JP2021091564A - 膨張黒鉛シート用材料、膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法 - Google Patents

膨張黒鉛シート用材料、膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に加工することが可能な膨張黒鉛シート用材料、膨張黒鉛シート用材料を用いた膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法を提供する。【解決手段】不純物含有量が、20質量ppm以下であり、かさ密度が、0.001〜0.05g/cm3であり、粒子の長さの平均値が、0.2〜50mmであることを特徴とする膨張黒鉛シート4用材料。【選択図】図1

Description

本発明は、膨張黒鉛シート用材料、膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法に関する。
膨張黒鉛シートは、天然黒鉛等の結晶性の高い黒鉛の層間に、硫酸や硝酸等を侵入させて黒鉛層間化合物を形成し、この黒鉛層間化合物を短時間で高温に加熱して膨張させ、得られた粒子をロール等で圧延することにより得ることができる。
膨張黒鉛シートは、耐熱性に優れるとともに、気液不浸透性に優れているので、パッキン、バルブシート、ガスケット、燃料電池用セパレータ等に使用されている。
膨張黒鉛シートは、取り付けた部材や装置等の劣化を防止する観点から、膨張黒鉛シートに含まれる不純物を取り除く純化処理が行われる。
例えば、特許文献1には、膨張黒鉛シートの純度を向上させるために高純度処理を行うと膨張黒鉛シートが有する可撓性を損なってしまうため、可撓性を有し高純度の膨張黒鉛シートとして、かさ密度が0.7〜1.3g/cm3、厚み0.2〜1.0mmの膨張黒鉛シートを不純物含有量が5ppm以下になるように高純度化処理することを特徴とする可撓性を有する高純度膨張黒鉛シートの製造方法(請求項1)、高純度化処理は、膨張黒鉛シートを複数枚積層した積層体を、1回の加工で所望する同一形状に加工した後に行われること(請求項2)が開示されている。
特開2008−150286号公報
特許文献1に記載された発明では、膨張黒鉛シートに対して純化処理を行っているので、得られた膨張黒鉛シートはある程度の可撓性を有してはいるものの、例えば、坩堝形状等の複雑な形状に膨張黒鉛シートを加工しようとすると、割れや欠けが発生し易く、加工が困難であるという問題点がある。
そこで本発明では、上記課題を鑑み、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に加工することが可能な膨張黒鉛シート用材料、該膨張黒鉛シート用材料を用いた膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物含有量が、20質量ppm以下であり、かさ密度が、0.001〜0.05g/cmであり、粒子の長さの平均値が、0.2〜50mmであることを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物が少なく高純度であり、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して加熱し、純化工程を行っているため、上記膨張黒鉛シート用材料を用いて得られた膨張黒鉛シートは、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に容易に加工することが可能で、加工による割れや欠けが発生しにくい。
これはシート状に加工される前に純化処理が行われ、膨張黒鉛を構成する炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによってはじめて絡みあうため、6角網面の破壊が少なく、所定の形状に容易に加工することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、硫黄含有量が10質量ppm以下であることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、硫黄含有量が10質量ppm以下であると、本発明の膨張黒鉛シートを用いた装置内で、硫化物を発生したり、SOxを発生させ装置の腐食を招くことをより好適に防止することができる。
本発明の膨張黒鉛シートは、上記膨張黒鉛シート用材料を圧縮してなることを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シートは、上述したように、熱処理によって炭素の結合した6角網面がファンデルワールス力による再結合が起こっていない加工性に優れる膨張黒鉛シート用材料を用いているため、圧縮により得られた膨張黒鉛シートは、割れや欠け等を発生させずに、坩堝形状等の複雑な形状に加工することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法は、平均粒子径0.1〜10mmの黒鉛層間化合物を加熱し、膨張させて膨張黒鉛を得る膨張工程と、上記膨張黒鉛をハロゲンガス中で加熱し、純化する第1純化工程と、を有することを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法では、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによってはじめて絡みあうため、6角網面の破壊が少なく、所定の形状に容易に加工することができる。
