以下、本発明の一実施形態に係る足場41(図3参照)の支持装置10(以下、「支持装置10」と呼ぶ。)を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下方向は支持装置10の高さ方向を示し、左右方向は支持装置10の横幅方向を示し、前後方向は支持装置10の奥行方向を示している。
図1(A)は、本実施形態の支持装置10を説明する斜視図である。図1(B)は、本実施形態の支持装置10を説明する上面図である。
図1(A)に示す支持装置10は、建築物のハゼ式折板屋根11のハゼ部12に対して設置される構造である。そして、支持装置10は、主に、枠体部13と、枠体部13の上面側に配設される台座部14と、台座部14の上面に配設される連結機構15と、枠体部13の下面側に配設される複数の固定部16と、を有している。
枠体部13は、その後方側に第1フレーム13Aが配設され、その前方側に第2フレーム13Bが配設され、第1フレーム13Aと第2フレーム13Bとの間に第3フレーム13Cが配設されている。そして、第4フレーム13D及び第5フレーム13Eは、枠体部13の左右方向の両端側にて、第1〜第3フレーム13A〜13Cに対して溶接固定されている。尚、第1〜第3フレーム13A〜13Cは、例えば、カラーC型鋼材から形成され、第4〜第5フレーム13D〜13Eは、例えば、等辺山形鋼材から形成されている。
図示したように、枠体部13は、第1フレーム13A、第2フレーム13B、第4フレーム13D及び第5フレーム13Eが枠状に溶接固定され、第3フレーム13Cが、第1フレーム13Aと第2フレーム13Bとの間であり、枠体部13の奥行方向の中心CL2(図1(B)参照)よりも第2フレーム13B側に配設されている。そして、第1〜第3フレーム13A〜13Cは、その上面側にカラーC型鋼材の開口領域が位置するように配設されている。第4〜第5フレーム13D〜13Eは、第1〜第3フレーム13A〜13CのカラーC型鋼材の折り返し領域に対して溶接固定されることで、枠体部13での溶接領域が増大している。
台座部14は、第4フレーム13Dと第5フレーム13Eとの間であり、枠体部13の左右方向の中心CL1(図1(B)参照)に配設されている。台座部14は、例えば、カラーC型鋼材から形成され、その下面側にカラーC型鋼材の開口領域が位置するように、枠体部13の上面に溶接固定されている。図示したように、台座部14と第1〜第3フレーム13A〜13Cとは、お互いにカラーC型鋼材の折り返し領域にて溶接固定されることで、溶接領域が増大している。
つまり、枠体部13の第1〜第3フレーム13A〜13Cの左右方向の両端部では、それぞれと交差するように、第4〜第5フレーム13D〜13Eが溶接固定されている。更に、枠体部13の第1〜第3フレーム13A〜13Cの中央CL1では、それぞれと交差するように、台座部14が溶接固定されている。
この構造により、第1〜第3フレーム13A〜13Cは、外力により捻じれ難い構造となる。そして、足場41(図3参照)との連結部材31(図2参照)から支持装置10に外力が加わり、枠体部13に捻じれ等が発生した場合でも、上記外力により枠体部13が破損することが防止され、支持装置10は、安定した状態にて足場41を支持することができる。
連結機構15は、連結部材31(図2参照)、例えば、単管パイプと連結し、足場41の上端側がハゼ式折板屋根11に対して固定される。そして、連結機構15は、主に、台座部14の上面に固定される支持部15Aと、支持部15Aにより回動自在に支持される連結棒部15Bと、連結棒部15Bの先端側に配設されるストッパー部15Cと、連結棒部15Bを台座部14に対して直立状態に支持する固定ピン部15Dと、を有している。
支持部15Aは、第1フレーム13Aと第2フレーム13Bとの間の台座部14上面であり、枠体部13の奥行方向の中心CL2(図1(B)参照)に配設されている。支持部15Aは、例えば、溝型鋼材から形成され、台座部14の上面に溶接固定されている。そして、支持部15Aの長手方向における断面形状は略コの字形状であり、支持部15Aは第2フレーム13B側に溝型鋼材の開口領域が位置するように配設されている。
連結棒部15Bは、例えば、単管パイプを所望の長さに切断して形成され、その下端側にて支持部15Aに対して回動自在にピン連結されている。連結棒部15Bは、直立状態時において、その大部分が支持部15Aの内側に収納されるように支持され、支持部15Aよりも長く形成されている。そして、連結棒部15Bは、台座部14の上面に横たわる状態から支持部15Aに沿って直立する状態までの約90度の範囲にて回動することができる。連結棒部15Bは、連結部材31の設置時の角度に合わせて回動することができると共に、設置後も連結部材31の動きに連動して可動することができる。
