JP2021083822A - 多自由度鉗子 - Google Patents

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Reishi Domoto
励史 道本
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    • A61B17/28Surgical forceps
    • A61B17/29Forceps for use in minimally invasive surgery

Abstract

【課題】片手で操作される、使い勝手の良い多自由度鉗子を提供する。【解決手段】多自由度鉗子1は、直列に配列した複数のリンク部材31、32、33と、中心から離れた一対の位置でリンク部材を貫通して隣接するリンク部材を相対回転させる一対のワイヤ10a,10bと、シャフト4の後端側に設けられ、片手で操作して作動部2に所定動作を行わせる操作部5と、を有する。操作部5は、片手の指を挿入して相対移動させる操作を実行可能な一対の指掛け5b,5cと、当該片手の指で回転可能に設けられた蛇腹機構駆動ダイヤル11と、蛇腹機構駆動ダイヤル11に連動するウォームギア12と、ウォームギア12に噛み合って一対のワイヤ10a、10bが連結されたプーリ14を駆動するウォームホィール13と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、直列に配列した複数のリンク部材と、中心から離れた一対の位置でリンク部材を貫通する一対のワイヤと、を有する蛇腹機構を用いて、操作部を通じた手動操作により作動部を首振り動作させる多自由度鉗子に関する。
多自由度鉗子は、低侵襲手術の一例である鏡視下手術で使用される医療用器具である。多自由度鉗子は、患者の体内で所定動作を行う作動部が、蛇腹機構を介してシャフトの先端側に連結されている。そして、作動部の所定動作及び蛇腹機構の湾曲を遠隔操作するための操作部がシャフトの後端側に連結されている。
操作者(術者)は、高精細カメラを搭載した内視鏡カメラと複数の多自由度鉗子とを患者の体内に挿入して鏡視下手術を開始する。操作者(術者)は、高精細カメラが撮影した患者の体内のリアルタイム画像を手術室内のモニタ画面に表示させつつ、複数の多自由度鉗子の操作部を患者の体外で操作して、それぞれの動作部の所定動作を遠隔操作して、多自由度鉗子による鏡視下手術を実行する。
特許文献1の図3、図4に記載された多自由度鉗子は、直列に配列した複数のリンク部材と、中心から離れた一対の位置でリンク部材を貫通する一対のワイヤと、を有する蛇腹機構を用いて、作動部を首振り動作させるものである。しかし、蛇腹機構は、モータ駆動されており、一対のワイヤを張架したスプロケットの回転軸に設けられたウォームホィールと、ウォームホィールに噛み合って駆動モータに駆動されるウォームギアと、を有する。
特許文献2の図4に記載された多自由度鉗子は、直列に配列した複数のリンク部材と、中心から離れた一対の位置でリンク部材を貫通する一対のワイヤと、を有する蛇腹機構を、いわゆるジョイスティック型の操作部を通じて手動操作している。
国際公開第2013/129494号 米国特許第8105350号
一対の指掛けに親指と人差し指を挿入して鉗子や鋏のように操作して、作動部を直観的に遠隔操作する手動操作方式の多自由度鉗子が開発され、様々な鏡視下手術の用途において広く用いられている。
しかし、鉗子や鋏のように操作される多自由度鉗子は、蛇腹機構を湾曲させる操作を行う際には、操作に使える指が無くなって、指掛けに指を挿入していない反対側の手を使うか、指掛けから指を抜いて操作部を持ち替える必要がある。このため、左右の手で一台ずつ多自由度鉗子を手動操作して手術を行うことは難しい。
また、特許文献2に記載された多自由度鉗子は、作動部を首振り動作させた状態で手を離すと、体内組織に押されて、あるいは操作部の自重で作動部の首振り状態が元に戻ってしまうことがある。このため、このような多自由度鉗子では、ラチェット機構やロック機構を組み込んで、作動部の首振り状態を機械的に保持させる必要がある。
しかし、多自由度鉗子の操作においてラチェット機構の解除やロック機構のON/OFF操作が追加されると、ラチェット機構の解除やロック機構のON/OFF操作に伴って手術作業が細切れに中断されて手術時間が長くなる。
また、ラチェット機構やロック機構を組み込んだ多自由度鉗子は、操作が複雑になって操作の直観性が損なわれてしまう。多自由度鉗子の1つの操作ごとにロックするか否かの判断が必要になると、多自由度鉗子を直観的に操作することが難しくなり、誤操作の可能性も出てくる。
本発明は、このような課題を解決する使い勝手の良い手動操作方式の多自由度鉗子を提供することを目的としている。
本発明は、上記の課題を解決する発明であって下記の通りである。
[1]多自由度鉗子であって、相対回転の支点を当接させて直列に配列した複数のリンク部材と、前記支点を挟んで中心から離れた一対の位置で前記リンク部材を貫通して隣接する前記リンク部材を相対回転させる一対のワイヤと、を有する蛇腹機構と、前記蛇腹機構の先端側に設けられ、所定動作を行う作動部と、前記蛇腹機構の後端側に設けられ、前記一対のワイヤが貫通するシャフトと、前記シャフトの後端側に設けられ、片手で操作して前記作動部に前記所定動作を行わせる操作部と、を備え、前記操作部は、片手の指を挿入して相対移動させる操作を実行可能な一対の指掛けと、当該片手の指で回転可能に設けられた蛇腹機構駆動ダイヤルと、前記蛇腹機構駆動ダイヤルに連動するウォームギアと、当該ウォームギアに噛み合って前記一対のワイヤが連結されたプーリを駆動するウォームホィールと、を有する多自由度鉗子。
[2]前記一対の指掛けは、片手の親指と中指を挿入して相対移動させる操作を実行可能であって、前記蛇腹機構駆動ダイヤルは、当該片手の人差し指で回転可能に設けられている[1]の多自由度鉗子。
[3]前記ウォームギアは、前記蛇腹機構駆動ダイヤルの回転軸に連結され、前記ウォームホィールは、前記プーリの回転軸に連結されている[1]の多自由度鉗子。
