JP2021087605A - 車いす - Google Patents

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祥 横田
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【課題】1つのハンドリムの操作での走行を可能とする電動の車いすを提供する。【解決手段】車いす10は、フレーム12に支持された、両車輪14,15をそれぞれ駆動する一対の電動モータと、両車輪の角速度をそれぞれ計測する計測装置と、両車輪の一方に取り付けられたハンドリム20とを備える。ハンドリム20はハブと、ホイールと、ハブの周りに等角度で配置された3以上のスポークとを有する。また、各スポークに取り付けられハンドリム20の軸線方向へ加えられる軸線方向力を計測するセンサと、ハンドリム20のホイールの周面に取り付けられその周方向へ帯状に伸びる感圧センサと、両電動モータの速度を制御する制御機構とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、片麻痺患者の利用に供される電動の車いすに関する。
従来、片麻痺患者のために片手で操作することができる電動の車いすが提案されている。この車いすは電動モータの駆動力の支援を受ける一対の車輪と、車いすの片側に車輪と平行に配置された3つのハンドリムとを備える。これによれば、車いすの利用者は片手による3つのハンドリムの選択的な操作を行うことにより、電動モータによる車輪の支援のもと、車いすを直進方向、左折方向及び右折方向へ選択的に走行させることができる。しかし、これには、片手での3つのハンドリムの選択操作に習熟する必要がある。また、通常の車いすと比べて車いすの幅が広く、これが通行の妨げになるという問題がある。
特開2007−75479号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑み、1つのハンドリムでの操作を可能とする電動の車いすを提供する。
本発明は、フレームと、該フレームに回転可能に取り付けられた一対の車輪及び一対のキャスタとを有する車いすに係る。前記車いすは、前記フレームに支持された、両車輪をそれぞれ駆動する一対の電動モータと、前記フレームに支持された、両車輪の角速度をそれぞれ計測する計測装置と、両車輪の一方に取り付けられ前記車いすの利用者が片手で漕ぐハンドリムであって、ハブと、ホイールと、前記ハブの周りに等角度で配置され前記ハブから前記ホイールへ放射状に伸びる3以上のスポークを有するハンドリムと、各スポークに取り付けられた、前記車いすの利用者が前記ハンドリムにその軸線方向へ加える軸線方向力を計測するセンサと、前記ハンドリムのホイールの周面に取り付けられその周方向へ帯状に伸びる感圧センサであって前記車いすの利用者が前記ハンドリムに加える握り圧を検知する感圧センサと、制御機構とを備える。前記制御機構は、両車輪の角速度の信号と、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けて、前記ハンドリム側の一方の車輪の角速度を基準として両車輪の角速度が同一又は不同一となるように両電動モータの回転速度を制御し、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けずに両車輪の角速度の信号のみを受けて、漸減する両車輪の角速度が同一となるように両電動モータの回転速度を制御し、また、前記感圧センサの握り圧の信号を受けずに両車輪の角速度の信号と、全センサの計測値の信号とを受けて、両車輪の角速度の大きさが等しくかつ符号が逆となるように両電動モータの回転速度を制御する。
本発明によれば、制御機構は、両車輪の角速度と、全センサの計測値と、前記感圧センサの握り圧とを受けて、前記ハンドリム側の一方の車輪の角速度を基準として両車輪の角速度が同一又は不同一となるように両電動モータの回転速度を制御する。このことから、前記車いすの利用者が、片手で前記ハンドリムを握り、前記ハンドリムを前方又は後方に向けて漕ぐと、両車輪が同一の角速度で駆動され、前記車いすが直進する。また、前記ハンドリムに左方又は右方に向けて力を加えながら前記ハンドリムを漕ぐと、両車輪が不同一の角速度で駆動され、両車輪の速度差により、前記車いすが、前記ハンドリムに加えた力の方向に旋回しながら進行する。前記ハンドリムに加える力が大きいほど前記車いすは急角度で旋回する。前記車いすが直進し、旋回する走行のモードを「手動モード」と称する。
