーをサンプリングローディングにおいて適正濃度になるまで注入し、サンプルに応じた分散媒の屈折率条件を入力後、測定を行い、D50を平均粒子径とした。
(分散樹脂の分解温度)
分散樹脂を熱分析装置(日立ハイテクサイエンス社製 EXSTAR6000)による示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)によって測定した。窒素流通下、35〜500℃の範囲における重量を測定し、分散樹脂の熱分解温度を算出した。
(多孔質炭素の比表面積、細孔容積、細孔径)
多孔質炭素を窒素流通下で150℃4時間加熱処理し、重量測定をした後、窒素吸着測定装置(マイクロトラックベル社製 BELSORP−mini)を用い、吸着温度77Kにて吸脱着等温線を測定した。得られた吸脱着等温線から、BET法を用いて比表面積を算出した。また、BJH法を用いて、実施例の多孔質炭素についてメソ孔およびマクロ孔が存在することを確認し、細孔容積および細孔径を算出した。
(多孔質炭素の体積抵抗)
多孔質炭素を粉体抵抗測定システム(三菱ケミカルアナリテック社製 MCP−PD51)のセルに入れ、4kN荷重時の体積抵抗率を抵抗率計(ロレスターGP<MCP−T610>)を用いて測定した。
(実施例2A〜実施例13A、15A、16A)
表1に示す固形分組成比、導電性の炭素材料(A)、および分散樹脂(B)と液状媒体(C)を変更した以外は、実施例1Aと同様の方法により、それぞれ実施例の多孔質炭素(2)〜(13)、(15)、(16)を得た。尚、実施例6Aについては、噴霧造粒することによって、導電性炭素材料の造粒粒子が得られた後、加熱焼成を行わなかった。
実施例および比較例で使用した材料を以下に示す。
(導電性炭素材料(A))
・ライオナイトEC−200L(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、一次粒子径40nm、以下「EC200L」と略記する。)
・ケッチェンブラックEC−300J(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製、一次粒子径38nm、以下「EC300J」と略記する。)
・デンカブラックHS−100(デンカ社製、一次粒子径45nm、以下「HS100」と略記する。)
・トーカブラック#5500(東海カーボン社製、一次粒子径25nm、以下「#5500」と略記する。)
・グラフェンナノプレートレットxGnP−M−5(XGscience社製、以下「GNP−M」と略記する。)
・黒鉛SP−270(日本黒鉛社製、以下「SP−270」と略記する。)
(分散樹脂(B))
・ポリビニルピロリドンK−30(富士フィルム和光純薬社製、分解温度390℃、以下
「PVP」と略記する。)
・CMCダイセル#1240(ダイセル化学工業社製、分解温度260℃、以下「CMC」と略記する。)
・クラレポバールPVA235(クラレ社製、分解温度280℃、以下「PVA」と略記する。)
・ポリアクリル酸 平均分子量5000(富士フィルム和光純薬社製、分解温度190℃、以下「PAA」と略記する。)
(液状媒体(C))
・イオン交換水(以下「水」と略記する。)
・イソプロピルアルコール/エタノール(重量比9/1の混合物)(以下「IPA/EtOH」と略記する。)
Figure 2021091598
(実施例14A)
導電性炭素材料としてカーボンブラック(ライオナイトEC−200L、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)14質量部、分散樹脂であるカルボキシメチルセルロース(CMCダイセル#1240、ダイセル化学工業社製)3%水溶液を200質量部(固形分として6質量部)採取し、ミキサーに入れて混合し、サンドミルを用いて30分間分散し、スラリーを得た。続いて、日本ビュッヒ社の噴霧乾燥器ミニスプレードライヤーB−290を使用し、上記スラリ
ーを125℃で噴霧造粒することによって、導電性炭素材料の造粒粒子を得た。その後、得られた粉末を、窒素雰囲気下、500℃で1時間加熱焼成することによって、多孔質炭素(14)を得た。
(実施例17A〜実施例20A)
サンドミルでの分散時間を延長して、表1に示す導電性炭素材料(A)の体積平均粒子径を変更した以外は、実施例1Aと同様の方法により、それぞれ実施例の多孔質炭素(17)〜(20)を得た。
(実施例21A〜23A)
表1に示す造粒粒子粉末の加熱焼成温度を変更した以外は、実施例18Aと同様の方法により、それぞれ実施例の多孔質炭素(21)〜(23)を得た。
(実施例24A)
導電性炭素材料としてカーボンブラック(ライオナイトEC−200L、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を、窒素雰囲気下、2000℃で1時間加熱焼成した。その後、焼成したカーボンブラック14質量部、分散樹脂であるポリビニルピロリドン(PVP K−30、和光社製)10%水溶液を60質量部(固形分として6質量部)、イオン交換水を126質量部採取し、ミキサーに入れて混合し、サンドミルを用いて30分間分散し、スラリーを得た。続いて、日本ビュッヒ社の噴霧乾燥器ミニスプレードライヤーB−290を使用し、上記スラリーを125℃で噴霧造粒することによって、導電性炭素材料の造粒粒子を得た。その後、得られた粉末を、窒素雰囲気下、500℃で1時間加熱焼成することによって、多孔質炭素(24)を得た。
