JP2021088555A - 紫外線吸収性のカチオン性ポリマー粒子 - Google Patents

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Shunichi Tsuji
俊一 辻
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晶子 小川
山崎 貴史
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貴史 山崎
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Abstract

【課題】皮膚または毛髪の表面への吸着力を向上させた紫外線吸収剤内包ポリマー粒子の提供。【解決手段】紫外線吸収剤を内包しているカチオン性ポリマー粒子であって、該カチオン性ポリマー粒子が、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位および炭素−炭素二重結合を含むモノマーに由来する構造単位を含んでなる重合体である、紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線吸収性のポリマー粒子の分野に属するものである。
従来から、日焼け防止を目的とした化粧料には、紫外線防御剤として、有機化合物である紫外線吸収剤や、酸化亜鉛などの金属酸化物顔料が用いられてきた(特許文献1および特許文献2など)。
日焼けは、太陽光線中の波長が290〜320nmの紫外線B領域と言われる領域の紫外線(以下「UVB」という)と、320〜400nmの紫外線A領域と言われる領域の紫外線(以下「UVA」という)によって引き起こされ、UVBは皮膚に紅斑を引き起こして炎症後黒化をもたらす。UVAは紅斑をほとんど起こさず、皮膚を黒化すると言われていたが、近年、UVAは皮膚の深部にまで達し、皮膚の老化や皮膚癌を誘発する原因となることが分かっている。UVA防御能はPA(Protection Grade of UVA)、UVB防御能はSPF(Sun Protection Factor)で表され、日焼け止め化粧料の紫外線防御能の目安となっている。
有機紫外線吸収剤は、皮膚や毛髪に対して刺激性のあるものが多く、十分な紫外線吸収能を発揮しうる量を化粧品に配合しにくいという問題があり、さらに、紫外線吸収剤によっては二次付着により、衣服を汚染するという問題もあった。これらの問題を解決するために、紫外線吸収剤をカプセル中に封じて皮膚や衣服に直接紫外線吸収剤が接触するのを避ける試みがなされている(特許文献3および特許文献4など)。
しかし、有機紫外線吸収剤の多くは刺激性を有することから、紫外線吸収剤ごとに化粧品中での配合上限が定められている。そのため、無機の金属酸化物粉体のみで高い紫外線防御能を得ようとする試みや(特許文献5)、有機紫外線吸収剤と紫外線散乱効果を有する金属酸化物を併用して、より高い紫外線防御能を得ようとする試みもある(特許文献6)。しかしながら、金属酸化物は、化粧料に多量に配合すると皮膚に塗布した際に”白浮き現象”を起こす、塗布時にきしみ感が生じる、という問題があった。
一方で、特許文献7には、カチオン性重合開始剤を用いて作られたカチオン性ゲル粒子が開示されているものの、そのゲル粒子に紫外線吸収剤を内包させてこれを日焼け止めとして利用することについては、具体的に検討されていない。
特開平5−32532号公報 特公平7−23294号公報 特開平2−2867号公報 特開平11−221459号公報 特開2008−208044号公報 特開2010−222349号公報 国際公開第2017/043484号
本発明者らは、カチオン性重合開始剤を用いて作られたカチオン性ポリマー粒子に紫外線吸収剤を内包させることにより、この紫外線吸収剤内包ポリマー粒子が皮膚や毛髪への高い吸着性を示すことを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明は、皮膚または毛髪の表面への吸着力を向上させた紫外線吸収剤内包ポリマー粒子、およびその製法を提供する。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)紫外線吸収剤を内包しているカチオン性ポリマー粒子であって、該カチオン性ポリマー粒子が、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位および炭素−炭素二重結合を含むモノマーに由来する構造単位を含んでなる重合体である、紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(2)前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(以下「ADIP」という、CAS RN.2088831−30−3)およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP−Cl、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(以下「V−50」という、CAS RN.2997−92−4)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(以下「VA−044」という、CAS RN.27776−21−2)、および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](以下「VA−061」という、CAS RN.20858−12−2)からなる群から選択されるものである、前記(1)に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(3)前記炭素−炭素二重結合を含むモノマーが、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類、および酢酸ビニルモノマーからなる群から選択される1以上の化合物である、前記(1)または(2)に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。(4)前記紫外線吸収剤が、UVA吸収剤およびUVB吸収剤のいずれか一方またはこれらの組み合わせである、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(5)前記UVA吸収剤が、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(以下「DHHB」という)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[4,6−bis(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、およびジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される1以上の化合物である、前記(4)に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(6)前記UVA吸収剤がDHHBである、前記(4)に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(7)前記UVB吸収剤が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(以下「OMC」という)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、および2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される1以上の化合物である、前記(4)〜(6)のいずれかに記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(8)前記UVB吸収剤がOMCである、前記(4)〜(6)のいずれかに記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
(9)紫外線吸収剤を内包しているカチオン性ポリマー粒子を製造する方法であって、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含むモノマーとを用いるラジカル重合反応を、紫外線吸収剤の存在下で行う工程を含んでなる、方法。
(10)前記ラジカル重合反応が、エタノールを実質的に含まない反応混合物において行われる、前記(9)に記載の方法。
(11)前記ラジカル重合反応が、紫外線吸収剤の融点以下の温度で行われる、前記(9)または(10)に記載の方法。
(12)前記ラジカル重合反応において、前記カチオン性重合開始剤とともに油溶性重合開始剤が用いられる、前記(9)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(以下「ADIP」という、CAS RN.2088831−30−3)およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP−Cl、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(以下「V−50」という、CAS RN.2997−92−4)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(以下「VA−044」という、CAS RN.27776−21−2)、および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](以下「VA−061」という、CAS RN.20858−12−2)からなる群から選択されるものである、前記(9)〜(12)のいずれかに記載の方法。