また、前記制御機構は全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けずに両車輪の角速度の信号のみを受けて、両車輪の角速度が同一となるように両電動モータの回転速度を制御する。このことから、前記車いすの利用者が前記ハンドリムから手を離すと、前記ハンドリムは利用者の漕ぐ力を受けず、このために両車輪の角速度が漸減し始め、前記車いすは両電動モータの動力を受けながら、停止するまで直進する。このときの前記車いすの走行モードを「減速モード」と称する。前記減速モードにおいては、両車輪が両電動モータの動力を受ける状態(トルクを受ける状態)に置かれることから、両電動モータの動力が遮断された状態で慣性走行をする場合と比べて、前記車いすの速度を、路面の種々の状況の影響を受けずに安定して減速させることができる。前記減速モードにおいては、両電動モータの回転速度をこれらが減速するように制御することができる。これによれば、前記車いすの走行をより安定させることができる。前記車いすは、前記減速モードの継続の後、停止する。これを「停止モード」と称する。
さらに、前記制御機構は、前記感圧センサの握り圧の信号を受けずに両車輪のゼロの角速度の信号と、全センサの計測値の信号とを受けて、両車輪の角速度の大きさが等しくかつ符号が逆となるように両電動モータの回転速度を制御する。このことから、前記停止モードにおいて、前記前記車いすの利用者が前記ハンドリムを握らずに、例えばハンドリムの両側面の一方又は他方に手を当てて前記ハンドリムに対して右方又は左方に向けて力を加えながら前記ハンドリムを漕ぐと、前記車いすが右回り又は左回りのその場旋回をする。
前記減速モードにおいて、前記制御機構は、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けずに両車輪の角速度の信号のみを受けるとき、両車輪の角速度が同一となるように両電動モータの回転速度を減速させる制御を行うものとすることができる。
前記ハンドリムの各スポークは、例えば、前記ホイール及び前記ハブにそれぞれ固定され互いに他の一方に向けて伸びる一片及び他片と、両片を互いに接続する接続片とからなり、各センサが各接続片に固定されているものとすることができる。ここにおいて、好ましくは、各接続片が前記ハンドリムの軸線の周りの前記センサのゆがみを拘束する金属板からなる。
側面の側から見た車いすの斜視図である。 後方の側から見た車いすの斜視図である。 ハンドリムの斜視図である。 ハンドリムの正面図である。 制御機構を示すブロック図である。 車いすの手動モード時、減速モード時、及び、停止モード時のフローチャートである。 制御モデルのブロック線図である。
図1及び図2を参照すると、片麻痺患者の利用に供される車いすが全体に符号10で示されている。図示の車いす10は、右側の片麻痺患者を利用者とし、利用者は左手により車いす10の操作を行う。
また、図示の車いす10は、左右一対のハンドリムを有する既存の車いすを改造してなる。改造により、前記既存の車いすの両ハンドリムのうちの左側のハンドリムが後記ハンドリム20に置き換えられている。図示の例では、前記既存の車いすの左側のハンドリムと共に左側の車輪が新たな車輪14に置き換えられている。図示の例に代えて、車いす10を左側の片麻痺患者用とする場合には、前記既存の車いすの右側のハンドリムがハンドリム20に置き換えられる。なお、車いす10は、前記既存の車いすの改造によらず、新たな製造によるものとすることができる。
車いす10は、フレーム12を備える。フレーム12には左右一対の車輪14、15及び左右一対のキャスタ16が回転可能に取り付けられている。車いす10は両車輪15及び両キャスタ16の路面上での転動により走行する。また、フレーム12には、左右の両車輪14、15をそれぞれ回転駆動する左右2つの電動モータ18、19と、車いす10の走行時における併進速度すなわち両車輪14、15の回転速度(角速度)をそれぞれ計測する計測装置である2つのロータリーエンコーダ21、23(図5)とが支持されている。両ロータリーエンコーダ21、23はそれぞれ両電動モータ18、19に機械的に接続されている。
