JP2021079721A - 車線変更評価装置、および車線変更評価方法 - Google Patents

車線変更評価装置、および車線変更評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】後方車両への影響を配慮した自動車線変更パターンを生成したり、その自動車線変更パターンを評価したりすることが可能な車線変更評価装置、および車線変更評価方法を提供する。【解決手段】計算機は、対象車両が走行する第一車線から、第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への対象車両の車線変更開始時における対象車両と後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更前仮車間)を保持する変更前仮車間保持部310と、対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの仮想的な車線変更時間の情報(以下、仮車線変更時間)を保持する仮時間保持部320と、上記車線変更前仮車間と上記仮車線変更時間との組み合わせから導かれる第一仮車線変更パターンが、対象車両の車線変更時に後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報を保持する仮心理影響度保持部330と、を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に適用される自動車線変更パターンを評価する車線変更評価装置、および車線変更評価方法に関する。
交通事故を低減したり、運転手の負担を軽減させたりする観点から、コンピュータ制御によって自動車を運転する自動走行システムが提案されている。すでに、自動車のブレーキをコンピュータが制御する自動制動制御装置(制動支援装置)が広く普及しつつあり、前方障害物に対する自動車の衝突回避能力が高まってきている(以下、特許文献1参照)。
自動走行のレベルは、現在、5段階に定義されている。レベル0は、運転手がすべてを操作する従来の状態であり、レベル1は、自動走行システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポートする運転支援状態であり、レベル2は、自動走行システムがステアリング操作、加減速の双方をサポートする運転支援状態であり、レベル3は、特定の場所で自動走行システムが全てを操作し、緊急時に限り運転手が操作する自動運転状態であり、レベル4は、特定の場所で自動走行システムが全てを操作し、運転手は操作不要とする状態であり、レベル5は、場所の限定なく自動走行システムが全てを操作し、運転手は操作不要とする状態である。
特開平6−278500号
今後、レベル3〜レベル5のように、コンピュータによって自動車を操作する自動走行システムが普及すると、自動運転車と、運転手が運転する車両(以下、ドライバ運転車)とが同時に走行する混在環境が不可避となる。とりわけ自動運転車は、ドライバ運転車による交通流を阻害することなく、一緒に走行する能力が求められる。
しかし、従来の自動運転システムは、このような混在環境を十分に想定できておらず、例えば、自動運転車両が自動で車線変更を行う場合、自動運転車両の前方を走行する車両に対する接近や衝突を回避することのみを想定した制御となる。結果、自動運転車両の周囲のドライバ運転車に、必要以上の恐怖感を与えてしまったり、自動運転車の走行を契機にドライバ運転車が交通事故を起こしてしまったりするという問題がある。
近年、自動制動制御装置の普及も相まって、いわゆる交通事故の件数は減少傾向である。一方、本発明者らの分析によると、自動車の交通事故を基準として、前方自動車に対する後方自動車の追突事故の占有比率は、例えば、2011年から2015年にかけて増加傾向にある。更にこの追突事故に関する道路形状別割合を検証すると、最も多いのが単路(カーブや屈折部を除いた直線道路)で約62%であり、次が交差点の約27%となる(2011年から2015年の統計)。つまり、見通しの良いはずの単路での追突事故が極端に多いことがわかる。走行中の追突事故に限定すると、単路での追突事故が約71%を占める。高速走行となりやすい単路での追突事故は、死亡事故につながりやすい。
したがって、今後、ますます自動運転車が普及すると、非人間的な制動制御を行う自動運転車に対して、後方のドライバ運転車が追突事故を起こす事例が増大することが懸念される。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、特に後方車両への影響を配慮した自動車線変更パターンを生成したり、その自動車線変更パターンを評価したりする車線変更評価装置等を提供する。
上記目的を達成する本発明の一態様に係る車線変更評価装置は、計算機を有し、対象車両の車線変更時に前記対象車両で適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価装置であって、前記計算機は、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更前仮車間)を保持する変更前仮車間保持部と、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの仮想的な車線変更時間の情報(以下、仮車線変更時間)を保持する仮時間保持部と、前記車線変更前仮車間と前記仮車線変更時間との組み合わせから導かれる第一仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保持する仮心理影響度保持部と、を備えている。
また上記車線変更評価装置では、前記計算機は、前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の実際の車間距離の情報(以下、車線変更前実車間)、および、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの実際の車線変更時間の情報(以下、実車線変更時間)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更前実車間と一致または近似する前記車線変更前仮車間、および、前記実車線変更時間と一致または近似する前記仮車線変更時間の組み合わせから導かれる前記第一仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価する安全性評価部をさらに備えていてもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記計算機は、前記対象車両に適用される前記実車線変更パターンを前記安全性評価部の評価に基づいて決定する安全性評価後パターン決定部をさらに備えていてもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記仮心理影響度として、複数の被験者が前記後方車両を模した実験車両に実際に乗車した実験、および、前記後方車両に乗車した場合を想定したシミュレーションを用いた実験のうちの少なくとも一方で得られた複数の前記仮車線変更パターン毎の安全性に関する主観値のデータと、前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンと前記主観値との間の関係式のデータと、を保持し、前記計算機は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンを回帰分析することで前記関係式を導出する関係式導出部をさらに備え、前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンと一致または近似する前記第一仮車線変更パターンを前記関係式に代入することで算出した算出後主観値によって、安全性を評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が不安全と感じ始めると推定される前記主観値を閾値として前記関係式に代入して導出した不安全領域特定式を満足する前記実車線変更パターンを、不安全であると評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が不安全を感じると推定される前記主観値のデータ群を抽出し、抽出した前記データ群中の各々の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンをそれぞれ前記関係式に代入して算出した前記算出後主観値のうちの最も安全側の値を閾値として前記関係式に代入して導出した不安全領域特定式を満足する前記実車線変更パターンを、不安全であると評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記主観値のデータとして、被験者が安全であるか不安全であるかを2値で評価した場合のデータを保存し、前記関係式導出部は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンをロジスティック回帰分析することで前記関係式を導出し、安全性を評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記後方車両の運転手の危険感に関する危険度の情報と、前記後方車両の運転手における車線変更の受容性に関する受容度の情報と、を前記仮心理影響度として保持してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記後方車両の運転手の危険感に関する危険度の情報と、前記後方車両の運転手における車線変更の受容性に関する受容度の情報と、を前記仮心理影響度として保持し、前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