JP7128108B2 - 連結鉄筋籠の設計方法 - Google Patents
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阪神淡路の震災以降、年々、杭頭の鉄筋籠配筋の太径/多本数化が著しくなっており、杭頭の過大な荷重を従来同様の脚部主筋(すなわち、杭頭の鉄筋籠と比べて、細径/低本数の主筋からなる鉄筋籠)が支えるという、座屈が起こりやすい配筋になってきている。また、従来滅多に使用されることのなかったD51等の極太径主筋、D32やD35などの太径の帯筋が使用され、また、杭長も中間支持層までだったものが、より深い支持層へ到達させるようになるなど、従来の溶接工法時代とは、全く異なる困難な施工条件になってきている。
中心軸の周囲に該中心軸の方向とほぼ平行に配列された複数の主筋と、
前記中心軸とほぼ直交する円周方向に配設され、前記複数の主筋と交差部を有する複数のフープ筋と、
前記複数の主筋の内側又は外側に配設され、前記複数の主筋と交差部を有する複数の補強リングとを備え、
前記複数の主筋と前記補強リングとの交差部が鉄筋固定用金具によって固定されている鉄筋籠が複数連結される連結鉄筋籠の設計方法であって、
前記連結鉄筋籠を構成する各鉄筋籠の下部所定箇所で前記複数の主筋にかかる断面荷重を算出する算出工程と、
前記複数の主筋の径サイズ毎に主筋の許容断面荷重と前記補強リングの最大間隔との関係が設定された補強リング間隔適用テーブルに基づいて、前記算出工程により算出された前記複数の主筋にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズとに対応する前記補強リングの最大間隔を決定する第1決定工程とを含んでいることを特徴としている。
そして、前記第1決定工程により、前記補強リング間隔適用テーブルに基づいて、前記算出工程により算出された前記複数の主筋にかかる断面荷重と当該主筋の径サイズとに対応する前記補強リングの最大間隔を決定する。
前記主筋の許容断面荷重が、オイラー式に基づく弾性座屈荷重を、前記主筋の断面積と第1の安全率との積算値で除算して得られた値であり、
前記複数の主筋にかかる断面荷重が、前記各鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量を、当該下部所定箇所に配置されている前記複数の主筋の合計断面積で除算して得られた値であり、
前記第1の安全率が、前記連結鉄筋籠を用いた場所打ち杭の施工実績に基づいて、前記補強リング間で座屈が起こらないと想定される値に設定されていることを特徴としている。
すなわち、様々な種類(直径、長さ、本数)の主筋を用いて、様々なサイズ(籠径、杭長、重量)の連結鉄筋籠を実際に施工したときの前記連結鉄筋籠の施工状態(例えば、正常に施工できた(座屈等が起こらなかった)場合、何らかの原因(鉄筋籠連結部の食い下がり、鉄筋籠の変形等)により鉄筋籠の沈下が生じた場合などの状態)とその設計条件を比較検討し、さらに上記した座屈要因に関する不安定要素も加味して、様々な条件で設計された前記連結鉄筋籠の前記補強リング間で座屈が起こる可能性が低くなる値に設定されている。
前記連結鉄筋籠については、建て込み時の様々な要因により、座屈の要因である圧縮荷重を予め確定できない。そのため、前記各鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量(すなわち、鋼材重量)のみを圧縮荷重と見做して、前記複数の主筋にかかる断面荷重を求める。このようにして求められる前記複数の主筋にかかる断面荷重は、異なる杭径、杭長、配筋サイズ等の設計条件が異なっていても定量的に求められる値となっている。したがって、前記第1決定工程において、前記補強リング間隔適用テーブルに基づいて決定される前記補強リングの最大間隔の設計値の信頼性を高めることができる。
前記複数の主筋の径サイズ毎に前記主筋の許容断面荷重と前記連結鉄筋籠の最下部の補強リングから下端部までの杭底離隔との関係が設定された補強リング杭底離隔適用テーブルに基づいて、
前記算出工程により算出された、前記連結鉄筋籠を構成する最下段の鉄筋籠の下部所定箇所で前記複数の主筋にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズとに対応する前記最下部の補強リングの最大杭底離隔を決定する第2決定工程をさらに含んでいることを特徴としている。