左側の車輪14及び右側の車輪15には、それぞれ、左側のハンドリム20及び右側のハンドリム22が取り付けられている。両車輪14、15と両ハンドリム20、22とは回転軸線を共通にする。右側のハンドリム22は使用されず、左側のハンドリム20のみが使用される。なお、使用に供されない右側のハンドリム22は取り外すことが可能である。
車いす10は、そのシート24に着座した利用者がハンドリム20を漕ぐ力を原動力(回転動力)としてこれが左の車輪14に加えられ、これにより走行を開始し、また、走行を続ける。走行時、左の電動モータ18が左の車輪14に回転動力を加え、これにより利用者の漕ぐ力を補助する。また、右の電動モータ19は、使用者の漕ぐ力が及ばない右の車輪15に、左の車輪14に加えられる総回転動力、すなわち車いす10の漕ぎ手である前記利用者により加えられる回転動力と、左の電動モータ18により加えられる回転動力との和に相当する回転動力を与え(直進)、前記総回転動力より大きい回転動力を与え(左旋回)、又は、前記総回転動力より小さい回転動力を右の車輪15に与える(右旋回)。車いす10は、利用者がハンドリム20から手を離すことにより前記原動力を失い、減速走行をし、その後停止する。さらに、車いす10は、完全な停止状態において、利用者の原動力を受けて後記「その場旋回」することが可能である。以下、詳述する。
図3及び図4に示すように、左側のハンドリム20は、環状のホイール30と、ホイールの中心に配置されたハブ32と、ホイール30とハブ32とに固定され放射方向へ伸びる3つのスポーク34とを有する。3つのスポーク34は、ハブ32の周りに互いに等角度で配置されている。スポーク34の数は、図示の例の3に代えて、4以上とすることができる。4以上のスポークは、同様に、等角度で放射状に伸びるように配置される。
各スポーク34は、放射方向へ互いに間隔を置いて配置されかつホイール30及びハブ32にそれぞれ固定され前記放射方向へ伸びる一片36及び他片38と、両片36、38を相互に接続する、前記放射方向へ伸びる接続片40とからなる。接続片40は、好ましくは、スポーク34の伸長方向(放射方向)におけるほぼ中央部に配置される。また、図示の例では、一片36及び他片38がそれぞれ細長いブロック状の金属製品及び溝形の金属製品からなり、接続片40は矩形状のアルミニウム板のような金属板からなる。
ハンドリム20には、その軸線方向に作用する軸線方向力を計測する3つのセンサ42と、感圧センサ43とが取り付けられている。図示の例において、各センサ42はビーム型のロードセルからなり、接続片40上に配置され、これに固定されている。センサ42が取り付けられた接続片40は、利用者がハンドリム20を漕ぐときにハンドリム20に加わる回転力によってセンサ42にゆがみが生じないようにセンサ42を拘束する働きをなす。また、図示の例において、感圧センサ43は高分子厚膜フィルムデバイス(FSR)からなり、ホイール30の周面に取り付けられている。感圧センサ43はホイール30の全周にわたってホイール30の周方向へ帯状に伸びている。
車いす10の利用者はハンドリム20を左手で握ってこれを前方又は後方に向けて漕ぐことにより、漕ぐ力である回転力をハンドリム20に負荷し、車いす10を前方又は後方へ直線走行させることができる。また、利用者はハンドリム20を握り、これを漕ぐ間に、ハンドリム20に対して左方又は右方に向けて力を加えることにより、車いす10を左方又は右方に向けての旋回走行をさせることができる。前記直線走行及び旋回走行は、後述する制御機構44(図5)による両電動モータ18、19の回転速度の制御の下で行う。この車いす10の走行の態様を、以下、「手動モード」と称する。
