JP2021080630A - 特殊吊補強リング、鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法 - Google Patents

特殊吊補強リング、鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】無溶接工法で用いられる鉄筋固定用金具の負担荷重を減らすことができ、建て込み作業時における撓みや変形が防止でき、施工安全性が確保された鉄筋籠を構築することができる特殊吊補強リングを提供すること。【解決手段】場所打ち杭用の鉄筋籠を構成する複数の主筋2と直交させて配設され、複数の主筋2との交差部に鉄筋固定用金具(第1金具20)が取り付けられるとともに、鉄筋籠の建て込み時に吊り具6が取り付けられる特殊吊補強リング4であって、鉄筋籠の中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2以上のリング部11と、隣り合うリング部11どうしを連結する2以上の連結部12とを装備する。【選択図】図2

Description

本発明は特殊吊補強リング、鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法に関し、より詳細には、施工安全性が確保された鉄筋籠を構築することができる特殊吊補強リング、該特殊吊補強リングを備えた鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法に関する。
構造物の建設現場では、構造物の耐震強度等を高めるために、地盤に杭を打ち込み、構造物を支える杭基礎を形成する工法が一般に採用されている。杭基礎の施工法の一つに場所打ち杭による施工法がある。場所打ち杭とは、筒状に組み立てられた鉄筋籠を掘削した杭孔内に建て込み、建て込み後にコンクリートを杭孔内に打ち込み、固めて形成したものである。場所打ち杭による施工法には、地面を掘削する方法等の違いにより、オールケーシング工法、アースドリル工法、リバース工法などのいくつかの工法が知られている。
場所打ち杭を構築するために必要となる鉄筋籠の組み立てについては、従来、溶接による仮止めが行われることが多かった。しかしながら、2012年3月に「道路橋示方書・同解説」(社団法人 日本道路協会)が改訂され、「19.8 鉄筋かごの製作及び建込み」の(1)のただし書きには、「…ただし、鉄筋の組立においては、組立上の形状保持などのための溶接を行ってはならない。」と記載され、また、その解説には、「…、溶接による…施工品質の確保が困難であり鉄筋の断面減少等の欠陥が生じるおそれがあるため、…」と記載され、鉄筋籠の主要構成部材である主筋に直接の溶接を用いてはならないように規定されている。このため、現在では、溶接を行わない無溶接工法が採用されている。このような無溶接工法で製作された鉄筋籠については、下記の特許文献1に開示されている。
特許文献1には、分割鉄筋籠が連結接続された連結鉄筋籠が記載されている。連結鉄筋籠を構成する分割鉄筋籠は、主筋と補強枠が格子状にそれぞれ交差するように配置され、環状の補強枠の内側に主筋が縦方向に所定本数格子状に配置されると共に、Uボルト形状の取り付け金具で補強枠が主筋に取付け保持固定され、その保持固定された補強枠間にフープ筋が多数並列されて、格子状に配置されると共に結束線又は取付金具で取付け保持固定されている。
このような無溶接工法で製作される鉄筋籠については、「一般社団法人 日本基礎協会」が発刊している「場所打ちコンクリート杭の鉄筋かご無溶接工法 設計・施工に関するガイドライン」に則って、鉄筋籠の形状保持と建て込み時の安全性を確保するための検討を行うことが推奨されている。
無溶接工法で製作される鉄筋籠は、主筋と、組立用鉄筋である補強枠(補強リングともいう)との各交点が取付金具(無溶接金具)で固定されるため、これら取付金具が取り付けられる補強リングが、鉄筋籠の形状保持、及び建て込み時の安全性確保に重要な役割を果たしている。上記道路橋示方書によれば、「組立用鉄筋の径及びその配置は、鉄筋かごの大きさや重量等によって異なるが、一般的に直径22mm程度の鉄筋を2〜3mの間隔に配置するのがよい。」と記載されている。
[発明が解決しようとする課題]
阪神淡路の震災以降、年々、杭頭の鉄筋籠配筋の太径/多本数化が著しくなっており、杭頭の過大な荷重を従来同様の脚部主筋(すなわち、杭頭の鉄筋籠と比べて、細径/低本数の主筋からなる鉄筋籠)が支えるという配筋になってきている。また、従来滅多に使用されることのなかったD51等の極太径主筋、D32やD35などの太径の帯筋が使用され、また、杭長も中間支持層までだったものが、より深い支持層へ到達させるようになるなど、従来の溶接工法時代とは、全く異なる困難な施工条件になってきている。
このように数年前の鉄筋籠の配筋と比較して、現在の鉄筋籠の配筋は、主筋の径や本数等が前例のないものとなってきており、鉄筋籠の大重量化、大径化が進み、過去の経験が全く役に立たないほど、施工の難易度が高くなってきている。また、鉄筋籠の大重量化、大径化が進むにつれて、鉄筋籠の建て込み作業時に補強リングの撓みや変形を防止するために、吊り具が取り付けられる補強リングの大径化、板厚(断面積)の増大化が進んできている。
しかしながら、補強リングの板厚(断面積)が大きくなると、主筋と補強リングとの交点(交差部)に取付金具を強固に取り付けにくくなり、また、取付金具の負担荷重も増大し、鉄筋下がりなどの固定位置のずれが生じやすくなるという課題があった。
さらに、近年では、鉄筋籠の建て込み作業時における吊荷重(鉄筋籠総重量)が50tを優に超える場合もあり、かかる場合、特許文献1に記載されているような従来の補強リングでは、建て込み作業時に撓みや変形が生じる虞が高くなるという課題があった。
特許第5382394号公報
課題を解決するための手段及びその効果
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、無溶接工法で用いられる鉄筋固定用金具が負担する荷重を減らすことができ、また、建て込み作業時における撓みや変形を防止でき、施工安全性が確保された鉄筋籠を構築することができる特殊吊補強リング、該特殊吊補強リングを備えた鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係る特殊吊補強リング(1)は、場所打ち杭用の鉄筋籠を構成する複数の主筋と直交させて配設され、前記複数の主筋との交差部に鉄筋固定用金具が取り付けられるとともに、前記鉄筋籠の建て込み時に吊り具が取り付けられる特殊吊補強リングであって、
前記鉄筋籠の中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2以上のリング部と、
隣り合う前記リング部どうしを連結する2以上の連結部とを備えていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(1)によれば、2以上の前記リング部と、隣り合う前記リング部どうしを連結する2以上の連結部とを備えているので、前記鉄筋籠の建て込み時の吊荷重(鉄筋籠総重量)を2以上の前記リング部に均等分散させることができ、前記リング部の撓みや変形を防止できるとともに、前記鉄筋固定用金具が負担する荷重を減らすことができる。これにより、前記鉄筋籠の建て込み作業の安全性を高めることができ、施工安全性の向上を図ることができる。
また本発明に係る特殊吊補強リング(2)は、上記特殊吊補強リング(1)において、
前記連結部が、隣り合う前記リング部の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有していることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(2)によれば、前記連結部が、隣り合う前記リング部の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有しているので、前記リング部周上に配置される前記複数の主筋と、前記連結部との間に前記張り出した形状分のスペースを確保することができる。したがって、杭孔への建て込み後にコンクリートが十分に回り込むように、コンクリートの打設を適切に行うことができる。