上述したように、支持部15Aは、連結棒部15Bを回動自在に支持できる長さがあればよく、連結棒部15Bが、支持部15Aよりも長い構造となる。この構造により、支持装置10を積層して収納する場合でも、支持部15Aが邪魔になることが防止され、その収納性や搬送性が向上される。
一対のストッパー部15Cが、連結棒部15Bの上端側であり、連結棒部15Bの外周面に突起するように配設されている。ストッパー部15Cは、例えば、ピン状の鋼材であり、連結棒部15Bに形成された一対の孔部(図示せず)に対して挿通し、その両端部を加締め加工することで、連結棒部15Bを貫通した状態にて配設されている。
固定ピン部15Dは、チェーン等の一端側に配設されている。支持部15Aには、その左右方向に貫通する一対の孔部15Eが同一の高さに形成され、連結棒部15Bにも、その左右方向に貫通する一対の孔部15Fが形成されている。そして、連結棒部15Bが、台座部14に対して直立状態となった際に、両孔部15E、15Fは左右方向に重なって配列され、固定ピン部15Dは、両孔部15E、15Fに対して挿通されることで、連結棒部15Bは、上記直立状態を維持することができる。
固定部16は、ハゼ金具であり、例えば、第1フレーム13Aに形成された取付け孔21、22(図1(B)参照)及び第2フレーム13Bに形成された取付け孔23、24(図1(B)参照)を介してそれぞれ第1フレーム13A及び第2フレーム13Bに対してボルト固定されている。
図示したように、固定部16は、ハゼ式折板屋根11のハゼ部12を挟み込むことで、支持装置10はハゼ式折板屋根11の上面に固定される。固定部16は、ハゼ式折板屋根11のハゼ部12間のスパンに合わせて配設されている。そして、ハゼ部12は、ハゼ式折板屋根11の勾配に合わせて上流側端部(屋根の頂部)から下流側端部(屋根の軒先)まで連続して形成されているため、支持装置10は、ハゼ式折板屋根11の任意の箇所に設置可能となる。
尚、固定部16は、第1フレーム13A及び第2フレーム13Bに対して4箇所配設される場合に限定されるものではなく、第3フレーム13Cに対してもハゼ部12間のスパンに合わせて1対配設し、支持装置10が、合計6箇所の固定部16にてハゼ式折板屋根11上面に固定される場合でも良い。
図1(B)では、支持装置10を上面側からみた状態を示している。上述したように、枠体部13は、その前方側から後方側に向けて第2フレーム13B、第3フレーム13C及び第1フレーム13Aが、略平行に配列されている。そして、第1フレーム13A及び第2フレーム13Bには、固定部16(図1(A)参照)であるハゼ金具がボルト固定されるための複数の取付け孔21、22、23、24が形成されている。取付け孔21〜24が複数形成されることで、ハゼ式折板屋根11(図1(A)参照)のハゼ部12(図1(A)参照)の様々なスパンに対応することができる。尚、図1(B)では、説明の都合上、固定部16は省略して図示している。
図示したように、第1フレーム13Aには、その長手方向に渡り複数の取付け孔21、22が形成されている。第1フレーム13Aの中心CL1よりも左側の取付け孔21は、使用されるボルト(図示せず)の径と略同等の大きさの円状の開口部となる。一方、第1フレーム13Aの中心CL1よりも右側の取付け孔22は、楕円形状の開口部となり、取付け孔21よりも紙面左右方向に長い開口部となる。具体的には、取付け孔22は、第1フレーム13Aの長手方向に沿って長い開口幅を有し、その長さは、使用されるボルトの径の約1.5倍であり、取付け孔22の短い開口幅の長さは、使用されるボルトの径と略同等の長さである。
この構造により、作業者は、支持装置10をハゼ式折板屋根11に取り付ける際に、最初に取付け孔21側の固定部16をハゼ部12(図1(A)参照)に固定した後、取付け孔22側の固定部16をハゼ部12に固定する。つまり、取付け孔22が楕円形状の開口部となることで、普段、ハゼ金具に慣れていない人でも、取付け孔22のクリアランスを利用しながら簡単に固定部16をハゼ部12に取り付けることができる。尚、少なくとも取付け孔21は、ボルトの径と略同等の大きさの開口部となることで、固定部16の固定状態が緩み、支持装置10がハゼ部12から外れ易くなることが防止される。
