JP2021080608A - 吸水性構造体の製造方法 - Google Patents

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敬俊 谷口
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Yuka Suzuki
佑佳 鈴木
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Tetsuya Tabata
哲也 田端
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Kazuki Iso
和樹 磯
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Abstract

【課題】厚みが薄い吸水性構造体を、乾燥負荷を低減して製造すること。【解決手段】本発明は、繊維状物と吸水性ポリマーとを含む吸水性構造体の製造方法を提供する。まず、繊維状物及び吸水性ポリマーを液体分散媒に分散させたスラリーを調製する。次いで、スラリーから液体分散媒を除去して、繊維状物と吸水性ポリマーとを含む抄造体を形成する。本製造方法は、繊維状物として、フリーネスが300mL以上であるものを用いる。また、本製造方法は、液体分散媒として、該液体分散媒に浸漬したときの吸水性ポリマーの膨潤度が2.5倍以下となるものを用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性構造体の製造方法に関する。
紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品においては、尿や経血等の体液の十分な吸収性を発現させつつ、薄型化を達成することを目的として、パルプ繊維等の繊維状物と吸水性ポリマーとを含むシート状の吸収体が用いられることがある。
例えば特許文献1には、セルロースあるいはセルロース誘導体から得られる水和性を有するミクロフィブリル、および水膨潤性固状体を主成分とし、前記水膨潤性固状体の表面の少なくとも一部が前記ミクロフィブリルにより被覆されている複合体組成物が開示されている。この複合体組成物は、通常の吸収体と同様に各種吸収性物品に用いることができることが同文献に記載されている。
特許文献2には、液体透過性シート状基材と、その一方の表面に結合された、粒子状の吸水性ポリマーを含む高吸収層とを備え、高吸収層が、前記液体透過性シート状基材の前記表面に、所望のパターンで分布された、他の領域よりも高い吸収能力を持つ複数の高吸収領域を形成しているシート状吸収体が開示されている。
また本出願人は、パルプ繊維を主繊維として含有する湿式抄造体を含んで構成され、該湿式抄造体の内部に吸水性ポリマーの粒子が多数分散配置されている吸収体を提案した(特許文献3)。この吸収体は、湿式抄造体の内部に、該湿式抄造体の構成繊維に囲まれ且つ1つ以上の前記吸水性ポリマーの粒子が収容されている、空隙部の群が複数形成されており、該複数の空隙部の群は、互いに空隙部の平均容積が異なっているものである。
特開平10−168230号公報 特開平11−34200号公報 特開2011−135987号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の吸収体は、ミクロフィブリル繊維と吸水性ポリマーとを含む分散液を不織布等のシート上に塗工して製造されているので、ミクロフィブリル繊維間に分散媒をため込みやすく、乾燥負荷が増大してしまう。また、ミクロフィブリル繊維と吸水性ポリマーとを含む分散液を調製するにあたり、分散媒として水を用いる場合、固形分を乾燥する際に、ミクロフィブリル繊維どうしが水素結合により強固に固定化されやすくなるので、得られる吸収体が硬くなり、使用感が低下する可能性がある。
また特許文献3に記載の吸収体は、十分な吸液性が発現したものであるが、水の含有量が多い分散媒を用いて湿式抄造されたものであるので、得られる抄造体中の吸水性ポリマーが膨潤しやすく、吸収体の製造時における該抄造体の乾燥負荷の軽減に関して改善の余地があった。
上述した各特許文献に記載の方法のほかに、吸収体は、解繊した繊維状物と吸水性ポリマーとを乾式条件で積繊して製造することもできる。この場合、吸水性ポリマーを均一に積繊させるためには多量の繊維状物を必要とするので、当該方法で得られる吸収体の厚みが大きくなってしまい、薄型化を達成することが困難であった。
したがって、本発明の課題は、厚みが薄い吸水性構造体を、乾燥負荷を低減して製造することにある。
本発明は、繊維状物と吸水性ポリマーとを含む吸水性構造体の製造方法に関する。
一実施形態では、前記繊維状物及び前記吸水性ポリマーを液体分散媒に分散させたスラリーを調製する。
一実施形態では、前記スラリーから前記液体分散媒を除去して、前記繊維状物と前記吸水性ポリマーとを含む抄造体を形成する工程を備える。
一実施形態では、前記繊維状物として、フリーネスが300mL以上であるものを用いる。
