JP2021091565A - 複合材料及び複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の複合材料によれば、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料を提供することができる。本発明の複合材料の製造方法によれば、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料の製造方法を提供することができる。【解決手段】多孔質の基材と、上記基材の表面を覆う膨張黒鉛からなる被覆層と、からなり、上記被覆層は、上記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した上記膨張黒鉛からなる突起部により上記基材に接合されていることを特徴とする複合材料。【選択図】 図1B

Description

本発明は、複合材料及び複合材料の製造方法に関する。
黒鉛材料は、耐熱性、耐食性を有しているので、高温で使用される金属の坩堝や、エッチング性のある環境下での治具などとして広く使用されている。
黒鉛材料は、多くの金属に対して耐食性を有しているものの、一部の金属とは化合物を形成し、少しずつ黒鉛材料の劣化が生じるという問題点がある。
特許文献1には、カーボン坩堝に挿入した膨張黒鉛成形体中において金属を溶融することを特徴とする金属の溶融方法が記載されている。
特開昭58−58278号公報
特許文献1に記載された発明は、アルミニウムの真空蒸着の発明であり、真空度の高い環境で蒸着を行うため、蒸着に用いる金属の蒸気は、坩堝から直線的に飛散され、黒鉛材料と接触し難いため、蒸着に用いる金属の蒸気による侵食は考慮する必要がなかった。
しかしながら、シリコン単結晶引き上げ装置やSiCの焼成用治具等、大気圧や真空度の低い環境で使用する場合には、反応性の金属やその蒸気、金属酸化物等の生成ガス等が被覆層を通過して黒鉛材料を侵食したり、被覆層と基材との間から侵入し、黒鉛材料が劣化してしまうといった問題が解決されていなかった。
本発明では、上記課題を鑑み、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料を提供することを目的とする。
また、本発明は、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の複合材料は、多孔質の基材と、上記基材の表面を覆う膨張黒鉛からなる被覆層と、からなり、上記被覆層は、上記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した上記膨張黒鉛からなる突起部により上記基材に接合されていることを特徴とする。
本発明の複合材料では、上記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した上記膨張黒鉛からなる突起部がアンカーとしての役割を果たし、上記被覆層が基材から剥がれ難くなっているので、上記被覆層は上記基材との密着性に優れる。
本発明の複合材料では、上記基材が、黒鉛、C/C複合材又はアルミナであることが望ましい。
本発明の複合材料において、上記基材が、黒鉛、C/C複合材又はアルミナであると、これらは高温で安定な材料であるため、高温でもクリープ等が生じることなく安定して使用することができる。
本発明の複合材料では、上記被覆層が、表面側に近くなるほど上記膨張黒鉛がより面方向に配向していることが望ましい。
本発明の複合材料において、上記被覆層が、表面側に近くなるほど上記膨張黒鉛がより面方向に配向していることにより、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができ、金属の蒸気、生成ガス等が被覆層を通過して基材を侵食しにくくなる。また、上記被覆層が表面側から遠ざかるにつれて上記膨張黒鉛がより面に直交する方向への配向することにより、突起部では、開気孔の延びる方向に沿って膨張黒鉛が配向しアンカー効果を高め剥がれにくく作用する。
本発明の複合材料では、上記被覆層は、上記膨張黒鉛のみからなることが望ましい。
本発明の複合材料では、上記被覆層が、上記膨張黒鉛のみからなる場合でも、押圧により互いが強固に絡み合って上記被覆層を形成しているため、張力が加わっても表面が断裂することを防止することができる。
上記膨張黒鉛がバインダを添加することにより、バインダの結着力で結合されている場合には、焼成の際にバインダの収縮による張力が発生し、被覆層の表面が断裂し易くなり、基材が劣化し易くなる。
本発明の複合材料は、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられることが望ましい。