が危険を感じると推定される危険度の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンと、前記後方車両の運転手が受け入れ難いと感じると推定される受容度の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンとが一致または近似するデータ群を抽出してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記計算機は、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)を保持する変更後仮車間保持部と、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)を保持する仮減速度保持部と、をさらに備え、前記仮心理影響度保持部は、前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる第二仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る前記仮心理影響度を保持してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンとして、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれるパターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記第二仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価してもよい。
また本発明の他の態様に係る車線変更評価装置は、計算機を有し、対象車両の車線変更時に前記対象車両で適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価装置であって、前記計算機は、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)を保持する変更後仮車間保持部と、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)を保持する仮減速度保持部と、前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保持する仮心理影響度保持部と、を備えている。
また上記車線変更評価装置では、前記計算機は、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価する安全性評価部をさらに備えてもよい。
また本発明の一態様に係る車線変更評価方法は、対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価方法であって、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの車線変更時間を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測する。
また上記車線変更評価方法では、前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の平均減速度を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測してもよい。
また上記車線変更評価方法では、対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価方法であって、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の平均減速度を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測してもよい。
本発明によれば、後方車両への影響を配慮した自動車線変更パターンを生成したり、その自動車線変更パターンを評価したりすることが可能である。
本発明の第一実施形態に係る車線変更評価装置が適用される対象車両の全体構成を示す正面図である。 上記車線変更評価装置の計算機の内部構成を示すブロック図である。 上記車線変更評価装置の機能またはプログラム構成を示すブロック図である。 上記車線変更評価装置で評価される対象車両(車線変更車両)が車線変更する様子を示す上面図である。 上記車線変更評価装置に適用される車線変更パターンのデータ構造を示す図であって、(a)および(c)は危険度の主観値、および主観値に対応する車線変更パターンを含む図であり、(b)および(d)は受容度の主観値、および主観値に対応する車線変更パターンを含む図である。 上記車線変更評価装置に適用される車線変更パターンのデータ構造を示す図であって、(a)は車線変更時の対象車両の位置の車線幅方向の時間変化を示すグラフであり、(b)は車線変更時の対象車両の横速度の時間変化を示すグラフである。 データ収集装置で、心理影響度の基礎データを収集する際の実験の様子を示す図である。 上記車線変更評価装置が保持する車線変更パターンのリストである。 上記車線変更評価装置で判断される不安全領域の一例を示すグラフであって、(a)は試験速度が60〔km/h〕の場合、(b)は試験速度が80〔km/h〕の場合を示す。 上記車線変更評価装置の安全性評価部で安全性を評価するために抽出される主観値のデータ群である。 上記車線変更評価装置で判断される不安全領域の他の例を示すグラフであって、(a)は試験速度が60〔km/h〕の場合、(b)は試験速度が80〔km/h〕の場合を示す。 本発明の第二実施形態に係る車線変更評価装置の機能またはプログラム構成を示すブロック図である。 上記車線変更評価装置で評価される対象車両(車線変更車両)が車線変更する様子を示す上面図である。 上記車線変更評価装置に適用される自動車線変更パターンのデータ構造を示す図であって、(a)は危険度の主観値、および主観値に対応する仮車線変更パターンを含む図であり、(b)は受容度の主観値、および主観値に対応する仮車線変更パターンを含む図である。 上記車線変更評価装置に適用される自動車線変更パターンのデータ構造を示す図であって、車線変更パターン毎の対象車両の試験速度を示す図である。 上記車線変更評価装置で安全性を評価する際に用いる関係式を示すグラフであって、(a)は危険度のグラフを、(b)は受容度のグラフを示す。 上記車線変更評価装置で判断される不安全領域の一例を示すグラフである。 上記車線変更評価装置で判断される不安全領域の他の例を示すグラフである。 変形例に係るデータ収集装置におけるドライビングシミュレータを示す側面図である。
<前提となる着眼点>
本発明者らは、今後、自動運転車とドライバ運転車の混在環境が進展すると、前方の自動運転車に対して後方のドライバ運転車が追突事故を起こす機会が増加する可能性に着目する。混在環境の追突事故を低減するためには、ドライバ運転車が、前方の自動運転車の車両制御を予測可能にすることが重要となる。具体的には、自動運転車の車両制御が、ドライバ運転車の車両制御と同程度の範囲内で実現されることが求められる。更には、自動運転車の車両制御によって、後方を走行するドライバ運転車に恐怖を感じさせないことが求められる。
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態に係る車線変更評価装置について、添付図面を参照して説明する。
<対象車両の全体構成>
図1は、データ構造や車線変更評価装置が適用される対象車両Tの全体構成を示す。対象車両Tは、スピードメータ82と、アクセル83と、制動装置88と、制動装置88の動作と連動するブレーキランプ84と、タイヤ85の進行方向を制御する操舵装置89と、タイヤ85(回転軸)の回転数を検知する車速センサ(回転数センサ)86と、前方の障害物の位置や距離、道路形状、信号種別等を検知する前方センサ72と、後方の障害物の位置や距離を検知する後方センサ74と、各種センサの検知信号が通信回線を介して伝達される電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)90と、を有する。スピードメータ82、アクセル83、制動装置88、ブレーキランプ84、車速センサ86、前方センサ72、後方センサ74、操舵装置89等は、すべて、電子制御ユニット90に通信回線を介して接続される。電子制御ユニット90には、計算機を有する車両制御装置20が接続されており、車両制御装置20が、電子制御ユニット90を介して、アクセル83、制動装置88、操舵装置89等を制御可能となっている。これらを接続する通信回線の種類は問わないが、例えば、CAN(Controller Area Network)規格に準拠した通信回線が用いられる。
<電子制御ユニット>
車両Tの電子制御ユニット90は、車両のあらゆる機器・装置を電子制御する機能を有する。
<車両制御装置(制動評価装置を含む)>
車両制御装置20は、計算機によって実現されるものあり、電子制御ユニット90のマイクロコンピュータと通信し、各種センサから電子制御ユニット90に送信されるライブデータをリアルタイムで取得すると同時に、自動走行用の運転指示信号を電子制御ユニット90に送信する。運転指示信号を受け付けた電子制御ユニット90は、運転指示信号に基づいてアクセル83や操舵装置89、制動装置88を制御する。なお、ここでは車両制御装置20が電子制御ユニット90を介して、自動走行制御を行う場合を例示したが、電子制御ユニット90を介さずに、車両制御装置20が各種装置を直接制御してもよい。また、車両制御装置20は、電子制御ユニット90と一体化されていてもよい。