一実施形態では、前記液体分散媒として、該液体分散媒に浸漬したときの前記吸水性ポリマーの膨潤度が2.5倍以下となるものを用いる。
本発明によれば、厚みが薄い吸水性構造体を、乾燥負荷を低減して製造することができる。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法によって得られる吸水性構造体は、繊維状物と吸水性ポリマーとを含むものである。
本発明の一実施態様の製造方法(以下、これを「本製造方法」ともいう。)は、繊維状物及び吸水性ポリマーを液体分散媒に分散させたスラリーを調製する工程(調製工程)と、調製したスラリーから液体分散媒を除去して、繊維状物と吸水性ポリマーとを含む抄造体を形成する工程(抄造工程)とを含む。つまり、本製造方法は湿式抄紙法に係るものであり、本製造方法によって得られる吸水性構造体は、好ましくは湿式抄紙法によって得られた抄造体で構成されるものである。液体分散媒は、スラリーの調製時において液体のものである。
本製造方法においては、まず、繊維状物及び吸水性ポリマーを液体分散媒に分散させたスラリーを調製する(調製工程)。スラリーの調製にあたり、その構成成分である繊維状物、吸水性ポリマー及び液体分散媒の混合順序は特に制限されず、例えば、繊維状物及び吸水性ポリマーを同時に又は任意の順序で液体分散媒に混合して分散させることができる。繊維状物及び吸水性ポリマーの分散状態を維持しておく観点から、スラリーは、抄造工程に供されるまでの間にわたって撹拌しておくことが好ましい。スラリーの調製は、例えば常温常圧下で行うことができる。スラリーの調製において用いられる繊維状物及び吸水性ポリマーは、いずれも乾燥状態のものを用いることが好ましい。
本製造方法で用いる繊維状物は、そのフリーネスが好ましくは300mL以上であり、より好ましくは350mL以上であり、更に好ましくは400mL以上である。また、繊維状物のフリーネスは、好ましくは950mL以下であり、より好ましくは900mL以下であり、更に好ましくは800mL以下である。このような繊維状物を用いることによって、繊維状物どうしの交絡や繊維状物のフィブリルによって吸水性ポリマーを固定化しやすくなるとともに、柔軟性を有し、厚みが薄い吸水性構造体を低い乾燥負荷で得ることができる。
フリーネスは、JIS P8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、繊維状物の叩解(水の存在下で繊維状物を機械的に叩き、磨砕する処理)の度合いを示す値である。フリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強いことに起因して、繊維状物の損傷が大きく、フィブリル化が進行していることを示す。繊維状物のフリーネスを上述した範囲とするためには、例えば叩解の度合いを少なくなるように適宜調整すればよい。繊維状物の叩解を行う場合には、繊維状物を分散させた紙料に対して、ビーター、ディスクリファイナー等の公知の叩解機を用いて常法に従って実施することができる。
上述した繊維状物としては、例えば、天然繊維及び合成繊維が挙げられる。詳細には、天然繊維としては、例えば、植物繊維(コットン、カボック、木材パルプ、非木材パルプ、落花生たんぱく繊維、とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維、麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、椰子、いぐさ、麦わら等)、動物繊維(羊毛、やぎ毛、モヘア、カシミア、アルカパ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ、シルク、羽毛、ダウン、フェザー、アルギン繊維、キチン繊維、ガゼイン繊維等)、鉱物繊維(石綿等)が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、半合成繊維(アセテート、トリアセテート、酸化アセテート、プロミックス、塩化ゴム、塩酸ゴム等)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、デンプン、ポリビニルアルコール若しくはポリ酢酸ビニル又はこれらの共重合体若しくは変性体等の単繊維、又はこれらの樹脂成分を鞘部に有する芯鞘構造の複合繊維を用いることができる。
これらのうち、得られる吸水性構造体の柔軟性及び使用感を両立して向上させるとともに、吸水性ポリマーを固定化させやすくして、吸水性構造体の吸液性を高いものとする観点から、クラフトパルプ等の木材パルプ及びコットンの少なくとも一種が好ましく用いられる。また、上述した各繊維状物は、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