また本発明に係る特殊吊補強リング(3)は、上記特殊吊補強リング(1)において、
前記連結部が、ワイヤーロープを含んで構成され、
前記リング部の内側面に、前記ワイヤーロープを取り付けるための2以上の取付部が設けられていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(3)によれば、前記連結部が、前記ワイヤーロープを含んで構成され、前記リング部の内側面に、前記ワイヤーロープを取り付けるための2以上の前記取付部が設けられているので、上記特殊吊補強リング(2)と同様の効果が得られるとともに、嵩張らない形態にすることができ、運搬時の省スペース化とともに運搬効率の向上を図ることができる。
また、前記ワイヤーロープは、長さが異なる複数種類のものを含んで構成されてもよく、かかる構成によれば、隣り合う前記リング部の間隔調整や間隔変更に容易に対応することができる。また、2以上の前記取付部は、前記リング部の内側面より内側方向へ張り出した形状としてもよい。
また本発明に係る特殊吊補強リング(4)は、上記特殊吊補強リング(3)において、
前記連結部が、連結棒を含んで構成され、
前記リング部の内側面に、前記連結棒を取り付けるための2以上の取付部が設けられていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(4)によれば、前記連結部が、前記連結棒を含んで構成され、前記リング部の内側面に、前記連結棒を取り付けるための2以上の前記取付部が設けられているので、上記特殊吊補強リング(2)と同様の効果が得られるとともに、上記特殊吊補強リング(3)と同様に、嵩張らない形態にすることができ、運搬時の省スペース化とともに運搬効率の向上を図ることができる。
前記連結棒は、ネジ棒鋼でもよいし、異形棒鋼でのよいし、少なくとも両端部分にネジ加工が施された異形棒鋼でもよいし、その他の棒鋼であってもよい。
また、2以上の前記取付部に前記連結棒を取り付ける形態は、特に限定されない。例えば、前記連結棒の両端部分に取り付け可能な締結・連結具などを用いて、前記取付部に前記連結棒を取り付けもよいし、他の取り付け方法であってもよい。
また、前記連結棒は、長さが異なる複数種類のものを含んで構成されてもよいし、前記取付部に取り付ける位置調整が可能な構成でもよい。かかる構成によれば、隣り合う前記リング部の間隔調整や間隔変更に容易に対応することが可能となる。
また本発明に係る特殊吊補強リング(5)は、上記特殊吊補強リング(1)〜(4)のいずれかにおいて、
2以上の前記リング部のうち少なくとも最上段リング部が、前記交差部において、前記鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(5)によれば、2以上の前記リング部のうち少なくとも前記最上段リング部の前記交差部において、前記鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付けることが可能となる。これにより、前記交差部において前記鉄筋固定用金具が負担する荷重を分散させて、前記鉄筋固定用金具1個当たりにかかる荷重を減らす効果を高めることができ、前記主筋の固定位置のずれ防止効果を高め、施工安全性を一層向上させることができる。
また本発明に係る場所打ち杭用の鉄筋籠(1)は、上記特殊吊補強リング(1)〜(5)のいずれかを備え、該特殊吊補強リングの周上に複数の主筋が鉄筋固定用金具により取り付けられていることを特徴としている。
上記場所打ち杭用の鉄筋籠(1)によれば、上記特殊吊補強リング(1)〜(5)のいずれかを備え、該特殊吊補強リングの周上に複数の主筋が鉄筋固定用金具により取り付けられているので、鉄筋籠の建て込み作業をより安全に実施することが可能となり、施工安全性の向上を図ることができる。
また本発明に係る鉄筋籠の設計方法(1)は、鉄筋固定用金具を用いた無溶接工法により組み立てられる場所打ち杭用の鉄筋籠の設計方法であって、
前記鉄筋籠の建て込み時に吊り具が取り付けられる吊補強リング周上の主筋間における剪断応力度と曲げ応力度とが所定条件を満たすように、前記吊補強リングの仕様と前記吊り具を取り付ける吊箇所数とを決定する第1工程と、
前記鉄筋籠の建て込み時の吊荷重を前記吊補強リング周上の前記主筋による分割数で除算して、前記吊補強リング周上における前記主筋との交差部にかかる荷重(以下、分散荷重という)を算出する第2工程と、
前記分散荷重と、前記交差部に取り付けられる前記鉄筋固定用金具の許容支持力、又は該許容支持力に所定の安全率を考慮して決定された許容安全支持力とを比較する第3工程と、
前記分散荷重が前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい場合、前記鉄筋籠の建て込み時に、前記交差部に取り付けられる前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が前記許容安全支持力以下となるように、前記吊補強リングへの前記鉄筋固定用金具の取付個数を決定する第4工程とを含み、
前記分散荷重が、前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい所定値以上となる場合、又は前記鉄筋固定用金具の取付個数が、前記分割数の2倍より大きな値となる場合に、前記吊補強リングに、上記特殊吊補強リング(1)〜(5)のいずれかを用いるようにすることを特徴としている。
上記鉄筋籠の設計方法(1)によれば、前記第1工程により、前記吊補強リングに撓み又は変形を生じさせないように、前記吊補強リングにかかる荷重を均等分散させるための前記吊補強リングの仕様と前記吊箇所数とが決定され、前記第2工程により、前記分散荷重が算出される。
また、前記第3工程により、前記分散荷重と、前記鉄筋固定用金具の許容支持力、又は前記許容安全支持力とが比較されて、前記第4工程により、前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が、前記許容安全支持力以下となるように、前記吊補強リングへの前記鉄筋固定用金具の取付個数が決定される。
また、前記分散荷重が、前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい所定値以上となる場合、又は前記鉄筋固定用金具の取付個数が、前記分割数の2倍より大きな値となる場合に、前記吊補強リングとして、上記特殊吊補強リング(1)〜(5)のいずれかを用いるように設計される。したがって、前記鉄筋籠の建て込み時の吊荷重(鉄筋籠総重量)を前記吊補強リング又は前記特殊吊補強リングに均等分散させることができ、また、前記鉄筋固定用金具が負担する荷重を減らすことができる。
これにより、前記鉄筋固定用金具を用いた無溶接工法で、太径や極太径の前記主筋を用いて、大重量の前記鉄筋籠を設計する際に、鉄筋籠の建て込み時に前記吊補強リングの撓み若しくは変形、又は主筋の位置ずれ(許容値以上の位置ずれ)が起きないようにするための前記吊補強リングの仕様や種類、吊箇所数、金具数を、熟練作業者の経験や勘に頼ることなく、簡単に決定することができる。したがって、前記鉄筋固定用金具を用いた施工安全性の高い、より信頼性の高い無溶接工法を様々な施工現場に広めることができる。
また本発明に係る鉄筋籠の設計方法(2)は、上記鉄筋籠の設計方法(1)において、
前記第4工程では、
前記交差部の数に相当する個数の前記鉄筋固定用金具の許容支持力には、第1の評価係数を乗じた値を用い、
前記交差部の数を超えた残りの個数の前記鉄筋固定用金具の許容支持力には、前記第1の評価係数よりも低い第2の評価係数を乗じた値を用いて、