車両制御装置20は、図2に示すように、CPU、RAM、ROMや不揮発性メモリ等の記憶装置、電源装置、入力インタフェース、出力インタフェース、これらを接続するバス配線などから構成される。CPUは中央演算処理装置であり、自動運転プログラムが実行されて様々な機能を実現する。RAMはCPUの作業領域、記憶領域として使用され、記憶装置はCPUで実行されるオペレーティングシステムやプログラムや後述するデータ構造を記憶する。また記憶装置にはその他の各種データも蓄積される。
図3に、車両制御装置20において、自動運転プログラムによって実現される機能構成を示す。車両制御装置20は、自動スロットル制御プログラムによって実現されるスロットル制御装置210と、自動操舵制御プログラムによって実現される操舵制御装置220と、車線変更評価プログラムによって実現される車線変更評価装置30と、を有する。スロットル制御装置210は、エンジンのスロットル制御を自動的に行う。操舵制御装置220は、操舵装置89の制御を自動的に行う。
<車線変更評価装置>
車線変更評価装置30は、対象車両Tのアクセル83および操舵装置89で実行される予定となる自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)の候補の安全性を評価する。車線変更評価装置30は、実車線変更パターンを決定又は生成する機能も、その一部に含む。
車線変更評価装置30は、変更前仮車間保持部310、仮時間保持部320、仮心理影響度保持部330、関係式導出部340、安全性評価部350、安全性評価後パターン決定部360と、を有する。
<自動車線変更パターンのデータ構造>
本実施形態の自動車線変更パターンのデータ構造(以下、データ構造)305は、変更前仮車間保持部310、仮時間保持部320、仮心理影響度保持部330、および関係式導出部340によって実現される。本データ構造305は、候補となる実車線変更パターンを評価する際に参照されたり、実車線変更パターンを生成する際に参照されたりする。
<変更前仮車間保持部>
図4に示すように変更前仮車間保持部310は、対象車両Tと、対象車両Tが走行する第一車線L1に併設された第二車線L2を走行する後方車両Kとの間の仮想的な車間距離の情報である車線変更前仮車間Dvを保持する。この車線変更前仮車間Dvは、対象車両Tの走行する車線L1から後方車両Kの走行する車線L2への、対象車両Tの車線変更開始時における車線L1、L2に沿う走行方向の車間距離の情報である。なお、走行中の対象車両Tにおいて、後方センサ74(図1参照)によって検出される車線変更開始時の実際の車間距離の情報を、本実施形態では「車線変更前実車間Dr」と定義する。以下、「仮想的な」とは、データ構造305に情報が保存されている状態を意味する。また、車線変更開始時とは、対象車両Tの前輪85aが車線L1、L2同士の間の中央線Cを踏んだ時点をいう。また、車線変更完了時とは、対象車両Tの後輪85bが中央線Cを超えた時点をいう。
変更前仮車間保持部310は、互いに異なる複数の車線変更前仮車間Dvのデータを保持する。本実施形態では、図5(a)、図5(b)、図5(c)、および図5(d)の縦軸に示すように、対象車両Tの走行速度毎(本実施形態では60〔km/h〕、80〔km/h〕の2パターンの速度毎)に、かつ、後述する危険度および受容度のデータ毎に、4パターンの車線変更前仮車間Dvのデータを保持している。本実施形態では4パターンの車線変更前仮車間Dvの一例として、8〔m〕、12〔m〕、24〔m〕、48〔m〕が設定されている。
<仮時間保持部>
図4に戻って仮時間保持部320は、対象車両Tの車間変更開始時から車線変更完了時までの仮想的な車線変更時間の情報である仮車線変更時間Hvを保持する。なお、走行中の対象車両Tにおいて、例えば前方センサ72や後方センサ74(図1参照)によって前輪85aが中央線Cを踏んだ時である車線変更開始時が検出され、後輪85bが中央線Cを超えた時である車線変更完了時が検出される。このように検出された車間変更開始時から車線変更完了時までの時間である実際の車線変更時間の情報を、本実施形態では「実車線変更時間Hr」と定義する。
仮時間保持部320は、互いに異なる複数の仮車線変更時間Hvのデータを保持する。本実施形態では仮時間保持部320は、図5(a)、図5(b)、図5(c)、および図5(d)の横軸に示すように、対象車両Tの走行速度毎(本実施形態では60〔km/h〕、80〔km/h〕の2パターンの速度毎)に、かつ、後述する危険度、受容度のデータ毎に、6パターンの仮車線変更時間Hvのデータを保持している。本実施形態では6パターンの仮車線変更時間Hvの一例として、12.0〔s〕、10.0〔s〕、6.7〔s〕、3.4〔s〕、2.3〔s〕、1.9〔s〕が設定されている。
<仮心理影響度保持部>
仮心理影響度保持部330は、変更前仮車間保持部310の車線変更前仮車間Dvと、仮時間保持部320の仮車線変更時間Hvとの組み合わせ(マトリックス)から導かれる仮車線変更パターンが、対象車両Tの車線変更完了時に後方車両Kの運転手に与える安全性に関する心理的影響度の情報、すなわち、仮心理影響度を保持する。
ここで仮車線変更パターンは、例えば図6(a)に示すような、対象車両Tの走行する第一車線L1から後方車両Kの走行する第二車線L2へ向けて、対象車両Tが車線変更を行う際の対象車両Tの車線L1、L2上での走行位置の時間変化を示すカーブを実現するための車線変更制御指示情報を含んでいる。このカーブは、対象車両Tの車線変更開始時から完了時までの時間〔s〕と、車線L1、L2同士の中央線Cから対象車両Tまでの距離〔m〕との関係を定義している。図6(a)の縦軸に示す距離は、例えば中央線Cから対象車両Tの重心までの距離を示す。
さらに仮車線変更パターンは、図6(b)に示すように、対象車両Tが車線変更を行う際の対象車両Tにおける速度変化のカーブを実現するための車線変更制御指示情報を含んでいる。このカーブは、対象車両Tの車線変更開始時から完了時までの時間〔s〕と、対象車両Tの車線幅方向への横速度〔m/s〕との関係を定義している。このような車線変更制御指示情報を含む仮車線変更パターンに基づいて、アクセル83の踏み込み量、および操舵装置89の操舵量が決定される。図6(a)、(b)に記載された曲線は、例えば実際の対象車両Tを模した車両に運転手が乗車して、後方車両Kを模した車両の前方で対象車両Tを模した車両が車線変更を行う実験を行うことで得た実験結果に基づき作成される。
本実施形態の仮心理影響度保持部330は、仮心理影響度として、対象車両Tが車線変更した際に後方車両Kの運転手が危険と感じる危険感に関する危険度の情報、および、後方車両Kの運転手が対象車両Tの車線変更を受容できるか否かの受容性に関する受容度の情報を保持している。
危険度および受容度の情報には、後述する実験で得られる被験者の主観値が含まれる。危険度に関しては、「1:十分安全、2:安全、3:どちらでもない、4:危険、5:かなり危険」の数値で評価される。図5(a)および図5(c)に記載の通り、これらの数値で被験者によって評価、申告された危険度の主観値の基礎データが仮心理影響度としてデータ構造305に含まれている。
また受容度に関しては、「0:許せる、1:許せない」の数値で評価される。図5(b)および図5(d)に記載の通り、これらの数値で被験者に評価、申告された受容度の主観値の基礎データが仮心理影響度としてデータ構造305に含まれている。
本実施形態では、仮心理影響度として、映像を用いて複数の被験者が仮車線変更パターン毎の危険度、および受容度を主観的に評価した際の主観値を実験により収集し、仮心理影響度保持部330に保持している。また仮心理影響度保持部330は、仮心理影響度としてこれら主観値とともに、各々の主観値に対応する仮車線変更パターンにおける車線変更前仮車間Dvおよび仮車線変更時間Hvと、主観値との間の関係式のデータも保持している。
具体的には図7に示すように、仮車線変更パターン毎の危険度、および受容度の主観値を基礎データとして収集するために、映像記録部101と、ヘッドマウントディスプレイ102と、収集部103と、実験車両Zとを備えるデータ収集装置100を用いる。
<データ収集装置>
映像記録部101は、図4に示すように事前に所定の仮車線変更パターンで車線変更車両Te(対象車両Tを模した車両)および周辺車両Ke(後方車両Kを模した車両)を走行させ、車線変更車両Teを周辺車両Keの前方で車線変更させる実験の様子を、周辺車両Keの運転手の視点位置から撮影した映像を記録している。映像記録部101は例えばCPU、RAM、ROMや不揮発性メモリ等の記憶装置などから構成されるコンピュータ(本実施形態ではPC(パーソナルコンピュータ))に設けられている。
ヘッドマウントディスプレイ102は、すべての被験者に装着される。ヘッドマウントディスプレイ102には、映像記録部101に記録した映像が無線で配信される。これによりすべての被験者が、同じ映像を視ることが可能となっている。
収集部103には、映像記録部101に記録された映像を視た被験者によって仮車線変更パターン毎に申告された危険度、受容度の主観値が入力される。これにより収集部103は仮車線変更パターン毎に仮心理影響度を基礎データとして収集、記録可能である。収集部103は例えば上記のPCに設けられている。
実験車両Zは、周辺車両Keを模した車両であって、ヘッドマウントディスプレイ102を装着した被験者が多人数で乗車可能な例えばバス等の大型車両やミニバンである。実験車両Zは、映像記録部101の映像中の周辺車両Keの挙動に合わせて加減速等の動作を行うことが可能となっている。
ここで、データ収集装置100は、さらに挙動記録部104または映像解析記録部105を備えている。これら挙動記録部104または映像解析記録部105は、上記のPCに設けられて、例えば無線で周辺車両Keからのデータを受け取ることが可能である。挙動記録部104は、上記実験で車線変更車両Teと周辺車両Keとを走行させた際に、周辺車両Keの加減速等の動作を記録する。挙動記録部104は、例えばGPS(Global Positioning System)の位置情報や、車線変更車両Teとの相対位置を計測するセンサ等を用いて周辺車両Keの挙動を記録する。挙動記録部104に記録された周辺車両Keの挙動のデータを用いて、ヘッドマウントディスプレイ102に映される映像に合わせて実験車両Zの加減速等の挙動を制御可能となっている。
