JP2021087321A - 太陽光発電量予測装置、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラム - Google Patents

太陽光発電量予測装置、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】短時間先の太陽光発電設備の発電量をより正確に予測する。【解決手段】所定時間後の太陽光発電設備の発電量の予測値を求める太陽光発電量予測装置であって、前記太陽光発電設備の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて記憶する発電量記憶部と、直近の第1期間内の前記実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを前記発電量記憶部から探索した上で、前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出するベクトル探索部と、前記類似ベクトルから前記所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、前記太陽光発電設備の前記所定時間後の発電量の予測値を算出する発電量予測部と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明は、太陽光発電量予測装置、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラムに関する。
電力会社は、高品質の電力を安定的に供給するために、日々、電力の需給をバランスさせるように各地の発電機の出力を制御している。
例えば電力会社は、前日までに作成した電力需要予測を元に決定した発電機の運用計画をベースに、毎日、数分から数十分あるいは数時間先の複数の電力需要予測を組み合わせながら、EDC(Economical Load Dispatching Control:経済負荷配分制御)やLFC(Load Frequency Control:負荷周波数制御)を行い、きめ細やかに発電機の出力制御を行っている(例えば特許文献1参照)。
特開2013−062953号公報
しかしながら、近年、日射量によって発電量が大きく変動する太陽光発電設備が急速に普及し、需給バランスの制御に影響を与えるようになっている。そのため、様々な太陽光発電設備の発電量予測技術が開発されている。
例えば天空を撮影した画像を用いて求めた雲の移動ベクトルから、予測対象日時における日射強度を推定することで太陽光発電設備の発電量を予測する技術が開発されている。しかしながら、この技術では、太陽光発電設備の設置場所ごとに観測設備を設ける必要がある上、数秒から数分程度の極めて短時間先の予測はできるが、数十分程度先の予測は難しい。
また、現在の発電量がしばらくの間そのまま変わらないと仮定する持続モデルを用いることで、数十分程度先の発電量を予測する手法もあるが、この手法により得られる予測値は、単に過去の発電量を遅延させたものになるため、発電量の増加トレンドや下降トレンドなどのような変化のパターンを考慮することができず、予測精度に限界がある。
このようなことから、所定時間先、例えば数分から数時間程度の短時間先の太陽光発電設備の発電量をより正確に予測するための技術が望まれている。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、所定時間先、例えば数分から数時間程度の短時間先の太陽光発電設備の発電量をより正確に予測することが可能な太陽光発電量予測装置、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する太陽光発電量予測装置は、所定時間後の太陽光発電設備の発電量の予測値を求める太陽光発電量予測装置であって、前記太陽光発電設備の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて記憶する発電量記憶部と、直近の第1期間内の前記実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを前記発電量記憶部から探索した上で、前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出するベクトル探索部と、前記類似ベクトルから前記所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、前記太陽光発電設備の前記所定時間後の発電量の予測値を算出する発電量予測部と、を備える。
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
短時間先の太陽光発電設備の発電量をより正確に予測することが可能になる。
