JP2021082583A - 電線 - Google Patents

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伊藤 寿浩
Hisahiro Ito
寿浩 伊藤
誠一 高松
Seiichi Takamatsu
誠一 高松
道貴 山本
Michitaka Yamamoto
道貴 山本
真司 奥田
Shinji Okuda
真司 奥田
英輝 森内
Hideki Moriuchi
英輝 森内
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Tomoegawa Co Ltd
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University of Tokyo NUC
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Abstract

【課題】 十分に変形できるとともに、耐久性を有する電線を提供する。【解決手段】 変形可能で導電性を有する導電体と、可撓性を有する第1の可撓体と、可撓性を有し、前記第1の可撓体との間に界面を形成し、前記界面を介して前記第1の可撓体と接合する第2の可撓体であって、前記導電体の少なくとも一部を保持する第2の可撓体と、を備え、前記界面が湾曲した形状を有する。【選択図】 図1

Description

容易に変形できる電線に関する。
フレキシブル電線は、ロボットなどの可動部を有する各種の装置の配線に用いられている。
国際第2008/078780号公報 特開2009−266401号公報 特開2014−229568号公報
前述したように、フレキシブル電線は、可動部を有する各種の装置の配線に用いられる。このため、可動部の様々な動きとともに、フレキシブル電線も変形できる必要がある。可動部の動きは、繰り返される場合が多く、フレキシブル電線も繰り返し変形できる必要がある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、十分に変形できるとともに、耐久性を有する電線を提供することにある。
本発明による電線の特徴は、
変形可能で導電性を有する導電体と、
可撓性を有し、前記導電体の少なくとも一部を保持する第1の可撓体と、
可撓性を有し、前記第1の可撓体との間に界面を形成し、前記界面を介して前記第1の可撓体と接合する第2の可撓体と、を備え、
前記界面が湾曲した形状を有する。
十分に変形できるとともに、耐久性を有する。
第1の実施の形態による電線10の積層構造を示す斜視図である。 第1の実施の形態による電線10の自然状態での積層構造を示す断面図である。 第1の実施の形態による電線10の伸張状態での積層構造を示す断面図である。 第1の実施の形態による電線10の他の部分の積層構造を示す断面図である。 第2の実施の形態による電線20の積層構造を示す断面図である。 第3の実施の形態による電線30の積層構造を示す斜視図である。 第4の実施の形態による電線40の積層構造を示す斜視図である。
<<<<第1の実施の形態の概要>>>>
<<第1の実施の態様>>
第1の実施の態様によれば、
変形可能で導電性を有する導電体(例えば、後述する導電体400など)と、
可撓性を有する第1の可撓体(例えば、後述する第1の可撓体100など)と、
可撓性を有し、前記第1の可撓体との間に界面(例えば、後述する界面500など)を形成し、前記界面を介して前記第1の可撓体と接合する第2の可撓体であって、前記導電体の少なくとも一部を保持する第2の可撓体(例えば、後述する第2の可撓体200など)と、を備え、
前記界面が湾曲した形状を有する電線が提供される。
第1の実施の態様による電線は、導電体と、第1の可撓体と、第2の可撓体と、を備える。
導電体は、変形可能で導電性を有する。具体的には、導電体は、変形する前や、変形している過程(途中)や、変形した後のいずれの状態でも電気的接続を維持する。導電体は、各種の信号や電力などを伝達することができる。
導電体は、本発明の電線が変形する前の自然状態(元の状態)で、予め湾曲したり屈曲したりして収縮しているものが好ましい。導電体は、変形に伴って、湾曲状態や屈曲状態が徐々に解放されて伸びていくものが好ましい。導電体は、湾曲状態や屈曲状態が解放されるにしたがって、直線や平面に近づいていくものが好ましい。また、自然状態(元の状態)に戻るときには、導電体は、湾曲したり屈曲したりする状態に戻る。このように、導電体は、収縮状態と伸長状態とを繰り返し遷移できる伸縮性を有する。変形する前の自然状態の湾曲や屈曲の程度(密度など)によって、変形の伸縮の程度が定まる。
第1の可撓体は、可撓性を有する。第1の可撓体は、撓んだり弾性変形したりすることができる。
第2の可撓体は、可撓性を有する。第2の可撓体は、撓んだり弾性変形したりすることができる。第2の可撓体は、第1の可撓体との間に界面を形成する。第2の可撓体は、界面を介して第1の可撓体と接合する。第2の可撓体は、第1の可撓体と接合しており、第1の可撓体と第2の可撓体とは、ともに変形する。すなわち、第1の可撓体及び第2の可撓体は、ともに撓んだり弾性変形したりすることができる。
第2の可撓体は、導電体の少なくとも一部を保持する。第1の可撓体や第2の可撓体が撓んだり弾性変形したりすると、導電体は、第2の可撓体によって案内され、第2の可撓体の撓みや弾性変形とともに変形する。第2の可撓体が伸びる変形をしたときには、導電体も伸びる変形をして、収縮状態から伸長状態へ変化する。第2の可撓体が縮む変形をしたときには、導電体も縮む変形をして、伸長状態から収縮状態へ変化する。
第1の可撓体及び第2の可撓体との間の界面は、湾曲した形状を有する。例えば、界面の断面の形状が、湾曲している。界面の湾曲した形状は、導電体の形状や導電体からの距離などに応じて形成される。例えば、導電体が湾曲しており、導電体の曲がり具合がなだらかな場合には(曲率が小)、界面の曲がり具合もなだらかになり、導電体の曲がり具合が険しい場合には(曲率が大)、界面の曲がり具合も険しくなる。また、第1の可撓体及び第2の可撓体が変形する場合には、導電体も変形して、界面も変形する。
外力が加えられて電線が変形すると、第1の可撓体及び第2の可撓体が変形する。第1の可撓体及び第2の可撓体が変形することにより、界面において剪断応力などの応力が変形方向に沿って生ずる場合がある。界面に応力が生じた場合であっても、界面の形状を湾曲させた形状とすることにより、界面に生じた応力を界面方向成分と異なる方向成分に分散させることができる。応力の界面方向成分を小さくすることで、第1の可撓体と第2の可撓体とが界面で剥離しにくくでき、第1の可撓体及び第2の可撓体の接合状態を維持することができる。このようにして、第1の可撓体と第2の可撓体と導電体とをともに十分に変形することができ、電線の耐久性を高めることができる。
