JP2021085102A - 芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維 - Google Patents

芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌活性を備えた微生物を活用した抗菌性レーヨン繊維を提供すること。【解決手段】抗菌活性を備えた芽胞形成菌がレーヨン繊維に定着していることを特徴とする芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維である。また、抗菌活性を備えた芽胞形成菌であって芽胞状態の芽胞形成菌とビスコースとを混合した後、紡糸する工程を含む、芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維の製造方法である。芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維は、定着した芽胞形成菌によって抗菌活性の持続が可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、レーヨン繊維に関し、特に、抗菌性レーヨン繊維に関する。
レーヨン繊維に抗菌性を付与する技術として、例えば、特許文献1〜3が開示されている。
特許文献1には、抗菌性、脱臭性及びイオン特性を有するレーヨン繊維として、トルマリン等のセラミックス粉末を含有したレーヨン繊維が開示されている。
特許文献2には、抗菌性レーヨン繊維として、牛乳由来タンパク質であるカゼインを含有したレーヨン繊維が開示されている。
特許文献3には、抗菌性レーヨン繊維として、抗菌防腐剤(炭素数6〜8の脂肪酸等)を含有したレーヨン繊維が開示されている。
特開平11−43817号公報 特開2001−3223号公報 特開2017−20135号公報
本発明は、抗菌活性を備えた微生物を活用した抗菌性レーヨン繊維の開発を課題とする。
本発明者らは、抗菌活性を備えた微生物をレーヨン繊維に保持させるために、紡糸前の原料であるビスコースと混合することを検討した。しかし、ビスコースはアルカリ性であるため、微生物がタンパク質変性を受け、生存させることが困難であった。
そこで、鋭意検討した結果、芽胞形成菌を芽胞状態とし、この芽胞状態の芽胞形成菌をビスコースと混合した場合に、これを紡糸して得られたレーヨン繊維において芽胞形成菌の生存が認められること、さらにこのレーヨン繊維に定着した芽胞形成菌によって抗菌活性が持続することを見出し、係る知見に基づき本発明を完成させたものである。
本発明は以下のとおりである。
[1]抗菌活性を備えた芽胞形成菌がレーヨン繊維に定着していることを特徴とする芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維。
[2]上記[1]記載の芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維で構成された不織布。
[3]上記[2]記載の不織布を用いてなる農業用資材。
[4]抗菌活性を備えた芽胞形成菌であって芽胞状態の芽胞形成菌とビスコースとを混合した後、紡糸する工程を含む、芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維の製造方法。
本発明の芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維は、定着した芽胞形成菌によって抗菌活性の持続が可能であり、臭いの抑制作用を発揮することから、農業用資材のほか、各種繊維製品の用途に好適に用いることができる。
実施例の[耐洗濯試験]において、製造例1で得られたレーヨン繊維のゆすぎ回数に対する菌数変化を示したグラフである。 実施例の[寒天培地上における生乾き菌に対する抗菌性試験]において、製造例1で得られたレーヨン繊維のモラクセラ菌に対する抗菌作用を示した写真及びその模式図である。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
本発明の抗菌性レーヨン繊維は、抗菌活性を備えた芽胞形成菌が定着しているものである。なお、以下の説明において、単に「芽胞形成菌」と記載した場合であっても、この「芽胞形成菌」は抗菌活性を備えたものである。
本発明の抗菌性レーヨン繊維が芽胞形成菌を含有していることの利点は、レーヨン繊維の置かれた環境に応じて、芽胞形成菌が栄養細胞及び/又は芽胞で生存することができることである。
