JP2021088748A - ガス浸炭方法およびガス浸炭装置 - Google Patents

ガス浸炭方法およびガス浸炭装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱処理炉内のワークへ浸炭ガスをより均一に接触させ、安定した品質を確保可能なガス浸炭方法、およびガス浸炭装置を提供する。【解決手段】常圧下の熱処理炉の炉内10aにワーク100を配置する工程と、炉内10aにキャリアガスを供給する工程と、ワーク100が配置された炉内10aを加熱する工程と、加熱後の炉内10aに浸炭ガスを供給してワーク100に対して浸炭を行う工程と、を含み、上記の浸炭を行う工程では、キャリアガスおよび浸炭ガスの少なくとも一方のガスにより、炉内10aの内壁近傍に沿って下方に流れる内壁流Qを形成すると共に、炉内10aの中央近傍において、上方に流れる中央流Uを形成する。【選択図】図2

Description

本発明はガス浸炭方法およびガス浸炭装置に関する。
従来、鋼等の金属の表面層の硬化を目的として浸炭が行われている。特許文献1には浸炭方法の一例として、キャリアガス(担体ガス)およびエンリッチガス(浸炭ガス)を炉内のワークへ供給することで浸炭を行うガス浸炭方法が開示されている。
ここでガス浸炭以外に真空浸炭という浸炭方法が知られている。真空浸炭は、ガス浸炭にくらべて処理時間が短いというメリットがある一方で、真空浸炭では炉内を減圧しなければならないためガス浸炭にくらべて設備費が高価となる。したがって真空浸炭と比較するとガス浸炭はコスト上のメリットを有することに加え、常圧(略大気圧)下で浸炭を行うことで炉内の雰囲気制御が容易であるとのメリットも有するため、現在ではガス浸炭が一般に広く用いられている。
特開2017−166035号公報
ガス浸炭では浸炭ガスを炉内に配置されたワークに接触させることでワークの表面層の浸炭を行う。このため、もし浸炭ガスがワークの表面層の全体に均一に接触しないと、浸炭の度合いにムラが生じてしまう。
本発明は、このような実情に鑑み、熱処理炉内のワークへ浸炭ガスをより均一に接触させ、安定した品質を確保可能なガス浸炭方法、およびガス浸炭装置を提供する。
(1)本発明の一態様に係るガス浸炭方法は、常圧下の熱処理炉内にワークを配置する工程と、前記熱処理炉内にキャリアガスを供給する工程と、前記ワークが配置された前記熱処理炉内を加熱する工程と、加熱後の前記熱処理炉内に浸炭ガスを供給して前記ワークに対して浸炭を行う工程と、を含み、前記浸炭を行う工程では、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスにより、前記熱処理炉内の内壁近傍に沿って第一の方向の一方に流れる内壁流を形成すると共に、前記熱処理炉内の中央近傍において、前記第一の方向の他方に流れる中央流を形成する。
(2)また、上記(1)に記載のガス浸炭方法では、前記浸炭を行う工程では、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを、前記熱処理炉内における天井面または床面において、前記第一の方向としての上下方向に交差する面方向放射状に拡散させることで、前記内壁流を形成してもよい。
(3)また、上記(1)または(2)に記載のガス浸炭方法では、前記熱処理炉内には、前記内壁流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第一供給口、及び、前記中央流に対して前記少なくとも一方のガスを供給する第二供給口が形成されており、前記浸炭を行う工程では、前記第一供給口から供給されるガスの体積流量が、前記第二供給口から供給されるガスの体積流量よりも大きくともよい。
(4)また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のガス浸炭方法では、前記キャリアガスとして、窒素および酸素を含む窒素含有ガス、または、前記窒素含有ガスと鎖式不飽和炭化水素とを混合した混合ガスを使用してもよい。
(5)また、上記(4)に記載のガス浸炭方法では、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素ガス中の前記窒素の体積パーセントを、99.00%以上99.99%以下としてもよい。
(6)また、上記(4)に記載のガス浸炭方法では、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記酸素の体積パーセントを、0.010%以上1.00%以下としてもよい。
(7)また、上記(5)または(6)に記載のガス浸炭方法では、前記窒素含有ガスを、圧力スイング吸着法により空気から分離することで生成してもよい。
(8)また、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のガス浸炭方法では、前記熱処理炉内に前記ワークを配置した後であって、前記キャリアガスを供給する前に、前記熱処理炉内のガスをパージする工程をさらに含んでもよい。
(9)また、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のガス浸炭方法では、前記熱処理炉内を前記常圧より大きい圧力下で、前記ワークに対して浸炭を行ってもよい。