また、映像解析記録部105は、上記実験で車線変更車両Teと周辺車両Keとを走行させた際に周辺車両Keの運転手の視点位置から撮影した上記映像をGPSの位置データやAI(Artificial Intelligence)を用いて解析し、周辺車両Keの挙動を記録する。映像解析記録部105に記録された周辺車両Keの挙動のデータを用いて、ヘッドマウントディスプレイ102に映される映像に合わせて実験車両Zの加減速等の挙動を制御可能となっている。
<仮心理影響度の基礎データの収集方法>
次に、データ収集装置100を用いた仮心理影響度を収集する方法について説明する。
(映像準備ステップ)
まず、映像記録部101に記録する映像を準備する映像準備ステップを実行する。このステップでは実験を行って実験結果を映像記録部101に記録する。実験では車線変更車両Teおよび周辺車両Keを所定の試験速度まで加速させる。すなわち、図4に示すように車線変更車両Teを同一車線内で加速させるとともに、車線変更車両Teが走行する車線L1に隣接する車線L2(車線変更車両の走行方向の右側車線)で周辺車両Keを車線変更車両Teと同じ試験速度まで加速させる。本実施形態では60〔km/h〕、および80〔km/h〕の2パターンの試験速度まで車線変更車両Teおよび周辺車両Keを加速させた後に定速走行させる。また定速走行時には車線変更車両Teと周辺車両Keとの走行方向の車間距離(車線変更前仮車間Dvに相当)が、図5に示す通り、8〔m〕、12〔m〕、24〔m〕、48〔m〕となる4パターンについて実験を行う。
また実験では、車線変更車両Teと周辺車両Keとが上記の車間距離をあけて定速走行を行っている状態で、車線変更車両Teの方向指示器を約1秒間点滅させた後に、周辺車両Keが走行する車線L2へ向けて車線変更を行う。車線変更車両Teの車線変更開始時から完了時までの車線変更時間(仮車線変更時間Hvに相当)が、図5に示す通り、12.0〔s〕、10.0〔s〕、6.7〔s〕、3.4〔s〕、2.3〔s〕、1.9〔s〕となる6パターンについて実験を行う。
なお実験における車線変更車両Teは自動運転車両であることが好ましいが、ドライバ運転車であってもよい。そして実験の様子を周辺車両Keの運転手の視点位置から撮影し、撮影した映像を映像記録部101に記録する。映像記録部101に記録される映像は試験速度:2パターン、車間距離:4パターン、車線変更時間:6パターンの計48パターンの仮車線変更パターンの映像となる。すなわち図8に示す通りのNo.1〜No.24の車線変更のパターンを、試験速度60〔km/h〕と80〔km/h〕との2パターンについて実験を実施した映像が映像記録部101に記録される。
(被験者乗車ステップ)
映像準備ステップの次に、被験者乗車ステップを実行する。すなわち、図7に示すように複数の被験者を実験車両Zに乗車させるとともに、各被験者にヘッドマウントディスプレイ102を装着させる。
(実験実行ステップ)
被験者乗車ステップの次に、実験実行ステップを実行する。すなわち、各被験者が装着したヘッドマウントディスプレイ102に対して一斉に映像記録部101から映像を配信するとともに、実験車両Zは、ヘッドマウントディスプレイ102に映される映像中の周辺車両Keの挙動にあわせて加減速等が行われるように制御される。これにより被験者に対象車両Tの車線変更を仮想的に体験させる。実験車両Zの加減速制御については、不図示の自動運転ロボット等を用いて挙動記録部104や映像解析記録部105に記録されたデータにあわせて自動運転で行ってもよいし、運転手が挙動記録部104や映像解析記録部105に記録されたデータをもとに加減速操作を行ってもよい。被験者は上記48パターンの仮車線変更パターンの映像を視て実験を行うことになる。
ここで、ヘッドマウントディスプレイ102への映像の配信方法として本実施形態では以下の2パターンのいずれかのパターンで実施される。
〈配信パターン1〉
図8に示す仮車線変更のパターンのうち、車線変更前仮車間Dv(車線変更開始距離)が最も長い第一パターン群(No.1、5、9、13、17、21)のうちで車線変更時間Hvが最も長いパターンであるNo.1の映像から仮車線変更時間Hv(車線変更時間)が短いパターンに向かって順番に配信する。その後、次に車線変更前仮車間Dvが短い第二パターン群(No.2、6、10、14、18、22)のうちで仮車線変更時間Hvが最も長いパターンであるNo.2の映像から仮車線変更時間Hvが短いパターンに向かって順番に配信する。同様の方法で第三パターン群(No.3、7、11、15、19、23)、第四パターン群(No.4、8、12、16、20、24)について順次配信を行う。
〈配信パターン2〉
図8に示す車線変更のパターンのうち、車線変更前仮車間Dvが最も短い上記第四パターン群(No.4、8、12、16、20、24)のうちで仮車線変更時間Hvが最も短いパターンであるNo.24の映像から仮車線変更時間Hvが長いパターンに向かって順番に配信する。その後、次に車線変更前仮車間Dvが長い上記第三パターン群(No.3、7、11、15、19、23)のうちで仮車線変更時間Hvが最も短いパターンNo.23の映像から仮車線変更時間Hvが長いパターンに向かって順番に配信する。同様の方法で第二パターン群(No.2、6、10、14、18、22)、第一パターン群(No.1、5、9、13、17、21)について順次配信を行う。
(主観値申告ステップ)
実験実行ステップの後に、被験者全員に対して、危険度に関する主観値、および受容度に関する主観値をそれぞれ48パターンの仮車線変更パターンについて申告させる。本実施形態では、実際に上記実験を実施して申告された被験者の主観値の例を図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)に基礎データとして記載している。
(データ収集ステップ)
申告された主観値は、上記PCに入力されることで収集部103に収集される。なお被験者による主観値については、例えば用紙に記載させて申告させた数値をPCに入力してもよいし、被験者にPCに直接入力させてもよい。なお収集部103をPCではなく実験車両Zに設けてもよい。
<関係式導出部>
図4に戻って、関係式導出部340は、上記実験で得られた危険度および受容度の主観値と、各々の主観値に対応する仮車線変更パターンとを重回帰分析することで、実車線変更パターンの危険度および受容度の主観値を推定するための関係式(重回帰式)を導出する。
実際に上記実験を実施して得られた被験者の主観値から重回帰分析によって導出された関係式は以下の数式(1)〜(4)の通りである。以下の数式におけるxは車線変更前仮車間Dv、xは仮車線変更時間Hvである。またyは危険度の主観値、yは受容度の主観値である。
〈試験速度が60〔km/h〕の場合〉
=−0.0414x−0.104x+4.35・・・(1)
=−0.0108x−0.0223x+0.659・・・(2)
〈試験速度が80〔km/h〕の場合〉
=−0.0489x−0.128x+4.79・・・(3)
=−0.0103x−0.0410x+0.782・・・(4)
これらの関係式は上述の通り仮心理影響度保持部330に仮心理影響度として保持されている。なお各関係式における数値は一例であって、実験で被験者の申告する主観値が変動すれば上記関係式の数値も変動する。
<安全性評価部>
安全性評価部350は、実車線変更パターンの車線変更前実車間Drと一致または近似する車線変更前仮車間Dv、および、実車線変更時間Hrと一致または近似する仮車線変更時間Hvの組み合わせから導かれる仮車線変更パターンと、実車線変更パターンとを比較することで、仮心理影響度のレベルから安全性を評価する。より具体的には、上記の数式(1)〜(4)のxに車線変更前実車間Drを代入し、xに実車線変更時間Hrを代入することで、危険度および受容度の主観値(算出後主観値)y、yを算出し、算出した主観値y、yから安全性を評価する。本実施形態では安全性評価部350では、以下の手法Iまたは手法IIによって安全性を評価する。
〈手法I〉
安全性評価部350では、後方車両Kの運転手が危険と感じ始めると推定される危険度の主観値の閾値を数式(1)、(3)のyに代入して以下の数式(5)、(7)の不安全領域特定式を導出して、これら不安全領域特定式を満足する仮車線変更パターンを不安全であると評価する。また安全性評価部350では、後方車両Kの運転手が対象車両Tの車線変更を受け入れ難いと感じ始めると推定される受容度の主観値の閾値を数式(2)、(4)のyに代入して以下の数式(6)、(8)の不安全領域特定式を導出して、これら不安全領域特定式を満足する仮車線変更パターンを不安全であると評価する。本実施形態では、例えば危険度の主観値の閾値を3.5以上とし、受容度の主観値の閾値を0.5以上として不安全領域特定式を導出する。
〈試験速度が60〔km/h〕の場合〉
0.0414x+0.104x≦0.853・・・(5)
0.0108x+0.0223x≦0.159・・・(6)
〈試験速度が80〔km/h〕の場合〉
0.0489x+0.128x≦1.29・・・(7)
0.0103x+0.0410x≦0.282・・・(8)
数式(5)、(6)によって不安全であると評価される範囲を図9(a)に示し、数式(7)、(8)によって不安全であると評価される範囲を図9(b)に示す。
〈手法II〉