尚、図示したように、第2フレーム13Bの取付け孔23、24に関しても、上述した第1フレーム13Aの取付け孔21、22と同等の構造であり、上述した説明を参照し、ここではその説明を割愛する。
図2は、本実施形態の支持装置10をハゼ式折板屋根11上に設置した状況を説明する斜視図である。図3は、本実施形態の支持装置10をハゼ式折板屋根11上に設置し、足場41を支持する状況を説明する斜視図である。
図2に示す如く、ハゼ式折板屋根11は、紙面後方側から前方側へと向けて傾斜している。そして、固定部16である4箇所のハゼ金具が、ハゼ式折板屋根11のハゼ部12を挟み込むことで、支持装置10は、ハゼ式折板屋根11の上面に設置されている。一方、支持装置10の連結棒部15Bには、足場41(図3参照)と支持装置10とを連結させる連結部材31、例えば、単管パイプの一端側が、自在クランプ32、33を介して連結されている。
上述したように、連結棒部15Bは、支持部15Aに対して回転自在にピン連結され、連結棒部15Bは、台座部14の上面から支持部15Aまでの約90度の範囲にて回動することができる。この構造により、連結棒部15Bは、連結部材31の長手方向に沿って一直線状となる様に連結部材31と連結することができる。そして、足場41が強風等により前後方向に揺れ、足場41が建築物から離れる方向へと傾斜することで、連結棒部15Bには連結部材31を介して引っ張られる外力が加わる。上記引っ張られる外力が加わった際に、連結棒部15Bと連結部材31とが一直線状の位置関係にあることで、出来る限りの大きい反力にて連結部材31をハゼ式折板屋根11側へと引っ張り返すことができる。
つまり、連結棒部15Bは、連結部材31と連結した状態においても、上記約90度の範囲にて回動することができるので、足場41の揺れにより、連結部材31とハゼ式折板屋根11との成す角度が変わった場合でも、連結棒部15Bも連動して回動することができる。そして、連結棒部15Bと連結部材31とが上記一直線状の位置関係に近づく様になることで、出来る限り大きい反力にて足場41の上端側を支持することができる。
尚、足場41が建築物側へと傾斜し、連結棒部15Bに連結部材31を介してハゼ式折板屋根11側へと押し込む外力が発生した場合でも、連結棒部15Bと連結部材31とが上記一直線状の位置関係または上記一直線状に近い位置関係を維持することで、出来る限りの大きい反力にて連結部材31を足場41側へと押し返すことができる。そして、足場41が、建築物側へと倒れることを防止することができる。
更に、一対のストッパー部15Cが、連結棒部15Bの上端側であり、連結棒部15Bの外周面に突起するように配設されている。そして、少なくとも2個の自在クランプ32、33が、ストッパー部15Cと支持部15Aとの間にて、連結棒部15Bと連結部材31とを連結するスペースを有するように、ストッパー部15Cが、連結棒部15Bの上端側に配設されている。
この構造により、連結棒部15Bと連結部材31とは、2個の自在クランプ32、33により強固に連結することができる。特に、連結部材31を介して連結棒部15Bを引っ張る外力が発生し、連結部材31が連結棒部15Bから引き抜かれそうになった場合には、先ずは、自在クランプ33が、ストッパー部15Cに引っ掛かることで、連結部材31が連結棒部15Bから引き抜かれることが防止される。
上述したように、枠体部13は、少なくとも第1フレーム13A及び第2フレーム13Bの下面にて固定部16を介してハゼ部12に対して固定される。この構造により、上記引っ張られる外力や押し込む外力に対して、図11に示す従来の支持部材102による線として対抗するのではなく、枠体部13としての面として対抗することで、支持装置10はハゼ部12から外れ難くなり、より強固に足場41(図3参照)を支持することができる。また、個々の固定部16に加わる外力を分散することができるので、個々の固定部16への負荷やハゼ部12を含めたハゼ式折板屋根11への負荷を和らげ、固定部16の破損やハゼ部12の破損を防止することができる。
図3に示す如く、足場41は、建築現場の作業者が鉄筋組み作業や型枠の建込作業、外壁や屋根の設置作業等を行う際の通路として用いられる。上記作業効率を高めるためや屋根の端部構造を避けるため、足場41は、通常、建築物よりも高く組まれている。そして、足場41は、強風や作業員の移動による振動等により揺れ易い構造となっているが、上述した支持装置10をハゼ式折板屋根11上に複数設置し、連結部材31を介して複数箇所にて足場41の上端側をハゼ式折板屋根11に対して固定することで、足場41の安定性を大幅に向上させることができる。尚、図3では、説明の都合上、ハゼ部12は省略して図示している。
