JP2021087348A - 永久磁石式ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
Description
2)非特許文献、スロットコンビネーションによるPMSMのコギングトルクの低減、百目鬼 英雄、荘司祐大、電気学会回転機研究会、RM−04−15、1916年。
3)非特許文献、PM型ステッピングモータの特性改善、坂本正文、日本能率協会、モータ技術シンポジウム、1983年。
一方、関係する従来技術として上記の文献1)及び2)がある。また関連技術資料として、文献3)がある。上記の文献をそれぞれ、引例1)、引例2)、引例3)と以後略記すことにする。
また高出力、高速回転、低振動を実現するために誘起電圧を生み出す鎖交磁束の基本波成分を大きく保ち、第3,第5,第7次高調波成分は極力小さくするような巻き線方式を創出することを課題とする。
「手段1」
等ピッチでラジアル方向あるいはアキシャル方向に設けられたQ個の鉄心よりなる巻き線極に集中巻きされた3相式固定子と、エアギャップを介して、N極とS極の永久磁石を交互に同数個配置した極数pの表面磁石式回転子、あるいは、N極とS極の永久磁石を交互に同数個、磁性体回転子ヨークに埋め込み配置した極数pの埋め込み磁石式回転子を有した回転電機において、
nは1以上の整数であり、1相分の巻き線極数qはq=2n+1と定めて、3以上の奇数であり、3相全巻き線極数Qを、Q=3qとして、回転子の極数pを、p=Q±1、とした回転電機であり、各相の巻き線極のq個は互いに1巻き線極間隔を置いて非隣接的に配置されたことを手段とする回転電機。
「手段2」
手段1の回転電機で、3相巻き線の各相の巻き線極の(q−2)個は隣接して配置されて、その両端の2対の巻き線極が1巻き線極分離して配置されることを手段とする回転電機。
「手段3」
手段1,2で、p=m(3q±1)、Q=3mq、とした回転電機。但し、mは2以上の整数。
「手段4」
手段1〜3において、回転子は極異方性磁石を採用したことを手段とする回転電機。
「手段5」
手段1〜3において、回転子は疑似磁極構造としたことを手段とする回転電機。
「手段6」
手段1〜3で、q個の巻き線極の内の何個かを他の巻き数と相違させたことを手段とする回転電機。
2)手段1ではpとQは1しか違わない数値のため、後述する簡易巻き線率の基本波率が大きくなり、高トルク化に有利。
3)手段1で、n=1でq=3、Q=9、となり、p=8または10の場合、後述する鎖交磁束の基本波率P1は=0.866、第3高調波率P3=0 である。またn=2以上のQとpにおいても、同様な数値が得られる。この第3高調波が零ということは、デルタ結線駆動に適しており、高速運転に適したものとなる。これに対して、従来技術では、P3は零とはならずデルタ結線駆動で銅損が増大するため、本発明の大きな進歩性がここにある。
4)手段2で、n=2,q=5,Q=15,p=14または16の場合、基本波率P1は=0.914、第3高調波率P3=0.400である。従来技術と比較して、基本波率はやや低いが、第3高調波率は大幅に小さく、高速回転特性では、本発明は大きな進歩性がある。
5)手段3のm=2以上では、LCMが大きくできて、不平衡電磁力が消滅するので、高速回転で低振動な回転電機が実現する。
6)本発明の手段1〜3に極異方性磁石回転子を採用すれば、バックヨーク不要の軽量安価で高速性に優れた高効率回転電機が実現する。
7)本発明の手段1〜3に疑似磁極磁石に構成した回転子を採用すれば、磁石個数を半減した軽量安価に加えて、更なる低コギングトルク化と弱め界磁効果の大きな、高速性に優れた高効率回転電機がえられる。
8)本発明の手段6で、q個の巻き線極の内の何個かを他の巻き数と相違させれば、誘起電圧を更に正弦波にできる。特にQ=5以上では、(q−2)個が隣接するので、q個の巻き線極の中央極あるいは両端の2個等を適宜他の巻き数と相違させて、逆起電力波形を調整して、更に正弦波に近づけることができる。
3は各8個の回転子磁極のバックヨークを兼ねた中子であり、4は回転子軸である。
本発明の巻き線方式は、U,V,W相の3相で構成されるが、1相分U相の巻き線は、同極性巻き線極性に巻かれた18,11,13が1巻き線極間隔をあけて、即ち19,12を飛ばして結線配置構成されている。この固定子の構成を、エアギャップの周方向に直線展開すれば図2となる。図2で上段は図1に対応した巻き線極の番号であり、下段は励磁相とその励磁極性を示す。