前記最下段の鉄筋籠の下部所定箇所で前記主筋にかかる許容断面荷重が、オイラー式に基づく弾性座屈荷重を、前記主筋の断面積と第2の安全率との積算値で除算して得られた値であり、
前記複数の主筋にかかる断面荷重が、前記最下段の鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量を、当該下部所定箇所に配置されている前記複数の主筋の合計断面積で除算して得られた値であり、
前記第2の安全率が、前記連結鉄筋籠を用いた場所打ち杭の施工実績に基づいて、前記杭底離隔で座屈が起こらないと想定される値に設定されていることを特徴としている。
図1は、無溶接工法により製作された鉄筋籠の一例を示す要部拡大斜視図である。
第1金具20は、板状体がU字状に折り返されてU字状の折曲部21及び左、右側片22を有する金具本体を備え、左、右側片22のそれぞれの一側縁より補強リング挿入用の挿入溝23が形成され、折曲部21の頂部に固定用ボルト挿通用の挿通孔が形成されている。折曲部21には、挿通孔に連通するナット24が固着され、ナット24に固定用ボルト25が取り付けられている。
図3は、別の鉄筋固定用金具である第2金具30を示す要部の斜視図である。
第2金具30は、帯状板からなる補強リング4を上下方向に挟んで位置し、主筋挿入用C形切り欠け部31aを有する主筋把持部31と、2つの主筋把持部31を連結すると共に主筋2と補強リング4との交差部を締め付けるためのボルト螺合用ネジ孔32aが形成されたネジ孔板部32とを備えている。また、主筋把持部31に固定され、鉄筋籠用スペーサ33の軸部33bを挿通させるための軸受け33cが備えられている。軸受け33cに、お椀形状をした頭部33aと軸部33bを備えた鉄筋籠用スペーサ33が着脱可能に構成されている。なお、軸受け33cが設けられていない構成としてもよい。第2金具30は、埋設用金具として使用される。
第3金具40は、金具本体41と、押圧部材46とを含んで構成されている。
金具本体41は、2本の主筋2を跨ぐように板状体が略U字状に折り曲げられて、左右側板部42と主筋把持部43とが形成され、左右側板部42の先端側にそれぞれ係止片44が形成されたものである。金具本体41の左右側板部42の係止片44は、左右側板部42の一側縁を略凹形状に切り欠いた切欠き部45により形成されている。
図5(a)に示した例では、第2節鉄筋籠1Bの下端部の補強リング間隔は3.00m、第3節鉄筋籠1Cの下端部の補強リング間隔は2.70m、第4節鉄筋籠1Dの下端部の補強リング間隔は3.00mに設計されている。また、第4節鉄筋籠1Dの最下段の補強リング4から下端部までの杭底離隔は0.40m(400mm)に設計されている。
図5(a)に示した例では、14本の(1~14が示す位置に)補強リング4が設けられる設計となっている。
図5(b)に示した例では、17本の(1~17が示す位置に)補強リング4が設けられる設計となっている。
これら各節の鉄筋籠の補強リング間隔、最下節の鉄筋籠の杭底離隔は、以下に説明する方法により決定される。
連結鉄筋籠10を構成する各鉄筋籠(図5では、第2節鉄筋籠1B、第3節鉄筋籠1C、第4節鉄筋籠1D)の下部所定箇所(図5では、下端部)で複数の主筋(2B、2C、2D)にかかる断面荷重(単位断面積荷重)を算出する。
複数の主筋の径サイズ毎に主筋の許容断面荷重と補強リングの最大間隔との関係が設定された補強リング間隔適用テーブル(図7)に基づいて、上記算出工程により算出された複数の主筋(2B、2C、2D)にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズ(呼び径D35、D25)とに対応する補強リング4の最大間隔を決定する。
3.第2決定工程
複数の主筋の径サイズ毎に主筋の許容断面荷重と連結鉄筋籠10の最下部の補強リング4から下端部までの杭底離隔との関係が設定された補強リング杭底離隔適用テーブル(図9)に基づいて、上記算出工程により算出された、連結鉄筋籠10を構成する最下段の鉄筋籠(図5では、第4節鉄筋籠1D)の下部所定箇所(図5では、下端部)で複数の主筋(2D)にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズ(呼び径D25)とに対応する最下部の補強リング4の最大杭底離隔を決定する。