本発明の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子は、ポリマー表面が正に帯電しているため、皮膚や毛髪に強く吸着することができ、水や汗でも落ちにくいという特性を有する点で有利である。また、本発明の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子は、紫外線吸収剤がポリマーに内包されているため肌や毛髪への刺激が少ないという利点も有している。さらに、本発明によれば、UVA吸収剤およびUVB吸収剤の両方を内包させることにより、UVAおよびUVBの両方に対して紫外線防御能が高い紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子を提供することが可能である。また、本発明によれば、極めて水分散性の高い紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子を提供することも可能である。
図1は、N−イソプロピルアクリルアミド(以下「NIPAM」という)ゲル粒子の毛髪付着性評価(励起波長473nm、蛍光波長485〜585nm)の結果である(蛍光強度が強い部分を濃色で表示)。下段の棒グラフは、カチオン性NIPAMゲル(EF043)若しくはアニオン性NIPAMゲル(K40)粒子処理による毛髪表面への蛍光物質の付着評価を定量的に行ったものである。縦軸の値は毛髪単位面積当たりの蛍光強度の平均値(n=5〜6、エラーバーは標準誤差)である。 図2は、N−イソプロピルメタクリルアミド(以下「NIPMAM」という)ゲル粒子の毛髪付着性評価(励起波長473nm、蛍光波長485−585nm)の結果である(蛍光強度が強い部分を濃色で表示)。NIPMAM(−)は、アニオン性重合開始剤を用いて製造したゲル粒子(以下「MAM001」という)、NIPMAM(+)は、カチオン性重合開始剤を用いて製造したゲル粒子(以下「MAM006」という)の結果である。 図3は、メタクリル酸メチル(以下「MMA」という)ゲル粒子の毛髪付着性評価(励起波長473nm、蛍光波長485−585nm)の結果である(蛍光強度が強い部分を濃色で表示)。MMA(−)は、アニオン性重合開始剤を用いて製造したゲル粒子(以下「OG036」という)、MMA(+)は、カチオン性重合開始剤を用いて製造したゲル粒子(以下「OG037」という)の結果である。
発明の具体的説明
本発明の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子は、紫外線吸収剤を内包しているポリマー粒子を含んでなる。このポリマー粒子は、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位および炭素−炭素二重結合を含むモノマーに由来する構造単位を含んでなる重合体であり、この構造的特徴により、表面が陽性荷電で覆われたポリマー粒子となる。この特徴により、本発明の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子は、皮膚/毛髪表面への吸着力が強く、水や汗でも落ちにくいという特性を有するため、皮膚/毛髪の日焼けを低減または防止するという用途において特に有利である。
本発明におけるポリマー粒子は、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含むモノマーとを用いるラジカル重合反応を行うことにより製造される。このようなラジカル重合反応は、国際公開第2017/043484号に記載の方法に従って好適に行うことができる。さらに、ポリマー粒子に紫外線吸収剤を内包させる手段は特に制限されるものではなく、当業者であれば適切に行うことができる。例えば、上記のラジカル重合反応を紫外線吸収剤の存在下で行うこと、つまり、ラジカル重合反応の反応混合物中に紫外線吸収剤を混合することによって、ポリマー粒子に紫外線吸収剤を内包させることができる。
本発明に用いられるカチオン性重合開始剤は、(a)常温で安定であり、(b)水溶性であり、(c)ラジカル重合反応を惹起させるラジカル産生能があり、(d)ラジカル重合反応後の重合体の末端においても幅広いpHの範囲で、少なくとも中性付近で、正電荷を有するものである。
ここで、上記カチオン性重合開始剤は、皮膚/毛髪表面でカチオン性であることが望ましい。つまり、皮膚や毛髪の表面は、濡れて水分のある環境や乾いた環境など、状態が変化する。そのどちらの条件下でも正電荷を保持していることが日焼け防止効果を長く発揮する上で望ましい。例えば、水中では、水がブレンステッドの酸として働くため、アミンなどはカチオン性になりやすいが、水分などがない環境下でもカチオン性になっていることが望ましい。具体的にはプロトン付加型のカチオン構造でなく、例えば4級アンモニウム構造を持つことが望ましい。
本発明の好ましい実施態様によれば、カチオン性重合開始剤としては、例えば、pHに依存せずに常に安定的なカチオン性を示すADIP、およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP−Cl、ならびに水中環境で酸性から中性領域でプロトン化し、カチオン性を示すV−50、VA−044、およびVA−061などが挙げられ、これらの中から1つ以上を選択して用いることができる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、特に制限されるものではなく、紫外線を吸収する物質であればいかなるものであってもよい。紫外線吸収剤は、主に、UVAを吸収するUVA吸収剤と、UVBを吸収するUVB吸収剤とに分類されるが、本発明では、これらのいずれか一方またはこれらの組み合わせを用いることができる。
UVAの紫外線を吸収するUVA吸収剤としては、例えば、DHHB、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[4,6−bis(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどが化粧品に用いられているが、これらの中でも、UVAの吸収能や入手しやすさなどの観点から、DHHBが望ましい。
UVBの紫外線を吸収するUVB吸収剤としては、例えば、OMC、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシル(別名オクトクリレン)などが化粧品に用いられているが、これらの中でも、UVBの吸収能や入手しやすさなどの観点から、OMCが望ましい。
本発明において、ラジカル重合反応の原料となるモノマーとしては、炭素−炭素二重結合を有する化合物であれば、いずれのものも使用することができる。また、その中で、ラジカル重合反応の効率、経済性、安全性等の観点から適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる炭素−炭素二重結合を含むモノマーとしてはビニル系化合物モノマーが用いられ、例えば、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類、酢酸ビニルモノマー、およびこれらの組み合わせ等が選択できる。さらに、用いる紫外線吸収剤が粉体の場合は、その粉体が溶解しやすいモノマーを選択することが望ましい。例えば、DHHBを用いた場合には、メタクリル酸メチルやスチレンなどを用いることが望ましく、特にスチレンを用いると、DHHBの溶解性が高いため、粒子中のDHHBの含有量を増加させることができる。
また、医薬部外品としての使用が認められているポリマーエマルションには、酢酸ビニル・スチレン共重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリスチレン樹脂エマルション、ポリアクリル酸ブチルエマルション、ポリアクリル酸エマルション、ポリアクリル酸エチルエマルション、ポリアクリル酸アルキルエマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、スチレン重合体エマルション、スチレン・ブタジエン共重合体エマルション、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20E.O.)共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリル酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・スチレン共重合体エマルションなどがあり、これらのポリマーエマルションを与えるようにモノマーを選択することも望ましい。
本発明の好ましい実施態様によれば、紫外線吸収剤として液体状の化合物を用いる場合には、重合開始剤の濃度を高くする、反応温度を高くする、乳化剤を添加するなど、乳化重合初期において、乳化作用のある物質の量が多くなるように調整される。これらのうち、完成品による皮膚/毛髪刺激性を最小限に抑える観点から、重合開始剤濃度を一定程度に高くする、反応温度を高くするなどの調整が特に望ましい。
本発明の好ましい実施態様によれば、重合反応は、エタノールを実質的に含まない反応混合物において行われる。これにより、モノマー(スチレンモノマー等)からポリマーへの転化率が向上するため、重合反応後の精製が容易になるか、あるいは不要となる、という点で有利である。ここで、「実質的に含まない」とは、重合反応の効率に有意な影響を与えない程度のエタノールであれば含まれていてもよいことを意味する。例えば、エタノールは、エタノールを全く含まない反応混合物を用いた場合と比較して、重合反応後の精製工程を新たに設けることや、精製方法を変更することを必要としない程度の量であれば、含まれていてもよい。本発明のさらに好ましい実施態様によれば、重合反応は、エタノールを全く含まない反応混合物において行われる。