上述したように、ハゼ部12(図2参照)は、ハゼ式折板屋根11の勾配に合わせて上流側端部(屋根の頂部)から下流側端部(屋根の軒先)まで連続して形成されており、支持装置10は、連結部材31の長さや角度に応じてハゼ式折板屋根11の任意の箇所に設置することが可能である。そして、第1フレーム13A(図1(B)参照)と第2フレーム13B(図1(B)参照)とのスパンをハゼ部12間のスパンに対応させることで、ハゼ式折板屋根11の軒先側の足場41だけでなく、ハゼ式折板屋根11の側方側の足場41に対しても支持装置10及び連結部材31を介して足場41を支持することができる。
この構造により、連結部材31がハゼ式折板屋根11のハゼ部12に届く範囲内においては、支持装置10は、建築物の周囲のあらゆる位置の足場41も支持することができる。そして、支持装置10では、枠体部13が面として機能し、足場41の揺れ等に起因する引っ張られる外力や押し込む外力に対抗することができ、足場41の安定性を大幅に向上させることができる。
尚、本実施形態では、支持装置10は、連結部材31と連結し、足場41を支持する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、支持装置10を一定間隔にてハゼ式折板屋根11の端部に沿って配設し、連結棒部15Bの先端側に1m程度の単管パイプを取り付けることで、親綱の取付け装置として用いることもできる。上述したように、連結棒部15Bは、固定ピン部15Dを介して支持部15Aに対して直立状態を維持することができ、各支持装置10に対して親綱を張ることで、作業者は、安全帯を親綱に連結させながら、建築物からの落下を防止することができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
次に、本発明の他の実施形態に係る足場41(図3参照)の支持装置50(以下、「支持装置50」と呼ぶ。)を図面に基づき詳細に説明する。そして、支持装置50は、建築物の重ね式折板屋根51に対して設置される構造であり、上述したハゼ式折板屋根11に設置される支持装置10とは、固定部52による固定構造が異なるが、その他の構成部材は実質同一である。そのため、以下の説明では、支持装置10と異なる構造を中心に説明し、同一の構成部材には、同一の符番を付し、図1から図3の説明を参照し、ここではその説明を割愛する。
図4(A)は、本実施形態の支持装置50を説明する斜視図である。図4(B)は、本実施形態の支持装置50を説明する下面図である。
図4(A)に示す支持装置50は、建築物の重ね式折板屋根51に対して設置される構造である。そして、支持装置50は、主に、枠体部13と、枠体部13の上面側に配設される台座部14と、台座部14の上面に配設される連結機構15と、枠体部13に配設される複数の固定部52と、を有している。
重ね式折板屋根51は、建築物の梁部(図示せず)上面に溶接固定されたタイトフレーム(図示せず)の剣先ボルト52Aにて貫通され、タイトフレーム上にナット52B、座金52C及びパッキン(図示せず)を介して固定されている。そして、支持装置50は、重ね式折板屋根51の上記剣先ボルト52A、ナット52B及び座金52Cと、第3フレーム13Cの取付け孔53、54(図4(B)参照)と、を固定部52として利用することで、重ね式折板屋根51上面に設置される。
図4(B)に示す如く、第3フレーム13Cには、その長手方向に渡り複数の取付け孔53、54が形成されている。第3フレーム13Cの中心CL1に位置する台座部14の左右両側には、重ね式折板屋根51の山部間のスパン(剣先ボルト52A間のスパン)に合わせて複数の取付け孔53が形成されている。そして、取付け孔53は、剣先ボルト52Aの径と同等の大きさの円状の開口部となる。
一方、第3フレーム13Cの中心CL1には、取付け孔53よりも開口面積が大きい円状の取付け孔54が形成されている。図示したように、取付け孔54は、台座部14の下面に位置するため、支持装置50を重ね式折板屋根51に設置する際、作業者は、支持装置50の上方からは取付け孔54の位置を確認し難い。そこで、取付け孔54の開口面積を大きくすることで、作業者は、取付け孔54に対して剣先ボルト52Aを挿通し易くなり、設置作業性を向上させることができる。