太陽光発電量予測装置のハードウェア構成図である。 太陽光発電量予測装置の記憶装置を示す図である。 発電量管理テーブルを示す図である。 太陽光発電量予測装置の機能ブロック図である。 発電量の実績値を3次元再構成状態空間へ埋め込む様子を示す図である。 候補ベクトルから類似ベクトルを選出する様子を示す図である。 先例ベクトルから発電量の予測値を求める様子を示す図である。 先例ベクトルから発電量の予測値を求める様子を示す図である。 太陽光発電量予測装置の制御方法を示すフローチャートである。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
==太陽光発電量予測装置==
本発明の一実施形態に係る太陽光発電量予測装置100は、太陽光発電設備900(不図示)の所定時間後の発電量の予測値を求める装置である。
詳細は後述するが、太陽光発電量予測装置100は、直近の発電量の変化のパターンから所定時間後の予測値を求めるものであり、時系列順に記録された過去の発電量の実績値の中から、直近の発電量の変化のパターンに類似する過去のパターンを見つけ出し、その後の発電量の推移が現在においても同様に生じると仮定することで、所定時間後の発電量の予測値を算出する。
そして、太陽光発電量予測装置100は、過去の類似パターンを見つけ出す際に、季節の違いや時刻の違い、天候の違いなどによる発電量の違いを考慮して、より適切な類似パターンを見つけ出すことで、より高精度に発電量を予測できるようにしている。
<ハードウェア構成>
太陽光発電量予測装置100のハードウェア構成図を図1に示す。太陽光発電量予測装置100は例えば、CPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、記憶装置130、記録媒体読取装置140、通信装置150、入力装置160、及び出力装置170を有するコンピュータや各種情報処理装置等の電子機器によって構成される。
記憶装置130は、太陽光発電量予測装置100によって実行あるいは処理される太陽光発電量予測装置制御プログラム700や、後述する発電量管理テーブル300等のデータを格納する。記憶装置130に太陽光発電量予測装置制御プログラム700や発電量管理テーブル300が記憶されている様子を図2に示す。
記憶装置130に記憶されている太陽光発電量予測装置制御プログラム700や、発電量管理テーブル300に格納されているデータがメモリ120に読み出され、CPU110によって実行あるいは処理されることにより、太陽光発電量予測装置100の各種機能が実現される。ここで、記憶装置130は例えばハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置である。
太陽光発電量予測装置制御プログラム700は、太陽光発電量予測装置100が有する機能を実現するためのプログラムを総称しており、例えば、太陽光発電量予測装置100上で動作するアプリケーションプログラムやOS(Operating System)、種々のライブラリ等を含む。
発電量管理テーブル300の一例を図3に示す。本実施形態に係る発電量管理テーブル300には、太陽光発電設備900の発電量の実績値が、日時情報及び天候情報と対応付けて例えば10分毎に時系列順に記憶されている。本実施形態では、太陽光発電量予測装置100が太陽光発電設備900から10分おきに発電量の実績値を受信し、同様に、通信可能に接続された不図示の天候情報提供用コンピュータから10分おきに天候情報を受信し、それぞれ、日時情報と対応付けて発電量管理テーブル300に格納する。つまり発電量管理テーブル300には、10分おきに新たな発電量の実績値及び天候情報が蓄積されていく。
また太陽光発電が行われない夜間には、発電量の実績値の蓄積が行わないようにしてもよい。この場合、発電量の実績値の蓄積が行われない時間帯は、例えば18時から翌日の6時までのように適宜設定することができるが、季節による日の出、日の入りの時刻や太陽高度の変化に応じて変動させてもよい。
なお、天候情報には、晴れ、曇り、雨、雪が含まれるが、その他、快晴、みぞれ、霧、などが含まれていてもよい。さらに、天候情報には、気温、湿度、降水量、風速、晴天指数、日射量などの数値情報が別途含まれていてもよい。
図1に戻って、記録媒体読取装置140は、CD−ROMやDVD等の記録媒体800に記録されたプログラムやデータを読み取り、記憶装置130に格納する。
通信装置150は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信網を介して他のコンピュータ(不図示)とデータやプログラムの授受を行う。例えば他のコンピュータに上述した太陽光発電量予測装置制御プログラム700が格納されている場合には、太陽光発電量予測装置100がこのコンピュータから太陽光発電量予測装置制御プログラム700をダウンロードするようにすることができる。あるいは、通信装置150は、太陽光発電設備900や、天候情報の配信を行うコンピュータから、発電量の実績値や、天候情報を定期的に受信するようにしてもよい。