これにより、芽胞形成菌がレーヨン繊維に定着することとなる。この定着した芽胞形成菌が発揮する抗菌活性によって、洗濯回数を重ねても抗菌性の長期維持及び生乾き臭の抑制が可能となる。
以下、これについて説明する。
芽胞形成菌は、レーヨン繊維に長期に亘って定着することができるものである。
その定着場所は、レーヨン繊維の内部及び表面と考えられる。
芽胞形成菌は、分裂増殖を繰り返す通常の活動状態では栄養細胞として存在し、レーヨン繊維内において移動したり、適当な栄養分に接することで増殖することができる。
一方、低水分、貧栄養、低酸素、高温等の生育に不都合な環境下では、芽胞を形成し、芽胞状態となる。
洗濯時や乾燥機による高温乾燥時も芽胞形成菌の生育に不都合な状況下にあるため、芽胞形成菌はレーヨン繊維内において芽胞となって生存すると考えられる。
そして、生育に不都合な状況が終了すれば、栄養細胞となって抗菌性を発揮することができる。
これにより、芽胞形成菌はレーヨン繊維に長期に亘って定着することができるため、洗濯回数を重ねても抗菌性の長期維持を可能にしていると推察される。
また、本発明の抗菌性レーヨン繊維に侵入しようとする雑菌に対する芽胞形成菌の排除の仕方として、(i)芽胞形成菌がレーヨン繊維に優先種として定着していることによる物理的排除、(ii)芽胞形成菌が備える抗菌活性による化学的排除、が考えられる。特許第5852313号によれば、生乾き臭の原因物質は4-メチル-3-へキセン酸を主とする中級分岐脂肪酸であり、その原因菌としてモラクセラ(Moraxella)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌等14種類の属の微生物が挙げられている。本発明の抗菌性レーヨン繊維は、上記(i)と(ii)の作用によって、生乾き臭の原因菌を排除することにより、生乾き臭の抑制を可能にしていると推察される。
本発明の抗菌性レーヨン繊維中に存在する芽胞形成菌の数については、環境条件によって増減するため、特に限定されることはなく、任意の数を取ることができる。抗菌性の発揮の観点からは、例えば、レーヨン繊維1g中に1.0×103〜1.0×1010CFUの範囲が好ましく、より好ましくは1.0×105〜1.0×1010CFUの範囲である。
上記芽胞形成菌の好例として、バチルス(Bacillus)属に属する芽胞形成菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する芽胞形成菌等が挙げられる。好ましくは、病原性を有さないものであり、好例はバイオセーフティレベル1のものである。
バチルス属に属する芽胞形成菌として、例えば、バチルス アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス アゾトフォーマンス(Bacillus azotoformans)、バチルス ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス クラウジ(Bacillus clausii)、バチルス コーギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス フレキサス(Bacillus flexus)、バチルス フシフォルミス(Bacillus fusiformis)、バチルス グロビスポラス(Bacillus globisporus)、バチルス グルカノリチカス(Bacillus glucanolyticus)、バチルス インフェルムス(Bacillus infermus)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス マリナス(Bacillus marinus)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス モジャベンシス(Bacillus mojavensis)、バチルス ミコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス パリダス(Bacillus pallidus)、バチルス パラブレビス(Bacillus parabrevis)、バチルス パステウリ(Bacillus pasteurii)、バチルス ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、バチルス ポピリアエ(Bacillus popiliae)、バチルス プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス スファエリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス サーモアミロボランス(Bacillus thermoamylovorans)、バチルス スリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)等が挙げられる。
