以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る回路チップ200の一例を示すブロック図である。回路チップ200は、論理回路100を内蔵する。回路チップ200は、論理回路100以外の回路を更に内蔵してもよい。図1の例では、回路チップ200は、論理回路100とアナログ回路210とを内蔵している。
論理回路100は、MOSトランジスタ等のスイッチング素子を含む。論理回路100は、インバータ回路、NAND回路およびNOR回路の少なくとも一つを含んでよい。インバータ回路、NAND回路およびNOR回路を組み合わせることで、入力される論理値に対して任意の論理値を出力する論理回路を実現できる。
回路チップ200には、外部の電源300から電源電圧VDDが印加される。アナログ回路210および論理回路100には、電源300から電源電圧VDDが印加される。電源電圧VDDは、論理回路100の動作電圧よりも高い電圧である。論理回路100の動作電圧とは、論理回路100に含まれるスイッチング素子に印加される電圧のうち、最大の電圧を指してよく、論理回路100が出力する電圧のうち、最大の電圧を指してもよい。また、論理回路100がMOSトランジスタを含む場合、電源電圧VDDは、MOSトランジスタのゲート酸化膜の耐圧より高い電圧であってよい。
アナログ回路210は、アナログ素子を含む回路である。アナログ回路210は、外部に電力を供給する、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、または、パワーMOSFET等のパワーデバイスを含んでよい。アナログ回路210は、論理回路100と同一の半導体基板に形成されてよい。
論理回路100は、アナログ回路210を制御してよい。論理回路100は、アナログ回路210に含まれるパワーMOSFETのゲートに印加する信号を生成してよい。より具体的な例として、論理回路100は、センサによる過電流等の検出結果に基づいて、アナログ回路210に電力を出力させるか否かを制御してよい。回路チップ200は、自動車等の車両に搭載される車載チップであってよい。ただし回路チップ200の用途はこれに限定されない。
回路チップ200は、電源電圧VDDから、論理回路100に印加する動作電圧を生成する電源回路を有してない。本例の論理回路100は、出力電圧をクランプすることで、スイッチング素子に印加される電圧を抑制する。これにより、例えば電源300と論理回路100の間に電源回路を配置せずに、電源電圧VDDを論理回路100に印加して論理回路100を駆動できる。このため、回路チップ200を小規模化できる。
図2は、論理回路100の構成例を示すブロック図である。本例の論理回路100は、スイッチ部130およびクランプ部120を備える。論理回路100は、高電位線101、出力線102、基準電位線103および電流抑制部110を更に備えてもよい。
基準電位線103には、所定の基準電位が印加される。本例の基準電位は接地電位である。高電位線101には、基準電位よりも高電位が印加される。本例の高電位線101には、電源電圧VDDが印加される。高電位線101は、図1に示した外部の電源300に接続されてよい。電源電圧VDDは、例えば10V以上である。出力線102は、論理回路100の出力信号OUTを出力する。
スイッチ部130は、入力信号INに応じてオン状態およびオフ状態が切り替わる1つ以上のスイッチング素子を有し、スイッチング素子の動作状態に応じた論理値を有する出力信号OUTを生成する。本例のスイッチ部130は、出力線102と、基準電位線103の間に配置されている。スイッチ部130は、入力信号INの論理値に応じて、出力信号OUTの論理値を生成する。本例のスイッチ部130は、出力信号OUTの論理値がL論理の場合に基準電位線103を選択し、出力信号OUTの論理値がH論理の場合に高電位線101を選択し、選択した電位線に応じた電圧を出力する。
クランプ部120は、出力信号OUTの論理値がH論理の場合の、出力信号OUTの電圧を、電源電圧VDDよりも低い電圧にクランプする。出力信号OUTの電圧は、基準電位を基準とした電圧である。クランプ部120は、出力信号OUTの論理値がH論理の場合の出力信号の電圧を、基準電位と高電位線の電位との間の電圧より低い電圧にクランプしてよい。基準電位と高電位線の電位との間の電圧とは、高電位線の電位から基準電位を差し引いた電位であってよく、高電位線の電位と基準電位との中間の電位であってもよい。クランプ部120は、出力信号OUTの論理値がH論理の場合の出力信号OUTの電圧を、出力信号OUTの電位と高電位線の電位との間の電圧より低い電圧にクランプしてもよい。出力信号OUTの電位と高電位線の電位との間の電圧とは、高電位線の電位から出力信号OUTの電位を差し引いた電位であってよく、高電位線の電位と出力信号OUTの電位との中間の電位であってもよい。クランプ部120によりクランプされた出力信号OUTのH論理の電圧は、電源電圧VDDの半分以下であってよい。本例のクランプ部120は、出力線102と基準電位線103との間において、スイッチ部130と並列に設けられている。