入力装置160は、ユーザによるコマンドやデータの入力を受け付ける各種ボタンやスイッチ、キーボード、マイクなどの入力インタフェースである。
また出力装置170は、例えばディスプレイなどの表示装置、スピーカなどの出力ユーザインタフェースである。
<機能構成>
図4に、本実施形態に係る太陽光発電量予測装置100の機能ブロック図を示す。太陽光発電量予測装置100は、発電量記憶部101、ベクトル探索部102、発電量予測部103の各機能を備える。これらの機能は、図1に示したハードウェアによって本実施形態に係る太陽光発電量予測装置制御プログラム700や各種のデータが実行あるいは処理されることにより実現される。
発電量記憶部101は、太陽光発電設備900の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて時系列順に記憶する。本実施形態では、発電量記憶部101は、上述した発電量管理テーブル300として具現化されている。
ベクトル探索部102は、直近の第1期間(例えば60分間)内における発電量の実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを、発電量記憶部101から探索する。直近ベクトルは、直近の第1期間における発電量の変化のパターンを表し、候補ベクトルは、この変化のパターンに類似する過去のパターンを表す。
なお本実施形態の説明において、直近ベクトルを最新ベクトル、候補ベクトルを近傍ベクトルと記す場合がある。
第1期間が60分であるとした場合、直近ベクトル及び候補ベクトルは、いずれも7個の発電量の実績値を要素とする7次元ベクトルとなる。またノルムは、ユークリッドノルムとしてもよいが、最大値ノルムなど他のノルムを用いることでノルムの計算時間を短縮し、候補ベクトルの探索を高速化するようにしてもよい。
上記のベクトルについてより詳しく説明すると、時刻tにおける発電量の実績値をy(t)、時間遅れをτ(本実施形態では10分)とするとき、ベクトルX(t)=(y(t),y(t-τ),…,y(t-(n-1)τ))は、n次元再構成状態空間(埋め込み空間)の1点を示すことになり、tを変化させることによりn次元再構成状態空間にアトラクタと呼ばれる軌跡を描くことができる。
図5に、太陽光発電設備900の発電量の3つの実績値を要素として生成された3次元ベクトルを、3次元再構成状態空間へ埋め込む場合の例を示す。
なお、第1期間が60分であっても、時間遅れτを20分とした場合には、直近ベクトル及び候補ベクトルは4次元ベクトルとなる。この場合、図3に示した発電量管理テーブルには10分おきに発電量の実績値が記録されているが、20分おきの実績値を用いて直近ベクトルや候補ベクトルを生成することなる。
なお、上述したベクトルX(t)=(y(t),y(t-τ),…,y(t-(n-1)τ))において、時間遅れτ=0の発電量の実績値であるy(t)のことを、ベクトルX(t)内での最新の実績値、最新時点の実績値、あるいは最新日時の実績値等と記載する。
直近ベクトル及び候補ベクトルの様子を図6に示す。
図6において、直近ベクトル及び候補ベクトルが模様付きの丸印で示されている。そして破線の円の中心に描かれているX(i)は直近ベクトルを表し、この直近ベクトルの近傍(ここで近傍とは、ノルムが第1所定値以下の範囲を表し、図6において破線の円で示す範囲)に、複数の候補ベクトルが点在する様子が示されている。そしてこれらの各ベクトルを構成する発電量の実績値は、発電量管理テーブル300において日時情報及び天候情報と対応付けられており、図6には、これらの日付情報及び天候情報に応じて各ベクトルを示す丸印に異なる模様が付されている。
具体的には図6において、各候補ベクトルには、晴れ、曇り等の天候情報とともに「(2週間以内and±30分以内and当日除く)」あるいは「2週間超or±30分超or当日」と記載されているが、「2週間以内」あるいは「2週間超」の意味は、候補ベクトルを構成する最新日時の実績値の日付と、直近ベクトルを構成する最新日時の実績値の日付との差が2週間以内か否かを表している。ただしここで、日付の差は、年の差を考慮せず、前年以前であっても日付の差が2週間以内であれば「2週間以内」となる。
同様に、「30分以内」あるいは「30分超」は、候補ベクトルを構成する最新日時の実績値の時刻と、直近ベクトルを構成する最新日時の実績値の時刻との差が30分以内であるか否かを表している。ここで、時刻の差について、年、日付の差を考慮せず、前年以前や異なる日付であっても時刻の差が30分以内であれば「30分以内」となる。
また「当日除く」あるいは「当日」は、候補ベクトルを構成する最新日時の実績値の日付と、直近ベクトルを構成する最新日時の実績値の日付が同日であるか否かを表している。ただし、ここでは、日付が同じであっても年が異なる場合は、同日とはならない。