(10)本発明の一態様に係るガス浸炭装置は、常圧下でワークを収容する熱処理炉と、前記熱処理炉内を加熱する加熱装置と、キャリアガスおよび浸炭ガスを前記熱処理炉内に供給するガス供給装置と、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスにより、前記熱処理炉内の内壁近傍に沿って第一の方向の一方に流れる内壁流を形成する第一撹拌部と、前記少なくとも一方のガスにより、前記熱処理炉内の中央近傍において、前記第一の方向の他方に流れる中央流を形成する第二撹拌部と、を備えている。
(11)また、上記(10)に記載のガス浸炭装置では、前記第一撹拌部は、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを、前記熱処理炉内における天井面または床面において、前記第一の方向としての上下方向に交差する面方向放射状に拡散させるファンを有してもよい。
(12)また、上記(10)または(11)に記載のガス浸炭装置では、前記ガス供給装置は、前記熱処理炉に設けられ、前記熱処理炉内の前記内壁流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第一供給口をさらに有してもよい。
(13)また、上記(10)〜(12)のいずれかに記載のガス浸炭装置では、前記第二撹拌部は、前記ガス供給装置に設けられ、前記熱処理炉内の前記中央流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第二供給口を有してもよい。
(14)また、上記(10)〜(13)のいずれかに記載のガス浸炭装置では、前記ガス供給装置は、前記キャリアガスとして、窒素および酸素を含む窒素含有ガスを、前記熱処理炉内に供給可能とする窒素供給源を有していてもよい。
(15)また、上記(11)〜(13)のいずれかに記載のガス浸炭装置では、前記ガス供給装置は、鎖式不飽和炭化水素を供給する炭化水素供給源と、窒素および酸素を含む窒素含有ガスを供給する窒素供給源と、前記鎖式不飽和炭化水素と前記窒素含有ガスとを混合することで生成した混合ガスを前記キャリアガスとして、前記熱処理炉内に供給可能とするガス混合器と、を有していてもよい。
(16)また、上記(14)または(15)に記載のガス浸炭装置では、前記窒素供給源は、前記窒素含有ガスとして、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記窒素の体積パーセントが99.00%以上99.99%以下のガスを、前記熱処理炉内に供給可能としてもよい。
(17)また、上記(14)または(15)に記載のガス浸炭装置では、前記窒素供給源は、前記窒素含有ガスとして、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記酸素の体積パーセントが0.010%以上1.00%以下のガスを、前記熱処理炉内に供給可能としてもよい。
(18)また、上記(16)または(17)に記載のガス浸炭装置では、前記窒素供給源は、圧力スイング吸着法により空気から前記窒素含有ガスを分離して、前記窒素含有ガスを前記熱処理炉内に供給可能とするガス分離装置を有していてもよい。
上記態様に係るガス浸炭方法およびガス浸炭装置によれば、熱処理炉内のワークへ浸炭ガスをより均一に接触させ、安定した品質を確保可能である。
本発明の実施形態に係るガス浸炭装置の全体概略図である。 上記ガス浸炭装置を用いて浸炭を行っている様子を示す模式図である。 仮に下方のみに向けて浸炭ガスを供給して浸炭を行っている様子を示す模式図である。 本発明の実施形態の変形例に係るガス浸炭装置の全体概略図である。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。図1〜図2は本発明を実施する形態の一例である。
図1に示すようにガス浸炭装置1は、熱処理炉10と、熱処理炉10の炉内10aのワーク100を加熱する加熱装置12と、炉内10aに各種のガスを供給するガス供給装置20と、炉内10aに設けられた第一撹拌部16と、加熱装置12およびガス供給装置20を制御する制御装置30とを備えている。ガス浸炭装置1は、炉内10aへガスを供給して炉内10aのワーク100に対して浸炭を行うものである。
(熱処理炉)
熱処理炉10は、炉内10aに被処理材であるワーク100を収容可能となっている。ワーク100は、例えば炉内10aに設置された架台11上に上下方向(第一の方向)および水平方向に並んで複数が配置される。ワーク100は低炭素鋼等の金属である。炉内10aには炉内10aの温度を保つように不図示の断熱材が設けられている。さらに熱処理炉10には、炉内10aの雰囲気ガスを炉外に排出する不図示の排出口が設けられており、浸炭中には、炉内10aは常圧(略大気圧:101〔kPa〕程度)に維持されるようになっている。
また熱処理炉10には、炉内10aの温度を測定する温度計13(例えば熱電対)と、炉内10aの酸素濃度を測定する酸素濃度計14と、炉内10aの水素濃度を測定する水素濃度計15とが設けられている。酸素濃度計14は、ジルコニアエレメント両端の酸素濃度差により生じる起電力に基づいて炉内10aの酸素濃度を検出している。このため、酸素濃度計14には、ジルコニアエレメントの一端側に参照エア(空気)を供給するエアユニット17が接続されている。また水素濃度計15は、連続的な測定を可能とすべく、測定ガスと標準ガスの熱伝導率の差に基づいて水素濃度を検出する熱伝導式のものを使用している。温度計13、酸素濃度計14、および水素濃度計15は、熱処理炉10の上部に設けられているが、これら温度計13、酸素濃度計14、および水素濃度計15の設置位置は特に限定されるものではない