導電体は、変形可能な板状、膜状、シート状、箔状などの形状を有するのが好ましい。導電体は、平坦な形状であっても湾曲した形状や屈曲した形状を有してもよい。導電体は、第1の平面と、第1の平面の反対側に位置する第2の平面とを有すことが好ましい。第2の可撓体は、導電体の第1の平面の少なくとも一部と接触することで、導電体を保持する。
<<第2の実施の態様>>
第2の実施の態様は、第1の実施の態様において、
前記界面は、前記導電体から離れる方向(例えば、後述する積層方向など)に変位する第1変位部(例えば、後述する溝部520など)と、前記導電体に近づく方向に変位する第2変位部(例えば、後述する突条部510など)と、を有する。
<<第3の実施の態様>>
第3の実施の態様は、第1の実施の態様又は第2の実施の態様において、
前記導電体は、前記界面から離れる方向に変位する第1湾曲部(例えば、後述する突条部410など)と、前記界面に近づく方向に変位する第2湾曲部(例えば、後述する溝部420など)と、を有する。
<<第4の実施の態様>>
第4の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第3の実施の態様において、
前記界面と前記導電体とが互いに近づく接近領域(例えば、後述する近接領域CRなど)と、前記界面と前記導電体とが互いに離れる離隔領域(例えば、後述する離隔領域DRなど)と、をさらに備える。
<<第5の実施の態様>>
第5の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第4の実施の態様において、
前記界面が、波板状を有し、前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体の伸縮方向(例えば、後述する波長方向など)に延在する。
第1の可撓体及び第2の可撓体の変形の過程において、第1の可撓体及び第2の可撓体は、接合状態を維持して伸縮することができる。
<<第6の実施の態様>>
第6の実施の態様は、第5の実施の態様において、
前記界面の前記伸縮方向に沿った断面形状が、蛇行状を有する。
第1の可撓体及び第2の可撓体の変形の過程において、第1の可撓体及び第2の可撓体は、接合状態を維持することができる。
<<第7の実施の態様>>
第7の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第6の実施の態様において、
前記導電体、前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体は長尺であり、
前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体は、前記導電体の長手方向(例えば、後述する波長方向など)に沿って伸縮可能である。
長尺な電線である場合においても、十分に伸縮することができる。
<<第8の実施の態様>>
第8の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第7の実施の態様において、
前記導電体は、金属繊維体を含む導電構造体を有する。
導電体の伸縮変形などの変形を容易にすることができる。また、導電体が金属繊維体であることによって、第2の可撓体等との密着性を向上させやすい。
<<第9の実施の態様>>
第9の実施の態様は、第1の実施の態様ないし第8の実施の態様において、
前記第2の可撓体と接合する第3の可撓体であって、前記第2の可撓体を前記第1の可撓体とともに挟む第3の可撓体(例えば、後述する第3の可撓体300など)を、さらに備え、
前記第1の可撓体、前記第2の可撓体及び前記第3の可撓体によって、前記導電体を被覆する被覆体を構成する。
第1の可撓体、第2の可撓体及び第3の可撓体によって被覆体を構成することで、電線としての絶縁性と耐久性を高めることができる。
<<<<第1の実施の形態の詳細>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態による伸縮電線10の積層構造を示す斜視図である。図2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の自然状態での積層構造を示す断面図である。図3は、第1の実施の形態による伸縮電線10の伸張状態での積層構造を示す断面図である。
<<<<伸縮電線10>>>>
第1の実施の形態による伸縮電線10は、第1の可撓体100と第2の可撓体200と第3の可撓体300と導電体400とを備える。図1に示すように、第1の可撓体100と第2の可撓体200と第3の可撓体300とは、積層されて積層体LCを構成する。導電体400は、積層体LCに埋め込まれている。なお、導電体400のうち、電極などの電気的接続体と接続される部分などは、積層体LCから露出することができる(図示せず)。
<<導電体400>>
導電体400は、各種の電気信号を伝える導線(電線)として機能する。電気信号は、制御信号や駆動信号などがある。電気信号は、直流でも交流でもパルス信号でも所望する波形の信号にすることができる。
導電体400は通電可能であり、前述したように、各種の電気信号を伝えることができる。また、導電体400は、電気抵抗を有する導線であり、導電体400に電流が流れるとジュール熱が生ずる。導電体400の電気抵抗が小さい場合には、発熱し難い導電体となり、導電体400の電気抵抗が大きい場合には、発熱し易い導電体となる。導電体400として電気抵抗が小さい導電体を用いることで、伸縮電線10を電気信号を伝える信号ケーブルとして使用することができる。一方、導電体400として電気抵抗が大きい導電体を用いることで、伸縮電線10を発熱体(ヒータ)として用いることができる。このように、導電体400は、導電性を有するだけでなく、発熱性を有するものを適宜に用いることができる。
<導電体400の形態>
導電体400は、平板状、薄板状、箔状の形状を有し、可撓性を有する導電性素材から構成される。導電体400は、電気的接続を維持しつつ変形可能な導電性素材から構成されればよい。特に、導電体400は、電気的接続を維持しつつ変形容易な導電性素材から構成されるのが好ましい。導電体400の変形は、塑性変形でも弾性変形でもよく、電気的接続を維持しつつ変形するものであればよい。電気的接続は、変形する前の変形前の状態、変形が進行している変形過程状態、変形した後の変形後の状態のいずれの状態でも、途切れることなく形成されている。
さらに、導電体400は、電気的接続を維持しつつ伸縮変形など繰り返し変形できる導電性素材から構成されるのが好ましい。例えば、導電体400は、金属繊維から構成されることができる。金属繊維の詳細については、後述する。導電体400の厚さは、電気的接続を維持しつつ変形可能であれば、いかなるものでもよい。