[4]前記蛇腹機構駆動ダイヤルに近い側の指掛けが前記操作部の操作部本体に固定され、前記蛇腹機構駆動ダイヤルから遠い側の指掛けが前記操作部本体に対して回動可能である[1]の多自由度鉗子。
[5]前記蛇腹機構駆動ダイヤルは、前記操作部の操作部本体に対して移動して操作位置を変更可能に設けられている[1]の多自由度鉗子。
[6]前記作動部は、前記蛇腹機構の先端側のリンク部材に対して当該リンク部材の中心軸線の周りで回転可能に設けられ、前記シャフトを貫通させて、前記作動部と一体に回転可能に設けられた駆動伝達部材と、前記操作部に設けられ、前記蛇腹機構駆動ダイヤルから移動させた前記人差し指により回転可能な作動部回転駆動ダイヤルと、前記操作部に設けられ、前記作動部回転駆動ダイヤルの回転を前記駆動伝達部材に伝達する回転伝達装置と、を有する[2]の多自由度鉗子。
[7]前記蛇腹機構駆動ダイヤルの回転軸線と前記作動部回転駆動ダイヤルの回転軸線とがねじれの位置関係にある[6]の多自由度鉗子。
[1]の多自由度鉗子によれば、上述した課題を解決する使い勝手の良い多自由度鉗子を提供することができる。
[2]の多自由度鉗子によれば、片手の親指と中指で一対の指掛けの相対位置を保ったまま、当該片手の人差し指で蛇腹機構駆動ダイヤルを回転させて作動部を首振り動作させることができる。
[3]の多自由度鉗子によれば、歯車、歯付きベルト等の機構部品の総数が少ないコンパクトな操作部を実現できる。
[4]の多自由度鉗子によれば、指掛けの開閉操作時の多自由度鉗子の姿勢が安定するので、操作ミスによる作動部の位置ずれや誤動作が発生し難い。
[5]の多自由度鉗子によれば、必要に応じて蛇腹機構駆動ダイヤルの位置を変更して、使い勝手の良い多自由度鉗子を実現できる。
[6]の多自由度鉗子によれば、蛇腹機構駆動ダイヤルと作動部回転駆動ダイヤルの操作を組み合わせて、回転による作動部の作動方向のきめ細かな調整や、回転を組み合わせた新たな動作を実行可能である。
[7]の多自由度鉗子によれば、比較的に大きな直径の蛇腹機構駆動ダイヤルと作動部回転駆動ダイヤルを、比較的に近い軸間距離で配置できる。このため、蛇腹機構駆動ダイヤルと作動部回転駆動ダイヤルの片手操作が容易な操作部を実現できる。
本発明の実施の形態の一例に係る実施の形態1の多自由度鉗子の全体の外観構造を示す斜視図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における各部の構造を模式的に記載した各部の機能の説明図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における操作部の操作内容と作動部の動作内容との関係の説明図である。(a)は操作部の操作内容、(b)は作動部の動作内容である。 実施の形態1の多自由度鉗子における全体構造の分解斜視図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における作動部及び蛇腹機構の構成の説明図である。(a)は作動部及び蛇腹機構の分解斜視図、(b)はリンク部材の模式的な側断面図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における首振り駆動機構の分解斜視図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における作動部回転駆動機構の分解斜視図である。 実施の形態1の多自由度鉗子における操作部本体の取付の説明図である。(a)はプーリ側、(b)はウォームホィール側である。 実施の形態2の多自由度鉗子における蛇腹機構駆動ダイヤルの取付構造の模式的な説明図である。 実施の形態3の多自由度鉗子における蛇腹機構駆動ダイヤルの取付構造の模式的な説明図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の多自由度鉗子の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して本発明の実施の形態1の多自由度鉗子1の構成と動作を説明する。図2は、図面の複雑化を回避して構造の理解を容易にするために、多自由度鉗子1の構成部材を簡略化して表現し、具体的に表現された図1、図3等の構成部材と共通の符号を付している。このため、図2における構成部材の大きさ比率、重なり、詳細な構造は、図1、図3等とは異なる。図3は、片手を用いた操作部5の具体的な操作と、操作に応答して実行される蛇腹機構3及び作動部2の具体的な動作との関係を示している。
図1に示すように、多自由度鉗子1は、蛇腹機構3、作動部2、シャフト4、及び操作部5を有する手動操作方式の多自由度鉗子である。多自由度鉗子1は、患者の体内にシャフト4、蛇腹機構3、及び作動部2を挿入して、患者の体外に置かれた操作部5を操作して鏡視下手術を実行するものである。
図2に示すように、蛇腹機構3は、相対回転の支点pを当接させて直列に配列した複数のリンク部材31、32、33と、支点pを挟んで中心から離れた一対の位置でリンク部材31、32、33を貫通して隣接するリンク部材31、32、33を相対回転させる一対のワイヤ10a,10bと、を有する。作動部2は、蛇腹機構3の先端側に設けられ、所定動作を行う。シャフト4は、蛇腹機構3の後端側に設けられ、一対のワイヤ10a、10bが貫通する。操作部5は、シャフト4の後端側に設けられ、片手で操作して作動部2に所定動作を行わせる。
操作部5は、片手の指を挿入して相対移動させる操作を実行可能な一対の指掛け5b,5cと、当該片手の指で回転可能に設けられた蛇腹機構駆動ダイヤル11と、蛇腹機構駆動ダイヤル11に連動するウォームギア12と、ウォームギア12に噛み合って一対のワイヤ10a、10bが連結されたプーリ14を駆動するウォームホィール13と、を有する。
作動部2は、蛇腹機構3の先端側のリンク部材31に対してリンク部材31の中心軸線の周りで回転可能に設けられている。駆動伝達部材6は、シャフト4を貫通させて、作動部2と一体に回転可能に設けられている。操作部5は、蛇腹機構駆動ダイヤル11から移動させた人差し指により回転可能な作動部回転駆動ダイヤル21と、作動部回転駆動ダイヤル21の回転を駆動伝達部材6に伝達する回転伝達装置22と、を有する。