(加熱装置)
加熱装置12は、炉内10aを加熱するヒータ12aを有している。ヒータ12aは、水平方向に間隔をあけて一対が炉内10aの上部に配置されている。ヒータ12aとしては例えばラジアントチューブヒーター等が用いられるが、これに限定されるものではない。
(ガス供給装置)
ガス供給装置20は、浸炭ガスが流通する浸炭ガス系統21と、キャリアガスが流通するキャリアガス系統22と、アンモニアガスが流通するアンモニアガス系統23と、これらの系統21、22、23を流通する各ガスを炉内10aに供給する供給系統24とを有している。さらにガス供給装置20は、浸炭ガス系統21に接続された炭化水素供給源25と、キャリアガス系統22に接続された窒素供給源26およびガス混合器27と、アンモニアガス系統23に接続されたアンモニア供給源28とを有している。ここで本実施形態では真空浸炭と同様にダイレクトな浸炭を常圧下で行うため、「エンリッチガス」ではなく「浸炭ガス」との用語を用いている。
(炭化水素供給源)
炭化水素供給源25は、浸炭ガスとして、鎖式不飽和炭化水素を含む炭化水含有ガスを発生する。炭化水含有ガス中の鎖式不飽和炭化水素としてはアセチレンが例示される。アセチレン以外にも、プロピン(CH3C≡CH)や1−ブチン(CH3CH2C≡CH)等の三重結合を有するその他の鎖式不飽和炭化水素を使用するようにしてもよいし、例えばエチレン(H2C=CH2)やブタジエン(CH2=CH−CH=CH2)等の二重結合を有するその他の鎖式不飽和炭化水素を使用するようにしてもよい。複数種類の鎖式不飽和炭化水素を混合してもよい。但し、分子量が増すと安定性が減少して煤が発生しやすくなる点、三重結合を有する方が反応性に富む点、および入手の容易さ等を考慮すると、鎖式不飽和炭化水素としてアセチレンを使用することが好ましい。炭化水素含有ガスには、鎖式不飽和炭化水素以外の不純物が含まれていてもよいが、この不純物は少ない方が好ましい。したがって例えば鎖式不飽和炭化水素がアセチレンである場合、炭化水素供給源25ではアセトンやジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤を使用して炭化水素含有ガスを生成するものではないことが好ましい。
(浸炭ガス系統)
図1に示すように浸炭ガス系統21は、炭化水素供給源25に接続された供給配管21aと、供給配管21aに設けられた開閉弁21bおよび流量計21cとを有している。供給配管21aには炭化水素供給源25に接続されて炭化水素供給源25からの浸炭ガスが流通する。開閉弁21bは電磁弁であって、供給配管21aの途中に設けられている。開閉弁21bによって流路の開閉とともに浸炭ガスの流量の調整が行なわれる。流量計21cは開閉弁21bの下流側で供給配管21aに設けられて供給配管21aを流通する浸炭ガスの流量を計測する。なお開閉弁21bは流路の開閉のみを行い、開閉弁21bとは別に浸炭ガスの流量を調整する流量調整弁(不図示)を設け、流量計21cの数値を確認しながら手動で浸炭ガスの流量調整を行ってもよい。
(供給系統)
供給系統24は、浸炭ガス系統21における供給配管21aに接続された接続部40と、接続部40から二俣に分岐する第一分岐部41と第二分岐部42とを有している。接続部40には、第一分岐部41および第二分岐部42が接続部40から分岐する手前(上流側)でミキサー50が設けられている。ミキサー50は、上流から流れてきた各種ガスを混合する機能を有する。第一分岐部41の先端には第一ガス供給ノズル43が、第二分岐部42の先端には第二ガス供給ノズル44が設けられている。第一ガス供給ノズル43は熱処理炉10の上部に設けられている。本実施形態では炉内10aの幅方向(図1の紙面に向かって左右方向)の中央から一方側に寄った位置に第一ガス供給ノズルが設けられている。第一ガス供給ノズル43は熱処理炉10の炉内10aに開口する第一供給口43aを有している。第二ガス供給ノズル44は熱処理炉10の下部に設けられている。本実施形態では炉内10aの幅方向の中央の位置に第二ガス供給ノズル44が設けられている。この第二ガス供給ノズル44は熱処理炉10aの炉内10aに開口する第二供給口(第二撹拌部)44aを有している。第一供給口43aからは、浸炭ガス系統21からの浸炭ガスが上下方向(第一の方向)に下方に向けて噴出(または流出)させられる。また第二噴出口44aからは、浸炭ガス系統21からの浸炭ガスが上方に向けて噴出(または流出)させられる。
第一分岐部41および第二分岐部42には、それぞれ開閉弁41a、42aおよび流量計41b、42bが設けられている。これら開閉弁41a、42aは電磁弁であって、第一分岐部41および第二分岐部42を流通するガスの流量を調整することで、第一分岐部41と第二分岐部42とを流れるガスの流量の比率を調整可能となっている。第一分岐部41と第二分岐部42とのうちのいずれか一方のみに開閉弁41a、42aを設けてもよい。また、開閉弁41a、42aでは流路の開閉のみを行い、開閉弁41a、42aとは別に第一分岐部41および第二分岐部42を流通するガスの流量を調整する流量調整弁(不図示)を設け、流量計41b、42bの数値を確認しながら手動で第一分岐部41および第二分岐部42を流通するガスの流量調整を行ってもよい。
(窒素供給源)