本発明の複合材料を、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として使用すると、金属の蒸気、生成ガス等が被覆層を通過しにくくなり、上記基材を侵食しにくくなる。また、上記基材と上記被覆層との密着性に優れるため、金属の蒸気、生成ガスが上記基材と上記被覆層との境目から上記基材の内部まで侵入しにくく、上記基材の劣化を招きにくい。また、上記被覆層は、劣化しても剥がして繰り返し形成することができるので、上記基材を長く使用することができる。
また、本発明の複合材料の製造方法は、黒鉛層間化合物を加熱することにより、膨張させて膨張黒鉛を製造する膨張黒鉛製造工程と、多孔質の基材の表面に上記膨張黒鉛をプレスし、上記膨張黒鉛からなる被覆層を形成するとともに、上記基材の表層部に有する開気孔に上記膨張黒鉛を侵入させて突起部を形成し、上記基材と上記被覆層とを接合する接合工程とを有することを特徴とする。
本発明の複合材料の製造方法では、膨張黒鉛を製造後に、多孔質の基材の表面に膨張黒鉛をプレスすることにより、上記基材の表層部に有する開気孔の内部に押し込まれるように上記膨張黒鉛を侵入させ、アンカーとして機能する突起部を好適に形成することができるので、密着性に優れた複合材料を製造することができる。
本発明の複合材料の製造方法では、上記基材が、黒鉛、C/C複合材又はアルミナであることが望ましい。
本発明の複合材料の製造方法において、上記基材が、黒鉛、C/C複合材又はアルミナであると、これらは高温で安定な材料であるため、高温でもクリープ等が生じることなく安定して使用することができる複合材料を得ることができる。
本発明の複合材料の製造方法では、上記被覆層の表面を押圧し、平坦な面を形成するとともに、上記被覆層の表面に近い膨張黒鉛を面方向に配向させることが望ましい。
本発明の複合材料の製造方法において、上記被覆層の表面を押圧し、平坦な面を形成するとともに、上記被覆層の表面に近い膨張黒鉛を面方向に配向させることにより、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができ、金属の蒸気、生成ガス等が基材を侵食しにくくなる。
本発明の複合材料の製造方法では、上記被覆層は、膨張黒鉛のみからなることが望ましい。
本発明の複合材料の製造方法では、上記被覆層が、上記膨張黒鉛のみからなる場合でも、押圧により互いが強固に絡み合って上記被覆層を形成しているため、張力が加わっても表面が断裂することを防止することができる。
上記膨張黒鉛がバインダを添加することにより、バインダの結着力で結合されている場合には、焼成に際にバインダの収縮による張力が発生し、被覆層の表面が断裂し易くなり、基材が劣化し易くなる。
本発明の複合材料の製造方法では、複合材料が、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられることが望ましい。
本発明の複合材料の製造方法で得られる複合材料を、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として使用すると、
金属の蒸気、生成ガス等が被覆層を通過しにくくなり、上記基材を侵食しにくくなる。また、上記基材と上記被覆層との密着性に優れるため、金属の蒸気が基材と被覆層との境目から基材の内部まで侵入しにくく、上記基材の劣化を招きにくい。また、上記被覆層は、劣化しても繰り返し形成することができるので、上記基材を長く使用することができる。
本発明の複合材料によれば、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料を提供することができる。
本発明の複合材料の製造方法によれば、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができる複合材料の製造方法を提供することができる。
図1Aは、本発明の複合材料の製造方法における膨張黒鉛製造工程の一例を模式的に示す断面図である。 図1Bは、本発明の複合材料の製造方法における接合工程の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の複合材料について、各実施形態に分けて詳細に説明するが、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明の複合材料は、多孔質の基材と、前記基材の表面を覆う膨張黒鉛からなる被覆層と、からなり、前記被覆層は、前記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した前記膨張黒鉛からなる突起部により前記基材に接合されていることを特徴とする。
まずは、基材について説明する。
<基材>
本発明の複合材料を構成する基材は、開気孔を有する多孔質の材料からなる。
上記基材を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素材料、セラミック、アルミナ、これらを用いた複合材料が挙げられ、なかでも、黒鉛、C/C複合材又はアルミナであることが望ましい。