操作者は、多自由度鉗子1のシャフト4を所定深さまで患者の体内に挿入して、作動部2を手術位置へ届かせる。多自由度鉗子1は、シャフト4の先端側に、蛇腹機構3を介して、作動部(エンドエフェクタ)2が設けられている。作動部2は、患者の体内で矢印R6方向に開閉する第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cが設けられている。そして、作動部2は、蛇腹機構3を矢印R4方向へ湾曲/湾曲解除させることにより、患者の体内で首振り動作させることが可能である。
シャフト4の後端側に、操作者が患者の体外で作動部2を遠隔操作する操作部5が設けられている。図3(a)、(b)に示すように、操作部5には、片手Hの親指Fと中指Mを挿入して相対移動させる操作を実行可能な一対の指掛け5b、5cが設けられている。操作者は、患者の体外で指掛け5b、5cを矢印R3方向に開閉操作することにより、作動部2の第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cを連動して矢印R6方向に開閉動作させる。
また、操作部5は、蛇腹機構3の湾曲/湾曲解除を駆動する蛇腹機構駆動ダイヤル11が設けられている。操作者は、片手Hの人差し指Pで蛇腹機構駆動ダイヤル11を矢印R1方向に回転操作することにより、蛇腹機構3を湾曲/湾曲解除して、作動部2を矢印R4方向に首振り動作させる。
さらに、作動部2は、蛇腹機構3の先端のリンク部材31に対して矢印R5方向に回転可能に設けられている。そして、操作部5には、作動部2の回転を駆動する作動部回転駆動ダイヤル21が設けられている。図4に示すように、作動部回転駆動ダイヤル21は人差し指の届く範囲に設けられ、外周には、人差し指で引っ掛けて回転させるための凹凸パターン21cが形成されている。このため、多自由度鉗子1は、第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cを矢印R5方向に回転させて、体内組織を掴む方向を細かく調整したり、第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cで体内組織を挟み込んだ状態で矢印R5方向に回転させて捩じったりする、新たな動作と用途が可能になっている。操作者は、蛇腹機構3から移動させた片手Hの人差し指Pで作動部回転駆動ダイヤル21を矢印R2方向に回転操作することにより、作動部2を矢印R5方向に回転動作させる。
図2に示すように、駆動伝達部材6は、シャフト4及び蛇腹機構3の中心を貫通して設けられ、操作部5から作動部2へ、矢印R9、R10方向のスライド移動と中心軸線の周りの回転を伝達する。駆動伝達部材6は、操作部5のスライド部材23と、作動部2のカム部材2eと、の間に設けられている。
多自由度鉗子1は、操作部5における指掛け5b、5cの相対的な回動と、作動部2における第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cの開閉動作と、を駆動伝達部材6の矢印R9、R10方向のスライド移動により連動させている。
操作者が指掛け5b、5cを開く操作を行うと、リンク24を介して、操作部5のスライド部材23が矢印R9方向の先端側へスライドする。スライド部材23は、駆動伝達部材6を先端側へ押し込んで、作動部2の内部でカム部材2eを矢印R10方向の先端側へスライドさせる。カム部材2eの先端側へのスライドに伴って、第1鉗子片2bと第2鉗子片2cとが挟み込みを解除する方向に相対回転する。
これに対して、操作者が指掛け6b、6cを閉じる操作を行うと、リンク24を介して、操作部5のスライド部材23が矢印R9方向の後端側へスライドする。スライド部材23は、駆動伝達部材6を後端側へ引っ張って、作動部2の内部でカム部材2eを矢印R10方向の後端側へスライドさせる。カム部材2eの後端側へのスライドに伴って第1鉗子片2bと第2鉗子片2cとが挟み込む方向に相対回転する。
作動部回転駆動ダイヤル21は、操作部5に対して矢印R2方向へ回転自在に設けられ、回転伝達装置22を用いて駆動伝達部材6に対して直接回転を拘束されている。作動部2は、カム部材2eを介して駆動伝達部材6に回転を拘束されている。
このため、作動部回転駆動ダイヤル21を矢印R2方向に回転させると、駆動伝達部材6を介してねじりトルクが伝達されて、蛇腹機構3の先端で、駆動伝達部材6と一体に作動部2が矢印R5方向に回転する。蛇腹機構3は、図3(a)に示すように、シャフト4に固定されたリンク部材32と、作動部2と一体に回動するリンク部材31との間に複数のリンク部材33を直列に連結している。一点鎖線で示すように、隣接するリンク部材31、32、33の回動を累積して、蛇腹機構3の全体で90度以上の湾曲が可能になっている。
ワイヤ10a、10bは、駆動伝達部材6を挟んでシャフト4及び蛇腹機構3の中心軸線から外れた一対の位置を貫通して設けられている。ワイヤ10a、10bは、操作部5のプーリ14によるワイヤ10a、10bの押し出し/引き込みを、蛇腹機構3の先端のリンク部材31へ伝達する。
操作部5のプーリ14が矢印R7方向に回転すると、ワイヤ10aが先端側へ押し出され、ワイヤ10bが後端側へ引き戻される。その結果、蛇腹機構3は、先端側が下方へ押し下げられて作動部2が水平状態に首振り動作する。
これに対して、操作部5のプーリ14が矢印R8方向に回転すると、ワイヤ10bが先端側へ押し出され、ワイヤ10aが後端側へ引き戻される。その結果、蛇腹機構3は、先端側が上方へ湾曲して作動部2が上向きに首振り動作する。
以上説明したように、多自由度鉗子1は、操作している片手の指で回転可能に設けられた蛇腹機構駆動ダイヤル11と、蛇腹機構駆動ダイヤル11に連動するウォームギア12と、ウォームギア12に噛み合って一対のワイヤ10a、10bが連結されたプーリ14を駆動するウォームホィール13と、を有する。したがって、蛇腹機構駆動ダイヤル11を送りねじのような感覚で手動操作して、作動部2の首振り動作を緩急自在に行わせることができる。モータ駆動の場合よりもモニタ画面を通じた作動部2の首振り動作の高いレスポンスを得ることができるため、直観的に操作して使い勝手の良い多自由度鉗子1を提供することができる。