窒素供給源26は、窒素(不活性ガス)を含有する窒素含有ガスを生成する。窒素供給源26は、本実施形態ではPSA方式の窒素ガス発生装置であるガス分離装置26aを有している。ガス分離装置26aは圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption;PSA)により空気中から窒素を分離して窒素含有ガスを生成する。このため、窒素含有ガスは窒素に加えて窒素以外の不純物として酸素を含んでいる。
(ガス混合器)
ガス混合器27は、炭化水素供給源25および窒素供給源26に接続されて炭化水素供給源25からの炭化水素含有ガス(鎖式不飽和炭化水素)と、窒素供給源26からの窒素含有ガスとを混合することでキャリアガスを生成する。キャリアガスは、炉内10aの雰囲気のベースガスとなる。キャリアガス中の鎖式不飽和炭化水素の体積は、例えばキャリアガス中の窒素含有ガスの体積に比べて十分小さく、例えばキャリアガス中の鎖式不飽和炭化水素の体積は、キャリアガス全体の体積に対して0.1%以上3.0%以下であるとよい。
ここで水(水蒸気)は、炉内10aで分解して水素と共に酸素を生成し得るが、鎖式不飽和炭化水素としてアセチレンをキャリアガスに混合することで、次の(1)式のようにアセチレンと水を反応させることによって炉内10aの水分濃度を減少させるようになっている。
+2HO→2CO+3H ・・・(1)
また、炉内10aの酸素はワーク100の表面に優先的に吸着するため、酸素過多が浸炭を阻害する要因となるが、次の(2)式のようにアセチレンを酸素と反応させて一酸化炭素および水素を生成する。よってキャリアガスへのアセチレンの混合量を調整することで、炉内10aの酸素濃度をコントロールするようになっている。
+O→2CO+H ・・・(2)
(キャリアガス系統)
キャリアガス系統22は、第一端がガス混合器27に接続されて第二端が供給系統24の接続部40にミキサー50の上流側で接続された供給配管22aと、供給配管22aに設けられた開閉弁22bおよび流量計22cとを有している。供給配管22aにはガス混合器27で生成されたキャリアガスが流通する。キャリアガスは供給系統24の接続部40から第一分岐部41および第二分岐部42を通じて炉内10aに供給される。開閉弁22bは電磁弁であって、供給配管22aの途中に設けられている。開閉弁22bによって流路の開閉とともにキャリアガスの流量の調整が行なわれる。流量計22cは開閉弁22bの下流側で供給配管22aに設けられて供給配管22aを流通するキャリアガスの流量を計測する。なお開閉弁22bは流路の開閉のみを行い、開閉弁22bとは別にキャリアガスの流量を調整する流量調整弁(不図示)を設け、流量計22cの数値を確認しながら手動でキャリアガスの流量調整を行ってもよい。
(アンモニア供給源)
アンモニア供給源28は、アンモニアを収容した容器(不図示)を有し、アンモニアを炉内10aに供給可能とする。
(アンモニアガス系統)
アンモニアガス系統23は、第一端がアンモニア供給源28に接続されて第二端が供給系統24の接続部40にミキサー50の上流側で接続された供給配管23aと、供給配管23aに設けられた開閉弁23bおよび流量計23cとを有している。供給配管23aにはアンモニア供給源28からのアンモニアガスが流通する。アンモニアガスは供給系統24の接続部40から第一分岐部41および第二分岐部42を通じて炉内10aに供給される。開閉弁23bは電磁弁であって、供給配管23aの途中に設けられている。開閉弁23bによってアンモニアガスの流量の調整が行われる。流量計23cは開閉弁23bの下流側で供給配管23aに設けられて供給配管23aを流通するアンモニアガスの流量を計測する。なお、開閉弁23bは流路の開閉のみを行い、開閉弁23bとは別にアンモニアガスの流量を調整する流量調整弁(不図示)を設け、流量計23cの数値を確認しながら手動でアンモニアガスの流量調整を行ってもよい。
アンモニアガス系統23およびアンモニア供給源28は必ずしも設けられなくともよいが、アンモニアガス系統23からのアンモニアガスが浸炭ガスに少量添加されることで炉内10aに煤が発生する「スーティング」を抑制することが可能となっている。
ここで図示は省略するが、浸硫浸炭および浸硫浸炭窒化を行うため、ガス供給装置20はさらに、炉内10aに硫化水素ガスを供給する硫化水素供給源および硫化水素ガス供給系統を有していてもよい。
(第一撹拌部)
図2に示すように第一撹拌部16は、炉内10の天井面10x(図1参照)に設けられ、炉内10aの雰囲気ガスを撹拌する例えば遠心ファン等を有する。第一撹拌部16は、本実施形態では炉内10aの上部であって炉内10aにおける水平方向の中央部に配置されている。第一撹拌部16は、炉心側(炉内10aにおける水平方向の中央側)から炉内10aのガスを吸引し、その炉内10aのガスが炉内10aの内周壁の面方向に沿って下方へ流れるように、炉内10aのガスを炉内10aの天井面において、水平方向となる面方向に放射状に拡散させる。なお、第一撹拌部16の設置位置は特に限定されるものではなく、例えば炉内10aの床面10y(図1参照)に設けられ、床面10yの面方向に放射状にガスを拡散させてもよい。第一撹拌部16が床面10yに設けられる場合、第一供給口43aからはガスが上方に向けて噴出(または流出)させられ、第二供給口44aからはガスが下方に向けて噴出(または流出)させられる。
(制御装置)
