JP2021081033A - 配管構造用の樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

配管構造用の樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配管構造用の樹脂成形体の機能性の向上を図る。【解決手段】内部に流路を有し、多層構造部分と単層構造部分とを有する配管構造用の樹脂成形体1において、前記多層構造部分は、中間層10と、前記流路に面する内層14と、外面に位置する外層12とを少なくとも有し、前記単層構造部分と前記中間層10とが一体成形物であることよりなる。内部に流路を有する継手本体2と、前記継手本体2の開口部2aに囲む1つ以上の受口部4とを有する継手であり、前記多層構造部分が1つ以上の前記受口部を形成していてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、配管構造用の樹脂成形体及びその製造方法に関する。
合成樹脂製の継手等の配管構造用の樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」ということがある)において、機能を強化するか、新たな機能を付与したい場合がある。即ち、樹脂成形体に対して機能性の付与を図りたい場合がある。
機能性の付与が図られた樹脂成形体としては、例えば、内層と、内層の外面に耐候性の高い外層とを有する2層構造の樹脂成形体が知られている(特許文献1)。
特許第5882083号公報
しかしながら、樹脂成形体に対しては、さらなる機能強化又は新機能の付与を図りたいという要望がある。例えば、継手の受口において、本体とは異なる素材で、受口の内面と外面とに機能性を付与したいような場合がある。このように、3種類以上の樹脂を部位毎に使い分けて樹脂成形体を成形することは難しく、所望する機能を発揮しにくいという問題がある。
そこで、本発明は、機能性の向上が図られた配管構造用の樹脂成形体を目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
<1>内部に流路を有し、多層構造部分と単層構造部分とを有する配管構造用の樹脂成形体において、
前記多層構造部分は、中間層と、前記流路に面する内層と、外面に位置する外層とを少なくとも有し、
前記単層構造部分と前記中間層とが一体成形物である、配管構造用の樹脂成形体。
<2>内部に流路を有する継手本体と、前記継手本体の開口部を囲む1つ以上の受口とを有する継手であり、
前記多層構造部分が1つ以上の前記受口を形成している、<1>に記載の配管構造用の樹脂成形体。
<3><1>又は<2>に記載の配管構造用の樹脂成形体の製造方法であって、
キャビティ内に前記流路に対応するコアを配置し、
第一の成形体を前記キャビティの内面に接して配置し、
第二の成形体を前記コアの外面に接して配置し、
次いで、前記キャビティ内に、樹脂組成物を射出して、前記樹脂組成物で前記中間層と前記単層構造部分を一体に形成し、前記第一の成形体で前記外層を形成し、かつ、前記第二の成形体で前記内層を形成する、配管構造用の樹脂成形体の製造方法。
本発明の配管構造用の樹脂成形体によれば、機能性の向上を図れる。
本発明の一実施形態に係る継手の縦断面図である。 図1のII−II断面図である。 図1の領域Sの拡大図である。 金型の縦断面図である。 金型の横断面図である。
本発明の配管構造用の樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」ということがある)の一例について、図面を参照して説明する。
図1の樹脂成形体1は、いわゆる継手である。本実施形態の樹脂成形体1は、内部に流路3を有する円筒状の直管の継手本体2と、継手本体2の両端の開口部2aを囲む2つの受口部4とを有する。
樹脂成形体1は、受口部4の開口部4aから見て、継手本体2と受口部4との境界に、流路3に向けて突出する段部6を有する。
継手本体2は、単層構造の成形体である。
図1〜3に示すように、受口部4は、中間層10と外層12と内層14とを有する。即ち、多層構造部分が受口部4を形成する。
中間層10と継手本体2とは、連続層であり、中間層10と継手本体2とは、一体成形物である。
外層12は、受口部4の外周面を形成している。内層14は、流路3に面しており、受口部4の内周面と段部6の表面とを形成している。
外層12は、中間層10と接する面に、4つの凸条13を有する。凸条13は、軸線O1回りに中間層10に沿って周回している。外層12が凸条13を有することで、外層12と中間層10とをより強固に接合できる。
なお、外層12は、凸条13を有していなくてもよいし、凸条13に代えて凹条を有していてもよい。中間層10とより強固に接合する観点から、外層12は、凸条13又は凹条を有することが好ましい。
凸条13の数は、1〜3つでもよいし、5つ以上でもよい。