一方で手法IIでは、安全性評価部350は、まず後方車両Kの運転手が危険を感じると判断される危険度の主観値のデータ群、および受け入れ難いと感じると判断される受容度の主観値のデータ群をデータ構造305の基礎データから抽出する。本実施形態では、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)の太枠で囲まれた主観値を、図10に示すようにデータ群として抽出する。抽出されたデータ群は、試験速度が60〔km/s〕の場合は図8に示す仮車線変更パターンのNo.19、20、23、24であり、試験速度が80〔km/s〕の場合は図8に示す仮車線変更パターンのNo.16、19、20、23、24である。
本実施形態では安全性評価部350は、後方車両Kの運転手が危険を感じると判断される危険度の主観値に対応する仮車線変更パターンと、後方車両Kの運転手が受け入れ難いと感じると推定される受容度の主観値に対応する仮車線変更パターンとが一致(または近似)するデータ群を、試験速度毎に抽出している。
その後、安全性評価部350はこれら抽出された仮車線変更パターンをそれぞれ数式(1)〜(4)に代入して危険度の主観値(算出後主観値)yおよび受容度の主観値(算出後主観値)yを求める。そして試験速度毎に、算出後主観値y、yそれぞれについて最小値の近傍の値、すなわち最も安全側の値を危険度および受容度の閾値と定める。本実施形態では、試験速度60〔km/h〕の危険度の最小値が例えば3.62であり、試験速度80〔km/h〕の危険度の最小値が例えば3.91であるので、危険度の閾値をこれらの最小値の近傍の値である「4.0」とする。また、試験速度60〔km/h〕の受容度の最小値が例えば0.48であり、試験速度80〔km/h〕の危険度の最小値が例えば0.56であるので、受容度の閾値をこれらの最小値の近傍の値である「0.5」とする。なお本実施形態では、危険度、受容度ともに安全性に関する評価の指標となる数値が大きい場合に不安全であるとの判断がなされるが、逆に評価の指標となる数値が小さい場合に不安全であるとされる場合には、算出後主観値y、yそれぞれの最大値の近傍の値を危険度および受容度の閾値と定めることになる。
そして安全性評価部350は、危険度の主観値の閾値(4.0より大きい値)を数式(1)、(3)のyに代入して以下の数式(9)、(11)の不安全領域特定式を導出して、これら不安全領域特定式を満足する仮車線変更パターンを不安全であると評価する。また、受容度の主観値の閾値(0.5より大きい値)を数式(2)、(4)のyに代入して以下の数式(10)、(12)の不安全領域特定式を導出して、これら不安全領域特定式を満足する仮車線変更パターンを不安全であると評価する。
〈試験速度が60〔km/h〕の場合〉
0.0414x+0.104x≦0.735・・・(9)
0.0108x+0.0223x≦0.181・・・(10)
〈試験速度が80〔km/h〕の場合〉
0.0489x+0.128x≦0.880・・・(11)
0.0103x+0.0410x≦0.218・・・(12)
数式(5)、(6)によって不安全であると評価される範囲を図11(a)に示し、数式(7)、(8)によって不安全であると評価される範囲を図11(b)に示す。
<安全性評価後パターン決定部>
図4に戻って、安全性評価後パターン決定部360は、走行中の対象車両Tに実際に適用される実車線変更パターンを安全性評価部350の評価に基づいて決定する。この決定は、望ましいとされる実車線変更パターン候補群を準備し、実車線変更パターンの各候補を、安全性評価部350によって評価し、最も評価の高い実車線変更パターンを最終決定する。最終決定された実車線変更パターンは、電子制御ユニット90を介して、アクセル83および操舵装置89に適用される。
以上説明した本実施形態の車線変更評価装置によれば、上記の不安全領域特定式(5)〜(8)または(9)〜(12)を用いて、実際に対象車両Tが車線変更を行った場合の実車線変更パターンについて、対象車両Tが後方車両Kの運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度のレベルから安全性の評価を行うことができる。さらに、対象車両Tが車線変更する際の実車線変更パターンが、不安全領域特定式(5)〜(8)または(9)〜(12)を満たすように、対象車両Tの車線変更の動作を制御することもできる。
すなわち後方車両Kへの影響を配慮した自動車線変更パターン(実車線変更パターン)を生成したり、その自動車線変更パターンを定量的に評価したりすることが可能となり、対象車両Tが実際に車線変更を行った際に、後方車両Kの運転手に心理的に不安全であるとの感情を抱かせることを回避できる。よって、自動運転車とドライバ運転車とが同時に走行する混在環境において、安全性を向上することができる。
さらに、また本実施形態では後方車両Kの運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度として危険度、受容度の二つの指標を用いて安全性を評価するため、評価の信頼性を向上できる。
特に、安全性評価部350において上記手法Iを用いて実車線変更パターンの安全性を評価する場合には、危険度、受容度のそれぞれについて独立して安全性の評価を行うことができる。このため、危険度、および受容度のいずれか一方について実車線変更パターンが不安全領域に含まれる場合には車線変更を取りやめる等の制御が可能となり、安全性をより高めた評価が可能である。
一方で安全性評価部350において上記手法IIを用いて実車線変更パターンの安全性を評価する場合には、実験で不安全であると判断される仮車線変更パターンをもとにして、安全と不安全との間の境界をより客観的に見出すことが可能となる。
また、本実施形態では、データ収集装置100で収集した基礎データをもとに、対象車両Tが車線変更する際の安全性の評価を行っている。そして基礎データを提供する被験者は、映像記録部101に記録された映像を視て車線変更の安全性の主観的な評価を行うことができるため、実際に周辺車両Keに乗車して安全性評価を行う場合にくらべて、容易にかつ安全に評価を行うことができる。そしてデータ収集装置100によって後方車両Kへの影響を配慮した自動車線変更パターンを生成したり、その自動車線変更パターンを評価したりするための基礎データを収集することができる。
また、同じ映像をすべての被験者が視て車線変更の安全性を評価するため、被験者の評価基準を統一することができ、被験者が評価する主観値の基準が統一され、基礎データの信頼性が向上する。
さらに被験者は、映像中の周辺車両Keの挙動にあわせて動作する実験車両Zに乗車した状態でヘッドマウントディスプレイ102によって映像を視て安全性の評価を行うため、実際に周辺車両Keを運転しているような臨場感を体感しつつ安全性の評価を行うことができる。よって、被験者が評価する主観値の信頼性がさらに向上する。
また、実験車両Zには多人数の被験者が同時に乗車可能であり、複数の被験者が同時に同じ映像を視て安全性の評価を行うことができる。よって、容易に多くの被験者から安全性を評価した主観値のデータを収集することができ、データ収集の効率を向上できる。
また、挙動記録部104や映像解析記録部105によって実験車両Zを映像中の周辺車両Keと同じ挙動で動作させることができるため、容易に、正確に周辺車両Keの挙動を実験車両Zで実現できる。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る車線変更評価装置について説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。第一実施形態では、対象車両Tと後方車両Kとの間の速度差が0の場合について説明したが、本実施形態では、対象車両よりも後方車両Kの速度が大きい場合について説明する。
図12に示すように、車両制御装置20における車線変更評価装置30Aは、変更前仮車間保持部310、仮時間保持部320、仮心理影響度保持部330、関係式導出部340、安全性評価部350、安全性評価後パターン決定部360に加え、変更後仮車間保持部370および仮減速度保持部380をさらに備えている。よって本実施形態のデータ構造305Aは、変更前仮車間保持部310、仮時間保持部320、仮心理影響度保持部330、関係式導出部340、変更後仮車間保持部370、および仮減速度保持部380によって実現される。
<変更後仮車間保持部>
図13に示すように変更後仮車間保持部370は、対象車両Tの車線変更開始後に対象車両Tと後方車両Kとの相対速度が0となった際の対象車両Tと後方車両Kとの間の仮想的な車間距離の情報である車線変更後仮車間D2vを保持する。なお、走行中の対象車両Tにおいて、後方センサ74(図1参照)によって検出される車線変更完了後の実際の車間距離の情報を、本実施形態では実車線変更パターンにおける「車線変更後実車間D2r」と定義する。
変更後仮車間保持部370は、互いに異なる複数の車線変更後仮車間D2vのデータを保持する。本実施形態では変更後仮車間保持部370は、図14(a)、図14(b)の縦軸に示すように車線変更後仮車間D2vに相当するデータとして、車線変更後仮車間D2vを対象車両Tの速度で割った値、すなわち車線変更完了後に後方車両Kが対象車両Tに最接近した際の後方車両Kと対象車両Tとの間の距離に対応する4パターンの最接近車間時間tのデータを保持している。すなわち、最接近車間時間tとは、対象車両Tがtの間に進む距離を表す指標である。よってこの最接近車間時間tに対象車両Tの速度を掛けることで車線変更後仮車間D2vが算出される。本実施形態では4パターンの最接近車間時間tの一例として0.5〔s〕、1〔s〕、1.5〔s〕、2〔s〕が設定されている。
<仮減速度保持部>
図13に戻って仮減速度保持部380は、対象車両Tの車線変更開始後における対象車両Tと後方車両Kとの相対速度が0となるまでの後方車両Kの仮想的な平均減速度の情報である仮減速度avのデータを保持する。なお、走行中の対象車両Tにおいて、車速センサ86(図1参照)によって検出される実際の後方車両Kの平均減速度の情報を、本実施形態では実車線変更パターンにおける「実減速度ar」と定義する。