制御装置30は、プロセッサ等を有するコンピュータである。制御装置30は、浸炭ガス系統21、キャリアガス系統22、アンモニアガス系統23、および供給系統24に設けられた各開閉弁21b、22b、23b、41a、42aの制御を行うことで所定のタイミングで炉内10aへ各種ガスを供給するとともに、炉内10aへ供給する各種ガスの流量を調整する。さらに制御装置30は酸素濃度計14の信号出力に基づき、ガス混合器27においてキャリアガスに混合する鎖式不飽和炭化水素の量を調整する。また制御装置30は、水素濃度計15の信号出力に基づき、浸炭ガス系統21の開閉弁21bを制御して炉内10aへの浸炭ガスの供給量を調整する。測定した炉内10aの温度、酸素濃度、および水素濃度は、必要に応じて外部の機器に出力され記録される。
さらに制御装置30は、炉内10aが予め設定された温度になるように加熱装置12を制御する。
また制御装置30は、窒素供給源26で生成される窒素含有ガス全体に対する窒素含有ガス中の窒素の体積パーセントが99.00%以上99.99%以下となるように窒素供給源26を制御する。窒素供給源26で生成される窒素含有ガス中の窒素の体積パーセントは不図示のセンサで検知され、制御装置30で制御されるようになっている。もしくは、制御装置30は、窒素供給源26で生成される窒素含有ガス全体に対する窒素含有ガス中の酸素の体積パーセントが0.010%以上1.00%以下となるように窒素供給源26を制御する。窒素供給源26で生成される窒素含有ガス中の酸素の体積パーセントは不図示のセンサで検知され、制御装置30で制御されるようになっている。
(ガス浸炭方法)
次に、本実施形態におけるガス浸炭方法の手順について説明する。まず、ワーク100を炉内10aに搬入して配置する工程を実行する。ワーク100は、熱処理炉10に隣接して設けられた不図示の前室内に予め収容されており、不図示の搬送装置によって炉内10aに搬送される。ワーク100が炉内10aに配置されたら、炉内10a内に存在する空気等のガスをパージする工程を実行する。この工程では、炉内10aのガスを吸い出すことで炉内10aを減圧して真空状態とする。ここでいう「真空状態」とは必ずしも完全に真空な状態を示すものではなく、圧力が100〔Pa〕以上の真空度が「低真空」程度の状態であってもよい。酸素濃度計14の数値を確認することで真空状態の確認を行ってもよいし、不図示の圧力計で炉内10aの圧力を確認することで真空状態の確認を行ってもよい。
その後、炉内10aにキャリアガスを供給する工程を実行する。すなわち、制御装置30によってキャリアガス系統22の開閉弁22bを開放し、第一分岐部41の開閉弁41aおよび第二分岐部42の開閉弁42aを開放し、他の開閉弁21b、23bは閉塞することで、第一供給口43aおよび第二供給口44aから炉内10aにキャリアガスを供給する。キャリアガスの供給流量は、特に限定されるものではなく、炉内10aの容積やワーク100の表面積、ワーク100に必要な硬化深さ等に応じて適宜に設定すればよい。キャリアガスの供給が開始されると、炉内10aは真空状態から常圧下の状態となる。
炉内10aにキャリアガスを供給する際、制御装置30は、第一分岐部41を流通するガスの体積流量の方が第二分岐部42を流通するガスの体積流量よりも大きくなるように第一分岐部41の開閉弁41a、および第二分岐部42の開閉弁42aを制御する。よって第一供給口43aから下方に向かって炉内10aに噴出(または流出)させられるキャリアガスの体積流量の方が、第二供給口44aから上方に向かって炉内10aに(または流出)させられるキャリアガスの体積流量よりも大きくなる。本実施形態では第一分岐部41を流通するキャリアガスと、第二分岐部42を流通するキャリアガスの体積流量の比は例えば7:3となるように開閉弁41a、42aが制御されるとよいが、この数値に限定されるものではない。
キャリアガスの炉内10aへの供給によって、炉内10aにキャリアガスが充填されると、酸素濃度計14の検出する炉内10aの酸素濃度の変化が止まる。炉内10aの酸素濃度が所定値よりも高い場合、制御装置30によって窒素含有ガスへ混合する鎖式不飽和炭化水素の量を増加させることで炉内10aの酸素濃度を所定値となるように調整する。または、炉内10aの酸素濃度が所定値よりも低い場合、制御装置30によって窒素含有ガスへ混合する鎖式不飽和炭化水素の量を減少させることで炉内10aの酸素濃度を所定値となるように調整する。
炉内10aの酸素濃度が一定となったら、炉内10aを加熱する工程を実行する。すなわち制御装置30が加熱装置12を制御して、予め設定された浸炭温度までヒータ12aによって炉内10aを昇温する。その後炉内10aが浸炭温度(浸炭に適した温度)となったら、制御装置30は炉内10aを浸炭温度に保持するように加熱装置12を制御する。炉内10aを加熱中にも、キャリアガスは継続して炉内10aに供給される。
そして炉内10aの温度が一定となった後に予め設定された時間が経過したならば、浸炭ガスを供給する工程を実行する。この工程では浸炭ガス系統21の開閉弁21bを制御して炉内10aへの浸炭ガスの供給を開始する。キャリアガスが炉内10aに供給されている状態で、浸炭ガスはキャリアガスとともに炉内10aへ供給される。
制御装置30によって浸炭ガス系統21の開閉弁21bを開放する。第一分岐部41の開閉弁41aおよび第二分岐部42の開閉弁42aの開度はキャリアガスが供給されている状態のまま維持される。これにより、浸炭ガスをキャリアガスと同じ体積比率で第一供給口43aおよび第二供給口44aの両方から常圧下の炉内10aに供給される。すなわち本実施形態では、第一噴出口43aから下方に向かって炉内10aに供給される浸炭ガスの体積流量の方が、第二噴出口44aから上方に向かって炉内10aに供給される浸炭ガスの体積流量よりも大きくなる。浸炭ガスを炉内10aに供給している間に、制御装置30によってアンモニアガス系統23の開閉弁23aを開放し、アンモニアガスを浸炭ガスとともに炉内10aに供給してもよい。