本製造方法で用いる吸水性ポリマーは、本技術分野で用いられる粒子状物を特に制限なく用いることができる。このような吸水性ポリマーとしては、例えばデンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の一種以上を含む粒子が挙げられる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を用いることができる。また吸水性ポリマーの性能を低下させない範囲で、アクリル酸と、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーとを共重合した共重合体を用いることができる。このような吸水性ポリマーは、例えば、アクアリックCAやアクアリックCAW(ともに(株)日本触媒社製)等といった、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩の粒子等の市販品を用いることができる。
使用する吸水性ポリマーの形状は、例えば球形、塊状、俵状、繊維状及び不定形、並びにこれらの組み合わせの形状でありうる。使用する吸水性ポリマーの粒径は、乾燥状態において、好ましくは40μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上であり、また、好ましくは850μm以下、より好ましくは700μm以下、さらに好ましくは600μm以下である。吸水性ポリマーの粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、(型番:LA−950V2))を用いたレーザー回折散乱法によって測定したメジアン径とすることができる。
本製造方法では、スラリーの調製に用いる液体分散媒として、液体分散媒に浸漬したときの吸水性ポリマーの膨潤度が所定の範囲を満たすものを用いる。詳細には、スラリーの調製に用いる液体分散媒は、これに乾燥状態の吸水性ポリマーを浸漬させたときに、該吸水性ポリマーの膨潤度が、好ましくは2.5倍以下、より好ましくは2.1倍以下、更に好ましくは1.5倍以下であるものを用いる。なお本製造方法における吸水性ポリマーの膨潤度の下限は1倍である。このような膨潤度となる液体分散媒を用いることによって、スラリーの粘度が過度に高くなることがないので、スラリーの固形分濃度を低減したりすることなく、高い製造効率で吸水性構造体を得ることができる。また、繊維状物を吸水性ポリマーに対して少量配合した場合であっても、該繊維状物と吸水性ポリマーとを均一に分散させたスラリーを調製できるとともに、該繊維状物と吸水性ポリマーとが均一に配された吸水性構造体を得ることができる。更に、吸水性ポリマーの膨潤を抑制しつつ、液体分散媒を保持しやすい繊維状物の含有量を低減することができるので、吸水性構造体の製造時における乾燥負荷を低減することができる。
液体分散媒に浸漬させたときの吸水性ポリマーの膨潤度は、例えば以下の方法で測定することができる。まず、本製造方法に用いる乾燥状態の吸水性ポリマーの粒子の質量A1(g)を測定し、該吸水性ポリマー粒子を目開き62μmのメッシュ袋に入れる。この状態の吸水性ポリマー粒子を、液体分散媒300mLに60分間浸漬させる。そして、吸水性ポリマー粒子が入っているメッシュ袋を取り出し、該メッシュ袋を23℃、50%RHの環境下で吊り下げて30分間静置する。その後、この吸水性ポリマー粒子を取り出して、該粒子の質量A2(g)を秤量し、「質量A2/質量A1」で表される式によって吸水性ポリマーの膨潤度を算出する。上述の方法における質量A1は、0.5gとすることができる。
本製造方法で用いられる液体分散媒としては、例えば、水、並びに、アルコール及びケトンから選ばれる有機溶媒等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いることができる。
液体分散媒として用いられ得るアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール及びペンタノール等の炭素数1以上6以下の鎖式脂肪族一価アルコール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール等の炭素数3以上6以下の環式脂肪族一価アルコール、並びに、フェニルエチルアルコール等の芳香族一価アルコール等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いることができる。
液体分散媒として用いられ得るケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等の炭素数3以上6以下の鎖式脂肪族ケトン、シクロブタノン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等の炭素数3以上6の環式脂肪族ケトンや、アセトフェノン等の炭素数8以上10以下の芳香族ケトン等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いることができる。