ベクトル探索部102は、上記のようにして、直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを探索した上で、候補ベクトル内の最新の実績値と直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内(例えば2週間以内)であり、かつ、時刻の差が第1時間以内(例えば±30分以内)であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出する。
このように、候補ベクトルの中から、直近ベクトルとの日付の差が第1日数以内の候補ベクトルを類似ベクトルとして選出することにより、季節による太陽高度の違いに起因する発電特性の違いの少ない過去の発電量の変化のパターンを用いて発電量の予測を行うことができ、予測値の精度を向上させることができる。
また同様に、直近ベクトルとの時刻の差が第1時間以内の候補ベクトルを類似ベクトルとして選出することにより、時刻による太陽高度及び向きの違いに起因する発電特性の違いの少ない過去の発電量の変化のパターンを用いて発電量の予測を行うことができ、予測値の精度を向上させることができる。
さらに同様に、直近ベクトルと天候が同一の候補ベクトルを類似ベクトルとして選出することにより、天候による日射量の違いの影響の少ない発電量の変化のパターンを用いて発電量の予測を行うことができ、予測値の精度を向上させることができる。
さらにベクトル探索部102は、候補ベクトル内の最新の実績値と直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、日付が同日ではない候補ベクトルを類似ベクトルとして選出するようにしてもよい。
仮に、直近ベクトルと同日の候補ベクトルを類似ベクトルとして選出すると、当日の第1時間以内(例えば30分以内)の候補ベクトルが類似ベクトルとして選出され得るが、この場合、持続モデルを用いて予測を行う場合と同様に、単に過去の発電量を遅延させたものが予測値になるため、発電量の増加トレンドや下降トレンドなどのような変化のパターンを考慮することができない。
そこで、直近ベクトルと同日の候補ベクトルを選出しないようにすることにより、このような影響を避け、予測値の精度を向上させることができる。
またベクトル探索部102は、直近ベクトルから第1所定値の範囲内に候補ベクトルを探索できなかった場合には、第1所定値を、第1所定値よりも大きな第2所定値に変更して、再度、候補ベクトルの探索を行うようにしてもよい。これは、図6における破線の円の半径を大きくすることに相当する。
このような態様により、直近の発電量の変化のパターン(直近ベクトル)が特殊な場合など、過去に同様の変化のパターンを示す実績が少ない場合であっても、類似ベクトルを見つけることが可能となり、予測値を求めることができない事態を回避することが可能になる。
またベクトル探索部102は、類似ベクトルを探索できなかった場合には、第1日数(例えば2週間以内)を、第1日数よりも大きな第2日数(例えば4週間以内)に変更して、再度、類似ベクトルの探索を行うようにしてもよい。
このような態様により、直近の発電量の変化のパターン(直近ベクトル)が特殊な場合など、過去に同様の変化のパターンを示す実績が少ない場合であっても、類似ベクトルを見つけることが可能となり、予測値を求めることができない事態を回避することが可能になる。
またベクトル探索部102は、類似ベクトルを探索できなかった場合には、第1時間(例えば±30分以内)を、第1時間よりも大きな第2時間(例えば±90分以内)に変更して、再度類似ベクトルの探索を行うようにしてもよい。
このような態様によっても、直近の発電量の変化のパターン(直近ベクトル)が特殊であり、過去に同様の変化のパターンを示す実績が少ない場合であっても、類似ベクトルを見つけることが可能となり、予測値を求めることができない事態を回避することが可能になる。
図4に戻って、発電量予測部103は、上記のようにして探索した類似ベクトルから所定時間経過後(例えば30分後)の先例ベクトルを用いて、太陽光発電設備900の所定時間後(30分後)の発電量の予測値を算出する。
先例ベクトルは、類似ベクトルの各実績値に対して、それぞれ所定時間経過後の実績値を要素とするベクトルである。
例えば発電量予測部103は、先例ベクトル内の最新日時の実績値を、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値として算出する。
このような態様により、発電量の変化のパターンが類似する過去の実績値を類似ベクトルとして探索し、その後の発電量の実績値の推移を元に、現在から所定時間後の発電量を予測することが可能となり、短時間先の太陽光発電設備900の発電量をより正確に予測することが可能になる。