この構造により、支持装置50は、タイトフレームの配設領域に合わせて重ね式折板屋根51の上面に設置され、その設置状態では、第1〜第3フレーム13A〜13Cが、重ね式折板屋根51の山部と当接した状態となる。
図2を用いて上述したように、足場41(図3参照)が強風等により前後方向に揺れ、足場41が建築物から離れる方向へと傾斜することで、連結棒部15Bには連結部材31を介して引っ張られる外力が加わる。上記引っ張られる外力が加わった際に、連結棒部15Bと連結部材31とが一直線状の位置関係になることで、出来る限りの大きい反力にて連結部材31を重ね式折板屋根51へと引っ張り返すことができる。
そして、図4(A)に示す支持装置50の設置状態では、上記引っ張られる外力が加わることで、枠体部13には重ね式折板屋根51の軒先側へと回転する方向への力が加わる。このとき、支持装置50では、第3フレーム13Cは、重ね式折板屋根51に固定されると共に、第3フレーム13Cは、連結機構15の支持部15Aよりも軒先側の第2フレーム13Bの近くに配設されている。この構造により、支持装置50が、足場41に引っ張られる際に、第2フレーム13B及び第3フレーム13Cが重ね式折板屋根51に当接し、支持装置50が、重ね式折板屋根51から外れない様に固定状態を維持することができる。また、第3フレーム13Cに加わる外力が分散することで、上記固定領域の重ね式折板屋根51や剣先ボルト52Aが破損し難くなる。
尚、足場41が建築物側へと傾斜し、連結棒部15Bに連結部材31を介して重ね式折板屋根51側へと押し込む外力が発生する。そして、この場合でも、連結棒部15Bと連結部材31とが上記一直線状の位置関係または上記一直線状に近い位置関係を維持することで、出来る限りの大きい反力にて連結部材31を足場41側へと押し返すことができる。そして、足場41が、建築物側へと倒れることを防止することができる。
また、上記押し込む外力が加わることで、枠体部13には重ね式折板屋根51の頂部側へと回転する方向への力が加わる。このとき、支持装置50では、第1フレーム13A及び第3フレーム13Cが重ね式折板屋根51に当接し、重ね式折板屋根51から外れない様に固定状態を維持することができる。そして、第3フレーム13Cに加わる外力が分散することで、上記固定領域の重ね式折板屋根51や剣先ボルト52Aが破損し難くなる。
また、重ね式折板屋根51への支持装置50の設置箇所は、支持装置10と比較すると、タイトフレームの設置位置により制約を受けるが、支持装置50は、建築物の軒先側だけでなく、その周囲の足場41も支持することができる。そして、支持装置50では、枠体部13が面として機能し、足場41の揺れ等に起因する引っ張られる外力や押し込む外力に対抗することができ、足場41の安定性を大幅に向上させることができる。
尚、支持装置50では、図4(A)に示すように、支持装置10の固定部16を取り付けた状態にて重ね式折板屋根51に設置される場合でも良い。この場合、固定部16であるハゼ金具が、重ね式折板屋根51の谷部の間に位置するように、第3フレーム13Cの取付け孔53、54の位置を選択すれば良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
次に、本発明の他の実施形態に係る支持装置60を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。尚、支持装置60の説明では、図1から図4を用いて説明した足場の支持装置10,50と同一の構成部材には、同一の付番を付し、その説明を参照する。
図5(A)及び図5(B)は、本実施形態の支持装置60を説明する斜視図である。図6(A)は、本実施形態の支持装置60の連結機構63の回動制止部65を説明する斜視図である。図6(B)は、本実施形態の支持装置60の枠体部61の取付け孔21,22,23,24,53を説明する上面図である。尚、図6(B)では、中心CL1は、枠体部61の左右方向のセンターラインを示し、中心CL2は、枠体部61の前後方向のセンターラインを示している。
図5(A)に示す如く、支持装置60は、主に、枠体部61と、枠体部61の台座部62の上面に配設される連結機構63と、枠体部61に配設される固定部64と、を有している。そして、図1(A)及び図1(B)を用いて上述したように、建築物の屋根がハゼ式折板屋根11の場合には、固定部64としてハゼ金具が用いられ、上記ハゼ金具がハゼ式折板屋根11のハゼ部12を挟み込むことで、支持装置60は、ハゼ式折板屋根11の任意の箇所に取り付けることが可能となる。