吸水性ポリマーの膨潤度を上述の範囲となるように効果的に制御して、吸水性構造体の製造時における乾燥負荷を低減しやすくする観点から、スラリーの調製に用いる液体分散媒は、有機溶媒を60質量%以上含むことが好ましく、75質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことが更に好ましく、100質量%含むことが一層好ましい。同様の観点から、液体分散媒に有機溶媒を含む場合、有機溶媒として、アルコール及びケトンから選ばれる一種以上の揮発性物質を用いることも好ましい。また、液体分散媒に有機溶媒を含む場合、水と相溶性を有する有機溶媒を用いることも好ましい。本明細書における揮発性物質とは、液体の状態において揮発性を有する物質である。
吸水性構造体の製造時における乾燥負荷を一層低減する観点から、スラリーの調製に用いる液体分散媒は、25℃における蒸気圧が、好ましくは5.0kPa以上、より好ましくは6.0kPa以上、更に好ましくは7.0kPa以上である。このような蒸気圧を有する液体分散媒としては、例えば、アルコール及びケトンから選ばれる揮発性有機溶媒の一種以上であるか、又は、該揮発性有機溶媒の一種以上と、水との混合分散媒を用いることが好ましく、アルコール及びケトンから選ばれる揮発性有機溶媒の一種以上のみを用いることが更に好ましい。液体分散媒として複数の成分を含む混合溶液を用いる場合、上述した蒸気圧は、該成分についての25℃における蒸気圧と、該成分の混合溶液中モル分率との積を成分ごとに求め、これらの積の総和とする。
特に、吸水性ポリマーの膨潤度と、液体分散媒における蒸気圧との適切な制御を行って、吸水性構造体の製造時における乾燥負荷をより一層低減する観点から、スラリーの調製に用いる液体分散媒は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びブチルアルコールから選ばれる揮発性有機溶媒の一種以上であるか、又は、該揮発性有機溶媒の一種以上と水との混合分散媒であることが好ましく、メタノール、エタノール及びブチルアルコールから選ばれる揮発性有機溶媒の一種以上であるか、又は、該揮発性有機溶媒の一種以上と水との混合分散媒であることがより好ましく、メタノール単独、若しくはエタノール単独であるか、又は、メタノール若しくはエタノールと水との混合分散媒であることが更に好ましい。
スラリー中の固形分濃度は、好ましくは0.025質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。また、スラリー中の固形分濃度は、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
スラリー中の繊維状物の含有量は、好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上である。また、スラリー中の繊維状物の含有量は、好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。スラリー中の繊維状物の含有量は、目的とする吸水性構造体における繊維状物の含有量に応じて適宜調整することができる。
同様に、スラリー中の吸水性ポリマーの含有量は、好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.04質量%以上である。また、スラリー中の吸水性ポリマーの含有量は、好ましくは9質量%以下、更に好ましくは4.5質量%以下である。スラリー中の吸水性ポリマーの含有量は、目的とする吸水性構造体における吸水性ポリマーの含有量に応じて適宜調整することができる。
本製造方法においては、上述した調製工程に次いで、繊維状物、吸水性ポリマー及び液体分散媒を含むスラリーから液体分散媒を除去して、繊維状物と吸水性ポリマーとを含む抄造体を形成する(抄造工程)。抄造体を形成する方法は特に制限されず、例えば、連続抄紙式である円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などを用いた抄紙方法、バッチ方式の抄紙方法である手漉法等が挙げられる。バッチ方式の抄紙方法である手漉法にて製造する場合を例にとると、調製したスラリーを抄造網上で湿式抄紙して、繊維状物及び吸水性ポリマーを含む湿潤状態の紙匹からなる抄造体を形成する。本工程は、例えば、底部に抄造網を有する円筒状又は角筒状の抄造容器を用いて、調製したスラリーを該抄造容器に投入し、その後、液体分散媒を抄造網を介して除去しながら、スラリー中の固形分を抄造網上に沈降させることによって行うことができる。本工程によって得られる抄造体は湿潤状態のものであり、例えば、乾燥した抄造体100質量部に対して液体分散媒を好ましくは10質量部以上500質量部以下含む。
スラリーから液体分散媒を除去する方法は特に制限されず、例えば、重力落下による除去、遠心ろ過による除去、減圧ろ過による除去、及び加圧脱水による除去等が挙げられる。液体分散媒の除去効率の向上に起因する製造効率の向上と、得られる抄造体の形状の維持とを両立する観点から、スラリーから液体分散媒を減圧ろ過によって除去する方法、又は加圧脱水によって除去する方法を採用することが好ましい。