また、得られた膨張黒鉛シート用材料は、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に容易に加工することが可能な可撓性に優れた膨張黒鉛シートを製造することができる。さらに、第1純化工程でハロゲンガスと接触する膨張黒鉛の表面積が大きくなり、不純物を容易に取り除くことができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法は、上記第1純化工程の前あるいは後に、上記膨張黒鉛を水素ガス中で加熱し純化する第2純化工程を有することが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法では、上記第1純化工程の前あるいは後に、上記膨張黒鉛を水素ガス中で加熱し純化する第2純化工程を有することにより、膨張黒鉛に含まれる硫黄等の不純物をより好適に取り除くことができ、不純物含有量がさらに低下する。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法は、上記膨張黒鉛シート用材料、又は、上記膨張黒鉛シート用材料の製造方法により得られる膨張黒鉛シート用材料を、プレスする成形工程を有することを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法では、上述したように、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによってはじめて絡みあうため、6角網面の破壊が少なく所定の形状に容易に加工することができる。このように加工性に優れる膨張黒鉛シート用材料を用いているため、プレスして作製した膨張黒鉛シートは、坩堝形状等の複雑な形状に加工することができる。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法は、上記成形工程が、圧延又は型成形であることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法において、上記成形工程が、圧延又は型成形であることにより、膨張黒鉛シートが面方向に配向し易くなるため、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができる。また、型成形法を採用することにより、坩堝等の特定の用途に加工するのに好適な形状の膨張黒鉛シートを製造することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料によれば、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによって初めて絡み合うため、6角網面の破壊が少なく、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に対応することが可能な膨張黒鉛シートを製造するのに好適な膨張黒鉛シート用材料を提供することができる。
本発明の膨張黒鉛シートによれば、坩堝形状等の複雑な形状に対応可能な膨張黒鉛シートを提供することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法によれば、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによって初めて絡み合うため、6角網面の破壊が少なく、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に対応することが可能な膨張黒鉛シートを得ることができる膨張黒鉛シート用材料の製造方法を提供することができる。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法によれば、坩堝形状等の複雑な形状に対応可能な膨張黒鉛シートの製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の膨張黒鉛シートの好ましい用途である金属溶融用の坩堝の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の膨張黒鉛シートについて、各実施形態に分けて詳細に説明するが、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
(膨張黒鉛シート用材料)
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物含有量が、20質量ppm以下であり、
かさ密度が、0.001〜0.05g/cmであり、粒子の長さの平均値が、0.2〜50mmであることを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物が少なく高純度であり、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、炭素の結合した6角網面のc軸方向が互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによって初めて絡み合うため、6角網面の破壊が少なく、上記膨張黒鉛シート用材料を用いて得られた膨張黒鉛シートは、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に容易に加工することが可能で、加工による割れや欠けが発生しにくい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物含有量が、20質量ppm以下である。
不純物含有量が上記範囲であることにより、本発明の膨張黒鉛シート用材料を用いた装置や、機器等の劣化の防止のほか、高純度が要求される装置では、不純物による汚染を防止することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、不純物含有量が、5質量ppm以下であることが望ましく、1質量ppm以下であることがより望ましい。
なお、上記不純物としては、例えば、鉄、ホウ素、バナジウム、硫黄、アルミニウム、マンガン、クロム、カリウム、ナトリウム、ニッケル等が挙げられ、発光分光法で分析することができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、硫黄含有量が10質量ppm以下であることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、硫黄含有量が10質量ppm以下であると、本発明の膨張黒鉛シートを用いた装置内で、硫化物を発生したり、SOxを発生させ装置の腐食を招くことをより好適に防止することができる。