一方、図4(A)及び図4(B)を用いて上述したように、建築物の屋根が重ね式折板屋根51の場合には、固定部64として、重ね式折板屋根51の剣先ボルト52A、ナット52B及び座金52Cが用いられ、第3フレーム13Cの取付け孔53,54を介して支持装置60は、重ね式折板屋根51の上面に取り付けられる。尚、以下の説明では、支持装置60が、ハゼ式折板屋根11の上面に取り付けられる場合について説明するが、重ね式折板屋根51に対しても支持装置60を取り付け、同様な効果を得ることができる。
図5(A)に示す如く、枠体部61は、その後方側に第1フレーム13Aが配設され、その前方側に第2フレーム13Bが配設され、第1フレーム13Aと第2フレーム13Bとの間に第3フレーム13Cが配設されている。そして、第4フレーム13D及び第5フレーム13Eは、枠体部61の左右方向の両端側にて、第1〜第3フレーム13A〜13Cに対して溶接固定されている。
図示したように、台座部62は、枠体部61の一部として配設され、第4フレーム13Dと第5フレーム13Eとの間であり、枠体部61の左右方向の中心CL1(図6(B)参照)に配設されている。そして、台座部62は、例えば、カラーC型鋼材から形成され、第1フレーム13Aと第2フレーム13Bの内側の側面に対して溶接固定されることで、第1フレーム13A及び第2フレーム13Bと略同一高さ位置、つまり、それらの上面が同じ高さ位置なる様に配列されている。
また、第3フレーム13Cは、台座部62との交差領域にて2分割され、それぞれ台座部62の側面に溶接固定されている。この構造により、枠体部61の厚みは、大凡、第1及び第2フレーム13A,13Bの厚みとなり、所望の剛性を維持しつつ薄型化が実現されると共に、枠体部61の鋼材量を低減することで軽量化が実現されている。
図5(A)及び図6(A)に示す如く、連結機構63は、主に、台座部62の上面であり、中心CL1と中心CL2とが交差する略中央に固定される支持部15Aと、支持部15Aにより回動自在にピン連結される連結棒部15Bと、連結棒部15Bの先端側に配設されるストッパー部15Cと、連結棒部15Bを台座部62に対して直立状態に固定する回動制止部65と、支持部15Aに配設される挿入受け部66と、を有している。そして、連結機構63の構造及び動作は、図1から図4を用いて上述した連結機構15と同様であり、支持装置60では、主に、回動制止部65及び挿入受け部66の構造が相違する。
図6(A)に示すように、回動制止部65は、例えば、円柱形状の鉄鋼材を曲げ加工して形成され、その先端部には、係止ピン67を着脱自在に挿入するための係止孔65Aが形成されている。そして、支持部15Aは、その断面形状が略コの字形状の柱状部材であり、その左右方向の横側面68には、その左右方向に貫通する一対の孔部15E(図1(A)参照)が同一の高さに形成されている。また、連結棒部15Bにも、その左右方向に貫通する一対の孔部15F(図1(A)参照)が形成されている。
この構造により、連結棒部15Bが、台座部62に対して直立状態となった際に、両孔部15E、15Fは左右方向に重なって配列され、回動制止部65は、両孔部15E、15Fに対して挿通されることで、連結棒部15Bは、上記直立状態を維持することができる。そして、係止ピン67が、回動制止部65の係止孔65Aに挿入されることで、回動制止部65が両孔部15E、15Fから抜けることが防止される。更には、回動制止部65が、支持部15Aの前面開口側を塞ぐように配設されることで、より確実に連結棒部15Bの上記直立状態を維持することができる。尚、回動制止部65には、連結用チェーン69が連結され、連結用チェーン69は、支持部15Aの下端部近傍に連結されている。
図6(B)に示す如く、枠体部61の第1フレーム13A及び第2フレーム13Bには、固定部64としてのハゼ金具がボルト固定されるための複数の取付け孔21,22,23,24が形成されている。この構造により、支持装置60は、ハゼ式折板屋根11(図1(A)参照)のハゼ部12(図1(A)参照)の様々なスパンに対応することができる。尚、図6(B)では、説明の都合上、連結棒部15B、固定部64及び回動制止部65は省略して図示している。