前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重を求めることを特徴としている。
前記鉄筋固定用金具で前記主筋を固定したときの支持力には、多少のバラつきが生じる。
上記鉄筋籠の設計方法(2)によれば、前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重を求めるにあたり、前記第1の評価係数と、前記第2の評価係数とを用いることにより、前記支持力のバラつきが考慮された値として前記負担荷重を求めることができる。
そして、前記負担荷重が前記許容安全支持力以下となるように前記取付個数を決定することにより、前記支持力にバラつきが生じた場合でも、前記主筋のずれを許容範囲に確実に抑えることができる、すなわち、施工安全性が確保された鉄筋籠の設計を行うことができる。
また本発明に係る鉄筋籠の設計方法(3)は、上記鉄筋籠の設計方法(2)において、
前記第1の評価係数が、0.8以上1.0以下であり、
前記第2の評価係数が、0.2以上0.7以下であることを特徴としている。
上記鉄筋籠の設計方法(3)によれば、前記第1の評価係数を0.8以上1.0以下の所定値に設定し、前記第2の評価係数を0.2以上0.7以下の所定値に設定することにより、前記支持力のバラつきが十分に考慮された値として前記負担荷重を求めることができ、施工安全性がより確実に確保されるように前記取付個数を決定することができる。
本発明の実施の形態に係る特殊吊補強リングを用いて構築される鉄筋籠の要部構成を示す模式図である。 実施の形態に係る特殊吊補強リングの一例を示す斜視図である。 別の実施の形態に係る特殊吊補強リングを示す斜視図である。 さらに別の実施の形態に係る特殊吊補強リングを示す斜視図である。 実施の形態に係る鉄筋籠に用いられる鉄筋固定用金具(第1金具)を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。 実施の形態に係る鉄筋籠に用いられる別の鉄筋固定用金具(第2金具)を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。 実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法を説明するための表であり、吊補強リングの仕様及び吊箇所数の設計評価内容の一例を示す表である。 実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法を説明するための表であり、鉄筋固定用金具数及び負担荷重の設計評価内容の一例を示す表である。 実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法の手順を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る特殊吊補強リング、鉄筋籠、及び鉄筋籠の設計方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、実施の形態に係る特殊吊補強リングを用いて構築される鉄筋籠の要部構成を示す模式図である。図1は、鉄筋籠の建て込み作業の状態を示している。
無溶接工法により作製される場所打ち杭用の鉄筋籠(連結鉄筋籠)10は、複数の鉄筋籠1、1A、…が連結されて構築されている。
鉄筋籠10を構成する各節の鉄筋籠1、1Aは、中心軸の周囲に該中心軸の方向とほぼ平行に配列された複数の主筋2と、中心軸とほぼ直交する円周方向に配設され、複数の主筋2と交差部を有する複数のフープ筋3と、複数の主筋2の内側に配設され、これら主筋2と交差部を有する特殊吊補強リング4及び通常補強リング5とを含んで構成されている。
これら主筋2と特殊吊補強リング4との交差部、並びにこれら主筋2と通常補強リング5との交差部が、鉄筋固定用金具(無溶接金具)である第1金具20によって固定されている。また、主筋2とフープ筋3との交差部は、鉄線結束、クリップ金具等(図示せず)により固定されている。
特殊吊補強リング4は、上下2つのリング部11と、隣り合うリング部11どうしを連結する2以上の連結部12とを含んで構成されている。特殊吊補強リング4については後述する。
通常補強リング5は、図1に示すように主筋2の内側に配設されてもよいし、主筋2の外側に配設される形態であってもよい。また、通常補強リング5は、帯状鋼板(平鋼材)で構成されてもよいし、アングル型(L型)鋼材などで構成されてもよい。
鉄筋籠1、1Aの大きさは、施工現場ごとに異なり、その直径が0.6m〜3m程度以上のものまであり、また、長さが1籠当たり12m〜14m程度に及ぶものもある。また、主筋2には、直径が19mm〜51mm程度の棒状筋が使用される。また、主筋2は、1本ずつ配置される場合の他、2本を束ねて配置される場合もある。場所打ち杭の施工現場では、このような鉄筋籠1、1A、…を連結しながら数十m以上(〜70m程度)の深さがある杭孔へ建て込む作業が行われる。
図2は、本発明の実施の形態に係る特殊吊補強リングの一例を示す斜視図である。
特殊吊補強リング4は、図1に示したように、各節の鉄筋籠1、1Aを構成する複数の主筋2と直交させて配設され、複数の主筋2との交差部に第1金具(鉄筋固定用金具)20が取り付けられるとともに、鉄筋籠1、1Aの建て込み時に吊り具6が取り付けられる。なお、吊り具6は、例えば、鉄筋籠1、1Aを吊り上げるためのクレーン装置から吊り下げられたワイヤーロープ、シャックルなどを含んで構成される。
特殊吊補強リング4は、鉄筋籠1、1Aの中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2つのリング部11と、隣り合うリング部11どうしを連結する4つの連結部12とを含む、2連結リングで構成されている。隣り合うリング部11の間隔は、鉄筋籠1、A1の重量、直径などに応じて適宜設定され、例えば、数十cmから3m程度の範囲で設定され得る。
特殊吊補強リング4は、円環状の2つのリング部11(2連結リング)で構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4は、3以上のリング部11(3連結リング以上)で構成されてもよい。また、特殊吊補強リング4は、4つの連結部12で構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4は、2つ、3つ、又は5つ以上の連結部12を含んで構成されてもよい。
特殊吊補強リング4を構成するリング部11の個数と連結部12の個数は、上段の鉄筋籠1を下段の鉄筋籠1Aと連結して、杭孔に建て込む際の吊荷重(鉄筋籠総重量)、又は吊り具6が取り付けられる箇所数(吊箇所数)などを考慮して設定される。
また、特殊吊補強リング4の2つのリング部11は、帯状鋼板(平鋼材)で構成され、主筋2との交差部において、図1に示すように、第1金具20を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えている。なお、別の実施の形態では、2以上のリング部11のうち少なくとも最上段のリング部11が、鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えている構成としてもよい。
また、特殊吊補強リング4では、2つのリング部11が、帯状鋼板(平鋼材)で構成されているが、別の実施の形態では、2つのリング部11が、アングル型(L型)鋼材で構成されてもよいし、帯状鋼板とアングル型鋼材とで構成されてもよい。例えば、最上段のリング部11が、帯状鋼板で構成され、他のリング部11が、アングル型鋼材で構成されてもよい。また、2つのリング部11の仕様(厚さ、縦幅など)は、同じ仕様にしてもよいし、異なる仕様にしてもよい。なお、異なる仕様にする場合は、最上段のリング部11の強度が、他のリング部11の強度より高くなるように設計することが好ましい。