図7に、先例ベクトルの最新日時の発電量の実績値により太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値を算出する様子を示す。
図7において、X(i)は直近ベクトルを示し、x(k1)、x(k2)、x(k3)はそれぞれ類似ベクトルを示す。
そして直近ベクトルから伸びる破線矢印の先に示されるX(i+s)は、直近ベクトルから所定時間後(所定時間をsで表している)の予測ベクトルを表し、同様に、各類似ベクトルから伸びる実線の矢印の先に示されるx(k1+s)、x(k2+s)、x(k3+s)は、各類似ベクトルの所定時間後(s)の先例ベクトルを示す。
そして発電量予測部103は、各先例ベクトルx(k1+s)、x(k2+s)、x(k3+s)における最新の発電量の実績値を用いて、太陽光発電設備900の発電量の予測値を算出する。
図7のように複数の類似ベクトルが探索された場合には、発電量予測部103は、例えば、各類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)に対応する先例ベクトルx(k1+s)、x(k2+s)、x(k3+s)内の最新の実績値の平均値を、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値として算出するとよい。
このような態様により、過去の類似するパターン(類似ベクトル)のその後の発電量の推移を元に、現在から所定時間後の発電量を予測することが可能となり、短時間先の太陽光発電設備900の発電量をより正確に予測することが可能になる。
なお、上述した類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)において、k1、k2、k3はそれぞれ異なる日時を示しているが、発電量予測部103は、類似ベクトルが複数探索された場合に、各類似ベクトルにそれぞれ対応する先例ベクトル内の最新の実績値に対して、現在により近い実績値、あるいは直近ベクトルとのノルムがより小さな類似ベクトルに対応する先例ベクトル内の最新の実績値である程大きな係数を乗じることで、これらの実績値の加重平均値を求め、この加重平均値を、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値として算出するとさらに良い。
このような態様により、太陽高度や向きあるいは発電量の推移パターンが現在の状況に近い時の発電量の実績値であるほど重みが大きくなるので、より正確に発電量の予測値を求めることが可能となる。
また発電量予測部103は、類似ベクトルが複数探索された場合には、類似ベクトル毎に、類似ベクトルと、類似ベクトルに対応する先例ベクトルと、の差分ベクトルを求め、各差分ベクトル内の最新の実績値の平均値を、直近ベクトル内の最新の実績値に加えた値を、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値として算出してもよい。
発電量予測部103がこの処理を行う場合の具体的な様子を図8に示す。
図8において、X(i)は直近ベクトルを示し、x(k1)、x(k2)、x(k3)は類似ベクトルを示すが、類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)は、直近ベクトルX(i)に対して偏った位置(図8に示す例では下方に偏った位置)に存在している。この場合、類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)から所定時間後の先例ベクトルx(k1+s)、x(k2+s)、x(k3+s)内の実績値をそのまま平均してしまうと、X(i+s)oldで示されるように、直近ベクトルX(i)と類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)との位置の偏りの影響がそのまま残存してしまう。
そのため、上述したように、類似ベクトルx(k1)、x(k2)、x(k3)と、類似ベクトルに対応する先例ベクトルx(k1+s)、x(k2+s)、x(k3+s)と、の差分ベクトル(図8において、類似ベクトルから先例ベクトルに伸びる矢印で示すベクトル)を求め、各差分ベクトル内の最新の実績値の平均値を、直近ベクトル内の最新の実績値に加えた値を、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値として算出することで、図8における位置X(i+s)newのように、過去の発電量の類似パターン(類似ベクトル)のその後の発電量の推移をより忠実に再現して、発電量の予測値を算出することが可能となる。
==処理の流れ==
次に、図9を参照して本実施形態に係る太陽光発電量予測装置の制御方法について説明する。図9はその手順を示すフローチャートであり、これらのステップは、太陽光発電量予測装置100の記憶装置130に記憶されている太陽光発電量予測装置制御プログラム700をCPU110が実行することにより実現される。