また、第3フレーム13Cには、その長手方向に渡り複数の取付け孔53が形成されている。第3フレーム13Cの中心CL1に位置する台座部62の左右両側には、重ね式折板屋根51(図4(A)参照)の山部間のスパン(剣先ボルト52A(図4(A)参照)間のスパン)に合わせて複数の取付け孔53が形成されている。そして、取付け孔53は、剣先ボルト52Aの径と同等の大きさの円状の開口部となる。この構造により、支持装置60は、タイトフレームの配設領域に合わせて重ね式折板屋根51の上面に設置され、その設置状態では、第1〜第3フレーム13A〜13Cが、重ね式折板屋根51の山部と当接した状態となる。
ここで、図5(B)に示す如く、支持装置60では、連結機構63の支持部15Aの前面開口部を右側に向けて配設する場合でも良い。図1及び図3に示すように、ハゼ式折板屋根11のハゼ部12は、通常、一方向に並列に配列されるため、建築物の左右側方の足場41を支持する為には、支持装置60を90度回転して設置する必要がある。しかしながら、支持装置60では、支持部15Aの前面開口部の向きを90度変えることで、支持装置60の設置方向を変更することなく対応することが出来る。尚、図示していないが、支持装置60では、同様に、連結機構63の支持部15Aの前面開口部を左側や後方側に向けて配設する場合でも良い。
次に、図7から図10を用いて、本実施形態の支持装置60の使用状況を説明する。図7は、本実施形態の支持装置60を用いて、ハゼ式折板屋根11上に親綱74を設置した状況を説明する斜視図である。図8は、本実施形態の支持装置60を用いて、ハゼ式折板屋根11上に建築資材83を載置する状況を説明する斜視図である。図9は、本実施形態の支持装置60を用いて、ハゼ式折板屋根11上に足場板84を設置した状況を説明する斜視図である。図10は、本実施形態の支持装置60を用いて、ハゼ式折板屋根11を利用して店舗看板91を支持した状況を説明する斜視図である。
尚、本実施形態では、下記連結部材31の一例である単管パイプ、親綱74、建築資材83、足場板84、店舗看板91が、特許請求の範囲に記載する被支持対象物に該当し、それらの被支持対象物は、支持装置60に支持されることで、ハゼ式折板屋根11等の建築物の屋根から離間した状態を実現している。
先ず、図2に示す如く、支持装置60は、支持装置10と同様に、足場41(図3参照)を安全に支持することができる。そして、支持装置60は、固定部64としてハゼ金具を用いて、ハゼ式折板屋根11のハゼ部12を挟み込むことで、ハゼ式折板屋根11の上面に設置される。支持装置60の連結棒部15Bには、足場41と支持装置60とを連結させる連結部材31、例えば、単管パイプの一端側が、自在クランプ32,33を介して連結される。
この構造により、支持装置60では、支持装置10と同様に、連結棒部15Bは、連結部材31と連結した状態においても、約90度の範囲にて回動し、足場41の揺れにより、連結部材31とハゼ式折板屋根11との成す角度が変わった場合でも、連結棒部15Bも連動して回動することができる。そして、連結棒部15Bと連結部材31とが上記一直線状の位置関係に近づく様になることで、出来る限り大きい反力にて足場41の上端側を支持することができる。
尚、図示していないが、建築現場等の状況によりクレーン車が利用出来ない場合には、建築資材83(図8参照)等を吊り上げるための荷揚げ装置(図示せず)を足場41に設置する。この場合、その荷揚げ装置を設置するための追加足場(図示せず)が、足場41の上端部に組み上げられる。そして、その一端側が追加足場と連結した連結部材31、例えば、単管パイプの一端側が、自在クランプ32,33を介して、支持装置60に連結されることで、支持装置60は、追加足場を安全に支えることができる。
次に、図7に示す如く、支持装置60は、作業者の安全帯のフック(図示せず)を引っ掛ける親綱74を支持することができる。例えば、複数の支持装置60は、ハゼ式折板屋根11の軒先に沿って一定間隔にて設置される。個々の支持装置60では、上述したように、連結機構63の回動制止部65を介して、連結棒部15Bが、台座部62に対して直立状態に固定されている。そして、連結棒部15Bの先端側に配設されるストッパー部15C(図6(A)参照)を利用して、連結棒部15Bの先端に単管ジョイント71を連結し、単管ジョイント71の先端に1m程度の単管パイプ72を連結している。
上記構造により、個々の支持装置60では、枠体部61の略中心に1m程度の単管パイプ72が直立した状態となる。そして、単管パイプ72の先端側に、例えば、オーフ型やフック型のパイプハンガ73を取り付け、そのパイプハンガ73を利用して親綱74を配置する。その結果、作業者は、安全帯のフックを親綱74に引っ掛けながら作業を行うことで、落下事故等を防止し、安全な作業を行うことができる。尚、単管ジョイント71、単管パイプ72及びパイプハンガ73が、特許請求の範囲に記載する連結部材に該当する。