第2節鉄筋籠1Bの下端部で、記号K3で示す複数の主筋2Bにかかる断面荷重(単位面積当りにかかる荷重)は、35kg/cm2となる。この断面荷重は、第2節鉄筋籠1Bの下端部より上部の籠重量(この場合、第1節鉄筋籠1Aと第2節鉄筋籠1Bの合計重量)を、第2節鉄筋籠1Bの下端部に配置されている複数の主筋2Bの合計断面積(主筋2Bの断面積×主筋2Bの本数)で除算することで得られる。主筋2Bの断面積は、公称断面積9.566cm2であり、主筋2Bの本数は15本である。
まず、第1決定工程で用いる補強リング間隔適用テーブルについて説明する。
図7は、実施の形態に係る連結鉄筋籠の設計方法に用いる補強リング間隔適用テーブルの一例を示す図である。
図7に示す補強リング間隔適用テーブルには、主筋の径サイズ(呼び径、公称断面積、公称直径)毎に、主筋の許容断面荷重と補強リングの最大間隔(3.00m以内から1.50m以内まで15cm間隔の値)との関係が設定されている。
図8には、主筋の許容断面荷重の算出例として、主筋の呼び径がD35、補強リング間隔が3,000mm(3.00m)の場合、主筋の許容断面荷重が、87.257kgf/cm2となる例を示している。
すなわち、様々な種類(直径、長さ、本数)の主筋を用いて、様々なサイズ(籠径、杭長、重量)の連結鉄筋籠を実際に施工したときの連結鉄筋籠の施工状態(例えば、正常に施工できた(座屈等が起こらなかった)場合、何らかの原因により鉄筋籠の沈下が生じた場合などの状態)とその設計条件を比較検討し、さらに座屈要因に関する不安定要素も加味して、様々な条件で設計された連結鉄筋籠の補強リング間で座屈が起こる可能性が低くなる値に設定されている。
したがって、図8に示した例では、第1の安全率が2.0に設定されているが、第1の安全率は、この値に限定されるものではない。第1の安全率は、設計条件を考慮して、1.5~3.0の範囲内の値に設定することが好ましいが、特殊な設計条件によっては、第1の安全率は、3.0より大きく、後述する第2の安全率より小さな値に設定してもよい。
主筋の径サイズが主筋2Bの呼び径D35である場合に、主筋の断面荷重が35kg/cm2の条件を満たす、補強リングの最大間隔は、補強リング間隔適用テーブルから3.00m(主筋の許容断面荷重:87kg/cm2以下)に決定される。
主筋の径サイズが主筋2Cの呼び径D25の場合に、主筋の断面荷重が82kg/cm2の条件を満たす、補強リングの最大間隔は、補強リング間隔適用テーブルから2.25m(主筋の許容断面荷重:82kg/cm2以下)に決定される。
主筋の径サイズが主筋2Dの呼び径D25の場合に、主筋の断面荷重が98kg/cm2の条件を満たす、補強リングの最大間隔は、補強リング間隔適用テーブルから1.95m(主筋の許容断面荷重:109kg/cm2以下)に決定される。
まず、第2決定工程で用いる補強リング杭底離隔適用テーブルについて説明する。
図9は、実施の形態に係る連結鉄筋籠の設計方法に用いる補強リング杭底離隔適用テーブルの一例を示す図である。
図10には、主筋の許容断面荷重の算出例として、主筋の呼び径がD35、杭底離隔が800mm(0.80m)の場合における、最下端の主筋の許容断面荷重が、94.389kgf/cm2となる例を示している。
したがって、図10に示した例では、第2の安全率が26.0に設定されているが、第2の安全率は、この値に限定されるものではない。第2の安全率は、設計条件を考慮して、20.0~35.0の範囲内の値に設定することが好ましいが、特殊な設計条件によっては、35.0以上の所定値に設定してもよい。
主筋の径サイズが主筋2Dの呼び径D25である場合に、主筋の断面荷重が98kg/cm2の条件を満たす、最大杭底離隔は、補強リング杭底離隔適用テーブルから0.50m(主筋の許容断面荷重:128kg/cm2以下)に決定される。
したがって、最下節の第4節鉄筋籠1Dにおける最下部の補強リング4の最大杭底離隔は、最大で0.50m以内となる間隔に設計される。図5(b)に示した例では、第4節鉄筋籠1Dの補強リング4の最大杭底離隔が、0.50mに設計され、決定された0.50m以内の杭底離隔に設計されている。
すなわち、本実施の形態に係る連結鉄筋籠の設計方法では、座屈危険性の値が、100%未満となるように、各鉄筋籠の補強リングの間隔、及び杭底離隔が設計されるようになっている。
まず、ステップS1では、連結鉄筋籠を構成する各鉄筋籠の下部所定箇所で、複数の主筋にかかる断面荷重を算出する(算出工程)。