スポロラクトバチルス属に属する芽胞形成菌として、例えば、スポロラクトバチルス イヌリヌス(Sporolactobacillus inulinus)、スポロラクトバチルス コフエンシス(Sporolactobacillus kofuensis)、スポロラクトバチルス ラエボラクティカス(Sporolactobacillus laevolacticus)、スポロラクトバチルス ラエバス(Sporolactobacillus laevus)、スポロラクトバチルス ナカヤマエ(Sporolactobacillus nakayamae)、スポロラクトバチルス ラセミカス(Sporolactobacillus racemicus)、スポロラクトバチルス ショレイコルティシス(Sporolactobacillus shoreicorticis)、スポロラクトバチルス テラエ(Sporolactobacillus terrae)等が挙げられる。
バチルス属に属する芽胞形成菌において、好例は、受託番号:NITE P−02700で寄託されているBS-T2株(以下「BS-T2株」という。)である。BS-T2株は、Bacillus subtilisに属する芽胞形成菌であり、バイオセーフティレベルは1である。BS-T2株の有する抗菌活性として、直接抗菌活性及び間接抗菌活性が挙げられる。直接抗菌活性は、接触抗菌活性とも称されるものであり、BS-T2株が直接的に接触する雑菌に対して抗菌活性を示すことをいう。間接抗菌活性は、遠隔抗菌活性、空間抗菌活性、非接触抗菌活性とも称されるものであり、BS-T2株が、空間を介して、すなわち、雑菌と直接接触しない状況下で、雑菌に対して抗菌活性を示すことをいう。BS-T2株を含有した本発明の抗菌性レーヨン繊維においては、とりわけ直接抗菌活性がその抗菌性の発揮に寄与すると考えられる。
BS-T2株は抗菌活性以外に消臭能も有する。このため、BS-T2株を含有した本発明の抗菌性レーヨン繊維も消臭効果を発揮することが可能である。
本発明の抗菌性レーヨン繊維を用いた好適な形態の一例は、不織布である。
本発明の抗菌性レーヨン繊維で構成された不織布の製造方法の好例は、乾式法によってフリース形成させたものをニードルパンチ法により繊維を絡ませる方法である。
近年、さまざまな分野においてレーヨン繊維で構成された不織布が使用されているが、農業用資材として使用されることも多い。代表的には、ベタ掛けでの使用である。ベタ掛けとは、播種後の畑の畝に直接不織布を掛ける手法であり、これにより保温、保水、凍霜防止、昇温抑制等の効果を期待することができる。ベタ掛けされた不織布はやがて分解されるが、これには土壌微生物の関与が大きいと考えられている。従来のレーヨン繊維で構成された不織布に対しては、上記効果をより持続させること、すなわち分解性を遅らせることが要望されていた。
この要望に対し、本発明の抗菌性レーヨン繊維で構成された不織布は、前記(i)と(ii)の作用によって雑菌に対する防御性が高まっているため、分解性を遅らせることが可能である。
本発明の抗菌性レーヨン繊維の製造方法は、抗菌活性を備えた芽胞形成菌であって芽胞状態の芽胞形成菌とビスコースとを混合した後、紡糸する工程を含むものである。
ビスコースは、一般にアルカリ含有率が3〜10質量%のアルカリ性水溶液である。よって、タンパク質変性を避けるため、芽胞形成菌は芽胞状態でビスコースと混合する。当該混合に供する芽胞状態の芽胞形成菌の原料形態として、懸濁液、凍結乾燥粉体等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。紡糸は、レーヨン繊維における常法の紡糸法を用いればよい。