また、凸条13は、断続的に形成されていてもよい。
さらに、凸条13は、軸線O1と平行に伸びる凸条でもよい。
内層14は、中間層10と接する面に、3つの凸条15を有する。凸条15は、軸線O1回りに中間層10に沿って周回している。内層14が凸条15を有することで、内層14と中間層10とをより強固に接合できる。内層14は、段部6の位置に、継手本体2の方向に突出する2本の凸条17を有する。凸条17は、軸線O1回りに周回している。内層14が凸条17を有することで、内層14と本体部2とをより強固に接合できる。
なお、内層14は、凸条15、17の双方もしくはいずれか一方を有していなくてもよしい、凸条15、17に代えて凹条を有していてもよい。中間層10とより強固に接合する観点から、内層14は、凸条15、17、又は凹条を有することが好ましい。
凸条15の数は、1〜2つでもよいし、4つ以上でもよい。凸条17は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
また、凸条15、17は、断続的に形成されていてもよい。
さらに、凸条15、17は、軸線O1と平行に伸びる凸条でもよい。
継手本体2及び中間層10は、熱可塑性樹脂組成物の硬化物で形成された単層構造である。熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、硬質ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂とポリスチレン樹脂との混合物、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン)樹脂、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリル)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びこれらの混合物等である。
熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤、発泡剤、発泡核剤、界面活性剤、滑沢剤、顔料、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、無機充填剤、可塑剤等の任意成分を含有してもよい。
外層12としては、予め成形された成形体が好ましい。外層12は、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、金属、紙等の円筒状の成形体である。熱可塑性樹脂としては、中間層10と同様の樹脂を例示できる。加えて、外層12を構成する熱可塑性樹脂としては、熱可塑性エラストマー、ゴムを例示できる。熱可塑性エラストマーとしては、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等を例示できる。ゴムとしてはスチレン・ブタジエンゴムやイソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等のジエン系ゴムや、ブチルゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコーンゴム及びこれらの混合物等を例示できる。
熱硬化性樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂等である。
熱可塑性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂組成物は、難燃剤、発泡剤、発泡核剤、界面活性剤、滑沢剤、顔料、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、無機充填剤、可塑剤等の任意成分を含有してもよい。
金属は、例えば、アルミニウム、鉄、鋼、ステンレス、銅等である。
外層12の材質と、中間層10の材質とは、同じでもよいし、異なってもよい。受口部4に対して継手本体2と異なる機能を付与する観点からは、外層12の材質と中間層10の材質とは、異なることが好ましい。
なお、「材質が異なる」とは、物性が異なることを意味する。例えば、ポリプロピレンの発泡層と、ポリプロピレンの非発泡層のように、密度が異なることも「材質が異なる」に含む。また、低密度ポリエチレンと、高密度ポリエチレンとの組み合わせも「材質が異なる」に含む。さらに、メルトフローレートの異なるポリエチレンの組み合わせも「材質が異なる」に含む。さらに、色や屈折率が異なることも「材質が異なる」に含む。
例えば、中間層10及び継手本体2をAES樹脂組成物又はABS樹脂組成物で形成し、外層12を熱可塑性エラストマーとした場合には、継手本体2の耐候性を高め、受口部4に対する外部からの物理的衝撃を緩和して、耐衝撃性を高められる。
また例えば、中間層10及び継手本体2をAES樹脂組成物又はABS樹脂組成物で形成し、外層12を塩化ビニル樹脂組成物で形成した場合には、継手本体2の耐候性を高め、かつ受口部4の強度を高められる。