クランプ部120を設けることで、スイッチ部130が高電位線101を選択した場合でも、出力線102の電位を、電源電圧VDDより低い電位に抑制できる。このため、電源回路を用いずに、電源電圧VDDにより論理回路100を駆動できる。
電源電圧VDDで論理回路を駆動する他の方法として、論理回路に含まれるMOSトランジスタのゲート酸化膜を厚くすることが考えられる。しかし、同一の半導体基板に論理回路100以外の回路(例えばアナログ回路210)が設けられていると、当該回路のゲート酸化膜も厚くなってしまい、当該回路の特性が変化してしまう。論理回路100によれば、ゲート酸化膜を厚くせずとも、電源電圧VDDにより論理回路100を駆動できる。
出力信号OUTの論理値がH論理の場合、クランプ部120は、ダイオード等の素子を介して、出力線102と基準電位線103とを導通させる。電流抑制部110は、出力信号OUTの論理値がH論理の場合に、クランプ部120に流れる電流を抑制する。これにより、論理回路100の消費電力を低減できる。本例の電流抑制部110は、高電位線101と、クランプ部120(または出力線102)との間に設けられており、高電位線101からクランプ部120に流れる電流を抑制する。
また、スイッチ部130に貫通電流が流れる場合がある。例えば出力線102と基準電位線103との間に直列に設けられた複数のMOSトランジスタが、入力信号INの論理値が遷移するタイミングで同時にオン状態となると、スイッチ部130に大きな貫通電流が流れてしまう。電流抑制部110を設けることで、スイッチ部130の貫通電流も抑制できる。これにより、論理回路100の消費電力を低減できる。
図3は、スイッチ部130、クランプ部120および電流抑制部110の構成例を示す回路図である。本例のスイッチ部130は、インバータ回路である。スイッチ部130は、第1MOSトランジスタ131を有する。第1MOSトランジスタ131は、出力線102と、基準電位線103との間に配置され、第1の入力信号IN1がゲート端子Gに印加される。本例の第1MOSトランジスタ131は、NチャネルMOSトランジスタであり、ドレイン端子Dが出力線102に接続され、ソース端子Sが基準電位線103に接続されている。第1MOSトランジスタ131は、オン状態の場合に基準電位線103を選択し、オフ状態の場合に高電位線101を選択し、選択した電位線に応じた電位を出力信号OUTの電圧として出力する。
クランプ部120は、第1MOSトランジスタ131がオフ状態の場合の、出力線102における電圧をクランプする。本例のクランプ部120は、1つ以上のダイオードを有する。ダイオードは、ゲート端子とドレイン端子とが接続された、すなわちダイオード接続された、MOSトランジスタであってもよい。本例のクランプMOSトランジスタ122はダイオード接続されたNチャネルMOSトランジスタである。本例のクランプ部120は、出力線102と、基準電位線103との間に直列に接続された複数のクランプMOSトランジスタ122を有する。直列に接続したクランプMOSトランジスタ122の個数により、クランプ部120におけるクランプ電圧を調整できる。なお、それぞれのクランプMOSトランジスタ122の基板は、基準電位に接続されていてよい。
本例の電流抑制部110は、高電位線101から出力線102に流れる電流量を規定する電流源である。本例の電流抑制部110は、抑制MOSトランジスタ112と、電源114とを有する。本例の抑制MOSトランジスタ112は、ソース端子Sが高電位線101に接続され、ドレイン端子が出力線102に接続されたPチャネルMOSトランジスタである。電源114は、抑制MOSトランジスタ112のソース・ゲート間電圧を一定値に維持する。これにより、高電位線101から出力線102に流れる電流を、電源114の電圧に応じた一定電流に制御できる。電源114は、回路チップ200の外部に設けられていてもよい。電源114は、省略してもよい。この場合、抑制MOSトランジスタ112のソース端子Sとゲート端子Gとを接続してよい。
また、電流抑制部110は、高電位線101と出力線102との間に設けられた抵抗であってもよい。このような構成によっても、高電位線101から出力線102に流れる電流を抑制できる。なお、MOSトランジスタ等は、抵抗素子よりも半導体基板上の面積が小さいので、電流抑制部110が図3に示した構成を有することで回路規模を低減できる。また、電流抑制部110が図3に示した構成を有することで高電位線101から出力線102に流れる電流を精度よく制御できる。電流抑制部110は、図3に示した電流源の構成と、当該抵抗とを有していてもよい。