紫外線吸収剤として室温で固体状の化合物を用いる場合、紫外線吸収剤をモノマー成分に溶解した状態でラジカル重合反応に供することができる。一方で、ラジカル重合の反応温度が固体状の紫外線吸収剤の融点より高い場合、重合反応の過程で紫外線吸収剤が融解し、反応混合物が粘着性の液体となる場合がある。特に、高含量の紫外線吸収剤を反応に供している場合は、粘着性の液体が合成容器に付着するなどして内包粒子の合成収率を著しく下げることがある。従って、本発明の好ましい実施態様によれば、重合反応の温度は、紫外線吸収剤の融点が上限値とされ、以下、このような低温での重合反応を「低温重合」という。低温重合における重合反応温度の下限値は特に制限されるものではないが、例えば、反応混合物に用いられる溶媒の凝固点とすることができ、好ましくは紫外線吸収剤の融点よりも15℃低い温度、より好ましくは紫外線吸収剤の融点よりも10℃低い温度とされる。例えば、紫外線吸収剤がDHHB(融点53℃)である場合には、重合反応温度は38℃〜53℃が好ましく、43℃〜53℃がさらに好ましい。
本発明の好ましい実施態様によれば、重合反応において、上記の重合開始剤とともに油溶性重合開始剤が併用される。このような油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN、CAS RN:78−67−1)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(略称V−65、CAS RN:4419−118)等を挙げることができ、これらの油溶性重合開始剤から選択される一種以上が好ましい。また、油溶性重合開始剤としては、低温でもラジカルを発生させることができるものが好ましく、例えば、V−65が好ましい。油溶性重合開始剤を併用することにより、モノマー(スチレンモノマー等)からポリマーへの転化率が向上するため、重合反応後の精製が容易になるか、あるいは不要となる、という点で有利である。特に、低温重合を用いた場合にはとりわけモノマー(例えばスチレン)の反応速度が下がり、ポリマーへの転化率も低くなりやすいため、油溶性重合開始剤との併用により転化率を向上させることが有利である。特に、上記のV−65は、低温でもラジカルを発生させることができるため、好適に用いることができる。カチオン性重合開始剤の使用量に対する油溶性重合開始剤の使用量のモル比は、当業者であれば適宜決定することができるため特に制限されないが、好ましくは0.01〜5、より好ましくは0.05〜2、さらに好ましくは0.1〜1.5とされる。なお、この実施態様では、カチオン性と油溶性の両方の性質を有する重合開始剤を用いることもできる。
本発明の好ましい実施態様によれば、重合反応において、カチオン性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用する低温重合が行われる。本発明のさらに好ましい実施態様によれば、重合反応において、エタノールを実質的に含まない反応混合物を用いた、カチオン性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用する低温重合が行われる。
本発明の皮膚用/毛髪用化粧料組成物には、必要に応じて、上記以外の成分を、本発明の効果を実質上損なわない範囲内で配合することができる。このような成分としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ひまし油等の液体油脂;固体油脂;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等のロウ;ステアリルアルコール、セタノール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸;流動パラフィン、パラフィン、揮発性イソパラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シクロメチコン、アミノ変性若しくはポリエーテル変性シリコーン油等のシリコーン油または架橋型シリコーン;グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化ローカストビーンガムなどのカチオン性多糖類、ポリクオタニウム−7などの合成系カチオン性高分子、ポリクオタニウム−39などの両性高分子等の水溶性高分子;トリクロロカルバニリド、イオウ、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノール、ピロクトンオラミン等の抗フケ用薬剤;植物系増粘剤、微生物系増粘剤、動物系増粘剤、セルロース系増粘剤、デンプン系増粘剤、アルギン酸系増粘剤、ビニル系高分子、高分子量ポリエチレングリコール等の増粘剤;粘度調整剤;陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、乳濁剤;金属イオン封鎖剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、1,2−オクタンジオール、メチルイソチアゾリノン等の防腐剤;マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、合成フッ素金雲母、鉄含有合成フッ素金雲母、微粒子複合粉体等の粉末成分;赤色106号、だいだい色205号、黄色4号、緑色3号、青色1号等の色素;低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、各種抽出液、血行促進剤、局所刺激剤、毛包賦活剤、抗男性ホルモン剤、抗脂漏剤、角質溶解剤、殺菌剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、消炎剤、美白剤、抗シワ剤、収れん剤、抗酸化剤、活性酸素除去剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、生薬エキス類等の育毛薬剤、pH調整剤、香料等が挙げられ、これらを必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により製造することができる。
本発明の皮膚用/毛髪用化粧料組成物は、選択する剤形と形態に応じた方法に従って製造することが可能であり、典型的には、上記の必須配合成分と必要な選択的成分を、水等の溶剤に溶解させることにより製造される。本発明の皮膚用/毛髪用化粧料組成物の製品形態としては、乳液、ローション、クリーム、軟膏、パウダー、シート、スプレー等が挙げられる。一つの実施態様では、本発明の皮膚用/毛髪用化粧料組成物は皮膚用化粧料組成物とされる。他の一つの実施態様では、本発明の皮膚用/毛髪用化粧料組成物は毛髪用化粧料組成物とされる。
以下に実施例を示すことにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
重合体の合成に用いたカチオン性重合開始剤の1つであるADIPは、特許文献(国際公開第2017/043484号)に記載の方法に従って合成した。あるいは、ADIPのカウンターアニオンをイオン交換樹脂によって交換した重合開始剤ADIP―Clを用いた。また、必要に応じて、富士フィルム和光純薬から購入したV−50、VA−044を使用した。
合成した粒子の直径は、ゼータサイザーナノZSP(マルバーン社)で測定した動的光散乱法による流体力学的な粒子径(Z−Ave)である。PdIは、多分散性指数(polydispersity index)を表しており、粒子径分布の幅を評価するための指標である。0.1以下のPdI値を有する分布は一般的に「単分散」と呼ばれ、一方、0.1〜0.3の間の値を有する分散体は、狭い径分布を有すると考えられている。ゼータ電位は、ゼータサイザーナノZSP(マルバーン社)で測定した。
本実施例における収率(質量%)は、以下の式1で表す。また、ポリマー粒子内に閉じ込めた紫外線吸収剤の量は以下の式2で示す「全固形分中の紫外線吸収剤量(w/w%)」で評価した。
[式1]
収率(%)=〔遠心もしくは濾過精製後の生成物の重量〕/〔仕込みの紫外線吸収剤の重量+モノマー重量〕×100
[式2]
全固形分中の紫外線吸収剤量(w/w%)=〔遠心もしくは濾過精製後の生成物中の紫外線吸収剤の重量〕/〔遠心もしくは濾過精製後の生成物の重量〕×100
実施例1:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、2.1gのMMA(800mM)、1.15gのアクリル酸ブチル(以下「BA」という、200mM)、16.7mgのV−50(2mM)、600mgのOMC(2w/v%)を加え、窒素置換した超純水を全液量が30mLになるまで加えた。反応混合物を、所定温度の湯浴にて18時間撹拌し、重合を行った。その後、遠心精製(20,400×g、10分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。凍結乾燥粉体を重クロロホルムで溶解して、H−NMRによりOMC含有量を算出した。
70℃および80℃で合成した結果を表1に示した。ゼータ電位が正の値を示したことからも、どちらも80%以上の高い収率でOMCを含有したカチオン性アクリル系粒子が合成できることがわかった。収率は反応温度を高くすることで86%から92%に増加し、合わせて全固形分中の紫外線吸収剤量も9%から13.3%に増加した。この結果より、反応温度を高くすることで紫外線吸収剤の含有量が高くなることが示された。
Figure 2021088555
実施例2−1:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG834の合成
