JP2021084126A - 引上式鋳造装置および引上式鋳造方法 - Google Patents

引上式鋳造装置および引上式鋳造方法 Download PDF

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【課題】引上式鋳造の自動化や効率化を図れる装置を提供する。【解決手段】本発明は、鋳物形状に応じて形成された溶湯(m)の導出穴(111)を有する形状規定部材(1)と、導出穴を通過した溶湯を引き上げる導引部材(2)とを備える引上式鋳造装置(D)である。この引上式鋳造装置は、さらに、形状規定部材を加振する加振手段を備える。形状規定部材が加振されることにより、導出穴から溶湯が湧出可能となる。これにより、引上式鋳造の自動化等が可能となる。加振機には、例えば、偏心ロータの回転により励振する回転式加振機(エア式タービンバイブレータ等)を用いるとよい。これにより、溶湯の湧出に必要な振幅や周波数を備えた振動が形状規定部材へ付与される。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳型を用いない自由鋳造を可能とする引上式鋳造装置等に関する。
鋳物は、通常、その形状に応じたキャビティを有する鋳型へ、溶湯(溶融金属)を注湯してなされる。このような従来の鋳造方法に対して、鋳型を要しない画期的な自由鋳造方法が特許文献1で提案されている。自由鋳造方法によれば、鋳型の製作費用を大幅に低減でき、また、鋳型を用いることにより生じる鋳造欠陥の発生を抑止できる。
その自由鋳造方法は、形状付与部材(フロート)を通過し溶湯を誘起体(スタータ)で引上げてなされる。引き上げられた溶湯は、表面膜や表面張力により形状が暫定的に保持された状態となる。このような溶湯(保持溶湯)を冷媒等で冷却して凝固させると、所望形状の鋳物が連続的に得られる。
このような鋳造方法に関する改良提案も多数されており、例えば、下記の特許文献2〜4に関連する記載がある。
特開2012−61518号公報 特開2014−79780号公報 特開2015−96269号公報 特開2015−167987号公報
特許文献2は、鋳物に非連続的な形状(罫書き線等)を付与するために、スタータ(導出部材、誘起体)に衝撃を与えることを提案している。
特許文献3は、鋳物の凝固収縮量を低減するために、冷却した溶湯に超音波振動や電磁振動を付与して撹拌し、溶湯をスラリー状態にすることを提案している。
特許文献4は、金属部材(先に鋳造された鋳物等)に接合された鋳物を鋳造する場合に、その金属部材の近傍にある溶湯を撹拌させることを提案している。これにより、溶湯に浸漬される金属部材の表面に形成されていた酸化膜等が除去され、接合強度が確保され得る。なお、溶湯の撹拌は、形状付与部材の外周囲に設けた溶湯撹拌部材を湯面に沿った方向(y軸方向)へ往復動させたり、溶湯自体に超音波振動を付与してなされる。特許文献2〜4はいずれも、鋳物の形態付与や特性向上に関連する提案である。
引上式鋳造を行う場合、先ず溶湯の引上作業が必要となるが、その作業自体がそもそも容易ではなかった。この理由は次のように考えられる。溶湯の表面は、表面張力に加えて、酸化膜等で覆われていることが多い。このため、単にフロートを沈めただけでは、その導出穴から溶湯は容易に湧出しない。さらに、そのような溶湯表面にスタータを接触させても、スタータの下端部が溶湯に対して容易に濡れない。このような傾向は、導出穴が狭くなるほど顕著である。また、スタータまたは導出穴の形態(形状、大きさ)により、スタータを導出穴内に無理に差し込めないことも多い。