本工程を、減圧ろ過による除去方法を例にとり以下に説明する。まず、抄造容器にスラリーを投入する。抄造容器にスラリーを投入すると、該スラリーに含まれる液体分散媒は、減圧によって生じた吸引力によって、抄造網を介して吸引除去される。これとともに、スラリー中の固形分は、液体分散媒の吸引除去とともに沈降して、抄造網上に保持される。このとき、スラリー中の繊維状物及び吸水性ポリマーは略均一の分散状態となっているので、液体分散媒の除去とともに、その分散状態が略維持された状態で沈降する。このようにして、スラリー中の固形分は、繊維状物と吸水性ポリマーとの分散状態が略維持された状態で、抄造網上に保持される。
上述した抄造容器を用いる場合、その底面積や容積は、目的とする吸水性構造体に応じて適宜変更可能である。製造効率の観点からは、抄造容器の底面積は、好ましくは10cm以上、更に好ましくは30cm以上であり、好ましくは1000cm以下、更に好ましくは800cm以下である。同様に、抄造容器の容積は、底面積に応じて適宜変更可能であるが、好ましくは500cm以上、更に好ましくは1000cm以上であり、好ましくは30000cm以下、更に好ましくは20000cm以下である。本工程に用いる抄造網の平面積は、目的とする吸水性構造体に応じて適宜変更可能であり、例えば、上述した抄造容器の底面積の範囲とすることができる。抄造網は、スラリー中の固形分が該抄造網上に保持される限りにおいて、例えば、金属製又は合成樹脂製のメッシュ等を特に制限なく用いることができ、液体分散媒中に含まれ得る有機溶媒に耐性を有する材質で構成されているものが好ましく用いられる。
また上述した抄造容器を用いる場合、抄造容器内に投入するスラリーの体積は、抄造容器の容積に応じて適宜変更可能であるが、好ましくは0.5L以上、更に好ましくは1L以上であり、好ましくは30L以下、更に好ましくは20L以下である。
抄造工程を経て得られた抄造体は、これを湿潤状態のまま以後の工程に供してもよく、又は、これを任意の乾燥手段によって乾燥する工程(乾燥工程)を行って、乾燥状態のものを以後の工程に供してもよい。これに代えて、乾燥工程を経て得られた乾燥状態の抄造体をそのまま、目的とする吸水性構造体とすることもできる。乾燥状態の抄造体とは、その質量が、製造原料として用いた繊維状物及び吸水性ポリマーの総質量に対して105質量%以下である抄造体をいう。
抄造工程後に乾燥工程を行う場合、乾燥工程に用いられる乾燥手段としては、例えば、プレスロール、ヒートロール、ヤンキードライヤ等の接触式の乾燥手段、並びに、熱風等を湿潤紙匹に対して送風する送風乾燥や、乾熱乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、電磁波乾燥、自然乾燥等の非接触式の乾燥手段が挙げられる。加熱によって乾燥する場合、その乾燥温度は、乾燥対象となる抄造体の温度が、好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上とし、好ましくは150℃以下、更に好ましくは120℃以下となるように、出力などを適宜調整すればよい。乾燥時間は、上述の乾燥温度の条件で適宜調整することができ、例えば上述の乾燥温度の条件で5分以下とすれば、乾燥状態の抄造体を生産性高く得ることができる。
以上の工程を経て、乾燥状態の抄造体からなる本発明の吸水性構造体を得ることができる。この吸水性構造体は、単一層からなるシート状物又は板状物の態様である。
上述の吸水性構造体は、その厚みが、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である。このような厚みであることによって、吸水性構造体を吸収性物品の構成部材として用いたときに、着用者への密着性及び追従性が高く、使用感が向上した吸収性物品を得ることができる。吸水性構造体の厚みは、例えば後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
また、この吸水性構造体は、吸水性ポリマーを好ましくは80質量%以上、更に好ましくは82質量%以上含み、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下含むものである。吸水性ポリマーがこのような含有割合であることによって、高い吸液性を具備しつつ、繊維状物と吸水性ポリマーとの接着などに起因する保形性及び強度が発現した吸水性構造体となる。
以上の製造方法によれば、所定のフリーネス値を有する繊維状物を用いるとともに、吸水性ポリマーの膨潤度が所定の範囲以下となる液体分散媒を用いて湿式抄紙を行うことによって、繊維状物と吸水性ポリマーとが均一に配されていながらも、吸水性ポリマーの膨潤を抑制しつつ、繊維状物間に水分を保持しにくい構成となった抄造体を得ることができる。これによって、抄造体の乾燥時において、乾燥温度の上昇や乾燥時間の増加等を行う必要がなく、乾燥負荷を低減して、厚みが薄い吸水性構造体を効率よく得ることができる。本発明の好適な態様によれば、水分を保持しやすい繊維状物の含有量を低減させるとともに、湿潤状態の抄造体に残存する液体分散媒が蒸発しやすい構成となっているので、吸水性構造体の製造時における乾燥効率を一層高めて、乾燥状態の抄造体からなる吸水性構造体を生産性高く得られる点で有利である。このことは、後述する実施例の結果からも支持される。