また、特殊吊補強リング4の4つの連結部12は、隣り合うリング部11の内側面に、溶接等により固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有している。
連結部12の形状は、縦長の略コの字形状に限定されるものではなく、リング部11の内側面より内側方向へ張り出した形状であればよく、別の実施の形態では、連結部12の形状が、略くの字形状、又は円弧形状などであってもよい。
また、4つの連結部12は、平鋼材で構成されているが、別の実施の形態では、4つの連結部12が、棒鋼で構成されてもよいし、アングル型(L型)鋼材などで構成されてもよい。
図3は、別の実施の形態に係る特殊吊補強リング4Aを示す斜視図である。なお、図3では、ワイヤーロープ121の記載が一部省略されている。
特殊吊補強リング4Aは、各節の鉄筋籠1、1Aの中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2つのリング部11Aと、隣り合うリング部11Aどうしを連結する4つの連結部12Aとを含む、2連結リングで構成されている。隣り合うリング部11Aの間隔は、鉄筋籠1、A1の重量、直径などに応じて適宜設定され、例えば、数十cmから3m程度の範囲で設定され得る。
特殊吊補強リング4Aは、円環状の2つのリング部11A(2連結リング)で構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4Aは、3以上のリング部11A(3連結リング以上)で構成されてもよい。また、特殊吊補強リング4Aは、4つの連結部12Aを含んで構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4Aは、2つ、3つ、又は5つ以上の連結部12Aを含んで構成されてもよい。
特殊吊補強リング4Aを構成するリング部11Aの個数と連結部12Aの個数は、上段の鉄筋籠1を下段の鉄筋籠1Aと連結して、杭孔に建て込む際の吊荷重(鉄筋籠総重量)、又は吊り具6が取り付けられる箇所数(吊箇所数)などを考慮して設定される。
また、特殊吊補強リング4Aの2つのリング部11Aは、帯状鋼板(平鋼材)で構成され、主筋2との交差部において、第1金具20を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えてもよい。なお、別の実施の形態では、2以上のリング部11Aのうち少なくとも最上段のリング部11Aが、鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えている構成としてもよい。
また、特殊吊補強リング4Aでは、2つのリング部11Aが、帯状鋼板(平鋼材)で構成されているが、別の実施の形態では、2つのリング部11Aが、アングル型(L型)鋼材で構成されてもよいし、帯状鋼板とアングル型鋼材とで構成されてもよい。例えば、最上段のリング部11Aが、帯状鋼板で構成され、他のリング部11Aが、アングル型鋼材で構成されてもよい。また、2つのリング部11Aの仕様(厚さ、縦幅など)は、同じ仕様にしてもよいし、異なる仕様にしてもよい。なお、異なる仕様にする場合は、最上段のリング部11Aの強度が、他のリング部11Aの強度より高くなるように設計することが好ましい。
また、特殊吊補強リング4Aの4つの連結部12Aは、ワイヤーロープ121と、ワイヤーロープ121の両端に取り付けられる吊り金具122とを含んで構成されている。吊り金具122は、例えば、シャックルなどで構成される。ワイヤーロープ121は、異なる所定の長さに設計されたものを予め複数種類備えてもよい。また、ワイヤーロープ121の種類(直径など)は、吊荷重(鉄筋籠総重量)などを考慮して適宜選択され得る。
また、リング部11Aの内側面には、吊り金具122を介してワイヤーロープ121を取り付けるための4つの取付部111が等間隔で設けられている。4つの取付部111は、リング部11Aの内側面に、溶接等により固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有している。取付部111は、例えば、平鋼材で構成され、吊り金具122を取り付けるための取付孔が形成されている。
図4は、さらに別の実施の形態に係る特殊吊補強リング4Bを示す斜視図である。
特殊吊補強リング4Bは、各節の鉄筋籠1、1Aの中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2つのリング部11Bと、隣り合うリング部11Bどうしを連結する4つの連結部12Bとを含む、2連結リングで構成されている。隣り合うリング部11Bの間隔は、鉄筋籠1、A1の重量、直径などに応じて適宜設定され、例えば、数十cmから3m程度の範囲で設定され得る。
特殊吊補強リング4Bは、円環状の2つのリング部11B(2連結リング)で構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4Bは、3以上のリング部11B(3連結リング以上)で構成されてもよい。また、特殊吊補強リング4Bは、4つの連結部12Bを含んで構成されているが、別の実施の形態では、特殊吊補強リング4Bは、2つ、3つ、又は5つ以上の連結部12Bを含んで構成されてもよい。
特殊吊補強リング4Bを構成するリング部11Bの個数と連結部12Bの個数は、上段の鉄筋籠1を下段の鉄筋籠1Aと連結して、杭孔に建て込む際の吊荷重(鉄筋籠総重量)、又は吊り具6が取り付けられる箇所数(吊箇所数)などを考慮して設定され得る。
特殊吊補強リング4Bの2つのリング部11Bは、帯状鋼板(平鋼材)で構成され、主筋2との交差部において、鉄筋固定用金具である第1金具20を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えてもよい。なお、別の実施の形態では、2以上のリング部11Bのうち少なくとも最上段のリング部11Bが、鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えている構成としてもよい。
また、特殊吊補強リング4Bでは、2つのリング部11Bが、帯状鋼板(平鋼材)で構成されているが、別の実施の形態では、2つのリング部11Bが、アングル型(L型)鋼材で構成されてもよいし、帯状鋼板とアングル型鋼材とで構成されてもよい。例えば、最上段のリング部11Bが、帯状鋼板で構成され、他のリング部11Bが、アングル型鋼材で構成されてもよい。また、2つのリング部11Bの仕様(厚さ、縦幅など)は、同じ仕様にしてもよいし、異なる仕様にしてもよい。なお、異なる仕様にする場合は、最上段のリング部11Bの強度が、他のリング部11Bの強度より高くなるように設計することが好ましい。
また、特殊吊補強リング4Bの4つの連結部12Bは、連結棒123と、連結棒123の両端部に取り付けられる棒固定金具124とを含んで構成されている。連結棒123は、ネジ棒鋼でもよいし、異形棒鋼でもよいし、両端部にネジ加工がされた異形棒鋼でもよい。連結棒123は、異なる所定の長さに設計されたものを予め複数種類備えてもよいし、カプラーなどを用いて連結可能な構成としてもよい。棒固定金具124には、例えば、ナット、カプラーなどの締結・連結具が使用される。
リング部11Bの内側面には、棒固定金具124を用いて連結棒123を取り付けるための4つの取付部112が等間隔で設けられている。4つの取付部112は、リング部11Aの内側面に、溶接等により固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有している。取付部111は、例えば、肉厚の平鋼材、角鋼管などで構成され、連結棒123を取り付ける(挿通させる)ための取付孔が形成されている。
図5は、実施の形態に係る鉄筋籠の主筋と特殊吊補強リングとの交差部に取り付けられる第1金具20の一例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。