上記製造方法に用いる芽胞形成菌の好例として、バチルス(Bacillus)属に属する芽胞形成菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する芽胞形成菌等が挙げられる。バチルス属に属する芽胞形成菌の例及びスポロラクトバチルスに属する芽胞形成菌の例は、上述のとおりである。バチルス属に属する芽胞形成菌の好例は、BS-T2株である。芽胞状態のBS-T2株は、ビスコースのアルカリ性及びその後の紡糸工程にもよく耐えることができるため、好都合である。
以下に、本発明を具体的な態様による実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
[抗菌活性]
抗菌活性の評価には、以下の芽胞形成菌を供試した。
・バチルス属に属する芽胞形成菌:BS-T2株
・スポロラクトバチルス属に属する芽胞形成菌:Sporolactobacillus laevolacticusに属するNBRC102473株
被験菌として、黒カビ(Cladosporium cladosporioides)と赤カビ(Rhodotorula minuta)を用いた。
GYP培地(glucose 2質量%、yeast extract 0.5質量%、pepton 0.5質量%)を用いて、各芽胞形成菌と各被験菌をそれぞれ並列接種培養と交差接種培養を行い、抗菌性を評価した。なお、培養温度は30℃とした。
その結果、BS-T2株とNBRC102473株は、並列接種培養と交差接種培養の両方において、各被験菌に対して強い抗菌性を示したことから、抗菌活性を有することが確認された。
[製造例1]
ビスコース(セルロース含有率:9質量%、アルカリ含有率:5質量%、pH14)100質量部に対して、芽胞状態のBS-T2株の懸濁液(菌数:4.2×108CFU/mL)の量が10質量部の割合となるように、ビスコースとBS-T2株の懸濁液を混合し、紡糸原液を調製した。
次に、紡糸口金(孔径:0.06mm、ノズル数:13000個)を47℃の凝固浴(硫酸95g/L、硫酸ナトリウム350g/L及び硫酸亜鉛12.5g/Lを含有する硫酸水溶液)に含浸させた状態で、紡糸口金のノズルから紡糸原液を紡糸速度60m/minにて押し出し、凝固させることによって紡糸し、延伸させた後、切断した。これにより、繊度1.4デシテックス、繊維長38mmのレーヨン繊維を得た。
製造例1で得られたレーヨン繊維について、これを適当な長さに切断したものを寒天培地上で培養したところ、BS-T2株が検出された。
[比較製造例1]
製造例1における芽胞状態のBS-T2株の懸濁液(菌数:4.2×108CFU/mL)の代わりに、栄養細胞の状態で生存するBS-T2株の懸濁液(菌数:2.7×108CFU/mL)を用いて製造例1と同様にビスコースと混合したものについて、これを寒天培地上で培養したが、BS-T2株は検出限界以下であった。
[耐洗濯試験]
製造例1で得られたレーヨン繊維を長さ3cmに切断したものを束ねて、重さ0.1gの繊維束を作製した。この繊維束を50mLの蒸留水中でマグネチックスターラーを用いて100rpmで30秒間撹拌した後、ドライヤーを用いて50℃の温風で10分間、完全に水分が無くなるまで乾燥させた。以上の一連の操作を1回の“ゆすぎ”とした。ゆすぎは計20回実施し、0、1、2、3、5、10、20回ゆすぎ後に0.01gずつサンプリングし、レーヨン繊維中に残存する菌数を測定し、繊維1g中の菌数に換算した。結果を図1に示した。なお、図1の縦軸において、例えば、「1.E+0.9」は、1.0×109を意味する。
図1より、20回ゆすぎ後においても菌数がほとんど変化しなかったことから、BS-T2株が製造例1で得られたレーヨン繊維にしっかりと定着していることが分かった。
[寒天培地上における生乾き菌に対する抗菌性試験]
生乾き菌として、モラクセラ(Moraxella)属に属するMoraxella osloensis NBRC111460株(以下「モラクセラ菌」という。)を用いた。
モラクセラ菌培養液(BHI液体培地で培養。菌数:3.4×107CFU/mL)100μlを直径8.2cmシャーレに入れたBHI寒天培地上に全体的に塗沫した後、当該BHI寒天培地上に製造例1で得られたレーヨン繊維を置床し、30℃で3日間培養した。対照として、上記同様にモラクセラ菌培養液をBHI寒天培地上に全体的に塗沫した後、当該BHI寒天培地上にBS-T2株を含有していないレーヨン繊維を高圧蒸気滅菌したものを置床し、30℃で3日間培養した。
その結果、対照のシャーレでは、モラクセラ菌が全面的に繁殖していた。