図1で巻き線極11と回転子磁極21のN極が、互いの中心位置で対向している場合、巻き線極12と回転子磁極22のS極は角度δずれていることを図示している。従って図での符号は省略してあるが巻き線極19と対向する回転子磁極28のS極もδずれている。また巻き線極13と対向する回転子磁極23、及び、巻き線極18と対向する回転子磁極27は各々2δずれている。
尚δはこの場合、機械角では5°であるが、8極回転子なので、電気角では20°となる。
従って、U相の3個の巻き線極は、対向する回転子磁極とのずれ角は、図1,図2を対応して、巻き線極11が0°、巻き線極18,13が2δで40°となる。
手段1は、p=Q±1、Q=3q、q=2n+1、であり、nは1以上の整数とした回転電機であり、巻き線方式は、1相分の巻き線極数qは3以上の奇数であり、互いに1巻き線極間隔を置いて非隣接的に配置されるので、n=1でq=3として、Q=9であり、巻き線極18,11,13は1巻き線極間隔を置いて、1相分を構成して、図2に示すようになる。
あるいは手段2を適用しても、q個の巻き線極は隣接的に配置された位置から、その両端の巻き線極が1巻き線極分離れた非隣接状に配置されると述べてあるが、q=3として、その両端の巻き線極が1巻き線極分離れた非隣接状に配置すれば、手段1と同じ図2の如くなる。
この場合の1相分の誘起電圧は巻き線18,11,13の各々の鎖交磁束の時間微分値の和となるため、鎖交磁束のパーミアンスの基本波率P1、第3高調波率P3及び第5,第7も含めて、簡易巻き線率と名付けて、以下の(1)、(2)の如く定義して、δに数値を代入して数値計算して求めることにする。この目的は本発明を従来技術と比較する評価要素とするためである。巻き線率としては集中巻き方式であっても、短節巻き係数と分布巻き係数を算出して、それらの積を巻き線係数とする評価方法が一般的であるが、ここで採用する鎖交磁束のパーミアンスの基本波率P1は分布巻き係数に近い値をとり、高調波率まで含めての評価には、この簡易巻き線率で評価する方が便利なためである。
δ=20°(電気角)であり、前述したように、図1を参照して、巻き線極11は対向回転子磁極とのずれ角δ=0、巻き線極13,18のずれ角は2δとなるので、以下となる。
従来品の引例1),2)の数値計算による比較は後述する。
即ち、P1が大きいほど、誘起電圧も高くなり、従ってトルク、効率も向上する。
また、P3が大きいと、1相分の誘起電圧は正弦波よりふっくら太った台形波に近い形になるが、誘起電圧の第3次高調波成分はスター結線では線間で打ち消されて影響がないが、デルタ結線では環状結線内部に循環電流を発生させて、銅損の増大を生むことになる。
本発明の巻き線方式では、P3が零のため、デルタ結線も問題なく使用できることになる。
3相120度通電のバイポーラ方式インバータの3相ブラシレスモータのスター結線3端子U,V,Wへの印可電圧極性は表1に示すものとなる。
図4は本発明のブラシレスモータとして、確実に動作するための確認図である。固定子と対向する回転子の関係位置を、エアギャップの周方向に直線展開した、3相永久磁石式ステッピングモータの歩進動作の如く、所謂6ステップ歩進することの確認図である。この場合、1相ずつの励磁で、電気角で60度ずつ歩進するので、電気角360度を6ステップで歩進動作することになる。1相励磁で、歩進が確認できれば、ブラシレスモータとして120度通電の2相励磁駆動でも、確実動作するものである。
p=Q±1で、Q=9,p=8の場合で歩進図を示すが、p=10の場合も同様に動作する。各3相の巻き線極は巻き終わり同士をコモン端子として短絡するスター結線を想定しているが、各相の巻き終わりと次相の巻き始めを順次結線して環状結線するデルタ結線でも同様に動作する。
図4よりわかる如く、励磁1)ではU相はすべてN極性として、回転子のS極と対向している。次に励磁2)ではV相が総てS極性となり、回転子のN極と対向している。励磁3)ではW相がすべてN極性として、回転子のS極と対向している。1相分の巻き線極の極性が総て同じで次相励磁が逆となるので、回転子磁束はU相とV相間、あるいはV相とW相、あるいはW相とU相間で閉磁路を形成する磁路となる。以下励磁4)は1)の、5)は2)の、6)は3)の逆極性に固定子巻き線極が励磁されて、図4の如く、回転子を電気角で60度ずつ歩進させる。
尚、この場合の歩進図は省略するが、図4と同様な歩進図を作成すれば60度ずつの歩進が確認できる。