(比較例1A)
導電性炭素材料としてカーボンブラック(ライオナイトEC200L、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)14質量部、分散樹脂であるポリビニルピロリドン(PVP K−30、富士フィルム和光純薬社製)10%水溶液を60質量部(固形分として6
質量部)、水を126質量部採取し、ミキサーに入れて混合し、サンドミルを用いて30分間分散し、スラリーを得た。続いて、日本ビュッヒ社の噴霧乾燥器ミニスプレードライヤーB−290を使用し、上記スラリーを125℃で噴霧造粒することによって、導電性
炭素材料の造粒粒子を得、多孔質炭素(25)とした。
(比較例2A)
窒素雰囲気下での加熱焼成温度を200℃に代えた以外は、実施例1Aと同様の方法により、多孔質炭素(26)を得た。
(比較例3A)
分散樹脂をスチレンブタジエンエマルション(TRD2001(固形分48%水分散液)、JSR社製、以下「SBR」と略記する。)に代えた以外は、実施例1Aと同様の方法により、多孔質炭素(27)を得た。
<酵素発電デバイス用電極スラリー>
(実施例1B)
実施例1Aの多孔質炭素(1)4.8部、溶剤として水49.2部、更に増粘剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液40部(固形分2%)をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散した。その後、バインダーとしてエマルション型アクリル樹脂分散溶液(トーヨーケム社製:W-168)6部(固形分50%)を加えミキサーで混合
し、酵素発電デバイス用電極スラリー(1)を得た。
(実施例12B、17B〜20B、22B、比較例1B〜3B)
多孔質炭素(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(27)用い、実施例1Bと同様の方法で、酵素発電デバイス用電極スラリー(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(27)を得た。
(比較例4B)
多孔質炭素の代わりに導電性の炭素材料としてケッチェンブラックEC−600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカル社製)を用い、実施例1Bと同様の方法で、酵素発電デバイス用電極スラリー(28)を得た。
<酵素発電デバイス用電極>
(実施例1C、12C、17C〜20C、22C、比較例1C〜4C) 酵素発電デバイス用電極スラリー(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)を、ドクターブレードにより、乾燥後の酵素発電デバイス用炭素系材料の目付け量が2mg/cmとなるように、導電性支持体として炭素繊維からなる東レ社製カーボンペーパー基材上に塗布し、大気雰囲気中95℃、60分間乾燥し、酵素発電デバイス用電極(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)を作製した。
<酵素発電デバイス用負極の作製>
(実施例1D、12D、17D〜20D、22D、比較例1D〜4D)
実施例1C、12C、17C〜20C、22D、比較例1C〜4Cの酵素発電デバイス用電極(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)に、メディエータとしてテトラチアフルバレンのメタノール溶液と、グルコースオキシダーゼ(GOD)水溶液をそれぞれ滴下し、自然乾燥させ酵素発電デバイス用負極(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)を作製した。
<酵素発電デバイス用正極の作製>
(実施例17E)
実施例17Cの酵素発電デバイス用電極(17)にビリルビンオキシダーゼ(BOD)水溶液を滴下し、自然乾燥させ酵素発電デバイス用正極(17)を作製した。
(比較例4E)
比較例4Cの導電性炭素材料を含む電極(28)にビリルビンオキシダーゼ(BOD)水溶液を滴下し、自然乾燥させ酵素発電デバイス用正極(28)を作製した。
<グルコースに対する酵素発電デバイス用負極のサイクル安定性評価>
酵素発電デバイス用負極(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)を作用極、白金コイル状電極を対極、銀-銀塩化銀電極(Ag/AgCl)を参照極として、電解液(イオン伝導体)である0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)中に入れた。その後、ポテンショ・ガルバノスタットを用いて、pH7、室温下で−0.2〜0.5Vの電位範囲におけるCyclic Voltammetry(CV)測定において、燃料(センシング対象物)となるグルコースに対するサイクル特性(10サイクル)を調べた。