これに加えて、上述の製造方法によって得られる吸水性構造体は、所定のフリーネス値を有する繊維状物を用いているので、繊維状物どうしの絡合及び水素結合によって、使用に耐えうる強度を発現する程度に繊維状物どうしが適度に結合しつつ、高い柔軟性を有するものとなる。更に、上述の製造方法によって得られる吸水性構造体は、吸水性ポリマーが比較的少量の繊維状物の間に均一に存在するように固定化されているので、高い吸液性を有し且つ厚みが薄いものである。
上述した効果を一層顕著なものとする観点から、抄造工程を経て得られた湿潤状態の抄造体、又は、抄造工程及び乾燥工程を経て得られた乾燥状態の抄造体に対して、水を担持させて、含水状態の抄造体を得る工程(担持工程)を更に備えることが好ましい。このような工程を更に行うことによって、繊維状物どうしの間に生じる水素結合が形成されやすくなるとともに、繊維状物が水分によって高い粘着性が発現した吸水性ポリマー内に埋め込まれたり、繊維状物が吸水性ポリマー間に保持されやすくなる。その結果、上述した効果に加えて、繊維状物と吸水性ポリマーとの略均一な配置状態が維持されるように固定され、高い保形性及び強度を有する吸水性構造体を得ることができる。特に、乾燥状態の抄造体を担持工程に供することによって、これらの効果は一層効果的に奏される。
吸水性構造体の高い保形性及び強度の発現と、水の担持に起因する乾燥負荷の低減とを両立する観点から、担持工程における水の担持量は、乾燥状態の抄造体100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上とし、また、好ましくは400質量部以下、更に好ましくは200質量部以下とすることができる。抄造体に対する水の担持方法は、例えば、抄造体に対して、水を滴下、噴霧、散布、若しくは塗布したり、又は含浸させたりする等の方法で行うことができる。これらの方法のうち、水の担持量を制御しやすくして乾燥負荷を低減させるとともに、吸水性構造体の面全域に高い保形性及び強度を発現しやすくする観点から、抄造体の面全域に水を噴霧又は散布する方法によって、水を担持させることが好ましい。
また、抄造体に対して、圧縮変形処理及びせん断変形処理のうち少なくとも一つを施す工程(変形処理工程)を更に備えることも好ましい。このような処理を行うことによって、繊維状物と吸水性ポリマーとを更に強固に固定して、吸水性ポリマーの脱落を防止するとともに、厚みがより薄い吸水性構造体を得ることができる。変形処理工程に供される抄造体は、抄造工程を経て得られた湿潤状態のもの、抄造工程及び乾燥工程を経て得られた乾燥状態のもの、又は担持工程を経て得られた含水状態のもののいずれを用いてもよい。より高い保形性及び強度を発現しやすくする観点から、担持工程を経て得られた含水状態の抄造体に対して、変形処理工程を行うことが更に好ましい。
圧縮変形処理としては、例えば、一対のプレスロールやプレス装置等の間に抄造体を導入して加圧する処理等の方法等が挙げられる。また、せん断変形処理とは、凹凸賦形等の立体形状を抄造体に対して付与するように変形させる処理であり、具体的には、例えば、ヒートエンボス処理及び超音波エンボス等のエンボス処理や、折り曲げ加工、絞り成形等の処理が挙げられる。
圧縮変形処理として加圧処理を行う場合、その圧力は、好ましくは0.1MPa以上、更に好ましくは0.3MPa以上であり、好ましくは30MPa以下、更に好ましくは10MPa以下である。このような処理を行うことによって、厚みがより薄くなるとともに、吸水性ポリマーと繊維状物とをより強固に固定化して、更に高い保形性及び強度を発現しやすくすることができる。
上述した変形処理工程に代えて、又は、変形処理工程と同時に、若しくは変形処理工程の後に、抄造体に対して、第2の乾燥工程を行うことも好ましい。乾燥工程を行うことによって、担持工程を経て得られた含水状態の抄造体中の水分を、乾燥負荷を低減しながら蒸発させて、目的とする吸水性構造体を得ることができる。第2の乾燥工程は、上述した乾燥工程と同様の手段及び条件にて行うことができる。
変形処理工程と同時に第2の乾燥工程を行う場合には、第2の乾燥工程としては、例えば、抄造体との接触面が加熱された一対のプレスロール、又はヒートプレスの態様を採用することができる。また、変形処理工程を行わないか、又は変形処理工程後に第2の乾燥工程を別途行う場合には、第2の乾燥工程として、例えば、ヤンキードライヤ等の接触式の乾燥手段、並びに、熱風の吹き付け、乾熱乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、電磁波乾燥、自然乾燥等の非接触式の乾燥手段を採用することができる。
以上の担持工程、変形処理工程及び第2の乾燥工程を経た場合であっても、従来の湿式抄紙法と比較して、乾燥負荷を低減して、目的とする吸水性構造体を得ることができる。この吸水性構造体は、繊維状物と吸水性ポリマーとの配置状態が維持されるように固定されているので、より高い保形性及び強度を有するとともに、高い吸液性及び高い柔軟性を有し、且つ厚みが薄いものである。この吸水性構造体も、上述と同様に、単一層からなるシート状物又は板状物の態様であり、その厚みが、好ましくは0.3mm以上3mm以下であり、吸水性ポリマーを好ましくは80質量%以上90質量%以下含むものである。