硫黄含有量は3質量ppm以下であることがより望ましく、0.5質量ppm以下であることがさらに望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、かさ密度が、0.001〜0.05g/cmである。
かさ密度が上記範囲であることにより、本発明の膨張黒鉛シート用材料を用いた装置や、機器等に対する密着性を高めることができる。
上記膨張黒鉛シート用材料は、かさ密度が、0.001g/cm未満であると、膨張黒鉛の6角網面の剥離が進行し、圧縮した際、6角網面の積層が起こりにくく、強度が高くなりにくく、一方、かさ密度が0.05g/cmを超えると、熱処理の際にファンデルワールス力で黒鉛結晶のc軸方向に再結合が進み、圧縮すると6角網面の破壊が起こり、クラックが発生しやすくなる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、かさ密度が、0.002〜0.02g/cmであることが望ましく、0.005〜0.01g/cmであることがより望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料のかさ密度は、100mlの容器に圧縮することなく充填される膨張黒鉛シート用材料の質量を測ることによって得ることができる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、粒子の長さの平均値が、0.2〜50mmである。
2次粒子の長径が上記範囲であり、本発明の膨張黒鉛シート用材料を用いた膨張黒鉛シートに配向性を付与することにより、耐熱性に優れ、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果にも優れたものとすることができる。
上記粒子の長さの平均値が0.2mm未満であると、膨張が不充分であるか、6角網面が細かく剥離しているため、圧縮により充分に固まらず、やはりクラックが発生しやすくなり、一方、粒子の長さの平均値が50mmを超えると、膨張しすぎているため、6角網面の剥離が進行し、圧縮した際、6角網面の積層が起こりにくく、強度が高くなりにくく、やはりクラック等が発生しやすくなる。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、粒子の長さの平均値が、1〜30mmであることが望ましく、粒子の長さの平均値が、3〜20mmであることがより望ましい。
なお、本発明において、「粒子の長さの平均値」とは、任意の50個の膨張黒鉛シート用材料について観察し、それぞれ膨張した方向に長さを測定し、平均値を求めた値をいう。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、膨張黒鉛のみからなることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料では、膨張黒鉛のみからなる場合でも、炭素の結合した6角網面のシートがファンデルワールス力で再結合するので、押圧により互いが強固に絡み合ってシート構造を形成することができるため、張力が加わっても表面が断裂することを防止することができる。
上記膨張黒鉛にバインダを添加することにより、バインダの結着力で結合されている場合には、バインダの焼成の過程で収縮が発生し、張力が加わってシート構造の表面が断裂し易くなる。
(膨張黒鉛シート用材料の製造方法)
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法は、平均粒子径0.1〜10mmの黒鉛層間化合物を加熱し、膨張させて膨張黒鉛を得る膨張工程と、上記膨張黒鉛をハロゲンガス中で加熱し純化する第1純化工程と、を有することを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法では、シート状に加工される前の膨張黒鉛に対して純化工程を行っているため、膨張黒鉛を構成する炭素の結合した6角網面のc軸方向が、互いに離れた状態で熱処理が行われている。このため、熱処理によってファンデルワールス力による再結合が起こりにくく、圧縮することによってはじめて絡みあうため、6角網面の破壊が少なく、所定の形状に容易に加工することができる。
また、得られた膨張黒鉛シート用材料は、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に容易に加工することが可能な可撓性に優れた膨張黒鉛シートを製造することができる。
さらに、第1純化工程でハロゲンガスと接触する膨張黒鉛の表面積が大きくなり、不純物を容易に取り除くことができる。
上記膨張工程は、黒鉛層間化合物を急速に加熱し、層間に挿入された化合物等のガス化させて黒鉛層間化合物の層間を広げて、膨張黒鉛を得る工程である。
上記膨張工程に用いる黒鉛層間化合物は、層間に原子、分子、化合物等が挿入された黒鉛層間化合物としては、層間に硫酸、硝酸等を有する層間化合物であることが望ましい。
上記膨張工程に用いる黒鉛層間化合物としては、平均粒子径0.1〜10mmである。
上記黒鉛層間化合物の平均粒子径が0.1mm未満であると、加熱して膨張させた際、膨張黒鉛の粒子が細かく破断され、圧縮により固まりにくく、一方、平均粒子径が10mmを超えると、加熱してもゆっくり熱が伝達するため、膨張しにくく、圧縮した際、収縮率が小さく、やはりクラック等が発生しやすくなる。
上記膨張工程に用いる黒鉛層間化合物としては、平均粒子径が0.2〜5mmのものであることが望ましい。
上記黒鉛層間化合物の平均粒子径を上記範囲とすることにより、得られる膨張黒鉛用材料のかさ密度及び粒子の長さの平均値を上述した範囲に好適に調整することができる。