そこで従来の引上式鋳造では、スタータで溶湯を引き上げる前に、先ず、図9に示すような引上開始作業を行っていた。具体的にいうと、同図(1)に示すように、溶湯の表面にある酸化膜等を破り、導出穴から溶湯を湧出させる。そして同図(2)に示すように、導出穴から湧出させた溶湯をプールに一時的に溜め、その溶湯にスタータの下端部を浸漬する(接触工程)。その後、スタータを上方へ移動させて、スタータに追従してきた保持溶湯を引き上げていた(引上工程)。しかし、引上工程前または接触工程前の手動による引上開始作業は、当然、引上式鋳造の自動化や効率化を妨げる大きな要因となる。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、自動化または効率化に貢献し得る引上式鋳造装置等を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究した結果、形状規定部材への加振により、溶湯を導出穴から湧出させることができ、手動による引上開始作業を省略できることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《引上式鋳造装置》
本発明は、 鋳物形状に応じて形成された溶湯の導出穴を有する形状規定部材と、該導出穴を通過した該溶湯を引き上げる導引部材と、を備える引上式鋳造装置であって、さらに、該形状規定部材を加振する加振手段を備える引上式鋳造装置である。
本発明の引上式鋳造装置(「鋳造装置」または「装置」ともいう。)の場合、加振手段が形状規定部材を振動させると、形状規定部材の導出穴から溶湯が湧出し得る。これにより、手動による引上開始作業を行うまでもなく、導引部材による溶湯の引き上げが可能となり、引上式鋳造の自動化や効率化が望めるようになる。
《引上式鋳造方法》
本発明は引上式鋳造方法としても把握できる。例えば、本発明は、上述した引上式鋳造装置を用いた引上式鋳造方法であって、前記溶湯の湯面付近に配置した前記形状規定部材の導出穴を通過した溶湯へ前記導引部材の下端部を接触させる接触工程と、該接触工程後の該導引部材を引き上げる引上工程とを備え、さらに、該接触工程前または該接触工程時に、該形状規定部材を前記加振手段により振動させて該導出穴から該溶湯を湧出させる湧出工程を備える引上式鋳造方法でもよい。
引上工程前または接触工程の際に予め湧出工程を行うと、形状規定部材の導出穴から湧出した溶湯と導引部材の下端部との接触さらには濡れがより確実になされる。こうして接触工程に要する時間短縮、溶湯引上の安定化等が図られ、引上式鋳造が効率的または安定的になされ得る。
《鋳物》
本発明は、上述の引上式鋳造方法により得られた鋳物としても把握される。鋳物は、引上式鋳造により成形可能であれば、その材質や形態(形状、大きさ等)等を問わない。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
特に断らない限り、本明細書でいう「x〜ymm」はxmm〜ymmを意味する。他の単位系についても同様である。
引上式鋳造装置(一例)の概要を示す模式図である。 溶湯の引上過程を示す模式図である。 引上式鋳造装置の具体例を示す平面図、その縦断面図およびエア式タービンバイブレータの断面図である。 フロートの具体例を示す平面図と縦断面図である。 その具体例から得られた振動波形図である。 その具体例で生じた溶湯の湧出状況を示す写真である。 その具体例に基づいて得られた鋳物を示す写真である。 スタータの加振と濡れ性を評価する装置を示す模式図である。 その評価結果を示す写真である。 従来の引上開始作業の説明図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、鋳造装置、鋳造方法のみならず鋳物等にも適宜該当する。方法に関する構成要素は、物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《加振手段/加振工程/湧出工程》
形状規定部材が加振手段により振動させられると、形状規定部材の導出穴から溶湯が湧出する。加振手段は、そのような振動を形状規定部材に付与できるものであれば、種類、形態、駆動源等を問わない。振幅が微細で高周波数な振動(例えば超音波振動等)は、形状規定部材の導出穴から溶湯を湧出させ難い。一方、振幅が過大な振動は、溶湯を飛散させ得る。溶湯の特性(種類、材質等)、形状規定部材(導出穴)の形態等に応じて、適切な加振手段が用いられるとよい。