図4は、図3に示した論理回路100の動作例を示す図である。図4では、第1の入力信号IN1の論理値がH論理である。また、電源電圧VDDを14V、基準電位を0Vとする。
この場合、スイッチ部130の第1MOSトランジスタ131はオン状態となり、出力線102の電位は0Vとなる。また、クランプ部120の複数のクランプMOSトランジスタ122はオフ状態となる。高電位線101からスイッチ部130には、電流抑制部110により制限された電流が流れる。
図5は、図3に示した論理回路100の動作例を示す図である。図5では、第1の入力信号IN1の論理値がL論理である。この場合、スイッチ部130の第1MOSトランジスタ131はオフ状態となり、出力線102には、電源電圧VDDに応じた電圧が印加される。ただし、出力線102の電圧は、クランプ部120により所定のクランプ電圧(本例では5V)にクランプされる。
高電位線101からクランプ部120には、電流抑制部110により制限された電流が流れる。クランプMOSトランジスタ122はダイオード接続しているので、それぞれのクランプMOSトランジスタ122のソースドレイン間電圧は、クランプMOSトランジスタ122の閾値電圧Vthに、オーバードライブ電圧Vovを加算した電圧となる。オーバードライブ電圧Vovは、ゲートソース間電圧Vgsから、閾値電圧Vthを減算した電圧である。
例えば閾値電圧Vthが1V、オーバードライブ電圧Vovが1.5Vの場合、2つのクランプMOSトランジスタ122を直列に接続することで、5Vのクランプ電圧が得られる。このように、クランプ部120を設けることで、電源電圧VDDの大きさによらず、出力信号OUTの電圧を所定電圧に制御できる。
なお、抑制MOSトランジスタ112は、クランプMOSトランジスタ122よりも耐圧が高いことが好ましい。クランプ部120におけるクランプ電圧が、電源電圧VDDの半分より小さい場合、抑制MOSトランジスタ112のソースドレイン間には、クランプMOSトランジスタ122のソースドレイン間よりも大きな電圧が印加される。このため、抑制MOSトランジスタのソースドレイン間の耐圧は、クランプMOSトランジスタ122のソースドレイン間の耐圧よりも高いことが好ましい。当該耐圧とは、ゲートがオフ状態の場合に、ソースドレイン間が導通してしまうソースドレイン間電圧を指す。MOSトランジスタの耐圧は、ソース領域およびドレイン領域間の距離、または、各領域の不純物濃度等で調整できる。
図6は、スイッチ部130の他の例を示す図である。本例のスイッチ部130は、NAND回路である。スイッチ部130以外の構成は、図3に示した構成と同一である。本例のスイッチ部130は、第2MOSトランジスタ132および第3MOSトランジスタ133を有する。
第2MOSトランジスタ132は、出力線102と、基準電位線103との間に配置され、第2の入力信号IN2がゲート端子Gに印加される。第3MOSトランジスタ133は、第2MOSトランジスタ132と、基準電位線103との間に配置され、第2MOSトランジスタ132と直列に接続され、第3の入力信号IN3がゲート端子Gに印加される。本例の第2MOSトランジスタ132および第3MOSトランジスタ133は、NチャネルMOSトランジスタである。本例では、第2MOSトランジスタ132のドレイン端子Dは出力線102に接続される。第2MOSトランジスタ132のソース端子Sは、第3MOSトランジスタ133のドレイン端子Dに接続される。第3MOSトランジスタ133のソース端子Sは基準電位線103に接続される。
本例では、第2MOSトランジスタ132および第3MOSトランジスタ133の両方がオン状態の場合、出力線102の電位は基準電位となる。また、第2MOSトランジスタ132および第3MOSトランジスタ133の少なくとも一方がオフ状態の場合、スイッチ部130は高電位線101を選択する。クランプ部120は、第2MOSトランジスタ132および第3MOSトランジスタ133の少なくとも一方がオフ状態の場合の、出力線102における電圧をクランプする。
図7は、スイッチ部130の他の例を示す図である。本例のスイッチ部130は、NOR回路である。スイッチ部130以外の構成は、図3に示した構成と同一である。本例のスイッチ部130は、第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135を有する。