次に、図8に示す如く、支持装置60は、対向して配置された連結機構63の挿入受け部66を利用して、ハゼ式折板屋根11の上方に建築資材83等を載置することができる。例えば、4つの支持装置60を準備し、2つの連結機構63の挿入受け部66が対向するように、ハゼ式折板屋根11に設置する。尚、この使用態様では、個々の支持装置60では、上述したように、連結機構63の回動制止部65を介して、連結棒部15Bが、台座部62に対して直立状態に固定される場合でも、固定されない場合でも良い。
図示したように、挿入受け部66は、主柱部15Aの前面開口部の反対側である背側面70(図6(A)参照)に溶接固定されている。挿入受け部66間と同じ長さの楔式パイプ81,82の両先端部が、それぞれ上記一対の支持装置60の挿入受け部66に対して挿入され、楔式パイプ81,82は上記一対の支持装置60の挿入受け部66間を架橋する。そして、楔式パイプ81,82は、ハゼ式折板屋根11から一定の隙間分だけ離間すると共に、楔式パイプ81,82は、建築資材83の大きさや長さに応じて離間している。尚、楔式パイプ81,82が、特許請求の範囲に記載する支持部材に該当する。
この構造により、例えば、クレーン車にて地上からハゼ式折板屋根11へと搬送された建築資材83は、その長手方向の両端側が楔式パイプ81,82にて支持されることで、ハゼ式折板屋根11から離間して載置される。その結果、建築資材83が、直接、ハゼ式折板屋根11の上面に載置されることが防止され、ハゼ式折板屋根11が損傷することが防止される。また、建築資材83は、玉掛け用ロープ(図示せず)等にて持ち上げられるが、建築資材83は、楔式パイプ81,82の上面に載置された後に、上記玉掛け用ロープは外されるため、上記玉掛け用ロープが、建築資材83とハゼ式折板屋根11との間に挟まることがなく、作業性が大幅に向上される。
次に、図9に示す如く、支持装置60は、上記楔式パイプ81,82を利用して足場板84を支持することで、ハゼ式折板屋根11上に作業員の通路を確保することができる。図8を用いて上述したように、2つの挿入受け部66が対向するように、複数の支持装置60が、ハゼ式折板屋根11の作業領域に応じて、ハゼ式折板屋根11に設置される。
具体的には、一対の支持装置60が、それらの挿入受け部66が対向して配設されると共に、一対の支持装置60の組み合わせが、使用する足場板84の長さに応じて離間して配設される。そして、一対の支持装置60の挿入受け部66間が、楔式パイプ81,82にて架橋され、足場板84の両端側のフックが楔式パイプ81,82に引っ掛けられることで、足場板84による通路が、ハゼ式折板屋根11上に形成される。この構造により、作業員が、直接、ハゼ式折板屋根11の上面を歩くことが大幅に低減され、ハゼ式折板屋根11が損傷し難くなると共に、作業員が、安全に作業を行うことができる。
次に、図10に示す如く、支持装置60は、ハゼ式折板屋根11を備えた店舗の上端部に設置された店舗看板91を支持することができる。店舗看板91は、店舗の入り口側の端部や幹線道路沿いの端部に設置され、広い面積を有すると共に、その質量も大きくなる。そのため、ハゼ式折板屋根11側には、店舗看板91を安全に支持する支持構造が必要となり、従来では、ハゼ式折板屋根11に穴を開け、L字アングル等の支持部材を店舗の梁に溶接固定していた。
複数の支持装置60が、店舗看板91の設置箇所周辺のハゼ式折板屋根11に設置される。そして、図2を用いて上述したように、店舗看板91と支持装置60とを連結させる連結部材31、例えば、単管パイプの一端側が、自在クランプ32,33を介して連結される。この構造により、ハゼ式折板屋根11に穴を開けることなく、安全に店舗看板91を支持することができる。
また、図示したように、支持装置60の連結機構63は、支持部15Aのみから形成される場合でも良い。この場合には、店舗看板91と支持装置60とを連結させる連結部材31として、例えば、L字アングルを用い、L字アングルの一端側は店舗看板91の枠体に溶接固定され、L字アングルの他端側を支持部15Aに溶接固定される。あるいは、L字アングルの他端側は、支持部15Aの一対の孔部15E(図1(A)参照)を利用してボルト締結される。この構造により、ハゼ式折板屋根11に穴を開けることなく、安全に店舗看板91を支持することができる。