加振手段として、例えば、偏心ロータの回転により励振する回転式加振機がある。このような加振機は、偏心量(偏心距離、偏心質量等)や回転数を調整することにより、振動の振幅や周波数が調整される。回転式加振機として、例えば、種々のタービンバイブレータがある。その駆動源は、電動機(モータ)、圧縮空気、油圧等のいずれでもよい。例えば、圧縮空気を駆動源とするエア式タービンバイブレータは、高温な鋳造環境下でも安定的に作動する。
加振機の配置、設置数、拘束(保持)方法等も、適宜調整され得る。加振手段は、少なくとも、溶湯の湯面に対して形状規定部材を略垂直方向(単に「z方向」ともいう。)に振動させるとよい。さらに形状規定部材には、複数方向に振幅を有する三次元的な振動が付与されると、溶湯の導出穴から湧出が促進され得る。
溶湯の種類や特性、形状規定部材の形態(特に導出穴の形状や大きさ)等にも依るが、例えば、少なくとも特定方向の振幅は0.3mm以上さらには0.4mm以上あるとよい。一方、各方向の振幅は、1.2mm以下、0.8mm以下さらには0.6mm以下であるとよい。
振動の周波数は、例えば、100〜300Hz、120〜250Hzさらには140〜200Hzである。
形状規定部材を振動させて溶湯を湧出させる湧出工程(加振工程)と併せて、接触工程は導引部材の加振を伴うとよい。これにより、導引部材と湧出した溶湯との濡れ性が高まり、導引部材による溶湯の引き上げが安定化させ得る。導引部材に付与される振動は、上述した加振手段(例えば回転式加振機)によりなされてもよいし、超音波振動や電磁振動等によりなされてもよい。
《鋳物》
鋳物は、導引部材により引き上げられた保持溶湯が冷却凝固されて得られる。鋳物の形態は、形状規定部材の導出穴の形態、形状規定部材の移動(例えば、湯面に沿った方向への移動)、導出穴を通過した溶湯への外力付与(例えば流体の吹きつけ等)、導出穴を通過した溶湯に接触する導引部材の形態(特に下端部の形態)、導引部材の引き上げ経路(軌跡)等により調整され得る。
なお、導出穴から溶湯が湧出する際、形状規定部材は湯面に浮遊した状態でもよいし、別な支持部材等により保持(把持)された状態でもよい。後者の場合、形状規定部材の浸漬量(湯面から導出穴の下端面までの距離)は、鋳造中、一定(保持)でも変化してもよい。
導引部材により引き上げられた保持溶湯の冷却は、導引部材と雰囲気ガス(空気、窒素、不活性ガス等)による自然冷却だけでもよいし、さらに、冷媒(空気、窒素、不活性ガス等の気体、水等の液体)の吹き付け等による強制冷却でもよい。保持溶湯の外面側または内面側に向けて、冷媒をノズルから吹き付けると、所望位置にある保持溶湯(固液共存状態を含む。)を、所望の冷却速度で冷却できる。冷却方法や冷却速度等の調整により、鋳物組織も制御され得る。
《溶湯》
溶湯の材質(金属種)を問わない。金属は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄等の純金属または合金である。酸化膜が形成され易いアルミニウムまたはその合金からなる溶湯の代表例である。なお、溶湯は複合材(MMC)でもよい。
鋳物の用途は問わない。鋳物は、中間品でも最終品でもよい。鋳物は、別に用意した金属部材と接合された接合体でもよい。この場合、金属部材が導引部材とされてもよい。その金属部材は、先に引上式鋳造されたものでもよい。
引上式鋳造装置、溶湯の引上過程、形状規定部材の加振等に関する具体例を挙げて、以下、本発明をさらに詳しく説明する。
《引上式鋳造装置》
引上式鋳造装置D(単に「装置D」という。)の概要を図1に模式的に示した。装置Dは、金属溶湯m(単に「溶湯m」という。)を所定の温度に維持したまま貯留できる保持炉10と、溶湯mの湯面付近に配置されるフロート1(形状規定部材/形状付与部材)と、フロート1の上方にあり上下動可能なスタータ2(導引部材/導出部材)と、フロート1を支持するサポータ3と、フロート1を加振する加振機4(加振手段)とを備える。
なお、図示していないが、スタータ2を上下方向に移動させる移動手段(ロボットアーム、またはモータとレール(スライダー等)など)と、スタータ2により引き上げられた保持溶湯に圧縮空気(単に「エア」という。)を吹き付ける冷却ノズル等を備える。