さらにまた、前述したように、電流(各種の電気信号)を流したときに発熱し易い導体を導電体400に用いることができる。導電体400は、薄板状、箔状、金属繊維シート等、可撓性を有するものであれば限定されない。導電体400として、金属繊維シートを用いる場合には、導電体400と、可撓体200や可撓体300との密着性を良好にして、伸縮電線10を柔軟なヒーター(電線)とすることができる。
導電体400は、長尺な形状を有することもできる。導電体400を、いわゆるシールドケーブルなどの導電線として機能させることができる。導電体400をシールドケーブルなどに用いる場合には、導電体400は、内部導体に使用しても外部導体に使用してもよい。
図1などに示すように、導電体400は、予め湾曲した形状や屈曲した形状を有する。予めとは、伸縮電線10が、伸張や湾曲など変形していない自然な状態や初期状態をいう。導電体400は、周期的に湾曲したり屈曲したりしている形状を有する。例えば、導電体400は、コルゲート状の形状や蛇腹状の形状を予め有する。コルゲート状とは、断面形状が波状に形成された形状である。蛇腹状は、山折り部分と谷折り部分とが繰り返し形成された構造を有する。
導電体400の形状は、コルゲート状の形状や蛇腹状の形状に限られない。導電体400は、突条部410と溝部420とが隣り合って繰り返す形状を有するものであればよい。突条部410は、突出した筋状の形状や、畦状の形状などの形状を有し、断面が凸状の形状を有する。溝部420は、断面が凹状の形状を有する。例えば、突条部410は、断面が逆U字状や逆V字状や逆馬蹄形状や逆Ω状の形状を有する。溝部420は、断面がU字状やV字状や馬蹄形状やΩ状の形状を有する。逆Ω状やΩ状は、中心角が180度より大きい円弧や楕円弧など湾曲線をいう。
特に、突条部410の断面形状を逆馬蹄形状や逆Ω状にし、溝部420の断面形状を馬蹄形状やΩ状にすることにより(図2〜図4参照)、隣り合う突条部410や隣り合う溝部420が互いに近づく近接領域CP(図2参照)を形成することができる。近接領域CPを形成することにより、導電体400の波長方向(後述)に伸張できる長さを増やすことができる。すなわち、導電体400が伸張できる余裕を持たせることで、導電体400の伸張度を高めることができ、伸縮電線10をより長く伸ばすことが可能となる。また、伸縮に対する耐久性にも優れる。
突条部410及び溝部420の繰り返しの波長(周期)は、一定でも不規則でも徐々に変化するものでもよい。波長は、隣り合う2つの突条部410の頂点を結ぶ長さや、隣り合う2つの溝部420の底部を結ぶ長さなどにすることができる。突条部410及び溝部420の振幅も、一定でも不規則でも徐々に変化するものでもよい。振幅は、隣り合う突条部410の頂点と溝部420の底部との差などにすることができる。
溝部420は、後述する界面500に近づく方向に変位する領域である。突条部410は、界面500から離れる方向に変位する領域である。
<波長方向(主として伸縮可能な方向)>
突条部410及び溝部420が繰り返される方向(図1に示す矢印WL)を、波長方向と称する。導電体400は、突条部410及び溝部420が繰り返される方向に沿って伸縮することができ、波長方向は、伸縮方向と称することもできる。導電体400は、波長方向に沿って、突条部410及び溝部420が繰り返し形成され、うねった形状を有する。
<波面方向>
突条部410及び溝部420の同じ位相(同じ高さや同じ深さ)を結んで形成される方向(図1に示す矢印WS)を、波面方向と称する。突条部410及び溝部420は、波面方向に沿って、長尺な形状を有するのが好ましい。長尺な形状にすることで、各種のケーブルなどの一般的な形状に合わせることができる。
<積層方向(厚さ方向)>
後述するように、伸縮電線10は、第1の可撓体100と第2の可撓体200と第3の可撓体300と導電体400とが重ねられて構成されている。重ねられた方向(図1に示す矢印ML)を積層方向と称する。また、積層方向は、伸縮電線10の厚さの方向であるので、厚さ方向とも称することができる。
<導電体400の材料>
導電体400の材料は、必要とされる抵抗率や、耐電圧、耐電流などの各種の電気的特性に応じて、適宜に定めればよい。導電体400としては、変形可能で導電性を有する材料とすればよく、従来公知の電線、金属箔等を使用可能であるが、導電体400は、金属繊維体を含む導電構造体を有することが好ましい。
以下、金属繊維体を含む導電構造体を有する導電体400について詳述する。金属繊維体は、以下に示す態様であってもよいし、導電体の一部に金属繊維体が用いられる態様であってもよい。
導電体400は、単独組成の金属繊維で構成されていてもよく、2種類以上の金属繊維を併用して構成されていてもよい。または、有機物繊維の周りを金属で被覆された金属被覆繊維あるいは金属被覆繊維を含有する構造体で構成されていてもよい。
金属被覆繊維は、金属被覆された有機物繊維を抄紙してから繊維間を融着しても良く、有機物繊維を抄紙してから金属被覆しても良い。
本発明において「金属繊維」とは、金属を主成分とする繊維を意味する。例えば「銅繊維」とは、銅を主成分とする繊維を意味する。銅を主成分とするとは、不可避的不純物を含め、本発明の効果を妨げない限り、その他の成分を一定量含んでいてもよい状態を意味する。
金属繊維を構成する金属成分としては、銅、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケル、及びクロム等が挙げられるが特に制限されない。前記金属成分は、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウム等の貴金属であってもよい。これらの中でも金属繊維を構成する金属成分としては、銅、ステンレス、及びアルミニウムが好ましい。特に、銅繊維は、剛直性と塑性変形性とのバランスに優れるため好ましい。
伸縮電線10を発熱体(ヒータ)として用いる場合には、導電体400は、ステンレス繊維、ニクロムが好ましい。
金属以外の成分としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル樹脂、アラミド樹脂、ナイロン、及びアクリル樹脂、並びにこれらの繊維状物等の結着性、及び担持性を有する有機物等が挙げられる。これらの有機物は、例えば導電体400を作製する時の形態維持性、及び機能性を補助・向上させるため等に用いることができる。
導電体400をなす金属繊維は部分的に結着されている。金属繊維が結着されているとは、金属繊維同士が物理的に固定され、結着部を形成していることを意味する。導電体400は、金属繊維同士が結着部で直接的に固定されていてもよいし、金属繊維の一部同士が、上記金属成分以外の成分を介して間接的に固定されていてもよい。