あるいは、例えば、中間層10及び継手本体2を熱可塑性樹脂組成物で形成し、外層12を金属とした場合には、受口部4の強度を高めて、耐衝撃性を高められる。
内層14としては、予め成形された成形体が好ましい。内層14は、外層12と同様に、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、金属、紙等の円筒状の成形体である。
内層14の材質と、中間層10の材質とは、同じでもよいし、異なってもよい。受口部4に対して継手本体2と異なる機能を付与する観点からは、内層14の材質と中間層10の材質とは、異なることが好ましい。
内層14の材質と、外層12の材質とは、同じでもよいし、異なってもよい。
例えば、中間層10及び継手本体2をAES樹脂組成物又はABS樹脂組成物で形成し、内層14を熱可塑性エラストマーとした場合には、継手本体2の耐候性を高め、受口部4と、受口部4に挿入された挿口部との摩擦力を高められる。
また例えば、中間層10及び継手本体2をAES樹脂組成物又はABS樹脂組成物で形成し、内層14を塩化ビニル樹脂組成物で形成した場合には、継手本体2の耐候性を高め、かつ受口部4の強度を高められる。
あるいは、例えば、中間層10及び継手本体2を熱可塑性樹脂組成物で形成し、内層14を金属とした場合には、受口部4の強度を高め、耐衝撃性を高められる。また、金属の内層14に内面にネジを形成することで、外面にネジが形成された金属の挿口部と螺合できる。
さらに、内層14の材質は、受口部4に挿入される配管の外面と同じ材質でもよい。例えば、受口部4に挿入される配管の外面の材質が塩化ビニル樹脂の場合、内層14の材質として、塩化ビニル樹脂、AES樹脂組成物又はABS樹脂組成物等の非晶性樹脂とすることで、接着剤を使用して樹脂成形体と配管とを接続することができる。
外層12、内層14、中間層10の組み合わせの例を以下に示す。
<例1>
・外層12:透明な硬質塩化ビニル樹脂。
・中間層10:ポリプロピレン。
・内層14:透明な硬質塩化ビニル樹脂。
ポリプロピレンは耐薬品性に優れるが、結晶性樹脂であるため接着剤で接合できず、透明性も低い。例1では、外層12と内層14を透明な塩化ビニル樹脂とすることで、配管として一般的な硬質塩化ビニル樹脂製の管を接着剤で接合することができる。加えて、外層12及び内層14が透明なため、その接続状況を外部から視認することができる。中間層10は、外層12と内層14で挟まれて薄くなるため、不透明な中間層10を透過して、内部を視認できる。ポリプロピレンにガラス繊維や発泡剤を添加した場合にはより不透明になるものの、受口4を視認可能にできる。
<例2>
・外層12:熱膨張性黒鉛等の熱膨張耐火剤を配合した塩化ビニル樹脂。
・中間層10:難燃剤を配合した塩化ビニル樹脂。
・内層14:塩化ビニル樹脂又は熱膨張性耐火材を配合した塩化ビニル樹脂。
例2において、火災時には、外層12又は内層14が膨張し、配管を閉塞する。中間層10は燃焼しにくくされ、外層12又は内層14の熱膨張まで溶融せずに形状を保持する。このため、配管を通じての延焼を防止できる。
樹脂成形体1における管軸O1方向の長さL1は、樹脂成形体1の用途に応じて適宜決定され、例えば、70〜140mmとされる。
受口部4における管軸O1方向の長さL2は、樹脂成形体1の用途に応じて適宜決定され、例えば、25〜80mmとされる。長さL2は、受口部4の開口端から段部6までの距離である。
長さL1、L2は、ノギス、曲尺等で測定できる。
樹脂成形体1の外径R1は、樹脂成形体1の用途に応じて適宜決定され、例えば、43〜177mmとされる。
樹脂成形体1の内径R2は、樹脂成形体1の用途に応じて適宜決定され、例えば、38〜165mmとされる。
外径R1、内径R2は、ノギス、曲尺等で測定できる。
継手本体2の厚みt2は、直管部の長さ、受口部4の内径R2等を勘案して適宜決定され、例えば、2.5〜5.5mmとされる。
段部6の幅t6は、樹脂成形体1の大きさに応じて適宜決定され、例えば、3.43〜9.23mmとされる。なお、幅t6は、厚みt2と同等かそれ以上とされる。
受口部4の厚みT1は、受口部の内径R2等を勘案して適宜決定され、例えば、2.5〜5.6mmとされる。厚みT1は、下記(1)式により求められる。
厚みT1=(外径R1−内径R2)÷2 ・・・(1)
外層12の厚みt12は、外層12に求める機能、外層12の材質等を勘案して適宜決定され、例えば、0.75〜2.3mmとされる。厚みt12は、凸条13を除く部分の厚みであり、ノギス、曲尺で測定した任意の3点の平均値である。
凸条13の高さt13は、受口部4の厚みT1等を勘案して適宜決定され、例えば、0.3〜0.7mmとされる。高さt13は、切断面をノギスで測定して得られる値である。