(作用効果)
以上説明した本実施形態のガス浸炭装置1およびガス浸炭方法によれば、まずキャリアガスが第一供給口43aから上下方向の下方に向けて炉内10aのワーク100へ向かって供給されるとともに、第一撹拌部16によって、炉内10aの天井面10xの面方向に沿って、放射状(図2における幅方向外側)に向かって案内される(矢印P参照)。天井面10xに沿って拡散するキャリアガスは、その後、炉内10aの側壁(内壁)にぶつかり、側壁に沿って下方へ流通する(矢印Q参照)。本実施形態では、この側壁に沿って形成される環状の下降流を「内壁流Q」と定義する。炉内10aの側壁に沿って下側へ流通するキャリアガスは、炉内10aの床面10yにぶつかって、床面10yの面方向の中央側(図2における幅方向中央側)に向かって案内される(矢印R参照)。これと同時に、本実施形態では、炉内10aの床面10yの中央近傍において、第二供給口44aからキャリアガスが上方に向けて炉内10aのワーク100に向かって供給されるので、炉内10aにおいて、床面10yの中央近傍から、新たなキャリアガスによる上昇流が形成される(矢印U参照)。この上昇流は、幅方向外側の内壁流Qの間(内部)に形成される逆方向の流れであり、本実施形態では、これを「中央流U」と定義する。この結果、内壁流Qを経て、床面10yの周縁付近から中央に向かって移動するキャリアガス(矢印R参照)も、この上昇流である中央流Uにつられるようにして、上方へ押し戻される(矢印T参照)。この結果、炉内10a全体としては、キャリアガスを対流させることができる。なお、ここでは特に図示しないが、炉内10aの床面10yの中央に、第二撹拌部が第二供給口44aに加えて上昇気流を形成する軸流ファンを有することで、第二供給口44aからキャリアガスを、強制的に上昇させることも好ましい。ここで上記の通り周壁側を下降流(矢印Q)、中央側を上昇流(矢印U)としたが、周壁側を上昇流、中央側を下降流としても良い。また、図2の状態を右回りに90度回転させて、水平方向を基準とし、上下方向の中央において、左から右に向かって中央流、右から左に向かって周辺流を形成するように、対流させることができる。
ここで仮に、図3に示すように第二供給口44aを設けず、単に第一供給口43aから下方のみに向けてワーク100に向かってキャリアガスを供給して第一撹拌部16によってガスを対流させようとした場合には、炉内10aの床面10yにおいて、キャリアガスを幅方向中央で滞留させるだけであり、上方に向けて押し戻すことができない。結果、炉内10aの中心領域Cのワーク100に、キャリアガスを十分に行き届かせることが難しい。
またワーク100の上方および下方へ向けて同じ体積流量でキャリアガスを供給する場合には炉内10aの、周壁に沿って下降するキャリアガスの内壁流Qと、中央を上昇するキャリアガスの中央流Uとが直接衝突してガスの流れを淀ませる可能性があるが、本実施形態では、キャリアガスの上昇気流側の流量(第二供給口44aから供給されるガスの流量)を小さくしているので、このような状態となることを回避でき、炉内10aでキャリアガスが渦を巻くように対流させることが可能となる。
同様に浸炭ガスが上下方向の下方に向けて炉内10aのワーク100へ向かって供給されるとともに、上方に向けて炉内10aのワーク100に向かって供給される。このため、キャリアガスの流れと同様に、図2に示すように下方に向けて供給される浸炭ガスの流れを上方に向けて押し戻すことができる。この結果、炉内10aで浸炭ガスも対流させることができる。そしてワーク100の下面側にも浸炭ガスが回り込み易くなり、ワーク100の下面側にも浸炭ガスを十分にいきわたらせることができる。したがってワーク100へ浸炭ガスをより均一に接触させ、ワーク100の表面全体に対して浸炭を行うことができ、安定した品質を確保することができる。
またキャリアガスと同様に、仮にワーク100の上方、および下方から同じ体積流量で浸炭ガスを供給した場合、図3に示すように炉内10aで浸炭ガスの流れが淀んでしまい、炉内10aでの浸炭ガスの対流が不十分となる可能性がある。しかし本実施形態では第一供給口43aから下方に向けて供給される浸炭ガスの体積流量の方が、第二供給口44aから上方に向けて供給される浸炭ガスの体積流量よりも大きいことで、炉内10aで浸炭ガスが渦を巻くように対流させることが可能となり、ワーク100の下面にも確実に浸炭ガスをいきわたらせることが可能となる。
そして本実施形態では、まずキャリアガスが炉内10aで対流している雰囲気下でさらに浸炭ガスを炉内10aに供給する。このため、浸炭ガスを炉内10aで対流させ易くなり、ワーク100へ浸炭ガスをさらに均一に接触させることができる。
またキャリアガスに使用する窒素含有ガスが窒素と酸素とを含んでおり、窒素含有ガス中の窒素の体積パーセントが99.00%以上99.99%以下となるように窒素供給源26が制御される。もしくは、窒素含有ガス中の酸素の体積パーセントが0.10%以上1.00%以下となるように窒素供給源26が制御される。このため炉内10aに浸炭ガスが供給されると、炉内10aでキャリアガス中の酸素と浸炭ガス中の炭素とが反応し、炉内10aの炭素が過多とならないようにできる。したがって浸炭を行う際に、炭素過多に起因する煤が炉内10aやワーク100に付着する「スーティング」の発生を抑制できる。特に本実施形態では浸炭ガス中の窒素含有ガスがPSA方式の窒素ガス発生装置を用いて生成されるため、窒素含有ガス中の窒素の純度、すなわち窒素含有ガス中の酸素濃度の制御が容易である。