多自由度鉗子1は、片手で操作している状態で蛇腹機構3を湾曲/湾曲解除させる操作に使える指が確保されるため、指掛け5b、5cに指を挿入していない反対側の手を使ったり、指掛け5a、5bから指を抜いて操作部5を持ち替えたりする必要が無い。このため、左右の手で一台ずつ多自由度鉗子を手動操作して手術を行うことも比較的に容易である。
また、多自由度鉗子1は、ウォームギア12とウォームホィール13とを噛み合わせて回転を伝達するため、蛇腹機構駆動ダイヤル11を回転してプーリ14を回転させることは可能であるが、プーリ14を回転して蛇腹機構駆動ダイヤル11を回転させることはできない。したがって、多自由度鉗子1は、作動部2を首振り動作させた状態で指掛け5b、5cに挿入した指の力を抜いた際に、体内組織に押されて、あるいは操作部5の自重でプーリ14が回転して作動部2の首振り状態が元に戻ることが無い。作動部2の首振り動作に対して常にいわゆるセルフロックがかかっている。このため、作動部2を首振り動作させた状態を保持させるためのラチェット機構やロック機構を組み込んで、作動部2の首振り状態を機械的に保持させる必要がない。このため、このようなラチェット機構の解除やロック機構のON/OFF操作に伴って手術作業が細切れに中断されないので手術時間が短くなる。多自由度鉗子1の操作ごとにロックするか否かを判断する必要にないため、多自由度鉗子1を直観的に操作することが容易になり、誤操作の可能性も低くなる。
多自由度鉗子1は、シャフト4を貫通して作動部2と一体に回転可能に設けられた駆動伝達部材6と、蛇腹機構駆動ダイヤル11から移動させた人差し指により回転可能な作動部回転駆動ダイヤル21と、作動部回転駆動ダイヤル21の回転を駆動伝達部材6に伝達する回転伝達装置22と、を有する。したがって、蛇腹機構駆動ダイヤル11と作動部回転駆動ダイヤル21の操作を組み合わせて、回転による作動部2の開閉方向のきめ細かな調整や、開閉と回転を組み合わせた操作部5の新たな動作を実行可能である。
多自由度鉗子1は、一対の指掛け5b、5cが片手の親指と中指を挿入して相対移動させる操作を実行可能であって、蛇腹機構駆動ダイヤル11は、当該片手の人差し指で回転可能に設けられている。具体的には、蛇腹機構駆動ダイヤル11の回転面に対して指賭け5b,5cの指が挿入される穴面が直交している。また、指掛け5bを操作部本体5dに固定してグリップとし、グリップに手首を残した状態で人差し指の第一関節の腹が蛇腹機構駆動ダイヤル11と回転駆動ダイヤル21とを往復できるようにした。したがって、片手の親指と中指で一対の指掛け5b、5cの相対位置を保ったまま、当該片手の人差し指で蛇腹機構駆動ダイヤル11を回転させて作動部2を首振り動作させることができる。
多自由度鉗子1は、ウォームギア12が蛇腹機構駆動ダイヤル11の回転軸12aに連結され、ウォームホィール13は、プーリ14に連結されている。したがって、歯車、歯付きベルト、リンク歩合等の駆動伝達部品の総数が少ない、コンパクトな操作部5を実現できる。
多自由度鉗子1は、蛇腹機構駆動ダイヤル11に近い側の指掛け5bが操作部5の操作部本体5dに固定され、蛇腹機構駆動ダイヤル11から遠い側の指掛け5cが操作部本体5dに対して回動可能である。したがって、指掛け5b,5cの開閉操作時の多自由度鉗子1の姿勢が安定して、操作ミスによる作動部2の位置ずれや誤動作が発生し難い。
多自由度鉗子1は、蛇腹機構駆動ダイヤル11の回転軸線と作動部回転駆動ダイヤル21の回転軸線とがねじれの位置関係にある。したがって、比較的に大きな直径の蛇腹機構駆動ダイヤル11と作動部回転駆動ダイヤル21を、比較的に近い軸間距離で配置できる。このため、蛇腹機構駆動ダイヤル11、及び作動部回転駆動ダイヤル21の片手操作が容易な操作部5を実現できる。
(具体的な組立構造)
次に、図4〜図8を参照して、実施の形態1の多自由度鉗子1の機構及び筐体の具体的な組立構造を説明する。図4に示すように、シャフト4の先端側に、蛇腹機構3を介して作動部2が連結されている。シャフト4を貫通させてワイヤ10a,10b、及び駆動伝達部材6が設けられている。シャフト4は、ステンレスパイプ材料で形成され、直径が6mmである。ワイヤ10a,10bは、ステンレスの素線を撚り合わせて形成され、直径が0.5mmである。駆動伝達部材6は、直径1mmのステンレスロッド6aの両端に、直径1mmのワイヤ6b、6cを連結して形成されている。駆動伝達部材6の全体が直径1mmの連続したワイヤで形成されていると、回転トルクを伝達する際の駆動伝達部材6の捩じれ変形が大きくなって、回転の応答性が低下すると共に、必要なトルクを作動部2まで伝えられないからである。また、蛇腹機構3に位置する駆動伝達部材6には、蛇腹機構3と一体に湾曲する柔軟性、及び係合部材を用いて他の部材に取り付ける際の両端部の柔軟性が必要だからである。
図8(a)に示すように、操作部5の操作部本体5dのプーリ14側の面には、表蓋5eを取り付けるための雌ねじ5hと、蛇腹機構駆動ダイヤル11を回転自在に保持する貫通孔11gと、作動部回転駆動ダイヤル21を回転自在に保持する貫通孔21d及び凹所21fと、が形成されている。図8(b)に示すように、操作部本体5dのウォームホィール13側の面には、裏蓋5fを取り付けるための雌ねじ5hと、ウォームギア12を回転自在に保持する貫通孔13g及び凹所12dが形成されている。
図4に示すように、操作部本体5dに表蓋5eを重ねて、表蓋5eの孔5jを通してねじ5iを操作部本体5dの雌ねじ(5h:図8(a))に締め付けている。このようにして固定された操作部本体5dと表蓋5eの間に、指掛け5b、作動部回転駆動ダイヤル21、プーリ14、リンク24、スライド部材23等を組み立てている。また、操作部本体5dに裏蓋5fを重ねて、裏蓋5fの孔5jを通して、ねじ5iを操作部本体5dの雌ねじ(5h:図8(b))に締め付けている。このようにして固定された操作部本体5dと裏蓋5fの間に、ウォームギア12及びウォームホィール13を組み立てている。ここでは、操作部本体5dに部品ごとの凹所及び貫通孔を設けて、表蓋5e、及び裏蓋5fを重ねることにより、各部品を動作可能に位置決めしている。しかし、多自由度鉗子1は、一般的な軸受部材やブラケットを筐体や基板に取り付けて機構部品を組み立てる組立構造を採用してもよい。