例えば、金属繊維が焼結されて結着していると、導電体400の熱伝導性、及び均質性が安定し、ひいては優れた屈曲性及び耐断線性を得やすい。
複数の金属繊維が結着されていると、金属繊維間に空隙が形成され得る。導電体400が結着による複数の固定部と、当該空隙を備えることにより、導電体400をなす金属繊維が変形し、これにより伸縮電線10自体が変形、収縮、または伸長でき、優れた屈曲性を得ることができる。
伸縮電線10を発熱体(ヒータ)として用いる場合には、例えば、伸ばした状態でパイプ等の被加温体に密着させると締め付け効果が得られ、ヒータと被加温体との間の隙間が発生しづらく、加熱効率が高い。
導電体400の空隙率は、30%以上であることが好ましい。
導電体400の空隙率が30%以上であれば、導電体400自体の形状を容易に維持でき、その内部に樹脂材料の充填に必要な適度な空隙を有する。
導電体400のシート抵抗率は伸縮電線10の通電条件によって設計されるものであり、限定されないが、100mΩ/□以下であることが好ましく、より好ましくは50mΩ/□以下、さらに好ましくは30mΩ/□以下、そして最も好ましくは10mΩ/□以下である。導電構造体のシート抵抗率が100mΩ/□以下であれば、伸縮電線10に通電した際の発熱を抑え易い。
伸縮電線10をヒーターとして用いる場合は、ステンレス等の抵抗値範囲が好ましい。通電により発熱させる必要があるため、抵抗値は1μΩ/cm以上が好ましい。抵抗値は、より好ましくは50μΩ/cm以上、さらに好ましくは80μΩ/cm以上である。
導電体400の構造は、帯状であることが好ましい。例えば、帯状の導電体400は、金属繊維がランダムに結着している不織布であってもよく、規則性を有する織布、又はメッシュ材であってもよい。
また、導電体400の表面は、平らであってもよく、コルゲート加工等が施され、凹凸を有していてもよく、特に制限されない。
また、導電体400の鉛直方向の厚みは、0.005mm〜10mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下、そして最も好ましくは0.5mm以下である。導電体400の厚みが0.005mm以上であれば、伸縮電線10が変形した場合であっても断線し難い。導電体400の厚みが10mm以下であれば、優れた屈曲性を得やすい。
導電体400の厚みは、後述するプレス工程で適宜調整することができる。
導電体400の坪量は、10g/m〜1,000g/mの範囲であることが好ましい。導電体400の坪量が10g/m以上であれば、所定の厚さを得ることができ、断線し難い。導電体400の坪量が1,000g/m以下であれば、導電体400を軽量化しやすくなり、ひいては伸縮電線10を軽量化しやすい。
金属繊維の平均繊維径は、本発明の効果を損なわない範囲で任意に設定することができる。金属繊維の平均繊維径は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜50μmであることがより好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましい。金属繊維の平均繊維径が0.1μm以上であれば、適度な導電金属繊維の剛直性が得られるため、導電体400を製造する際に所謂ダマが生じ難い。ダマが生じないと、導電体400の均質性が安定し易い。これにより優れた屈曲性及び耐断線性を得やすい。金属繊維の平均繊維径が30μm以下であれば、適度な金属繊維の剛直性が得られるため、繊維の絡まりが発生し難い。
金属繊維の長手方向に垂直な断面の形状は、任意の形状とすることができる。かかる断面の形状は、例えば、円形、楕円形、略四角形、及び不定形等のいずれの形状であってもよい。
金属繊維の平均繊維長は、本発明の効果を損なわない範囲で任意に設定することができる。金属繊維の平均繊維長は、0.1mm〜10mmの範囲であることが好ましく、0.3mm〜5mmの範囲であることがより好ましく、0.5〜3mmであることがさらに好ましい。金属繊維の平均繊維長が0.1mm〜10mmの範囲であれば、導電体400を抄造により得る場合であっても、均質性が安定しやすい。
金属繊維のアスペクト比は、10〜10,000であることが好ましい。アスペクト比が10以上であれば、金属繊維同士を部分的に結着し易く、伸縮電線10の適度な強度を保つことができる。一方、アスペクト比が10,000以下であれば、導電体400の優れた均質性を得やすく、ひいては優れた屈曲性を得易い。
導電体400の占積率は、70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。占積率が70%以下であれば、導電体400の柔軟性を維持でき、また樹脂材料を均一に充填できる。
導電体400の1cm当たりのJIS Z8101に規定する坪量の変動係数(CV値)は、10%以下であることが好ましい。坪量は、単位体積当たりの重量を示す指標であるから、坪量の変動係数が一定の値以下であることは、導電体400の占積率についても安定した値であるといえる。すなわち、導電体400の坪量の変動係数が10%以下であれば、導電体400に極端なサイズのダマ、及び空隙が存在しにくく、導電体400の均質性が優れ、伸縮電線10の優れた屈曲性及び耐断線性を得やすい。
<<第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300>>
図1に示すように、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の順に積層されて一体化されている。第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の積層によって積層体LCが構成される。
第1の可撓体100は、大きく弾性変形できる弾性係数(弾性率)を有する。さらに、第1の可撓体100は、第2の可撓体との接合性が高いものが好ましい。例えば、第1の可撓体100は、液状状態の第2の可撓体との濡れ性や親和性が高いものが好ましい。第2の可撓体200は、固化後のゴム硬度が低く圧縮性に優れた弾性係数(弾性率)を有するものが好ましい。第2の可撓体200は、第1の可撓体100との接合性が高いとともに、導電体400との接合性が高いものが好ましい。第3の可撓体300は、大きく弾性変形できる弾性係数(弾性率)を有する。さらに、第3の可撓体300は、導電体400との接合性が高いものが好ましい。伸縮電線10は、弾性変形したり撓んだりする。伸縮電線10の弾性変形や撓みの程度や傾向に応じて、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の引張弾性率、剪断弾性率、体積弾性率などの各種の弾性係数(弾性率)を適宜に定めればよい。伸縮電線10の製造過程については、後で詳述する。