連結鉄筋籠については、建て込み時の様々な要因により、座屈の要因である圧縮荷重を予め確定できない。そのため、各鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量(すなわち、鋼材重量)のみを圧縮荷重と見做して、前記複数の主筋にかかる断面荷重を求める。このようにして求められる複数の主筋にかかる断面荷重は、異なる杭径、杭長、配筋サイズ等の設計条件が異なっていても定量的に求められる値となっている。したがって、上記第1決定工程において、補強リング間隔適用テーブルに基づいて決定される補強リングの最大間隔の設計値の信頼性を高めることができる。
2、2A、2B、2C、2D 主筋
3 フープ筋
4 補強リング
10 連結鉄筋籠
20 第1金具(鉄筋固定用金具)
21 折曲部
22 左、右側片
23 挿入溝
24 ナット
25 固定用ボルト
30 第2金具(鉄筋固定用金具)
31 主筋把持部
31a 主筋挿入用C形切り欠け部
32 ネジ孔板部
32a ボルト螺合用ネジ孔
33 鉄筋籠用スペーサ
33a 頭部
33b 軸部
33c 軸受け
40 第3金具(鉄筋固定用金具)
41 金具本体
42 左右側板部
43 主筋把持部
44 係止片
45 切欠き部
46 押圧部材
47 左右折片部
48 連結板部
49 押えボルト
50 鉄筋籠用スペーサ
51 頭部
52 軸部
53 軸受け
54 管状部材
Claims (4)
- 中心軸の周囲に該中心軸の方向とほぼ平行に配列された複数の主筋と、
前記中心軸とほぼ直交する円周方向に配設され、前記複数の主筋と交差部を有する複数のフープ筋と、
前記複数の主筋の内側又は外側に配設され、前記複数の主筋と交差部を有する複数の補強リングとを備え、
前記複数の主筋と前記補強リングとの交差部が鉄筋固定用金具によって固定されている鉄筋籠が複数連結される連結鉄筋籠の設計方法であって、
前記連結鉄筋籠を構成する各鉄筋籠の下部所定箇所で前記複数の主筋にかかる断面荷重を算出する算出工程と、
前記複数の主筋の径サイズ毎に主筋の許容断面荷重と前記補強リングの最大間隔との関係が設定された補強リング間隔適用テーブルに基づいて、前記算出工程により算出された前記複数の主筋にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズとに対応する前記補強リングの最大間隔を決定する第1決定工程とを含んでいることを特徴とする連結鉄筋籠の設計方法。 - 前記主筋の許容断面荷重が、オイラー式に基づく弾性座屈荷重を、前記主筋の断面積と第1の安全率との積算値で除算して得られた値であり、
前記複数の主筋にかかる断面荷重が、前記各鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量を、当該下部所定箇所に配置されている前記複数の主筋の合計断面積で除算して得られた値であり、
前記第1の安全率が、1.5~3.0の範囲内の値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の連結鉄筋籠の設計方法。 - 前記複数の主筋の径サイズ毎に前記主筋の許容断面荷重と前記連結鉄筋籠の最下部の補強リングから下端部までの杭底離隔との関係が設定された補強リング杭底離隔適用テーブルに基づいて、
前記算出工程により算出された、前記連結鉄筋籠を構成する最下段の鉄筋籠の下部所定箇所で前記複数の主筋にかかる断面荷重とこれら主筋の径サイズとに対応する前記最下部の補強リングの最大杭底離隔を決定する第2決定工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の連結鉄筋籠の設計方法。 - 前記最下段の鉄筋籠の下部所定箇所で前記主筋にかかる許容断面荷重が、オイラー式に基づく弾性座屈荷重を、前記主筋の断面積と第2の安全率との積算値で除算して得られた値であり、
前記複数の主筋にかかる断面荷重が、前記最下段の鉄筋籠の下部所定箇所より上部の籠重量を、当該下部所定箇所に配置されている前記複数の主筋の合計断面積で除算して得られた値であり、
前記第2の安全率が、20.0~35.0の範囲内の値に設定されていることを特徴とする請求項3記載の連結鉄筋籠の設計方法。
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