CV測定から得られたサイクル前後の酸化電流曲線から最大電流(mA/cm)を比較した。1サイクル目の最大電流値を初期値とし、初期値に対する10サイクル目の最大電流値の割合から最大電流維持率を算出し、サイクル安定性の指標として評価した。
以下の基準で評価した結果を表2に示す。
Figure 2021091598
(初期の最大電流値)
◎:初期の最大電流値が非多孔質炭素の比較例4Dの最大電流値より大きい。(特に良好

〇:初期の最大電流値が非多孔質炭素の比較例4Dの最大電流値と同等。(良好)
×:初期の最大電流値が非多孔質炭素の比較例4Dの最大電流値より小さい。(不良)
(サイクル安定性評価)
◎:サイクル前後の最大電流維持率(10サイクル)80%以上(非常に良好)
〇:サイクル前後の最大電流維持率(10サイクル)65%以上80%未満(特に良好)〇△:サイクル前後の最大電流維持率(10サイクル)50%以上65%未満(良好)
×:サイクル前後の最大電流維持率(10サイクル)50%未満(不良)
<グルコースに対する酵素発電デバイス用正極のサイクル安定性評価>
酵素発電デバイス用負極(1)、(12)、(17)〜(20)、(22)、(25)〜(28)の代わりに酵素発電デバイス用正極(17)、(28)を用い、CV測定前に酸素バブリングを30分間行い、電位範囲を0.8〜−0.8Vに変更した以外は、酵素発電デバイス用負極のサイクル安定性評価と同様の方法で評価した。初期の最大電流値は比較例4Eを基準とした。
表1に示すように、比較例1A〜3Aに比べ、実施例では高い細孔容積と低い体積抵抗を兼ね備えた多孔質炭素であることが確認された。
一方、未焼成の比較例1Aや、分散樹脂の分解温度以下で焼成した比較例2Aや、分散樹脂を用いていない比較例3Aでは、体積抵抗が高く、導電性の低い多孔質炭素であった。
比較例1Aおよび比較例2Aでは、炭素材料よりも導電性の低い分散樹脂が多く残存しているため、比較例3Aでは、バインダー樹脂や炭素材料の分散性が不均一なことで、局所的な導電パス形成が崩れ、体積抵抗が増大したと考えられる。さらに、比較例1Aおよび比較例2Aでは、細孔容積が低く、多孔質化が不十分な結果が得られた。これは、炭素粒子間に分散樹脂が多く残存し、炭素粒子間の空隙率が低下したためと考える。
これに対し、実施例1A〜24Aでは、導電性炭素材料と分散樹脂の分散状態が良好なため、低い体積抵抗を示したと考える。
表2に示すように、本発明の多孔質炭素から形成された電極を酵素発電デバイスに用いることで、優れた電流値およびサイクル安定性を示すことが確認された。これは、多孔質と導電性の両立により、炭素の酵素反応における電子の授受が効率的かつ安定的に行われるため、繰り返し反応においても不安定な酵素の劣化を抑制できたためと考えられる。

Claims (7)

  1. メソ孔とマクロ孔とを備えた多孔質炭素であって、
    細孔容積は、0.5cm/g〜5cm/gであり、体積抵抗率は、1.0×10−1Ω・cm未満であることを特徴とする多孔質炭素。
  2. ピーク細孔径が30nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質炭素。
  3. 前記多孔質炭素が、少なくとも導電性炭素材料(A)と、分散樹脂(B)とを含む造粒粒子の焼結体であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質炭素。
  4. 導電性炭素材料(A)が、カーボンブラック、黒鉛、繊維状炭素およびグラフェンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の導電性炭素材料を含むことを特徴とする請求項3に記載の多孔質炭素。
  5. 導電性炭素材料(A)が、平均一次粒子径が1〜100nm、体積平均粒子径(D50)が0.2〜3μmであるカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の多孔質炭素。
  6. 導電性炭素材料(A)および分散樹脂(B)を液状媒体(C)に混合・分散したスラリーを作製する第一の工程と、前記スラリーから液状媒体(C)を除去し造粒粒子を作製する第二の工程と、前記造粒粒子を分散樹脂(B)の分解温度以上で焼成して多孔質炭素を作製する第三の工程とを有する請求項1〜5に記載の多孔質炭素の製造方法。
  7. 前記スラリーの固体分100質量%中、導電性炭素材料(A)が50〜95質量%、分散樹脂(B)が5〜50質量%である請求項6に記載の多孔質炭素の製造方法。
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WO2023130827A1 (zh) * 2022-01-04 2023-07-13 广东邦普循环科技有限公司 一种导电材料及其制备方法

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