全ての超純水は、窒素バブリングにより、スターラーで撹拌しながら溶存酸素を30分以上追い出してから使用した。300mL容バッフル付セパラブルフラスコにて、メカニカルスターラーを使い、ステンレス羽根を用いて合成を行った。12.0gのMMA(800mM)、3.8gのBA(200mM)、0.61gのV−50(15mM)を添加し、さらに10.5gのOMC(7w/v%)を添加した上で、超純水で全体が150mLになるようにした。マントルヒーターにセットし、450rpmで撹拌、液中に刺した温度計で80℃に制御・加温し、3時間乳化重合を行った。合成は窒素雰囲気下で行った。遠心精製(20,400×g、10分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。また、乾燥粉体を重クロロホルムで溶解して、H−NMRによりOMC含有量を算出した。
結果を表2に示した。88%という高い収率でOMCを含有したポリメタクリル酸メチルーポリアクリル酸ブチルポリマー粒子が合成できた。OMC含有量は40%以上であり、高い割合でOMCが含まれることがわかった。また、PdIは0.01であり、極めて単分散性の高い粒子ができたことがわかった。
Figure 2021088555
実施例2−2:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG829concの合成
全ての超純水は、窒素バブリングにより、スターラーで撹拌しながら溶存酸素を30分以上追い出してから使用した。300mL容バッフル付セパラブルフラスコにて、メカニカルスターラーを使い、ステンレス羽根を用いて合成を行った。12.0gのMMA(800mM)、3.8gのBA(200mM)、0.20gのV−50(5mM)を添加し、さらに15gのOMC(10w/v%)を添加した上で、超純水で全体が150mLになるようにした。マントルヒーターにセットし、450rpmで撹拌しながら、液中に刺した温度計で80℃に制御・加温し、3時間乳化重合を行った。合成は窒素雰囲気下で行った。合成後の乳化液を100kDaの限外濾過膜にて濃縮した。遠心精製(20,400×g、10分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。OMC含有量は、「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフラン/クロロホルムで抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。OMCは310nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表3に示した。溶液中のOMC濃度が16w/v%というOMC高含有の乳化液を調製することができた。水分散性の高いOMC乳化液は、化粧品素材として処方設計をしやすいという利点がある。
Figure 2021088555
実施例2−3:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子OG966の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのスチレン(以下「St」という、1000mM)に3.45gのOMCを溶かしこんだ。そこに40v/v%エタノール水溶液を溶液全体量が29mLになるように添加し、1mLの超純水に39mgのVA−044を溶かした水溶液(終濃度4mM)を添加した。得られた混合物を60℃の湯浴にて16時間撹拌し、重合を行った。その後、遠心精製(17,300×g、90分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。OMC含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製サンプルをテトラヒドロフランで抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。OMCは310nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表4−1に示した。ポリスチレンを用いた場合、固形分中のOMC含有比率75%超のカチオン性ポリスチレン粒子が合成できた。実施例2−1、2−2、2−3の結果から、どんなモノマーを用いてもカチオン性の重合開始剤を用いることで、紫外線吸収剤OMCを高含有したカチオン性ポリマー粒子懸濁液が合成できることがわかった。
Figure 2021088555
実施例2−4:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG1026(メタクリル酸メチルーtertブチルアクリレート共重合体)、OG1031(メタクリル酸メチルーイソブチルアクリレート共重合体)の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、OG1026の場合は1.92gのtertブチルアクリレート(以下、tBAという)、G1031の場合は1.92gのイソブチルアクリレート(以下、IBAという)を加えた。さらに、いずれのサンプルに対しても1.5gのMMA、40.7mgの開始剤V−50、3.0gのOMCを加え、窒素置換した超純水を全液量が30mLになるまで加えた。反応混合物を80℃の湯浴にて3時間撹拌し、重合を行った。その後、真空乾燥して収量を算出した。OMC含有量は、「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからテトラヒドロフラン/クロロホルムで抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。OMCは310nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表4−2に示した。他のアクリルモノマーを用いてもOMCを含有した粒子が合成できた。さらにこれら粒子は0.9%食塩水にいれても外観安定性が変わらず、耐塩性を持っていることがわかった。
Figure 2021088555
実施例3:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG840の合成
全ての超純水は、窒素バブリングにより、スターラーで撹拌しながら溶存酸素を30分以上追い出してから使用した。300mL容バッフル付セパラブルフラスコにて、メカニカルスターラーを使い、ステンレス羽根を用いて合成を行った。16.8gのMMA(800mM)、2.15gのBA(200mM)、56.9mgのV−50(10mM)を添加し、さらに14.7gのDHHB(7w/v%)を添加した上で、超純水で全体210mLになるようにした。マントルヒーターにセットし、450rpmで撹拌しながら、液中に刺した温度計で80℃に制御・加温し、3時間乳化重合を行った。合成は窒素雰囲気下で行った。濾過により合成後のデブリを取り除いた上で、超純水で210mLまでメスアップし、凍結乾燥して収量を算出した。また、乾燥粉体をクロロホルムで溶解して360nmの吸光度を測定することにより、DHHB含有量を算出した。
結果を表5に示した。ゼータ電位が正の値を示したことから、表面がカチオン性を帯びたDHHB内包ポリメタクリル酸メチルーポリアクリル酸ブチルポリマー粒子が合成できることがわかった。
Figure 2021088555
実施例4−1:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子OG888の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、0.88gのSt(280mM)に0.97gのDHHB(3.2w/v%)を溶かしこんだ。そこに40v/v%エタノール水溶液を、溶液全体量が29mLになるように添加し、1mLの超純水に37.3mgのADIPを溶かした溶液(終濃度2.05mM)を添加した。得られた反応混合物を、60℃の湯浴にて16時間撹拌し、重合を行った。その後、遠心精製(17,800×g、30分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。凍結乾燥粉体をクロロホルムで溶解して、360nmの吸光度を測定することによりDHHB含有量を算出した。
結果を表6に示した。100%という極めて高い収率でDHHBを含有したカチオン性ポリスチレン粒子が合成できることがわかった。実施例3の結果と合わせて、様々なポリマーでカチオン性のDHHB内包粒子が合成できることが明らかとなった。
Figure 2021088555
実施例4−2:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子OG985およびポリビニルアルコール(PVA)を修飾した粒子OG1019の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのStに6.36gのDHHBを溶かしこんだ。そこに40v/v%エタノール水溶液を溶液全体量が29mLになるように添加し、1mLの超純水に38.8mgのVA−044を溶かした溶液を添加した。得られた混合物を60℃の湯浴にて16時間撹拌し、重合を行った(OG985)。その後、真空乾燥して収量を算出した。
粒子表面へのPVA修飾については、以下の通りに行った。窒素バブリングにより、スターラーで撹拌しながら溶存酸素を30分以上追い出したOG985合成液23mLに、熱水で完全に溶解しておいた200mg相当のPVA(日本酢ビポバール、JMR−3H、けん化度78%)溶液を加え、1mLの超純水に4.07mgのV−50を溶かした水溶液も加えた。スターラーで撹拌しながら70℃の湯浴にて3時間攪拌し、PVA付加反応を行った。
DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからイソプロパノールでDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表7に示した。固形分に対して60.6w/w%の紫外線吸収剤DHHBを含むカチオン性ポリスチレン粒子が合成できた。さらにPVA修飾したPS粒子OG1018にも高濃度のDHHBが保持され、この粒子は0.9%食塩水中に添加しても凝集が生じず、耐塩性の高いサンプルとなった。