仮減速度保持部380は、互いに異なる複数の仮減速度avのデータを保持する。本実施形態では仮減速度保持部380は、図14(a)、図14(b)の横軸に示すように5パターンの仮減速度avのデータを保持している。本実施形態では5パターンの仮減速度avの一例として1〔s〕、2〔s〕、3〔s〕、4〔s〕、5〔s〕が設定されている。
<仮心理影響度保持部>
仮心理影響度保持部330は、第一実施形態の仮車線変更パターンに加え、車線変更後仮車間D2vに相当する最接近車間時間t、および仮減速度avの組み合わせ(マトリックス)から導かれる仮車線変更パターンが、対象車両Tの車線変更完了時に後方車両Kの運転手に与える仮心理影響度を保持する。
ここで仮車線変更パターンは、例えば図15に示すような、対象車両Tが車線変更する際の対象車用Tの試験速度Vsminの情報も含んでいる。この試験速度Vsminは、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の自動命令操舵機能(Automatically Commanded Steering Function(ACSF)の国際基準R79に基づいて後述の実験条件により算出される数値である。試験速度Vsminは、後方車両Kの速度が100〔km/h〕の場合の対象車両Tが車線変更を行う最低作動速度である。最低作動速度とは、各仮車線変更パターンにおいて最低作動速度よりも対象車両Tの速度が遅いと不安全であると国際基準R79によって判断される境界値である。
第一実施形態と同様に仮心理影響度保持部330は、危険度および受容度の情報として後述する実験で得られる被験者の主観値を保持する。本実施形態では、後述する複数の具体的な質問を被験者に行って、被験者に「1:危険を感じる、0:危険を感じない」の2値で危険度の主観値を評価、申告させ、「1:受け入れられない、0:受け入れられる」の2値で受容度の主観値を評価、申告させることで主観値のデータを基礎データとして収集する。すなわち、本実施形態では図14(a)に記載の通り、被験者に評価、申告された危険度の主観値の基礎データが仮心理影響度としてデータ構造305Aに含まれ、図14(b)に記載の通り、被験者に評価、申告された受容度の主観値の基礎データが仮心理影響度としてデータ構造305Aに含まれている。
危険度の主観値を評価、申告させるための質問は例えば以下の通りである。
・クラクションを鳴らしたい程度の危険を感じるか否か。
・自分でブレーキを踏んだり、ハンドルを操作したりして衝突回避行動をとりたい程度の危険を感じるか否か。
<仮心理影響度の基礎データの収集方法>
次に、データ収集装置100を用いた仮心理影響度を収集する方法について説明する。
(映像準備ステップ)
まず、映像記録部101に記録する映像を準備する映像準備ステップを実行する。このステップでは実験を行って実験結果を映像記録部101に記録する。実験は上記ACSFの国際基準R79に基づいて実施される。実験では一例として、まず車線変更車両Teと周辺車両Keとの車間距離が55〔m〕となった時点で車線変更車両Teの車線変更操作を開始する。周辺車両Keは100〔km/s〕の速度で走行させる。車線変更車両Teの前輪85aが中央線Cを踏んだ車線変更開始時から0.4〔s〕の間、周辺車両Keをそのまま等速で走行させて空走させた後に、図14に示す通り、1〔m/s〕、2〔m/s〕、3〔m/s〕、4〔m/s〕、5〔m/s〕の5パターンの減速度(仮減速度avに相当)で減速を開始させる。
また実験では、車線変更車両Teは、方向指示器を約1秒間点滅させた後に、周辺車両Keが走行する車線L2へ向けて車線幅方向への横移動を開始する。車線変更車両Teが横移動を開始した後に、2〜4〔s〕で走行方向右側の前輪85aが中央線Cを踏むことで車線変更が開始される。車線変更開始後、5〔s〕未満で車線変更車両Teの走行方向左側の後輪85bが中央線Cを超えるように車線変更車両Teを制御する。この際、車線幅方向への加速度である横加速度が1〔m/s〕以下となるように、かつ、躍度が0.5〔s〕あたりで5〔m/s〕となるように車線変更車両Teが制御される。
また実験は、車線変更車両Teと周辺車両Keとの最接近車間時間tが、図15に示すように、0.5〔s〕、1〔s〕、1.5〔s〕、2〔s〕となる4パターンについて実施される。そして実験の様子を周辺車両Keの運転手の視点位置から撮影し、撮影した映像を映像記録部101に記録する。映像記録部101に記録される映像は減速度:5パターン、最接近車間時間:4パターンの計20パターンの仮車線変更パターンの映像となる。第一実施形態と同様に実験における車線変更車両Teは自動運転車両であることが好ましいが、ドライバ運転車であってもよい。
その後、第一実施形態と同様に被験者が実験車両Zに乗車してヘッドマウントディスプレイ102によって映像記録部101の20パターンの仮車線変更パターンの映像を視て、危険度および受容度の主観値を申告する。本実施形態では、実際に上記実験を実施して申告された被験者の主観値の例を図14(a)、図14(b)に基礎データとして記載している。
<関係式導出部>
図12に戻って、関係式導出部340は、上記実験で得られた危険度および受容度の2値評価された主観値と、各々の主観値に対応する仮車線変更パターンとについて、多重ロジスティック回帰分析することで、実車線変更パターンの危険度および受容度の主観値を推定するための関係式を導出する。
実際に上記実験を実施して得られた被験者の2値評価された主観値から多重ロジスティック回帰分析によって導出された関係式は以下の数式(13)、(14)の通りである。なおavは上記の仮減速度であり、tは上記の最接近車間時間である。またA1は危険度の主観値、A2は受容度の主観値である。またP1は、後方車両Kの運転手が対象車両Tの車線変更が危険であると感じる確率(危険感発生確率)、P2は、後方車両Kの運転手が対象車両Tの車線変更を受け入れないと判断する確率(非受容確率)である。
A1=0.4806×av−2.0970×t+1.4306・・・(13)
A2=0.4721×av−1.3086×t+0.2193・・・(14)
P1=eA1/(1+eA1)・・・(15)
P2=eA2/(1+eA2)・・・(16)
これらの関係式は上述の通り仮心理影響度保持部330に仮心理影響度として保持されている。なお各関係式における数値は一例であって、実験で被験者の申告する主観値が変動すれば上記関係式の数値も変動する。危険度の主観値から得た数式(13)を数式(15)に代入して得られるP1とavとtとの関係を示す三次元グラフを図16(a)に示す。また受容度の主観値から得た数式(14)を数式(16)に代入して得られるP2とavとtとの関係を示す三次元グラフを図16(b)に示す。
<安全性評価部>
安全性評価部350は、例えば危険感発生確率P1および非受容確率P2がともに0.5(50%)以上となる危険度および受容度の主観値A1、A2を上記式(15)、(16)から算出する。そしてこのように算出した主観値A1、A2を上記式(13)、(14)にそれぞれ代入し、以下の不安全領域特定式を導出する。
〈危険度の不安全特定式〉
0.4806×av−2.0970×t+1.4306≧0・・・(17)
〈受容度の不安全領域特定式〉
0.4721×av−1.3086×t+0.2193≧0・・・(18)
数式(17)、(18)によって不安全であると評価される不安全領域の範囲を図17に示す。なお本実施形態の数式(17)、(18)で特定される不安全領域内に、国際基準R79で安全であると判断される最接近車間時間t=1、仮減速度av=3の車線変更パターンが含まれてしまうことが図17により確認できる。また国際基準R79で安全であると判断される最接近車間時間t=1、仮減速度av=3の車線変更パターンの最低作動速度47.1〔km/h〕(図15参照)が、不安全な最低作動速度の領域に含まれてしまうことが図18により確認できる。
以上説明した本実施形態の車線変更評価装置では、対象車両Tと後方車両Kとの速度差がある場合であっても、上記の不安全領域特定式(17)〜(18)を用いて、実際に対象車両Tが車線変更を行った場合の実車線変更パターンについて、対象車両Tが後方車両Kの運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度のレベルから安全性の評価を行うことができる。さらに、対象車両Tが車線変更する際の実車線変更パターンが、不安全領域特定式(17)〜(18)を満たすように、対象車両Tの車線変更の動作を制御することもできる。したがって、第一実施形態に比べてさらに信頼性を高めた自動車線変更パターンの生成や評価が可能となる。
また、上記のロジスティック回帰分析を用いて不安全領域特定式を算出することで、被験者が実験において主観値を申告する際に、2値で申告することができる。したがって、主観値の信頼性が高まり、安全性評価をより簡易で信頼性の高いものとすることができる。
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、安全性評価部350は、第一実施形態の実車線変更パターンと第二実施形態の実車線変更パターンとの両方を同時に評価するものに限定されない。すなわち、安全性評価部350は、必ずしも上記数式(1)〜(4)のx(車線変更前仮車間Dv)およびx(仮車線変更時間Hv)、上記数式(13)〜(14)のt(最接近車間時間)およびav(仮減速度)の四つのパラメータで安全性の評価を行う必要はなく、x、xの二つのパラメータのみで評価したり、t、avの二つのパラメータのみで評価したり、四つのパラメータのうちのいずれか二つのパラメータを組み合わせて評価したり、いずれか一つのパラメータのみで評価したりしてもよい。また安全性評価部350は、安全性に寄与すると考えられるその他のパラメータを用いて安全性の評価を行ってもよい。