第1金具20は、板状体がコ字状に折り返されてコ字状の折曲部21及び左右側片22を有する金具本体を備え、左右側片22のそれぞれの一側縁より補強リング挿入用の挿入溝23が形成され、折曲部21に固定用ボルト挿通用の挿通孔24が形成されている。折曲部21には、挿通孔24に連通するナット25が固着され、ナット25に固定用ボルト26が取り付けられている。
なお、ナット25は、折曲部21の外側に固着してもよいし、折曲部21の内側に固着してもよい。また、ナット25を設けずに、折曲部21に、固定用ボルト用のネジ孔が形成されてもよい。板状体はコ字状の他、略U字状に折り返されてもよい。また、第1金具20は、主筋2を縦に2本束ねた縦束ね筋に適用できるように板状体の左右側片22を深めに構成してもよい。また、主筋2を横に2本束ねた横束ね筋に適用できるように板状体の折曲部21が幅広に構成されてもよい。また、図1に示すように、通常補強リング5に取り付けられる第1金具20の一部は、建て込み時(連結後)に鉄筋籠10から取り外して回収し、再利用することも可能である。また、金具本体の左右側片22には、掘削孔の壁面との間隔を確保するための鉄筋籠用スペーサ(図示せず)の軸部を挿通させるための軸受け(図示せず)が設けられてもよい。
図6は、実施の形態に係る鉄筋籠の主筋と特殊吊補強リングとの交差部に取り付けられる別の鉄筋固定用金具(第2金具30)を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。
第2金具30は、金具本体31と、押圧部材36とを含んで構成されている。
金具本体31は、2本の主筋2を跨ぐように板状体が略U字状に折り曲げられて、左右側板部32と主筋把持部33とが形成され、左右側板部32の先端側にそれぞれ係止片34が形成されたものである。金具本体31の左右側板部32の係止片34は、左右側板部32の一側縁を略凹形状に切り欠いた切欠き部35により形成されている。
押圧部材36は、金具本体31の左右側板部32の係止片34間に跨設されるように肉厚短冊状の板体が略コの字形状に折り曲げられて、左右折片部37と連結板部38とが形成されている。連結板部38にボルト螺合用ネジ孔38aが形成され、ボルト螺合用ネジ孔38aに特殊吊補強リング4(4A、4B)のリング部11(11A、11B)、又は通常補強リング5を主筋2側に押圧するための押えボルト39が螺装される構成となっている。
なお、金具本体31の左右側板部32には、掘削孔の壁面との間隔を確保するための鉄筋籠用スペーサ(図示せず)の軸部を挿通させるための軸受け(図示せず)が設けられていてもよい。
また、図6に示した第2金具30は、縦束ね筋に対応したもの(2本の主筋を跨ぐように板状体が略U字状に折り曲げられている構成)となっているが、金具本体31が、一本の主筋2を跨ぐように左右側板部32を浅めに構成してもよい。
鉄筋固定用金具には、上記した第1金具20、又は第2金具30を使用することが好ましいが、必要な許容支持力を確保できる金具であれば、これら第1金具20、及び第2金具30に限定されない。例えば、特殊吊補強リング4(4A、4B)のリング部11(11A、11B)、又は通常補強リング5と、主筋2との交差部をUボルトで固定するタイプの金具、交差部の主筋2に引っ掛けてボルトで固定するタイプの金具、又は交差部の主筋2をボルトで直接締め付けるタイプの金具など、各種の無溶接金具を使用することができる。また、これら各種の無溶接金具を組み合わせて使用してもよい。なお、前記Uボルトを用いる場合には、リング部11(11A、11B)、又は通常補強リング5周上の主筋2を配設する位置には、Uボルトの端部を通して、ナットで固定するための挿通孔が形成される。
次に、本発明の実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法について説明する。
なお、実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法では、特に、鉄筋籠の建て込み作業の施工安全性を確保するために、鉄筋籠を吊り上げるための吊り具6が取り付けられる吊補強リングの仕様(鋼材種類、厚さ、幅など)と種類(特殊吊補強リング4又は通常補強リング5)、吊り具6が取り付けられる吊箇所数、及び吊補強リングに取り付けられる鉄筋固定用金具(第1金具20又は第2金具30)の取付個数を決定する。
実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法は、第1工程、第2工程、第3工程、及び第4工程を含んでいる。なお、第1工程よりも前の工程において、場所打ち杭用の鉄筋籠10を構成する各節の鉄筋籠1、1Aの数(籠数)、直径、主筋2の仕様(本数、長さ、径など)、フープ筋3(帯筋)の仕様(本数、設置間隔、径など)などが設計されている。
第1工程は、鉄筋籠の建て込み時に吊り具6が取り付けられる吊補強リング(特殊吊補強リング4又は通常補強リング5)周上の主筋2間における剪断応力度と曲げ応力度とが所定条件(例えば、鋼材の短期許容応力度)を満たすように、吊補強リング(特殊吊補強リング4又は通常補強リング5)の仕様と吊り具6を取り付ける吊箇所数とを決定する。
第2工程は、鉄筋籠の建て込み時の吊荷重を吊補強リング(特殊吊補強リング4又は通常補強リング5)周上の主筋2による分割数で除算して、吊補強リング周上における主筋2との交差部にかかる荷重(分散荷重)を算出する。
第3工程は、第2工程で算出した分散荷重と、前記交差部に取り付けられる鉄筋固定用金具(第1金具20又は第2金具30)の許容支持力、又は該許容支持力に所定の安全率を考慮して決定された許容安全支持力とを比較する。
第4工程は、前記分散荷重が前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい場合、鉄筋籠の建て込み時に、前記交差部に取り付けられる鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が前記許容安全支持力以下となるように、吊補強リング(特殊吊補強リング4又は通常補強リング5)への鉄筋固定用金具の取付個数を決定する。
次に実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法の一例を図7、図8に基づいて説明する。
図7、図8は、最上節(杭頭側)の第1節から最下節(杭底側)の第9節までの鉄筋籠が連結されて構築される場所打ち杭用の鉄筋籠(連結鉄筋籠)の設計及び評価内容を示している。なお、鉄筋籠の連結、及び杭孔への建て込み作業は、最下節の鉄筋籠から順番に行われる。
図7は、実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法を説明するための表であり、吊補強リングの仕様及び吊箇所数の設計評価内容の一例を示す表である。
図7に示す設計評価表において、「鉄筋籠」の欄は、連結される鉄筋籠の節数を示している。本例では、杭頭側最上節の第1節から最下節の第9節までの鉄筋籠が連結されて場所打ち杭用の鉄筋籠が構築される設計となっている。
「吊位置」の欄は、鉄筋籠の建て込み作業時において、鉄筋籠を吊り上げるための吊り具6が取り付けられるリング(吊補強リング)に付された番号(No)を示している。リングNoは、第1節鉄筋籠の最上段リングから順番に付されている。本例では、各節の鉄筋籠に3つの補強リングが設けられている設計となっており(例えば、第1節鉄筋籠はNo.1〜3の補強リングが設けられている)、各節の鉄筋籠の最上段リングが吊補強リングとして吊位置に設定されている。
「吊荷重A」の欄は、各節の鉄筋籠を連結して、杭孔に建て込むときの鉄筋籠総重量を示している。例えば、第1節鉄筋籠の吊荷重「76.50t」は、第1節から第9節までの鉄筋籠が連結されたときの総重量を示している。