Figure 2021088555
実施例4−3:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT060の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのSt(1000mM)に3.1gのDHHBを溶かしこんだ。そこに12mLエタノールを入れ、32.5mgの重合開始剤V−50を超純水で溶解した水溶液を、終濃度4mMとなるようにバイアルに添加した。30mLに調製するために超純水を添加した後、80℃の湯浴にバイアルをセットして強力撹拌子を用いて撹拌し、計6時間合成を行った。その後、遠心精製(17,300×g、60分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからイソプロパノールでDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表8−1に示した。重合開始剤をV−50にしても35w/w%という極めて高いDHHB含有比のカチオン性ポリスチレン粒子が合成できることがわかった。実施例4−1〜3の結果を合わせて、いずれのカチオン性重合開始剤でもDHHBを含んだカチオン性PS粒子が合成できることが分かった
Figure 2021088555
実施例4−4:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT110の合成およびPVAを修飾した粒子OG1021の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのStに3.9gのDHHBを溶かしこんだ。そこに11mLエタノールを入れ、超純水で溶解させた32.5mg重合開始剤V−50をバイアルに添加した。30mLに調製するために超純水を添加した後、80℃の湯浴にバイアルをセットして強力撹拌子を用いて撹拌し、計6時間合成を行った(YT110)。その後、真空乾燥して収量を算出した。DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからテトラヒドロフラン/クロロホルムでDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
窒素バブリングにより、スターラーで撹拌しながら溶存酸素を30分以上追い出したYT110合成液23mLに、熱水で完全に溶解しておいた200mg相当のPVA(日本酢ビポバール、JMR−3H、けん化度78%)溶液を加え、1mLの超純水に溶かした4.07mg V−50水溶液を添加した。スターラーで撹拌しながら70℃の湯浴にて3時間攪拌し、PVA付加重合を行った。DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、遠心精製したサンプルからイソプロパノールでDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表8−2に示した。重合開始剤V−50を用いて、固形分に対して56w/w%という極めて高いDHHB含有比のカチオン性ポリスチレン粒子が合成できることがわかった。さらにPVA修飾したPS粒子OG1021にも高濃度のDHHBが保持され、この粒子は0.9%食塩水中に添加しても凝集が生じず、耐塩性の高いサンプルとなった。
Figure 2021088555
実施例5:UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG851の合成
(1)カウンターアニオンを交換したADIP(ADIP−Cl)の合成
ADIPを−20℃に冷やしたMeOHに溶解し、50mg/mLのADIP溶液を作製した。InertSep SAX2カラム(充填剤5g、0.3meq/g担持量、事前に15mL MeOHでコンディショニング)に6mLのADIP溶液を充填し、300mg分のADIPを処理した。次に、6mLの氷冷MeOHをカラムに加え、計12mLの素通り画分を得た。これを繰り返すことにより、トータルで15g分のADIPを処理した。5℃で冷やしながら減圧下乾固を行い、最終的に8.67gの粉体ADIP−Clを得た。ADIP−Clのカウンターアニオンがトリフレートイオンから塩化物イオンに置換されていることは、LC−MSによるトリフレートイオンの定性分析、および硝酸銀比色法による塩化物イオンの定量によって確認した。
(2)UVB吸収剤OMCを含んだカチオン性アクリル系ポリマー粒子OG851の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、2.1gのMMA(800mM)、1.15gのBA(200mM)、65.1mgのADIP−Cl(5mM)、2.1gのOMC(7w/v%)を加え、窒素置換した超純水を全液量が30mLになるまで加えた。得られた反応混合物を、80℃の湯浴にて18時間撹拌し、重合を行った。その後、遠心精製(20,400×g、10分間)を行った上で、凍結乾燥して収量を算出した。凍結乾燥粉体を重クロロホルムで溶解して、H−NMRによりOMC含有量を算出した。
結果を表9に示した。ゼータ電位が正の値を示したことから、重合開始剤をADIP−Clにした場合でも、OMCを含有したカチオン性ポリメタクリル酸メチルーポリアクリル酸ブチルポリマー粒子が合成できることがわかった。
Figure 2021088555
参考例1:ゼータ電位と皮膚表面吸着性の関係
実験手法
ゼータ電位は、Zetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて測定を行った。ゲル粒子径は動的光散乱法(DLS)に基づき測定し、ELS−8000(大塚電子)またはZetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて行った。
共重合体の合成に必要な単量体(蛍光性ユニット)の1つであるN−(2−{[7−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル]−(メチル)アミノ}エチル)−N−メチルアクリルアミド(以下「DBThD−AA」という)は、文献A(Chemistry A European Journal 2012年,第18巻,第9552〜9563頁)に記載の方法に従って行った。
参考例1−1:カチオン性重合開始剤ADIPを用いたポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(以下「TT060」、及び「AK046」という)、およびポリN−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)ゲル(以下「AK030」という)の製造(1)TT060の合成
窒素ガスで30分間バブリングすることにより溶存酸素を追い出した超純水500mL(ミリポア社製の超純水製造装置により製造)を準備した。450rpm攪拌下で窒素バブリングを行いつつ、60℃まで加温した。その後、2880mgのMMA(64mM)と1mLの超純水に溶解した559.5mg(2.05mM)のカチオン性重合開始剤ADIPを滴下して反応を開始した。60℃で6時間、450rpmでプロペラ攪拌させながら反応させた。反応液は超純水を外液とする2日間の透析により精製して、固形分含量0.56(w/v)%の共重合体化合物TT060を得た。
同一の方法でAK046の合成を行い、20400×gで20分間の遠心分離により濃縮を行った。遠心分離後の上清を1mL残して除去し、5mLの超純水で溶解した。これにより、1.83(w/v)%の共重合体化合物AK046を得た。
TT060およびAK046について、平均粒子径および平均ゼータ電位の測定を25℃で行った。
TT060については、24時間閉塞ヒトパッチテストサンプルとして使用するため、遠心分離による濃縮を以下の手順で行った。40mLのTT060懸濁液を、20400×gで20分間遠心分離を行った。上清を5mL残して除去し、再度20400×gで6分間遠心分離を行った。その後、上清を1mL残して除去し、5mLの超純水で溶解した。これにより、1.0(w/v)%の濃度のTT060水溶液を調製した。
(2)AK030の合成
窒素ガスで30分間バブリングすることにより溶存酸素を追い出した超純水500mL(ミリポア社製の超純水製造装置により製造)を準備した。480mLの超純水に、5658mg(100mM)のNIPAMと325mg(5mM)のジビニルベンゼン(以下「DVB」という)を加えて、300rpm、70℃で30分間攪拌した。その後、20mLの超純水に溶かした8493mg(28mM)のカチオン性重合開始剤ADIPを加え、1時間反応させた。反応後、溶液を氷冷し、凝集物をろ紙で除いたのち、飽和量以上の塩化ナトリウムを加え、塩析した。析出物をガラスフィルターでろ取し、超純水に溶かして水溶液とした。その溶液を3.5kDaの透析膜により透析した。透析3日後のサンプルを数mL採取し、20400×gで20分間の遠心分離の後、平均粒子径および平均ゼータ電位の測定を45℃で行った。
上述の方法に従って合成したそれぞれのゲル粒子の特徴を表10に示す。いずれも表面ゼータ電位がプラスであることから、カチオン性の特徴を持った粒子が合成できた。
Figure 2021088555
参考例1−2:カチオン性PMMA粒子(AK046)を用いた即時バリア改善作用評価試験評価