第4MOSトランジスタ134は、出力線102と、基準電位線103との間に配置され、第4の入力信号IN4がゲート端子Gに印加される。第5MOSトランジスタ135は、出力線102と、基準電位線103との間に配置され、第5の入力信号IN5がゲート端子Gに印加される。第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135は、出力線102と基準電位線103との間において、互いに並列に配置されている。本例の第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135は、NチャネルMOSトランジスタである。本例では、第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135のドレイン端子Dは出力線102に接続される。第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135のソース端子Sは基準電位線103に接続される。
本例では、第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135の少なくとも一方がオン状態の場合、出力線102の電位は基準電位となる。また、第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135の両方がオフ状態の場合、出力線102の電位は電源電圧VDDに応じた電位となる。クランプ部120は、第4MOSトランジスタ134および第5MOSトランジスタ135の両方がオフ状態の場合の、出力線102における電圧をクランプする。なお、論理回路100は、図3に示したインバータ回路、図6に示したNAND回路、および、図7に示したNOR回路を、適宜組み合わせた回路であってよい。
図8は、クランプ部120の他の構成例を示す図である。本例のクランプ部120は、ツェナーダイオード124と、順方向ダイオード125とを含む。ツェナーダイオード124は、カソードが出力線102側に配置されている。順方向ダイオード125は、カソードが基準電位線103側に配置されている。本例では、ツェナーダイオード124のカソードが出力線102に接続され、アノードが順方向ダイオード125のアノードに接続されている。順方向ダイオード125のカソードは、基準電位線103に接続されている。クランプ部120は、複数のツェナーダイオード124を備えてよい。クランプ部120は、複数の順方向ダイオード125を備えてよい。
ツェナーダイオード124による、出力線102と基準電位線103の間の電圧降下は、順方向ダイオード125による、当該電圧降下よりも大きくてよい。本例によれば、ツェナーダイオード124による電圧降下を用いてクランプ電圧を粗く調整し、順方向ダイオード125による電圧降下を用いてクランプ電圧を精密に調整できる。
図9は、クランプ部120の他の構成例を示す図である。本例のクランプ部120は、出力線102と基準電位線103との間に配置された抵抗126を有する。本例では、電流抑制部110は、図3に示したような電流源である。出力信号OUTがH論理の場合、クランプ部120には、電流抑制部110により規定された電流が流れる。このため、出力線102の電位は、当該電流と、抵抗126の抵抗値により定まる。このような構成によっても、出力線102の電位をクランプできる。抵抗126の抵抗値は、抑制MOSトランジスタ112のオン抵抗の10倍以上であってよく、100倍以上であってよく、1000倍以上であってもよい。
クランプ部120は、ツェナーダイオード124、順方向ダイオード125および抵抗126を組み合わせた構成を有してよい。クランプ部120は、ツェナーダイオード124と抵抗126を有してよく、複数の順方向ダイオード125と抵抗126を有してよく、ツェナーダイオード124、順方向ダイオード125および抵抗126を有してもよい。
図10は、論理回路100の他の構成例を示す図である。本例の論理回路100は、出力線102を複数備える。図10に示す論理回路100は、出力線102−1と、出力線102−2とを備える。本例においては、クランプ部120が、それぞれの出力線102に対して設けられている。図10に示す論理回路100は、出力線102−1と基準電位線103との間にクランプ部120−1が設けられ、出力線102−2と基準電位線103との間にクランプ部120−2が設けられている。
それぞれの出力線102と、基準電位線103との間には、スイッチ部130が設けられてよい。図10に示す論理回路100は、出力線102−1と基準電位線103との間にスイッチ部130−1が設けられ、出力線102−2と基準電位線103との間にスイッチ部130−2が設けられている。
それぞれの出力線102と、高電位線101との間には、電流抑制部110が設けられてよい。図10に示す論理回路100は、出力線102−1と高電位線101との間に電流抑制部110−1が設けられ、出力線102−2と基準電位線103との間に電流抑制部110−2が設けられている。