さらに、ワーク100を炉内10aに設置した後に、炉内10aをパージする工程を実行するため、ワーク100を炉内10aに設置する際に混入したり、炉内10aに残留していたりするガスが浸炭に悪影響を及ぼしてしまうことを回避できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば上記の実施形態では浸炭ガスは第一分岐部41と第二分岐部42とから炉内10aに供給される。しかし、少なくとも互いに対向する二か所から浸炭ガスが炉内10aに供給されればよく、例えば水平方向の両側(図1の紙面の奥行方向の両側、または図1の紙面に向かって左右方向の両側)から浸炭ガスを供給するように第一分岐部41および第二分岐部42を設けてもよい。また上記の場合とは逆に第一供給口43aから下方に向けて供給するガスの体積流量よりも、第二供給口44aから上方に向けて供給するガスの体積流量を大きくしてもよい。
また、キャリアガスおよび浸炭ガスのうちの一方のガスを、第一供給口43aおよび第二供給口44aの両方から炉内10aへ供給するようにしてもよい。例えば、キャリアガスのみを第一供給口43aおよび第二供給口44aの両方から炉内10aへ供給する場合、第一供給口43aおよび第二供給口44aとは別の浸炭ガス用の供給口(不図示)を設けておく。そして第一供給口43aおよび第二供給口44aからキャリアガスを炉内10aへ供給することであらかじめ炉内10aでキャリアガスが対流している状態で、上記の浸炭ガス用の供給口から炉内10aへ浸炭ガスを供給する。これにより浸炭ガスは、対流するキャリアガスの流れに乗って炉内10aで対流し、ワーク100へ浸炭ガスを均一に接触させることができる。また、浸炭ガスのみを第一供給口43aおよび第二供給口44aの両方から炉内10aへ供給する場合、第一供給口43aおよび第二供給口44aとは別のキャリアガス用の供給口(不図示)を設けておく。そしてキャリアガス用の供給口を通じてキャリアガスを炉内10aへ供給することであらかじめ炉内10aをキャリアガスで満たした状態で、第一供給口43aおよび第二供給口44aから炉内10aへ浸炭ガスを供給する。これにより浸炭ガスは炉内10aで対流し、ワーク100へ浸炭ガスを均一に接触させることができる。
炉内10a内に存在する空気等のガスをパージする工程は必ずしも実行しなくともよく、キャリアガスを炉内10aに供給することで、炉内10aの残留ガス(不純物)を追い出すようにしてもよい。
ここでワーク100を炉内10aに配置する前に、キャリアガスを炉内10aへ供給し始めてもよい。この場合、炉内10a内に存在する空気等のガスをパージする工程は実行しなくともよい。
第二撹拌部は第二供給口44aを有さず、上記の軸流ファンのみを有していてもよい。
また炉内10aが負圧となって外気(空気)が炉内に吸い込まれないように、炉内10aの圧力を常圧(大気圧)よりも若干高い圧力として浸炭を行うようにしてもよい。常圧よりも若干高い圧力とは、常圧の+10%の圧力であるとよく、常圧の+5%の圧力であるとより好ましく、常圧の+1%の圧力であるとさらに好ましい。
また、ガス混合器27は必ずしも設けられなくともよい。すなわちキャリアガスとして窒素供給源26からの窒素含有ガスをそのまま用いてもよい。
また、窒素供給源26では圧力スイング吸着法ではない方法を用いて窒素含有ガスを供給してもよい。例えば窒素ガスボンベと酸素ガスボンベとを用いて窒素含有ガスを生成して、供給してもよい。
また図4に示すようにガス浸炭装置1Aでは、第一ガス供給ノズル43は、炉内10aの上部において炉内10aの幅方向に間隔をあけて炉内10aの幅方向の中央を基準にして対称な位置に一対が設けられていてもよい。この場合、よりスムーズに炉内10aでガスの対流を生じさせることができ、ワーク100へ浸炭ガスを均一に接触させ、ワーク100の表面全体に対して浸炭を行うことができ、安定した品質を確保することができる。
本発明のガス浸炭方法およびガス浸炭装置によれば、熱処理炉内のワークへ浸炭ガスをより均一に接触させ、安定した品質を確保可能である。
1、1A ガス浸炭装置
10 熱処理炉
12 加熱装置
16 第一撹拌部
20 ガス供給装置
21 浸炭ガス系統
22 キャリアガス系統
23 アンモニアガス系統
24 供給系統
25 炭化水素供給源
26 窒素供給源
27 ガス混合器
30 制御装置
43a 第一供給口
44a 第二供給口(第二撹拌部)
100 ワーク

Claims (18)

  1. 常圧下の熱処理炉内にワークを配置する工程と
    前記熱処理炉内にキャリアガスを供給する工程と、
    前記ワークが配置された前記熱処理炉内を加熱する工程と、
    加熱後の前記熱処理炉内に浸炭ガスを供給して前記ワークに対して浸炭を行う工程と、
    を含み、
    前記浸炭を行う工程では、
    前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスにより、
    前記熱処理炉内の内壁近傍に沿って第一の方向の一方に流れる内壁流を形成すると共に、前記熱処理炉内の中央近傍において、前記第一の方向の他方に流れる中央流を形成するガス浸炭方法。