まず太陽光発電量予測装置100は、直近の第1期間内の発電量の実績値を要素とする直近ベクトルを発電量管理テーブル300から特定する(S1000)。
そして太陽光発電量予測装置100は、直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを、発電量管理テーブル300から探索する(S1010)。
ここで、第1所定個数(1以上の自然数であり、任意に設定できる)以上の候補ベクトルが見つからなかった場合には、太陽光発電量予測装置100はS1020においてNOに進み、第1所定値をより大きな第2所定値に変更して、再度、候補ベクトルの探索を行う(S1010)。
一方、第1所定個数以上の候補ベクトルが見つかった場合には、太陽光発電量予測装置100は、候補ベクトルの中から類似ベクトルを選出する(S1040)。具体的には、太陽光発電量予測装置100は、候補ベクトル内の最新の実績値と直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを、類似ベクトルとして選出する。なお太陽光発電量予測装置100は、候補ベクトル内の最新の実績値と直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、さらに、同日のものを除外して類似ベクトルを選出するようにしてもよい。
太陽光発電量予測装置100は、第2所定個数(1以上で第1所定個数以下の自然数であり、任意に設定できる)以上の類似ベクトルが見つからなかった場合には、S1050においてNOに進み、類似ベクトルの選出条件を変更して、再度、類似ベクトルの探索を行う(S1060)。
具体的には、太陽光発電量予測装置100は、上記の第1日数をより大きな第2日数に変更して、再度、類似ベクトルの探索を行う。あるいは、太陽光発電量予測装置100は、上記の第1時間をより大きな第2時間に変更して、再度、類似ベクトルの探索を行う。
このようにして第2所定個数以上の類似ベクトルが見つかった場合には、太陽光発電量予測装置100は、類似ベクトルから所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、太陽光発電設備900の所定時間後の発電量の予測値を算出する(S1070)。
このようにして、本実施形態に係る太陽光発電量予測装置100の制御方法によれば、過去の発電量の類似するパターン(類似ベクトル)のその後の発電量の推移を元に、現在から所定時間後の発電量を予測することが可能となり、短時間先の太陽光発電設備900の発電量をより正確に予測することが可能になる。
以上、本実施形態に係る太陽光発電量予測装置100、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラムについて説明したが、本実施形態に係る太陽光発電量予測装置100、太陽光発電量予測装置の制御方法及びプログラムによれば、短時間先の太陽光発電設備900の発電量をより正確に予測することが可能になる。
なお上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
100 太陽光発電量予測装置
101 発電量記憶部
102 ベクトル探索部
103 発電量予測部
110 CPU
120 メモリ
130 記憶装置
140 記録媒体読取装置
150 通信装置
160 入力装置
170 出力装置
300 発電量管理テーブル
700 太陽光発電量予測装置制御プログラム
800 記録媒体
900 太陽光発電設備

Claims (11)

  1. 所定時間後の太陽光発電設備の発電量の予測値を求める太陽光発電量予測装置であって、
    前記太陽光発電設備の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて記憶する発電量記憶部と、
    直近の第1期間内の前記実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを前記発電量記憶部から探索した上で、前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出するベクトル探索部と、
    前記類似ベクトルから前記所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、前記太陽光発電設備の前記所定時間後の発電量の予測値を算出する発電量予測部と、
    を備える、太陽光発電量予測装置。
  2. 請求項1に記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記発電量予測部は、前記類似ベクトルが複数探索された場合には、前記類似ベクトルにそれぞれ対応する先例ベクトル内の最新の実績値の平均値を前記予測値として算出する、太陽光発電量予測装置。