なお、担持工程、変形処理工程及び第2の乾燥工程の工程を経て得られた吸水性構造体は、抄造工程を経て得られた抄造体を用いて製造されるものであり、また、担持工程、変形処理工程及び第2の乾燥工程を経ることによって、繊維状物及び吸水性ポリマーの存在割合が変化することは実質的に無い。したがって、抄造体における繊維状物及び吸水性ポリマーの存在割合と、吸水性構造体における繊維状物及び吸水性ポリマーの存在割合とは実質的に同一のものである。
吸水性構造体の坪量は、好ましくは50g/m以上、更に好ましくは100g/m以上であり、好ましくは500g/m以下、更に好ましくは400g/m以下である。
また、吸水性構造体における吸水性ポリマーの坪量は、好ましくは40g/m以上、更に好ましくは80g/m以上であり、好ましくは450g/m以下、更に好ましくは360g/m以下である。
上述した吸水性構造体は、これをこのままで用いてもよく、吸水性構造体を吸収性物品の構成部材として用いることができる。典型的には、吸収性物品は、液透過性の表面シートと、液透過性又は液難透過性の裏面シートとを有し、表面シートと裏面シートとの間に吸水性構造体を配した状態で用いることができる。吸水性構造体は、その厚みが薄いので、高い吸液性を有しつつ、薄型の吸収性物品を製造することができる。また吸水性構造体は、吸収性物品への適用に耐えうる強度を有しつつ、柔軟性が高いので、使用感が向上した吸収性物品を製造することができる。吸収性物品としては、例えば尿漏れパッド、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等が挙げられる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、調製工程においては、上述した方法に代えて、繊維状物及び吸水性ポリマーの双方を収容した容器内に液体分散媒を添加して混合してもよく、繊維状物及び吸水性ポリマーのうち一方を収容した容器内に液体分散媒を添加し、その後、繊維状物及び吸水性ポリマーのうち他方を更に添加して混合してもよい。
また吸水性構造体の製造において調製するスラリーには、繊維状物、吸水性ポリマー及び液体分散媒に加えて、必要に応じて、紙力補強剤、及び繊維状物の耐水化剤の少なくとも一種を更に配合してもよい。紙力補強剤としては、例えば、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などの水溶性高分子や、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の有機溶媒に可溶な樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。繊維状物の耐水化剤としては、疎水化油剤等の本技術分野において抄紙用原材料として使用されているものが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1、2及び比較例1,2〕
<工程1:調製工程>
以下の表1に示す組成の液体分散媒を用いて、スラリーを調製した。詳細には、容器内に1Lの液体分散媒を投入して、ホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて2000rpmで撹拌し、その状態下に、0.16gの繊維状物(クラフトパルプ、インターナショナルペーパー製、FP−NB416、フリーネス760mL)と、0.8gの吸水性ポリマー粒子(メジアン径400μm、日本触媒株式会社製、アクアリックCAW151)とを投入して、スラリーを調製した。上述した繊維状物のフリーネスと、液体分散媒に浸漬したときの吸水性ポリマーの膨潤度とを、併せて以下の表1に示す。
<工程2:抄造工程>
調製工程とは別に、抄造網として120mm四方のナイロンメッシュ(目開き:62μm)を底部に配し、直径100mm×高さ120mmの寸法を有する円筒状の抄紙容器を用意した。この抄紙容器に、調製工程で得られたスラリーを投入して、その後、減圧ろ過を行って液体分散媒を除去して湿式抄紙を行い、湿潤状態の抄造体を得た。
<工程3:乾燥工程>
その後、抄造工程で得られた湿潤状態の抄造体を100℃で乾熱乾燥して、目的とする乾燥状態の抄造体からなるシート状の吸水性構造体を得た。吸収性構造体の坪量は、以下の表1のとおりであった。吸水性構造体における繊維状物及び吸水性ポリマーの各質量割合は、スラリー中に含まれる繊維状物及び吸水性ポリマーの混合質量割合と同一であった。
〔比較例3〕
<工程1〜3>
繊維状物としてミクロフィブリル繊維(ダイセルファインケム株式会社製、セリッシュFD100G、フリーネス40mL)を用いた以外は実施例1の方法と同様に、調製工程、抄造工程及び乾燥工程を経て、目的とする乾燥状態且つシート状の吸水性構造体を得た。
〔実施例3〕
<工程1〜3>