上記黒鉛としては、異方性の低い等方性黒鉛材がより望ましい。このように異方性の低い等方性黒鉛材を基材として使用すると、方向による機械的特性等の偏りが少ないので、破損等が発生しにくく、長期間安定して使用することができる。
上記等方性黒鉛材とは、等方的な構造、特性を有する黒鉛材であり、例えば、CIP(静水圧成形法)により製造することができる。具体的には、例えば、圧力容器内で等方性黒鉛材の原料粉をゴムバッグに詰め、水などで加圧することにより成形したのち、焼成、黒鉛化することにより製造することができる。
なお、上記等方性黒鉛材においては、原料粉の平均粒子径は、例えば10〜50μmであり、等方性黒鉛材が細かな組織を有していることが特徴である。
上記基材が黒鉛からなる場合、気孔率が5〜20%であり、かさ密度が1.70〜1.90g/cmである材料が望ましい。
上記基材の気孔率が5%以上であると、開気孔を含有しているため、開気孔の内部に膨張黒鉛が食い込み易く、アンカー効果により、膨張黒鉛が基材としっかり密着する。一方、上記基材の気孔率が20%以下であると、気孔の含有割合が高すぎないため、基材自体の機械的強度が大きい。
また、上記基材のかさ密度が1.70g/cm以上であると、気孔を有していても、基材の機械的特性に優れる。また、上記基材のかさ密度が1.90g/cm以下であると、開気孔を適切な範囲で含んでおり、膨張黒鉛が開気孔内部に充填され易く、膨張黒鉛からなる被覆層が密着性に優れたものとなる。
本発明の複合材料では、上記基材の開気孔の最大気孔径は、1〜30μmであることが望ましい。
本発明の複合材料において、上記基材の開気孔の最大気孔径が30μm以下であると、開気孔の存在に起因する強度低下の影響が小さいので基材自体の機械的強度が高く、機械的特性に優れた複合材料となる。また、上記基材の開気孔の最大気孔径が1μm以上であると、基材の開気孔に膨張黒鉛が充填され易くなり、密着性に優れた被覆層となる。
本発明の複合材料では、上記基材の表面粗さ(RZJIS)は、5〜500μmであることが望ましい。
本発明の複合材料において、上記基材の表面粗さ(RZJIS)は、500μm以下であると、寸法精度の高い複合材料となる。また、上記基材の表面粗さ(RZJIS)は、5μm以上であると、強固な接合を得ることができ、密着性に優れた被覆層となる。
なお、上記基材の表面粗さ(RZJIS)は、十点平均粗さを意味し、東京精密製、ハンディサーフE−35Bを用いてJIS B 0601−2001に準拠して測定することができる。
上記基材は、炭素繊維の骨材の隙間に炭素のマトリックスが充填され、強化されたC/C複合材が望ましい。骨材である炭素繊維の種類としては、特に限定されず、PAN系炭素繊維であっても、ピッチ系炭素繊維であってもよい。
なお、C/C複合材は、例えば、炭素繊維の基材に熱分解炭素を沈積する方法、炭素繊維の基材に樹脂を含浸したのち炭素化する方法等により得られる。C/C複合材は、高強度炭素繊維で補強されているので、高温でも破壊靭性があり、機械的強度を保つことができる。
上記基材がC/C複合材からなる場合、上記基材の気孔率が10〜50%であることが望ましく、20〜30%であることがより望ましい。
上記基材の気孔率が10%以上であると、気孔の割合が高いため、軽量となり、炉材として使用する際、運搬や設置が容易になる。また、上記基材の開気孔の表面に後述する膨張黒鉛からなる被覆層を形成した際に、上記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した上記膨張黒鉛からなる突起部がアンカーとしての役割を果たし、上記被覆層が基材から剥がれ難くなっているので、上記被覆層は上記基材との密着性に優れる。
一方、上記基材の気孔率が50%以下であると、気孔の含有割合が高すぎないため、高温でも破壊靭性があり、機械的な強度を維持することができる。
上記セラミックとしては、特に限定されず、例えば、コージェライト、アルミナ、シリカ、ムライト等の酸化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、及び、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナが好ましい。
上記基材がセラミックからなる場合、基材の表面に異なる材質(セラミック)を溶射、コーティングした複合材料であってもよい。
上記基材がアルミナである場合、上記基材の気孔率が3〜30%であり、かさ密度が2.9〜3.85g/cmであることが望ましい。
上記基材の気孔率が3%以上であると、気孔の割合が高いため、軽量となり、炉材として使用する際、運搬や設置が容易になる。また、上記基材の開気孔の表面に後述する膨張黒鉛からなる被覆層を形成した際に、上記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した上記膨張黒鉛からなる突起部がアンカーとしての役割を果たし、上記被覆層が基材から剥がれ難くなっているので、上記被覆層は上記基材との密着性に優れる。