AK046懸濁液を0.3(w/v)%の濃度に調製した。比較対照として、保湿剤としての使用実績がある0.1(w/v)%ヒアルロン酸を用いた。試験は、試験実施施設の評価室(室温20±2℃、相対湿度50±10%)にて実施した。経表皮水分蒸散量(TEWL(g/m2/h))は、サイクロン水分蒸散計AS‐CT1(日本アッシュ株式会社)により3回以上測定し、その中から安定した3回の測定の平均値を用いた。5名の被験者(平均年齢は33.8±7.7)の前腕内側を、指定の洗浄料にて洗浄後20分間馴化させた後に、TEWLの初期値を測定した。その後、2(w/v)%ドデシル硫酸ナトリウム(以下「SDS」という)水溶液パッチを2時間試験部位に貼付することにより、疑似荒れ肌を作製し、TEWLを測定した。5名の被験者は、SDS水溶液パッチ貼付・除去直後におけるTEWLの平均値が初期値から上昇することを確認した被験者である。その後、前腕内側の各試験区に10μLずつ試験品を塗布し、塗布から1時間後および2時間後の塗布部位におけるTEWLを測定した。
測定値の解析は、特開2007−246459号公報に記載されるように、初期値からSDS貼付後のTEWLの増加が25%以上増加した場合を肌荒れ状態にあると定義し、25%以上増加の見られなかった場合は、解析対象から外した。また、塗布1時間後および2時間後のそれぞれのTEWLとSDS貼付後のTEWLの差分(ΔTEWL)を算出した。被験者毎に各処理時間における水塗布時のΔTEWLを1とした標準化を行い、被験者の平均値を算出し、Welch's t-testにより検定を行った。その結果を表11に示す。
Figure 2021088555
この結果から、カチオン性PMMA粒子を塗布した群では、水塗布と比較して1時間では有意に皮膚バリア性を改善し、2時間でも改善傾向にあった(P=0.069)。さらに保湿剤として使われるヒアルロン酸と比較しても2時間まで有意な皮膚バリア性を保つことがわかった。また、このような皮膚バリア性を保つことから、カチオン性のPMMA粒子は、強く皮膚表面に吸着することがわかった。
参考例2:ゼータ電位と毛髪表面吸着性の関係
実験手法
ゼータ電位は、Zetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて測定を行った。ゲル粒子径は動的光散乱法(DLS)に基づき測定し、ELS−8000(大塚電子)またはZetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて行った。
同じく、共重合体の合成に必要な単量体(蛍光性ユニット)の1つである8−(4−アクリルアミドフェニル)−4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(以下「BODIPY−AA」という)は、文献B(Analyst 2015年, 第140巻,第4498〜4506頁)に記載の方法に従って行った。
参考例2−A−1:カチオン性重合開始剤ADIPを用いたPNIPAMゲルの製造
226mg(100mM)の感熱性ユニットNIPAM、3.08mg(1mM)の架橋剤N,N’−メチレンビスアクリルアミド(以下「MBAM」という)、12.16mg(1.9mM)の塩化セチルトリメチルアンモニウム(以下「CTAC」という)、7.67mg(1mM)のDBThD−AA、および6.74mg(2.9mM)のN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン(以下、TEMEDという)を、19mLの蒸留水に溶解した。30分間アルゴンガスを通じることにより、この水溶液から溶存酸素を除去した。その後、この水溶液に、1mLの水に溶解した、339.7mg(28mM)のADIPを加え、70℃にてメカニカルスターラーを用いて1時間乳化重合させた。この反応液を室温に冷やした後、塩化ナトリウムを加え塩析をし、蒸留水で透析を行い、精製し、75.3mgの共重合体化合物EF043を得た(収率31%)。
同じくNIPAMを主鎖としたアニオンゲルK40の合成は、文献A(Chemistry A European Journal 2012年,第18巻,第9552〜9563頁)中のDBThD nanogelに記載の方法に従って行った。
参考例2−A−2:アニオン性重合開始剤過硫酸アンモニウム(以下「APS」という)およびカチオン性重合開始剤ADIPを用いたPNIPMAMゲルの製造
(1)アニオン性重合開始剤によるNIPMAMゲル(MAM001)の合成
254.37mg(2mmol)のNIPMAM、3.08mg(20μmol)のMBAM、7.67mg(20μmol)のDBThD−AA、および72.6mg(251mmol)のSDSを19mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した。70℃で撹拌しながら、窒素ガスで30分間バブリングすることにより、この水溶液から溶存酸素を追い出した。1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した127.8mg(560μmol)のAPS、および6.74mg(58μmol)のTEMEDを滴下することで反応を開始した。70℃で、150rpmで撹拌しながら、1時間反応を行った。反応液を、超純水を外液とする透析により精製して、148mgの共重合体化合物MAM001を得た。
(2)カチオン性重合開始剤によるNIPMAMゲル(MAM005)の合成
254.37mg(2mmol)のNIPMAM、3.08mg(20μmol)のMBAM、7.67mg(20μmol)のDBThD−AA、および12.16mg(38μmol)のCTACを、19mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した。70℃で撹拌しながら、窒素ガスで30分間バブリングすることにより、この水溶液から溶存酸素を追い出した。1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した339.7mg(560μmol)のADIP、6.74mg(58μmol)のTEMEDを滴下することで反応を開始した。70℃で、150rpmで撹拌しながら、1時間反応を行った。反応液を、超純水を外液とする透析により精製して、79mgの共重合体化合物MAM005を得た。
参考例2−A−3:アニオン性重合開始剤APSおよびカチオン性重合開始剤ADIPを用いたPMMA粒子の製造
(1)蛍光標識アニオン性PMMA粒子(OG036)の合成
247.9mg(123.8mM)のMMA、44.4mg(8.88mM)のポリエチレングリコールジアクリレート(以下「PEGDA」という)、および0.97mg(0.1238mM)のBODIPY―AAを18mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した。常温でプロペラ撹拌しながら、窒素ガスで30分間バブリングすることにより、この水溶液から溶存酸素を追い出した。1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した194.94mg(33.8mM)のSDSを滴下し、オイルバスにセットした後、1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した36.15mg(8mM)のアニオン性重合開始剤APSを加えて反応を開始した。80℃で、約350rpmでプロペラ撹拌しながら、1時間反応を行った。反応液を超純水を外液とする7日間の透析により精製して、全量を凍結乾燥し、72mgの共重合体化合物OG036を得た。
(2)蛍光標識カチオン性PMMA粒子(OG037)の合成
247.9mg(123.8mM)のMMA、44.4mg(8.88mM)のPEGDA、および0.97mg(0.1238mM)のBODIPY―AAを、18mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した。常温で30分プロペラ撹拌しながら窒素をバブリングし溶存酸素を追い出した。1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した21.63mgのCTAC(3.38mM)を加え溶解を確認した後、オイルバスにセットして1mLの超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)に溶解した9.71mgのカチオン性重合開始剤ADIP(0.8mM)を加えて反応を開始した。70℃で、約150rpmでプロペラ撹拌しながら1時間反応を行った。反応液を、超純水を外液とする7日間の透析により精製して、全量を凍結乾燥し、20mgの共重合体化合物OG037を得た。
参考例2−B−1:蛍光標識ゲル粒子を用いたカチオン性粒子の毛髪付着性評価
以下の表11に示した参考例2−A−1〜3で合成した蛍光標識ゲル粒子を用いて、毛髪付着性を評価した。評価に用いた毛髪は、軽度に脱色(ブリーチ)したヒト黒髪(株式会社毛束屋より入手)である。長さ1cm程度に切った毛髪を、0.05%重量の各種ゲル粒子水溶液に10分浸漬後、超純水(ミリポア社製の超純水製造装置により製造された)で3回洗浄した。処理後の毛髪を、共焦点絞りを開き(C.A.785nm)、励起波長473nm、蛍光波長520−620nmもしくは485−585nm、の条件の下で、UPlanApo10X/0.40レンズを使用した蛍光顕微鏡(FV1000、オリンパス社)により観察を行った。
Figure 2021088555
NIPAM、NIPMAM、MMAそれぞれのゲル粒子を用いて蛍光顕微鏡観察を行った結果を、図1〜3に示した。図1〜3に示す通り、カチオン性ゲル粒子はアニオン性ゲル粒子と比較して毛髪表面への付着性が極めてよかった。また得られた画像から、毛髪部分をROIで囲み、蛍光強度の平均値を算出した(n=5〜6)。その結果、図1の棒グラフに示すように、単位面積あたりの毛髪の蛍光強度はカチオン性粒子で有意に高いことがわかった。統計処理を行ったところ、t検定により未処理群とアニオン性K40処理群との間には有意差がなく(P>0.1)、未処理群とカチオン性EF043処理群との間には有意差が有る(P<0.001)ことが明らかとなった。これらの結果より、カチオン性ゲル粒子にはおしなべて毛髪表面への強い付着性があることが明らかとなった。