「吊補強リング」の欄は、決定された吊補強リングの仕様(鋼材種類、厚さ、幅を含む)を示している。例えば、第1節鉄筋籠の吊補強リング「FB−25*150」は、「平鋼材−厚さ25mm*縦幅150mm」を示している。また、第8節鉄筋籠の吊補強リング「L−13*100*100」は、「L型鋼材−厚さ13mm*幅100mm*100mm」を示している。
「主筋径」の欄は、各節の鉄筋籠に使用される主筋の呼び径を示している。「D41」は、鉄筋の呼び名である。
「リング外径」の欄は、吊補強リングの外径(mm)を示している。
「分割数B」の欄は、吊補強リング周上の主筋による分割数を示している。本例では、吊補強リング周上を48分割するように主筋2が均等配置される設計となっている。
「吊箇所数」の欄は、各節の鉄筋籠(連結された鉄筋籠)を杭孔に建て込む際に、吊り具6が吊補強リングに取り付けられる箇所数を示している。例えば、「4点吊」は、吊り具6が吊補強リングの4箇所に取り付けられる設計、「2点吊」は、吊り具6が吊補強リングの2箇所に取り付けられる設計となっている。
「剪断応力度(τ)」の欄は、各節の鉄筋籠(連結された鉄筋籠)を杭孔に建て込む際にかかる吊補強リングの剪断応力度(吊補強リング周上の主筋2間における剪断応力度)を示している。
「曲げ応力度(σ)」の欄は、各節の鉄筋籠(連結された鉄筋籠)を杭孔に建て込む際にかかる吊補強リングの曲げ応力度(吊補強リング周上の主筋2間における曲げ応力度)を示している。
吊補強リングの剪断応力度、及び曲げ応力度の算出式の一例を以下に説明する。
吊補強リング周上の主筋2の間隔をL(mm)、L=D2×π/n、
吊り具6の吊箇所数をm、
鉄筋籠の建て込み時の吊重量(鉄筋籠総重量)をW(kN)、
吊補強リングの曲げモーメントをM(N・mm)、M=(W1×L)/4(両端固定)、
吊り具1箇所にかかる荷重W1=W/m(kN)
吊補強リングの直径をD2、
主筋の本数をn(本)、
吊補強リングの断面積をA(mm
吊補強リング(鋼材)の断面係数をZ(mm)とした場合、
剪断応力度(τ)は、式τ=W1/A(Nmm)により求められる。
また、曲げ応力度(σ)は、式σ=M/Z(N)により求められる。
「判定」の欄は、吊補強リングの剪断応力度(τ)及び曲げ応力度(σ)が所定条件を満たしているか否かの判定結果を示している。
本例では、剪断応力度(τ)が、鋼材(例えば、SS400)の短期許容剪断応力度(120Nmm2)未満であり、かつ曲げ応力度(σ)が、鋼材(例えば、SS400)の短期曲げ応力度(210N)未満であるか否かの判定結果を示している。この判定結果が「OK」となるように(前記所定条件を満たすように)、「吊補強リング」の仕様と、「吊箇所数」とが決定されるようになっている。
「分散荷重」の欄は、各節の鉄筋籠の吊荷重Aを分割数Bで除算した値、すなわち、吊補強リング周上における主筋2との交差部にかかる荷重を示している。
図8は、実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法を説明するための表であり、鉄筋固定用金具数及び負担荷重の設計評価内容の一例を示す表である。
図8に示す設計評価表において、「鉄筋籠」の欄は、連結される鉄筋籠の節数を示している。「吊位置」の欄は、鉄筋籠の建て込み作業時において、鉄筋籠を吊り上げるための吊り具6が取り付けられるリング(吊補強リング)に付された番号(No)を示している。
「補強リング 固定方法」の欄は、吊補強リングの形態、該吊補強リングへの鉄筋固定用金具の固定方法を示している。
本例では、第1節から第3節の鉄筋籠の吊補強リングに2連結リング(特殊吊補強リング4)が用いられる設計となっている。
また、第4節から第6節の鉄筋籠の吊補強リングに通常補強リング5(1連リング)が用いられ、主筋2との交差部に鉄筋固定用金具(第1金具20又は第2金具30)が上下2箇所固定(上下固定)される設計となっている。
第7節から第9節の鉄筋籠の吊補強リングに通常補強リング5が用いられ、主筋2との交差部に鉄筋固定用金具(第1金具20又は第2金具30)が1箇所固定(通常固定)される設計となっている。
「鉄筋固定用金具数」の欄は、「吊補強リング」に取り付けられる鉄筋固定用金具の個数を示している。例えば、第1節鉄筋籠の2連結リングには、178個の金具(第1金具20又は第2金具30)が取り付けられる設計となっている。すなわち、2連結リング(例えば、特殊吊補強リング4)の上段のリング部11(リングNo.1)に96個(上下固定)、下段のリング部11(リングNo.2)に82個(上下固定)の金具(第1金具20又は第2金具30)が取り付けられる設計となっている。
また、第4節から第6節の鉄筋籠の吊補強リング(通常補強リング5)には、96個(上下固定)の金具が取り付けられる設計となっている。
また、第7節から第9節の鉄筋籠の吊補強リング(通常補強リング5)には、48個(通常固定)の金具が取り付けられる設計となっている。
「100%評価個数」の欄、及び「50%評価個数」の欄は、「負担荷重」を求める際に使用される評価条件を示している。
100%評価個数とは、「負担荷重」を求める際に使用する鉄筋固定用金具の許容支持力に、第1の評価係数1.0(100%)を乗じる金具の個数を示している。
50%評価個数とは、「負担荷重」を求める際に使用する鉄筋固定用金具の許容支持力に、第2の評価係数0.5(50%)を乗じる金具の個数を示している。
例えば、第1節鉄筋籠のリングNo.1の吊補強リング(特殊吊補強リング4)では、178個の鉄筋固定用金具のうち48個(すなわち、通常固定に相当する個数)は、100%の許容支持力が得られるものとして評価するようになっている。
一方、178個の鉄筋固定用金具のうち残りの130個は、金具固定力のバラつきなどの影響を考慮して、50%の許容支持力しか得られないものとして評価するようになっている。
「負担荷重」の欄は、各節の鉄筋籠の吊補強リング(特殊吊補強リング4、又は通常補強リング5)に取り付けられる鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重であり、以下の式に基づいて算出される。
負担荷重(t/個)=吊荷重A÷(100%評価個数×第1の評価係数+50%評価個数×第2の評価係数)
例えば、第1節鉄筋籠のリングNo.1の吊補強リングに取り付けられる金具の負担荷重は、76.50t(吊荷重)÷(48個×1.0+130個×0.5)≒0.677t/個(約0.7t/個)となる。
なお、本例では、第1の評価係数が1.0(100%評価)、第2の評価係数が0.5(50%評価)に設定されているが、第1の評価係数、及び第2の評価係数は、これら値に限定されない。別の実施の形態では、第1の評価係数は、0.8以上1.0未満の値に設定してもよく、また第2の評価係数は、0.2以上0.7以下の値に設定してもよい。なお、第2の評価係数は、施工経験上、0.25以上0.5以下の値に設定することがより好ましい。また、これら評価係数の値は、吊重量、分割数、鉄筋固定用金具数、鉄筋固定用金具の種類など、鉄筋籠の仕様に応じて設定してもよい。
「判定」欄は、「負担荷重」が、鉄筋固定用金具の許容安全支持力以下であるか否かを判定した結果を示している。
本実施の形態で用いられる鉄筋固定用金具(第1金具20、及び第2金具30)の許容支持力は、10kN(1t)である。この場合、許容安全支持力は、許容支持力に所定の安全率(例えば、1.5)を考慮して決定された値、すなわち、7kN(0.7t)となっている。この場合、「負担荷重」が、0.7(t/個)以下(許容安全支持力以下)となればOKと判定される。
図8に示す設計評価表では、第1節から第9節の鉄筋籠の吊補強リングに取り付けられる鉄筋固定用金具の負担荷重は、いずれも0.7t/個以下となっており、OKと判定されている。
図9は、上記した実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS1では、鉄筋籠の建て込み時に吊り具6が取り付けられる吊補強リング周上の主筋2間における剪断応力度(τ)と曲げ応力度(σ)とが所定条件(τ<120Nmm、且つσ<210N)を満たすように、第1節から第9節のそれぞれの鉄筋籠に使用する吊補強リングの仕様(鋼材種類、厚さ、幅を含む)と吊り具6が取り付けられる吊箇所数とを決定する(第1工程)。