一方、上記基材の気孔率が30%以下であると、気孔の含有割合が高すぎないため、機械的な強度を維持することができる。
また、上記基材のかさ密度が2.9g/cm以上であると、気孔を有していても、機械的特性に優れる。また、上記基材のかさ密度が3.85g/cm以下であると、軽量であるので、炉材等として使用する際、運搬や設置が容易になる。
上記基材の厚みとしては、特に限定されず、用途に応じて種々の大きさ、形態をとってよい。
<被覆層>
上記被覆層は、上記基材の表面を覆う膨張黒鉛からなり、基材の表面にプレスされることにより、被覆層形成前より密度が増加している。
上記膨張黒鉛とは、黒鉛の層間に、硫酸や硝酸等を侵入させて黒鉛層間化合物を形成し、この黒鉛層間化合物を短時間で高温に加熱して膨張させたものであり、被覆層形成前のかさ密度は、例えば、0.001〜0.05g/cm程度であるが、被覆層形成の際にプレスされ、基材上に形成された被覆層は、密度が増加している。
また、上記膨張黒鉛において、構成層間の距離は、天然黒鉛等の通常の黒鉛粒子よりも広くなっている。上記膨張黒鉛において、構成層間の距離は、例えば、100nm〜1000μm程度である。また、膨張した後の膨張黒鉛は、c軸方向の間隔が広がって、蠕虫(vermicular)状の粒子となっている。このため上記基材に膨張黒鉛を撒いた状態では上記基材の表面と直交する方向に結晶が配向しやすくなっている。
このようなかさ密度の低い上記膨張黒鉛をプレスすることにより、上記基材の表層部に形成された開気孔の内部に押し込まれるように膨張黒鉛が侵入し、密度が増加し、このようにして形成された開気孔内部の突起部がアンカーとしての役割を好適に果たすことができ、優れた密着性を付与することができる。
上記被覆層は、表面側に近くなるほど上記膨張黒鉛がより面方向に配向していることが望ましい。
本発明の複合材料において、上記被覆層が、表面側に近くなるほど上記膨張黒鉛がより面方向に配向していることにより、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができ、金属の蒸気、生成ガス等が基材を侵食しにくくなる。このような構造は、膨張した膨張黒鉛をプレスすることにより表面側に近くなるほど膨張黒鉛を面方向に配向させることができる。
上記被覆層は、上記膨張黒鉛のみからなることが望ましい。
本発明の複合材料では、上記被覆層が、上記膨張黒鉛のみからなる場合でも、押圧により互いが強固に絡み合って上記被覆層を形成しているため、張力が加わっても表面が断裂することを防止することができる。
上記膨張黒鉛がバインダを添加することにより、バインダの結着力で結合されている場合には、焼成の際にバインダの収縮による張力が発生し、被覆層の表面が断裂し易くなり、基材が劣化し易くなる。
膨張黒鉛のみからなる被覆層は、密度が0.3〜1.2g/cmであることが望ましく、0.5〜1.0g/cmであることがより望ましい。
上記被覆層の密度が上述した範囲であると、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができ、金属の蒸気、生成ガス等が基材を侵食しにくくすることができる。
上記被覆層の厚さは、0.1〜3mmが好ましく、0.2〜2mmがより好ましい。
上記被覆層の厚さが0.1mm以上であるので、被覆層に接触した材料が基材まで到達しにくく、基材を充分に保護することができる。また、被覆層の厚さが3mm以下であり、余り厚すぎないので、被覆層に剥がれ等の損傷が発生しにくい。
<複合材料>
本発明の複合材料は、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、シリコン単結晶引き上げ装置、高温処理炉、核融合炉、原子炉、ホットプレス装置等の装置内あるいは炉内を構成する部材(例えば、保温筒、断熱材、タイトボックス、壁材等)、イオン注入装置用部品として使用することができる。
なかでも、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられることが望ましい。
本発明の複合材料を、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として使用すると、金属の蒸気、生成ガス等が被覆層を通過しにくくなり、上記基材を侵食しにくくなる。また、上記基材と上記被覆層との密着性に優れるため、金属の蒸気、生成ガスが上記基材と上記被覆層との境目から上記基材の内部まで侵入しにくく、上記基材の劣化を招きにくい。また、上記被覆層は、劣化しても繰り返し形成することができるので、上記基材を長く使用することができる。