ウォームギア12は、操作部本体5dに設けられた凹所(12d,12d:図8(b))によって、回転軸12a,12aを回転自在に保持されている。ウォームホィール13は、両面に突起部13e、13eを設けられている。ウォームホィール13の表側の突起部13eは、ウォームホィール13に固定されたプーリ14に設けられた不図示の凹所13jに挿入されている。ウォームホィール13の裏面側に位置する突起部13eは、裏蓋5fに設けられた軸受孔13fに回転自在に保持されている。ウォームギア12とウォームホィールのギア比は20倍としたが、10〜30倍としてもよい。
図5(a)に示すように、シャフト4の先端側に、蛇腹機構3を介して作動部2が連結されている。シャフト4の内周面4aにリンク部材32の円柱面4cが保持され、リンク部材32の規制凸部4dがシャフト4の規制凹所4bに係合している。これに対して、シャフト4の後端側は、図7に示すように、操作部本体5dのシャフト取付部4hに挿入して、ねじ4iを締め付けることにより固定されている。したがって、操作部本体5dに対してシャフト4及び蛇腹機構3は回転しないようになっている。ただし、ねじ5iを緩めてシャフト4、蛇腹機構3、及び作動部2を一体に回転させることで、操作部5に対する作動部2の開閉方向及び湾曲方向を変更可能である。
図5(a)に示すように、ワイヤ10a,10bの先端側には、嵌め込む際のワイヤの湾曲余地を内側に確保した箱型の係合部材10c,10eが連結されている。係合部材10c,10eは、先端側のリンク部材31の凹所10d,10fに係合させることにより、ワイヤ10a、10bを先端側のリンク部材31に連結している。
作動部2は、端部2qを、蛇腹機構3の先端側のリンク部材31の内周面31aに保持されて、蛇腹機構3に対して回転自在に連結されている。作動部2は、リンク部材31の雌ねじ31nにねじ2p,2p,2p,2pを締め付けてねじ2p,2p,2p,2pの先端を作動部2の回転溝2jに位置させることにより、作動部2を抜け止めしつつ、リンク部材31に対して回転自在に保持させている。
駆動伝達部材6の先端側にも箱型の係合部材6dが連結されている。係合部材6dは、カム部材2eの係合凹所2nに係合させて組み立てられている。このため、駆動伝達部材6の先端側又は後端側への移動に伴って、カム部材2eが一体に移動して、第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cを開閉させる。
第1鉗子片2bの孔2g、第2鉗子片2cの孔2g、及び作動部本体2dの孔2h,2hを貫通させてピン2aを圧入することにより、第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cは、開閉自在に連結されている。第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cの突起2f,2fは、カム部材2eのスライド溝2k,2lに係合している。
カム部材2eは、円柱部2mを作動部本体2dの内周面2rに挿入されると共に、上下の凸条部2oを作動部本体2dのスライド溝2iに保持されて、先端側及び後端側へスライド可能である。カム部材2eは、表面側のスライド溝2lが裏面側のスライド溝2kにX字型に交差して設けられている。
このため、カム部材2eが作動部本体2dに対して先端側へスライドすると、突起2f,2fの間隔が拡大して第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cが開かれる。逆に、カム部材2eが作動部本体2dに対して後端側へスライドすると、突起2f,2fの間隔が狭くなって、第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cが閉じられる。
図5(b)に示すように、リンク部材33,33は、駆動伝達部材6が通る中心孔33cを紙面と直角な方向に挟んで一対設けられたローラ凸部33dに、同様に一対設けられたローラ凹部33eをそれぞれ当接させて、紙面と平行な面内の相対的な回動の支点pを形成している。ローラ凸部33dとローラ凹部33eはローラがリンク部材33に固定されたローラジョイントを形成している。ワイヤ10a、10bは、直列に連結した複数のリンク部材33のそれぞれにおいて、中心孔33cを上下に挟んで形成された孔33a、33bを貫通している。
リンク部材33,33に対して同様にローラジョイントを形成するように、先端側のリンク部材31には、ローラ凸部31d及び中心孔31cを上下に挟む孔31a,31bが設けられ、後端側のリンク部材32には、ローラ凹部32e及び中心孔32cを上下に挟む孔32a、32bが設けられている。
リンク部材33,33は、孔33a側を傾斜面として蛇腹機構3の湾曲余地を確保する一方、孔33b側には傾斜面を形成していないため、図3(b)に示すように、蛇腹機構3の全体では矢印R4で示す片側の湾曲となっている。このため、蛇腹機構3は、湾曲を解除した直線状態で作動部2の支持剛性が著しく高められ、直線状態で患者の体内を突き進める際の意図しない湾曲が起こり難くなっている。
図6に示すように、首振り機構10は、蛇腹機構駆動ダイヤル11と、蛇腹機構駆動ダイヤル11に連動するウォームギア12と、プーリ14に固定されてウォームギア12に噛み合うウォームホィール13と、を有する。
ウォームギア12は、ギア部12cと回転軸12a,12aとが一体に形成され、回転軸12aの下端にいわゆるDカットの扁平軸12bが形成されている。そして、蛇腹機構駆動ダイヤル11は、中心の扁平孔11aにウォームギア12の扁平軸12bを挿入されて、ウォームギア12と一体に回転可能である。蛇腹機構駆動ダイヤル11の操作面11cには摩擦溝が形成されている。