  2. 前記浸炭を行う工程では、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを、前記熱処理炉内における天井面または床面において、前記第一の方向としての上下方向に交差する面方向放射状に拡散させることで、前記内壁流を形成する請求項1に記載のガス浸炭方法。
  3. 前記熱処理炉内には、
    前記内壁流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第一供給口、及び、前記中央流に対して前記少なくとも一方のガスを供給する第二供給口が形成されており、
    前記浸炭を行う工程では、前記第一供給口から供給されるガスの体積流量が、前記第二供給口から供給されるガスの体積流量よりも大きい請求項1または2に記載のガス浸炭方法。
  4. 前記キャリアガスとして、窒素および酸素を含む窒素含有ガス、または、前記窒素含有ガスと鎖式不飽和炭化水素とを混合した混合ガスを使用する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス浸炭方法。
  5. 前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素ガス中の前記窒素の体積パーセントを、99.00%以上99.99%以下とする請求項4に記載のガス浸炭方法。
  6. 前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記酸素の体積パーセントを、0.010%以上1.00%以下とする請求項4に記載のガス浸炭方法。
  7. 前記窒素含有ガスを、圧力スイング吸着法により空気から分離することで生成する請求項5または6に記載のガス浸炭方法。
  8. 前記熱処理炉内に前記ワークを配置した後であって、前記キャリアガスを供給する前に、前記熱処理炉内のガスをパージする工程をさらに含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス浸炭方法。
  9. 前記熱処理炉内を前記常圧より大きい圧力下で、前記ワークに対して浸炭を行う請求項1〜8のいずれか一項に記載のガス浸炭方法。
  10. 常圧下でワークを収容する熱処理炉と、
    前記熱処理炉内を加熱する加熱装置と、
    キャリアガスおよび浸炭ガスを前記熱処理炉内に供給するガス供給装置と、
    前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスにより、前記熱処理炉内の内壁近傍に沿って第一の方向の一方に流れる内壁流を形成する第一撹拌部と、
    前記少なくとも一方のガスにより、前記熱処理炉内の中央近傍において、前記第一の方向の他方に流れる中央流を形成する第二撹拌部と、
    を備えるガス浸炭装置。
  11. 前記第一撹拌部は、前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを、前記熱処理炉内における天井面または床面において、前記第一の方向としての上下方向に交差する面方向放射状に拡散させるファンを有する請求項10に記載のガス浸炭装置。
  12. 前記ガス供給装置は、
    前記熱処理炉に設けられ、前記熱処理炉内の前記内壁流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第一供給口をさらに有する請求項10または11に記載のガス浸炭装置。
  13. 前記第二撹拌部は、前記ガス供給装置に設けられ、前記熱処理炉内の前記中央流に対して前記キャリアガスおよび前記浸炭ガスの少なくとも一方のガスを供給する第二供給口を有する請求項10〜12のいずれか一項に記載のガス浸炭装置。
  14. 前記ガス供給装置は、前記キャリアガスとして、窒素および酸素を含む窒素含有ガスを、前記熱処理炉内に供給可能とする窒素供給源を有する請求項10〜13のいずれか一項に記載のガス浸炭装置。
  15. 前記ガス供給装置は、
    鎖式不飽和炭化水素を供給する炭化水素供給源と、
    窒素および酸素を含む窒素含有ガスを供給する窒素供給源と、
    前記鎖式不飽和炭化水素と前記窒素含有ガスとを混合することで生成した混合ガスを前記キャリアガスとして、前記熱処理炉内に供給可能とするガス混合器と、
    を有する請求項10〜13のいずれか一項に記載のガス浸炭装置。
  16. 前記窒素供給源は、前記窒素含有ガスとして、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記窒素の体積パーセントが99.00%以上99.99%以下のガスを、前記熱処理炉内に供給可能とする請求項14または15に記載のガス浸炭装置。
  17. 前記窒素供給源は、前記窒素含有ガスとして、前記窒素含有ガス全体に対する前記窒素含有ガス中の前記酸素の体積パーセントが0.010%以上1.00%以下のガスを、前記熱処理炉内に供給可能とする請求項14または15に記載のガス浸炭装置。
  18. 前記窒素供給源は、圧力スイング吸着法により空気から前記窒素含有ガスを分離して、前記窒素含有ガスを前記熱処理炉内に供給可能とするガス分離装置を有する請求項16または17に記載のガス浸炭装置。
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