第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300は、可撓性や弾性を有する。伸縮電線10の全体が、弾性変形したり撓んだりすることができる。伸縮電線10の全体が、弾性変形できるので、伸縮変形することができる。また、伸縮電線10の全体が、撓むことができるので、全体的に撓ったり曲がったりすることができる。
第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300は、非導電性(誘電性、絶縁性)を有する。導電体400は、第2の可撓体200と第3の可撓体300とによって挟まれた状態となって保持されてもよい。図1及び図2に示す例では、導電体400は、第2の可撓体200と第3の可撓体300とに挟まれて、第2の可撓体200及び第3の可撓体300によって保持される。導電体400は、第2の可撓体200及び第3の可撓体300の双方によって保持される必要はなく、第2の可撓体200及び第3の可撓体300のいずれか一方によって保持されればよい。
導電体400は、第2の可撓体200と第3の可撓体300とによって挟まれるだけでなく、導電体400の一部が、第1の可撓体100によって挟まれてもよい。例えば、図3に示す例では、導電体400は、第1の可撓体200(一部分)及び第2の可撓体200(残りの部分)と、第3の可撓体300とによって挟まれて保持される。なお、導電体400は、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300によって構成される積層体LCによって覆われ、電極などに導かれる部分を除いて、導電体400が露出することなく、伸縮電線10の絶縁性を担保することができる。
伸縮電線10は、波長方向と平行に形成された4つの外面TS、BS、LS、RS(図1参照)を有する。外面TSは、第3の可撓体300によって構成される。外面BSは、第1の可撓体100によって構成される。外面RS及びLSは、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300によって構成される。これにより、導電体400は、波長方向と平行に形成された4つの外面TS、BS、LS、RSから露出することがなく、4つの外面TS、BS、LS、RSは、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300によって覆われて絶縁される。なお、配線や導通の関係などによっては、外面RSや外面LSに、電極などに導かれる部分を露出させてもよい。
<第1の可撓体100の形態>
第1の可撓体100は、製造工程における下層として機能する。第1の可撓体100は、自然状態で直方体状や四角柱状の形状を有してもよい。
<第2の可撓体200の形態>
第2の可撓体200は、製造工程においては、溶融した状態のときに接着剤として機能する。第2の可撓体200は、硬化したときには、第1の可撓体100に接合するとともに、導電体400を保持する。
<第3の可撓体300の形態>
第3の可撓体300は、第2の可撓体200とともに導電体400を挟むことで、導電体400の被覆層や保護層として機能する。第3の可撓体300は、導電体400を覆うことで、導電体400を被覆したり保護したりできる。
伸縮電線10をヒーターとして用いる場合に、可撓体100の厚みは特に限定されないが、20μm〜1mmが好ましく、100μm〜600μmがより好ましい。可撓体100の厚みが薄くなりすぎると、ハンドリング性や耐久性が悪くなる。可撓体300の厚みは、導電体400が露出されない厚みであれば特に限定されないが、20μm〜1mmが好ましく、100μm〜600μmがより好ましい。可撓体300の厚みが厚くなりすぎると、熱拡散率が低下し、ヒーターとしての加熱効率が低下することが考えられる。なお、可撓体100と可撓体300との厚みは同じ厚みである必要はなく、自由に選択できる。
<第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の材料>
第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の材料としては、絶縁性及び柔軟性を有する公知の樹脂材料とすることができる。
伸縮電線10をヒーターとして用いる場合には、ヒーターの加熱温度に合わせた第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の耐熱性も必要となる。
例えば、ポリメタクリル酸、及びポリシアノアクリル酸(ポリシアノアクリレート)等のポリアクリル酸樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂;ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリイミド樹脂;アラミドを含むポリアミド樹脂;ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等を挙げることができる。これら樹脂は1種類で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
伸縮電線10をヒーターとして用いる場合は、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300は、例えば、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ウレタン系エラストマー、ウレタンゴム等にできる。これら樹脂は1種類で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
これらの中でも、導電体400が変形した際の追随性を考慮すると、シリコーンまたはフッ素系樹脂またはアクリルゴムなどが好ましい。上述の樹脂に加えて、ウレタンゴムも好ましい。中でも、シリコーン、ウレタンゴムは無溶剤で導電体を被覆できるため、好ましい。(溶剤が残存すると、引火等の懸念がある。)
各可撓体は、各々異種の材料としてもよいが、2つ以上または全てを同種の材料としてもよい。伸縮電線10をヒーターとして用いる場合は上記の樹脂中にさらに粒子を分散させても良い。粒子は熱拡散性を向上させるものであれば良く、粒子形状は特に限定されない。例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ケイ素等を挙げることができる。好ましくは、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素が挙げられる。
<<<積層構造>>>