また、第一実施形態において第二実施形態と同様に2値評価した主観値をもとにロジスティック回帰分析して導出した関係式を用いて不安定領域特定式を導出して安全性評価を行ってもよい。また第二実施形態において第一実施形態の手法I、手法IIによって不安定領域特定式を導出して安全性評価を行ってもよい。また手法I、IIの評価の際には、例えば危険度、受容度それぞれの最小値を0%とし、最大値を100%として被験者に10%刻みで、11段階評価で主観値を申告させてもよい。
ここで例えば上記実施形態では、心理的影響度の情報である仮心理影響度を、データ収集装置を用いて収集する際に、ヘッドマウントディスプレイ102を装着した被験者が実験車両Zに乗車して主観値の申告を行っている。しかし例えば、図19に示すように被験者が乗車するドライビングシミュレータ800の前方ウインドウとなるディスプレイ820に映像記録部101の映像を映し出すとともに、ドライビングシミュレータ800を映像中の後方車両Kの挙動にあわせて加減速が行われるように制御し、被験者に主観値を申告させてもよい。ヘッドマウントディスプレイ102を装着した被験者がドライビングシミュレータ800に乗車して実験を行ってもよい。また、被験者が映像を視て主観値を申告するのではなく、後方車両Kの運転を被験者によって実際に行わせるようにし、主観値を申告させてもよい。
本発明によれば、後方車両への影響を配慮した自動車線変更パターンを生成したり、その自動車線変更パターンを評価したりすることが可能である。
T (対象)車用
Te 車線変更車両
K 後方車両
Ke 周辺車両
L1 第一車線
L2 第二車線
C 中央線
Z 実験車両
20 車両制御装置
30、30A 車線変更評価装置
82 スピードメータ
83 アクセル
84 ブレーキランプ
85 タイヤ
85a 前輪
85b 後輪
86 車速センサ
88 制動装置
89 操舵装置
90 電子制御ユニット
100 データ収集装置
101 映像記録部
102 ヘッドマウントディスプレイ
103 収集部
104 挙動記録部
105 映像解析記録部
210 スロットル制御装置
220 操舵制御装置
305、305A データ構造
310 変更前仮車間保持部
320 仮時間保持部
330 仮心理影響度保持部
340 関係式導出部
350 安全性評価部
360 安全性評価後パターン決定部
370 変更後仮車間保持部
380 仮減速度保持部
800 ドライビングシミュレータ
820 ディスプレイ
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記仮心理影響度として、複数の被験者が前記後方車両を模した実験車両に実際に乗車した実験、および、前記後方車両に乗車した場合を想定したシミュレーションを用いた実験のうちの少なくとも一方で得られた複数の前記第一仮車線変更パターン毎の安全性に関する主観値のデータと、前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンと前記主観値との間の関係式のデータと、を保持し、前記計算機は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンを回帰分析することで前記関係式を導出する関係式導出部をさらに備え、前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンと一致または近似する前記第一仮車線変更パターンを前記関係式に代入することで算出した算出後主観値によって、安全性を評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記仮心理影響度保持部は、前記主観値のデータとして、被験者が安全であるか不安全であるかを2値で評価した場合のデータを保存し、前記関係式導出部は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンをロジスティック回帰分析することで前記関係式を導出し、安全性を評価してもよい。
また上記車線変更評価装置では、前記計算機は、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)を保持する変更後仮車間保持部と、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)を保持する仮減速度保持部と、をさらに備え、前記仮心理影響度保持部は、前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる第二仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る前記仮心理影響度を保持し、前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンとして、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれるパターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記第二仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価してもよい。
また本発明の一態様に係る車線変更評価方法は、対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を、安全性評価部を有する計算機によって評価する車線変更評価方法であって、前記安全性評価部が、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更前仮車間)、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの仮想的な車線変更時間の情報(以下、仮車線変更時間)、および前記車線変更前仮車間と前記仮車線変更時間との組み合わせから導かれる第一仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保存したデータ構造を参照し、前記安全性評価部が、前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の実際の車間距離の情報(以下、車線変更前実車間)、および、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの実際の車線変更時間の情報(以下、実車線変更時間)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更前実車間と一致または近似する前記車線変更前仮車間、および、前記実車線変更時間と一致または近似する前記仮車線変更時間の組み合わせから導かれる前記第一仮車線変更パターンと比較し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る心理的影響度を算出して安全性を評価する。
また上記車線変更評価方法では、前記データ構造には、前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)、
車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)、および
前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる第二仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る前記仮心理影響度がさらに保存され、
前記安全性評価部が、前記データ構造を参照し、前記実車線変更パターンとして、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれるパターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記第二仮車線変更パターンと比較し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る心理的影響度を算出して安全性を評価してもよい。
また上記車線変更評価方法では、対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を、安全性評価部を有する計算機によって評価する車線変更評価方法であって、前記安全性評価部が、前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)、
車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)、および前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保存したデータ構造を参照し、前記安全性評価部が、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記仮車線変更パターンと比較し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る心理的影響度を算出して安全性を評価してもよい。



Claims (16)

  1. 計算機を有し、対象車両の車線変更時に前記対象車両で適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価装置であって、
    前記計算機は、
    前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更前仮車間)を保持する変更前仮車間保持部と、
    前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの仮想的な車線変更時間の情報(以下、仮車線変更時間)を保持する仮時間保持部と、