ウォームホィール13は、ギア部13cをウォームギア12のギア部12cに噛み合わせている。ウォームホィール13は、孔13hにねじ13kを挿入してプーリ14の雌ねじ13iに締め付けることにより、プーリ14と一体に固定されている。ウォームホィール13の表側の突起部13eは、プーリ14の裏面に形成された不図示の凹所に保持されている。回転軸16は、ウォームホィール13の回転軸孔13aとプーリ14の回転軸孔14aを貫通して、ウォームホィール13とプーリ14の回転中心を一致させている。回転軸16の端部は、表蓋52に設けた不図示の軸受部に支持されている。
プーリ14の案内面14bは、操作部本体5dに形成された不図示のガイド構造との間に円弧状の案内経路を形成し、シャフト(4:図7)の入口までワイヤ10a,10bを案内する。プーリ14に対して、巻き上げ機構15a、15bを介してワイヤ10a,10bの後端部が取り付けられている。巻き上げ機構15a、15bは、いわゆるランニングフェースラチェット機構を用いて、手動操作によりワイヤ10a,10bを巻き上げて緩みを取り除くものである。
プーリ14には、傾斜方向が異なるラチェット面15m、15nが形成されている。ラチェット面15m、15nに重ねて、傾斜方向(相対回転が可能な方向)の異なるラチェット面15e、15fを有するラチェット歯車15c、15dが設けられている。ラチェット歯車15c、15dに形成された不図示の貫通孔にワイヤ10a,10bの後端部を挿入してそれぞれ固定している。
ラチェット歯車15c,15dは、それぞれ回転軸15j,15j、ばね15g,15g、ばね座15h,15h、Eリング15i,15iを用いてプーリ14上に組み立てられている。回転軸15j,15jは、根本をラチェット面15m、15nのピン孔15o、15pに圧入され、ラチェット歯車15c、15dの軸孔15kを回転自在に貫通し、先頭のリング溝15lにEリング15i,15iを装着されている。
巻き上げ機構15a、15bは、ラチェット歯車15c,15dを手動回転してワイヤ10a,10bを緩みなく巻き上げた状態をラチェット面15m、15nとラチェット面15e、15fの係合によって保持している。
図7に示すように、指掛け5bは、操作部本体5dと一体に形成されている。指掛け5cは、指掛け5bと一体に樹脂成形された回転軸5a、5aを中心にして、指掛け5bに対して相対的に回動する。回転軸5a,5aは、図4に示す操作部本体5d及び表蓋5eに設けられた孔5g,5gによって回転自在に保持されている。
スライド部材23は、操作部本体5dのスライド溝23fと表蓋5eの同様なスライド溝(不図示)に挟み込まれ、案内されて、先端側及び後端側へスライド可能である。
スライド部材23の溝23eに保持されるリンク24の一端の孔24cは、ピン24eを用いてスライド部材23の孔24dに取り付けられている。リンク24の他端の孔24aは、ピン24gを用いて指掛け5cの孔24fに取り付けられている。
回転軸5a、5aを中心にした指掛け5bの回動に伴って、リンク24がスライド部材23を押し出し/引き戻しして、駆動伝達部材6を先端側又は後端側へスライドさせる。そして、操作部5におけるスライド部材23の押し出し/引き戻しが、図5(a)に示すように、駆動伝達部材6を介して作動部2のカム部材2eに伝達されて、カム部材2eを押し出し/引き戻しする。
駆動伝達部材6の後端部には、円柱形の係合部材23cが連結されている。円柱形の係合部材23cは、駆動伝達部材6をU字溝23aに位置させつつ、スライド部材23の係合凹所23bに係合させて組み立てられている。円柱形の係合部材23cは、スライド部材23に対して回転自在であるため、操作部本体5d及び指掛け5cは、作動部回転駆動ダイヤル21に駆動された駆動伝達部材6の回転を妨げない。
回転伝達装置22は、駆動伝達部材6を挿入され、そのスリット部22cに圧縮リング22dを取り付けて縮径させることにより、圧縮リング22dがスリット部22cを介して駆動伝達部材6を締め付けて、駆動伝達部材6と回転伝達装置22の相対移動をロックする。この状態で、回転伝達装置22は、作動部回転駆動ダイヤル21の回転を駆動伝達部材6に伝達する一方で、作動部回転駆動ダイヤル21に対して駆動伝達部材6を先端側及び後端側へスライド自在にしている。
これにより、指掛け5cを回動させて駆動伝達部材6を先端側又は後端側へスライドさせて第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cを開閉させた際に、作動部回転駆動ダイヤル21の長手方向の移動が吸収されて、作動部回転駆動ダイヤル21が長手方向で停止した状態に保たれる。
回転伝達装置22は、円柱面22aから凸条部22bを突出させている。回転伝達装置22は、円柱面22aを作動部回転駆動ダイヤル21のスリーブ21eに形成されたシリンダ状の内周面21aに挿入されて保持されつつ、凸条部22bを案内溝21bにより案内されて、先端側又は後端側へスライド可能である。回転伝達装置22は、凸状部22bを案内溝21bに係合してトルクを伝達する。
ラチェット機構25は、ラチェット歯車25aにラチェット爪25bを噛み合わせて、指掛け5cの閉方向の回動を許容する一方で開方向の回動を規制する。このため、指掛け5cに挿入した指の力を抜いても、ラチェット機構25が第1鉗子片2b及び第2鉗子片2cによって体内組織を挟み込んだ状態を保つ。また、ラチェット爪25bを人差し指で押さえることにより、ラチェット機構25を強制解除して、第1鉗子片2bと第2鉗子片2cによる体内組織の挟み込みを解除できる。
ラチェット歯車25aは、指掛け5cに設けられたピン25dを孔25cへ挿入して、指掛け5cに取り付けられている。ラチェット爪25bは、操作部本体5dに設けられた孔25fに孔25iを重ねてピン25eを挿入することにより、操作部本体5dに取り付けられる。ばね25gは、操作部本体5dに設けられた凹所25hに置かれてラチェット爪25bを上方へ押圧し、ラチェット爪25bをラチェット歯車25aに噛み合わせる。ばね25gに押圧されたラチェット爪25bは、指掛け5cが指掛け5bに近付く際のラチェット歯車25aの回転を空転させ、指掛け5cが指掛け5bから遠ざかる方向のラチェット歯車25aの回転を阻止する。
(実施の形態2)