前述したように、図1、図2、図3に示す例では、導電体400は、第2の可撓体200と第3の可撓体300とに挟まれて、第2の可撓体200及び第3の可撓体300によって保持される。第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300は、可撓性及び弾性を有し、伸縮したり撓んだりすることができる。第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300が伸縮したり撓んだり変形すると、変形によって生ずる応力が、導電体400をを挟んでいる第2の可撓体200及び第3の可撓体300を介して導電体400に加えられる。このようにして、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の変形とともに導電体400も変形する。
例えば、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300が、波長方向に所定の長さまで伸びると、導電体400も同じ方向に所定の長さほど伸びる。第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300が、波長方向に所定の長さまで縮むと、導電体400も同じ方向に所定の長さほど縮む。第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300が所定の向きに所定の変位量まで撓むと、導電体400も所定の向きに所定の変位量ほど撓む。
前述したように、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の積層によって積層体LCが構成される。第1の可撓体100及び第3の可撓体300は、自然状態で例えば、直方体状や四角柱状の形状を有する。第2の可撓体200は、自然状態で平板状、薄板状、箔状の形状を有する。積層体LCは、自然状態で例えば、直方体状や四角柱状の形状を有する。
第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300は、可撓性及び弾性を有し、伸縮したり撓んだりすることができ、積層体LCとしても、可撓性及び弾性を有し、伸縮したり撓んだりすることができる。
図4に示すように、導電体400は、第1の可撓体200(一部分)及び第2の可撓体200(残りの部分)と、第3の可撓体300とによって挟まれて保持されてもよい。この場合も、第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の変形によって、導電体400が変形する。
第1の可撓体100、第2の可撓体200や第3の可撓体300が伸縮したり撓んだりして弾性変形すると、第1の可撓体100や第2の可撓体200や第3の可撓体300の弾性変形によって生ずる応力が、導電体400に加えられ、図3に示すように、第1の可撓体100や第2の可撓体200や第3の可撓体300の変形とともに導電体400も変形する。また、第1の可撓体100や第2の可撓体200や第3の可撓体300が弾性変形する際に復元力が生じ、元の形状や大きさに戻ることができる。この復元力が導電体400にも加えられ、図2に示すように、第1の可撓体100や第2の可撓体200や第3の可撓体300が元の形状や大きさに戻るとともに導電体400も元の形状や大きさに戻る。
このように、伸縮電線10は、導電体400の電気的接続を維持した状態で、各種の変形をすることができる。伸縮電線10は、一般的な電線と同様の機能を有する。
<<界面500>>
第2の可撓体200と第3の可撓体300との間に、界面500が形成される。界面500は、波長方向WLと波面方向WSとの双方に延在する。界面500は、導電体400の形状に応じて、湾曲した形状や屈曲した形状を有する。具体的には、界面500は、突条部510と溝部520とが隣り合って繰り返す形状を有する。
突条部510は、突出した筋状の形状や、畦状の形状などの形状を有し、断面が凸状の形状を有する。溝部520は、断面が凹状の形状を有する。例えば、突条部510は、断面が逆U字状や逆V字状の形状を有する。溝部520は、断面がU字状やV字状の形状を有する。
突条部510は、導電体400に近づく方向に変位する領域である。溝部520は、導電体400から離れる方向に変位する領域である。
界面500の波長は、導電体400の波長に応じて定まる。例えば、図1〜図3に示すように、界面500の波長は、導電体400の波長と一致する。波長方向WLに沿って、界面500の頂点の位置が、導電体400の谷底の位置とが一致し、界面500の谷底の位置が、導電体400の頂点の位置とが一致する場合もある。この場合には、界面500の突条部510は、導電体400の溝部420に対応し、界面500の溝部520は、導電体400の突条部410に対応する。すなわち、界面500の突条部510は、導電体400の溝部420に向かって近づき(近接領域CR)、界面500の溝部520は、導電体400の突条部410から離隔する(離隔領域DR)。この場合には、波長方向WLに沿った導電体400の断面形状による波形と、界面500の断面形状による波形とは、逆位相となる。
また、界面500の頂点の位置と、導電体400の頂点の位置とが一致し、界面500の谷底の位置と、導電体400の谷底の位置とが一致する場合もある。この場合には、界面500の突条部510は、導電体400の突条部410に対応し、界面500の溝部520は、導電体400の溝部420に対応する。この場合には、波長方向WLに沿った導電体400の断面形状による波形と、界面500の断面形状による波形とは、同位相となる。
図1〜図3に示す例では、導電体400は、界面500から離隔した位置に配置されている。これに対して、図4に示す例では、導電体400の一部が、界面500と接触して配置されている。導電体400の一部は、界面500と接触して配置され(図4)、導電体400の残りは、界面500から離隔して配置される(図1〜図3)。なお、導電体400の全てが、界面500と接触して配置されても、界面500と接触から離隔して配置されてもよい。いずれにしても、導電体400は、第2の可撓体200及び第3の可撓体300に保持されて、第1の可撓体100や第2の可撓体200や第3の可撓体300の変形とともに変形できればよい。
前述したように、界面500は、突条部510と溝部520とを有する。界面500は、波長方向に延在するだけでなく、波面方向や積層方向にも延在する。伸縮電線10が波長方向に沿って伸縮変形する場合には、第2の可撓体200及び第3の可撓体300が波長方向に沿って伸縮変形する。伸縮変形の際に、波長方向に沿った剪断応力が界面500に加わる。界面500は、波長方向と波面方向と積層方向とに延在し、界面500に加えられた剪断応力は、波長方向成分だけでなく、波面方向成分と積層方向成分とに分散される。応力の界面方向成分を小さくすることで、界面500で第2の可撓体200と第3の可撓体300とが剥離することを防止することができる。