    前記車線変更前仮車間と前記仮車線変更時間との組み合わせから導かれる第一仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保持する仮心理影響度保持部と、
    を備える車線変更評価装置。
  2. 前記計算機は、
    前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の実際の車間距離の情報(以下、車線変更前実車間)、および、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの実際の車線変更時間の情報(以下、実車線変更時間)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更前実車間と一致または近似する前記車線変更前仮車間、および、前記実車線変更時間と一致または近似する前記仮車線変更時間の組み合わせから導かれる前記第一仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価する安全性評価部をさらに備える請求項1に記載の車線変更評価装置。
  3. 前記計算機は、前記対象車両に適用される前記実車線変更パターンを前記安全性評価部の評価に基づいて決定する安全性評価後パターン決定部をさらに備える請求項2に記載の車線変更評価装置。
  4. 前記仮心理影響度保持部は、前記仮心理影響度として、
    複数の被験者が前記後方車両を模した実験車両に実際に乗車した実験、および、前記後方車両に乗車した場合を想定したシミュレーションを用いた実験のうちの少なくとも一方で得られた複数の前記仮車線変更パターン毎の安全性に関する主観値のデータと、
    前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンと前記主観値との間の関係式のデータと、
    を保持し、
    前記計算機は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンを回帰分析することで前記関係式を導出する関係式導出部をさらに備え、
    前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンと一致または近似する前記第一仮車線変更パターンを前記関係式に代入することで算出した算出後主観値によって、安全性を評価する請求項2または3に記載の車線変更評価装置。
  5. 前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が不安全と感じ始めると推定される前記主観値を閾値として前記関係式に代入して導出した不安全領域特定式を満足する前記実車線変更パターンを、不安全であると評価する請求項4に記載の車線変更評価装置。
  6. 前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が不安全を感じると推定される前記主観値のデータ群を抽出し、抽出した前記データ群中の各々の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンをそれぞれ前記関係式に代入して算出した前記算出後主観値のうちの最も安全側の値を閾値として前記関係式に代入して導出した不安全領域特定式を満足する前記実車線変更パターンを、不安全であると評価する請求項4に記載の車線変更評価装置。
  7. 前記仮心理影響度保持部は、前記主観値のデータとして、被験者が安全であるか不安全であるかを2値で評価した場合のデータを保存し、
    前記関係式導出部は、前記主観値、および前記主観値に対応する前記仮車線変更パターンをロジスティック回帰分析することで前記関係式を導出し、安全性を評価する請求項4に記載の車線変更評価装置。
  8. 前記仮心理影響度保持部は、
    前記後方車両の運転手の危険感に関する危険度の情報と、
    前記後方車両の運転手における車線変更の受容性に関する受容度の情報と、
    を前記仮心理影響度として保持する請求項1から7のいずれか一項に記載の車線変更評価装置。
  9. 前記仮心理影響度保持部は、
    前記後方車両の運転手の危険感に関する危険度の情報と、
    前記後方車両の運転手における車線変更の受容性に関する受容度の情報と、
    を前記仮心理影響度として保持し、
    前記安全性評価部は、前記後方車両の運転手が危険を感じると推定される危険度の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンと、前記後方車両の運転手が受け入れ難いと感じると推定される受容度の前記主観値に対応する前記第一仮車線変更パターンとが一致または近似するデータ群を抽出する請求項7に記載の車線変更評価装置。
  10. 前記計算機は、
    前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)を保持する変更後仮車間保持部と、
    車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)を保持する仮減速度保持部と、
    をさらに備え、
    前記仮心理影響度保持部は、前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる第二仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る前記仮心理影響度を保持する請求項1から9のいずれか一項に記載の車線変更評価装置。
  11. 前記安全性評価部は、前記実車線変更パターンとして、前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれるパターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記第二仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価する請求項10に記載の車線変更評価装置。
  12. 計算機を有し、対象車両の車線変更時に前記対象車両で適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価装置であって、
    前記計算機は、
    前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の仮想的な車間距離の情報(以下、車線変更後仮車間)を保持する変更後仮車間保持部と、
    車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の仮想的な平均減速度の情報(以下、仮減速度)を保持する仮減速度保持部と、
    前記車線変更後仮車間と前記仮減速度との組み合わせから導かれる仮車線変更パターンが、前記対象車両の車線変更完了時に前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度の情報(以下、仮心理影響度)を保持する仮心理影響度保持部と、
    を備える車線変更評価装置。
  13. 前記計算機は、
    前記対象車両の車線変更開始後に前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の実際の車間距離の情報(以下、車線変更後実車間)、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の実際の平均減速度の情報(以下、実減速度)の組み合わせから導かれる前記実車線変更パターンを、前記車線変更後実車間と一致または近似する前記車線変更後仮車間、および、前記実減速度と一致または近似する前記仮減速度の組み合わせから導かれる前記仮車線変更パターンと比較することで、前記仮心理影響度のレベルから安全性を評価する安全性評価部をさらに備える請求項12に記載の車線変更評価装置。
  14. 対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価方法であって、
    前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始時における前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、前記対象車両の車間変更開始時から車線変更完了時までの車線変更時間を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測する車線変更評価方法。
  15. 前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の平均減速度を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測する請求項14に記載の車線変更評価方法。
  16. 対象車両の車線変更時に前記対象車両に適用され得る自動車線変更パターン(以下、実車線変更パターン)を評価する車線変更評価方法であって、
    前記対象車両が走行する第一車線から、前記第一車線に併設されて後方車両が走行する第二車線への前記対象車両の車線変更開始後に、前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となった際の前記対象車両と前記後方車両との間の車間距離、および、車線変更開始後における前記対象車両と前記後方車両との相対速度が0となるまでの前記後方車両の平均減速度を参照し、前記実車線変更パターンによる車線変更完了時において前記後方車両の運転手に与え得る安全性に関する心理的影響度を推測する車線変更評価方法。
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