内層14の厚みt14は、内層14に求める機能、内層14の材質等を勘案して適宜決定され、例えば、0.75〜2.3mmとされる。厚みt14は、凸条15を除く部分の厚みであり、ノギス、曲尺で測定した任意の3点の平均値である。
凸条15の高さt15は、受口部4の厚みT1等を勘案して適宜決定され、例えば、0.3〜0.7mmとされる。高さt15は、切断面をノギスで測定して得られる値である。
凸条17は、凸条15と同様である。
中間層10の厚みt10は、受口部の内径R2等を勘案して適宜決定され、例えば、1〜4.6mmとされる。厚みt10は、下記式(2)により求められる。
厚みt10=T1−(t12+t14) ・・・(2)
以下、樹脂成形体1の製造方法について、説明する。
図4は、樹脂成形体1の製造方法に用いられる金型の一例である。
図4の金型100は、キャビティ110とコア120とを有する。キャビティ110は、射出孔116を有する。キャビティ110の内部は、円筒状の小筒部112と、小筒部112の両端に位置し、小筒部112よりも内径の大きい大筒部114とを有する。
コア120は、円柱状の小径部122と、小径部122の両端に位置し、小径部122よりも外径の大きい大径部124とを有する。コア120は軸線O2方向を長手としている。キャビティ110とコア120との間は、樹脂成形体1の形状に対応したクリアランス102となっている。
キャビティ110の2つの大筒部114内に、予め成形された円筒状の外層12を装着する。この時、外層12の外周面は、大筒部114の内周面に当接している。コア120の2つの大径部124に、予め成形された円筒状の内層14を装着する。この時、内層14の内周面は、大径部124の外周面に当接している。
内層14を装着したコア120を、キャビティ110に内に配置する。この時、小筒部112の内周面は、小径部122の外周面と離間している。加えて、外層12の内周面は、内層14の外周面と離間している。
本実施形態において、外層12が第一の成形体であり、内層14が第二の成形体である。
次いで、射出孔116からキャビティ110内に、継手本体2及び中間層10を形成する樹脂組成物を射出し、かつ加圧する。キャビティ110内に射出された樹脂組成物は、小筒部112と小径部122との間を通流し、次いで、外層12と内層14との間に流入する。外層12と内層14との間に樹脂組成物が流入すると、樹脂組成物の圧力によって、外層12は大筒部114に押し付けられ、内層14は大径部124に押し付けられる。このため、外層12と内層14との間に樹脂組成物を充填でき、かつ外層12の外周面及び内層14の内周面には樹脂組成物がはみ出ない。
キャビティ110内を樹脂組成物で満たした後、樹脂組成物の射出を停止し、0金型100内の樹脂組成物を冷却し、金型100を開いて、樹脂成形体1を得る。得られた樹脂成形体1は、外層12と中間層10と内層14とが外側から順に形成された多層構造の受口部4と、樹脂組成物の単層構造である継手本体2とを有する。
射出する際の樹脂組成物の温度は、樹脂組成物が流動できる温度であれば特に限定されない。但し、外層12又は内層14が熱可塑性樹脂組成物の硬化物である場合、射出する樹脂組成物の温度は、外層12又は内層14を形成する熱可塑性樹脂組成物の軟化温度又は溶融温度以上が好ましい。射出する樹脂組成物の温度が上記下限値以上であれば、外層12又は内層14と中間層10とを良好に溶着できる。射出する樹脂組成物の温度の上限値は、外層12及び内層14が著しい変形を生じない温度が好ましい。
従来、多層構造の継手を製造するには、基体(本発明における直管部と中間層との一体成形物)を射出成形し、基体を新たな金型内に配置し、外層や内層を形成する樹脂組成物を射出する方法であった(いわゆる二色成形)。この製造方法においては、外層と内層の材質が異なる場合には、外層を成形する時と、内層を成形する時とで、異なる金型を用いる必要があった。加えて、従来の二色成形で、外層や内層の厚みを正確に制御するには、外層や内層の厚みを確保するためのスペーサを基体等に設ける必要があり、外層や内層に基体の露出部が形成されるという問題があった。さらに、従来の二色成形では、外層又は内層を基体とは異なる材質にすると、外層又は内層が剥離しやすいという問題があった。
本実施形態の樹脂成形体によれば、外層及び内層が予め成形した成形体であるため、外層や内層から基体を露出させなくても、所望する厚みの外層及び内層を設けられる。このため、外層又は内層の機能が充分に発揮できる。
加えて、本実施形態の樹脂成形体によれば、外層と内層とを異なる材質にできるので、外層と内層とのそれぞれに異なる機能を付与できる。
さらに、本実施形態の樹脂成形体の製造方法によれば、一回の射出成形により3層以上の多層構造を得られるため、製造が容易である。
本発明の樹脂成形体は、上述の実施形態に限定されない。
上述の実施形態の樹脂成形体は、管軸の両端に開口部を有する円筒状の継手である。
しかしながら、本発明の樹脂成形体は、これに限定されず、直管、エルボ管、T字管、Y字管等、内部に流路を有する配管構造用の部材であればよい。