<<<<第2の実施の形態>>>
前述したように、導電体400は、突条部410と溝部420とが隣り合って繰り返す形状を有するものであればよい。図5に示すように、導電体400の断面の形状が、正弦波や正弦波に近い形状などを有することができる。適宜に導電体400の形状は、必要とされる伸縮の割合や強度などに応じて適宜に定めればよい。
<<<<第3の実施の形態及び第4の実施の形態>>>
第1の実施の形態による伸縮電線10及び第2の実施の形態による電線20は、いずれも、導電体400が一層のみを有する構成であった。これに対して、導電体400が複数層で有する構成でもよい。図6及び図7は、2層の導電体400を有する電線30及び40を示す断面図である。第3の実施の形態及び第4の実施の形態において、第1の実施の形態による伸縮電線10や第2の実施の形態による電線20と同様の構成については、同一の符号を付した。
<<<第3の実施の形態>>>
図6は、第3の実施の形態による電線30の積層構造を示す斜視図である。第2の可撓体200−1及び200−2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の第2の可撓体200と同様の構成を有する。第3の可撓体300−1及び300−2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の第3の可撓体300と同様の構成を有する。導電体400−1及び400−2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の導電体400と同様の構成を有する。このようにすることで、2つの導電体400−1及び400−2を積層させることができる。
第3の実施の形態による電線30は、2つの界面500−1及び500−2を有する。界面500−1及び500−2は、いずれも突条部510と溝部520とを有する。このように構成することで、2つの導電体400−1及び400−2を積層させた場合でも、界面500−1及び500−2に加えられた剪断応力は、波長方向成分だけでなく、波面方向成分と積層方向成分とに分散する。応力の界面方向成分を小さくすることで、界面500−1において第2の可撓体200−1と第3の可撓体300−1とが剥離したり、界面500−2において第2の可撓体200−2と第3の可撓体300−2とが剥離したりすることを防止することができる。
<<<第4の実施の形態>>>
図7は、第4の実施の形態による電線40の積層構造を示す斜視図である。第3の実施の形態による電線30と異なり、第2の可撓体200のみを有する。第3の可撓体300−1及び300−2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の第3の可撓体300と同様の構成を有する。導電体400−1及び400−2は、第1の実施の形態による伸縮電線10の導電体400と同様の構成を有する。このようにすることで、2つの導電体400−1及び400−2を積層させることができる。
第4の実施の形態による電線40も、2つの界面500−1及び500−2を有する。界面500−1及び500−2は、いずれも突条部510と溝部520とを有する。このように構成することで、2つの導電体400−1及び400−2を積層させた場合でも、界面500−1及び500−2に加えられた剪断応力は、波長方向成分だけでなく、波面方向成分と積層方向成分とに分散する。応力の界面方向成分を小さくすることで、界面500−1において第2の可撓体200−1と第3の可撓体300−1とが剥離したり、界面500−2において第3の可撓体300−1と第3の可撓体300−2とが剥離したりすることを防止することができる。
<<<<伸縮電線の製造方法>>>>
伸縮電線の製造方法は特に限定されない。以下、伸縮電線10の製造方法の一例を説明する。
伸縮電線10は、
第1の可撓体(例えば、第1の可撓体100)を作製する工程と、
第1の可撓体(例えば、第1の可撓体100)に引張応力を付加し第1の可撓体を弾性変形させる引張工程と、
弾性変形した状態の第1の可撓体の表面に、軟化状態の樹脂材料を塗布し、塗布された軟化状態の樹脂材料に導電体(例えば、導電体400)を接触させ、軟化状態の樹脂材料(第2の可撓体の硬化前の樹脂材料A)を硬化させ、第2の可撓体(例えば、第2の可撓体200)と導電体とを接合させる導電体接合工程と、
第1の可撓体に付加された引張応力を徐放し、第1の可撓体と第2の可撓体との界面を湾曲させる湾曲工程と、
導電体(例えば、導電体400)の露出部(第2の可撓体の外部に露出している部分)を被覆するように軟化状態の樹脂材料を塗布し、塗布された軟化状態の樹脂材料(第3の可撓体の硬化前の樹脂材料B)を硬化させることで、第3の可撓体(例えば、第3の可撓体300)を得る被覆工程と、
を実施することで、製造可能である。
上記方法に従えば、導電体接合工程において、引張され伸びた状態の第1の可撓体と、自然状態である第2の可撓体とが接合されることとなる。そのため、湾曲工程においては、第1の可撓体に付加された引張応力が徐放されることで第1の可撓体が自然状態に戻る復元力が働き、一方で、第2の可撓体は圧縮されることとなる。その結果、第1の可撓体の復元力による変形と、第2の可撓体の圧縮による変形とが同時に生じるため、第1の可撓体と第2の可撓体との界面が湾曲すると考えられる。
また、湾曲工程において、第1の可撓体が自然状態に戻る復元力は、第2の可撓体と接触している導電体にも寄与し、導電体の一部が圧縮されるように歪が生じると考えられる。このように、湾曲工程を実施することにより導電体が圧縮される結果、導電体の形状は、例えば、単純な波形状から、Ω形状等のより複雑な形状へと変化し得る。
ここで、導電体接合工程においては、導電体と第2の可撓体とが接合される。そのため、湾曲工程においては、第2の可撓体が圧縮される際に、導電体の形状に応じて第2の可撓体の形状が変化し得る。
一例として、導電体が波板状を有し、第1の可撓体及び第2の可撓体の伸縮方向に延在する構成である場合について検討する。この場合、導電体接合工程において、軟化状態の第2の可撓体に導電体を接触させることで、導電体の波板内に第2の可撓体が充填される。次いで実施させる湾曲工程においては第2の可撓体が圧縮されるが、第2の可撓体の圧縮に伴い導電体も圧縮され、導電体の波板内に充填されていた第2の可撓体が押し出されることとなる。この押し出された第2の可撓体による変形が、第2の可撓体と第1の可撓体との界面にまで伝達されることで、図2に示されるように、第1の可撓体と第2の可撓体との界面が、導電体の波形とずれた位相(例えば、逆位相)となるように歪む構成となり得る。