ところで、手の大きさ、指の長さ、指の可動範囲は操作者(術者)によって様々である一方、操作者(術者)ごとに各部のサイズを異ならせた別々の多自由度鉗子1を制作することは困難である。そこで、実施の形態2では、図2に示す実施の形態1の多自由度鉗子において、構成部品の多くを共有しつつ、操作者(術者)の手に合わせて蛇腹機構駆動ダイヤルの取付位置を変更可能にしている。
図9(a)に示すように、実施の形態2の多自由度鉗子1Aは、蛇腹機構駆動ダイヤル11Aの配置に関連する以外の構成は実施の形態1の多自由度鉗子1と同一である。このため、図9中、実施の形態1と同一の構成については、符号を省略、もしくは図2と共通の符号を付して、重複する説明を省略している。
実施の形態2の多自由度鉗子1Aの首振り機構10Aでは、ウォームギア12Aの全体をウォームホィール13に沿って回転させて傾けることにより、蛇腹機構駆動ダイヤル11Aの取付位置を、実施の形態1よりも指掛け5bに近付けている。
多自由度鉗子1Aは、操作部本体5dに対してウォームギア12Aを回転させて傾ける角度だけ、図8(b)に示す凹所12dを操作部本体5dに対して傾けて形成している。そのように傾けた凹所12dによって、ウォームギア12Aが図9(a)に示すように保持されている。
ここで、操作部本体5dに対してウォームギア12Aを傾ける角度を任意に変更して固定可能にすることも可能である。例えば、図8(b)に示す凹所12dを設けた底板を操作部本体5dに重ね合わせて設け、操作部本体5dに対してウォームホィール13の周りで回動可能にしておく。この底板をウォームホィール13の周りで回動して、任意の角度位置で固定してもよい。
あるいは、ウォームギア12Aの軸端を回転可能に支持する不図示の軸受ブラケットを、送りねじ機構を用いて操作部本体5dに対して先端側及び後端側へ移動可能に設けておき、送りねじ機構を操作してウォームギア12Aの所望の傾き角度に合わせた位置へ軸受ブラケットを移動させてもよい。
また、図2に示すように、操作部本体5dに対してウォームギア12を傾けることなく、蛇腹機構駆動ダイヤル11だけを傾けて先端側及び後端側へ位置を変更して固定可能にすることも可能である。例えば、ウォームギア12の回転軸と蛇腹機構駆動ダイヤル11の回転軸とを独立させておき、両者をばね継手等の自在継手で連結しておく。これにより、ウォームギア12を実施の形態1と同じ位置及び傾きに保ったまま、蛇腹機構駆動ダイヤル11のみを先端側及び後端側へ移動して、使い勝手の良い位置へ固定することが可能となる。すなわち、ウォームギア12を実施の形態1と同じ位置に保持させる一方、蛇腹機構駆動ダイヤル11の回転軸の下端を回転自在に支持する不図示のブラケットは、操作部本体5dに対して傾けて先端側及び後端側へ移動して固定可能に取り付けておく。これにより、蛇腹機構駆動ダイヤル11の位置及び傾きが変更されても、蛇腹機構駆動ダイヤル11からウォームギアへ自在接手を通じてトルクが伝達される。
実施の形態2の多自由度鉗子1Aでは、蛇腹機構駆動ダイヤル11Aは、操作部5の操作部本体5dに対して移動して操作位置を変更可能に設けられている。したがって、男女の別、手の大きさ、右手/左手の違い等、必要に応じて蛇腹機構駆動ダイヤル11Bの位置を変更して、使い勝手の良い多自由度鉗子1Aを実現できる。右手操作用、左手操作用、手の大きい男性用、手の小さな女性用等、指の可動範囲の違い等、操作者(術者)の必要に応じて多自由度鉗子1Aをカスタマイズして、鏡視下手術の効率と精度を高めることができる。
ところで、実施の形態2では、ウォームホィール13の回転面内で蛇腹機構駆動ダイヤル11を傾けて先端側及び後端側へ移動させる実施の形態を説明した。しかし、蛇腹機構駆動ダイヤル11は、ウォームホィール13の回転面に垂直な面内で傾けてもよい。図9(b)は、操作部5を後端側から見たときの、ウォームホィール13の回転面に垂直な面内のウォームギア12の傾きの説明図である。
図9(b)に示すように、多自由度鉗子1Bの首振り機構10Bでは、ウォームホィール13の厚み方向の歯面の角度を変更することにより、ウォームギア12Cのギア部12cをウォームホィール13に対して斜めに噛み合わせて、ウォームギア12Cの回転軸12a,12aとウォームホィール13の回転面との間に傾き角度を持たせている。なお、図9(b)に一点鎖線で示されるウォームギア12の歯面は、ウォームホィール13の厚み方向の歯面との噛み合い状態の理解を容易にするために、ウォームホィール13に噛み合う側の歯面を表現している。これにより、蛇腹機構駆動ダイヤル11Cの位置は、紙面と垂直な面内と紙面と平行な面内を含む、さらに広い範囲に設定可能となる。
(その他の実施の形態)
実施の形態1、2では、操作部5を操作する片手の人差し指で蛇腹機構駆動ダイヤル11を操作する実施の形態を説明した。しかし、操作部5を操作している反対の片手や操作者の助手によって補助的に蛇腹機構駆動ダイヤル11が操作されてもよい。図10に示すように、多自由度鉗子1Cの首振り機構10Cでは、ウォームギア12の回転軸12aの上端部を操作部本体12dの外側へ突出させて補助ダイヤル17を取り付けている。ここで、補助ダイヤル17は、蛇腹機構駆動ダイヤル11よりも外径を小さくして、ウォームギア12を実施の形態1よりも高速で回転できるようにしている。
実施の形態1、2では、作動部2として鏡視下手術において体内組織を把持するための把持鉗子を使用した実施の形態を説明した。しかし、本発明は、作動部2の機能に関するものではないため、多自由度鉗子の作動部(エンドエフェクタ)は任意に選択して変更可能である。本発明を利用する多自由度鉗子は、蛇腹機構を介してシャフトの先端側に取り付けられた作動部の種類に応じて多くのバリエーションがある。作動部は、機械的な動作を行うものである必要はなく、例えば、照明装置や撮像装置であってもよい。
また、患者の体内に挿入される作動部の鉗子形状は、作動部の用途に応じて多種多様に選択可能である。作動部は、体内組織を把持するための把持鉗子以外に、組織を剥離するための剥離鉗子、組織を切断するためのハサミ鉗子、組織を縫合するための縫合鉗子、ニードルドライバ、電気メス、ヒータ、電極、ステイプラ、拡張器、薬品注入器、照明装置、撮像カメラ等、多様に設計され得る。また、蛇腹機構3の中心軸線上に配置された中心孔33cは、種々の機械的な動力伝達手段に加えて、モータや照明を作動させるための電線を配置してもよく、通信を行うための光ケーブル、映像を伝達するための光ケーブル、可撓性の内視鏡導光ケーブルを配置してもよい。