また、利用者がハンドリム20から左手を離すと、車いす10は、利用者がハンドリム20を漕ぐ力である前記回転力が負荷されず、このために速度を徐々に落としながら直線走行する。車いす10のこの走行態様を、以下、「減速モード」と称する。前記減速モードの後、車いす10は停止する。車いす10は、ハンドリム20を進行方向と逆の方向へ漕ぐことによっても停止する。これらの停止の態様を、以下、「停止モード」と称する。前記「その場回転」は、車いす10が前記停止モードにおいて行うことができる。前記減速モード、前記停止モード及び「その場回転」も、同様に、制御機構44による両電動モータ18、19の回転速度の制御の下で行う。
車いす10が前記手動モードにあるとき、感圧センサ43はハンドリム20を握る左手の圧力(握り圧)を検知し、これを出力する。また、各センサ42は、前記軸線方向力(荷重)の大きさと向きとを検出しまた計測し、計測値を出力する。
車いす10が前記減速モード及び前記停止モードにあるとき、感圧センサ43による手の圧力は検知されない。
図5を参照すると、各センサ42の計測信号46及び感圧センサ43の検知信号48は、制御機構44のマイコン(マイクロコンピュータ)50に送信される。マイコン50において全計測信号46の平均であるFxが算出される。Fxは、ゼロ又は正もしくは負の値からなり、前記軸線方向力の大きさとその向きとを示す。Fxの値ゼロ(0)は車いす10の直進を示し、正負の符号はそれぞれ車いす10の旋回を示す。ここでは、正(+)が右旋回を、また、負(−)が左旋回を示すものとする。但し、直進のときのFxは、実際にはハンドリム20が比較的小さい軸線方向力を受けるためにゼロとはならず、比較的小さい値となる。このことから、直進と左右の両旋回とをそれぞれ分ける閾値Flthr及び閾値Frthrを設定し、Flthr<Fx<Frthrのとき、Fxは実質的にゼロ(0)であるとした。これらの閾値は実験により求めた。また、マイコン50は、感圧センサ43の検知信号48を受けて、車いす10が前記手動モードにあると判断する。
マイコン50は、また、両電動モータ(車輪モータ(左)及び車輪モータ(右))18、19に電流を流してこれらを制御する装置であるモーターコントローラ52から、車いす10の現在すなわち現時点における両車輪14、15の回転数(角速度)の信号58の送信を受ける。両車輪14、15の回転数(角速度)は、それぞれ、両電動モータ18、19の回転数に相当する。両電動モータ18、19の回転速度の信号はそれぞれローリーエンコーダ21、23からモータ―コントローラ52に送られ、モーターコントローラ52は、これらの回転速度の信号を両車輪14、15の前記回転数としてマイコン50に送る。
マイコン50は、Fxと両車輪14、15の回転数(角速度)とに基づいて、モーターコントローラ52に送られる指令値60を生成する。
前記指令値60は、利用者がハンドリム20を漕ぐことによって生じる左側のハンドリム20したがって左側の車輪14の回転速度vを基準として、次の式(1)から得られる右側の電動モータ19したがって右側の車輪15の回転速度からなる。
=v+ωT(Flthr<Fx<Frthr、ω=0) (1)
ここで、ωは車いす10の旋回時における左側の車輪14の角速度、Tは左側の車輪14のトレッド幅を示す。ωは、Fxの大きさと正負とにより決定する。また、Flthr<Fx<Frthrのとき、ω=0とする。
ハンドリム20に前記軸線方向へ加えられた力であるFxと、旋回角速度ωとの関係式は次の式(2)とした。
ω=(Fx−Frthr)*π/180(Fx≧0)、
ω=(Fx+Frthr)*π/180(Fx<0) (2)
Fxが正のときは、直進と右旋回とを分ける閾値Frthrを差し引き、Fxが負のときは、直進と左旋回とを分ける閾値Flthrを加算する。その後、ラジアンに変換する。これにより、FxがFlthr及びFrthr、の範囲にないとき、両電動モータ18、19によりそれぞれ左右の車輪14、15の回転速度に差(速度差)が生じ、車いす10は左右のいずれか一方に旋回する。ハンドリム20の軸線方向へ加える力の大きさと、ハンドリム20を回す力とを変えることにより旋回速度及び旋回半径を変えることができる。
前記手動モードにおいて、マイコン50は、両車輪14、15の角速度の信号58と、全センサ42の計測値の信号(したがってFx)46と、感圧センサ43の握り圧の信号48とを受けて、モーターコントローラ52に指令値60を送り、ハンドリム20の側の左の車輪14の角速度を基準として両車輪14、15の角速度が同一となり(直進)又は不同一となる(左旋回もしくは右旋回)ように、両電動モータ18、19の回転速度を制御する。