次にステップS2では、第1節から第9節のそれぞれの鉄筋籠の建て込み時の吊荷重Aを吊補強リング周上の主筋2による分割数Bで除算して、前記吊補強リング周上における主筋2との交差部にかかる分散荷重(A/B)を算出する(第2工程)。
次にステップS3では、ステップS2で算出した分散荷重(A/B)と、前記交差部に取り付けられる鉄筋固定用金具(第1金具20、又は第2金具30)の許容支持力(10kN≒1t)に所定の安全率を考慮して決定された許容安全支持力(7kN≒0.7t)とを比較する(第3工程)。例えば、第1節から第9節のそれぞれの前記分散荷重(A/B)が、前記許容安全支持力より大きいか否かを比較判定する。なお、第3工程において、第1節から第9節のそれぞれの前記分散荷重(A/B)と、前記許容支持力(10kN≒1t)とを比較してもよい。
ステップS3において、前記分散荷重(A/B)が、前記許容安全支持力より大きくない(換言すれば、前記許容安全支持力以下である)と判断すれば(図7に示す第7節から第9節の鉄筋籠の場合に該当する)、ステップS4に進む。
ステップS4では、前記交差部に取り付けられる鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が前記許容安全支持力以下となるので、前記交差部1箇所につき、1個の金具を取り付けるように、鉄筋固定用金具の取付個数を決定し(すなわち、通常補強リング5に金具を通常固定する方法に決定し)、その後、処理を終える。例えば、図8に示す第7節から第9節の鉄筋籠の場合、吊補強リング(通常補強リング5)に取り付ける金具数が、48個に決定される。
一方ステップS3において、前記分散荷重(A/B)が、前記許容安全支持力より大きいと判断すれば(図7に示す第1節から第6節の鉄筋籠の場合に該当する)、ステップS5に進む。
ステップS5では、各節(第1節から第6節)の鉄筋籠の建て込み時に、前記交差部に取り付けられる鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が前記許容安全支持力(7kN≒0.7t)以下となるように、吊補強リングへの鉄筋固定用金具の取付個数を決定し(第4工程)、その後ステップS6に進む。
なお、前記負担荷重は、上記した次式により求めることが可能である。
負担荷重(t/個)=吊荷重A÷(100%評価個数(48)×第1の評価係数(1.0)+50%評価個数×第2の評価係数(0.5))
本例では、100%評価個数は48個に設定されるので、負担荷重が0.7t/個以下となるように50%評価個数を求めて、これらの合計を前記取付個数とする。
ステップS6では、ステップS5で求めた鉄筋固定用金具の取付個数が、分割数Bの2倍(本例では、分割数48×2=96)より大きな値であるか否かを判断し、鉄筋固定用金具の取付個数が、分割数Bの2倍より大きな値であると判断すれば(図8に示す第1節から第3節の鉄筋籠の場合に該当する)、ステップS7に進む。
なお、ステップS6の手順に代えて、例えば、分散荷重(A/B)が、前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい所定値以上であるか否かを判断し、分散荷重(A/B)が、前記所定値以上であると判断すれば、ステップS7に進むようにしてもよい。
ステップS7では、使用する吊補強リングを特殊吊補強リング4に決定し、特殊吊補強リング4のリング部11に鉄筋固定用金具を上下固定する方法に決定し、その後処理を終える。なお、前記取付個数が、前記分割数の2倍より大きく、4倍以下の場合は、特殊吊補強リング4に2連結リングを用いる。また、前記取付個数が、分割数Bの4倍より大きく、6倍以下の場合は、特殊吊補強リング4に3連結リングを用いるようにしてもよい。
一方、ステップS6において、前記鉄筋固定用金具の取付個数が、前記分割数の2倍より大きな値ではないと判断すれば(図8に示す第4節から第6節の鉄筋籠の場合に該当する)、ステップS8に進む。
ステップS8では、通常補強リング5に鉄筋固定用金具を上下固定する方法に決定し、その後処理を終える。
なお、上記設計方法は、剪断応力度、曲げ応力度、金具の負担荷重などを求めるための計算(算出)式、鉄筋(鋼材)の断面性能(種類、重量、断面係数、断面積など)などの各種設計条件などがメモリに記憶されたコンピュータ装置を用い、該コンピュータ装置に、本設計方法のプログラムを実行させることにより実現する構成としてもよい。
上記実施の形態に係る特殊吊補強リング4によれば、2以上のリング部11と、隣り合うリング部11どうしを連結する2以上の連結部12とを備えているので、鉄筋籠の建て込み時の吊荷重を2以上のリング部11に均等分散させることができ、リング部11の撓みや変形を防止できるとともに、第1金具20又は第2金具30の負担荷重を減らすことができる。これにより、鉄筋籠の建て込み作業の安全性を高めることができ、施工安全性の向上を図ることができる。
また、上記特殊吊補強リング4によれば、連結部12が、隣り合うリング部11の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した略コの字形状を有しているので、リング部11周上に配置される複数の主筋2と、連結部12との間に前記張り出した形状分のスペースを確保することができる。したがって、杭孔への建て込み後にコンクリートが十分に回り込むように、コンクリートの打設を適切に行うことができる。
また、特殊吊補強リング4によれば、2以上のリング部11のうち少なくとも最上段のリング部が、前記交差部において、第1金具20を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えているので、前記交差部において第1金具20が負担する荷重を分散させて、鉄筋固定用金具1個当たりにかかる荷重を減らす効果を高めることができ、主筋2の固定位置のずれ防止効果を高め、施工安全性を一層向上させることができる。
また、図3に示す特殊吊補強リング4Aによれば、連結部12Aが、ワイヤーロープ121を含んで構成され、リング部11Aの内側面に、ワイヤーロープ121を取り付けるための2以上の取付部111が設けられているので、特殊吊補強リング4と同様の効果が得られるとともに、嵩張らない形態にすることができ、運搬時の省スペース化とともに運搬効率の向上を図ることができる。
また、図4に示す特殊吊補強リング4Bによれば、連結部12Bが、連結棒123、棒固定金具124を含んで構成され、リング部11Bの内側面に、連結棒123を取り付けるための2以上の取付部112が設けられているので、上記特殊吊補強リング4と同様の効果が得られるとともに、上記特殊吊補強リング4Aと同様に、嵩張らない形態にすることができ、運搬時の省スペース化とともに運搬効率の向上を図ることができる。
また、上記実施の形態に係る鉄筋籠10によれば、少なくとも最上節の鉄筋籠1に特殊吊補強リング4を備え、特殊吊補強リング4の周上に複数の主筋2が第1金具20により取り付けられているので、上記した特殊吊補強リング4の有する効果により、鉄筋籠の建て込み作業をより安全に実施することが可能となり、施工安全性の向上を図ることができる。
また、上記実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法によれば、第1金具20、第2金具30などを用いた無溶接工法で、太径、極太径の主筋2を用いて、大重量の鉄筋籠10を設計する際に、鉄筋籠の建て込み時に吊補強リング(特殊吊補強リング4や通常補強リング5)の撓み若しくは変形、又は主筋2の位置ずれ(許容値以上の位置ずれ)が起きないようにするための前記吊補強リングの仕様や種類、吊箇所数、鉄筋固定用金具数を、熟練作業者の経験や勘に頼ることなく、簡単に決定することができる。したがって、施工安全性の高い、より信頼性の高い無溶接工法を様々な施工現場に広めることができる。