フロート1は、下板11と上板12の積層体である。下板11は、所望する鋳物形状に沿って形成された貫通穴からなる規定部111(導出穴)を有する。上板12は、導出穴111よりも一回り大きく形成された貫通穴からなるプール121を有する。下板11はステンレス鋼(SUS304)製からなり、溶損を防止する耐熱層(BN等)で表面が被覆されている。上板12は、耐熱セラミックス製である。
スタータ2は、所望する鋳物形状と略同じ断面形状を有し、熱伝導性に優れる金属製の柱体である。スタータ2は移動手段(図略)により上下動し得る。移動手段は、スタータ2の上下方向の位置と移動速度を制御し得る。
サポータ3は、フロート1の一端部から上方に延びる支柱31と、支柱31の上端部から水平方向に延びるステージ32とを有する。サポータ3は、所定範囲内の振動を許容する状態で保持されている。
加振機4は、ステージ32上に載置(固定)される。加振機4は、例えば、エア式タービンバイブレータである(図3参照)。
《溶湯の引上過程》
装置Dによる溶湯の引上過程を、図1および図2に基づいて具体的に説明する。
先ず、フロート1を溶湯m上に浮かべる。スタータ2を下降させ、その下端部21をフロート1のプール121内に収容する。フロート1の浸漬深さ(d)は、サポータ3の上下動により調整される。
ここでフロート1の規定部111にある溶湯mは、表面が表面膜(酸化膜等)で覆われた状態となっている。このためフロート1を少々下降させても、規定部111から溶湯mは殆ど湧出しない。なお、本実施例では、溶湯mの湯面から下板11の下面までの距離を浸漬深さ(d)とする。
次に、加振機4をONさせてフロート1を振動させる。これにより、規定部111にあった溶湯mの表面膜は破壊され、溶湯mが規定部111を通過して湧出し始める(湧出工程)。湧出した溶湯mは、フロート1のプール121に一時的に貯留され、スタータ2の下端部21と接触する(接触工程)。
溶湯mに接触したスタータ2を上方へ移動させると、溶湯mは下端部21に追従して引き上げられる(引上工程)。なお、加振機4は、接触工程後、引上工程の開始前にOFFされる。これにより溶湯mは、スタータ2による安定的に引き上げられる。
《フロートの加振例》
装置Dを用いて実際に湧出工程を行った。装置D(特にフロート1と加振機4)の具体的な構成は図3および図4に示した。このとき得られた結果を図5および図6にまとめて示した。以下、これらについて詳しく説明する。
(1)フロート1は、図3および図4に示すように、十字状の規定部111を有する。フロート1の位置関係は、h=約400mm、l=約250mm、d=約3mmとした(図1参照)。加振機4には、エア式タービンバイブレータ(エクセン株式会社製 超小型タービンバイブレータ(UT321))を用いた。溶湯mには、展伸用アルミニウム合金(JIS 6N01)を用いた。
(2)加振機4には、約0.4〜0.5MPaに加圧されたエアを供給し、その流量を種々変更した。エア流量と、フロート1の振動波形と、溶湯mの湧出状況を図5に併せて示した。振動波形は、フロート1の規定部111(開口部)の各方向の変位を、レーザー変位計(株式会社キーエンス製IL−100/サンプリング周期:330μs、測定精度:4μm)で測定し、それをデータロガー(グラフテック株式会社製GL500AMF/サンプリング周期:2μs)で記録した。測定した各方向は、図3に示したx方向、y方向およびz方向である。z方向が湯面に対する垂直方向、x方向およびy方向が湯面方向となる。周波数は、y方向の変位(振動波形)に基づいて算出した。
(3)図6から明らかなように、加振機4がOFF(加振なし)のとき、規定部111から溶湯mの湧出は生じなかった。一方、加振機4がON(加振あり)のとき、その開始後1〜5秒ぐらいで規定部111から溶湯mが湧出した。エア流量を増加させると、溶湯mの湧出量も増え、プール121に溶湯mが溜まった。但し、エア流量が過大になると、湧出した溶湯mの一部は、プール121の外周縁にまで飛散した。
このような溶湯mの挙動(湧出状況)は、図5からわかるように、フロート1の振幅または周波数と相関していると考えられる。すなわち、フロート1が加振されていないときは勿論、その振幅や周波数が過小なときも溶湯mの湧出が生じ難い。逆に、フロート1の振幅や周波数が過大になると、溶湯mの湧出量も増加し、その一部はプール121の外周縁にまで飛散するようになった。