前記減速モードは、車いす10が減速を始めてから停止するまで走行するモードである。利用者が握っていたハンドリム20から片手(左手)を離すと、前記手動モードから前記減速モードに移行する。
前記減速モードにおいて、マイコン50は、全センサ42の計測値の信号(したがってFx)46と、感圧センサ43の握り圧の信号48とを受けず、両車輪14、15の角速度の信号58のみを受けると、モーターコントローラ52に指令値60を送り、両車輪14、15の角速度が同一となるように両電動モータ18、19の回転速度を制御する。
前記減速モードにおいては、車いす10が惰性で自然に減速する動きをする。この間、両車輪14、15は両電動モータ18、19に接続されているため、両電動モータの駆動力が遮断された状態で慣性走行をする場合と比べて、車いす10の速度を、路面の種々の状況の影響を受けずに安定して減速させることができる。
前記減速モードにおいては、さらに、両電動モータ18、19の回転速度をこれらが低減するように制御(減速制御)し、これにより、減速される両電動モータ18、19の回転動力を介して、両車輪14、15のより自然な惰性減速を疑似的に再現することができる(疑似的惰性減速)。これによれば、前記減速モードにおける車いす10の走行をより安定させることができる。この疑似的惰性減速においては、同様に、両車輪14、15が両電動モータ18、19の動力を受けるため、この動力を受けない慣性走行と異なり、アスファルトや雑草、傾斜がある路面上での操作性の確保に役立つ。
車いす10の前記疑似的惰性減速を実現するための減速式(3)を以下に示す。減速式(3)は、車いす10をダンパとマスでモデル化した一次遅れ系とした。式(4)は式(3)を積分し、距離を表したものである。
v=v−ct/m (3)
x=vm/c(1−e−ct/m) (4)
ここで、vは車いす10の実速度、vは前記減速モードに移行したときの車いす10の速度、すなわち減速をし始める速度、cは減衰係数、tは減速を始めてからの経過時間、mは車いす10及び利用者の総重量である。xは減速を開始してから車いす10が進んだ距離を示す。
このモデルを実装するためには減衰係数cの値が必要である。このため、車いす10が惰性で減速する減衰係数を求める実験を行った。実験条件は、路面がリノリウムからなり、総重量mが89kg、減速開始速度vが0.5m/秒である。
実験は、まず、車いす10を両電動モータ18、19で駆動し、0.5m/秒の速度に保つ。次に、両電動モータ18、19の出力軸と両車輪14、15との連結を機械的に断ち切り、車いす10を惰性で減速走行させ、その停止を待った。車いす10が停止するまでの時間と、両電動モータ18、19の動力を断ってから車いす10が進んだ距離xを記録した。
この実験は11回行った。時間t及び距離xは、それぞれ、11回分の平均とし、t=10.13秒、x=1.61m(メートル)の結果を得た。これらの値を式(3)に代入し、減衰係数cを求めると、c=26.25となり、次の式(5)を得た。
v=v−26.25t/m (5)
減衰係数cは、路面の状態や、傾斜、段差の存在により変化するため、このモデルは自然な減速の一例を示す。
ところで、式(5)では、時間が十分に経過しても、v=0(ゼロ)となることはない。そこで、車いす10の速度が十分に小さい値(目標速度vaim)となったときにこれを0(ゼロ)とみなす閾値Vthrを設定した。
前記停止モードは、車いす10の併進速度を0(ゼロ)に保つモードである。但し、車いす10が前後進することなく、両車輪14が互いに反対方向へ回転する前記「その場旋回」を含む。完全な停止は、ハンドリム20を握った状態で、進行方向と逆の方向へハンドリム20を回す操作を行うことで生じる。この操作により、両ロータリーエンコーダ21、23は急激な速度変化を検知し、両電動モータ18、19の作動が停止する。