実施例1の方法と同様に、調製工程、抄造工程及び乾燥工程を経て、乾燥状態の抄造体を得た。
<工程4:担持工程>
噴霧器(オートマチックスプレー#2、マルハチ産業(株)製)を用いて、乾燥状態の抄造体0.96gに対して、1.7gの水を抄造体全体に噴霧して水を担持させ、含水状態の抄造体を得た。
<工程5及び6:変形処理工程及び第2の乾燥工程>
続いて、含水状態の抄造体をプレス装置(ラボプレスP2−30T、(株)東洋精機製作所製)を用いて、100℃、0.5MPaで30秒間にわたりヒートプレスして、圧縮変形処理及び第2の乾燥工程を同時に行った。これによって、目的とする乾燥状態且つシート状の吸水性構造体を得た。
〔抄造工程後の乾燥時間の評価〕
各実施例及び比較例での<工程3:乾燥工程>において、抄造工程で得られた湿潤状態の抄造体を100℃で乾熱乾燥したときに、乾燥開始から乾燥終了までの乾燥時間を測定した。乾燥開始時点は、抄造体を乾熱乾燥に供した時点とした。また、乾燥終了時点は、調製工程で用いた繊維状物及び吸水性ポリマーの総質量に対する、乾燥対象となる抄造体の質量が105質量%になった時点とした。乾燥時間が短いほど、製造時における乾燥負荷が少ないものであることを示す。結果を表1及び表2に示す。
〔吸水性構造体の厚み〕
各実施例及び比較例の製造方法によって得られた吸水性構造体の厚みを測定した。吸水性構造体の厚みは、定圧厚さ測定機(JIS K6402準拠、TECLOCK製、PG−11)を用いて厚みを測定した。結果を表1及び表2に示す。
〔吸水性構造体の剛軟性〕
吸水性構造体の剛軟性は、実施例1及び2並びに比較例1〜3の各吸水性構造体を対象として、ハンドロメーター(株式会社大栄科学精機製作所、HOM−3)を使用して測定した。直径70mmの円形状寸法を有する吸水性構造体を、吸水性構造体の中央部と、スリットの中央部とが一致するようにスリット上に配置した。スリット幅は10mmとした。そして、前記ハンドロメーターに固定されたブレードを吸水性構造体に押し当てて、該吸水性構造体をスリット内に押し込んだ。このときの抵抗力(g)を測定して剛軟性を評価した。抵抗力の値が低いほど剛性が低く、屈曲しやすいので、吸水性構造体の柔軟性が高いものであることを意味する。結果を表1に示す。
Figure 2021080608
Figure 2021080608
表1及び表2に示すように、各実施例の製造方法は、比較例の製造方法と比較して、乾燥負荷が低減され、高い生産性で吸水性構造体を製造することができる。また、本方法によって得られた吸水性構造体は、厚みが薄いものである。更に表1に示すように、実施例1及び2の吸水性構造体は、比較例のものと比較して、剛軟性評価における抵抗力の値が低く、柔軟性が高いものであることが判る。特に、実施例1及び2の吸水性構造体は、ミクロフィブリル繊維を用いた比較例3と比較して、乾燥負荷を低減して、高い生産性で吸水性構造体を製造できるとともに、得られる吸水性構造体の柔軟性が一層高いものであることが判る。

Claims (9)

  1. 繊維状物と吸水性ポリマーとを含む吸水性構造体の製造方法であって、
    前記繊維状物及び前記吸水性ポリマーを液体分散媒に分散させたスラリーを調製し、次いで、
    前記スラリーから前記液体分散媒を除去して、前記繊維状物と前記吸水性ポリマーとを含む抄造体を形成する工程を備え、
    前記繊維状物として、フリーネスが300mL以上であるものを用い、
    前記液体分散媒として、該液体分散媒に浸漬したときの前記吸水性ポリマーの膨潤度が2.5倍以下となるものを用いる、吸水性構造体の製造方法。
  2. 有機溶媒を60質量%以上含む前記液体分散媒を用いる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記有機溶媒として、アルコール及びケトンから選ばれる一種以上の揮発性物質を用いる、請求項2に記載の製造方法。
  4. 25℃における蒸気圧が5.0kPa以上である前記液体分散媒を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記抄造体に水を担持させる工程を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記抄造体に、圧縮変形処理及びせん断変形処理のうち少なくとも一つを施す工程を更に備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記抄造体を乾燥する工程を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記吸水性ポリマーを80質量%以上90質量%以下含む前記吸水性構造体を得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 厚さが0.3mm以上3mm以下の前記吸水性構造体を得る、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。

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