また、上記実施の形態に係る鉄筋籠の設計方法によれば、鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重を求めるにあたり、適切な値に設定された前記第1の評価係数と、前記第2の評価係数とを用いることにより、第1金具20や第2金具30で主筋2を固定したときの支持力のバラつきが考慮された値として前記負担荷重を求めることができる。そして、前記負担荷重が前記許容安全支持力以下となるように前記取付個数を決定することにより、前記支持力にバラつきが生じた場合でも、主筋2のずれを許容範囲に確実に抑えることができる、すなわち、施工安全性が確保された鉄筋籠の設計を行うことができる。
1、1A 鉄筋籠
2 主筋
3 フープ筋
4、4A、4B 特殊吊補強リング
5 通常補強リング
6 吊り具
10 鉄筋籠(連結鉄筋籠)
11、11A、11B リング部
111、112 取付部
12、12A、12B 連結部
121 ワイヤーロープ
122 吊り金具
123 連結棒
124 棒固定金具
20 第1金具(鉄筋固定用金具)
21 折曲部
22 左右側片
23 挿入溝
24 挿通孔
25 ナット
26 固定用ボルト
30 第2金具(鉄筋固定用金具)
31 金具本体
32 左右側板部
33 主筋把持部
34 係止片
35 切欠き部
36 押圧部材
37 左右折片部
38 連結板部
39 押えボルト
上記目的を達成するために本発明に係る特殊吊補強リング(1)は、場所打ち杭用の鉄筋籠を構成する複数の主筋と直交させて配設され、前記複数の主筋との交差部に鉄筋固定用金具が取り付けられるとともに、前記鉄筋籠の建て込み時に吊り具が取り付けられる特殊吊補強リングであって、
当該特殊補強リングが、
前記鉄筋籠の中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2以上のリング部と、
前記所定間隔を設けて配置される隣り合う前記リング部の内側面どうしを連結する2以上の連結部とを備えていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(1)によれば、2以上の前記リング部と、前記所定間隔を設けて配置される隣り合う前記リング部の内側面どうしを連結する2以上の連結部とを備えているので、前記鉄筋籠の建て込み時の吊荷重(鉄筋籠総重量)を2以上の前記リング部に均等分散させることができ、前記リング部の撓みや変形を防止できるとともに、前記鉄筋固定用金具が負担する荷重を減らすことができる。これにより、前記鉄筋籠の建て込み作業の安全性を高めることができ、施工安全性の向上を図ることができる。
また本発明に係る特殊吊補強リング(2)は、上記特殊吊補強リング(1)において、
前記連結部が、隣り合う前記リング部の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有し
前記主筋と前記連結部との間に、前記張り出した形状分のスペースが確保されていることを特徴としている。
上記特殊吊補強リング(2)によれば、前記連結部が、隣り合う前記リング部の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有し、前記主筋と前記連結部との間に、前記張り出した形状分のスペースが確保されているので、前記リング部周上に配置される前記複数の主筋と、前記連結部との間に前記張り出した形状分のスペースを確保することができる。したがって、杭孔への建て込み後にコンクリートが十分に回り込むように、コンクリートの打設を適切に行うことができる。

Claims (9)

  1. 場所打ち杭用の鉄筋籠を構成する複数の主筋と直交させて配設され、前記複数の主筋との交差部に鉄筋固定用金具が取り付けられるとともに、前記鉄筋籠の建て込み時に吊り具が取り付けられる特殊吊補強リングであって、
    前記鉄筋籠の中心軸方向に所定間隔を設けて配置される2以上のリング部と、
    隣り合う前記リング部どうしを連結する2以上の連結部とを備えていることを特徴とする特殊吊補強リング。
  2. 前記連結部が、
    隣り合う前記リング部の内側面に固定されて、該内側面より内側方向へ張り出した形状を有していることを特徴とする請求項1記載の特殊吊補強リング。
  3. 前記連結部が、ワイヤーロープを含んで構成され、
    前記リング部の内側面に、前記ワイヤーロープを取り付けるための2以上の取付部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の特殊吊補強リング。
  4. 前記連結部が、連結棒を含んで構成され、
    前記リング部の内側面に、前記連結棒を取り付けるための2以上の取付部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の特殊吊補強リング。
  5. 2以上の前記リング部のうち少なくとも最上段リング部が、前記交差部において、前記鉄筋固定用金具を上下2箇所に取り付け可能な縦幅を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の特殊吊補強リング。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載の特殊吊補強リングを備え、
    該特殊吊補強リングの周上に複数の主筋が鉄筋固定用金具により取り付けられていることを特徴とする場所打ち杭用の鉄筋籠。
  7. 鉄筋固定用金具を用いた無溶接工法により組み立てられる場所打ち杭用の鉄筋籠の設計方法であって、
    前記鉄筋籠の建て込み時に吊り具が取り付けられる吊補強リング周上の主筋間における剪断応力度と曲げ応力度とが所定条件を満たすように、前記吊補強リングの仕様と前記吊り具を取り付ける吊箇所数とを決定する第1工程と、
    前記鉄筋籠の建て込み時の吊荷重を前記吊補強リング周上の前記主筋による分割数で除算して、前記吊補強リング周上における前記主筋との交差部にかかる荷重(以下、分散荷重という)を算出する第2工程と、
    前記分散荷重と、前記交差部に取り付けられる前記鉄筋固定用金具の許容支持力、又は該許容支持力に所定の安全率を考慮して決定された許容安全支持力とを比較する第3工程と、
    前記分散荷重が前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい場合、前記鉄筋籠の建て込み時に、前記交差部に取り付けられる前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重が前記許容安全支持力以下となるように、前記吊補強リングへの前記鉄筋固定用金具の取付個数を決定する第4工程とを含み、
    前記分散荷重が、前記許容支持力又は前記許容安全支持力より大きい所定値以上となる場合、又は前記鉄筋固定用金具の取付個数が、前記分割数の2倍より大きな値となる場合に、前記吊補強リングに、請求項1〜5のいずれかの項に記載の特殊吊補強リングを用いるようにすることを特徴とする鉄筋籠の設計方法。
  8. 前記第4工程では、
    前記交差部の数に相当する個数の前記鉄筋固定用金具の許容支持力には、第1の評価係数を乗じた値を用い、
    前記交差部の数を超えた残りの個数の前記鉄筋固定用金具の許容支持力には、前記第1の評価係数よりも低い第2の評価係数を乗じた値を用いて、
    前記鉄筋固定用金具1個当たりの負担荷重を求めることを特徴とする請求項7記載の鉄筋籠の設計方法。
  9. 前記第1の評価係数が、0.8以上1.0以下であり、
    前記第2の評価係数が、0.2以上0.7以下であることを特徴とする請求項8記載の鉄筋籠の設計方法。
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