  3. 請求項1に記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記発電量予測部は、前記類似ベクトルが複数探索された場合には、前記類似ベクトルにそれぞれ対応する先例ベクトル内の最新の実績値に対して、現在により近い実績値、あるいは前記直近ベクトルとのノルムがより小さな類似ベクトルに対応する先例ベクトル内の最新の実績値である程大きな係数を乗じることで前記実績値の加重平均値を求め、前記加重平均値を前記予測値として算出する、太陽光発電量予測装置。
  4. 請求項1に記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記発電量予測部は、前記類似ベクトルが複数探索された場合には、前記類似ベクトル毎に、前記類似ベクトルと、前記類似ベクトルに対応する先例ベクトルと、の差分ベクトルを求め、各差分ベクトル内の最新の実績値の平均値を、前記直近ベクトル内の最新の実績値に加えた値を、前記予測値として算出する、太陽光発電量予測装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記ベクトル探索部は、前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、日付の差が前記第1日数以内であり、かつ、時刻の差が前記第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一であり、かつ、日付が同日ではない候補ベクトルを、前記類似ベクトルとして選出する、太陽光発電量予測装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記ベクトル探索部は、前記候補ベクトルを探索できなかった場合には、前記第1所定値を、前記第1所定値よりも大きな第2所定値に変更して、再度、前記候補ベクトルの探索を行う、太陽光発電量予測装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記ベクトル探索部は、前記類似ベクトルを探索できなかった場合には、前記第1日数を、前記第1日数よりも大きな第2日数に変更して、再度、前記類似ベクトルの探索を行う、太陽光発電量予測装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記ベクトル探索部は、前記類似ベクトルを探索できなかった場合には、前記第1時間を、前記第1時間よりも大きな第2時間に変更して、再度、前記類似ベクトルの探索を行う、太陽光発電量予測装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の太陽光発電量予測装置であって、
    前記天候情報には、晴れ、曇り、雨、雪が含まれる、太陽光発電量予測装置。
  10. 所定時間後の太陽光発電設備の発電量の予測値を求める太陽光発電量予測装置の制御方法であって、
    前記太陽光発電量予測装置が、
    前記太陽光発電設備の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて記憶する発電量記憶部から、直近の第1期間内の前記実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを探索し、
    前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出し、
    前記類似ベクトルから前記所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、前記太陽光発電設備の前記所定時間後の発電量の予測値を算出する、太陽光発電量予測装置の制御方法。
  11. 所定時間後の太陽光発電設備の発電量の予測値を求めるためのプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記太陽光発電設備の発電量の実績値を日時情報及び天候情報と対応付けて記憶する発電量記憶部から、直近の第1期間内の前記実績値を要素とする直近ベクトルとのノルムが第1所定値以下である候補ベクトルを探索する手順と、
    前記候補ベクトル内の最新の実績値と前記直近ベクトル内の最新の実績値とに関して、各実績値の日付の差が第1日数以内であり、かつ、時刻の差が第1時間以内であり、かつ、天候情報が同一である候補ベクトルを類似ベクトルとして選出する手順と、
    前記類似ベクトルから前記所定時間経過後の先例ベクトルを用いて、前記太陽光発電設備の前記所定時間後の発電量の予測値を算出する手順と、
    を実行させるためのプログラム。
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