セラミック材料の焼成用治具の具体例としては、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック等、非酸化物セラミックの焼成用治具として用いられ、多孔質の黒鉛板やアルミナの表面に膨張黒鉛シートからなる被覆層が形成されている。
金属溶融用の坩堝の具体例としては、黒鉛からなる坩堝の表面に膨張黒鉛シートからなる被覆層が形成されたもので、金、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、珪素等の少なくとも1種、又はこれ等の合金の少なくとも1種を用いて金属を蒸着する際の坩堝として使用される。
単結晶引き上げ装置用部品の具体例としては、シリコン単結晶引き上げの際の坩堝として使用され、黒鉛坩堝の表面に膨張黒鉛シートからなる被覆層が形成されたものである。
イオン注入装置用部品の具体例としては、イオン注入装置の開口部等、種々の部品であって、黒鉛部品の表面に膨張黒鉛シートからなる被覆層が形成されたものである。
<複合材料の製造方法>
本発明の複合材料の製造方法は、黒鉛層間化合物を加熱することにより、膨張させて膨張黒鉛を製造する膨張黒鉛製造工程と、多孔質の基材の表面に上記膨張黒鉛をプレスし、上記膨張黒鉛からなる被覆層を形成するとともに、上記基材の表層部に有する開気孔に上記膨張黒鉛を侵入させて突起部を形成し、上記基材と上記被覆層とを接合する接合工程とを有することを特徴とする。
図1Aは、本発明の複合材料の製造方法における膨張黒鉛製造工程の一例を模式的に示す断面図であり、図1Bは、本発明の複合材料の製造方法における接合工程の一例を模式的に示す断面図である。
図1Aに示すように、本発明の複合材料の製造方法における膨張黒鉛製造工程は、黒鉛層間化合物1を加熱して、黒鉛層間化合物1が膨張した膨張黒鉛2を得る工程である。
図1Bに示すように、本発明の複合材料の製造方法における接合工程は、多孔質の基材10の表面に膨張黒鉛2をプレスし、基材10の表層部に有する開口部11に膨張黒鉛2を侵入させて突起部3を形成するとともに、被覆層4を形成し、基材10と被覆層4とを接合し、複合材料20を得る工程である。
上記接合工程により得られる被覆層4は、表面側に近くなるほど膨張黒鉛2がより面方向に配向していることが望ましい。
膨張黒鉛製造工程を経た膨張黒鉛2は、蠕虫状の形状をしているので、プレスの初期段階では膨張黒鉛2の結晶が基材10の開気孔に突き刺さるように侵入して突起部を形成し、プレスの圧力が高くなるにつれて特に被覆層4の表面部で面方向に配向するように作用する。例えばこのようにして、表面側に近くなるほど膨張黒鉛2がより面方向に配向している被覆層4を得ることができる。
上記膨張黒鉛製造工程において、層間に原子、分子、化合物等が挿入された黒鉛層間化合物としては、層間に硫酸、硝酸等を有する層間化合物であることが望ましい。
上記膨張黒鉛製造工程では、黒鉛層間化合物を急速加熱することにより、層間に挿入された化合物等のガス化によって黒鉛層間化合物の層間が広がることで膨張黒鉛を得ることができる。
上記黒鉛層間化合物としては、平均粒子径が0.1〜10mmのものであることが望ましく、平均粒子径が0.2〜5mmのものであることがより望ましい。
上記黒鉛層間化合物の平均粒子径が0.1mm未満であると、加熱して膨張させた際、膨張黒鉛の粒子が細かく破断され、圧縮により固まりにくく、一方、平均粒子径が10mmを超えると、加熱してもゆっくり熱が伝達するため、膨張しにくく、圧縮した際、収縮率が小さく、やはりクラック等が発生しやすくなる。
なお、上記平均粒子径とは、JIS Z 8815−1994(ふるい分け試験方法通則)に準じて粒度分布を測定し、算術目盛のグラフに表示された粒度分布の積算値におけるふるい上百分率が50%に相当する粒子径である。
また、上記膨張黒鉛製造工程で得られる膨張黒鉛は、膨張率(膨張黒鉛の体積/黒鉛層間化合物の体積)が100倍以上であることが望ましく、300倍以上であることがより望ましい。
上記膨張黒鉛製造工程において、上記黒鉛層間化合物を加熱する温度としては、例えば、150〜1200℃であることが望ましい。加熱時間は、0.1〜60秒であることが望ましい。また、加熱雰囲気は、大気中でも不活性雰囲気中でもよい。
上記膨張黒鉛製造工程では、上述した黒鉛層間化合物を用い、上述した条件で加熱することにより、かさ密度及び構成層間の距離を好適な範囲の膨張黒鉛を好適に得ることができる。
また、上記膨張黒鉛は、不純物含有量が20質量ppm以下であることが望ましい。
上記不純物としては、例えば、鉄、ホウ素、バナジウム、硫黄、アルミニウム、マンガン、クロム、カリウム、ナトリウム、ニッケル等が挙げられ、上記不純物含有量は、発光分光法を用いて測定することができる。
上記膨張黒鉛の不純物含有量を少なくすることにより、高純度が必要な例えば単結晶引き上げ装置用部品、イオン注入装置用部品として好適に使用することができる。