上述の実施形態の樹脂成形品は、直管部、受口部が円筒状であるが、本発明はこれに限定されず、直管部、受口部が角筒状でもよい。直管、エルボ管、T字管、Y字管においても、一部又は全部が角筒状でもよい。
上述の実施形態の樹脂成形品は、受口部全体を外層及び内層が覆っている。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、外層又は内層は受口部の一部を覆っていてもよい。また、外層又は内層は、受口部の一部又は全部と直管部の一部とを覆っていてもよい。直管、エルボ管、T字管、Y字管においても、同様である。
上述の実施形態では、外層及び内層が円筒状である。
しかしながら、本発明はこれに限定されず、樹脂成形体の形状に合わせて、外層及び内層の双方もしくは一方が角筒状でもよい。また、外層及び内層の双方もしくは一方は、管軸方向から見て、一部が途切れた「C字」状、「U字」状でもよい。直管、エルボ管、T字管、Y字管においても、同様である。
上述の実施形態では、多層構造部分(受口部)が3層構造であるが、本発明はこれに限定されず、多層構造が4層以上でもよい。多層構造の層数の上限は特に限定されないが、実質的に3層である。
図5を用いて、5層の受口部を有する樹脂成形体の製造方法を説明する。図4の金型100と同じ構成には同じ符号を付して、その説明を省略し、主に図4と異なる点について説明する。
図5は、コア120の軸線O2に対して垂直な面で切断した断面図である。
キャビティ110の大筒部114に、外層12を装着する。コア120の大径部124に、内層14を装着する。
中央層11と内層14との間にスペーサ19を配置して、中央層11と内層14とを離間させる。スペーサ19は軸線O2回りに、180度間隔で2つ位置している。こうして、中央層11と内層14との間に、第二の中央流路10bを形成する。
中央層11の外周面にスペーサ18を配置する。
次いで、コア120をキャビティ110内に配置すると、外層12と内層14との間に、円筒状の成形物である中央層11を位置する。この際、中央層11と外層12との間にスペーサ18が位置して、中央層11と外層12とを離間させる。スペーサ18は、軸線O2回りに、90度間隔で4つ位置している。こうして、中央層11と外層12との間に、第一の中間流路10aを形成する。
中央層11の材質は、外層12と同様である。中央層11の材質は、外層12の材質と同じでもよいし、異なってもよい。
スペーサ18の材質は、特に限定されないが、継手本体2を形成する樹脂組成物等である。
スペーサ19の材質は、スペーサ18の材質と同様である。
キャビティ110内に、継手本体を形成する樹脂組成物を射出する。射出された樹脂組成物は、継手本体に対応した形状のクリアランスを通流し、次いで、第一の中間流路10aと第二の中間流路10bとに流入する。キャビティ110内を樹脂組成物で満たした後、樹脂組成物の射出を停止し、樹脂組成物を冷却し、金型100を開いて、樹脂成形体を得る。この際、第一の中間流路10aに充填された樹脂組成物は、第一の中間層となり、第二の中間流路10bに充填された樹脂組成物は、第二の中間層となる。得られた樹脂成形体の受口部は、外周面から順に、外層12、第一の中間層、中央層11、第二の中間層及び内層14を有する5層構造となっている。
この製造方法によれば、5層構造でも、1回の射出成形によって成形できる。
1 樹脂成形体
2 直管部
3 流路
4 受口部
10 中間層
12 外層
14 内層
100 金型
110 キャビティ
120 コア

Claims (3)

  1. 内部に流路を有し、多層構造部分と単層構造部分とを有する配管構造用の樹脂成形体において、
    前記多層構造部分は、中間層と、前記流路に面する内層と、外面に位置する外層とを少なくとも有し、
    前記単層構造部分と前記中間層とが一体成形物である、配管構造用の樹脂成形体。
  2. 内部に流路を有する継手本体と、前記継手本体の開口部を囲む1つ以上の受口とを有する継手であり、
    前記多層構造部分が1つ以上の前記受口を形成している、請求項1に記載の配管構造用の樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2に記載の配管構造用の樹脂成形体の製造方法であって、
    キャビティ内に前記流路に対応するコアを配置し、
    第一の成形体を前記キャビティの内面に接して配置し、
    第二の成形体を前記コアの外面に接して配置し、
    次いで、前記キャビティ内に、樹脂組成物を射出して、前記樹脂組成物で前記中間層と前記単層構造部分を一体に形成し、前記第一の成形体で前記外層を形成し、かつ、前記第二の成形体で前記内層を形成する、配管構造用の樹脂成形体の製造方法。
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