なお、上記平均粒子径とは、JIS Z 8815−1994(ふるい分け試験方法通則)に準じて粒度分布を測定し、算術目盛のグラフに表示された粒度分布の積算値におけるふるい上百分率が50%に相当する粒子径である。
上記膨張工程において上記黒鉛層間化合物を加熱する温度としては、例えば、150〜1200℃であることが望ましい。加熱時間は、0.1〜60秒であることが望ましい。また、加熱雰囲気は、大気中でも不活性雰囲気中でもよい。
上記膨張工程において、上記黒鉛層間化合物は、膨張率(膨張工程後の黒鉛層間化合物の体積/膨張工程前の黒鉛層間化合物の体積)が100倍以上であることが望ましく、300倍以上であることがより望ましい。
上述した条件で加熱し、上述した範囲の膨張率となるように膨張工程を行うことにより、得られる膨張黒鉛用材料のかさ密度及び粒子の長さを上述した範囲に好適に調整することができる。
上記第1純化工程は、上記膨張黒鉛をハロゲンガス中で加熱し純化し、上記膨張黒鉛に含まれる不純物を除去する工程である。
上記第1純化工程としては、例えば、以下の工程を有することが望ましい。
まずは、膨張黒鉛を、ハロゲンガス雰囲気下において加熱し、安定な炭化物、酸化物をつくる、ホウ素やバナジウム等の不純物を除去する。
上記第1純化工程では、1000℃以上で加熱を行うことが望ましく、1500℃以上で加熱を行うことがより望ましい。加熱時間は、1〜10時間が望ましい。
上記第1純化工程では、減圧下で加熱を行うことがより望ましい。
圧力としては、0.2Pa〜0.1MPaの減圧下で行うことが望ましく、0.5Pa〜0.05MPaの減圧下で行うことがより望ましい。減圧化で高純度化することにより、発生した不純物を速やかに系外に除去することができる。
上記第1純化工程に用いるハロゲンガスとしては、塩素、トリクロロメタン、ジクロロメタン、モノクロロメタン、フッ素、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、モノフルオロメタン、モノクロロトリフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、テトラフルオロエタン、モノクロロエタン、モノクロロフルオロエタン、モノクロロジフルオロエタン、モノクロロトリフルオロエタン、ジクロロエタン、ジクロロモノフルオロエタン、ジクロロジフルオロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、トリクロロエタン、トリクロロモノフルオロエタン、トリクロロジフルオロエタン、テトラクロロエタン等が挙げられ、これらのなかでは、塩素が望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料の製造方法において、上記第1純化工程の前あるいは後に、上記膨張黒鉛を水素ガス中で加熱し純化する第2純化工程を有することが望ましい。
上記第1純化工程の後に、上記膨張黒鉛を水素ガス中で加熱し純化する第2純化工程を有することにより、膨張させるために使用した硫酸等に起因する硫黄等、炭素と結合しやすい不純物を除去する。
上記第2純化工程は、加熱された真空炉内に水素を導入することにより行うことが望ましい。
上記第2純化工程において、真空炉内の温度は800℃以上とすることが望ましく、1400℃以上とすることがより望ましい。真空炉内の温度は3000℃以下とすることが望ましく、2500℃以下とすることがより望ましい。
上記第2純化工程では、真空炉内に水素を100Pa〜10kPaとなるよう導入することが望ましい。
上記第2純化工程は、1時間以上行うことが望ましく、3時間以上行うことがより望ましい。
(膨張黒鉛シート)
本発明の膨張黒鉛シートは、上記膨張黒鉛シート用材料を圧縮してなることを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シートは、上述したように、加工性に優れる膨張黒鉛シート用材料を用いているため、圧縮により得られた膨張黒鉛シートは、割れや欠け等を発生させずに、坩堝形状等の複雑な形状に加工することができる。
本発明の膨張黒鉛シートは、上記膨張黒鉛シート用材料を圧縮してなるため、上記膨張黒鉛シート用材料よりも密度が増加している。
本発明の膨張黒鉛シートは、密度が0.3〜1.2g/cmであることが望ましく、0.5〜1g/cmであることがより望ましい。
上記膨張黒鉛シートの密度が上述した範囲であると、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができ、金属の蒸気、生成ガス等が基材を侵食しにくくすることができる。
本発明の膨張黒鉛シートの厚さは、0.2〜3mmが好ましく、0.5〜2mmがより好ましい。
本発明の膨張黒鉛シートでは、厚さが0.2mm以上であるので、膨張黒鉛シートを用いた装置や、機器等に金属の蒸気、生成ガス等が到達しにくく、充分に保護することができる。
また、本発明の膨張黒鉛シートでは、厚さが3mm以下であり、余り厚すぎないので、曲げたときに剥がれ等の損傷が発生しにくい。
本発明の膨張黒鉛シートは、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、シリコン単結晶引き上げ装置、高温処理炉、核融合炉、原子炉、ホットプレス装置等の装置内あるいは炉内を構成する部材(例えば、保温筒、断熱材、タイトボックス、壁材等)、イオン注入装置用部品の一部として使用することが望ましい。
図1は、本発明の膨張黒鉛シートの好ましい用途である金属溶融用の坩堝の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す金属溶融用の坩堝1は、外層2と、内層3とから構成されており、内層3が、膨張黒鉛シート4により保護されている。
本発明の膨張黒鉛シートは、加工性に優れるため、金属溶融用の坩堝、セラミック材料の焼成用治具、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品等に好適に使用することができ、金属の蒸気や、生成ガス等を好適に遮蔽することができる。