それぞれのクランプ部120、スイッチ部130および電流抑制部110は、図1から図9において説明したいずれかの構成を有してよい。本例の論理回路100は、図7に示したNOR回路を2つ備える。XOR回路は、高電位線101と基準電位線103との間において、並列に設けられている。本例の論理回路100は、セット信号Setおよびリセット信号Rstに応じて、出力信号Qおよび出力信号/Qを出力するセットリセットフリップフロップ回路である。
本例のスイッチ部130−1の第5MOSトランジスタ135のゲート端子Gには、セット信号Setが入力され、スイッチ部130−2の第5MOSトランジスタ135のゲート端子Gには、リセット信号Rstが入力される。
スイッチ部130−1の第4MOSトランジスタ134のゲート端子Gは、出力線102−2に接続されている。また、スイッチ部130−2の第4MOSトランジスタ134のゲート端子Gは、出力線102−1に接続されている。他の構造は、図7に示した論理回路100と同様である。
本例では、セット信号SetとしてH論理が入力された場合に、出力信号QがL論理に遷移し、出力信号/QがH論理に遷移する。この場合、クランプ部120−2が、出力信号/Qの電圧をクランプする。また、リセット信号RstとしてH論理が入力された場合に、出力信号QがH論理に遷移し、出力信号/QがL論理に遷移する。この場合、クランプ部120−1が、出力信号Qの電圧をクランプする。本例によれば、それぞれの出力線102に対してクランプ部120を設けることで、それぞれのスイッチ部130を、電源電圧VDDを用いて駆動できる。
図11は、回路チップ200の構成例を示す図である。本例の回路チップ200は、論理回路100、出力トランジスタ250、引抜トランジスタ240、信号出力部220およびセンサ230を備える。出力トランジスタ250、引抜トランジスタ240、信号出力部220およびセンサ230は、アナログ回路210の一部である。
出力トランジスタ250は、負荷400に電力を供給するか否かを切り替える。出力トランジスタ250は、例えばIGBTまたはパワーMOSFETである。信号出力部220は、出力トランジスタ250を制御する。信号出力部220は、出力トランジスタ250のゲート端子にアナログ信号を入力する増幅器であってよい。
引抜トランジスタ240は、出力トランジスタ250のゲート端子を、接地電位に接続するか否かを切り替える。出力トランジスタ250のゲート端子を接地電位に接続することで、ゲート端子から電荷を引き抜いて、出力トランジスタ250を強制的にオフ状態にできる。
センサ230は、負荷400または回路チップ200の状態を監視する。例えばセンサ230は、負荷400等における過電流または過熱等の異常発生を監視する。センサ230は、負荷400等に異常が発生した場合に、その旨を論理回路100に通知する。論理回路100は、センサ230において異常発生を検知した場合に、引抜トランジスタ240をオン状態に制御して、出力トランジスタ250をオフ状態にする。
論理回路100は、図1から図10において説明したいずれかの態様を含んでよい。一例として論理回路100は、図10に示したSRフリップフロップである。論理回路100は、例えばセット信号SetがH論理になった場合(つまり異常検知した場合)に、リセット信号RstとしてH論理が入力されるまで、引抜トランジスタ240をオン状態に維持する。
本例の論理回路100は、出力線102毎にクランプ部120を設けている。このため、出力線102の数が多いと、クランプ部120の個数も多くなってしまう。論理回路100は、出力線102の数が、5本以下であってよく、2本以下であってもよい。これにより、電源電圧VDDから動作電圧を生成する電源回路を設けるよりも、クランプ部120を設けたほうが、回路チップ200を小型化しやすくなる。
引抜トランジスタ240のゲート酸化膜の耐圧は、電源電圧VDDよりも低くてよい。本例によれば、論理回路100の出力電圧を、電源電圧VDDよりも低くできるので、耐圧の小さい引抜トランジスタ240を用いることができる。
図1等に示したように、アナログ回路210と同一チップに設けられた論理回路は、出力線102の数が少ない場合が多い。このため、論理回路100の効果がより顕著になる。特に、アナログ回路210が回路面積の大部分を占めており、付随的に論理回路100が配置されている場合、出力線102の数が少ない場合が多い。より具体的な例としては、図11に示したように、アナログ回路210に含まれるトランジスタ等のスイッチング素子を制御する回路として、図1から図10において説明した論理回路100を用いることで、回路規模を低減しやすくなる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。