実施例6:OMCまたはDHHBを含有したPS粒子の化粧料によるSPFおよびUVAPFの測定
以下に、本発明の化粧料の処方例を示す。それぞれについて、SPFおよびUVAPFを下記の方法によって測定した。なお、以下の処方例に記載した化粧料は、皮膚表面への吸着力が強く、水や汗でも落ちにくいという特性を有していた。
(SPF測定方法)
各試料をPMMA板に塗布し、乾燥後、PMMA板上の試料の所定7箇所をSPFアナライザー(Labsphere UV−2000S、Labsphere社製)を用いて、SPFを測定した。
(UVAPF測定方法)
各試料をPMMA板に塗布し、乾燥後、PMMA板上の試料の所定7箇所をSPFアナライザー(Labsphere UV−2000S、Labsphere社製)を用いて、UVAPFを測定した。
[処方例1〜2]日焼け止めジェル
日焼け止めジェルの処方例を、表13に示す。用いたOMC含有PSエマルションOG966は実施例2−3に記載の素材であり、OMCの含有濃度は10.2w/v%である。DHHB含有PSエマルションYT060は実施例4−3に記載の素材であり、DHHBの含有濃度は7.6w/v%である。
Figure 2021088555
(製造方法)
表13中のA成分を均一になるまで撹拌混合した後、B成分を添加して撹拌混合した。
表13に示すように、ジェル形態にした際にも所望のUVケア機能があることが確認できた。
[処方例3]日焼け止めクリーム
日焼け止めクリームの処方例を、表14に示す。用いたDHHB含有PSエマルションは実施例4−3を参考に作った素材を減圧濃縮操作したもの(OG1127)であり、DHHBの含有濃度は18.1w/v%である。
Figure 2021088555
(製造方法)
75℃にて表14中のA成分とB成分をそれぞれ攪拌混合し、BにAを徐々に添加してホモミキサーで乳化後、40℃以下に冷却した。室温で均一に混合したC成分とD成分を調製した乳化物に添加して均一に撹拌混合した。
表14に示すように、クリーム形態にした際にも所望のUVケア機能があることが確認できた。
以下に、本発明のDHHBを含有したPS粒子を配合した化粧料の処方例を挙げるが、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の処方例に記載した化粧料は、皮膚もしくは毛髪表面への吸着力が強く、水や汗でも落ちにくいという特性を有し、皮膚の日焼けを低減または防止するUVケア機能を備えていた。
[処方例4]日焼け止めミスト
Figure 2021088555
(製造方法)
全成分を均一になるまで撹拌混合した。
[処方例5]リーブオンヘアトリートメント
Figure 2021088555
(製造方法)
A成分とB成分をそれぞれ攪拌混合した後、AにBを徐々に添加してホモミキサーで乳化した。
[処方例6]マスカラ
Figure 2021088555
(製造方法)
A成分を75℃で加熱溶解したものに、B成分を80℃で攪拌混合した混合物を攪拌しながら混合した後、ホモミキサーで乳化した。C成分で乳化物を希釈した後に、D成分を混合した。
[処方例7]メーキャップリムーバー
Figure 2021088555
(製造方法)
A成分を75℃で加熱溶解したものに、B成分を80℃で攪拌混合した混合物を攪拌しながら混合した後、ホモミキサーで乳化した。C成分で乳化物を希釈した後に、D成分を混合した。
[処方例8]リキッドルージュ
Figure 2021088555
(製造方法)
A成分を75℃で加熱溶解したものに、B成分を80℃で攪拌混合した混合物を攪拌しながら混合した後、ホモミキサーで乳化した。C成分で乳化物を希釈した後に、D成分を混合した。
実施例7:UVA吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子OG1253の合成
30mL透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのスチレン(St、1000mM)に3.1gのDHHBを溶かしこんだ。そこに12mLエタノールを入れ、超純水で溶解させた重合開始剤ADIPのカウンターアニオンであるトリフレートイオンを塩化物イオンに変更したADIP−Cl水溶液を、終濃度4mMとなるようにバイアルに添加した。30mLに調製するために超純水を添加した後、50℃の湯浴にバイアルをセットして強力撹拌子を用いて撹拌し、計21時間合成を行った。その後、遠心精製(17,300×g、60分間)を行った上で、乾熱乾燥して収量を算出した。DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、乾燥サンプルからテトラヒドロフランとクロロホルムによりDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表20に示した。重合開始剤をADIP―Clにしても51.9w/w%という極めて高いDHHB含有比のカチオン性ポリスチレン粒子が合成できることがわかった。
Figure 2021088555
実施例8:UV吸収剤オクトクリレンを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT228の合成
30mL容透明バイアル瓶に撹拌子を入れ、3.1gのStに3.2gのオクトクリレンを溶かしこんだ。3.9mgのジビニルベンゼンと、熱水で完全に溶解しておいた200mg相当のPVA(日本酢ビポバール、JMR−3H、けん化度78%)溶液を加え、そこに40v/v%エタノール水溶液を溶液全体量が29mLになるように添加し、1mLの超純水に32.5mgのV−50を溶かした溶液を添加した。得られた混合物を80℃の湯浴にて6時間撹拌し、重合を行った(YT228)。その後、真空乾燥して収量を算出した。
オクトクリレン含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、乾燥サンプルからテトラヒドロフランとクロロホルムでオクトクリレンを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。オクトクリレンは303nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表21に示した。重合開始剤V−50を用いて、全固形分に対して56w/w%という極めて高いオクトクリレン含有比のカチオン性ポリスチレン粒子が合成できた。OMC以外のUVB吸収剤を含有するカチオン性ポリスチレン粒子が合成可能であることを明らかにした。
Figure 2021088555
実施例9:UV吸収剤DHHBを含んだエタノールフリーなカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT241の合成
18.7gのStに18.7gのDHHBおよび23.4mgのジビニルベンゼンを溶かし込んだ。左記の溶解液を油層とする。続いて、3.9gのPVA(日本酢ビポバール、JP−05、けん化度87−89%)が溶解した水溶液を邪魔板付きセパラブルフラスコ(容量350mL)に加え、4mLの超純水に0.4gのV−50を溶かした水溶液を添加して溶液全体量が180mLになるように調製した。左記溶解液を水層とする。水層をシーリング撹拌機UZU(中村科学器械工業株式会社)と3枚攪拌羽を用いて450rpmで攪拌しながらマントルヒーターで80℃まで昇温した。続いてペリスタポンプ及びポリプロピレンチューブを用いて油層を水層へ約2時間かけて添加した後に4時間攪拌を続けて重合を行った(YT241)。その後、乾熱乾燥して収量を算出した。
DHHB含有量は「衛生試験法・注解2015」を参考に、乾燥サンプルからテトラヒドロフランおよびクロロホルムでDHHBを抽出し、高速液体クロマトグラフィで定量分析を行った。DHHBは350nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表22に示した。重合開始剤V−50を用いて全固形分に対して29.9w/w%というDHHB含有比のカチオン性ポリスチレン粒子がエタノールフリーで合成できることがわかった。
Figure 2021088555
実施例10:UV吸収剤DHHBを含んだエタノールフリーなカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT257の油層逐次添加法による低温合成
10gのStに10gのDHHBおよび46mgのジビニルベンゼンを溶かし込んだ。左記の溶解液を油層とする。続いて、175gの超純水に2.3gのPVA(日本酢ビポバール、JP−05、けん化度87−89%)を溶解した水溶液を邪魔板付きセパラブルフラスコ(容量350mL)に加え、5mLの超純水に0.5gのVA−044を溶かした水溶液を添加した。左記溶解液を水層とする。水層をシーリング撹拌機UZU(中村科学器械工業株式会社)と3枚攪拌羽を用いて450rpmで攪拌しながらマントルヒーターで50℃まで昇温した。続いてペリスタポンプ及びポリプロピレンチューブを用いて油層を水層へ約2時間かけて添加した後に18時間攪拌を続けて重合を行った(YT257)。その後、乾熱乾燥して収量を算出し、DHHB含有量は高速液体クロマトグラフィを用いた定量分析により算出した。
結果を表23に示した。重合開始剤VA−044を用いた50℃下での条件では、全固形分に対して43.1w/w%という比較的DHHB含有比の高いカチオン性ポリスチレン粒子がエタノールフリーで合成できることがわかった。DHHBは融点が53℃であり、その温度以上では粘着性のある液体へと状態変化することから、粒子合成後の容器にはDHHB由来の黄色付着物がしばしば認められる。融点以下で合成することでその現象を回避することができた。融点以下で合成するには低温系の重合開始剤を使う必要があり、VA−044の使用はその1つとして有効であることが分かった。
Figure 2021088555