また、上記膨張黒鉛シートは、劣化しても繰り返し形成することができるので、上記機器や装置等を長く使用することができる。
金属溶融用の坩堝の具体例としては、黒鉛からなる坩堝の表面に膨張黒鉛シートが形成されたもので、金、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、珪素等の少なくとも1種、又はこれ等の合金の少なくとも1種を用いて金属を蒸着する際の坩堝として使用される。
セラミック材料の焼成用治具の具体例としては、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック等、非酸化物セラミックの焼成用治具として用いられ、多孔質の黒鉛板やアルミナの表面に膨張黒鉛シートが形成されている。
単結晶引き上げ装置用部品の具体例としては、シリコン単結晶引き上げの際の坩堝として使用され、黒鉛坩堝の表面に膨張黒鉛シートが形成され、さらに内側に石英坩堝が配置されえる。
イオン注入装置用部品の具体例としては、イオン注入装置の開口部等、種々の部品であって、黒鉛部品の表面に膨張黒鉛シートが形成されたものである。
(膨張黒鉛シートの製造方法)
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法は、上記膨張黒鉛シート用材料、又は、上記膨張黒鉛シート用材料の製造方法により得られる膨張黒鉛シート用材料を、プレスする成形工程を有することを特徴とする。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法では、上述したように、加工性に優れる膨張黒鉛シート用材料を用いているため、プレスして作製した膨張黒鉛シートは、坩堝形状等の複雑な形状に加工することができる。
上記成形工程において、上記膨張黒鉛シート用材料をプレスする方法としては特に限定されず、プレス成形等、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。
上記膨張黒鉛シート用材料をプレスする際に加える圧力(積層方向に加える圧力)としては、0.01〜100MPaの圧力を加えることが望ましい。
上述した範囲で圧力を加えることにより、得られる膨張黒鉛シートの密度を好適な範囲に調整することができる。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法において、上記成形工程は、圧延又は型成形であることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シートの製造方法において、上記成形工程が、圧延又は型成形であることにより、膨張黒鉛シートが面方向に配向し易くなるため、金属の蒸気、生成ガスに対する遮蔽効果をより高くすることができる。また、型成形法を採用することにより、坩堝等の特定の用途に加工するのに好適な形状の膨張黒鉛シートを製造することができる。
上記圧延とは、例えば素材を回転する2本のロールの間に入れて延伸し,シート状物等を製造する方法である。
上記型成形とは、素材を金型等の型に載置するか、密閉された型に押し込み、プレスして所定の形状のものを作製する方法である。本発明の場合、膨張黒鉛シートであるので、型成形により、例えば、坩堝のなかに組み込んだ際、坩堝の形状に合致するような形のシートを作製する方法であることが望ましい。
上記圧延又は型成形では、上記膨張黒鉛シートの表面を押圧し、平坦な面を形成するとともに、上記膨張黒鉛シートの表面に近い膨張黒鉛を面方向に配向させることが望ましい。
本発明の膨張黒鉛シート用材料は、加工性に優れ、坩堝形状等の複雑な形状に加工することが可能であるため、セラミック材料の焼成用治具、金属溶融用の坩堝、単結晶引き上げ装置用部品又はイオン注入装置用部品等に使用することができる。
1 金属溶融用の坩堝
2 外層
3 内層
4 膨張黒鉛シート

Claims (7)

  1. 不純物含有量が、20質量ppm以下であり、
    かさ密度が、0.001〜0.05g/cmであり、
    粒子の長さの平均値が、0.2〜50mmである
    ことを特徴とする膨張黒鉛シート用材料。
  2. 前記膨張黒鉛シート用材料は、硫黄含有量が10質量ppm以下である請求項1に記載の膨張黒鉛シート用材料。
  3. 請求項1又は2に記載の膨張黒鉛シート用材料を圧縮してなることを特徴とする膨張黒鉛シート。
  4. 平均粒子径0.1〜10mmの黒鉛層間化合物を加熱し、膨張させて膨張黒鉛を得る膨張工程と、
    前記膨張黒鉛をハロゲンガス中で加熱し、純化する第1純化工程と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の膨張黒鉛シート用材料の製造方法。
  5. 前記第1純化工程の前あるいは後に、前記膨張黒鉛を水素ガス中で加熱し純化する第2純化工程を有する請求項4に記載の膨張黒鉛シート用材料の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の膨張黒鉛シート用材料、又は、請求項4若しくは5に記載の膨張黒鉛シート用材料の製造方法により得られる膨張黒鉛シート用材料を、プレスする成形工程を有することを特徴とする膨張黒鉛シートの製造方法。
  7. 前記成形工程は、圧延又は型成形である請求項6に記載の膨張黒鉛シートの製造方法。
JP2019222300A 2019-12-09 2019-12-09 膨張黒鉛シート用材料、膨張黒鉛シート、膨張黒鉛シート用材料の製造方法及び膨張黒鉛シートの製造方法 Pending JP2021091564A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115124345A (zh) * 2022-05-16 2022-09-30 中核龙原科技有限公司 一种快中子增值反应堆核测量系统用核石墨及其制备方法

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