図5に示す振動波形例に基づくと、フロート1の振動は、少なくともz方向(上下方向)に関して、振幅:0.3mm以上、周波数:100Hz以上であるとよいと考えられる。溶湯mの飛散を抑制して、溶湯mの引き上げを安定化させる場合なら、振幅:1.2mm以下、周波数:300Hz以下とするとよいと考えられる。
ちなみに、比較例として、加振機4を用いずにフロート1を超音波振動させた。このとき、各方向の変位はいずれも0.01mm以下であり、規定部111から溶湯mは湧出しなかった。
(4)装置Dを用いて実際に引上式鋳造して得られた鋳物の一例を図7に示した。このときの引上式鋳造は次のようにして行った。先ず、加振機4によりフロート1を加振させて規定部111から溶湯mを湧出させた(湧出工程)。溶湯mの湧出は、加振機4へエア(23L/分)を供給開始してから3秒で生じた。湧出した溶湯mへ、スタータ2の下端部21を接触させた(接触工程)。この後、加振機4へのエア供給を停止した。スタータ2を0.5〜1.5mm/秒で上方へ移動させた。引き上げた溶湯(保持溶湯)の冷却はエアにより行った。こうして図7に示すように、断面が十字状の鋳物を得た。
《スタータの加振例》
上述した加振機4(エア式タービンバイブレータ)を用いて、スタータ2の加振と溶湯mに対する濡れ性との関係を調べた。このとき用いた装置の概要を図8Aに模式的に示した。加振機4から溶湯mの湯面までの距離(h1)は約400mmとした。スタータ2の下端部21には、2枚の純アルミニウム板(60mm×40mm×t1mm)を重ね合わせた積層体を用いた。
加振の有無、下端部21の浸漬時間、浸漬深さ(d1)、溶湯温度を種々変更して、下端部21における濡れ性を観察した。その結果を図8Bにまとめて示した。濡れ性は、積層体の下端面における溶湯mの付着具合により評価される。
図8Bから明らかなように、スタータ2の加振により、短時間内にスタータ2と溶湯mを濡れさせ得ることがわかった。但し、溶湯温度の調整等により、加振されていないスタータ2でも、溶湯mと濡れることも確認された。
D 引上式鋳造装置
m 溶湯
1 フロート(形状規定部材)
111 規定部(導出穴)
121 プール
2 スタータ(導引部材)
4 加振機(加振手段)
10 保持炉

Claims (8)

  1. 鋳物形状に応じて形成された溶湯の導出穴を有する形状規定部材と、
    該導出穴を通過した該溶湯を引き上げる導引部材と、
    を備える引上式鋳造装置であって、
    さらに、該形状規定部材を加振する加振手段を備える引上式鋳造装置。
  2. 前記加振手段は、偏心ロータの回転により励振する回転式加振機からなる請求項1に記載の引上式鋳造装置。
  3. 前記形状規定部材は、前記導出穴を通過した溶湯を溜めるプールを有する請求項1または2に記載の引上式鋳造装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の引上式鋳造装置を用いた引上式鋳造方法であって、
    前記溶湯の湯面付近に配置した前記形状規定部材の導出穴を通過した溶湯へ前記導引部材の下端部を接触させる接触工程と、
    該接触工程後の該導引部材を引き上げる引上工程とを備え、
    さらに、該接触工程前または該接触工程時に、該形状規定部材を前記加振手段により振動させて該導出穴から該溶湯を湧出させる湧出工程を備える引上式鋳造方法。
  5. 前記湧出工程は、少なくとも特定方向の振幅が0.3mm以上で、100〜300Hzの振動を前記形状規定部材に付与する加振工程である請求項4に記載の引上式鋳造方法。
  6. 前記特定方向は、前記湯面に対する略垂直方向である請求項5に記載の引上式鋳造方法。
  7. 前記加振工程は、前記形状規定部材の振幅は1.2mm以下である請求項5または6に記載の引上式鋳造方法。
  8. 前記接触工程は、前記導引部材を振動させつつなされる請求項4〜7のいずれかに記載の引上式鋳造方法。
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