実施例11:油溶性開始剤との併用によるUV吸収剤DHHBを含んだカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT266の低温合成
15gのStに15gのDHHBおよび0.15gの2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、略称V−65)および46mgのジビニルベンゼンを溶かし込んだ。左記の溶解液を油層とする。続いて、175gの超純水に2.3gのPVA(日本酢ビポバール、JP−05、けん化度87−89%)を溶解した水溶液を邪魔板付きセパラブルフラスコ(容量350mL)に加え、5mLの超純水に0.15gのVA−044を溶かした水溶液を添加した。左記溶解液を水層とする。水層をシーリング撹拌機UZU(中村科学器械工業株式会社)と3枚攪拌羽を用いて450rpmで攪拌しながらマントルヒーターで50℃まで昇温した。続いてペリスタポンプ及びポリプロピレンチューブを用いて油層を水層へ約2時間かけて添加した後に18時間攪拌を続けて重合を行った(YT266)。その後、乾熱乾燥して収量を算出し、DHHB含有量は高速液体クロマトグラフィを用いた定量分析により算出した。
結果を表24に示した。50℃下でのエタノールフリーな合成条件において、重合開始剤VA−044とV−65を併用した合成条件では、固形分濃度16.3w/v%(理論固形分濃度18.1w/v%)という極めて高い効率で固形分を回収することが出来た。また、全固形分に対するDHHB含有比は47.2w/w%というカチオン性ポリスチレン粒子が合成できることがわかった。
Figure 2021088555
実施例12:UV吸収剤DHHBおよび2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジンを含んだエタノールフリーなカチオン性スチレン系ポリマー粒子YT263の低温合成
10gのStに10gのDHHBおよび0.3gの2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(化粧品原料国際命名法:エチルヘキシルトリアゾン)および40mgのV−65および46mgのジビニルベンゼンを溶かし込んだ。左記の溶解液を油層とする。続いて、175gの超純水に2.3gのPVA(日本酢ビポバール、JP−05、けん化度87−89%)を溶解した水溶液を邪魔板付きセパラブルフラスコ(容量350mL)に加え、5mLの超純水に0.13gのVA−044を溶かした水溶液を添加した。左記溶解液を水層とする。水層をシーリング撹拌機UZU(中村科学器械工業株式会社)と3枚攪拌羽を用いて450rpmで攪拌しながらマントルヒーターで50℃まで昇温した。続いてペリスタポンプ及びポリプロピレンチューブを用いて油層を水層へ約2時間かけて添加した後に18時間攪拌を続けて重合を行った(YT263)。その後、乾熱乾燥して収量を算出し、DHHBおよびエチルヘキシルトリアゾン含有量は高速液体クロマトグラフィを用いた定量分析により算出した。エチルヘキシルトリアゾンは310nmの吸光度を指標に検出した。
結果を表25に示した。重合開始剤VA−044を用いた50℃下でのエタノールフリーな合成条件では、全固形分に対して43.7w/w%のDHHB含有、さらに0.1w/v%のエチルヘキシルトリアゾンを含有(理論含有濃度0.17w/v%)していたことから、UVA吸収剤およびUVB吸収剤それぞれ1種類を含むカチオン性ポリスチレン粒子が合成できた。
Figure 2021088555

Claims (13)

  1. 紫外線吸収剤を内包しているカチオン性ポリマー粒子であって、該カチオン性ポリマー粒子が、カチオン性重合開始剤に由来する構造単位および炭素−炭素二重結合を含むモノマーに由来する構造単位を含んでなる重合体である、紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  2. 前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(ADIP)およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP−Cl、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(V−50)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VA−044)、および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](VA−061)からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  3. 前記炭素−炭素二重結合を含むモノマーが、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸類、アクリル酸類のエステル類、メタクリル酸類、メタクリル酸類のエステル類、スチレン類、および酢酸ビニルモノマーからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項1または2に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  4. 前記紫外線吸収剤が、UVA吸収剤およびUVB吸収剤のいずれか一方またはこれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  5. 前記UVA吸収剤が、4−tert−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(DHHB)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[4,6−bis(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(オクチル)オキシ]−フェノール、およびジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項4に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  6. 前記UVA吸収剤が2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシル(DHHB)である、請求項4に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  7. 前記UVB吸収剤が、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(OMC)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、ジメチルジエチルベンザルマロネート、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン、および2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルからなる群から選択される1以上の化合物である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  8. 前記UVB吸収剤がパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(OMC)である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の紫外線吸収剤内包カチオン性ポリマー粒子。
  9. 紫外線吸収剤を内包しているカチオン性ポリマー粒子を製造する方法であって、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含むモノマーとを用いるラジカル重合反応を、紫外線吸収剤の存在下で行う工程を含んでなる、方法。
  10. 前記ラジカル重合反応が、エタノールを実質的に含まない反応混合物において行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記ラジカル重合反応が、紫外線吸収剤の融点以下の温度で行われる、請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記ラジカル重合反応において、前記カチオン性重合開始剤とともに油溶性重合開始剤が用いられる、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記カチオン性重合開始剤が、2,2’−アゾビス−(2−(1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム−2−イル))プロパン トリフレート(以下「ADIP」という、CAS RN.2088831−30−3)およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP−Cl、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(以下「V−50」という、CAS RN.2997−92−4)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(以下「VA−044」という、CAS RN.27776−21−2)、および2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](以下「VA−061」という、CAS RN.20858−12−2)からなる群から選択されるものである、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
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