これに対し、製造例1で得られたレーヨン繊維を置床したシャーレは、図2に示したように、レーヨン繊維に定着していたBS-T2株が、レーヨン繊維を起点としてBHI寒天培地上に増殖して広がった一方で、モラクセラ菌の生育が顕著に抑制された。これは、BS-T2株がモラクセラ菌に対して抗菌作用を発揮したためと考えられる。
[生乾き環境下におけるモラクセラ菌に対する抗菌性試験]
製造例1で得られたレーヨン繊維を長さ3cmに切断したものを束ねて、重さ0.1gの繊維束を作製した。
この繊維束をモラクセラ菌培養液(BHI液体培地で培養。菌数:2.8×107CFU/mL)に1分間完全に浸漬させた後、モラクセラ菌の増殖・活動が活発になると考えられる生乾き再現環境下(30℃、90%RH、1L容器内)においた。なお、容器は、雑菌の混入を防ぐため、通気口にメンブレンフィルターを貼った構造とした。この環境下で7日間以上かけてゆっくり乾燥させた。
対照として、BS-T2株を含有していないレーヨン繊維の繊維束(長さ3cm、重さ0.1g)を高圧蒸気滅菌したものを上記と同様にして、モラクセラ菌培養液に浸漬し、生乾き再現環境下においた後、7日間以上かけてゆっくり乾燥させた。
乾燥後、蒸留水で繊維に付着した菌を溶出させ、モラクセラ菌及びバチルス菌の菌数を測定した(表1)。
Figure 2021085102
表1より、製造例1で得られたレーヨン繊維では、BS-T2株は検出されたが、モラクセラ菌は検出されなかった。一方、対照のレーヨン繊維では、モラクセラ菌は検出されたが、BS-T2株は検出されなかった。
更に、製造例1で得られたレーヨン繊維の菌の状態を確認するため、繊維に付着した菌をグラム染色し顕微鏡で観察した。その結果、BS-T2株の栄養細胞が観察された。
以上の試験結果より、抗菌活性を備えた芽胞形成菌が定着したレーヨン繊維は、抗菌活性を持続的に発揮できることが示された。
[不織布の分解性試験]
(不織布の作製)
製造例1と同様にして得られたレーヨン繊維(繊維長は任意)を乾式法によってフリース形成させたものをニードルパンチ法により繊維を絡ませる方法により不織布(製造例1の不織布)を得た。BS-T2株を含有させなかった以外は製造例1と同様にして得たレーヨン繊維(繊維長は任意)から、上記と同様の方法によって、不織布(対照の不織布)を得た。
(分解性試験)
製造例1の不織布と対照の不織布をそれぞれ10×10cmの大きさとしたものを試料とした。
各試料の絶乾重量(105℃・2時間)を計量した。
市販のプランター(最上部の平面視面積:1080cm2)に、市販の培養土(花と野菜の土)2kg(容量:約3L)を均平になるように入れた(高さ:2〜3cm)。
次に、上記培養土の上に、試料を平らに載せた。
その上に、さらに上記培養土2kgを均平になるように入れた。
培養土の乾燥防止のために、7日間に1回、純水を500mL散布した。
試験開始28日後に試料を取り出し、試料が破壊されない程度で可能な限り培養土を除去し、絶乾重量(105℃・2時間)を計量した。
分解率を、分解率(%)=(試験前試料の絶乾重量−試験後試料の絶乾重量)/試験前試料の絶乾重量×100により求めた。
結果を表2に示した。
Figure 2021085102
表2より、製造例1の不織布は、対照の不織布よりも土壌微生物によって分解され難いことが分かった。
本発明の芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維は、定着した芽胞形成菌によって抗菌活性の持続が可能であることから、農業用資材のほか、各種繊維製品の用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 抗菌活性を備えた芽胞形成菌がレーヨン繊維に定着していることを特徴とする芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維。
  2. 請求項1記載の芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維で構成された不織布。
  3. 請求項2記載の不織布を用いてなる農業用資材。
  4. 抗菌活性を備えた芽胞形成菌であって芽胞状態の芽胞形成菌とビスコースとを混合した後、紡糸する工程を含む、芽胞形成菌含有抗菌性レーヨン繊維の製造方法。
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