なお、導電体の表面性状(特に、空隙の有無及び空隙の度合い)等を調整することで、導電体接合工程において、導電体と可撓体とのミクロな接触面積を向上させることができる。例えば、導電体を金属繊維シートとした場合、軟化状態の樹脂材料(液状の可撓体)が導電体中の表面部分から侵入し易いように構成することができる。その結果、アンカー効果によって、導電体と可撓体(第2の可撓体や第3の可撓体)との接合強度を向上させることが出来る。
導電体と可撓体の接合強度を向上するために、導電体もしくは可撓体の表面にカップリング剤の塗布、プラズマ処理、コロナ処理、イトロ処理(火炎)等をすることができる。
軟化状態の樹脂材料とは、通常、樹脂材料が熱可塑性樹脂の場合には熱溶融された状態の樹脂材料を示し、樹脂材料が熱硬化性樹脂または、エネルギー線硬化性樹脂の場合には、硬化前の樹脂材料を示す。なお、軟化状態の樹脂材料は、有機溶媒等によって溶解された樹脂材料であってもよい。樹脂材料を硬化させる際の条件としては、何ら限定されず、使用する樹脂材料に応じて最適な条件を設定すればよい。
第1の可撓体と第2の可撓体との界面の湾曲の度合いは、湾曲工程において、第1の可撓体及び第2の可撓体の厚みや材料等を考慮した上で、第1の可撓体に付加する引張応力の大きさを変更すること等で、調整が可能である。また、上述したように、導電体の形状を変更することによっても、第1の可撓体と第2の可撓体との界面の形状を調整することが可能である。
樹脂材料を塗布する方法としては、何ら限定されず、形成する可撓体の厚みや使用する樹脂材料に応じて最適な条件を設定すればよい。
引張工程における第1の可撓体の伸び率(導電体接合工程に供される際の第1の可撓体の伸び率)としては、各可撓体の材質、導電体の形状、所望の界面の湾曲の度合い等を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されない。例えば、伸び率は、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、100%以上等とすることができ、また、300%以下、250%以下、200%以下、175%以下、150%以下、125%以下等とすることができる。なお、ここで示す伸び率とは、自然状態の第1の可撓体から延伸された度合いを%で表記したものである。
この製造方法を実施するに際して、導電体接合工程においては第2の可撓体と導電体とが接合されている一方で、湾曲工程を実施した後には第2の可撓体と導電体とが離隔されるような領域があってもよい。換言すれば、第2の可撓体と導電体との剥離が生じた領域があってもよい。
なお、上記製造方法は、特に矛盾の存在しない範囲内で、ある工程と別の工程とを同時に実施する形態や、ある工程を中断し別の工程を実施した後にある工程を再開する形態や、ある工程を複数回実施する形態も含まれる。
以上説明したように、引張した状態の可撓体の上に、自然状態の別の可撓体を形成させることで、可撓体の一部に湾曲を生じさせることができる。また、この方法を応用することにより、各実施形態に係る伸縮電線を製造可能である。
<<<<変形例1>>>>
第1の可撓体100、第2の可撓体200、第3の可撓体300の3つの可撓体が、全て同じ材料で構成されている例を示したが、一部が異なる材料で構成してもよい。可撓性や弾性を有するとともに、非導電性(誘電性、絶縁性)を有するものであればよい。さらに、耐久性や耐熱性を有し、経時変化が少ないものが好ましい。
<<<<変形例2>>>>
前述した伸縮電線10、20、30、40は、単一の導電体400を有する構成を示したが、複数の導電体400を有してもよい。伸縮電線10を用いて、複数の信号を送受信することができる。複数の導電体400を並列に配置して、単一の伸縮電線を形成することができる。
<<<<本実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本発明は、第1の実施の形態〜第4の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記載及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきでない。このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。
10 伸縮電線
20 伸縮電線
30 伸縮電線
40 伸縮電線
100 第1の可撓体
200 第2の可撓体
300 第3の可撓体
400 導電体
410 突条部
420 溝部
500 界面
510 突条部
520 溝部

Claims (9)

  1. 変形可能で導電性を有する導電体と、
    可撓性を有する第1の可撓体と、
    可撓性を有し、前記第1の可撓体との間に界面を形成し、前記界面を介して前記第1の可撓体と接合する第2の可撓体であって、前記導電体の少なくとも一部を保持する第2の可撓体と、を備え、
    前記界面が湾曲した形状を有する電線。
  2. 前記界面の形状は、前記導電体から離れる方向に変位する第1変位部と、前記導電体に近づく方向に変位する第2変位部と、を有する、請求項1に記載の電線。
  3. 前記導電体は、前記界面から離れる方向に変位する第1湾曲部と、前記界面に近づく方向に変位する第2湾曲部と、を有する、請求項1または2に記載の電線。
  4. 前記界面と前記導電体とが互いに近づく接近領域と、前記界面と前記導電体とが互いに離れる離隔領域と、をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の電線。
  5. 前記界面が、波板状を有し、前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体の伸縮方向に延在する、請求項1ないし4のいずれかに記載の電線。
  6. 前記界面の前記伸縮方向に沿った断面形状が、蛇行状を有する、請求項5に記載の電線。
  7. 前記導電体、前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体は長尺であり、
    前記第1の可撓体及び前記第2の可撓体は、前記導電体の長手方向に沿って伸縮可能である、請求項1ないし6のいずれかに記載の電線。
  8. 前記導電体は、金属繊維体を含む導電構造体を有する、請求項1ないし7のいずれかに記載の電線。
  9. 前記第2の可撓体と接合する第3の可撓体であって、前記第2の可撓体を前記第1の可撓体とともに挟む第3の可撓体を、さらに備え、
    前記第1の可撓体、前記第2の可撓体及び前記第3の可撓体によって、前記導電体を被覆する被覆体を構成する、請求項1ないし8に記載のいずれかに記載の電線。
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