「その場旋回」は、ハンドリム20を握らずに、ハンドリム20のホイール30の両周側面30a(図4)の一方又は他方に手を当て、ホイール30の軸線方向へ力を加えつつ、ホイール30を漕ぐことにより行う。このとき、マイコン50は、感圧センサ43の握り圧の信号48を受けず、両車輪14、15の角速度の信号58と、全センサ42の計測値の信号46とを受け、両車輪14、15の角速度の大きさが等しくかつ符号が逆となるように両電動モータ18、19の回転速度を制御する。これにより、両電動モータ18、19がそれぞれ逆方向に回転し、両車輪14、15をそれぞれ逆方向へ回転させる。
次に、図6を参照して手動モード時、減速モード時及び停止モード時、並びに、その場旋回への移行の流れを説明する。
図6の「手動モード時」を参照すると、車いす10の走行中、制御機構44のマイコン50においてハンドリム20が握られているかが判断される(ステップS1)。マイコン50が感圧センサ43の信号を受信したとき、ハンドリム20が握られていると判断され、受信しないとき、握られていないと判断される。
ハンドリム20が握られていると判断されたときは、次に、マイコン50においてこれが受信する両車輪14、15の回転数(角速度)の信号58から、車いす10が急減速しているか判断される(ステップS2)。急減速していないと判断されたときは、次に、マイコン50において、Flthr<Fx<Frthrであるか、すなわちFxが閾値Flthr及びFrthrの範囲にあるか判断される(ステップS3)。この範囲にあると判断されたときは、車いす10は直進走行をする(ステップS4)。
ステップS1において、ハンドリム20が握られていないと判断されたときは、前記減速モードに移行する(ステップS5)。また、ステップS2において、車いす10が急減速していると判断されたときは、前記停止モードに移行する(ステップS6)。さらに、ステップS3において、Flthr<Fx<Frthrではないと判断されたときは、車いす10は左又は右へ緩く旋回する(ステップS7)。
次に、図6の「減速モード時」を参照すると、車いす10の減速走行中、ハンドリム20が握られているか判断される(ステップS8)。ハンドリム20が握られていないと判断されたときは、次に、マイコン50において、目標速度vaim<閾値Vthrであるかが判断される(ステップS9)。vaim<Vthrではないと判断されたときは、車いす10が減速走行を継続する(ステップS10)。ステップS8においてハンドリム20が握られていると判断されたときは、前記手動モードに移行する(ステップS11)。また、ステップS9においてvaim<Vthrであると判断されたときは、前記停止モードに移行する(ステップS12)。
最後に、図6の「停止モード時」を参照すると、車いす10の停止中、ハンドリム20が握られているか判断される(ステップS13)。ハンドリム20が握られていないと判断されたときは、次に、Flthr<Fx<Frthrであるか判断される(ステップS14)。Flthr<Fx<Frthrではないと判断されたときは、その場旋回(左又は右)が行われる(ステップS15)。ステップS13において、ハンドリム20が握られていると判断されたときは、前記手動モードに移行する(ステップS16)。また、ステップS12において、Flthr<Fx<Frthrであると判断されたときは、前記停止モード(ステップ17)を継続する。
前記したところにおいて、両電動モータ18、19の制御の目的は、式(1)で生成される右の電動モータ19の目標速度の制御と、式(5)の減速を再現することにある。両電動モータ18、19の制御にはPID制御を使う。制御モデルのブロック線図を図7に示す。基本的には、速度制御が主であるが、直進時のみは左右の両電動モータ18、19が同じ回転数になるように補正制御を行う。ここでは、主である速度制御につて説明する。
両電動モータ18、19に対する指令は、PMW制御で行う。すなわち、適切なデューティ比を指令することにより、速度制御を行う。速度とデューティ比との関係式を実験的に求め、これを伝達関数Gとして使う。速度とデューティ比との関係式は、加速時と減速時とで違うため、加速時のパターンと減速時パターンとを準備し、これらを使い分ける。しかし、この関係式では重量が考慮されておらず、利用者の体重、路面の摩擦等の外乱で誤差が出る。そこで、この誤差を補正するためにPIDでフィードバック制御を行う。前記手動モード時は右の車輪14の電動モータ19のみを制御し、減速モード時には両車輪14、15を個別の目標速度で制御する。