この場合、Q=15,p=14で、図8の巻き線極4と対向する回転子磁極とがずれ角が零であるとき、巻き線極3および5と対向する回転子磁極のずれ角をδとすれば、巻き線極1および7と対向する回転子磁極のずれ角は3δであり、δ=12°(電気角)で、図8のU相の5個、即ち、図8の巻き線極1,3,4,5,7の巻き線極の合計のP1,P3は以下となる。
図9も手段2を適用した本発明のQ=21,p=20または22の場合の、3相励磁状態での固定子巻き線極の極性図である。n=3でq=7の場合である。q個の巻き線極は、手段2を適用すれば、3相巻き線の各相の巻き線極のq個は隣接的に配置された位置から、その両端の巻き線極が1巻き線極分離れた非隣接状に配置されるため、1相分の巻き線極の配置は、5個隣接してその両端は1巻き線極分、分離した非隣接状に配置される。即ち、分離して1極分飛ばした箇所を0で表現し、U相の励磁で示せば、U0UUUUU0U、とq=7なので、0を除いて7個の文字で表現できる。これを3相励磁状態で表現すれば、図9となる。
この場合、Q=21、p=20で、図9の巻き線極5と対向する回転子磁極とが対向して、ずれ角が零であるとき、巻き線極4および6と、対向する回転子磁極のずれ角をδとすれば、巻き線極3および7と、対向する回転子磁極のずれ角は2δ、巻き線極1および9と、対向する回転子磁極のずれ角は4δとなる。
δ=8.5714°(電気角)で、図9のU相の7個、即ち、図9の巻き線極1,3,4,5,6,7,9の巻き線極の合計のP1,P3は以下となる。
しかし、現実には、Q=9、p=8または10は、Qとpの間で公約数をもたないので、LCMが大きく、コギングトルクが小さいため、多用されている。
更に、本発明の手段3を用いれば、p=m(3q±1)で、mを2以上に選べば、手段1のm倍体回転電機となり、不平衡電磁力を相殺して無くすことができる。また極数の増加で、LCMが大きく、低コギングトルクでpが大きいので、限界トルクの高い、高トルク回転電機が期待できる。
図10は手段3を用いて、m=2,q=3で、Q=3mq=18となり、p=16または20の場合の、巻き線極18個の3相励磁の図である。即ち、図5の、巻き線極Q=9、極数p=8または10極の3相回転電機の2倍体となり、不平衡電磁力も消滅するので、低振動な回転電機が得られる。尚この場合の鎖交磁束のパーミアンスの基本波率P1,第3高調波率P3は(1),(2)式の値と同じになる。
引用文献1の117ページに、図11の構成が開示されている。
この場合、図11の1相分、例えばU相に関して、以下となる。
また図12は引例2)の3相励磁の表示の場合であり、q=3が隣接配置されている。同様にして、1相分に関しては、以下となる。
従来技術、及び本発明の手段1,2のP1,P3を小数点4桁以下は切り捨てて3桁までの表示で、一覧表として比較すれば、表2となる。
即ち、表2のP1が大きいほど、誘起電圧も大きくなり、従ってトルク、効率も向上する。
しかし、従来技術の引例1のP1は本発明の手段1が0.844であるのに対して0.657と劣り、P3は手段1が零で小さいのに対して、0.577と大きいので、デルタ結線駆動には適さない回転電機となる。
また、引例2のP1値は本発明の手段1より、やや勝るが、P3は0.666とかなり大きな値で、本発明のように零でないので、引例1と同様にデルタ結線駆動に適さない回転電機である。ここに、本発明の進歩性がある。
図13は引例2と同類の従来技術で、q=5を隣接配置した、Q=15,p=14の1相励磁時の固定子と回転子の対向図である。この場合、1相分に関して、P1,P3は、(5)、(6)式に準じて同様に計算すれば、以下となる。
この値を表2に入れて、本発明のQ=15,q=14の手段2と比較すると、以下のようになる。
P1値は本発明の手段2の0.914と比較すれば、やや勝るが、P3は本発明品が0.400に対して、0.647とかなり大きな値で、引例1と同様にデルタ結線駆動に適さない回転電機である。
ここに、本発明の進歩性がある。
更に巻き線極数のQ=9の場合、引例2と本発明の比較では、引例2の3個のqが隣接しているのに対して、本発明の3個のqは非隣接配置で、より分散しているため、本発明品の方が、1相励磁時の不平衡電磁力がより少なくなり、低振動化に有利な構成といえる。Q=15,p=14の不平衡電磁力は、従来技術は図13に示すように、qである5個の巻き線極が隣接しているのに対して、本発明の手段2の方は、より分散配置されているため、小さくなり、低振動化に有利な構成といえる。