上記膨張黒鉛は、不純物含有量が10質量ppm以下であることがより望ましい。
不純物含有量が10質量ppm以下であると、本発明の複合材料を用いた装置内で、硫化物を発生したり、SOxを発生させ装置の腐食を招くことをより好適に防止することができ、また高純度が要求される装置で使用する場合には、不純物による汚染を少なくすることができる。
上記膨張黒鉛製造工程の後に、ハロゲンや水素等を用いて純化を行い、膨張黒鉛の不純物含有量を低下させてもよい。
上記接合工程において、上記基材の表面に上記膨張黒鉛をプレスする方法としては特に限定されず、プレス成形等、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
上記膨張黒鉛をプレスする際に加える圧力(積層方向に加える圧力)としては、0.01〜100MPaの圧力を加えることが望ましい。
上述した範囲で圧力を加えることにより、上記被覆層の密度を好適な範囲に調整することができる。
上記膨張黒鉛製造工程において、上記被覆層は、膨張黒鉛のみからなることが望ましい。
上記被覆層が、上記膨張黒鉛のみからなる場合でも、押圧により互いが強固に絡み合って上記被覆層を形成しているため、張力が加わっても表面が断裂することを防止することができる。
本発明の複合材料の製造方法では、複合材料が、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられることが望ましい。
本発明の複合材料の製造方法で得られる複合材料を、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として使用すると、生成ガス等が被覆層を通過しにくくなり、上記基材を侵食しにくくなる。また、上記基材と上記被覆層との密着性に優れるため、生成ガスが上記基材と上記被覆層との境目から上記基材の内部まで侵入しにくく、上記基材の劣化を招きにくい。また、上記被覆層は、劣化しても剥がして繰り返し形成することができるので、上記基材を長く使用することができる。
本発明の複合材料は、溶融金属だけでなく、金属の蒸気、生成ガスに対して黒鉛基材を保護することができるため、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品等に使用することができる。
1 黒鉛層間化合物
2 膨張黒鉛
3 突起部
4 被覆層
10 基材
11 開口部
20 複合材料

Claims (10)

  1. 多孔質の基材と、前記基材の表面を覆う膨張黒鉛からなる被覆層と、からなり、
    前記被覆層は、前記基材の表層部に形成された開気孔に侵入した前記膨張黒鉛からなる突起部により前記基材に接合されていることを特徴とする複合材料。
  2. 前記基材は、黒鉛、C/C複合材又はアルミナである請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記被覆層は、表面側に近くなるほど前記膨張黒鉛がより面方向に配向している請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 前記被覆層は、前記膨張黒鉛のみからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
  5. セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
  6. 黒鉛層間化合物を加熱することにより、膨張させて膨張黒鉛を製造する膨張黒鉛製造工程と、
    多孔質の基材の表面に前記膨張黒鉛をプレスし、前記膨張黒鉛からなる被覆層を形成するとともに、前記基材の表層部に有する開気孔に前記膨張黒鉛を侵入させて突起部を形成し、前記基材と前記被覆層とを接合する接合工程とを有することを特徴とする複合材料の製造方法。
  7. 前記基材は、黒鉛、C/C複合材又はアルミナである請求項6に記載の複合材料の製造方法。
  8. 前記接合工程において、前記被覆層の表面を押圧し、平坦な面を形成するとともに、前記被覆層の表面に近い膨張黒鉛を面方向に配向させる請求項6又は7に記載の複合材料の製造方法。
  9. 前記被覆層は、膨張黒鉛のみからなる請求項6〜8のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
  10. 前記複合材料は、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品として用いられる請求項6〜9のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116768646A (zh) * 2022-03-17 2023-09-19 日本碍子株式会社 Si-SiC类复合结构体的制造方法

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