10 車いす
12 フレーム
14、15 車輪
16 キャスタ
18、19 電動モータ
20 ハンドリム
21、23 計測装置(ロータリーエンコーダ)
30 ホイール
32 ハブ
34 スポーク
36、38 一片及び他片
40 接続片
42 センサ
43 感圧センサ
44 制御機構

Claims (4)

  1. フレームと、該フレームに回転可能に取り付けられた一対の車輪及び一対のキャスタとを有する車いすであって、
    前記フレームに支持された、両車輪をそれぞれ駆動する一対の電動モータと、
    前記フレームに支持された、両車輪の角速度をそれぞれ計測する計測装置と、
    両車輪の一方に取り付けられ前記車いすの利用者が片手で漕ぐハンドリムであって、ハブと、ホイールと、前記ハブの周りに等角度で配置され前記ハブから前記ホイールへ放射状に伸びる3以上のスポークを有するハンドリムと、
    各スポークに取り付けられた、前記車いすの利用者が前記ハンドリムにその軸線方向へ加える軸線方向力を計測するセンサと、
    前記ハンドリムのホイールの周面に取り付けられその周方向へ帯状に伸びる感圧センサであって前記車いすの利用者が前記ハンドリムに加える握り圧を検知する感圧センサと、
    制御機構とを備え、
    前記制御機構は、両車輪の角速度の信号と、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けて、前記ハンドリムの側の一方の車輪の角速度を基準として両車輪の角速度が同一又は不同一となるように両電動モータの回転速度を制御し、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けずに両車輪の角速度の信号のみを受けて、両車輪の角速度が同一となるように両電動モータの回転速度を制御し、また、前記感圧センサの握り圧の信号を受けずに両車輪の角速度の信号と、全センサの計測値の信号とを受けて、両車輪の角速度の大きさが等しくかつ符号が逆となるように両電動モータの回転速度を制御する、車いす。
  2. 前記制御機構は、全センサの計測値の信号と、前記感圧センサの握り圧の信号とを受けずに両車輪の角速度の信号のみを受けるとき、両車輪の角速度が同一となるように両電動モータの回転速度を減速させる制御を行う、請求項1に記載の車いす。
  3. 前記ハンドリムの各スポークは、前記ホイール及び前記ハブにそれぞれ固定され互いに他の一方に向けて伸びる一片及び他片と、両片を互いに接続する接続片とからなり、各センサが各接続片に固定されている、請求項1又は2に記載の車いす。
  4. 各接続片は前記ハンドリムの軸線の周りの前記センサのゆがみを拘束する金属板からなる、請求項3に記載の車いす。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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IT202200007706A1 (it) * 2022-04-19 2023-10-19 Universita’ Degli Studi Di Padova Sistema per la misurazione di forze applicate da un utente su almeno una ruota di trazione di una sedia a rotelle, e relativo metodo

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IT202200007706A1 (it) * 2022-04-19 2023-10-19 Universita’ Degli Studi Di Padova Sistema per la misurazione di forze applicate da un utente su almeno una ruota di trazione di una sedia a rotelle, e relativo metodo

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