また表2より、本発明の回転電機は表2のLCMは、p=Q±1の効果で、大きな値が得られるので、コギングトルクの低減に有利な構造を採用していることも分かる。
更に表2から次のことが分かる。
1)本発明の手段1と手段2によるQ=9,p=8は巻き線極配置が同一でP1,P3の値も同一である。
2)Qを15以上と大きくした場合、手段1と手段2とでは、巻き線極配置も、P1,P3の値も相違する。
3)本発明の手段1内でQを変化させても、P1,P3の値はほぼ同一である。
4)本発明の手段3内でQを変化させても、P1,P3の値はほぼ同一である。
5)本発明の手段3によるQ=27の場合はp=24で、手段1でのQ=27の場合、pは26となるので異なる回転電機となる。
1)Q=9はP3=0なので、デルタ結線向きである。
2)引例2と比較しても、Q=15は第5高調波、Q=21は第7高調波が零で、Q=27も、第7高調波が零に近く、P5,P7が小さいことは、その回転電機は正弦波逆起電力となり、正弦波駆動の場合の電流によるトルクムラが小さいことを意味する。
3)Q=15、21、27等は、第3高調波は存在するが、第5、第7高調波が小さいので、スター結線向きである。
4)なめらかな回転動作を得るには、QとpのLCMを大きく選びコギングトルクを低減し、逆起電力によるトルクムラも低減すればよい。
5)例えば表3の結果より考えて、Q=15では、第7高調波を、Q=21では、第5高調波を除去するように磁石磁極幅、端部形状、凸レンズ形状磁石肉厚、あるいは、固定子歯形状等を工夫すれば、更にトルクムラ対策に効果的である。
6)特に手段6で述べたように、q個の巻き線極の内の何個かを他の巻き数と相違させれば、誘起電圧を更に正弦波にできる。特にQ=5以上では、(q−2)個が隣接するので、q個の巻き線極の中央極あるいは両端の2個等を適宜他の巻き数と相違させて、逆起電力波形を更に正弦波に近づけることもできる。逆起電力の大きさは巻き数に比例することと、その逆起電力波形の正弦波への修正効果は1相分の巻き線極が隣接している構成で顕著に得られるものである。
本発明に上記の特性が加わり、その相乗効果も期待できる。
また巻き線極が隣接しているか、1巻き線極分の分離であれば、同様に隣接巻き線極間で永久磁石磁束の磁路が形成されるため、疑似磁極式回転子にも本発明は適応する。
疑似磁極とはconsequent poleとも呼ばれるが、回転子磁石配置を、N極とS極を交互に配置するのではなくて、同極磁石のみ、例えばN極磁石のみ配置し、S極分は鉄心あるいは空間としたもので、永久磁石の個数は半減し、コギングトルクも低減する。極異方性磁石と比較して、バックヨークは必要であるが、N,S極交互配置の回転子に対して、疑似極配置の構成は、ブラシレスモータの弱め界磁駆動の場合、弱め界磁効果が顕著になり、より高速性に有利となる。
11、12、13、18、19: 巻き線極 3: 回転子中子
2: 回転子 4: 回転子軸
5: 巻き線
Claims (6)
- 等ピッチでラジアル方向あるいはアキシャル方向に設けられたQ個の鉄心よりなる巻き線極に集中巻きされた3相式固定子と、エアギャップを介して、N極とS極の永久磁石を交互に同数個配置した極数pの表面磁石式回転子、あるいは、N極とS極の永久磁石を交互に同数個、磁性体回転子ヨークに埋め込み配置した極数pの埋め込み磁石式回転子を有した回転電機において、
nは1以上の整数であり、1相分の巻き線極数qはq=2n+1と定めて、3以上の奇数であり、3相全巻き線極数QをQ=3qとして、回転子の極数pをp=Q±1とした回転電機であり、各相の巻き線極のq個は互いに1巻き線極間隔を置いて非隣接的に配置されたことを特徴とする回転電機。 - 請求項1の回転電機で、3相巻き線の各相の巻き線極の(q−2)個は隣接して配置されて、その両端の2対の巻き線極が1巻き線極分離して配置されることを特徴とする回転電機。
- 請求項1及び2で、p=m(3q±1)、Q=3mqとした回転電機。但し、mは2以上の整数。
- 請求項1〜3において、回転子は極異方性磁石を採用したことを特徴とする回転電機。
- 請求項1〜3において、回転子は疑似磁極構造としたことを特徴とする回転電機。
- 請求項1〜3において、q個の巻き線極の内の何個かを他の巻き数と相違させたことを特徴とする回転電機。
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