実施の形態1では、ローラジョイント用いてリンク部材31、32、33を連結した蛇腹機構3を使用した実施の形態を説明した。しかし、本発明は、蛇腹機構の具体的な構成に関するものではないため、蛇腹機構3においてリンク部材31、32、33を連結する方法は任意に選択して変更可能である。ボールジョイントを用いてリンク部材を連結するもの、あるいは軸(ピン)を用いて隣接する円筒型の単位シェルを外周で連結するもの等であってもよい。
蛇腹機構3におけるリンク部材31、32、33の連結個数は3以上とすることが望ましいが、任意に設定可能である。
リンク部材31、32、33は、任意の生体適合性物質(ステンレス鋼;チタニウム、タンタル、任意の合金、ポリエチレンもしくはそのコポリマー、ポリエチレンテレフタレートもしくはそのコポリマー、ナイロン、シリコーン、ポリウレタン、フルオロポリマー、ポリ塩化ビニル等から製造され得る。ワイヤ10a、10bの材料は、ニッケルとチタニウムの合金、ステンレス鋼、その他の任意の合金、炭素繊維、ポリ塩化ビニル、ポリオキシエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリプロピレン、これらのコポリマー、ナイロン、シルク等が挙げられる。ワイヤ10a、10bは、接着剤、ろう付け、ハンダ付け、溶接などによって先端側のリンク部材31に固定してもよい。
実施の形態1では、鏡視下手術に用いられる多自由度鉗子における本発明の実施の形態を説明した。しかし、本発明は、化学実験室、クリーンベンチ、工場等、医療以外の用途の手動操作マニュピレータで実施することも可能である。
実施の形態1では、多自由度鉗子の軸垂直断面において2本のワイヤが対向配置される実施の形態を説明した。しかし、多自由度鉗子の軸垂直断面に配置されるワイヤは3本以上であってもよい。
1 多自由度鉗子
2 作動部
2a 回転軸
2b 第1鉗子片
2c 第2鉗子片
2d 作動部本体
2e カム部材
2f 係合ピン
2i スライド溝
2k 斜行溝
2l 斜行溝
2m 円柱面
2n 係合部
2o 案内部
2p ねじ
3 蛇腹機構
4 シャフト
4a 内周面
4b 規制凹所
4c 円柱面
5 操作部
5a 回転軸
5b 指掛け(固定)
5c 指掛け(回動)
5d 操作部本体
5e 表蓋
5f 裏蓋
6 駆動伝達部材
6a ステンレスロッド
6b、6c ワイヤ
10、10A、10B、10C 首振り機構
10a ワイヤ
10b ワイヤ
11 蛇腹機構駆動ダイヤル
12 ウォームギア
13 ウォームホィール
14 プーリ
20 回転駆動機構
21 作動部回転駆動ダイヤル
21a 内周面
21b 案内溝
22 回転伝達装置
22a 円柱面
22b 突条部
22c スリット部
22d 圧縮リング
23 スライド部材
23a U字溝
23b 係合凹所
24 リンク
25 ラチェット機構
25a ラチェット歯車
25b ラチェット爪
31 リンク部材(作動部側)
32 リンク部材(シャフト側)
33 リンク部材(中間)

Claims (7)

  1. 多自由度鉗子であって、
    相対回転の支点を当接させて直列に配列した複数のリンク部材と、前記支点を挟んで中心から離れた一対の位置で前記リンク部材を貫通して隣接する前記リンク部材を相対回転させる一対のワイヤと、を有する蛇腹機構と、
    前記蛇腹機構の先端側に設けられ、所定動作を行う作動部と、
    前記蛇腹機構の後端側に設けられ、前記一対のワイヤが貫通するシャフトと、
    前記シャフトの後端側に設けられ、片手で操作して前記作動部に前記所定動作を行わせる操作部と、を備え、
    前記操作部は、
    片手の指を挿入して相対移動させる操作を実行可能な一対の指掛けと、
    前記片手の指で回転可能に設けられた蛇腹機構駆動ダイヤルと、
    前記蛇腹機構駆動ダイヤルに連動するウォームギアと、
    当該ウォームギアに噛み合って前記一対のワイヤが連結されたプーリを駆動するウォームホィールと、を有する、
    多自由度鉗子。
  2. 前記一対の指掛けは、片手の親指と中指を挿入して相対移動させる操作を実行可能であって、
    前記蛇腹機構駆動ダイヤルは、当該片手の人差し指で回転可能に設けられている、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  3. 前記ウォームギアは、前記蛇腹機構駆動ダイヤルの回転軸に連結され、
    前記ウォームホィールは、前記プーリの回転軸に連結されている、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  4. 前記蛇腹機構駆動ダイヤルに近い側の指掛けが前記操作部の操作部本体に固定され、前記蛇腹機構駆動ダイヤルから遠い側の指掛けが前記操作部本体に対して回動可能である、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  5. 前記蛇腹機構駆動ダイヤルは、前記操作部の操作部本体に対して移動して操作位置を変更可能に設けられている、
    請求項1に記載の多自由度鉗子。
  6. 前記作動部は、前記蛇腹機構の先端側のリンク部材に対して当該リンク部材の中心軸線の周りで回転可能に設けられ、
    前記シャフトを貫通させて、前記作動部と一体に回転可能に設けられた駆動伝達部材と、
    前記操作部に設けられ、前記蛇腹機構駆動ダイヤルから移動させた前記人差し指により回転可能な作動部回転駆動ダイヤルと、
    前記操作部に設けられ、前記作動部回転駆動ダイヤルの回転を前記駆動伝達部材に伝達する回転伝達装置と、を有する、
    請求項2に記載の多自由度鉗子。
  7. 前記蛇腹機構駆動ダイヤルの回転軸線と前記作動部回転駆動ダイヤルの回転軸線とがねじれの位置関係にある、
    請求項6に記載の多自由度鉗子。
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